午睡後の布団の片付けなど保育者のしている姿を見つけ

共同保育所ひまわり園 事業報告(実践レポート)
かっぱおやじとの遊び(3 歳児クラスの実践から)
金藤
のぞみ
はじめに
3 歳児のすみれ組は、男児 11 名、女児 7 名の 18 人クラス(うち2名が療育センターとの併行通園)
を保育者 2 名で担当しています。4 月当初は物の取り合いから起こる噛みつき、ひっかき、自分の思い
通りにならないと叩く蹴る、罵声をあびせるなど、落ち着かせることがとても大変な状態でした。散歩
先でも崩れるといつまでも大泣きで座り込む場面も見られ、園まで戻るのに時間がかかることもありま
した。そこで、子どもたちが気持ちよくかかわることが出来るように担任同士で話し合い、次の目標を
立てました。一つは 一人一人の思いを丁寧に受け止めながら、安心して自分を出せるようにする。二
つ目は子どもたちがやってみたいと思う楽しい遊びを保障しながら、みんなと一緒が楽しいと感じられ
るようにする。そうした活動を通して「いっちょまえ意識」を膨らませていきながら、誇り高き 3 歳児さ
んになって欲しいと、願いを持ってスタートしました。
しごとへの憧れ
給食の準備や片づけ、午睡後の布団の片付けなど保育者のしている姿を見つけ「手伝ってあげる」
という子どもたちが出てきました。そこで、子どもたちがやってみたいと思う仕事は、出来るだけ
一緒にしながら活動を保障することにしました。午睡の準備や片付けでは「ぼくたためるよ」と手
伝いを始めるS君。そんな姿に「私もしてあげる」と、嬉しそうにお手伝いに加わる子どもたちの姿
が見られました。仕事が終わった後は「先生助かったなあ」と言うと、少し得意げな表情を見せる
子どもたちでした。給食前の準備では、バケツ運び、お茶運び、歯ブラシコップの準備、台ふき、
お弁当配りなど、着替えが終わった子ども達から、「先生私もする」と言って「○○をしたら○○を
する」という生活に見通しを立てて動くようになってきました。こうした姿が見られるようになっ
てから、これまでなかなか着替えに取り掛かれなかった子どもたちも、着替えをサッと終わらせて
お手伝いを楽しむ姿がありました。でもすぐに順調に言ったわけではありません。布巾や雑巾を絞
る手伝いでは水遊びに発展してしまい、あたり一面水びたしになることもありました。また、お手
伝いの取り合いや、自分の準備は自分でやりたい!などの思いから、友だちとぶつかり合いになっ
てしまうことは日常茶飯事・・・。それでも、「みんなはこんなことが出来るようんあったんだね
先生嬉しいなあ」
「いつもありがとうね」と、子どもたちが出来る姿をみんなで認め合うことを心
がけました。そうしていく中で、徐々に子どもたちにお手伝いしたい気持ちが膨らみ、積み重ねる
ことでやり方を学び、上手になっていって行きました。そんな中で着替えをまだ一人で上手く出来
ない E ちゃんに、
「てつだってあげようか」と、優しく声をかける H ちゃんの姿がありました。E
ちゃんもそんな H ちゃんの言葉が嬉しくて「うん」と頷き二人で一緒に着がえをする場面が見ら
れました。お手伝いされる側もする側も、なんだかとっても嬉しそうでした。また、給食の場面で
箸箱を上手く開けられない友だちを見て、「開けてあげようか」と声をかける K 君や H 君がいまし
た。まだまだお当番活動には発展していませんが、子どもたちの仕事への憧れの気持ちは大事にし
ていきたいと思っています。
みんなと一緒に楽しめるあそびから ~かっぱおやじのお話~
9 月に入り、大好きな毎日のプールが終わってしまったことや、クラスのリーダー格だった子が転園
してしまったことも重なったのか、ようやく落ち着きを見せ始めていた子どもたちが、なんとなく落ち
着かなくなっていました。すぐにお友だちに手が出てしまったり、自分のことばかりで相手の気持ちを
考える余裕が見られなくなっていました。お手伝いを通して、自分たちの事は自分たちでしていける姿
が誇らしいと感じているようにも見えましたが、みんなの憧れだった友だちがいなくなったことは子ど
もたちには大きな不安につながったのか、少し悪い方向へ流されている感じが見られました。そこで「み
んなでワクワクドキドキする活動を共有しよう!」「子どもたちの気づきやささやきを丁寧に受けとめ
ながらみんなの中に返していこう」と、考えました。絵本が好きな子どもたでしたので、特にお気に入
りのカッパおやじの絵本を通して、カッパおやじのお話を広げながら運動会に向けて取り組むことにし
ました。そしてかっぱおやじからの手紙から、イメージの世界を共有しながら遊びを広げていくことに
しました。
2-5-2-1
10月1日カッパおやじから手紙が
朝の会の時に「あ!!みんなに知らせたいと思ってたことがあったんだった!!」というと、子ども
たちは「なになに?」
「どうしたの?」と耳を傾けてくれました。
「先生の家にね、手紙が来ていたのよ!」
と話すと、子どもたちは「誰から?」
「ねずみばあさん?」
「かっぱおやじ?」と、すぐにピンときた様
子。
「あのね、昨日ね、先生の家にかっぱおやじから手紙が来たの。すみれさんへって書いてあった」
と話し始めると、目をまんまるにして聞く子や、少し不安そうな表情を見せる子どもたちもいました。
「あのね、いつも、長いかっぱおやじの絵本を静かに読んでくれてありがとうってかいてあったよ」と
いうと、途端にホッとした顔で「かっぱおやじ優しいね」という声が出ていました。
「かっぱおやじね、
ひまわり園の場所が分からなかったみたい。だからね、先生が手紙を書いて、ここの住所を教えておい
たからね~」といって、かっぱおやじの本を読むと、どの子も最後まで集中してみている姿がありまし
た。
10月 2 日手紙が届く
部屋の時計に、緑色の手紙を貼り付けて置いたのですが誰も気づかないので、朝の会で運動会の全体
練習があることを伝え、
「時計の針が○○になったら・・・」とみんなに時計に注目させたところで、
「あ!
