目次 - JICA

JICAパラグアイ事務所便り
2015年7月号
JICA
パラグアイ事務所
事務所便り
No 93
2015年7月号
カンテラ・デ・イパカライ - イパカライ市
目次
【着任挨拶】~JICAパラグアイ事務所新所長~
2
【帰国研修員たちの声】~「高齢者福祉におけるケアシステムと人材育成」帰国研修員達の声~
3
【専門家の活動紹介】~活動の一コマ~
4
【シニアボランティアの声】~○×物語~
5
【新専門家紹介】~原田専門家~
6
【パラグアイ文化紹介】~パラグアイで始まった友情の日~
7
【JICAパラグアイの動き】~2015年7月~
8
JICAパラグアイ事務所便り
2015年7月号
【着任挨拶】
~JICAパラグアイ事務所新所長~
はじめまして、吉田 英之です。4月下旬まで勤務された谷口所長の後任として、2015年5月18日に着任しまし
た。よろしくお願いします。
まず、自己紹介をさせていただきますと、中南米の勤
務歴は、チリ(1998-2001)、ペルー(2008-2011)の2回
あります。直近は、JICA東京(東京幡ヶ谷(京王新線)
にある、海外から日本に研修に来る方々の受入・研修の施
設)に勤務していました。しかしながら、パラグアイに
は、後程述べますチリ勤務時に、出張で1回来ただけでし
たので、これまでの歴史や経緯を含めて、多くの側面から
情報を得ていきたいと思っています。その面で、ご協力を
お願いすることもあるかも知れませんが、許す範囲でご協
力願います。個人としての情報ですが、大阪出身の48歳、
単身赴任(東京に家族(妻と息子2人))での勤務です。
さらに、当地での週末は、ランニング、テニス、ゴルフ
等々をして過ごそうと思っています。
パラグアイへの赴任が決まって、大きく3つ(今後、変わるかもしれませんので、あくまでも「現在」思ってい
ることです。)のこと
●
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●
専門家やボランティア、そして事務所の方々が、安全に、そして元気に仕事をできるような環境を、(従来
にも増して)作っていきたいこと、
皆さんの努力、そして国の予算で実施されている協力が、より多くの日本の、そしてパラグアイの人々に知
られるようにしたいこと(広報の強化)、
農業を中心として発展してきた国ですが、今後の成長のためには、また国内での雇用を確保するためには、
「工業」的な開発を強化することが必要なのではないのかな、を思っています。
また、これに加えて、当地におけるJICAの活動は、1956年に日本海外移住振興株式会社(JICAの前身)が海外
移住推進の拠点として当地に駐在所を開設したということであり、このことからわかるとおり、移住者の方々と
の関係は重要ですので、従来の「支援」から「協力」への流れを意識しつつおつきあいを継続していきたいと
思っています。
雑駁になりましたが、皆さんの知見やご意見もお伺いしながら、当地における業務を進めていきたいと思いま
す。また、皆さんの勤務先を可能な限り早めに訪問したいと思っていますので、その際には(それ以前でも、以
後でも随時受け付けます)、ご意見等をいただければ幸いです。
よろしくお願いします。
パラグアイ事務所
所長 吉田 英之
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JICAパラグアイ事務所便り
2015年7月号
【帰国研修員たちの声】
~「高齢者福祉におけるケアシステムと人材育成」帰国研修員達の声~
日系社会高齢者福祉事業推進委員会
日本人会連合会
2007年から今日まで、JICAは日系研修制度を通じ、日系移住地で福祉に取り組んでいる方を中心に、計21名の研
修員を日本へ派遣しています。研修員達は、石川県立看護大学及び石川県羽咋市社会福祉協議会において、様々
な研修を受け、自国に戻り、その成果を普及しています。
ナウパイ(浜頭)ジェニーさん
ナウパイさん(写真右)
アスンシオン(高齢者向け「デイサービスさくら」のボランティ
ア)
石川県での研修に参加してからは、とても変わったと仲間のボラン
ティアが口々に言います。デイサービスさくらでは、プログラムの
提案や利用者への接し方について、自信を持って積極的に提案する
ようになりました。研修で得たアイディアでレクレーションを実施
しました。また、今後は、デイサービスへ多くの高齢者に参加して
いただく呼びかけとして、絵手紙を送る企画をしています。
「パラグアイでは、高齢者介護はまだこれから。研修で学んだこと
を、しっかり伝えたい。」と語り、今後の福祉活動に対する熱意を
感じました。
西山さん(写真右)
西山由紀美さん
イグアス(高齢者向け「デイサービスなのはな」のボランティア)
義理のお父様を介護した経験がある西山さん。研修では、介護者の集
まりである「らくだの会」で、家族の介護を経験した人が、現在、介護
で大変な思いをしている人の悩みを聞いたり、アドバイスをして助け
合ったりしているのが印象的で、パラグアイの日系社会でも必要なこと
だと感じたそうです。地元の研修会では、家族介護者に関する報告をし
てくれました。
今後、日本での研修に参加してみたい人に対して、「不安も大きかったが、1ヶ月間だし、参加してみればどうに
かなるもの。学んだことはたくさんあり、自分を試すいい機会にもなった。不安に思っている人でも、勇気を持っ
て、ぜひ多くの人が参加してほしい。」と話していました。
また、今年も以下2名の研修参加が決まりました!
