平成21年度 タカタ財団助成研究報告会 効果的な交通安全対策⽴案のための信号交差点 安全性定量評価シミュレーション⼿法の開発 名古屋⼤学⼤学院⼯学研究科 社会基盤⼯学専攻 教授 中村 英樹 http://www.genv.nagoya-u.ac.jp/ge1/nakamura/index.html • 研究代表者 – 中村英樹(名古屋⼤学⼤学院⼯学研究科・教授) • 研究協⼒者 – 浅野美帆(名古屋⼤学⼤学院⼯学研究科・助教) – ⼤⼝ 敬(⾸都⼤学東京都市環境科学研究科・教授) – 浜岡秀勝(秋⽥⼤学⼯学資源学部・准教授) • 研究⽀援者 – 鈴⽊⼀史(名古屋⼤学⼤学院⼯学研究科・研究員) 2 名古屋⼤学⼤学院 中村英樹研究室 http://www.genv.nagoya-u.ac.jp/ge1/nakamura/index.html • 広⼤で待ち時間が⻑い⽇本の信号交差点 道路構造 ⼤きな隅⾓部半径 交差点内での右左折⾞の速度を⾼め歩⾏者事故の危険 があるほか,違法路上駐⾞を誘発します. ⼤きく後退した停⽌線位置 クリアランス距離が⻑くなり,全⾚時間を⻑くと る必要があります. 交通島による導流化を嫌う 左折⾞はマーキング上を⾛⾏できてしまうため,⾼い速 度のまま交差点内に進⼊し,横断歩⾏者の⾒落としの危 険にも繋がります. 横断歩道の広さと取り付け位置 右左折⾞両も⾼い速度のまま横断歩道に進⼊しや すくなります. 信号制御 • 極めて⻑いサイクル⻑ • ⻑いインターグリーン時間( ⻩+ 全⾚時間) • 信号灯⽕は⻘のみ • ⼗字交差点では単純4 現⽰制御が⼀般的 • 信号灯⽕の位置(far-side + near-side) • 歩⾏者は原則として⼀度の⻘で横断 3 • 交差点の道路構造が大きい – ⾼速で交差点に進⼊しやすい – ⾃由度が⾼く⾛⾏軌跡が乱れやすい – 全⾚時間が⻑くなる 時 が • 全赤時間が必要以上に長い – 全⾚時間が⻑いことを⾒越した⻩終了以降の駆け込み,⻘ 開始前のフライング発進など危険挙動の誘発 – サイクル⻑が⻑くなることによる遅れの増⼤ • 道路構造のコンパクト化や適切な全赤時間の変更に よる交差点改良が望まれる 4 名古屋⼤学⼤学院 中村英樹研究室 http://www.genv.nagoya-u.ac.jp/ge1/nakamura/index.html 導流化によるコンパクトな交差点構造 停⽌線 導流路 歩⾏者の⼆段階横断 ⾚(全⾚) 予告現⽰ 交通島 ⻘ 予告現⽰による発進遅れの抑制 多現⽰制御 5 • 交差点の交通事故対策 – 現場技術者の経験的判断による対策⽴案 • 事故に関する統計的データや現場の道路交通状況から判断 不安だから「安全側」に余裕をもたせておこう • 不安だから「安全側」に余裕をもたせておこう… • 事故対策案の評価⽅法 – 事故データによる対策効果の評価 • 信頼性が低い,時間がかかる,事前評価が難しい • 事故発⽣件数が少ないから安全といえるのか? – 潜在的な危険性 • 現状では… – “安全”を⾒越して必要以上に余裕をもった交差点運⽤ • その交差点運⽤は本当に安全なのか?逆に危険な状態にあることも… – 交差点改良に伴う不安 • 改良によって安全性が低下するのでは? 6 名古屋⼤学⼤学院 中村英樹研究室 http://www.genv.nagoya-u.ac.jp/ge1/nakamura/index.html • 交差点改良時の安全性を事前かつ科学的・客観的に評 価可能な⼿法が必要 ⾼ 切替損失:⼤きい 安全性と円滑性を共に 交錯機会:多い 向上できる領域 待ち時間:⻑い 危険挙動:多い トレードオフ領域 評価指標 安全性を犠牲にせず 円滑性を向上できる 可能性がある 安全性 (未知) 円滑性 滑性 (既知) 低 改良後 ⼩ 交差点要素 180 秒?現状 サイクル⻑,交差点サイズなど… ⼤ 7 交差点の道路構造,信号制御を変更したときの交錯挙 動発⽣をシミュレーション上で再現することで,交差 点改良時の安全性能を事前に評価可能とする 1. 事故発⽣と関連の⾼い利⽤者挙動のばらつきに着⽬ – 信号切り替わり時の危険挙動,速度変化,交差点内動線 2. 利⽤者挙動のばらつきを利⽤者の⼼理的要因をはじめ, 交差点の道路構造,信号制御などの環境要因から解明 3. 道路構造,信号制御を変更した際の利⽤者挙動のばらつ き,それに伴うコンフリクト発⽣をシミュレーション再現 することで安全性を定量的に評価 8 名古屋⼤学⼤学院 中村英樹研究室 http://www.genv.nagoya-u.ac.jp/ge1/nakamura/index.html 1. 調査対象交差点の選定 – 愛知県名古屋市内の信号制御,道路構造の異なる 複数の信号交差点 (1) 調査対象交差点の 選定 2. ビデオ観測調査 (2) ビデオ観測調査 – ピーク時を含む前後3〜5時間程度ビデオ撮影調査 歩⾏者挙動に 関する分析 ⾞両挙動に 関する分析 3. ⾞両挙動データの収集/分析 – 画像処理で抽出された⾞両⾛⾏軌跡より⾞両挙動 をミクロに分析 (3) ⾞両挙動データの 収集/分析 (6) 歩⾏者挙動デー タの収集/分析 – (4) ⾞両挙動モデルの 構築 (7) 歩⾏者挙動モデ ルの構築 a)⻩開始時の停⽌/通過挙動,b)⻘開始時の発進挙動,c) 交差点内⾛⾏軌跡 4. ⾞両挙動モデルの構築 (5) ⾞両挙動と事故発 ⽣との関連分析 – シミュレーションモデルに組み込む⾞両挙動モデ ルの構築 5. ⾞両挙動と事故発⽣との関連分析 (8) 安全性能評価⼿法の検 討 – 各交差点の事故発⽣状況と⾞両挙動との関連につ いて考察 (9) シミュレーションモデ ルの開発と検証 6. 