小型3Dボールミルの基礎特性の研究

講演番号
2-2A
小型3Dボールミルの基礎特性の研究
講演番号が入ります
記入しないで下さい
(芝浦工大 院生)○稲垣 光洋, 大須賀 辰彦,
(芝浦工大 学生)秋場 玲奈
(芝浦工大システム理工)藤木 章,
(ナガオシステム)長尾 文喜, (NIMS)原田 幸明
【諸言】
我々は,2 軸を持つボールミルである 3Dボールミルの大型機を用いて,電子基板等からの貴金属の回収について既に報告している[1][2].今回
は小型化した 3Dボールミルで新素材の創製を目的に特性評価を行っている.本発表では,モータの電流値による臨界回転条件の確認とボー
ルミルによってメカノケミカルな相変態をおこす酸化チタン粉末を試料として用い,ボールが粉に対して与える仕事を酸化チタンの転移率と
して調べることで 3Dボールミルのエネルギー効率を議論する.
【装置】
国立開発研究法人・物質材料研究機構と(株)ナガオシステムが図 1 に示すような 3Dボールミル粉
砕器を開発した.このボールミルは 2 つの交差するする回転軸を持ち,ミル容器が 3 次元的な回転
をする.そのため,転動ミルのような臨界回転限界がないとされている.さらに,遊星ボールミル
のような軸方向の偏分布も持たないため,投入物に均一にエネルギーを与え,効率のよい粉砕とメ
カノケミカルな効果が期待できる.
図 1 3Dボールミル
【臨界回転条件の確認】
臨界回転条件になるとモータに過剰なエネルギーがかからないことに着目し,回転数と
電流値の関係を調べた.17.5mm の鋼球を 1kg用意し,計測した電流値の結果を図 2 に
示す.垂直回転軸回転数を上げると電流値もそれに伴い,上昇していく.しかし,水平
固定軸回転数150[rpm]以下の回転数では垂直回転軸回転数が350~400[rpm]以上に達する
と電流値はほとんど変化しなくなる.このとき,容器内のボールが壁面に張り付き臨界
状態になったと考えられる. 他方でボールミルの回転速度を上げても非臨界になる条件
を確認することができた.
図 2 回転数と電流値
【回転条件と転移率の評価】
4.7mm と17.5mm2 種類の鋼球に対して回
転条件と転移率による評価を行った.回転
速度と転移率の関係を図 3 に示す.同回転
数では回転時間が長いほど高い転移率を示
す傾向にある.しかし,合計回転速度と転
移率の関係からは傾向が不明瞭である.そ
こで,回転速度と転移率でプロットした図
図 3 回転速度と転移率
図 4 電力と転移率
3 を見直し,回転時間を考慮した電力と転移率の関係で再度プロットした結果を図 4 に示す.4.7mm と17.5mm の 2 種類の鋼球径どちらに
対しても電力が高くなるにつれ,転移率もほぼ直線状に高くなっている.つまり,電力と転移率は比例傾向にあると考えられる.なお,4.7mm
と17.5mm の鋼球径で比較した場合,鋼球径が大きい17.5mm の方が高い転移率を示す傾向にある.
【参考文献】[1]手塚他,3 次元ボールミルの基礎的特性研究,粉体粉末冶金協会講演概要集平成 24 年度春季大会,p.171,2012.
[2]杉林他,電子基板リサイクルへの 3 次元ボールミルの利用に関する基礎研究,粉体粉末冶金協会講演概要集平成 24 年度春季大会,p.172,
2012.
いながき みつひろ,おおすか たつひこ,あきば れいな,ふじき あきら,ながお ふみよし,はらだ こうめい
粉体粉末冶金協会大会概要集抄録原稿