認知症の予防と早期発見

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認知症の予防と早期発見
現状
て日本政府主催で開催された。このイベントには、安倍総理
年には認知症の高齢者が700万人になるという。これは、65
が出された。
超高齢化の進展により、政府の試算によると10年後の2025
歳以上の高齢者の5人に1人にあたる。既に現在も、認知症を
大臣も出席し、認知症に対する国家戦略を策定する旨の指示
取り巻く課題は多い。本人の生活の質の低下、徘徊など家族
これを受けて、2015年1月27日に認知症に関する関係閣僚
事故の増加や高齢者を標的にした詐欺など、どれも深刻な状
ン)を策定した。新たな認知症国家戦略の特徴としては、厚
への負担、高齢者の徘徊、老老介護、認知症に起因する交通
況にある。
一方、2014に実施された、アルツハイマー病等の神経疾患に
関する世界10カ国意識調査によると、日本国民の66%は、自
身が認知症等の神経疾患を患った場合、治療法がなくとも病
状を知りたいと回答している。治療法がなくとも自身の病状
を知りたい理由を聞いた質問に対し、日本では、
「詳細な情
報を得た上で決断することができる」
(54%)、
「病気の影響
を軽減できるような生活習慣に変えることができる」
(52%)
などの回答が上位だった。また、日本国民の95%は、早期発
会合を開催し、
「認知症施策推進総合戦略(新オレンジプラ
生労働省のみならず、警察庁、経済産業省、消費者庁等の12
の関連省庁の連携体制を構築すること、認証への理解や啓
発活動の推進、適切な医療・介護の提供、予防や診断・治療
法の研究開発などが盛り込まれた。また、これらの施策を推
進するために、認知症対策予算として161億円、2015年4月
に新たに設立される日本医療研究開発機構(AMED)におい
ても、
「分子イメージングによる超早期認知症診断方法の確
立」、
「日本発の認知症の根本治療薬候補の治験開始」等の
認知症研究開発事業として6.5億が予算化されている。
見のための検査は「保険でカバーされるべき」と考えている。
認知症研究に関しては、これまでも様々な先行研究から多く
現在、アルツハイマー病に対する根本治療薬の開発は世界的
れまでの成果を有効に活用するためには、積極的に成果の公
急務であり、製薬企業を中心に精力的な研究開発、上市に向
けた準備を進めている。一方で、この間にも病態は着実に進
行しており、先制医療を達成するための薬剤開発、発症後の
進行抑制や臨床症状の緩和、そして早期介入を可能とするた
めの超早期診断手法の確立を同時並行的に進める必要があ
る。さらに、アルツハイマー病に対する研究を進めていくこと
の知見を得られてきており、今後なお一層の研究の加速とこ
開を促進し多くの人々がその恩恵に浴することが重要である
と考える。また、得られたデータを用いて標準治療や標準診
断手法を確立し、先制医療の基盤を構築するとともに地域や
医療提供者の違いを超えて均てん化を推進し、高品質で信
頼性の高い医療を提供する社会の実現を目指す必要がある。
で、他の神経変性疾患との鑑別やそれらの病態に対する診断
2015年の介護報酬改定については、全体としてマイナス
されることが期待されている。
居住系サービスについては、若干手厚くする内容になってい
法や治療法の確立など、脳の高次機能に関わる研究が加速
認知症に限らず、高齢者は住み慣れた地域で暮らし続けるこ
とを希望する場合が多く、そのためには、早期の診断・診療
の体制を整備し、本人や家族が必要とする支援の拡充を社会
全体で構築する必要がある。また、日本は世界的にも類を見
2.27%であったものの、認知症グループホームを含む施設、
る。
こうした日本政府の取組みを、さらに加速するためにも以下
の項目について提案する。
ないほどの高齢化が進行する国と言われているが、一方で日
政策提言
策の日本モデル』を構築しその具体的成果を実証することも
••
本が有する優れた環境、インフラなどを活用した『認知症対
求められている。
現行政策
認知症に関連する政府の対応も進められている。2014年11