歩⾏者挙動データの収集/分析 (10) 交差点事故対策の ケーススタディ – 左折⾞と横断者との交錯特性について分析 平成21年度研究内容 9 Tc Tc ʼ ⻩ 全⾚ 距離 Tcʼ : 全⾚開始時からの経過時間 Tc : 停⽌線から交錯点までの所要時間 Teʼ : ⻘開始からの経過時間 Te : 停⽌線から交錯点までの所要時間 停⽌線通過タイミング Tcʼ A R Tc クリアランス⾞両 (最終右折⾞両) エンタリング時間 発進タイミング Te Teʼ エンタリング⾞両 (交差側直進⾞両) PET 交錯点 クリアランス時間 ⾚ 通過時間差 時間 T ʼ Te Teʼ T 交錯点での通過時間差(= PET) 交錯点 駆け込み⾞両の残留の影響 AR (Tc Tc ) (Te Te ) 駆け込み進⼊ ⾛⾏軌跡/速度の変動 発進遅れ (フライング発進) • 交錯点での通過時間差は道路構造や信号制御により変化 • 交差点改良後に⽣じうる⾞両挙動の時間的・空間的な変化や そのばらつきを考慮することが安全上重要となる 10 名古屋⼤学⼤学院 中村英樹研究室 http://www.genv.nagoya-u.ac.jp/ge1/nakamura/index.html 末盛通2 ⻄⼤須 桜⼭ 熱⽥神宮南 ⻄/南 東/⻄/南/北 北/南 北/東 北 東/⻄/南/北 57m×58m 75m×56m 81m×75m 65m×63m 50m×50m 7:30〜 11:00 9:00〜 12:00 7:30〜 10:20 9:00〜 12:00 7:20〜 10:20 7:00〜 10:00 時間帯 単純4現⽰制御 (丸⻘+右折⽮) 現⽰ ⽮印制御 120〜150 140 160 160 110〜160 160 直進 3 3 3 4 3 3 右折 2 2 2 3 3 3 3 東⻄ 4 / 南 北5 サイクル⻑[秒] ⻩時間 [秒] 太閤通3 53m×37m 対象流⼊部 停⽌線間距離 砂⽥橋 全⾚時間[秒] 5 5 5 5 • 選定条件 – 典型的な4現⽰制御または⽮印専⽤制御 – 信号切り替わり時に捌け残りが⽣じるだけの交通需要 – 全体として交差点ごとの道路構造,信号制御にバリエーションがあること 11 • ビデオ画像処理により⾞両⾛⾏軌跡を抽出 – 複数のビデオカメラからの観測軌跡を統合 – 観測軌跡に対する観測誤差の補正と補間推定 – ⾞両形状の違いを考慮し,重⼼位置の軌跡データを使⽤ ⾞ 違 考 位 跡デ 使 ⾞両形状を考慮した⾛⾏軌跡観測 ビデオ画像処理システムによる⾞両挙動の観測イメージ 信号切り替わり時の交錯事象抽出 12 名古屋⼤学⼤学院 中村英樹研究室 http://www.genv.nagoya-u.ac.jp/ge1/nakamura/index.html ⾃動⾞相互 • 事故当事者の⽐較 ⾃転⾞×⾞両 歩⾏者×⾞両 ⼆輪×⾞両 ⾞両単独 ⻄⼤須 末盛通2 – 発⽣⽐率 地下鉄堀⽥ • ⾃動⾞相互事故,⾃転⾞×⾞ 両事故が8割以上を占める • ⾃転⾞×⾞両事故は⻄⼤須, 太閤通3で⾼い 川名 太閤通3 砂⽥橋 広路通 広路通1 桜⼭ 熱⽥神宮南 0% – 発⽣事故件数 • ⻄⼤須,地下鉄堀⽥,熱⽥神 宮南の交通量の多い交差点で 多い • ⾃動⾞相互事故は熱⽥神宮南 で多い • ⾃転⾞×⾞両事故は⻄⼤須, 太閤通3で多数発⽣ 20% 40% 60% 80% 100% 事故当事者の構成⽐ (2004〜2009年度) ⾃動⾞相互 ⾃転⾞×⾞両 歩⾏者×⾞両 ⼆輪×⾞両 ⾞両単独 ⻄⼤須 末盛通2 地下鉄堀⽥ 川名 太閤通3 砂⽥橋 広路通1 桜⼭ 熱⽥神宮南 0 50 100 事故の総発⽣件数 13 (2004〜2009年度) • ⾃動⾞相互事故 追突 – 発⽣件数は熱⽥神宮南で多く, 追突事故が⼤半を占める • 直進⽮終了後の全⾚時間が⻑い • ドライバ の停⽌/通過の判断が ドライバーの停⽌/通過の判断が 混在する – ⻄⼤須交差点では,⻩時間⻑が 他の交差点よりも1秒⻑い4秒 • ⾃転⾞×⾞両事故 右左折 その他 末盛通2 地下鉄堀⽥ 川名 太閤通3 砂⽥橋 広路通1 桜⼭ 熱⽥神宮南 0 • ⻩時間⻑が⻑いことも追突事故 発⽣の危険性を⾼めていると考 えられる – ⻩時間,全⾚時間の⻑さが停⽌ /通過挙動に及ぼす影響につい て精査することは今後の課題 出会い頭 ⻄⼤須 20 40 事故発⽣件数 [件] 60 80 ⾃動⾞相互事故の全発⽣件数 (2004〜2009年度の累計) 出会い頭 右左折 その他 ⻄⼤須 末盛通2 地下鉄堀⽥ 川名 太閤通3 砂⽥橋 – ⻄⼤須および太閤通3で突出 – 右左折⾞両との事故が⼤半 広路通1 桜⼭ 熱⽥神宮南 0 20 40 事故発⽣件数 [件] ⾃転⾞×⾞両事故の全発⽣件数 (2004〜2009年度の累計) 60 14 名古屋⼤学⼤学院 中村英樹研究室 