1-5 1-5 物流の課題と対策

交通の現状
トラック輸送はその利便性の高さから国内の物流におい
1-5 物流の課題と対策
て重要な役割を担っている。しかし近年の環境や渋滞問題
佐藤 康治
の顕在化に伴い、物流の効率化が強く求められている。
広域物流センター整備や共同輸送事業などの諸施策が進
められ、物流効率化は実を結びつつある。 ’
97 年に取りま
とめられた総合物流施策大綱によって、さらなる促進が期
待できる。また物流の情報化についても、事業者の意識の
変化が始まっており、今後進むことが予測される。
表1 各輸送機関は輸送量や時間、機動性等それぞれの特徴を活かして役割分担を行っている。
輸送量
輸送時間
輸送頻度
定時性
ドア・ツー・
ドア性
突発の貨物
への対応力
コスト
輸送距離
船
◎
大量輸送に向く
×
△
○
×
×
◎
安価
中∼長
航空
△
小量輸送
◎
○
○
×
×
△
高価
長
鉄道
○
○
○
○
×
△
○
中∼長
◎
経路は幹線道路
◎
○
短∼長
◎
宅配
◎
○
短∼中
大型トラック
○
○
◎
△
渋滞が弱点
小型トラック
○
小口輸送
○
◎
△
渋滞が弱点
図2 物流の占める割合は道路交通の中でも大きい。
図1 物流では内航海運の比率が高いが、トラック
の分担率の伸張が著しい。
900 (千台km)
(億トンkm)
6,000
0.1
5.0
航空
5,000
4,000 0.0
0.1
5.0
0.1
8.5
鉄道
13.0
2,000
42.7
12.8
12.0
14.6
50.9
16.1
1,000 16.8
0
'75
35.6
31.6
23.6
19.2
'80
'85
39.9
40.9
営業用貨物車
'90
'95 '96 '97 年度
資料:運輸省「自動車輸送統計年報」などより作成
注)グラフ中、斜体表示は%。
走行台km構成比
(1997年度)
400
300
'80
'83
'85
'88
17.316.9
18.7
17.7
宮城
新潟
23.9 22.3
東京
名古屋
大阪
37.0
北海道
香川
38.3
33.6
福岡
沖縄
16.9 18.3
'90 '95
調 調
査 査
注1)物流時間とは貨物が出荷されてから届出地に到着までの全所要
時間(件数ベース)
注2)数字は東京からの所要時間(単位 h)
資料:
(財)物流技術センター「数字でみる物流1997」
28
'97 年度
14
営業用(普通)
39.9 39.7
33.8
'94
図4 トラックは重要な役割を担っており、輸送効
率の向上が重要である。
17.8 17.8
広島
'90
資料:建設省「道路交通センサス」
図3 物流時間は全体的に微増の傾向にある。
28.0 28.1
乗用車
58.3%
貨物車
500
自家用貨物車
17.2
貨物車
41.7%
乗用車
700
600
47.2
50.6
42.6
800
44.7
内航海運
3,000
0.2
4.5
0.2
4.3
一 12
日
一 10
車
平 8
均
輸 6
送
ト
ン 4
数
2
自家用(普通)
営業用(小型)
自家用(小型)
0
1975
1980
1985
資料:運輸省「自動車輸送統計年報」
1990
1995 1996 1997 年度
図5 輸送距離に応じて、トラック輸送の施策を実施していくことが重要である。
都
市
圏
間
輸
送
複合一貫輸送/
複合ロジスティックス拠点の整備
海運・鉄道輸送へのモーダルシフト
長
距
離
・船腹量制限の緩和
・集配業務をトラックが分担
・帰り荷情報システムが普及
複合一貫輸送の高速化、国際化
・船/鉄道の高速化、高度化
アジアなどとの海外高速輸送の発展
・海運、鉄道輸送とトラック輸送の
情報ネットワーク化
・貨物列車の高速運転化
・一貫輸送の効率化(ピギーパック等の推進)
中
距
離
高規格道路網充実
・東名高速拡充
・外郭環状道路など
大型トラック、トレーラ
総重量規制緩和→大量輸送化
共同輸送の推進
都
市
圏
輸
内
送
都市間物流システムの発展
都市間貨物輸送の施設整備
・トラック自動運転(AHS)
・道路給電型EVトラック
・第2東名高速完成
・道路一体型広域物流拠点の設置
・貨物車専用レーン化
都市内地下物流システム
共同輸送の拡大
・都市内共同輸送拡大(自治体)
・企業間共同輸送拡大(複数企業)
・荷量情報のネットワーク化
・帰り荷斡旋情報システム
・EVトラック
・HEVトラック
・デュアルモード運転
代替燃料車の普及促進
・CNG車、EVトラック、HEVトラック
・荷捌き駐車場の整備/貨物パーキングメータの設置
都市内輸送施設の整備
2000年
2010年
図6 広域物流拠点が整備され、交通量削減など環境への効果が期待される。
■広域物流ネットワークのイメージとその社会的効果推計例
広域物流ネットワークの構築
社会的効果(約 100ha の広域物流拠点を整備した場合)
全 体
物流施設
交通量削減効果
空港
都市
広域物流拠点
空港
都市
港湾
都市
地域内の小型貨物車交通が約2,200台km
削減
●
都心部の小型貨物車交通が約14,700台km
削減
●
約36,000kcal/日(ドラム缶(200リットル)約
20本分)
省労働力効果
●
約300人
NOx排出量削減効果
●
約60kg /日
物流コスト削減効果
●
約16億円/年
雇用機会拡大効果
●
約4,500人
税収の増加
●
約8.5億円
地域環境(景観)の保全
●
大型貨物車の市街地内走行の抑制
省エネルギー効果
広域物流ネットワーク構築後
約 7 5 , 6 0 0 台 k mから約 5 4 , 0 0 0 台 k mへと
29%の削減
●
一般道
部 分
都市
港湾
●
資料︰(財)道路新産業開発機構「地域ロジスティクスの推進に向けて」
図7 共同輸送システムのモデル実験が行われ、効
果が確認されている
図8 運送会社における物流情報機器の導入意向は
高い。
■ 一般トラックターミナルにおける共同化に関するモデ
ル事業
■ 物流情報システムの現状保有率と導入意向
<効果>
・総コスト
:▲50%
・車両台数 :▲66%
・積載率
:+8%
・CO2排出量 :▲38%
A社が代行一括配送
午前/午後2回配達
参加事業者7社
配達をA社に依託
東京都世田谷区
顧客:300軒
荷量:100トン/日
0
10
車載運行情報
現状35
車両・運転手管理
40
運行日報
配車支援
資料︰東京路線トラック協議会「一般トラックターミナルにおける共
同化に関する調査研究報告書」1998
リアルタイム情報 3
30
50
60(%)
13
14
24
14
40
今後23
29
倉庫管理
京浜トラックターミナル
(東京都品川区)
20
1
9
18
資料︰(株)物流研究所(1997)
自動車交通 1999 29