なんか緑のものがある!」と R ちゃんが気づき、みんなはびっくりしていました。手紙には、
「すみれ
のみんなへ。いつもかっぱおやじのえほんをよんでくれてありがとうな。ながいおはなしをよくきいて
いるな。すみれのみんなはとてもげんきだからだいすきだ。ケンカもしているようだな。いつもみんな
のことをみているぞ」
。
手紙はみんなのこころにとても残ったようで、運動会の練習後はみんなでかっぱおやじ探しの散歩に出
かけ、「カッパおやじの足あとかもしれない」などとイメージを膨らませながら楽しみました。
10月10日(運動会前日)
2度目の手紙が届きました。
「すみれさんへ。てがみをかいてくれてありがとうな。いえにもってか
えって、ゆっくりよんだぞ。あしたはうんどうかいがあるんだな。がんばれよ。どきどきするやつは、
こおりざとうをたべればゆうきがでるぞ。すいじんさまにおいてきた。
」
読み終えると、
「水神様だって~!!」とすぐにお散歩に行く気満々。出発し、水神様の階段を上る
と、木の上の方に、金のひょうたんと、緑の包み紙に包まれたものが引っかかっていて、自分たちで登
って取っていました。すぐに包みを開けてみると、氷砂糖が入っていて、
「これを食べれば勇気が出る
って書いてあったね!」と話すと、子どもたちの目がキラキラして見えました。氷さとうを口にした子
どもたちの心は、ウキウキで「手を使わないでここのぼれる!」と急な斜面の土手を登ったり、
「なん
だか元気がでた~!」と叫んだり、
「げんきもりもりで、早く走れる~♪」と、面白いダンスを始める
姿も見られ、みんなで笑いながらダンスを真似してみんな笑顔が一つになった瞬間でした。翌日の運動
会では、練習の時高いところが怖くてなかなかできなかった子がすんなり出来ていたり、運動会前は不
安でかなり揺れている子が巧技台の競技に参加できたりと、少し大きくなった子どもたちの姿を見るこ
とができました。
落ち着いたように感じられたけど・・・
運動会が終わった後は、子どもたちの様子がぐっと落ち着き、いつも衝動的でカッとなり手が出ていた
子が、手を出さずに口で伝えたり、噛みつきもほとんど見られなくなりました。ですが、落ち着いた様
に見えていた姿も、後半になるにつれて自分の思いが通らないと崩れてしまったり、製作でうまくでき
ないとくずれてしまったりと揺れる姿がありました。一方的な理由で友だちをぼこぼこにするまで手を
出してしまったり、一旦カッとなってしまうと自分を止められなかったりと気になる姿も出てきて保育
者もとても不安な気持ちになりました。クラスの中で一番気になったことは、友だちに対しての思いや
りが感じられないこと、
「強さ」をはき違えていることで、S 君や Y 君など自分と意見の合わない子に、
すぐに「ぶっ飛ばすぞ!!」など暴言を吐いて泣かせてしまうこともよくありました。何が子どもたち
をこんなに不安にさせているのだろうかと悩む日々でした。とりあえず、今できることをと思い、子ど
も達の揺れる姿に寄り添うように心がけましたが、あちらこちらで起こるトラブルに不安が広がってい
たように感じます。そこで、毎日の活動であるお散歩でわくわくできるように、森探検をしてみたり、
かっぱおやじからの手紙を計画していきました。
2-5-2-2
優しさの石・勇気の石
3月24日
ひさしぶりにかっぱおやじから手紙と場所を記した記号が届きました。
「もうすぐおおきいぐみにな
るんだな。おまえたちにとくべつにおおきくなるためにひつようないしをやる。もりにおいておくから
さがしてみろ。
」とのこと。みんなでわくわくしながらその場所に行き、探してみると1つの大きな石
が新聞紙にくるまっていて、中の手紙に「これはやさしさのいしだ。おまえたちのやさしさをひきだす
パワーをもっている。つぎは、○○にゆうきのでるいしをおく。
」と書いてあり、大きくて綺麗な石を
うれしそうに見つめる子どもたちでした。
次の日に同じ場所へ行き、たくさん探してみるとまた新聞紙にくるまった石が出てきて、今度は小さ
な石がみんなの人数分ありました。とても喜ぶ子どもたちで、とても大事そうに持っていました。
園に帰ってからも優しさの石や勇気の石を触ったりして、「パワーがわいてくる~」と言ったり、い
つもなかなかやる気にならない帰りの準備が早く終わったりと、少しは効果があった様子でした。
1年を振り返って
まだまだ行きつ戻りつの子どもたちですが、子どもたちの揺れる姿には大きくなっている自分とそう
ではない自分との間で「頑張りたいけど頑張れない」自分を感じての現れかもしれません。手伝い活動
では“自分も出来る”と、大人への仕事に憧れその活動が保障されていることが子どもたちの心に
「いっちょまえ意識」を膨らませていくことにつながって行く事を感じました。カッパおやじの活
動もみんなでわくわくドキドキしながら、イメージを共有し遊びを膨らませていくことが出来た事
はとても良かったと感じています。ですが、子どもたちが仲間の中で安心しながら気持ち良い関係
を作って行くまでには至りませんでいた。お手伝いの活動も、自分たちが主体的になり「自分の事
