熊本大学学術リポジトリ Kumamoto University Repository System Title 腰部脊柱管狭窄症の変性・肥厚した腰椎黄色靭帯におけ るアンジオポエチン様因子2の発現および作用機序の解析 Author(s) 中村, 孝幸 Citation Issue date 2015-03-25 Type Thesis or Dissertation URL http://hdl.handle.net/2298/32246 Right 中村孝幸氏の学位論文審査の要旨 論文題目 腰部脊柱管狭窄症の変性・肥厚した腰椎黄色靭帯におけるアンジオボエチン様因子 2の発 現および作用機序の解析 ( T h er o l eo fa n g i o p o i e t i n l i k ep r o t e i n2i nt h ed e g e n e r a t i o nandh y p e r t r o p h yo flumbar ligamentumflavumi nlumbars p i n a lc a n a ls t e n o s i s ) 腰部脊柱狭窄症 (LSCS)は腰椎の退行変性の結果、脊柱管が狭小化し腰痛や下肢のしびれ L F )の肥厚が挙げら および歩行障害を呈する疾患である。その病因の一つに腰椎黄色靭帯 ( れ、その現象に加齢性の変化に加えメカニカルストレスが寄与すると考えられている。靭 帯内の慢性炎症や TGF・ s1による組織線維化がおこるとされるが、そのメカニズムは十分 n g i o p o i e t i nl i k ep r o t e i n2( A n g p t l 2 )が慢性炎症や組織リモ に解明されていなし迫。近年、 a デリングに深く関与し、 TGF・ s1の発現を制御することが明らかとなった。本研究では申 請者は Angptl2が LF肥厚のメカニズムにどのように関与しているかを明らかにした。 LSCSで腰椎手術を施行した患者から採取した LF組織を LSCS群とし、 LFの肥厚を認 めない患者からの LFを non-LSCS群とした。 LFの Angpt12mRNAの発現を PCR法で、 タンパクの発現を ELISA法および、免疫組織化学的手法で解析した。 LFより線維芽細胞を 単離し、培養細胞伸展装置を用いて伸展刺激を加え Angptl2の発現が誘導されるかを検討 した。 LF組織の TGF・ s1の発現と Angptl2mRNAの発現との相関も検討した。また、 Angpt12を添加し単離した線維芽細胞での TGF-s1/Smadシグナル変化を解析した。 解析の結果、肥厚した LSCS 群の LF において Angptl2 は mRNA、タンパクとも non-LSCS群に比べ高発現しており、その厚さと正の相関関係を認めた。免疫組織化学的 検討では LF内では主に線維芽細胞がこれを産生していた。線維芽細胞に伸展刺激を加え ると Angptl2の発現は mRNA、タンパクともに上昇した。 LF組織において Angptl2と TGF・ s1 の mRNA の発現との聞にも正の相関関係を認め、単離した線維芽細胞に Angptl2を添加すると TGF-β1mRNA、タンパクともに発現が有意に上昇し、 Smad3の リン酸化も充進した。以上より、 Angptl2は LF組織ではメカニカルストレスにより発現 が誘導され、 TGF-s1、Smadシグナルを活性化させることで LFの線維化および変性・ 肥厚に関与している可能性が示された。 . エラスチンと 審査で、 は、1. LF の退行変性のメカニズムとプライマリーマーカ一、 2 Smad3との関連、 3 . 疾患コントロールの内訳、 4 .長期細胞培養系でのエラスティックファ イパーの増減、 5 .メカニカルストレスから各種シグナルが誘導されるフロセス、 6 .加齢と LSCSとの関連、 7.LSCSの頻度の性差、職業差、 8 .LSCSにおける LFと椎間板の変化の 異同、 9 .Angptl2を介した治療の展望、 1 0 . 黄色靭帯骨化症と LSCSの病態メカニズムの 異同などについて質問されたが申請者からは概ね良好な解答が得られた。 本研究は L F組織内においてメカニカルストレスや老化により誘導される A n g p t 1 2が組織 線維化のメカニズムに関与している可能性を示した重要な知見であり、学位に相当するも I のとして評価された。 1 レ 1- I /ア ヘ / フ ; : : t , , 1 ~, ナ/ロ 審査委員長 神経内科学担当教授/十 万 什 レ エ づぷはー ~"1. /¥¥¥U デヅ/、,--- l' T
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