彼女たちは7月3日にパラグアイを出パラグアイへの日
本人の入植は1936年に始まり2016年には移住80周年の
節目を迎える。こうした中パラグアイ日系人社会で
は、高齢化が進行しているところであるが、国や地方
自治体による福祉政策は十分ではなく、高齢化社会に
対する取り組みは日系人社会自ら対応していかなくて
はならないのが現状である。
発し、約1カ月間石川県立看護大学及び石川県羽咋市
社会福祉協議会において研修を受けます。帰国後の活
躍が楽しみです!
水口さん(写真左)
熊野さん(写真左)
パラグアイへの日本人の入植は1936年に始まり2016年には移住80周年の節目を迎えるなか、パラグアイ日系人社
会では、高齢化が進行していますが、国や地方自治体による福祉政策は十分ではなく、高齢化社会に対する取り組
みは日系人社会自ら対応していかなくてはならないのが現状です。JICAのこのような研修は日系社会にとって大変
重要であり、今後もぜひご支援いただきたいと思います。
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JICAパラグアイ事務所便り
2015年7月号
【専門家の活動紹介】
~活動の一コマ~
山下
正輝
イグアス湖流域総合管理体制強化プロジェクト
私が活動している本プロジェクトは、「①国・県・市の各レベルにおいて、流域管理のビジョン及び方針が策定され
る。」「②ANDE所有地の管理方針が策定される」「③イグアス湖流域管理のための大農モデルが構築される。」「④イグ
アス湖流域管理のための小農モデルが構築される。」を成果とすることで、「イグアス湖流域管理体制が強化される。」
ことを目標に2013年8月から4年の期間で国家電力公社(ANDE)をカウンターパートに実施しております。
ANDEが所有する人工の湖であるイグアス湖流域は、カアグアス
県、アルトパラナ県の2県にまたがり、20市以上が含まれていま
す。このうち当プロジェクトは、イグアス湖に隣接する9市と湖
からANDEが所有するアカラウ水力発電所に通じる河川を有してい
る1市の計10市を活動地域にしています。
小規模農家への研修風景(2014年6月)
私が着任してから、1年10カ月の間に、3か所、0.3haの試験植
林、1年半にわたる小農グループへの研修、3か所、3.2haの試
験造林、2度の市役所職員に対する研修、3市役所の職員に立案
させたパイロットプロジェクトの実施、等を行いました。この
結果、約5haの植林と15人の農民、17人の市役所職員の能力強
化を行いました。微々たる成果ではありますが、これらによ
り、ANDEと市役所、地域住民の間で、湖の保全に関する認識の
大規模農家向け試験造林の風景(2014年9月)
共有が亀の歩みではありますが進んでいます。
技術プロジェクトを担当する専門家は目標を達成するために、様々な能力が求められます。私が意識しているのは:
①は、可能な限り予定通りに物事を進めるため、予測・準備し、必要な対策・対
①先を見通す力
応を施すことです。
②は、相手の考えを尊重しつつ、目標に向けて必要な情報を提供し、能力を強化
することです。時には、日本人では半ば常識である「集合時間を守る」、「公務
②相手を指導
する力
③面会する力
出張中に出張内容を自分のフェイスブックに掲載しない」というようなレベルも
含めて指導しています。
③は、相手の思い、考えを理解するには、面と面で話すのが最も短時間でお互い
の考えが共有できると認識しているからです。