は自分で出来るよ」という活動になるまでにはもう少し時間が必要です。ですが、子どもたちが仲
間の中で気持ち良い関わり方を学んでいくためには、共感し合える楽しい活動が保障されることが
大切と言う事を改めて考えさせられました。3 歳児の誇りを育てるとい目標を掲げて取り組んでき
ましたが、子どもたちが自分の力を信じて主体的に活動に参加出来るためには、私たち保育者がど
んな眼差しで子どもたちを見つめ、具体的にどう働きかけていくかをこれからも職員集団みんなの
学びにつなげていけたらと感じています。
2-5-2-3
鹿児島子ども療育センター 事業報告(実践レポート)
Sくんの気持ちがわかったよ!
~
おみこしあそびを通して
~
田中 理佐
はじめに
鹿児島子ども療育センターは、平成26年4月から、児童発達支援センターへ事業移行をし、毎日通
園グループを実施しました。私は、その毎日グループの子どもたちの担任になり、子どもたちに“遊び
って楽しい”
“人とのことが大好き”と感じられるように実践をしたいと考えていました。しかし、毎日
の実践に追われてしまい、子どもの気持ちや願いを捉えにくく、目の前にいる子どもがしている遊びを
一緒に真似て付き合うだけになってしまい、なかなか子どもとの関係も深まらず、実践の手応えを掴め
ずに悩んだりすることが多くありました。1年間子どもたちと関わる中で、おみこしの実践でのSくん
との関わりを通して、私自身が手応えを感じたことを報告したいと思います。
(ぞうグループの様子)
年長児5名、年中児1名、年少児3名(計9名のうち、新入園児3名)の子どもたちに対して4名の
保育者で活動をしていました。自閉症や知的障害の診断を受けた子どもたちがほとんどで、発達段階は
およそ乳児期前半から後半です。表情や仕草、声などで自分の気持ちを表す姿やようやく視線が合うよ
うになってきた子どもたちでした。
1学期当初は、新入園児を迎え、新しい保育者や環境に慣れるまでに時間がかかり、活動中も落ち着
かない姿や泣きだす子がいると集団全体が不安になり活動が止まってしまうような場面も多くありまし
た。毎日登園し、生活を積み重ねていく中で、子どもたちも徐々に安心して生活できるようになり、遊
びの中でも好きな遊びを見つけて自分から遊ぶ姿も見られるようになっていきました。
(Sくんについて)
2歳で自閉症の診断を受け(熊本)
、鹿児島市に転入しゆめわかばを経て療育センターに移行し3年目
で年長になりました。睡眠障害があり、生活リズムがつくりにくい姿や偏食があり特定の食べ物(カレー)
しか食べることができない姿がありました。人との共感関係もつくりにくく、一人あそびが多い姿や大
きな集団は苦手な様子(その場から離れてしまう)があり、身体をめいいっぱい使って遊ぶトランポリ
ンやブランコなども苦手な姿がみられました。
「ぼくもやりたい!」~ おみこしあそび ~
3学期になり、就学をしていく年長児の子どもたち(5名)に、大きくなった喜びを身体や心を通し
て感じてほしいと思い、おみこしの活動(スタッフがおみこしを持って、子どもが一人ずつ乗る)に取
り組みました。
子どもたちは保育者が「ワッショイ、ワッショイ!」と元気よく運んでみせると、
“遊びたい”、
“乗り
たい”といった様子で自分からおみこしに興味を示して近づいていきましたが、Sくんだけはおみこし
に乗る子どもたちの姿を見てはいるものの、近づかない姿がありました。保育者がおみこしを「ワッシ
ョイSくん、ワッショイSくん」と言いながら、Sくんの目の前に運んでみせましたが乗ろうとはしま
せんでした。けれども、他の子どもたちが乗っている姿を見てSくんから「ワッショイ、ワッショイ」
といったり、時間が経つにつれて、おみこしに手で触れてみたりする姿がありました。
その姿を見て私は、
『Sくんは、本当はおみこしに乗りたい気持ちがあるけれど、心の中で葛藤してい
るんだ!Sくんもみんなと同じように乗れるようにしたい!』と思いました。
同時に「なぜSくんはおみこしに興味を持っている様子があるのに、乗ろうとしなかったのだろう」
3-1-1-1
と疑問に感じました。おみこしに魅力を感じなかったのか?そもそもおみこしとは何か分からなかった
のか?初めて見るものだから?おみこしが上下に揺れるから怖かった?自分にはできないと感じたの
か?・・・・などSくんのその時の気持ちを考えました。
これまでSくんとの関わりを振り返る中で、動物のぞうが好きな姿がありました。運動会では30周
年記念事業で取り組んだ「ぞうれっしゃがやってきた」をテーマに、大きなぞう(キャスタ―が付いた、
子どもが5人程乗れるぞう)で遊んだこと、そのぞうには高さがあっても自分から乗っていく姿があっ
たことを思い出しました。まずは、Sくんが“乗ってみたい”と思えるように、おみこしをぞうの形に
改造しました。2回目のおみこしの日、Sくんが自分のテンポでおみこしに向かうことを大事にしたい
と思い、個室にSくんだけを呼びました。
Sくんの気持ちがわかったよ!!