http://www.genv.nagoya-u.ac.jp/ge1/nakamura/index.html • 分析対象 – 対象⾞両 • 直進⾞,右折⾞ – 制御⽅式 通過判断 停⽌判断 • 着眼点 – ⻩開始時を基準とした停⽌/通過 挙動の分析 – 停⽌線と交錯点のドライバ 停⽌線と交錯点のドライバーの の 意識の違い – 全⾚時間が⻑いことによる停⽌/ 通過挙動のばらつき 通過 ジレンマ・ゾーン 速度 [m m/s] • 単純4現⽰制御,⽮印制御 停⽌ オプション・ゾーン 停⽌線からの距離 [m] 15 • 右折⽮後の全⾚時間⻑の違いによる⽐較 20 20 15 15 10 10 通過(n = 31) 停止(n = 36) L1 L2 5 0 AR=5秒 5秒 Y=3秒 熱⽥神宮南・北側 走行速度 [[m /s] 0 20 40 60 0 25 20 20 5 0 20 40 60 80 100 120 140 160 黄開始時の停止線から の距離 [m ] 停止 5 10 15 10 5 0 0 15 20 黄開始時の走行速度 [m /s] 25 25 15 通過(n= 40) 停止(n= 38) L1 L2 10 通過 20 0 20 40 60 80 100 120 140 160 25 0 • 通過(n = 31) 停止(n = 36) L1' L2' 5 80 100 120 140 160 15 ⻩時間前後の速度変化 25 全赤開始時の走行速 速度 [m /s] 桜⼭・北側 全⾚開始時 25 10 通過(n= 40) 停止(n= 38) L1' L2' 5 0 全赤開始時の走 走行速度 [m /s] AR = 3秒 Y=3 走行速度 [m //s] ⻩開始時 25 通過 15 10 停⽌⾞両の⻩時間中の 速度低下が⼩さい 5 0 0 20 40 60 80 100 120 140 160 全赤開始時の停止線から の距離 [m ] 停止 20 0 5 10 15 20 黄開始時の走行速度 [m /s] 25 全⾚時間⻑が⻑いことで停⽌/通過の判断タイミングが全⾚開始時にまでずれ込んで いることが考えられる 16 名古屋⼤学⼤学院 中村英樹研究室 http://www.genv.nagoya-u.ac.jp/ge1/nakamura/index.html • 直進⾞の停⽌/通過選択をロジットモデルにより表現 係数 (t値) 説明変数 ⻩開始時の停⽌線までの所要時間 [秒] 全⾚時間⻑ [秒] ⼤型⾞ダミー(⼤型⾞=1) 追従状態ダミー(追従=1) 単純4現⽰制御 ⽮印制御 0 71(6 99) 0.71(6.99) 1 73 (7 1.73 (7.82) 82) - -1.20 (-4.41) -1.95 (-2.47) - - -0.908 (-2.17) -7.74 (-6.81) -1.84 (-1.71) 修正ρ2値 0.636 0.522 的中率 [%] 88.2 85.1 サンプル数 237 269 定数項 • ⽮印制御では全⾚時間が⻑いほどドライバーが通過選択しやすい – 全⾚時間⻑を⾒直すことで駆け込み進⼊⾞両を抑制できる可能性がある • 追従状態にあるときは先⾏⾞に続いて交差点進⼊しやすい • 観測サンプルの制約により,道路構造要因は説明変数に含まれず 17 • 右折⾞の停⽌/通過選択をロジットモデルにより表現 係数 (t値) 説明変数 ⻩開始時の停⽌線までの所要時間 [秒] 単純4現⽰制御 ⽮印制御 0 71 (7 0.71 (7.33) 33) 0 88 (6 0.88 (6.29) 29) 追従状態ダミー (追従=1) -1.12 (-2.00) -1.37 (-2.57) 定数項 -2.25 (-3.56) -3.25 (-4.44) 修正ρ2値 0.362 0.366 的中率 [%] 80.7 79.6 サンプル数 238 167 • 追従状態にある場合は先⾏⾞に続いて交差点進⼊しやすい • 直進⾞ほどモデルの適合度が⾼くない – 右折⽮後の加速の影響が考えられる • 道路構造に関する影響要因は明らかになっていない – 観測データサンプルが⼤規模交差点のものに偏っていることが要因 – 交差点空間の広さが右折⾞の駆け込み進⼊に及ぼす影響など精査が必要 18 名古屋⼤学⼤学院 中村英樹研究室 http://www.genv.nagoya-u.ac.jp/ge1/nakamura/index.html • 交差側⻘開始時の直進⾞の発進タイミングを分析 – 残留状況,信号制御および道路構造の違いが発進反応時間(SRT: Starting Response Time)へ及ぼす影響について分析 距離 ⻩ 全⾚ ⾚ 通過時間差:PET 残留 最終右折⾞両 交錯点 時間 残留時間 エンタリング距離 発進反応時間 : SRT 交差側発進⾞両 19 • 残留の有無別の⽐較 20 100% 頻度 末盛通2,残留なし(n=60) 16 残留なし 末盛通2 残留あり(n=54) 末盛通2,残留あり(n=54) 80% 残留あり 12 60% 8 40% 4 20% 0 0% -5 -4 -3 -2 -1 0 1 発進反応時間 SRT [秒] 2 3 4 5 末盛通2 (東側流⼊部) • クリアランス⾞両の残留の影響により発進が遅れる 20 名古屋⼤学⼤学院 