近年のグローバル化・情報化により多くのパラグアイ人はスマートフォン等で多くの情報を短時間で入手できるよう
になりました。しかし、物の入手の便利さは都市と地方で大きな開きがあります。また、省庁、県庁と市役所、地域住
民との交流は必ずしも活発とは言えません。これらを改善するために、ANDEとイグアス湖及びANDE所有地に隣接する土
地所有者の双方に利益のある手法を模索しています。私はそれに必要なデータを集めるということ、人材を確保・育成
するということに任期の大半を費やしました。今月末に帰任しますが、本プロジェクトの目標が達成されることを祈念
しております。
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JICAパラグアイ事務所便り
2015年7月号
【シニアボランティアの声】
~○×物語~
浅海奈津美
日系社会シニアボランティア
突然ですが、○と×は何を表しているのでしょうか。例えば日本語の本の中で、似たようなイラストが2つ並
び、片方のイラストの上の方に大きく○印、もう一方には×印が描かれていたならば、日本人なら疑いもせず、
○印のイラストに示されている内容が「良い」もしくは「正解」、×は反対に「悪い」または「誤り」を示して
いると解釈します。
それがスペイン語、少なくともパラグアイでは通じないぞということに気づいたのは、私も編集作業に加わっ
た「高齢者介護テキスト お世話の手引き」のスペイン語翻訳版作成作業中のことでした。
以前この欄で紹介した日本語版の介護テキストは、日系社会に向けて作られた在宅介護の手引書です。昨年の発
行以来寄せられた、実際に役立ったという反響には、作成に関わった一員として嬉しかったのですが、日本語文を
読むのは苦手…という日系二世三世や非日系の方々の、スペイン語版を望む声も強く聞こえてきました。
中央奥:二人の翻訳者、右端:私
とはいえ、200頁を超える本の翻訳は簡単ではありません。介
護や医療特有の表現、専門用語もあります。そのうちしなく
ちゃねえ、という雰囲気だったところに、翻訳料をシニアボラ
ンティアの活動支援費用として支給可のお知らせが。このJICA
パラグアイ事務所の後押しを得て勢いづいた日系社会では、熱
意ある翻訳者に加え、パラグアイのペンクラブにも所属の文筆
のプロといってもよい方がボランティアとして監修担当の名乗
りを上げ、猛スピードで作業が進み始めました。
メールを介しての翻訳、加筆修正作業が進んだところで、こ
の二人の翻訳者と、編集担当者である私のカウンターパートと
私との4名で、内容や表現の総見直しに入ったのが今年の1月。
そこから週1度この4人による「翻訳会議」が始まりました。
スペイン語版介護テキスト完成!
海外文学の著名な翻訳者が「翻訳とは創造的作業」と言っ
ていたのが思い出されます。冒頭に挙げた○×の話にとどま
らず、例えば日本語版の”入浴を嫌がる認知症の方には家族
が「一緒に入りましょう」「背中を流しましょう」と誘って
みては”というくだり、そもそもこういう場面(一緒に、浴
槽に、入る)が一般のパラグアイ社会では稀有、従って直訳
は意味をなさないということに。ではどうするか。飲み込む
力が弱くても食べやすい「あんかけ」「茶わん蒸し」「温泉
たまご」、反対に食べにくい食品の代表として日本語版に記
した「せんべい」、喉を詰まらせやすい「のり、もち」は、
日系社会内では通じても外では無理。足腰が弱った方の椅子
からの立ち上がりを助ける上体の動かし方の説明文「おじぎ
をするように」…これも直訳でどこまで動作イメージが伝わ
るか??