Sくんは、ぞうのおみこしをじーっと見ておみこしに自分から触ったり、自分から乗ってみようとお
みこしに足をかけようとしたり戻したりしていました。そのSくんの姿を見て、気持ちがもっとワクワ
クできるように何かできないか考えていると、
「ぞうれっしゃがやってきた」のうたが好きだったことを
思い出し、元気な声で「ぞうれっしゃ」の歌を口ずさみました。Sくんの表情がみるみる明るくなり「ぞ
う!」と言って、自分から乗っていきました。私は、
“Sくんが乗った!!”と感動し、胸が躍るように
嬉しさを感じながらも、ゆっくりと慎重に関わろうと自分にいい聞かせました。Sくんは不安定な所が
少し苦手な姿があったので、歌を歌い続けながら最初はおみこしを持ちあげずに床に付けた状態でおみ
こしをグルグルと回してみました。Sくんが嬉しそうな笑顔になってきたので、もう一人の保育者と慎
重におみこしを持ち上げ、上下にゆっくりと動かしました。Sくんはおみこしに乗れたことがとても嬉
しかった様子で、スタッフが口ずさんでいる歌に合わせて「♪ぞうれっしゃよ、いそげ~」と歌ってい
ます。また、おみこしの楽しさがわかり、
「ワッショイ、ワッショイ」と言っておみこしに乗りたいこと
を何度も伝えてきました。自分から自分のしたいことを要求してきたSくんの姿に驚きとうれしさをと
ても感じつつ、私も一緒に“楽しい”という気持ちに共感しながら時間いっぱい付き合いました。
次の日には、Sくんが一番に乗ることを保障することで、友だちがいる中でもおみこしを楽しむSく
んの姿がありました。年長児の子どもたち全員がおみこしに乗ることをとても楽しんでいたので、保護
者や年中児以下の親子にも、法被(はっぴ)とねじり鉢巻きを身に着けておみこしに乗る姿を披露しま
した。Sくんは「ぼくってかっこいいでしょう」と言わんばかりの表情で乗っており、友だちがおみこ
しに乗っている間も誇らしげな表情をしながらじっくり見ていました。
おわりに
おみこしの実践以来、Sくんは私に「わっしょい(して)
」と何度も要求する姿が増え、Sくんが“一
緒に遊ぼう”と向かってくれることが多く見られるようになりました。
これまで、子どもから言葉で“○○がしたい”と教えてくれる訳ではないので、私が試行錯誤しなが
ら遊んでも表情に表れにくく、何を考えているのだろう、私と一緒に遊ぶのが楽しくないのかな、私は
何をしたらいいのだろう、分からないなどと思い落ち込む日々がありました。そのため、子どもとしっ
かりと向き合えませんでした。
しかし、この実践を通して、
“子どもの願いを実践の中心に据えながら実践することって、こういうこ
となんだ!”
