I. I. MECA vol.75 掲載案内

I.I.MECA
一般財団法人メンタルケア協会
VOL. 75
アイ . アイ . メカ
(Idea & Information of Mental Care Association)
平成 27 年 5 月 20 日発行
発行責任者 吉 村 博 邦
〒 150-0001 東京都渋谷区神宮前 2-5-8
カーデ青山 201
TEL 03-3405-7270
FAX 03-3405-8580
E-mail:[email protected]
http://www.mental-care.jp/
メンタルケア 精神対話士の役割
講 師 細 田 瑳 一
(自治医科大学名誉教授)
1)健康回復・維持の支援におけるメンタルケア
医療では、緊急の危機回避と生命に関わる、或いは重要臓器・器官の機能廃絶を生ずる病態・
疾患の急性期治療とリハビリテーションによって健康回復を支援し、疾患の慢性期には回復した
健康の維持のため、比較的生じ易い重病の危険因子を除く努力と、良い生活習慣・免疫力の増進
を促す。ここで健康の維持増進については、安定した人間関係に精神神経の統合的機能を用い、
社会生活を円滑に積極的に行なうための知性、理性、精神、感性、意識の統合的精神活動を表出
し、行動に具現する能力を維持し、抽象的概念を表現し、その概念が相手、或いは集団に同じく
理解され、それに対する反応や評価、判断を受けなければならない。
そこでこの交流を円滑に行なえるよう促すのがメンタルケアの役割となる。聴き手としての精
神対話士は、クライアントを導いたり教育するのではなく、傾聴し、苦痛、不眠、痛み、苦しさ、
腫れ、しびれ、脱力などのすべてを聴き、現代の都市型社会生活の中では不安やストレスが多く、
海馬、扁桃核などの肥大や、うつ、妄想などが生じ易いので、メンタルケアや精神心理療法を施
して、円満な社会生活を営めるようにする。クライアントが安定した人間関係、信頼関係を維持
して健やかな気分で生活することで健康支援になる。
2)重症疾患のメンタルケア
心筋梗塞・心筋症・心臓弁膜症・重症不整脈などによる心不全・心原性ショック、脳梗塞、脳
出血、中枢神経血流障害など脳神経機能低下による認知症を中心とする人格障害、悪性腫瘍とそ
の転移による全身衰弱、そして近年増加している間質性肺炎、細菌性肺炎、閉塞性肺疾患、気管
支喘息、肺がんなどの肺疾患は、10 年後には全死亡の 50%以上を占めるようになると推計され
ており、医学界あげてこれらの疾患の治療法を研究している。循環器疾患のように再生療法の成
果が見えている領域を除くと、精神心理的障害(うつ、妄想、認知障害など)の影響を含めて生
命予後の改善は困難である。また、これらの生命に関わる疾患の予防には、糖尿病、高血圧、高
脂血症、腎障害などの治療が重要であり、これらの生活改善による二次予防と共に、メンタルケ
アが主要な予後改善、健康支援の社会の行動として認められている。社会の広い立場からのメン
タルケアが十分でなければ安定した信頼関係に基づく健全な社会生活は望めず、例えば経済の停
滞と共に、社会全体の較差や疲弊感、不安感で、その社会の死亡率が高くなる。
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3)都市型社会での健康支援
技術連関が自然の一部を崩して新しい巨大な人工物の環境を造成し、都市型文明社会として人
口密度が急増し、個々の人間関係が希薄で多様で不安定になると、各種のストレスも多く強くな
り、古典的人類愛に基づく倫理が崩壊して、経済性や利便性は思い通りの社会になっても、これ
まで考えられなかった過剰反応、利己的な判断や犯罪的行動が日常的に見られるようになり、家
庭や子供社会でのいじめや DV を生む不安や不信が、慢性にうつ状態、過剰反応と過剰抑制で不
快な日常生活による精神心理的異常が一般的に認められる。そのような精神心理的葛藤を予防し
癒すために、社会全体でメンタルケアが不可欠となっている。
しかしながらこのような状態を理解していない各領域の専門家、例えば専門医は、自分達の領
域の異常病態や疾患探しに徹して、社会生活を円滑にできる健康な人々を病人に仕立てて不安を
あおり、心理状態をそのままにして、病態・疾患を専ら治療しようとして不要の介入や薬物療法
に走り、無駄な医療や精神心理的不安を含めて生命を危うくする専門治療が横行している。
4)適正なメンタルケアに期待する
現代は身体的に健康な人々が技術連関の多様で巨大化する環境のストレスや不信な人間関係に
振り回され、精神心理的に不快で健康を維持できなくなり、仮面家庭や表面問題のない抑うつさ
れた社会生活に悩まされ、200 年前には考えられなかった不健全な社会が出現している。こうし
て現代社会ではあらゆる社会で生活する人々の多くが、専門家、非専門家を問わず適正なメンタ
ルケアを必要としている。特に一般の人々の健康を維持するために専門医や栄養士よりも、種々
の社会の情報交信で精神心理的うつや不安、怒りの過剰情動を予防し解決する精神対話士或いは
情報、媒介者の健やかな信頼できる人間関係を醸成する行動が求められている。
現代の健康、或いは円滑な社会生活のためには、情報が多様に多層に発信・交信されている状
況を整理し、虚構と現実の区別、信頼できる関係を明らかにする能力を身につけるための助言者、
或いは指針が必要であり、その一つが eco-ethica の新しい徳目である。
