平成27年度第1回厚生委員会行政視察報告書 神奈川県横浜市の「家庭的保育、子育てサポートシステムについて」 日 程 場 所 相 手 方 参加議員 氏 名 目 的 内 容 平成27年7月31日(金)午前10時~午前12時 神奈川県横浜市役所 子ども青少年局子育て支援部 子育て支援課子育て支援担当係長 豊倉 麗子 保育・教育運営課運営指導等担当課長 石田 登 〃 担当係長 尾崎 匡 〃 運営指導係 黒川 千華 〃 認可外保育所担当係長 遠藤 和宏 委員長 大塚 正俊 副委員長 髙野 良信 委 員 奥山 裕子、小住 利子、古江 信一、山影 智一 子ども子育て新制度によって導入された家庭的保育所の指定や運営状 況等を現地調査し、少子化で廃園となった旧郡部の保育園の復活に繋げ るとともに、地域ぐるみで子育て支援をめざす横浜子育てサポートシス テムの状況を調査し、子育て中の家族にとって使い勝手のよい制度の確 立を目指すことを目的とする。 ≪市の概要≫ 横浜市は、18 の行政区を持つ政令指定都市の一つであり、日本の市区 町村で人口が最も多い都市です。人口:3,719,388 人、面積 437.49km²、 職員数 26,932 人 横浜市こども青少年局では、「安心して子どもを産み育てられる社会」 の実現、「次代を担う子どもや青少年が夢や希望を持っていきいきと育 ち、暮らすことができる社会」の実現を目標に、生まれる前から乳幼児 期を経て、青少年期に至るまでのライフステージを縦断する一貫した施 策の展開と、福祉・保健・教育などの施策分野を横断する取組みの推進 を基本的な行動指針として、施策に取り組んでいます。 ≪調査概要≫ 1.家庭的保育事業 家庭保育福祉員(家庭的保育事業)は、お勤めや病気のため、お子さ んの保育ができない家庭に代わって、昼間お子さんを預かる制度です。 保育士の資格や看護師及び幼稚園教諭の免許をお持ちの方、家庭保育 福祉員の補助員を経験された方で横浜市が認定した家庭保育福祉員が、 福祉員の居宅等でお子さんを保育します。 横浜市では、昭和 35 年度から事業を開始しており、平成 27 年 7 月現 在、41 名(定員 171 人)の方が家庭保育者認定員として保育を行ってい ます。 延べ保育児童数は平成 26 年度 2,361 人(月平均 197 人)となってい ます。 横浜市の家庭的保育福祉員制度は、児童福祉法の改正により、平成 22 年4月1日から、保育所を補完する事業として位置づけられています。 また、平成 27 年4月から子ども・子育て支援新制度における家庭的保 育事業へ移行しています。 【家庭的保育者認定者の資格】 ア 保育士の資格 イ 看護師の免許 ウ 幼稚園教諭の免許 エ 家庭的保育補助者の経験が1年以上(※)ある方 ※1年以上とは・・・ 例:週1回の家庭的保育補助者の経験 → 5年の経験が必要となります。 【家庭的保育者認定者に研修】 ① 認定研修(保育士の資格を持っていない場合のみ) 認定の内示後、認定研修を受講することが必要となります。 ② 基礎研修(保育士資格の有無を問わず全員が対象) 認定の内示を受けた場合に、基礎研修を受講していただきます。 【連携施設】 家庭保育福祉員(家庭的保育事業)は、次に掲げる事項に係る連携協 力を行う保育所、幼稚園又は認定こども園(連携施設)を適切に確保す ることとされています。 ・卒園後の進級先の確保(卒園児が優先的に入所できる枠の確保) ・保育内容の支援(園庭の利用、合同での行事等を行う。保育に関する 助言や相談。) ・必要に応じた代替保育の提供(職員の病気、休暇等の場合に、代わっ て保育する) 但し、「卒園後の進級先の確保」「代替保育の提供」は、5年間の経過 措置があり、横浜市は経過措置で運用をしています。 【施設の改修補助】 家庭的保育施設の改修には市より 200 万円(自園調理の改修には別途 130 万円)の補助が出ます。 