虚血性脳卒中の発症率は

CVD O ver View
頭蓋内動脈狭窄症患者における
血圧低下は脳卒中リスクを低下する
頭蓋内動脈狭窄患者における脳卒中再発率と血圧の関係
Turan TN et al : Circulation 115 : 2969-2975, 2007
目的
頭蓋内動脈狭窄症患者の低灌流を防ぐため,臨床現場では血圧を高めに維持することを
容認している場合が多い.そのため,頭蓋内動脈 狭窄症患者における血圧レベルと脳卒
中の再発リスクを検討した.
方法
WASID試験は,90日以内に一過性 脳虚血発作(TIA)または脳梗塞を発症した患者で,
50%∼99%の頭蓋内動脈狭窄症患者を対象に,アスピリン服用群とワルファリンカリウ
ム服用群で虚血性脳卒中再発予防効果を比較した無作為割付試験である.
このデータをもとにした567例を対象に,各血圧レベルごとに虚血性 脳卒中の再発率,
て解析した.
虚血性脳卒中の発症率は,血圧の上昇に伴い増加した.
図1 各血圧レベルにおける虚血性脳卒中の発症率
収縮期血圧
1.0
≦119
120 -139
140 -159
≧160
0.9
0.7
p<0.0001
Log-rank検定
0.6
0.5
0.4
0.3
0.8
0.6
0.5
0.4
0.3
0.2
0.1
0.1
0
1
2
3
追跡期間
4
5(年)
p<0.0001
Log-rank検定
0.7
0.2
0
≦79
80 - 89
≧90
0.9
虚血性脳卒中発症率
虚血性脳卒中発症率
0.8
拡張期血圧
1.0
0
0
1
2
3
追跡期間
発行 : バイエル薬品株式会社
4
5(年)
Cerebro vascular disease
頭蓋内動脈狭窄領域の脳卒中の再発率を比較検討し,重症度および狭窄の位置に基づい
Over View
Relationship Between Blood Pressure and
Stroke Recurrence in Patients With Intracranial
Arterial Stenosis
頭蓋内動脈狭窄症患者に対する血圧低下は脳卒中リスクを低下する
収縮期・拡張期血圧の上昇に伴い,
虚血性脳卒中・動脈狭窄領域の脳卒中リスクは増加した.
図2 平均収縮期・拡張期血圧における虚血性脳卒中および
中等度(<70%)の頭蓋内動脈狭窄領域の脳卒中ハザード比*
収縮期血圧
虚血性脳卒中
動脈狭窄領域の脳卒中
15
Cox比例ハザード回帰
p=0.0138
ハザード比
ハザード比
10
5
p=0.105
2.5
p=0.0046 p=0.0203
p=0.090
p=0.176
p=0.431
0
虚血性脳卒中
動脈狭窄領域の脳卒中
5.0
p=0.011
p=0.532
p=0.596
(n=169)(n=169)
(n=138)(n=138)
(n=23) (n=23)
120−139
140−159
≧160
(mmHg)
0
(n=105)(n=105)
(n=19) (n=19)
80−89
≧90
(mmHg)
*:ハザード比は最低血圧カテゴリー(収縮期血圧≦119,拡張期血圧≦79)と各血圧カテゴリーで比較した.
Detection, Evaluation, and Treatment of High Blood Pressure)のカテゴリー分類
を用いて各血圧レベルごとに解析したところ,虚血性脳卒中のリスクは,血圧の上昇に伴い
増加を示した(図1).
中等度(狭窄率<70%)の頭蓋内動脈狭窄症患者においては,平均収縮期・拡張期血圧の
上 昇 に伴 い ,虚 血 性 脳 卒 中 のリスクおよび 動 脈 狭 窄 領 域 の 脳 卒 中リスクが増 加した
(図2).しかしながら,狭窄率70%以上の高度狭窄例では,拡張 期血圧の上昇のみ虚血
性脳卒中および動脈狭窄領域の脳卒中リスクと関連していた.
結論
頭 蓋 内 動 脈 狭 窄 症 患 者にお いて,虚 血 性 脳 卒 中リスクおよび 動 脈 狭 窄 領 域 の 脳 卒 中
リスクは血圧上昇に伴って増加することが認められた.
これらの結果は,頭蓋内動脈狭窄症患者の治療において広く臨床で行われてきた,低灌流
を防ぐために高めの血圧を維持することへ強く異議を唱える内容であると考えられる.
r View
ve
D
CV O
Turan TN et al : Circulation 115 : 2969-2975, 2007
発行 : バイエル薬品株式会社
Cerebro vascular disease
JNC7
(The Seventh Report of the Joint National Committee on Prevention,
結果
Over View
Cox比例ハザード回帰
拡張期血圧
L. JP. GM. 08. 2011. 0356