平成26年度 市民・前進 会派視察報告書 視察日程:平成26年11月4日(火)~ 6日(木)2泊3日 視察参加議員:幹事長 工藤倶二雄、松山哲男、高橋正美、成田昭浩 視察先・報告書担当議員・視察項目: ●東京都世田谷区下北沢オープンソース Cafe(11月4日 14:00 ~15:30 ) 報告書担当・・・工藤倶二雄 下北沢オープンソース Cafe の取り組みについて ●千葉県船橋市 NPO 法人情報ステーション(11月5日 10:00 ~12:00 ) 報告書担当・・・松山哲男 船橋まるごと図書館の取り組みについて ●千葉県船橋市立図書館(11月5日 13:00~15:00 ) 報告書担当・・・高橋正美 まちづくりと図書館について ●東京都 総務省(11月5日 16:00~18:00) 報告書担当・・・成田昭浩 地方創生に向けた取り組みについて ●東京都世田谷区 下北沢オープンソース Cafe 報告書担当:工藤倶仁雄 視 察 日 時:平成26年11月4日(火)14:00 ~15:30 対 応 者:リブライズプロジェクト 河村 奨氏、地蔵真作氏 【視察内容】 ・下北沢オープンソース Cafe リブライズ& ブックスポットについて 本の無償貸し出しを行っている「下北沢 オープンソース Cafe」を視察してきた。昔 から本の蔵書の場所はたくさんあるが、一 般的に本を借りるのには、公共施設での貸 し出しであり、行政で運営している図書館 である。しかし、今回はインターネットを 通して本の貸し出しをするもので、オープンソースブラウザーを通して発信し ている。 今回は、NPO 法人でその特徴を視察してきた。ここのキャッチコピーは「すべ ての本棚を図書館に」で、すべてはこのフレーズからブラウザーでの本の貸し 出しの世界を広げた。 まちの商店会の理容室・美容室にも本の スペースはある。もちろんヘアースタイル の本や週刊誌も置いてあるが車が好きで 車の蔵書があったり、近所の歯医者さんで は、小説が好きでたくさん文庫本があった り、お酒屋さんではお酒の本があるのは当 たり前だが、ご主人が工業デザインの学校 を出ていて工業デザインの本が並んでい たり、パン屋さんではパンについての本で はなく美術の本があったり、趣味で少女マンガを集めている個人や趣味の本を ずっとバックナンバーを集めている人がいる。なんでこんな場所に工学の本や デザイン、美術の本があるんだろう?で…ハッと気づく。オープンソースと同 じで、そういうまちにある本棚をリブライズしてどんどん公開していく。 私が自宅の本棚とか、職場の本棚をこのシステムに乗せるとすれば仕組みは 簡単だ。SNS からブラウザーを起動して市販されているスキャナー(3,000 円程 度)で本のバーコードをスキャンするとリンクしているブラウザーで本のタイ トルや表紙がアップされる。それを繰り返すとすべての所蔵している本がブラ ウザー上で掲示されて、インターネットを経由して世界の人が閲覧できる。借 りに来た人も登録をブラウザーで済ませる。アナログで公設図書館と同じ様式 の貸し出しカードも備え付けている。 一般の貸し借りの仕組みは SNS のアカウントとバーコードリーダーである。 借りたい本を書棚から選び出しスマートホンに表示されたアプリを「貸し出し 用カード」の代わりにして、それぞれのバーコードを「ピッ」とスキャンすれ ば貸し出し完了。この仕組みが「リブライズ」だ。 この作業だけで自宅の本棚がネットを通して図書館となり、お客様は SNS を 通してユーザー登録もできネットを通して本を探すことができる。2014 年7月 現在 6,000 か所 18 万冊を超え、正式リリースからわずか2年足らずだ。 ユーザーは、図書館を目的に蔵書したわけでないが、趣味や娯楽を通して収 集したコアな本もマニアには探し求めていた本なのである。ブラウザーを介し てバーコードを利用することによって本の管理や備品の管理にも役に立つ。ま た本は民間のブラウザーとリンクすることによって、本のタイトルや表紙の画 面がレイアウトされビジュアル的にも借りる方も貸し出す方もより便利なツー ルになっていると思う。 