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英和コンサルティング(株)
英和税理⼠法⼈
東京都品川区大崎4丁目1番2号
ウィン第2五反田ビル7F
PHONE: (03)3491-3811 http://www.eiwa-gr.jp/
NEWS RELEASE NEWS RELEASE NEWS RELEASE NEWS RELEASE NEWS RELEASE NEWS RELEASE NEWS RELEASE
2015年基準地価発表! 見えた地価の底入れ ?
下げ幅、リーマンショック後最小に!
上昇目立つ、地方中核都市
大都市圏商業地は過熱の兆し?
●基準地価は中間発表?
基準地価とは?
■都道府県が不動産鑑定士の評価をまとめた
7月1日時点の地価。国交省が9月に公表。
■公的機関が公表する地価指標は他に「公示
地価」「路線価」があるが、いずれも1月1日時
点であり、調査時点が7月1日である基準地価
は、年半ばの動向が把握できる。
<公的機関公表の主な地価の指標>
!
爆買い ?
げ
上
爆
国土交通省が先月発表した今年の基準地価
では、地方中核都市が高い伸びを見せ、地価
回復のすそ野が一段と広がっています。全国
平均では依然、下落しているものの、各地で
地価が底入れしつつあるようです。
今年の基準地価は?
●下げ幅はリーマン後の最小!
全国平均では住宅地が前年比▲1.0%、商
業地が同▲0.5%となりましたが、下落率は
いずれも6年連続で縮小。全国の全用途平均
で前年比▲0.9%で、リーマンショック前の
07年以来となるマイナス幅に縮小しました。
名称
基準地価
公示地価
路線価
調査
都道府県
国土交通省
国税庁
公表
国土交通省
調査時点 毎年7月1日 毎年1月1日 毎年1月1日
調査地点 約2万1,700 約2万3,400 約33万4,000
公表時期
毎年9月
毎年3月
毎年7月
相続・贈与税
活用法
土地取引の指標
の算定基準
対象の 地 方 の 調 査 主に都市
主要道路に
地点が多い
計画区域内 面した土地
特徴
●連続上昇でも住宅地に減速感?
3 大 都 市 圏 の 商 業 地 は 2.3% の 上 昇(前 年
1.7%)です。業績がよい企業が広い事務所に
移るなど、都心部ではオフィスが不足しはじ
めています。一方、住宅地は0.4%伸びました
が、伸び幅は前年より縮小傾向です。都心部
の高級マンションは飛ぶように売れています
が、郊外では「割高感が出ている」といい、
売れ行きが鈍っているようです。
出典:毎日新聞
<基準地価の変動率>
住宅地
前年比%
商業地
<基準地価変動率の推移>
は前年
全用途平均
全 国 平 均 ▲1.0 ▲1.2 ▲0.5 ▲1.1 ▲0.9 ▲1.2
0.4 0.5 2.3 1.7 0.9 0.8
0.5 0.6 2.3 1.9 1.0 0.9
0.0 0.1 2.5 1.5 0.6 0.4
名古屋圏
0.7 0.9 2.2 1.5 1.1 1.0
地 方 圏 ▲1.5 ▲1.8 ▲1.6 ▲2.2 ▲1.5 ▲1.9
三大都市圏
東 京 圏
大 阪 圏
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NEWS RELEASE 2015.10
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●全国全用途で上昇地点22.6%
全用途(林地を除く)の合計は上昇が4,701
地 点(前 年 4,405 地 点)で 全 体 の 22.6%、横
ばいが3,513地点(同3,060地点)で16.9%、
下 落 が 12,586 地 点(同 13,334 地 点)で
60.5%でした。依然として6割超の地点で下
落 で す が、3 大 都 市 圏 に 限 れ ば 上 昇 が
51.0%、下落は22.4%にとどまっています。
<全用途の上昇・横ばい・下落地点数>
全 国
単位:地点
調査年
上昇
横ばい
下落
2015年
4,701
(22.6%)
2,925
(14.2%)
88
(0.4%)
2,937
(51.0%)
2,093
(36.9%)
67
(1.1%)
3,513
(16.9%)
2,660
(12.9%)
863
(4.0%)
1,529
(26.6%)
1,552
(27.4%)
558
(9.3%)
12,586
(60.5%)
15,081
(73.0%)
20,564
(95.6%)
1,292
(22.4%)
2,028
(35.7%)
5,366
(89.6%)
2013年
2011年
2015年
3大都市圏 2013年
2011年
●都道府県別に見ると?
