レポート

TRICK’N TRY MOTOSUKO 2015
JWA JAPAN TOUR 2015-16 FREESTYLE #2
季節外れの台風6号がに本州に接近、 そのなごりが残る気圧配置の中、
本栖湖ファンビーチには風が吹き抜けた!
J-100 小林悠馬 2年連続勝利!!
写真 : 里村 哲也/ミナ
文 : 山本 “TARO” 卓史
編集 : 霜山 厚
協力 : 浩庵
5月16日 ( 土)、 17日 ( 日) の2日間で、 TRICK’ N TRY MOTOSUKO
2日目は気持ちのよい晴れ。 気温も上がりコンテストを行える風が期待され
2015 が行われた。 本栖湖 (会場はファンビーチ) は世界文化遺産の 「構
たが午後になっても吹き出しが遅く、 プレーニングクラスは15時以降にセッ
成資産」 である。 この週末前には季節外れの台風6号が日本に接近し、
ション形式で進行。 プロクラスはヒート数を短縮しながらも正式なコンテス
当日はそのなごりの残る気圧配置となり、 5月の本栖湖らしい南風が吹くの
トとしてシングルイリミネーションを成立させることが出来た。 難しいコンディ
か心配された。 実際、 初日は曇り時々小雨。 15時以降にプレーニング可
ションではあったが運営陣の巧みな進行と、 選手達の頑張りにより今年も
能なコンディションとはなったものの風が安定せずにプレーニングのクラス
素晴らしい演技が繰り広げられた。
は行えなかった。
スペシャルクラスは1MOVE ピックアップのセッション形式で決した
まず始めにスタートしたのがスペシャルクラス。 今回のエントリーは6名。
は梅川努選手の十八番。 インサイドのワンハンドフラカをフきっちり決めて
元プロ登録選手やスラロームでも活躍する女子選手穴山プロ、 更には昨
スペシャルクラス優勝。 準優勝には 「フリースタイルは久しぶり」 と言いな
年はオープン A クラスで参加していた若手選手もジャンプアップしてのエ
がらもインサイド、 アウトサイドで好確率のスポックやグラビーを見せていた
ントリーとなり、 ベテラン、 若手共に実力者揃いで好ヒートが期待された。
穴山未生選手が入った。 風が弱い、 安定しないなどコンディションが不安
風が安定しない事から5分ヒートの1MOVE ピックアップのセッション形式で
定であっても、 しっかりと成功させる得意技をもった選手が勝ち上がる事が
開始。 技を仕掛けられる強いブローが中々入ってこない中で難易度よりも
出来た印象だった。 梅川選手と穴山選手はプロクラスに進出する事が決
ジャッジ前で技を決めきれるかどうかが勝利の鍵となった。
定し、 プロクラスでの活躍が期待された。
ベスト4へ進出したのは、 紅林、 古橋、 穴山、 梅川の4名。 ファイナルで
スペシャルクラス優勝 梅川 努 : ONEHAND FLAKA
スペシャルクラス 2 位 穴山 未生 : GRUBBY
ブローが少ない中でも多彩な技をくりだしたプロクラス
ワールドカップ帰りの小林悠馬プロが本栖湖2年連続優勝!
今年も逗子大会に続き2戦連続勝利!!
プロクラスは小林悠馬、 佐藤秀雄、 橋本洋、 今年か
らプロ登録選手となった山本卓史に加え、 元プロ登録
選手の塩坂圭、 本栖湖大会プロクラスでの入賞経験
のある加藤友隆、 そしてスペシャルクラスを勝ち抜い
た上位2名、 梅川努、 穴山未生の8名のトーナメントと
なった。
プロクラスが始まる頃にはブローが安定して入りだし
た事から正式なコンテストとして開始。 今年からプロク
ラスでは新しいルールが追加されている。 各タックでト
ライできるムーブ数が5回に制限され、 各タックからベ
スト2ムーブがピックアップされる。 より世界 (PWA) に
近いルールを目指しての採用となった。
まず佐藤プロ vs 加藤選手、 山本プロ vs 梅川選手の
対戦。 6分に間に入るブローを使いこなし B 難易度以
上の技を揃えた選手が勝ち上がっていた。 加藤選手はインサイドの E スラ
スピード、 パフォーマンスレベル、 バリエーションに一層の磨きが掛かった小林悠馬。 もは
や日本に敵はいない。 SHAKA。
イダー、 梅川選手はインサイドのスピードの有るスポッ
クが好印象であった。
もう一方のラダーでは小林プロ vs 穴山プロの対戦。
小林プロは風が弱めとは思えない動きでいきないりクロ
やファネルをメイクし圧巻の勝利。 しかし穴山プロも持
ち技をきっちり披露し健闘していた。 スペシャルクラス、
プロクラスの中でただ1人の女子選手としてプロクラス
まで進出した戦いぶりは印象に残る。 今後のフリース
タイル競技での活躍を期待したい。 もうひとつの対戦、
橋本プロ vs 塩坂選手は接戦であったが塩坂選手に軍
配が上がる。
セミファイナルは梅川選手 vs 加藤選手と小林プロ vs
塩坂選手。 勝ち上がりはそれぞれ加藤選手、 小林プ
ロとなり、 梅川選手と塩坂選手が 3 位決定戦を闘うこ
ととなった。コンディションと時間の関係から今回はプロクラスも2ヒート(4人)
ややアンダーのコンディションになるとこの男は一気に頭角を現す。 素早くアクションを起
こし、 とてつもないバランス感覚でメイクする加藤選手。 SWITCH CHACHO。
同時に戦いを行ったがこの4人が戦うとまるで良く吹い
ている中で演技しているように見えてしまう。 どの選手
も各タック2ムーブを揃えられていたのではないか?