、日頃から“子どもは可能性のかたまり”と言われている意味がわかりました。子どもの願
いを保育者が見逃さずに、どうしたらいいか考え悩みながらも実践することで、Sくんがおみこしに自
分から乗って笑顔で楽しんでいく姿を見て、私自信も本当に嬉しかったです。子どもは大人に自分の思
いや願いを受け止めてもらい、自分の可能性を引き出してくれる存在の人を好きになっていくことも気
づけました。これからも子どもたち一人ひとりの思いに寄り添えるようにしていきたいです。
3-1-1-2
事業報告(実践レポート)
~不登所のなかまのケースから見えた、一人一人の居場所、役割とは?~
いきいきセンター麦の芽
内村俊二
1. はじめに
いきいきセンターは、平成 10 年の開所当初は定員 20 名でしたが、様々な制度の変動によ
る定員の緩和などもあり現在 32 名のなかまたちが通所しています。
昨年度は、様々な事情から作業班の編成が5つから4つに変わりました。そういった変化も
含めて、不登所の状態になった方が数人いました。
そこで今回は、なかまたちの不登所につながった経緯とそれぞれのなかまたちへの支援の経
過から今後大事にしていかなければならないことは何かみんなで考えてみました。
2. 経過及び背景
現在通所しているなかまは、開所当初から在籍している方、養護学校を卒業後に入所され
た方、他の施設から移動されて来た方など様々な経緯を経て皆さんいきいきセンターへ通っ
ています。
そんな中、増えて来たなかまの人数とそれに伴う支援するスタッフの人数の増加による人
間関係の変化、手狭になる作業スペースやトイレの不足といった設備・環境の問題などな
かま一人一人を取り巻く状況が大きく変化してきました。
そういった経過と体調面や生活上の問題など個別の事由もあって、人間関係の不信や置か
れた環境への不安、不満が原因と考えられます。そして、昨年度実施した作業班の編成を5
つの班から4つの班になったことにより、一つの班の人数が増えたことが大きな要因と考え
られました。
3. 不登所の傾向が見られたなかまのケースから
① A さん(64 歳、男性)
 加齢や生活環境の変化に伴う優れない体調と意欲の低下
 作業班の中で薄れる役割の実感
 なかま同士の関係の変化(年長者として周囲からの敬意を実感できない不満や不安)
② B さん(35 歳、女性)
 慣れないホーム生活の中から生じる悩み
 人間関係の不信〜スタッフ対応への不足感、不満感
 マンネリ化(変化を実感できない不安、不満)する作業内容
 何かわからないけど通所できない~実感できない役割(喪失感)
③ C さん(57 歳、男性)

新規通所者~当初は意欲的な姿勢でいきいきと通っていたものの、徐々に通所日数が
減少していく。

なかま同士の騒動に対する受容の困難(トラブルからの回避)
4. スタッフ間で大事にしてきた援助の姿勢(基本的な考え方)
① 安易に通所再開を促さない。
② 不安、不満を共有する
③ 家庭訪問や電話、メールによる頻回な連絡関係の保持
④ 段階的な通所再開

半日出勤など時間を制限しながらの通所保障

個室(個別)でのマンツーマン対応
⑤ なかまたち一人一人の居場所をしっかり作る
(座席の位置、荷物を置く場所、役割つくりetc…)
5. 支援の経過から変わってきたこと
不登所の状態にあったなかまたちが、少しずつ不安や不満と向き合いながら精神面での不安
定な状態が整理されていきました。
そんな中、緊密な連絡関係の継続と、無理のないペースを大事にして個別での作業活動への
関わりを行ったことで、人間関係への不信といきいきセンターの中での居場所の実感を再び
回復することが少しずつできてきました。
6. さいごに~今後について
不登所になったなかまに支援する中で、一人一人が自分たちの役割、居場所を実感できな
いことが起因して不安や不満を膨らませてきていることを改めて認識することができまし
た。なかまたちそれぞれの問題が解決されたわけではなく、同じような経過を繰り返すこと
もあるかも知れません
これからはなかま一人一人に焦点を向けて、その人に合わせた仕事づくり、役割づくりをス
タッフ間の連携、共有を深めながら、今後もなかま達への支援を進めていきたいと考えま
す。
アクティブセンタードリームありのまま 事業報告(実践レポート)
「認知症のなかまから学ぶ」
谷元 淳二
はじめに
現在ありのままの就労支援B型では 21 名のなかまが在籍していますが、その内の 12 名が 60 歳を超えており、
なかまの高齢化が進んでいます。その中でも、認知症の症状が進んでいる I さんのケースの報告と、そしてそ
れに対して行ってきた実践を通して学んだこと、今後どのように支援していくかをまとめてみました。
1.Ⅰさんの紹介から
Iさん 年齢 78 歳 女性
障害名:疾病による右股関節の機能全廃、左股関節の機能の著しい障害(3 級)及び左手全指の著しい障害、
認知症
事故にあうまではラーメン屋やクラブ等を経営しており、働くことが大好き!「ありのままで陶芸をするのが
生きがいなのよ!」といつも笑顔で教えてくれます。人から何かしてもらうと深々と頭を下げ、「ありがとう」
と何度も繰り返す等、礼儀正しく、なかまやスタッフに対してもとても優しく接してくれます。認知症が進み、
以前は一人暮らしをしていましたが現在は他法人のグループホームで暮らしています。
2.認知症の症状から起こった出来事より
事例1:買い物が大好き!
買い物が好きな I さん。本部前にある食べ物を見ると、どうしても欲しくなってしまいます。しかし本人が
買ったことを忘れてしまい、腐らせたまま部屋に放置されていることがありました。そのことで一時はホー
ムの方から、「買い物遠慮してもらいたい。」との連絡がありました。ただやはり、本人の生きがいを守りた
いという気持ちから、生物は買わない、買い物をした日は必ずホームまで、何を買ったかを連絡するという、
連携という形で I さんの生きがいを一つ守ることが出来ました。
事例2:あれは私の〇〇だから!