昨年はすべての都道府県で住宅地、
商業地ともに下落率が縮小、上昇率が
拡大や下落から上昇へ転じていたのに比べる
と、若干回復の勢いが鈍化。昨年の消費税引
き上げの影響があるのかもしれません。
<住宅地>宮城県、東京都、神奈川県、愛知県が
3年連続の上昇、福島県と沖縄県が2年連続の上
昇。大阪府が2年連続の横ばい、千葉県が下落か
ら横ばいに転じています。
<商業地>宮城県、東京都、神奈川県、愛知県、
大阪府が3年連続の上昇。埼玉県、千葉県、滋賀
県、京都府、沖縄県が2年連続の上昇。石川県は下
落から横ばいに転じています。
基準地価それぞれ事情
●3大都市圏は訪日客効果!
<東京圏> 商業地、4分の3地点で上昇!
商業地の上昇が続く東京23区は4.0%のアッ
プ。港区ではブランド店が集まる表参道周辺が
20.2%でトップ、外国人観光客の集客が堅調な
銀座がある中央区、渋谷駅周辺の再開発が進む渋
谷区も高い伸び。住宅地の伸びは前年比縮小なが
ら、需要が堅調な23区はすべての区で上昇。
基準地価の最高地点は10年連続で東京都中
央区の銀座2丁目「明治屋銀座ビル」。価格は
2,640万円/㎡で前年よりも16.8%アップ。
<名古屋圏> 土地需要が引き続き旺盛!
名古屋市は商業地4.7%、住宅地1.9%の上昇
で、伸びが目立つのは名古屋駅周辺。今秋以降
「大名古屋ビルヂング」や「JPタワー名古屋」、2017年
NEWS RELEASE 2015.10
には「JRゲートタワー」が開業予定。住宅地は交通の便
のよい新興住宅地が人気を集める。
商業地の上昇率全国トップは名古屋
駅桜通口前で45.7%の上昇。人の流れ
が駅前に集中する中で、高い集客力を期待する
外食や小売店などからの引き合いが強いとか。
<大阪圏> 商業地、3大都市圏で最大アップ
商業地の上昇は、都心で外国人観光客が急増
して店舗の需要が旺盛なほか、マンション用地
としても利用されたため。一方、住宅地は3大
都市圏で唯一上昇せずに横ばい。人口減少を背
景に鉄道駅から遠い郊外の地価が下落した。
大阪では最高地点のあるキタ(梅田)よりもミ
ナミ(難波・心斎橋)の上昇率の高さが目立ちま
す。関西の地価最高地点は大阪駅北口のグラン
フロント大阪(1,100万円/㎡)。割安感からか
上昇率は東京よりも高い地点が多いとか。
●地方中枢都市の伸び目立つ!
<地方圏> 札幌・仙台・広島・福岡でプラス!
商業地の伸びが5%に迫る中核都市も出現。
札幌は外国人観光客らの利用でホテル稼働率が
高く、駅周辺のオフィス需要も堅調。仙台は地
下鉄東西線の開業を控え、沿線で住宅需要が大
きい。北陸新幹線効果が目立つのは金沢。
<地方中核都市の変動率>
札
仙
広
福
幌
台
島
岡
市
市
市
市
住宅地
1.4 0.7
3.6 4.2
0.0 ▲0.8
2.1 1.8
商業
2.6
4.9
2.7
4.8
前年比%
は前年
地
全用途平均
0.8
1.7
4.0
4.1
4.1
1.3
▲
0.2
0.7
3.4
2.3
3.0
1.0
●上昇地点の個別事情とは?
上昇要因
所在地
地価と上昇率
◆大型施設・都市開発等の進展
虎ノ門周辺の再開発 東京都港区虎ノ門 9,200,000円/㎡
地下鉄日比谷線新駅
17.6%
(商業地)
北陸新幹線開業に
395,000円/㎡
金沢市金沢駅
伴う駅周辺整備
25.4%
(商業地)
商業地上昇全国1位 名古屋市中村区
3,030,000円/㎡
再開発・リニア期待 名古屋駅(商業地)
45.7%
博多駅周辺の再開発
1,550,000円/㎡
福岡市博多区
地下鉄延伸期待
19.2%
(商業地)
◆高度商業地における堅調な店舗需要等
11,600,000円/㎡
ファッションブランドのテナント
東京都港区
20.2%
集積で賃料もアップ 表参道(商業地)
4,150,000円/㎡
外国人観光客や国内
大阪市中央区
29.7%
外の来街者増加
心斎橋(商業地)
2,080,000円/㎡
中心商業地での
広島市中区
15.6%
大型店舗の集積
(工業地)
◆大規模物流施設の立地需要等
東京外かく環状道路
千葉県船橋市
整備で物流施設需要 二俣新町(工業地)
92,000円/㎡
24.3%
近くの林地は40%アップ!