Eco-ethica の徳目
1. 正義を主張する勇気
2. 誠実に市民社会(地球)を守る忠誠心
3. 人間関係における謙虚、平等の心構え
4. 契約における責任の自覚
5. 国や宗教の nosism を排して、一般社会のすべてが外国人にも親切に接する人類愛
6. 定刻性や国際性の共有、
7. 外国語や機器使用の習得
8. 巧みな気分転換(機知)
9. 困っている人を助ける心
精神対話士の方々も、クライアントの周辺の人間関係や情報を傾聴して、考える判断にはこの
徳目を基準として対処して頂くよう期待する。
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精神対話士による“平成 27 年 3 月自殺対策強化月間「全国対話カフェ」”実施報告
◇クライアントの状況
性別
0%
年代別
性別
10歳代
1%
男
31%
70歳代
13%
80歳代
8%
60歳代
13%
女
69%
50歳代
24%
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20歳代
8%
30歳代
17%
40歳代
19%
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(悩み・苦しさ・寂しさなど)の原因別に人数を作成
複数項目該当も可
対話時間
120以上
1%
相談時間
0%
60分以内
16%
120以内
40%
相談時間
60分以内
80分以内
80分以内
43%
120以内
120以上
情報源
テレビ
ラジオ
新聞
インターネット
受講生
知人の紹介
MCEからの紹介
ポスタ-・チラシ
その他
0
5
10
15
20
25
30
35
40
45
◇クライアントの声より
・今まで相手にされなかったことを真面目に聴いて
もらえよかった。
50代 男性
・いつも自分がなく堂々巡りをしていて、聴いてくれる
人がいなかった。思い切って来てよかった。
50代 女性
・心の整理や将来の不安に対して考える機会が
持てた。
40代 女性
・つらい思い出ばかりで自殺も考えたが、子供が支えに
なりふみとどまった。辛い人生や、現状を話せる人が
今までいなかったが、溜まっていたものを吐き出すこと
ができた。
70代 女性
・忍の一字の人生だと思っていましたが、自分が
変わることで少しは変わるかもしれない。
60代 女性
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・解決できない問題でも、話すだけで気持ちを整理し
楽になれた気がする。
40代 男性
・娘家族に迷惑をかけたくないので施設で一人暮らし
思うに任せないこともあり、誰かに気持ちを聴いてもら
いたかった。
85歳 女性
・誰にも言えないことを聴いてもらってよかった。
30代 女性
・話す相手がいないので、自分の悩みは何なのかどう
表現していいか分からない。思い切って
対話カフェに来てよかった。
20代 男性
・どんな話でも聴いてもらうことで,さまざまな思いや
考えに気づくことが出来きた。
50代 男性
・死後の葬儀の心配を話すことで気持ちが軽くなった。
90代 女性
・悩み相談の場などはあるが、なんでも、楽しいことでも
聴いてくれる場はない、仲間もいて活動もしているが
じっくり本音を聴いてくれる相手となると難しい。
80代 女性
・心より話せる人がいて、よかった。
60代
女性
・話すことで自分の気持ちを確認できた。
70代
女性
◇各会場の風景
秋田会場
北海道会場
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宮城会場−(1)
宮城会場−(2)
宮城会場−(3)
東京会場−(1)
石川会場−(1)
東京会場−(2)
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大阪会場
広島会場
福岡会場−(1)
福岡会場−(2)
福岡会場−(3)
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鹿児島会場
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「連合福井」の取り組み
うつ病患者が増加傾向にある中、日本労働組合総連合会福井県連合会(連合福井)と福井県労
働者福祉協議会が共同し、メンタルケア協会と提携して“私たちが働く職場からはメンタル不調
者を出さない!”を目標に、平成 27 年 4 月 1 日より「心支えるネットワーク事業」を県内の各
職場において開始しました。
メンタルケア・スペシャリストや精神対話士が勤労者に対して心の支援をすることは、「予防」
の効果が大きく、またメンタル不調者を出さないことは、勤労者本人と家族の幸せにつながり、
企業経営にとっても大きなメリットがあります。
全国の連合に先がけての取り組みが期待されています。
福井県
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ご 案 内
”Warm Heart Forever”
第10回 日本精神対話学会
日時:平成27年12月26日(土)、27日(日)
会場:東京大学駒場キャンパス 12号館
後援:一般財団法人 メンタルケア協会
◎ 「 研究論文」募集中!