月には、に英キャメロン首相の呼びかけで開催された「G8
認知症サミット」
(2013年12月)の後継イベントが、東京に
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ビッグデータ解析による予兆と予防の開発推進
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先制医療を達成するための薬剤開発
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画像診断による軽度認知障害の早期発見
発症後の進行抑制や臨床症状の緩和
標準治療や標準診断手法を確立
ICTを活用した高齢者の見守り
自立的生活を実現するためのリハビリテーションの充実
認知症診断医の育成
健康寿命の延長による日本経済活性化 | 95
••
国内外の専門家とのコラボレーションによる研究開発の推進
ケーススタディ
•• GEヘルスケア・ジャパンは、2014年8月より、弘前大学
や青森県等とともに、アルツハイマー病を中心とする脳
疾患の予兆発見および予防法創出のための共同研究プ
ロジェクトを開始
23. 【弘前COI戦略:全体概要】
The Center of Healthy Aging Innovation (CHAIN)
~真の社会イノベーションを実現する「革新的『健やか力』創造拠点」~
将来の社会ニーズ:早期予兆発見による疾患予防法の開発,認知症患者へのサポート
「寿命革命」×「認知症の人と創る未来社会システム」
予兆因子に基づいた
予防法の開発
ビッグデータを用いた
疾患予兆法の開発
①予兆発見アルゴリズムの開発
②疾病予兆法のコホート研究による実証
③健診センター・医療機関連携システムの開発
④予兆発見のアプリケーション開発
⑤細胞の形態と機能の可視化システムの開発
⑥脳疾患におけるオミックス解析技術を利用
した解析ツールの開発
⑦健康度検査システムの開発
【参画機関】:弘前大学,九州大学,
マルマンコンピュータサービス,GE ヘルスケア・ジャ
パン,クラーロ,東北化学薬品,テクノスルガ・ラボ,
青森県,弘前市
①新たな健康増進の啓発・普及方法の構築,
健康づくり活動の展開
②予兆に基づくアラートシステムの構築
③画期的アンチエイジング法の開発
④健康改善製品の開発
⑤「運動の習慣化」スキームの開発
⑥個人の健康維持および疾患予防に最適な
食事提供サービス
⑦疾病の予防に有効な食素材やその成分,
食習慣に基づく予防法の提供
【参画機関】:弘前大学,マルマンコンピュータサー
ビス,テクノスルガ・ラボ,栄研,イオンリテール,
青森県産業技術センター,青森県,弘前市
連携
青森県/弘前市/
青森県産業技術センター
久山町 / 京都市 / 京丹後市
96 | 健康寿命の延長による日本経済活性化
弘前大学
九州大学/ 京都府立医科大学
千葉大学/ 慶応義塾大学/
京都府立大学/志學館大学/
公立はこだて未来大学/ 杏林大学/
徳島大学
連携
認知症サポートシステムの開発
①意思決定サポートセンターの設置
②高齢者の見守り・防犯システムの開発
③活動評価システムの開発
④財産管理支援システムの開発
【参画機関】:京都府立医科大学,千葉大学,
慶応義塾大学,京都府立大学,志學館大学,
公立はこだて未来大学,杏林大学,徳島大学,
アイトシステム,アールエフネットワーク,京都銀行,
三昌商事,村田製作所,シスコシステムズ,
ベネッセスタイルケア,ソニー生命保険会社,
ⅡJ グローバルソリューションズ,三井住友信託銀行,
LIXIL,セコム,大日本印刷,応用技術,
住友電気工業,住友林業
連携
マルマンコンピュータサービス/GE ヘルスケア・ジャパン/
クラーロ/東北化学薬品/テクノスルガ・ラボ/ 栄研/
イオンリテール/アイトシステム/アールエフネットワーク/
京都銀行/三昌商事/村田製作所/シスコシステムズ/ベネッセ
スタイルケア/ソニー生命保険会社/セコム/ⅡJ グローバルソ
リューションズ/三井住友信託銀行/LIXIL/
大日本印刷/応用技術/住友電気工業/住友林業