◆観光・リゾート需要等
ニセコ町リゾートの
14,300円/㎡
北海道俱知安町
外国人の別荘需要
3.6%
(住宅地)
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今後どうなる地価動向
●2つの新幹線が地価上げ!
今年の基準地価で地方の伸びをけん引した
のが新幹線効果です。名古屋では2027年の
リニア新幹線開業を当て込んで地価が上昇、
今年3月の北陸新幹線開業では金沢市の地価が
アップ。住宅地の上昇率全国1位はJR金沢駅
から徒歩5分の金沢市本町地区で16.8%に。
●補助金で住宅政策?
富山市でも商業地が2年連続で上
昇、住宅地も横ばいに転じています。金沢市や
富山市が補助金などで市中心部への居住を促す
政策をとってきた効果が出ているようです。
< コ ン パ ク ト シ テ ィ で 地 価 上 昇?>
富山市は2003年から本格的にコンパクトシ
ティ(市街地活性)への取り組みを始め、市街
地整備を進めおり、OECD本部のコンパクトシ
テ ィ 戦略 の世 界 5都 市に 選 ばれ てい る。一 方
で、市の財政面からの問題点を心配する声も。
●地価二極分化、地方で格差拡大!
新幹線や再開発などのイベントが見込めない
地域では地価は依然低迷。かねてから指摘され
てきた地価の「二極化」は、都市と地方の格差
から、地方圏内での格差に発展。安倍政権の掲
げる「地方再生」の一段の推進が不可欠です。
●爆買いで爆上げ状態?
都心部の商業地の地価押し上げに寄
与したのは訪日外国人の増加です。
2015年1~8月の訪日外国人旅行者は過去最
高のペースで推移。爆買いや観光需要の急増が
都心部地価の上昇を加速させています。
<加熱する銀座争奪戦> 今年4月に銀座初出店
の家具チェーン最大手ニトリ以外にも、一等地を目
指し多くの企業が出店を予定。国内カバン最大
手サックスバーホールディングス傘下の東京デリカが銀座ニューメ
ルサに旗艦店、仏モンクレールも国内2店舗目の旗艦店。
銀座6丁目の新商業ビルには伊ヴェルサーチが。
銀座周辺の月島や勝どきに林立した高層マン
ションの住民層も定着し、多様な消費の盛り上
がりを受けて賃料も上昇傾向。不動産1階部分
の賃料は1年前に比べ3割以上高いとか。
●「ミニバブル」との見方も!
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訪日外国人の急増や緩和マネーの流入による
地価上昇は、実需によらない「ミニバブルでは
ないか」との見方も根強いようです。
<マンションバブル、専門家の見方は?>
「前回のミニバブルは2005年頃の海外ファンドマネー流入
で始まり、08年9月のリーマン・ショックで弾けた。今回
のマンションバブルは長くて18年の黒田日銀総裁任期
満了まで続くが、早ければ消費税10%への増税
時、きっかけあれば今年中にも」との声も。
過去の例で分かるように、地価は上昇への
期待感から大きく振れやすいので要注意です。
●日本の不動産まで爆買い?
中国人旅行者が2月の春節(旧正月)
に大挙して訪日した際の爆買いが話題になり
ましたが、中国人富裕層による日本の不動産
の爆買いも知らないうちに加速しています。
<都内物件を買いあさり> ある中国政府関
係者からの話は「高級ホテルのザ・リッツ・カールトン東京の
一室を購入したい」というもの。断られると、予
算97億円で「港区でタワーマンションを建てたい」とか。
都内のある大型タワーマンション業者は円滑な管理を
考えて、外国人への販売は3割までと自主規制し
たが、結果的には中国人への販売が半数超に。
爆買いの弊害で最も懸念されるのは市況の
悪化です。価格ピーク前の売り抜けを目論む
投資家に対し、それに応える需要層がなけれ
ば、値崩れが起きて市場が混乱する恐れも。
一方、中国人投資家の増加で「これまでのビ
ジネス慣習が崩壊しかねない」と不安の声も。
●中国経済の動向も影響?
7月の上海株式市場の株価急落、続
いて中国政府が人民元の大幅利下げを断行。中
国経済の変調も国内の地価動向を読みにくくし
ています。訪日需要に与える影響について、田
村観光庁長官は先月の会見で「現在のところ、
マイナス影響は出てない」と。当面は中国経済
も地価を左右する大きな要因のようです。
●日本の不動産は買い?
今年7~9月の国内不動産の投資額は
前年比3割増しで、2008年以来の1兆円超。
円安で割安感もあり、安定した収益が見込める
と日本の不動産に対する海外投資家の注目度が
高まっています。約100兆円の資産を運用す
る世界最大の政府系ファンド「ノルウェー政府
年金基金」が日本で不動産投資を開始します。
NEWS RELEASE 2015.10