ファイナルでも小林プロは今回何度か魅せてくれたアウ
トサイドのクロから始まるルーティーンをこなし、 インサ
イドではファネル、 シャカを決めきり優勝を勝ち取った。
加藤友隆選手もその体格を活かした手数の多さを武
器に、 ファイナルは得意技の E スライダーやファネル
にワンハンドでアピールし存分に戦ったが、 世界を舞
台にする小林プロに一歩及ばす準優勝となった。 しか
しアンダーでの技の仕掛けの早さとメイク率は脅威的と
言える活躍であった。 梅川努選手はスペシャルクラス
からヒートごとに徐々に調子を上げインサイドアウト共技
を揃えセミファイナルとルーザースファイナルでは梅川
選手らしい安定感のある演技で3位入賞となった。 4位には塩坂圭選手。
3位決定戦でみせたインサイドのロリーポップは最高の切れ味で、 世界を知
る小林プロも 「ワールドクラスのロリーポップ」 とコメントしていた。
近年の練習量はそれほどでもないのだろうが、 元プロ選手の貫禄とセンス
の良さを出してくれた戦いぶりであった。
スマートに軽快に、 サクッと技を決めていく梅川選手。 プロとして闘っていた過去もあり、
その実力は健在。 SPOCK。
オープン A クラスは、 ヒートごとに進化をみせた急成長中の津野健
介選手が圧倒的なメイク率でウイナーに!
オープン A クラスはウイメンズクラスとのダブルエント
リー2名を加えた12名がエントリー。 セッション形式のワ
ンメイクの戦いとなった。 限られたブローの少ないチャ
ンスの中で、 技を決めきれるかが勝ち上がれるかどう
かのポイントとなった。 練習の成果を十分に発揮出来
なかった選手も多いなか、 セミファイナルに勝ち上がっ
たのは得意技を持った4名だった。
4位には浜名湖ウインズ 171 所属の市川選手が入っ
た、 昨年大会よりもレベルアップしインサイドのバルカン
は安定感が増しアウトサイドではスイッチ技にトライして
いた。 今後も大会に参加し続け優勝を狙ってほしい。
3位には検見川浜トリトン所属のベテラン鶴巻選手に
バルカンに加えスポックも時折みせていた。 今後の更
なるステップアップを期待したい。
まさに伸び盛り。 乗る度に上手くなっていく中学生、 津野健介選手。 FLAKA。
準優勝には鎌倉ファーイースト所属の互井選手。 もう一歩でウイメンズと
のダブル優勝であったが惜しかった。 しかし練習の成果は十分に発揮し、
アウトサイドは安定感の有るバルカンやスポックでポイントを獲得し、 インサ
イドではスイッチハーフコノをみせていた。 この技はス
ペシャルクラスやプロクラスでも今回出なかった技。 ま
だまだ成長出来るポテンシャルを感じさせた。 今後の
活躍を期待したい。
そして優勝は津野健介選手に。 ワンメイクセッション
というコンディションながらなんとインサイドでフラカを3
回メイクするなど、 スペシャルクラスでも勝ち上がるの
ではないかというような動きを見せていた。 現在まだ中
学生だがここの所急成長を見せている。 来年にはどこ
まで成長するのか。大きな可能性を感じる戦いぶりだっ
た。 今後も周りのサポート体制が大事であろう。 怪我
無く順調な成長を期待したい。
レディースフリースタイラーの中で特に頑張っているのはこの互井選手。 HALF KONO。
フリースタイルをとても楽しんでいる鶴巻選手。アグレッシブなチャレンジの気持ちが伝わっ
てくる。 VULCAN。
切れのいい動きからのバルカンには安定感があった市川選手。 VULCAN。
ウイメンズクラスは関東や中部の〝フリスタ女子〟が集結!!