中村英樹研究室 http://www.genv.nagoya-u.ac.jp/ge1/nakamura/index.html • 交差点規模別の⽐較 14 12 残留なし(n=43) 90% 残留あり(n=46) 80% 残留なし 残留あり 60% 頻度 10 70% 50% 8 40% 6 30% 4 20% 2 10% 0% 0 -5 -4 -3 -2 -1 0 1 2 発進反応時間 SRT [秒] 3 4 5 16 残留なし(n=81) 14 残留あり(n=47) 12 100% 残留なし 90% 残留あり 80% 70% 10 60% 頻度 100% 16 50% 8 40% 6 30% 4 20% 2 10% 0% 0 -5 -4 -3 -2 -1 0 1 2 3 発進反応時間 SRT [秒] 4 5 ⻄⼤須(北側流⼊部) 砂⽥橋(南側流⼊部) • 交差点規模が⼤きいほど (エンタリング距離が⻑いほど), 最終右折⾞の残留の影響が⼤きい 21 • ワイブル分布をあてはめ 全⾚時間,⼤型⾞,エンタリング距離,⽮印制御,残留時間を考慮 ワイブル分布のパ ラメータ 形状パラメータ α 尺度パラメータ β 位置パラメータ γ • • • • 説明変数 ⼤型⾞ダミ (⼤型⾞=1) ⼤型⾞ダミー (⼤型⾞ ) 定数項 -3.97 (-3.11) ( ) 12.4 (6.80) エンタリング距離 [m] ⽮印制御ダミー 定数項 + - α -0.00878 (-4.52) 0.238 (2.95) - + 14.5 (7.06) 最終右折⾞の残留時間[秒] 定数項 係数 (t値) -0.0504 (-4.52) 12.5 (6.13) 修正ρ2値 修正 0 430 0.430 サンプル数 1167 + β - γ エンタリング距離が⻑いほど発進が早まる ⽮印制御の場合は不慣れなドライバーによりばらつきが⼤きくなる 残留時間が⻑いほど発進が遅れる 全⾚時間⻑は有意にならず(観測データ上の制約) 22 名古屋⼤学⼤学院 中村英樹研究室 http://www.genv.nagoya-u.ac.jp/ge1/nakamura/index.html • 推定値と観測値との⽐較 100% 100% 砂田橋(n = 147) サン プ ル数 曲線の推定条件: • 普通⾞ 80% • 単純4現⽰ • 交錯点までの距離20 交錯点までの距離20〜30m 30m 60% • 残留時間0〜5秒 観測サンプル数:59 0.7〜0.8秒 16 40% 20% 14 末盛通2(n = 346) 12 西大須(n = 225) 80% 太閤通3(n = 168) 10 予⾒⾏動 8 切り替わり時の交差側の信号灯⽕や 交差点内状況を⾒ながら発進を判断 6 60% 信号遵守 信号灯⽕を⾒て発進 40% 4 20% 2 0% -5 -4 -3 0 -2 -1 0 1 2 3 ⻘開始からの経過時間 [秒] 4 5 0% -5 -4 -3 -2 -1 0 1 2 発進反応時間SRT [秒] 3 4 5 • 予⾒⾏動をするグル 予⾒⾏動をするグループと信号遵守するグループの存在 プと信号遵守するグル プの存在 – 交差点(流⼊部)ごとに異なる可能性 • 予⾒⾏動がしやすい交差点構造,信号灯⽕配置との関連 – 単⼀の分布形を仮定することで,フライング発進⾞両を過⼤推定してい る恐れがある – 2つのグループの構成⽐を考慮したモデルの改良が課題 23 • エンタリング距離および残留状況に応じたSRT分布 – ⼩規模交差点と⼤規模交差点では残留状況の違いによって SRTで最⼤1秒弱の差が⽣じる 100% 90% 90% 80% 80% 70% 70% 累積確率 100% 累積確率 60% 50% 40% • 単純4現⽰制御 • 残留なし • 普通⾞ 60% 50% 40% 10m • 単純4現⽰制御 • 普通⾞ 20m 30% 30 30m 20% 40m 50m 10% -4.0 -3.0 -2.0 -1.0 10m 残留なし 20% 50m 残留あり 10% 50m 残留なし 0% 0% -5.0 10m 残留あり 30% 0.0 1.0 2.0 3.0 4.0 SRT[秒] 5.0 -5.0 -3.0 -1.0 1.0 3.0 5.0 SRT[秒] エンタリング距離別のSRT分布 エンタリング距離に応じた残留有無別のSRT分布 ※残留あり(残留時間2.5秒),残留なし(残留時間 - 2.5秒) 24 名古屋⼤学⼤学院 中村英樹研究室 http://www.genv.nagoya-u.ac.jp/ge1/nakamura/index.html • 交錯点までの平均加速度(等加速度発進を仮定) – SRTが0.7〜0.8秒付近で分かれる • SRT<0.7秒:SRTに応じて加速度を調整 • SRT≧0.7秒:残留時間に応じて加速度が変化 SRT≧0 7秒:残留時間に応じて加速度が変化 残留なし SRT [m/s2] 4 残留時間 2.5秒未満 発進加速度分布 (正規分布) 平均加速度 4.5 3.5 残留時間 2.5〜5.0秒 μ 3 残留時間 5.0秒以上 < 0.7 2.5 2 σ 1 0.5 SRTに応じて変化 0 -4 -3 -2 -1 係数 (t値) SRT[秒] 0.246 (13.8) 