産学官共同研究開発委託事業 平成17年度報告(PDF)

「平成17年度」 大 学 ・ 公 設 試 験 研 究 機 関 管 理 運 営 を 受 託 し て い る 公 益 法 人 と の
共同研究開発委託事業
「農産物・食品廃棄物を用いた酸性調味料及び小規模生産技術の開発」
1.目
的
今回提案する共同研究開発はオホーツク圏地域食品加工技術センターが開発した食酢発酵
技術を基本として,有力観光資源である地ビール産業から排出される余剰酵母等を有効な資
源と見なして高度利用を図り,総合的な装置製作技術を有する企業である㈱倉本鉄工所と連
携して簡易な小型食酢発酵装置を開発して企業化に至り,開発企業の発展及び飲食店・食品
企業∼家庭レベルまでに食酢醸造を拡げて北見の新たな発展を目指すものである.
内容は以下である.
1)省エネルギー・高断熱・低価格な小型パイロット発酵装置の開発及び当該装置による食酢
発酵条件の掌握を行う.
2)規格外農産物及び地ビール産業から得られる余剰酵母を酵素処理等後に発酵に供し,新
風味を持つ食酢を開発する.
2.結
果
1.の1)に 関 し て
以下の緒元を持つパイロット発酵装置を製作して水運転を経て実機運転に至った.
機器の仕様
製品タンク:
φ360×360 H
満水時 36㍑.
材質
温水タンク:
φ460×385 H
電源
: AC 100V
1550W
ヒーター
: AC 100V
20W
30㍑
SUS 304
満水時 57㍑.
材質
製品溶量
製品溶量
23㍑
SUS 304
ポンプ: AC 100V 20W マグネットポンプ
インライン型
温度制御 :温水はデジタル温度コントロールによる
ヒーター制御
-1-
1.の 2 ) に 関 し て
酢酸菌スターター
酢酸菌スターター
(種
(種 酢)
酢)
経産省 産総研菌株
FERM1-1,2等の5株を
候補とする
主
主培
培地
地
200V (工業用電力 /
家庭 用ドリーム8)
固 定 腕
デ ジ タ ル 出力
コン トローラー
温度 記録計へ
P E G
( 不 凍 液)
断 熱 材
投げ込み
ヒ ー タ ー
蓄熱材
素分解物・麦芽粕及び地域の玉葱,人
参,南瓜等の搾汁と酒精(エタノール)源
野菜搾汁・ジュース等
野菜搾汁・ジュース等
ビート糖・黒糖
ビート糖・黒糖
醸 造 液
酵)技術の概略を示した.主培地として
はオホーツクビール㈱の余剰酵母の酵
焼酎(1/4希釈),
焼酎(1/4希釈),
ワイン・清酒(1
ワイン・清酒(1 /3/3.3.3希釈),
希釈),
余剰ビ
余剰ビール酵母・
ール酵母・ 果汁
果汁
棒状温度計
取っ手
図1に開発した食酢発酵(ビネガー発
である安価な焼酎,ワイン・清酒を用い
1∼1ヶ月半の発酵
た.この時,前者は4倍希釈を,後2者
では3.3倍希釈して酒精濃度を5%前
原料フレーバーに
富む食酢
後に調整して後に,既に低温殺菌して3
0℃前後に温度調整した搾汁混合物に
図1.食酢発酵の概略
加えた.
表1.実 用 的 発 酵 培 地
実際の発酵に供する培地は表1の組成を持つ.
ビール酵母(バイツエン)酵素YLNL処理 16.5 ∼33 %
タマネギ搾汁(ペクチナーゼPL処理)
16.5∼33 %
0∼4 %
ビート糖(黒糖)
精製水
特徴的な要素としては酵母原料にバイツ エ ンを用
い,ビート糖または黒糖を加えることで呈味性が向
上した.尚,酵母の酵素分解でアミノ酸濃度の増
大が達成された.
小型パイロット発酵装置「ビネガーファーメンタ
酒精(焼酎)
エタノール濃度で
4.5∼5 %
ー」で食酢発酵を行った.(図2)
20日前後で JAS 規格の食酢に適合する酸度を
示した.食味的にもタマネギ香とビール香を強く発
揮する食酢が得られた.(図3)
酸 度 ( %)
4.5
3.5
図2.発 酵 中 の 酢 醪
2.5
タマネギ搾汁・ ビート糖
2%加
1.5
0.5
0日
7日
13日
17日
20日
発 酵 日 数
図3.食 酢 発 酵 の 経 日 変 化
-2-