長期エネルギー需給見通し策定に向けた 長期エネルギー需給見通し策定に向けた意見 策定に向けた意見 1.名前 全大阪消費者団体連絡会 事務局長 飯田秀男 2.意見及び理由 (概要) 1:長期エネルギー需給見通し(案)を全面的に見直し、省エネ対策などによるエネル ギー消費の削減とエネルギーシフト(脱原発・脱石炭、再生可能エネルギー普及) に、政策を総動員する内容に改めることを求めます。 2:2030 年度の見通しは、 (1)最終エネルギー消費を 1990 年比で 25%以上削減する、 (2)電源構成は、再生可能エネルギーで 40%以上、コージェネレーションで 10% 以上とし、不足分を高効率の LNG 火力でカバーすることを基本とする、(3)CO2 排 出量の多い石炭火力、石油火力は必要最小限の利用にとどめる、 (4)破滅的な事故 を起こすリスクを抱え、放射性廃棄物の処理を将来世代に押しつける原子力発電は 利用しない、とすることを求めます。 (意見及び理由) 1:長期エネルギー需給見通し(案)を全面的に見直し、省エネ対策などによるエネル ギー消費の削減とエネルギーシフト(脱原発・脱石炭、再生可能エネルギー普及) に、政策を総動員する内容に改めることを求めます。 【理由】 ・私たちは、人々や生態系にとって深刻で広範囲にわたる不可逆的な影響を生じさせる 地球温暖化のリスクを低減し、持続可能な未来を切り開くことができる野心的な目標 を設定して、その実現のために政策を総動員しなければならない状況に直面している ことを自覚しなければなりません。 ・日本は、エネルギー消費量も温室効果ガス排出量も世界で5番目に多く、一人当たり ではどちらも世界平均の2倍以上です。省エネルギーと脱炭素化を進めて、地球温暖 化の防止に先進的な役割を担う国際的な責任を果たす必要があります。 ・福島第一原発事故は、過酷事故は起こりえないという「安全神話」の誤りと、過酷事 故に至った際に事故をコントロールする技術が確立していないという事実を、私たち に突きつけました。また、放射性廃棄物の無害化処理技術が未完成で、その保管施設 1 も決まっていない問題を改めて示しました。地震・火山大国の日本で、破滅的な事故 が発生するリスク、放射性廃棄物の管理リスクがより高いことは自明です。原子力発 電所をこれ以上使い続けるべきではありません。また、その必要性がないことも、現 に電力不足が生じていないことで明らかです。国民の多くは原発ゼロの実現に向けた 政策転換を求めています。 ・環境省の平成 25 年度再生可能エネルギーに関するゾーニング基礎情報整備報告書によ れば、住宅用等太陽光発電の導入ポテンシャルは約 2200 億 kWh/年、陸上風力発電の導 入ポテンシャルは約 6100 億 kWh/年、洋上風力発電の導入ポテンシャルは 3.5 兆 kWh/ 年であり、これらだけで現在の年間電力需要の4倍に達します。更に、バイオマス、地 熱、中小水力の導入ポテンシャルも有する日本は、再生可能エネルギー資源大国です。 その活用を最大限に図る技術開発と制度改革を急速に進めてエネルギーシフトを実現 することこそ、持続可能な未来に向けた発展の基礎とすべきです。 ・しかし、示された長期エネルギー需給見通し(案)は上記の観点に欠けており、国際 的な責任にも、国民が求める政策転換にも応えるものではありません。よって、全面 的に見直すことを強く求めます。 2:2030 年度の見通しは、 (1)最終エネルギー消費を 1990 年比で 25%以上削減する、 (2)電源構成は、再生可能エネルギーで 40%以上とする、 (3)再生可能エネル ギー以外の電源については、コージェネレーションで 10%以上、不足分は高効率 の LNG 火力でカバーすることを基本として、CO2 排出量の多い石炭火力、石油火力 は必要最小限の利用にとどめる、 (4)破滅的な事故を起こすリスクを抱え、放射 性廃棄物の処理を将来世代に押しつける原子力発電は利用しない、とすることを 求めます。 【理由】 (1)最終エネルギー消費を 1990 年比で 25%以上削減する ・日本のエネルギー消費は、この間、減少傾向に転じており、今後も人口減少や産業 構造の変化によって、減少傾向が継続すると考えられます。 ・エネルギー消費の4割以上を占める産業部門では、1980 年代後半からエネルギー効 率の改善が進んでおらず、設備の老朽化やメンテナンス不足によるエネルギーロス の増大が指摘されています。素材系の製造業では省エネ法ベンチマークを 2030 年に 2 遵守するだけで 10%程度の省エネが可能(日本のエネルギー・ミックスと温暖化数 値目標を考える研究者グループ:2015 年)です。福島第一原発事故以降に、電力自 由化部門で節電が進んでいる事実もあり、省エネの余地は相当程度あると考えられ ます。 ・環境 NGO の先行研究(地球環境市民会議:2014 年、気候ネットワーク:2014 年、 WWF ジャパン:2011 年)では、既存の技術の利用によって、2030 年時点では 1990 年比で 24%~40%以上の最終エネルギー消費の削減が実現できると試算しています。 (2)電源構成は、再生可能エネルギーで 40%以上とする ・2030 年に電力需要の 40~50%程度を再生可能エネルギーで供給することは、欧米で は当たり前の目標となっています。 ・環境省の平成 26 年度 2050 年再生可能エネルギー等分散型エネルギー普及可能性検 証検討委託業務報告書によれば、2030 年の再生可能エネルギーによる発電電力量推計 は、中位で 3122 億 kWh、高位で 3566 億 kWh と推計されています。また、環境 NGO の 先行研究(地球環境市民会議 2014 年、WWF ジャパン 2011 年)では、4000 億 kWh 以上 の導入が可能と試算されています。 ・エネルギー消費の削減と合わせて考えれば、日本でも 2030 年に電力需要の 40%以上 を再生可能エネルギーで供給することは十分に実現可能であり、そのために政策を総 動員すべきです。 (3)再生可能エネルギー以外の電源については、コージェネレーションで 10%以上、 不足分は高効率の LNG 火力でカバーすることを基本として、CO2 排出量の多い石炭 火力、石油火力は必要最小限の利用にとどめる ・コージェネレーションは、EU27 カ国で既に電力需要の1割以上を占めています。 ・LNG 火力の発電量は、2013 年度に 10 電力会社で 4000 億 kWh を超えており、再生可 能エネルギーの最大限の導入によっても不足する電力需要をカバーすることができ ます。 ・石炭火力発電は、最新のプラントでも二酸化炭素排出量が天然ガス火力発電の2倍 であり、その利用は最低限に抑制すべきです。なお、国内で計 46 基、設備容量 2331 万 kW に上る石炭火力発電所の建設計画が立てられており(気候ネットワーク、6 月 2 3 日調べ)、早急に建設を抑制すべきです。石油火力発電は、二酸化炭素排出において も、コスト面でもメリットを有しておらず、利用する必要はありません。 (4)破滅的な事故を起こすリスクを抱え、放射性廃棄物の処理を将来世代に押しつける 原子力発電は利用しない ・長期エネルギー需給見通し(案)は、2030 年度の原子力発電の電源構成を 20~22%と しました。そのためには既存原発全てを 40 年運転の原則を超えて運転延長するか、新 増設を行うことが必要となりますが、それは国民の求める政策ではありません。実現 性にも乏しく、 「原発依存度を可能な限り低減する」とのエネルギー基本計画にも合致 しません。 以上 4
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