テーブルから見えるコーヒーカップを指さし、「あのコップは私のだから、あれでコーヒーをちょうだい」と
言う I さん。しかし、それはスタッフが自宅から持ってきた物でした。
「確かに昔 I さんが使っていたコップに似てますね!でもあのコップはスタッフの〇〇さんの持ってきた物
ですよー。」と伝えてもやはり納得できるものではなく、「自分が休んでいる間に盗られた!」と言うように
なり、そのやり取りが何度か繰り替えされることで、周りのなかまからも「しつこい!」「いいかげんにし
ろ!」という声が挙がるようになりました。
さすがにそのままにしておくわけにもいかず、後日 I さんの席をコーヒーカップの見えない位置に移動させ
てもらうことで、一応の解決となりました。(その後、そのコーヒーカップのことに触れることはなくなりま
した。
) その他、別のなかまが作った陶器を自分が作ったと思い込んでしまうなど、症状は進んでいます。
3-4-4-1
事例3:トイレはさっき済ませて来たよ
最近はトイレの失敗も増えてきて車いすや送迎車を濡らしてしまう I さん。こまめにトイレを促すのですが、
中々タイミングが合いません。「トイレはさっき済ませてきたから。」と言われた直後に失敗ししまうことも
しばしばです。
オムツは本人が拒否されるため、ホームと連携し、送迎前は必ずトイレに入ってもらう、ありのままでも定
期的に、半ば強引にでもトイレに入ってもらっています。その際、「トイレくらい自分でできるのに・・」と
悲しい顔をされることがあります。ここではスタッフも対応に葛藤します。
3.Iさんの現状をどうとらえるか
ありのままでは本格的な認知症のなかまはIさんが初めてのため、対応に悪戦苦闘、試行錯誤の毎日でした。
まず気を付けた点は、Iさんが計り知れない不安・寂しさを感じているであろうことから、同じことを言わ
れても始めて聞いたように対応する、頭ごなしに否定をしない、出来る限り柔らかい口調で話しかける、ト
イレの手伝いには少しでも安心できるよう、付き合いの長いスタッフが対応するなど、Iさんの尊厳を出来
る限り尊重することでした。こうした今の支援の仕方で本当に正しいのか?という中で、Iさんの「いつも
ありがとう、私はありのままが大好きよ。」という言葉に嬉しさと、今のやり方は間違ってはいないのだと救
われる思いがします。
4.Ⅰさんから学んだこととこれから
物事を忘れ、記憶障害が現れているIさんの現状を、「かわいそう」と思う反面、私たちが気づいたこと。そ
れは、Iさんが何かをしてもらったら、必ず「ありがとう」と頭を下げる事。認知症になっても、普段よく
口にしていた言葉は残るといいます。この言葉こそ、Iさんがこれまで素晴らしい生き方をされてきたとい
う証だと感じました。
また、
「昔はラーメン屋とクラブを経営していた」と繰り返したり、出来のいい陶器を見かけると「私が作っ
た」と言ってしまうことも、逆にIさんにはこんなにも自分の人生に誇りに思えることがあるのだと羨まし
く思い、その人の人生から学ぶということをⅠさんから教えてもらっていると思います。
日に日に認知症の症状が進んでいる I さん。自分の記憶力が低下している自覚もあるようで、時折とても不
安そうな表情をみせます。Iさんの中で1番にある、「ありのままをずっと利用したい・陶芸を続けたい」と
いう願いをこの先どこまで、どのような形で支援していけるのか。今後もホームとの連携を大事にし、認知
症に対する勉強会を開くなどしてスタッフひとりひとりの知識と理解を深めていくことで、これまで以上に
Iさんの気持ちに寄り添い、彼女の尊厳を守っていけるような支援をしていこうと思っています。
3-4-4-2
総合支援・共同マイペース、ほっとスペース
事業報告(実践レポート)
「共同マイペース、ホットスペースの取り組みを通して」
はじめに
私(たち)は人(他人)を変えることはできません。しかし、他人の力を借りながら、私で
わたしを変えることができます。
2004年(平成16年)7 月「ほっとスペース」1年後の2005年(平成17年)
8月「マイペース」の「特別作業所」が、法人のその他の自主事業としてスタートし
ました。
当時の資料に、事業内容 ⇒ 不登校(所)、ひきこもり、心理的な手当を必要としてい
る人達のほっとできて、マイペースでいられる場とあります。
これまでも、なかまたちの願いから、なかま(集団)、拠点、実践スタイル、具体的な
すすめ方とその意味を学び、教えられ確認しながら取り組んできました。
「青年・成人期、高齢期のなかまたちの共同マイペース・ほっとスペース」の取り組
みを通して学んだこと、感じたこと、思ったことを報告します。
1. 共同マイペース・ほっとスペースについて 〝あり方とやり方〟
1.名称種別
2.なかま(たち)
の願い
あきひろ
プロジェクト
ひたり隊
共同マイペース
5 人の
M さんと
やさしい喫茶店
ホットタイム
「人間として
「人とつながって
「自分らしく」
「かけがえの
役割と存在を実
生きたい」
「人と仲良くな
ない自分を感
感したい」
「嫌いじゃない自
りたい」
じたい」
「見捨てないで
分になりたい」
「物を投げた
「自分が溶け