定数項 1.63 (55.3) SRT[秒] - 定数項 0.374 (20.5) サンプル数=217 1.5 -5 パラメータ 0 SRT [秒] 残留時間に応じて変化 1 2 3 4 μ ≧ 0.7 5 σ 残留時間[秒] -0.0369 (-5.79) 定数項 1.92 (106.0) 残留時間[秒] -0.0123 (-2.78) 定数項 0.436 (34.7) サンプル数=897 SRTと平均加速度の観測値 25 • ⾛⾏軌跡のパラメータ化 – ⾛⾏軌跡の曲率変化に着⽬,⾃由⾛⾏⾞両を対象 パラメータの推定⽅法 • 距離-曲率曲線を複数の折れ線で近似 距離 曲率曲線を複数の折れ線で近似 • 所定の分割数で誤差が最⼩となる分割位置を動的計画法により探索 • 折れ線の傾き・切⽚から線形要素パラメータを算出 推定値 観測値 曲率の推定 曲率 1/R [1/m ] EC点 BC点 円弧 0.05 IP点 0.04 クロソイド1 A1 0.03 0.02 クロソイド2 A2 RL=A2 0.01 軌跡の再計算 -0.01 直線 直線 0 右折⾛⾏軌跡の例 Rmin 0 20 40 60 80 100 120 走行距離[m ] 距離-曲率図 26 名古屋⼤学⼤学院 中村英樹研究室 http://www.genv.nagoya-u.ac.jp/ge1/nakamura/index.html • 線形要素のパラメータA1, Rmin, A2について重回帰分析 – 道路構造要因,⾞両の進⼊条件などにより説明 S2 M2 IP点 Z1 M1 Z2 円弧 直線 r IP点 Vout クロソイド2 A2 円弧 歩⾞道境界線からの距離 Rmin V Vcente クロソイド1 A1 S1 Vout クロソイド2 A2 交差⾓θ Rmin 交差⾓θ cente 隅⾓部半径 r クロソイド1 A1 Rc 直線 ゼブラ路⾯標⽰ Vin Vin 中央分離帯 直線 IP点から中央分離帯までの距離:M IP点から停⽌線までの距離:S IP点からゼブラ路⾯標⽰までの距離:Z 右折 左折 27 • 推定結果より… – 停⽌線などの路⾯標⽰よりも構造物の影響が強い – ⾛⾏速度が⾼いほどショートカット軌跡をとりやすい 線形要素パラメータ 説 明 S2 M2 Z2 IP点 Vout ク ロソ イ ド 2 交差角 A2 θ Z1 円弧 M1 S1 円弧 Rmin クロソイド2 A2 係数(t値) 係数(t値) 係数(t値) 右折時の最⼩速度Vmin [km/h] 0.294 (4.48) 0.517 (6.57) 0.287 (3.05) 右折時の交差⾓度 [°] - IP点から中央分離 流⼊側 M1 0.172 (6.90) 帯までの距離[m] 流出側 M - 2 Vcenter Rm in ク ロソ イ ド 1 A1 Min (D1, D2) [m] 直線 Vin 変 数 クロソイド1 A1 ゼブ ラ 路面標示 中央分離帯 定数項 - 0.0795 (4.32) - - - - 0.241 ((4.84) 0 8 ) 0.176 (4.59) - -8.65(-3.33) -3.93 (-1.89) 3.63 (1.64) R2値 サンプル数 0.663 0.501 0.424 151 28 名古屋⼤学⼤学院 中村英樹研究室 http://www.genv.nagoya-u.ac.jp/ge1/nakamura/index.html • 推定結果より… – 隅⾓部半径,交差⾓度が⼤きいほど⾛⾏軌跡が緩やかに – 右折⾛⾏軌跡に⽐べ道路構造の影響を強く受けやすい クロソイド2 A2 円弧 交差⾓θ クロソイド1 A1 円弧 Rmin 説明変数 係数(t値) 係数(t値) 係数(t値) - 0.268 (6.88) IP点 交差⾓θ Rmin Rc 線形要素パラメータ クロソイド1 A1 直線 左折時の最⼩速度Vmin [km/h] 0.369 (9.07) 左折時の交差⾓度 [°] 隅⾓部半径 [m] ⼤型⾞ダミー(⼤型⾞=1) クロソイド2 A2 0.0404 (3.61) 0.124 (14.4) - 0.334 (8.73) 0.423 (11.7) 0.335 (7.52) - - 2.05 (2.89) 左折後の歩⾞道境界線からの 0.461 (7.70) 0.846 (16.9) 1.04 (15.2) ⾛⾏位置 [m] 定数項 -1.65 (-1.85) -6.61 (-7.62) 2.33 (2.83) R2値 0.772 0.808 サンプル数 0.774 238 29 • ⾛⾏軌跡のばらつきの考慮 – 右折時の最⼩速度 • 交差点構造,⾞両ごとに異なり確率的に変動: Vmin〜N µ, σ – 最⼩曲線半径 • 同⼀の最⼩速度であっても⾛⾏軌跡は確率的に変動: Rmin〜N µ, σ – μとσを⾞両進⼊条件,道路構造要因から説明 正規分布を仮定したモデル ⾞両進⼊条件 ・進⼊速度 Vin ・右折後の⾛⾏位置 … 道路構造 ・右折時の交差⾓度 ・中央分離帯位置 … 右折時最⼩速度 Vmin 右折時最⼩曲線半径 Rmin クロソイド1 A1 クロソイド2 A2 重回帰分析によるモデル 30 名古屋⼤学⼤学院 中村英樹研究室 