日本語版作成時には気づかなかった表現の曖昧さが翻訳者の誤解をまねき、全く逆の意味に訳されているのに気
づいてあわてることも。私の役割は、このような直訳では済まない内容について、どのようなポイントを大事に意
訳すべきかを翻訳者に整理して伝え、4人で知恵をしぼって最適の表現を探ることでした。
というような過程を経て2015年7月に堂々完成 Manual para el Cuidado de Adultos Mayores ―Para la
Rápida Atención dentro del Hogar― ○×問題の答えは本で直接お確かめください。パラグアイや広くスペイン
語圏で介護の手引書を必要としている方々に本書が届くよう願いつつ二年間の活動を締めくくれることを、所属先
である日本人会連合会および全日系社会の皆様、JICAパラグアイ事務所に感謝いたします。
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JICAパラグアイ事務所便り
2015年7月号
【新専門家紹介】
~原田専門家~
2014年5月、プロジェクト専門家が1名着任しました。
氏名:原田
千晶
活動内容:参加型開発/カアサパ県
プロジェクト名:イタプア県・カアサパ県におけるテルとリアル・アプローチ実施体制強化のための農村開発プ
ロジェクト
原田専門家より一言:
2008年9月から2年間、JOCV・村落開発普及員(現コミュニティー開発)として、パラグアリ県サプカイ市で観
光開発をメーンに活動しました。その後、2011年には、パラグアイ国で「地域資源を有効活用し持続的かつ継続
的な開発により多くのEGAOを生む」をビジョンに掲げ、地域開発をメーンに活動するNGOを立ち上げ活動してい
ました。
今回、大好きなパラグアイで今まで取り組んできた活動と類似するプロジェクトに関わることができ、大変うれ
しく思っております。プロジェクトで求められる成果を十二分に発揮できるよう、持ち前のガッツと持久力をもっ
て精一杯頑張りたいと思います。また私生活においても充実したひと時を過ごせるよう、パラグアイの方との交流
を深めたいと思います。
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JICAパラグアイ事務所便り
2015年7月号
【パラグアイ文化紹介】
~パラグアイで始まった友情の日~
Feliz dia del Amigo!!(友情の日おめでとう!!)。7月30日は国際友情の日です。
友好的なパラグアイ人にとって、特別な日であり、友達の間でプレゼントの交換、食事会などを
行ってこの日を祝います。
実は友情の日の由来はパラグアイの歴史にあります。1956年、パラグアイのプエルトピナスコ
(チャコ地域)で医師を務めていたドクター・アルテミオ・ブラチョ氏は友情の日が国連によって認
められ、全世界でお祝いされることを目的として「友情の日のための運動」を7月30日始めました。
この時期からパラグアイでは7月30日を友情の日として祝うようになりましたが、パラグアイ国内の
記念日として祝っていました。また、南米の他国でも友情の日は記念されていたが、各国で記念する
日は違っていました。
その後、アルテミオ氏は「友情の日のための運動」を通
じて、7月30日を「世界友情の日」として認められること
を国連に呼びかけ続けながら、毎年7月30日に様々なチャ
リティー活動を実施していました。そして、2011年に
「友情の日」は国連によって認められ、7月30日は全世界
で友情の日が記念されるようになりました。
パラグアイで始まった友情の日、7月30日には日本とパラグアイの友好関係がますます深まること
を願って「FELIZ DIA AMIGO!!(友よ、おめでとう!!)」の声を日本に届けたいと思います。
~アイデオロギー、宗教、人種の違
いを乗り越えて人々をつなげる感情
は友情である~
アルテミオ・ブラチョ氏
1924年10月8日~
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JICAパラグアイ事務所便り
2015年7月号
【JICAパラグアイの動き】
~2015年7月~
7/6
小規模ゴマ栽培農家支援の為の優良種子生産強化プロジェクト・フェーズII
戦略協定会議
7/8
新隊員着任
27年度1次隊着任(JOCV:9名、SV:2名、NJV:2名、NSV:2名)
(当国休日)
ローマ法王パラグアイ訪問(今年に限る)
7月10日~12日にかけて、ローマ法王がパラグアイを訪問します。
7/10-12 南米(アルゼンチン)でもある法王は南米の中でも人気が高く、同期間中はおよそ
150万人の観光客が訪れると予想されています。パラグアイの他にもエクアドル/キ
ト(2015/7/6~7/8)、ボリビア(2015/7/8~7/10)を訪問する予定で、今回パラ
グアイは27年ぶりの訪問となります。
7/13
イグアス湖流域管理体制強化プロジェクト
新専門家到着(1名)
7/14
イタプア県・カアサパ県におけるTA実施体制強化のための農村開発プロジェクト
新専門家到着(2名)
7/20
イグアス湖流域管理体制強化プロジェクト
新専門家到着(1名)
7/20
(事務所休日)
海の日
7/21
プライマリーヘルスケア体制強化プロジェクト
国内シンポジウム開催
7/24
安全対策連絡協議会
7/24
ボランティア活動報告会
8
JICAパラグアイ事務所便り
2015年7月号
Oficina de la JICA Paraguay
Edificio CITIBANK CENTER Piso 5
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FAX
+595-21-608406/7
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