平成27年9月24日(木)必着
詳細はホームページをご覧ください
日本精神対話学会の目的
なぜ暖かな対話、応対が人の心を癒すのか。
医療などによる治療行為ではなく、心を支える心理職「精神対話士」の活動の
効用について研究し、理論構築を行い、
「精神対話」による社会への貢献を目指す。
一般財団法人メンタルケア協会
1993年(平成5年)9月1日、慶應義塾大学医学部出身の医師たちを中心として設立された
団体。人が人生を全うするための根幹となる「生きがい」を、想わざる出来事や病によって
見失いそうになったとき、その人をよく視、よく聴き、よく話し合うことで支え、
「生きることの尊さ」を共感することができる「メンタルケア・スペシャリスト」養成講座を
開設している。さらに社会に普及させるために、心のケアの専門職「精神対話士」の認定、
派遣を行っている。http://www.mental-care.jp/
詳細・お問合せ:
日本精神対話学会事務局 (一般財団法人メンタルケア協会内)
担当:永井・川本
Tel:03-3405-7270
Fax: 03405-8580
E-mail:
[email protected]
〒150-0001 東京都渋谷区神宮前2-5-8 カーデ青山201
沢山の皆様のご参加を心よりお待ち申しあげます。
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第10回日本精神対話学会プログラム
第一日目 12月26日(土)
第二日目 12月27日(日)
10:00 開会の辞 学会会長 戸田肇先生
10:00
「メンタルケアの歌」斉唱
挨拶 協会会長 吉村博邦先生
オリエンテーション
基調講演
『メンタルケア 精神対話士の意義・役割』
協会講師 細田瑳一先生
(自治医科大学名誉教授)
研究論文審査結果(推奨論文賞)発表
—昼休み—
17:30
推奨論文賞受賞論文発表
ポスターセッション
研究分科会課題発表
懇親会
研究分科会
—昼休み—
研究分科会発表
特別講演
『メンタルケアにおける宗教の役割』
協会講師 中野東禅先生
(曹洞宗老師)
推奨論文賞表彰式
講評 学会会長 戸田肇先生
協会挨拶
15:30 閉会
東京大学駒場キャンパスへのアクセス
東京都目黒区駒場3-8-1
JR 山手線等 渋谷駅より京王井の頭線(吉祥寺方面行)駒場東大前駅下車すぐ
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お知らせ
「精神対話士研修会」を次の要領で開催いたします。奮ってご参加ください!
参加申込みは協会あて、電話、FAX、E-mail でお願いいたします。
TEL:03-3405-7270 FAX:03-3405-8580
大阪会場
日
会
名古屋会場
時 平成 27 年 9 月 19 日(土)
場 エル・おおさか 研修室 2(5F)
時
会
場
平成 27 年 9 月 20 日(日)
名古屋国際会議場 2号館 231室(3F)
交通案内 地下鉄名城線「西高蔵」駅または「日比野」駅
交通案内 地下鉄谷町線・京阪電車「天満橋」駅 徒歩 5 分
札幌会場
会
日
(名古屋市熱田区熱田西町 1 − 1)
(大阪市中央区北浜東 3 − 14)
日
E-mail : [email protected]
徒歩 5 分
広島会場
時 平成 27 年 10 月 3 日(土)
場 北海道大学学術交流会館 第 3 会議室(1F)
(札幌市北区北 8 条西 5 丁目)
交通案内 JR「札幌」駅北口より 徒歩 10 分
日
時
会
場
アステールプラザ 中会議室(4F)
(広島市中区加古町 4 − 17)
交通案内
地下鉄南北線「北 12 条」駅 徒歩 5 分
平成 27 年 10 月 10 日(土)
JR「広島」駅から
〈市内電車〉宇品行(紙屋町経由)
市役所前下車 徒歩 7 分
〈市内バス〉広島バス吉島営業所行
厚生年金会館前下車 徒歩 1 分
仙台会場
日
時
会
場
平成 27 年 10 月 24 日(土)
フォレスト仙台(宮城県教育会館)
第 5 会議室(2F)
(仙台市青葉区柏木 1 − 2 − 45)
交通案内
JR「仙台」駅より地下鉄南北線「北四番丁」駅
徒歩 7 分
○ テーマ 「精神対話士のためのメンタルケア論」
○ 時 間 PM 1:00 〜 4:20
○ 費 用 6,170 円(当日会場受付でお支払いください)
〔各会場共通〕
※各会場の研修会日程は随時ホームページ上の
I.I.MECA に掲載されています。
東京会場、大阪会場は年 2 回、その他会場は
年 1 回開催予定。
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