り、壊したり、
てなくならな
人を殴りたくな
いように」
ほしい」
い」
3.願いに応じた
実践スタイル
(柔軟に)
実行委員会
風
カフェ 風
話合い
風
(その時の雰囲気、
と表現活動
対話
風
空気でのおしゃべ
り)
4 願いに応じた
開催概要
① 参加者(数)
②場所
①なかま(1)、援
①なかま(3)、援助
①なかま(2)、援
なかまと援助
助者、ファシリテ
者、ファシリテー
助者、ファシリ
者の 1 対 1
ーター
ター
テーター
(3 名~10名)
(3 名~6 名)
(3 名~5 名)
「みんなの1番
「希望館」
「つばさ2階」
「稲音館」
館」なかまの移動
(ホームの一室)
ホームにたまり
自然を楽しむ
のし易さから
すぐ集まれる
場ないそこで、
いい風景
法人・みんなの
建物で
③日時(回数)
週1月
午前
週 1 水か木
半日
週1金
夕方
週1金
午後
その他
定期、
不定期の支援・活動
・入院訪問支援
・入居先訪問支援
・入院中の本人、家
族等への個別新聞
づくり
5. 具 体 的 な す す
本人の意思に従
不安や願いを安心
ことばや絵画で
散策しながら
め方とその意味
っての感情交換
して言える。また
いいとこさが
無駄話をつく
や理解交換のや
否定から⇒
し。出来事をお
り、無駄話を聴
りとり
自己肯定感をつく
互いに振り返っ
く
る
たり、理由を考
えたりしながら
規範形成
6.エピソード
〇「今更仕事はし
〇「フェスタで舞
〇「パニックを
〇無駄話の中
たくない」と本
台に上がったが、
起こして人にあ
で・・・。
人。しかし、入院
途中音がうるさく
たってしまうS
一人暮らしの
中の母のためな
て幻聴がきつかっ
さん。(パニック
大変さや、経済
ら。「未だ病床に
た」フェスタの良
が伝染してしま
的なやりくり
ある母を激励す
さはいつもと違う
う)何故自分を無
に困っている
るためのコンサ
場所。でも長くは
視するのか?意
こと。みんなは
ート」を開催。
無理。⇒幻聴が自
味が解らない。
」
どうやりくり
〇「母を病院では
覚出来るようにな
話し合いの中で
しているのだ
なく家で死なせ
った自分と入院し
「なぜSさんは
ろうか?
たい」焦り、切羽
なくなった自分が
そうなるのか?
⇒本当に困っ
詰まった思い、行
すごい事。
パニックを起こ
て、はじめて話
動から「家族を分
〇「好きな人が他
すのか」という
してくれまし
裂させるために
の人と喋ると嫉妬
テーマで話し合
た。
やっている」
してしまう。
」嫉妬
う。⇒すると、
⇒本当は辛い、悲
する自分が嫌。
本人たちも大変
しい、孤独。
でも、その人のこ
なのに、Sさん
しかし、毎回開催
とが好きだから他
のパニックを起
の意思を聴くと
の人としゃべって
こす理由,その
「やりたい」と
ほしくない。
ためにどうした
〝あきひろプロ
⇒嫉妬は好きにな
らいいかを自分
ジェクト〟は 2
る許可書。好きに
のことではない
年間続いている
なった証明書。
のに、
一生懸命 S
さんのことを思
いながら話して
くれた。
7.実践の難しさ
(援助者としての
繋がっていくうえ
・本人が周囲に
実は無駄話こ
基本ですが)最後
での生きづらさを
分かってもらい
そ一番難しい
まで話を聴く(忍
理解・共感する。
たい事は何か?
ということが
耐強さ)本人の言
・Kさん話を聴
わかった。
葉と思いの違い。
いて→出来たこ
をもっと深く理
とを、経験した
解・共感する。
ことを人に伝え
る事が、本当に
難しいというこ
とがわかった。
おわりに 〝何ができるか というより、どんな存在になれるか〟
ある日、こんなことがありました。
調子を悪くしながらも参加してくれたなかまのTさん。いつもの場所とは違う入り口
近くの壁側に座りました。暫くしてなかまのMさんがそっとTさんに寄り添うように座
りました。(Mさんもいつもと違う場所に)不思議な感じで、でもMさんがTさんにぴっ
たり寄り添うように。何か“ことば”をかけるでもなく、“背中をさする”でもなく、
ただ、ただ側にいるだけ。そんな風にみえました。もちろんMさんはTさんが調子を崩
している事は知りません。こんな時の私は、ついつい「どうしたの?何かあった?」と、
せっかちにその訳を知りたがり、知識や技術的なものをもって何か言ってあげなければ、
励ましてあげなくちゃと思いがちでした。
しかし、MさんがそっとTさんに寄り添うよう姿を見たとき、待つこと、見守ること
そして、悲しみのまた喜びの分かち合いが大切なのだと思いました。ただその人の側に
いる事。たったそれだけのことが、どれだけすごいことなのかMさんの姿に教えられま
した。
むぎのめ訪問看護ステーション 事業報告(実践レポート)
はじめに
当ステーションは平成15年7月末開所し、スタッフ3人から始まった。当初から受け持ち制をとら
ず、誰でも入れるよう職員会議で情報共有に力を入れてきた。利用者の障害や疾患、薬、かかりつけの
病院やリハビリ、福祉サービス、家族のこと、作業所のこと、人間関係、パーソナリティ、生活習慣そ
の他もろもろを把握(理解)した上で看護計画を立て実践していた。そのなかでスタッフの年齢やスキ