http://www.genv.nagoya-u.ac.jp/ge1/nakamura/index.html • 右折時の最⼩速度Vminの分布 – 右折時の最⼩速度Vminへの影響要因分析の結果 • 交差⾓度,右折開始時の進⼊速度,IP点から中央分離帯までの距離 説明変数 係数(t値) 右折時の交差⾓度 [°] μ IP点から中央分離帯 までの距離 [m] 0.0717 (5.57) 流⼊側 M1 0.00920 (4.52) 流出側 M2 0.105 (3.17) 右折開始時の進⼊速度Vin [km/h] 定数項 σ 0.380 (13.13) 4.49 (2.62) 右折時の交差⾓度 [°] 定数項 0 124 (2.69) 0.124 (2 69) 100% 80% 60% 累積確率 右折時の最⼩速度Vminの分布モデル (正規分布) 砂⽥橋(観測値) 川名(推定値) 川名(観測値) 20% 1.71 (4.57) サンプル数 砂⽥橋(推定値) 40% 太閤通3(推定値) 太閤通3(観測値) 0% 151 15 • 右折時の交差⾓度がばらつきに影響 • 推定精度は⽐較的良好 20 25 30 Vmin [m] 35 40 Vminの推定値および観測値の分布 31 • 最⼩曲線半径Rminの分布 100% 80% 右折時の最⼩曲線半径Rminの分布モデル 右折時の交差⾓度 [°] μ σ 最IP点から中央分離帯までの距離の ⼩値 Min (W1, W2) [m] 係数(t値) 0.0621 (3.80) 60% 累積確 確率 説明変数 0.159 (4.35) 右折時の最⼩速度Vmin [km/h] 0.438 (7.63) 右折時の最⼩速度Vmin [km/h] 0.130 (17.4) サンプル数 151 砂⽥橋(推定値) 40% 砂⽥橋(観測値) 川名(推定値) 川名(観測値) 20% 太閤通3(推定値) 太閤通3(観測値) 0% 10 15 20 25 Rmin [m] 30 35 Rminの推定値および観測値の分布 • 右折時の最⼩速度がばらつきに影響 • Rminが過⼤に推定されるケース – 交差点内部の路⾯標⽰の影響 太閤通3 交差点 32 名古屋⼤学⼤学院 中村英樹研究室 http://www.genv.nagoya-u.ac.jp/ge1/nakamura/index.html • 観測軌跡と90%確率の推定軌跡の⽐較 60 50 40 40 95%ile 30 95%ile 20 円弧 クロソイド1 円弧 10 クロソイド2 X[m] 0 0 5%ile 30 クロソイド1 10 Y[m] 5%ile 50 20 ※ 右折時の進⼊速度は観測値の平均値を使⽤ 60 Y[m] 10 20 30 40 50 クロソイド2 X[m] 0 60 0 (a) 砂⽥橋 10 20 30 40 50 60 (b) 太閤通3 (⻄側流⼊部,右折後第2⾞線) (⻄側流⼊部,右折後第2⾞線) • 推定結果は概ね良好 • 太閤通3では観測軌跡と推定軌跡の乖離が⼤きい – 最⼩曲線半径が過⼤に推定されている 33 • シミュレーションによる評価が必要不可⽋ クリアランス⾞両側 右折⾞両の発⽣/滞留 停⽌線通過タイミング Tcʼ エンタリング⾞両側 交差側直進⾞両の 発⽣/滞留 交錯点 交錯点での残留 残留 時間を計算 クリアランス距離 Sc 停⽌/通過判断 通過 クリアランス⾞両 (最終右折⾞両) エンタリング時間 Te エンタリング距離 Se クリアランス時間 Tc ⾛⾏軌跡の決定 ⾛⾏速度の決定 残留時間=Tc - AR 発進反応遅れSRT の決定 ⻩ 発進タイミング 発進加速度の決定 全⾚ SRT=Teʼ ⻘ 発進加速度a エンタリング⾞両 (交差側直進⾞両) 右折⽮ 発進タイミング Teʼ=SRT 交錯点通過 交錯点通過 時間 交錯指標の算出 判断ポイント シミュレーションのフロー – 交錯点の位置,速度,進⼊⾓度などのデータから衝突時の 損害の程度を評価に含めることが可能 34 名古屋⼤学⼤学院 中村英樹研究室 http://www.genv.nagoya-u.ac.jp/ge1/nakamura/index.html • 信号切り替わり時の停⽌/通過挙動 – 全⾚時間⻑が⻑くなるほど通過しやすい • 全⾚時間の短縮により全⾚時間中の交差点進⼊を抑えられる可能性 • 全⾚時間⻑が⻑いほど⻩開始/終了前後での速度変動が⼩さい – 追従状態にあるほど先⾏⾞に続いて交差点進⼊しやすい • 交差側先頭⾞両の発進挙動 – エンタリング距離, 残留状況, 制御⽅式ごとの発進反応時 間(SRT)を推定 • ⽮印制御の場合には発進が遅れる • エンタリング距離が⻑い(⼤規模交差点)ほどSRTのばらつきが⼤き い • クリアランス⾞両の残留時間が⻑いほどSRTが増⼤する 35 • SRTと発進加速度の関係 – クリアランス⾞両の交差点内残留状況を考慮したエンタリ ング⾞両の交錯点までの発進特性を明らかにした • SRTが約0.7秒を境にして発進時の加速特性が異なることを⽰した SRTが約0 7秒を境にして発進時の加速特性が異なることを⽰した – 発進加速度の確率分布モデルを⽰した • 右左折⾛⾏軌跡の分析 – 右折軌跡 • 停⽌線などの路⾯標⽰よりも中央分離帯などの構造物の影響が強い • 