ウイメンズクラスは6名の参加。 各地で練習を積むレディースフリー
スタイラーがこの大会に集結してくれた。 彼女達は全員ダブルエント
リーで他のクラスとのダブル入賞も目立っていた。 ヒート数も数多くこ
なし大変だったと思うが、 この大会を一番楽しんでいた面々かもしれ
ない。 優勝は互井千恵子選手、 アウトサイド、 インサイドとも技にトライしス
イッチコノや安定感の有るバルカンを軸に戦った。 準優勝には穴山選
手、 3位碇選手、 4位永井選手となった。 エントリー選手全員すばらしい頑張りを見せていた。 これからも彼女
達だからこそ出来るウインドサーフィンやフリースタイルの魅力を各地
のホームゲレンデで発信し続けてほしい。 今後も彼女達を中心に魅
力ある〝フリスタ女子〟が増殖して行く事を願うし全力で応援してい
ウイメンズクラスの優勝は互井千恵子選手。 VULCAN。
きたい。
ハイレベルの戦いとなったバルカンクラス!
優勝は逗子の中学生杉匠真選手に!
バルカンクラスは7名のエントリー。 トライ出来るチャンスが少ないコ
ンディションではあったが、 そのチャンスを生かして選手達は全力で
頑張り、 普段の練習の成果を出せたものが結果を残した。 4位の水野智之選手と3位の碇陽子選手は共に成功にかなり近いバ
ルカンを見せており、 鈴木香南選手はアウトサイドできっちりメイクし
て2位に。 優勝は杉匠真選手。 技術も身体も成長中だが最近メイク
出来る様になったバルカンをヒート中にもジャッジ前でしっかりとメイク
ウイメンズ 2 位には穴山選手。 GRUBBY。
し優勝となった。 フリーセイリング時にはグラビーをメイクするなど次回
以降の大会ではクラスアップしてどこまで活躍出来るか非常に楽しみ
だ。 いや来年にはどこまで成長しているのか予想を越えるかもしれな
い。 これからもウインドサーフィン、 フリースタイルに夢中になって練習
を積み自然体で大きく成長していってほしいと願う。
バルカンクラスに参加した他の選手も頑張っていた。 子どもの成長
には追いつけないにしても日々の努力は必ず成果となる。 その日ま
であきらめずに楽しんで、 高度テクニックであるバルカンや更にその
先の技に、 地元のフリースタイル上級者やプロ選手にアドバイスをもら
いながら仲間とともに楽しんでチャレンジし上達を目指してほしい。
ウイメンズ 3 位は碇選手。 VULCAN。
バルカンクラスの優勝を手に入れたのは中学生の杉匠真選手。 こ著しい成長度合いだけ
に今後が楽しみ。
逗子での大会に続き、 2 戦連続のエントリーとなった鈴木香奈選手が2バルカンクラス 2
位に。
ジュニアやレディースが大活躍した
トリックマスタークラスとベーシックトリッククラス
トリックマスタークラスとベーシックトリッククラス共に2シリーズの成立となっ
た。 トリックマスタークラスはフットストラップを利用したトリックを行うクラスで
あり、 1シリーズ目は杉匠真選手が勝利、 2シリーズ目は津野健介選手が
勝利という結果になった。
2 人は共に逗子海岸で練習を積む中学生。 風があろうがなかろうが、 放
課後に暗くなるまで一緒に練習していた仲間だ。 2 人共に今年になってゲ
コを覚えたとは思えないほどの連続ゲコや多彩なレパートリーを見せてい
た。 1 シリーズ、2 シリーズの総合ポイントの結果から優勝は津野健介選手、
2位に杉匠真選手となり、 3位には御前崎の中学生、〝高さ〟のあるゲコを
見せていた石井孝良選手が入った。 上位の2人を見て必死に練習し大会
トリックマスタークラス優勝津野選手。 気合いの連続ゲコは圧巻。 TAIL GRUB GECKO。
中にクルクル技も上達していたから今後の成長を期待したい。 4位には江
ノ島の加藤友隆選手。 相変わらずの身のこなしで、 フリーセイリング中には
ボネイルの Caesar 選手の、 シーザースロー (セイルを投げてキャッチする
技) という動画でしか見た事の無い動きも真似して会場を沸かせてくれた。
大人らしい試合運びにも拍手を送りたい。
一方のフットストラップを使用しないベーシックトリッククラスはレディースの
選手達が活躍した。 優勝は逗子の碇陽子選手。 ヘリタックや upwind360