ルにばらつきがあること、医療の進歩や制度の改定に伴いタイムリーな情報や知識、技術を持つ必要が
あることなどから平成 16 年頃より研修や勉強会を計画的におこなってきた。内容や方法については試行
錯誤しながら自分たちなりに工夫して現在に至っている。今回は事業所内で行っている勉強会にしぼり
振り返りをおこない、より充実した勉強会につなげていけるようにしたい。
1
勉強会の推移
【期間、方法、実施結果及び見えてきた課題】
① (開所~平成 16 年 11 月)
■勉強会は特別行なっていなかった。■
職員会議の中で利用者の状況報告と計画立案、評価および連絡事項の共有をおこない、しっかりとし
た勉強会というものは行えていなかった。業務上必要な情報はそれぞれが本などで調べる程度。
(パソコ
ンなどインターネットがまだ充分活用できなかった。
)
■課題■
スタッフのスキルにばらつきがあり、スタッフ自身も勉強会の必要性を感じるようになっていった。
② (平成 16 年 12 月~平成 26 年 2 月)
■月に 1 回の勉強会を行なう計画を立てる。スタッフが持ち回りで講師役をする。■
テーマについてはタイムリーなものがメインであったが、基本に帰って記録の書き方や解剖・生理学
や看護技術をおこなったり、テーマに詰まった時は職員会議の中で提案してもらったりして決めていた。
また、講師役のスタッフが苦手なもの(例えば記録の書き方など)をあえてテーマにしてもらうことも
あった。勉強会の資料については管理者に事前に提出してもらい、誤字脱字、文章などの添削や補足を
したりして担当スタッフに返すようにした。また、質問に対しても準備をしておくように伝えた。事務
担当のスタッフにも参加してもらい介護報酬改定や事業所の経営状態の見方などをテーマに勉強会をし
てもらった。年度計画ではそれぞれが年 1 回ずつは勉強会をするようにし、それ以外の月では法人内の
施設見学や研修計画を立てた。勉強会の時間は約 1 時間程度とした。とても中身の濃い勉強会ができた。
■課題■
10 年近く続けてきたが、年に 1 回でもスタッフにとっては負担感があるとの意見があった。
(テーマを
考え資料作り、事前に管理者へ提出、勉強会を行い、質疑応答までおこなう)時には難しすぎて教科書
的な説明で終わってしまったり、内容を掘り下げすぎて実用的でなかったりすることもあった。マンネ
リ化してしまった感もあるので、もう少し、ラフな感じでできないか検討した。
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③ (平成 26 年 3 月~平成 27 年 3 月)
■月に 1 回の勉強会、
『2 分間スピーチ』と題して全員がタイムリーなものや気になるテーマで話をする
形式に変える。■
一人 2 分程度(内容によっては少し超えてしまうこともあり)で発表し、質疑応答の時間を設ける。
今まであったテーマは認知症・飲酒・騒音性難聴・老眼・リフレッシュ・とろみ剤・花粉症・看取り・
歯、歯周病・変形性質関節症・高齢化社会と寝たきり・ディスカンファレンス・脱水・癌・コミュニ
ケーション・C型肝炎・胆石症・肩こり・腸内細菌・免疫力・骨密度など。新聞やテレビ、雑誌、利
用者の情報・状態からヒントを得てテーマを決めている。時には訪問看護と直接的に関係のないテー
マもある。それも良しとした。準備や気持ち的な負担が少なくなったというスタッフの声があった。
テーマがダブることが何度かあったので発表のテーマが早めに決まったら壁に貼ってある用紙に書
いてもらう。内容がダブらないように気を付ける。内容が多岐にわたり、興味深く聞くことができた。
■課題■
時間の関係で全員が発表して質疑応答のみで終わってしまう状態。深く掘り下げるまでには至らな
かった。発表者の人数を検討する必要があった。
④ (平成 27 年 4 月~現在まで)
■月に 1 回の勉強会、発表者を 4 人にする。■
発表者を 4 人(スタッフ 8 人を半分に分ける形にした)とし、質疑応答の後、時間をとってディスカ
ッションを行なう。勉強会の後、職員会議を行うため勉強会は 30 分程度にしているが、とても有意義な
時間になっている。
2
まとめ
看護師は看護師という資格(土台)があり、その上にそれぞれが豊富な経験を持っている。互いの良
い所と苦手な所を明確にし、時には基本に戻ってとか、知っていることのプラスアルファをテーマにす
ることもあり、お互いのスキルを高め合うことに役立っている。また、看護師は一般的に数字(経営な
ど)が苦手とされており、私たちも例外ではなかったので経理担当のスタッフにも講師を務めてもらっ
たこともあった。経理担当のスタッフは医療や看護その他、あまり業務に関係のないテーマでも勉強に
なると積極的に参加している。勉強会において特に心がけていることは誰でも自由に発言できるような
フランクな雰囲気にすることである。今後も勉強会の形は変化するかもしれないが、これからも受け身
にならない勉強会を行い、実践に繋げていきたいと考える。
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