交差点への進⼊速度が⾼いほどショートカット軌跡をとりやすい – 左折軌跡 • 隅⾓部半径,交差⾓度が⼤きいほど緩やかな軌跡をとりやすい • 左折軌跡は右折軌跡に⽐べ道路構造の影響を強く受けやすい – 道路構造,進⼊条件に応じた⾛⾏軌跡を確率的に推定 36 名古屋⼤学⼤学院 中村英樹研究室 http://www.genv.nagoya-u.ac.jp/ge1/nakamura/index.html • 停⽌/通過挙動モデルの改良 – 右折⾞については観測データの制約から右折⽮後の全⾚時 間⻑の要因が含まれていない • 全⾚時間⻑が異なるケースでの追加データが必要 全⾚時間⻑が異なるケ スでの追加デ タが必要 – 信号交差点の道路構造が⼤規模なサンプルに偏る • 道路構造要因の影響を明らかにする必要 – ⻩開始以降の速度変化の考慮 • 駆け込み進⼊のしやすさが道路構造の影響を受けている可能性 • SRT推定モデルにおける予⾒⾏動ドライバーの考慮 – 2つのグループの構成⽐を考慮したモデルの改良 • 予⾒⾏動と信号灯⽕の配置などとの関連について分析し,予⾒⾏動 が⽣じにくい交差点構造設計の検討が望まれる 37 • ⾛⾏軌跡モデル – ⾃由⾛⾏時を前提としたモデルであり,追従⾛⾏時の影響 については今後分析が必要 – 路⾯標⽰が⾛⾏軌跡に及ぼす影響の検討が必要 • 交錯再現シミュレーションの開発と検証 – 本研究で構築した挙動モデルを組み合わせたときの交錯挙 動の再現性についての検証が必要 38 名古屋⼤学⼤学院 中村英樹研究室 http://www.genv.nagoya-u.ac.jp/ge1/nakamura/index.html http://www.genv.nagoya-u.ac.jp/ge1/nakamura/index.html 以下,参考資料 名古屋⼤学⼤学院 中村英樹研究室 http://www.genv.nagoya-u.ac.jp/ge1/nakamura/index.html ドイツ ⽇本 クリアランス⾞両 (最終右折⾞両) クリアランス⾞両 (最終右折⾞両) W 交錯点 Tc 停⽌/通過判断 停⽌/通過判断 Te エンタリング⾞両 (先頭直進⾞両) エンタリング⾞両 (先頭直進⾞両) 停⽌線間距離より算出 AR W / V AR Tc Te 交錯点ごとの通過時間差より算出 • 交差点サイズが⼤きくなると必然的に 全⾚時間が⻑くなる • 交差点サイズが⼤きくても必ずしも⻑ い全⾚時間が必要とは限らない • 必要最⼩限の全⾚時間を設定できる • 全⾚時間中に駆け込み進⼊,フライング 発進が⽣じた場合には危険 • ドイツの設定⽅法ではより短い全⾚時間を設定できる 41 10 10 9 9 8 8 7 7 エンタリング時間[s] クリアランス時間[s]] • クリアランス時間/エンタリング時間の観測結果 6 5 4 3 6 5 4 3 2 2 1 1 0 0 WS NW EN 砂⽥橋 SE 末盛通2 WS NW 太閤通3 EN NW ⻄⼤須 EN WS NW 熱⽥神宮南 クリアランス時間 SE S W 砂⽥橋 N E 末盛通2 S W 太閤通3 N W ⻄⼤須 N S W E 熱⽥神宮南 エンタリング時間 • ⼤規模,変形交差点ほどばらつきが⼤きい – ⾛⾏軌跡,進⼊速度の変動による影響が考えられる ⾛⾏軌跡の分析が必要(5章) 42 名古屋⼤学⼤学院 中村英樹研究室 http://www.genv.nagoya-u.ac.jp/ge1/nakamura/index.html • ドイツ⽅式での全⾚時間の試算 5 全赤5秒 必要全赤時間長 [[秒] 4 2 AR Tc ,85%ile Te,15%ile 全赤4秒 2.9 3 ※ 安全側を考慮し,クリアランス時間の85パーセンタイル値, エンタリング時間の15パーセンタイル値にて計算 2.1 1.6 1 0.8 1.1 1.4 1.4 • 流⼊部の道路構造によって全⾚ 時間は⼤きく異なる • 現状の全⾚時間設定より,さらに 2〜5秒程度短くできる • ⼤規模交差点であっても全⾚時間 が不要な場合がある 0.2 0 -0.1 -0.1 -0.5 -0.7 -1 -2 南 西 北 東 南 西 北 西 北 砂田橋 末盛通2 太閤通3 西大須 南 西 東 熱田神宮南 流⼊部※ごとの全⾚時間 ※交差側直進⾞の流⼊部 • 停⽌線通過タイミングを考慮していない – 全⾚時間の⻑さによってクリアランス⾞両,エンタリング⾞両の停⽌線 通過タイミングは異なる 停⽌線通過挙動の分析が必要(4章) 43 交差点構造の改良 交通状況 ⻩時間⻑の調整 △ △ ○*1 全⾚時間⻑の調整 △ △ ○*1 信号現⽰の改良 (右直分離制御など) △ ◎ ○ 停⽌線位置の変更 ◎ ○*2 - 隅⾓部半径の変更 ○*3 ○*3 ◎ 交差⾓度の変更 △ - ◎ 中央分離帯位置の変更 - - ◎ ○*4 ○*4 改良シナリオ 到着交通需要の変化 ○*4 交差点内 軌跡モデル 信号制御の改良 発進反応時間 推定モデル 改良項⽬ 空間モデル 停 ⽌ 通過 / 選択モデル 時間モデル 備 考 インターグリーン時間への感度 インタ グリ ン時間への感度 道路構造への感度 *1) ⻩/全⾚時間⻑の変更によるド ライバーの駆け込み挙動の変化によ り,交差点内への速度上昇などに