【運営に対する補助】 子ども 3 人で給食有りの場合 (保育従事者+補助員+給食費(11 時間×25 日)) 100 万円/月 子ども 3 人で給食無しの場合 (保育従事者+補助員(11 時間×25 日)) 60~80 万円/月 ※平成 26 年度まではボランティアだったが、平成 27 年度より人件費が 入るようになった。 ※横浜市では、家庭的保育事業よりも今後は小規模保育事業へ移行して いきたいとのこと。 2.子育てサポートシステムについて 横浜子育てサポートシステムは、安心して子育てができるよう、地域 ぐるみでの子育て支援や、仕事と育児を両立できる環境を作ることを目 的とした会員制の有償のささえあい活動です。 地域の中で子どもを預けたり、預かったりすることで人と人のつなが りを広げ、地域ぐるみでの子育て支援を目指しています。 横浜子育てサポートシステムの運営は、横浜市から委託を受けた社会 福祉法人横浜市社会福祉協議会が本部事務局を、子育て支援を行ってい るNPO法人と区社会福祉協議会が区支部事務所を担い、専任のコーデ ィネーターがコーディネートを行っています。 子どもを預かって欲しい人と、子どもを預かる人に会員登録していた だき、条件の合う近隣の方との出会いをサポートしています。 利用会員;10,600 人、提供会員 8,000 人、両方会員 18,000 人 【援助活動の内容】 原則として午前 7 時から午後 7 時までの必要な時間。宿泊を伴う預か りは、行いません。 たとえば・・・ 学校行事・冠婚葬祭・就業・通院などの事情で子どもを預かってほし い。自分の時間を持ちたい、リフレッシュしたい。 (美容院・買い物・習 い事等)保育所や幼稚園などへ送り迎え。(徒歩、電車、バス等) ※年間 48000 件の利用があり、約 5 割が送迎となっています。 ※横浜子育てサポートシステムでは病気のお子さんの預かりは行ってい ません。市では、6か月以上小学校3年生までのお子さんをお預かりす る病児保育室を実施しています。 成 果 3.保育料の寡婦(夫)控除のみなし適用について 横浜市では、平成 27 年度より「婚姻歴のないひとり親家庭」の保育料 を軽減する保育料の寡婦(夫)控除のみなし適用を実施しています。 「婚姻歴のないひとり親家庭」には、税法上の寡婦控除が適用されな いため保育料が高く設定されていました。 1.家庭的保育事業 家庭的保育事業は、施設整備に要する時間が短く緊急的な待機児童対 策に効果があり、人口減少地域で園児が減少して閉園となった津民保育 所、上津保育園の再開に向けた活用が期待できます。実施にあたって、 資格者の確保、連携施設の確保が課題となりますが、5 年間の経過措置 を活用し、民間の認可保育園との連携に対処は可能と考えます。 2.子育てサポートシステム 中津市では「ファミリー・サポート・センター」と呼ばれていますが、 認知度が低く利用実態は少ないと聞いています。利用会員と提供会員の 拡大、使い勝手の良い制度への変更が必要と考えます。また、突発的に 起こる子どもの病気・けがに対処する保育制度がないため、病児保育室 の設置が急務と考えます。 3.保育料の寡婦(夫)控除のみなし適用について 死別あるいは離別など結婚歴のある母子世帯には寡婦控除が認めら れ、税金や保育料などの軽減策がありますが、非婚の母子世帯には認め られていないため、税金や保育料などに大きな差が出ています。この差 を解消するために寡婦控除のみなし適用を行う自治体が本年4月から増 えています。 寡婦控除は国の制度ですが、既婚、未婚の差別解消に向けて、取り組 んで行く必要があると強く感じました。
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