のコンビネーションを確実に決めていた。 2位は検見川浜の永井千尋選手。
3位は三浦の橋本正美選手、 ウェーブ、 フリースタイルで活躍する橋本兄
弟のお母様。 4位に鈴木香南選手となり、 なんと入賞者全員がレディース
選手となった。 参加選手は全員良いパフォーマンスをみせてくれていた。
昨年の大会レポートで、 「微風の優しいコンディションからトライ出来ること
から年齢性別を問わず気軽にチャレンジ出来るクラス」 と書いたが、 正に
惜しくも 2 位となったが実力は津野選手と僅差か。 2 位の杉選手、 ワンハンドゲコ。
そういったエントリー者と入賞者となった。 来年はこの2クラスのエントリー者
が更に増える事を期待したい。 今後もいつでもどこでもトライしやすく、 誰
でも参加しやすいファンなクラスとして継続し、 フリースタイルやこの大会の
興味を高めてほしいクラスとしての存在意義を高めていきたい。
まだまだフリスタは始めたての石井選手。 ウェイブやスラロームでは既に実力発揮済み。
ベーシックトリッククラスの優勝は碇選手。 優勝できたことに本人も驚きの様子だった。
千葉から参加の永井選手。 ウイメンズクラスでも 4 位入賞と頑張っている。
最後に
今大会を無事に成功させていただきまして、 関係者の皆様、 参加してく
ださった皆様、 応援してくださった皆様本当にありがとうございました。 今
年も無事にトリックントライ本栖湖が公式戦として行われ、 難しい風であっ
たけど全てのクラスを行う (セッション形式も有り) 事ができました。 第何
回という数字がなかったので正確にはしっかりと調べないと分らないのです
が NWA の時代から恐らく15年は行われてきたでのあろう歴史有るこの大
会。 選手として10年以上参加させていただきましたが、 フリースタイル委
プロクラス @ 優勝 : 小林悠馬、 2 位 : 加藤友隆、 3 位 : 梅川努、 4 位 : 塩坂圭
員長として初めて関わらせていただきました。 改めて浩庵荘赤池様のご尽
力で行う事が出来ているのだと再認識しました。 この素晴らしい本栖湖で
毎年開催させていただいている事を本当に嬉しく思いこの場を借りて感謝
をお伝えさせていただきます。 本当にありがとうございます。 そして是非来
年もよろしくお願い致します。 今大会のエントリー数は昨年より微増。 今年
もトリックントライ本栖湖ならでの 「フリースタイル大好き」 という良い空気
感で大会を行えたのだと思います。 来年以降も絶対に続けていきたい。 こ
れは参加選手いや日本フリースタイル会の総意だと思います。 そのために
は新規のベーシックトリックから選手を増やす事、 魅せる演技を行える選手
を増やす (成長する事)、 そしてこの大会を応援して頂ける方が必要にな
ります。 ウインドサーフィンを知らない人でも来て楽しい、 観て楽しい、 参
スペシャルクラス @ 優勝 : 梅川努、 2 位 : 穴山未生、 3 位 : 古橋大喜
加して楽しい、 一般の方を含め多くの方に注目して頂ける大会を目指す
事が今後のフリースタイルツアーの課題となります。 大会を発展し、 継続
していくためにも皆様どうかお力とお知恵をお貸し下さい。 この魅力有るフ
リースタイル競技を全国の皆さんに知っていただくべく、 JWA フリースタイル
委員会として全力で取り組み活動していきます。 また来年この大会が開催
する事が出来ます様よろしくお願い致します。
JWA フリースタイル委員会委員長 J-220 山本卓史
オープン A クラス@優勝 : 津野健介、 2 位 : 互井千恵子、 3 位 : 鶴巻猛
ウイメンズクラス@優勝 : 互井千恵子、 2 位 : 穴山未生、 3 位 : 碇陽子
トリックマスタークラス @ 優勝 : 津野健介、 2 位 : 杉匠真、 3 位 : 石井孝良
バルカンクラス@優勝 : 杉匠真、 2 位 : 鈴木香南、 3 位 : 碇陽子
ベーシックトリッククラス@優勝 : 碇陽子、 2 位 : 永井千尋、 3 位 : 橋本正美
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