よって動線が変化 *2) 停⽌線位置の変更により,交錯 点までの距離が変化することで,発 進時挙動が変化 *3) 隅切り半径の変更によって停⽌ 線位置が変化することで,停⽌/通 過挙動,発進時挙動が変化 *4) 追従状態が変化することで,停 ⽌/通過挙動が変化 凡例 ◎:明⽰的に表現可能,○:間接的に表現可能,△:今後検討が必要,ー:対象外 • 解析的には評価が困難であるため,シミュレーションが必要 44 名古屋⼤学⼤学院 中村英樹研究室 http://www.genv.nagoya-u.ac.jp/ge1/nakamura/index.html • 残留⾞両による全⾚時間への影響評価 開始 1) 全⾚時間⻑ARの初期値設定 初期値 初期値(AR=0) 全⾚開始と同時に停⽌線を通過 クリアランス⾞両 (最終右折⾞両) 2) エンタリング時間の計算 ① クリアランス時間 Tcの決定 ①クリアランス時間Tc (観測値より) 観測値より ② 発進タイミング Teʼの決定 SRT 推定モデル Te=SQRT(2Se /a) ③ 発進加速度 a の決定 ③発進加速度a (発進加速度分布) 発進加速度分布 計 算 回 数 < 5000 回 残留時間=Tc - AR Se エンタリング⾞両 (交差側直進⾞両) ②発進タイミング Teʼ=SRT (SRT推定モデル) 3) 全⾚時間⻑ARの更新 (AR=Tc85-T*e15) 残留⾞両を考慮したエンタリング時間 Te* = Teʼ + Te 収束 終了 残留⾞両を考慮した全⾚時間の計算⼿順 45 • 残留⾞両の影響を考慮した全⾚時間の計算結果 3.0 全⾚時間 [秒] 1.6 16 1.0 残留を考慮しない場合 残留を考慮した場合 2.3 2.1 2.0 0.7 0.3 0.0 -0.3 0.2 -0.1 -0.3 -0.6 -1.0 エンタリング距離 1.4 1.4 1.4 1.1 0.8 -1.7 ⻄ 砂⽥橋 北 東 末盛通2 クリアランス距離 0.2 -0.8 -2.0 南 -0.1 南 太閤通 北 ⻄ ⻄⼤須 北 南 -1.3 ⻄ ⻄⼤須 -1.6 東 熱⽥神宮南 3 流⼊部※ごとの全⾚時間 -0.5 ※交差側直進⾞の流⼊部 熱⽥神宮南 • 残留の影響を考慮することで,さらに1 秒程度短くできる • ⾛⾏軌跡の変動,全⾚時間変更に伴う挙動変化(停⽌線通過タ イミングの変化)は考慮されていない 46 名古屋⼤学⼤学院 中村英樹研究室 http://www.genv.nagoya-u.ac.jp/ge1/nakamura/index.html • ⾛⾏軌跡の変動による全⾚時間への影響評価 30 中央分離帯の開始位置 エンタリング⾞両の⾛⾏軌跡 20 車線幅員3.0 m 10 クリアランス⾞両の⾛⾏軌跡 Y[m ] 隅角部半径 10m 0 -10 10 中央分離帯の開始位置 -10 5%ile 50%ile 95%ile 20 25.1 26.3 27.9 30 25.5 27.0 28.8 40 26.0 27.6 29.8 進⼊速度 [km/h] 5%ile 50%ile 95%ile 20 19.8 16.8 13.2 30 18.7 15.3 11.1 40 17.6 13.8 9.00 進⼊速度 [k /h] [km/h] -20 0 10 X [m ] 20 30 40 クリアランス距離Sc [m] 進⼊速度 [km/h] エンタリング距離Se [m] 右折時の最⼩速度Vmin [[km/h]] 5%ile 50%ile 95%ile 20 15.0 20.5 26.1 30 18.8 24.3 29.9 40 22.6 28.1 33.7 • ⾛⾏軌跡の変動による影響はクリアランス距離よりも エンタリング距離で⼤きい 47 • 全⾚時間の計算結果 クリアランス 時間 Tc [秒] エンタリング 時間 Te [秒] 5% e 5%ile 95% e 95%ile 5% e 5%ile 95% e 95%ile 20 4.46 4.96 4.45 30 3.38 3.82 4.32 40 2.75 3.15 4.19 進⼊速度 [km/h] 全⾚時間 AR [秒] 計算条件 5% e 5%ile 95% e 95%ile 差分 3.63 0.01 1.33 1.32 3.33 -0.94 0.49 1.43 2.99 -1.44 0.16 1.60 • クリアランス速度は進⼊速度 と最⼩速度(50%ile)の平均値 • エンタリング⾞両は発進加速 度2.0m/s2で等加速度発進 • エンタリング時間に⽐べクリアランス時間の変化が⼤きい – ⾛⾏軌跡のばらつきにより全⾚時間に1.3〜1.6秒程度の差が⽣じる • 右折後に内側の⾞線に進⼊すると仮定しているが,進⼊速度が⾼い場合に は⾞線の選択特性が異なると考えられる • クリアランス⾞両の停⽌線通過タイミング,発進タイミング を考慮していない – 時間的・空間的な変化を同時に考慮するにはシミュレーションが必要 48 名古屋⼤学⼤学院 中村英樹研究室 http://www.genv.nagoya-u.ac.jp/ge1/nakamura/index.html
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