このシステムはプログラミングとも図書館とも関係のない、一般の人が素直 に「すべての本棚を図書館に」というメッセージを受けて図書館の環を広げて いった。こうした小さな図書館はいつしか「マイクロライブラリー」と呼ばれ るようになった。また 2013 年度には「セミパブリックな蔵書を貸し借りする関 係をつなげて本によるコミュニティを形成している点が秀逸である。」との理由 でグッドデザイン賞も受賞している。 プログラマーの二人がオープンソースをキーワードに図書の貸し出しシステ ムを開発した。たぶん「マイクロライブラリー」はいろんな場所に昔からあっ たと思う。現在では、登別でもアーニスや各支所や移動図書で行っていて、こ のシステムを用いて商店会やオフィス、自宅を「マイクロライブラリー」にさ せる事も可能だと思う。 現在図書館は大きな転換期になって いると思う。空いているテーブルや椅子 もネットで見ることも出来るし、インタ ーネットで貸し出す事が出来る図書館 では、休日後や連休に自宅で読みたい本 を検索し、予約して月曜日に借りる人が 多いみたいである。 図書館に行き図書に出会うのが今ま でであったが、これからはネットでの検 索やマチの商店にある図書館(マイクロライブラリー)が登別でも受け入れる日 がくるかもしれない。 ●千葉県船橋市 NPO 法人 情報ステーション 報告書担当:松山哲男 視 察 日 時:平成26年11月5日(水)10:00 ~12:00 対 応 者:NPO 法人 情報ステーション 代表理事 岡 直樹 氏、理事 成瀬麦彦 氏 【視察内容】 ・船橋まるごと図書館の取り組みについて 船橋市内を中心に周辺自治体に「民間図書館」の設置を目指すプロジェクト 「船橋まるごと図書館」の取り組みを視察してきた。その主体である NPO 法人 情報ステーションの岡代表理事から、コ ンセプトや具体的事例などの説明を聞 き、わが市における「民間図書館」設置 の可能性など、大きな収穫となった視察 であったと言え、それらの考えや取り組 み内容を報告する。 1.明確なコンセプトと考え!! 1) 「一緒に図書館を作ろう!」~「民 間図書館」設置の3要件 ①スペース(お店やマンションの一角、空き店舗や空き家など、本棚さえ 置けるちょっとしたスペース) ②寄贈本(本棚に眠ったままになっている本などを寄贈していただき、み んなで持ち寄りみんなでつくる民間図書館) ③ボランティア(自前の蔵書管理システムの使用で、小さな子どもから シニアの方まで気軽に参加)の3点である。これらによって、誰でも無 料で本を借りることができる地域の交流空間が、 「民間図書館」である。 2)「民間図書館」をまちじゅうに増やすこと~3つの役割!! ①短期的役割:福祉分野=ボランティアの活動の場(図書館でのボラン ティアの活躍は、居場所と生きがいを提供することになる) ②中期的役割:経済分野=地域情報の発信拠点(本の貸出だけでなく、地 域のお店やイベントなどの情報提供で、地域での消費、経済循環のポン プ役を果たす) ③長期的役割:教育分野=多世代の交流空間(色々な人と自然と触れ合 う環境を作り、地域全体で子どもたちをしなやかに育てる) 2.注目すべき取り組み!! 1)NPO 法人 情報ステーションが展開している民間図書館とは ・NPO 法人が運営する民間の図書館 ・誰もが無料で借りる事が出来る ・地域住民のコミュニケーションの場として活用の内容となっている。 2)図書館開設によるメリットとして ・誰でも無料で利用できる図書館で集客力アップ ・貸出⇔返却の図書館利用でリピーター化 ・公共性の高い図書館で地域のコミュニティの中心に を挙げている。 3)導入事例とシステム導入費は ・老人ホームのダイニングルームに200冊を蔵書し、入居者と地域住民 に無料開放し、入居者と地域住民との交流の場になっている。 ・駅前の飲食店の酒棚の一角に小説やお酒、料理の本を500冊蔵書。 ・システム導入の有無によって違うが、初期費用3万円で、月当たり30 円から50円/一冊の管理費、システム導入の場合は、5,000円/月 のシステム管理費がかかる。 3.感想 ・現在、周辺自治体も含め34か所 の民間図書館の設置状況は、明確な コンセプトに基づいた取り組みに よって、民間図書館の意義や理解が 深まっているからであろう。 ・大学時代の通学の往復4時間を要 した岡代表が、帰宅時には公立図書 館が閉館していて不便さなどを覚え たのが動機で、当初は手書きで民間 図書館への寄贈本を訴える中、プリントしたポスターを作成してくれた賛同 者が現れたりで、徐々に理解者が増えたようである。しかし、取り組んでか ら今年で10年を経て、数年前から収支が合うようになったとのお話を聞き、 19歳から取り組んだその思いと行動力に圧倒された。 ・本をテーマに、すべての世代が使える場所、日常的に顔を付き合える場、 交流のきっかけを作りたかったなどの思いを強く持ち、図書を介してサード プレイス(人が家庭や職場・学校での役割から開放され、一個人としてくつ ろげる場所)を作ろうとした思いが伝わり、本を媒体にした取り組みに共感 した。 ・4名のスタッフと小さな子どもから高齢者から成る約600名のボランテ ィアで運営し、ボランティア活動を通して社会復帰を目指す方もいるとのこ とである。様々な方々の居場所づくり、年齢を超えた交流の場づくりの必要 性を痛感した。 ・自分たちの本と図書館であるとの思いから、公立図書館よりも良い利用者 が多いとのことで、共有し合える仕組みづくりも大切と思えた。 ・図書館機能だけではなく、複合的な視点での取り組みは必要かつ重要なこ とと再確認できた。 4.市長への提起 ・当市の図書館は狭隘で老朽化しているが、新規建設は厳しいものがある。 図書館の利活用は大切なことからも、NPO 法人情報ステーションが取り組 む「民間図書館」のあり方も視野に入れた検討が必要と考える。 ・市内の空き店舗や空き家を使うことによって、商店街の活性化や地域コミ ュニティの拡充など、幅広い効果が考えられる。 ・家庭で眠っている蔵書による幅広い種類の本棚、特化した専門書が並ぶ本 棚などを置いた民間図書館を想像すると、温泉地区には温泉や活火山などに 関する書籍、登別地区には前浜で漁獲する魚介類に関する書籍、幌別地区に は湿原に関する書籍、鷲別地区には貝塚に関する書籍などと、特化すること によって、それを目当てに来る観光客も訪れるであろう。 ・もう一つの視察先の下北沢オープンソース Café の「図書館をはじめよう。」 をキャッチフレーズにした「リブライズプロジェクト」の取り組み(別項で 報告書)も包含した登別バージョンの民間図書館を検討し、市内至る所に図 書館の設置を構想すべきと提起する。 ●千葉県船橋市立図書館 報告書担当:高橋正美 視 察 日 時:平成26年11月5日(水)13:00 ~15:00 対 応 者:船橋市教育委員会 生涯学習部 中央図書館 館長補佐 宮平範行 氏 【視察内容】 ・まちづくりと図書館について 船橋市には、中央図書館、東図書館、 西図書館、北図書館の4つがあるが、西 図書館は、東日本大震災により平成23 年10月1日移転し、平成28年に新館 開館の予定であるが、このとき郷土資料 室は中央図書館に移設されている。4館 とも公設公営の図書館である。今回は、 このうち平成12年7月にオープンした 中央図書館を視察させてもらった。中央図書館は、4階以上の部分がマンショ ンとなっている再開発ビルの「ライブ2000」の2階、3階部分と1階の一 部に設けられており、敷地面積は、3,688.61㎡(所有権共有面積) 、 延床面積は、3,926.59㎡(図書館専有部分)となっている。 JR船橋駅南口の至近(船橋市本町4 -38-28)に位置し、ヤングアダル トコーナー(小学校高学年・中学生向け 図書の閲覧コーナー)、デジタルライブ ラリーコーナー(CD-ROMを簡単な 操作で視聴できる設備)、郷土資料室(船 橋市及び千葉県内の郷土資料等)、児童 資料室(児童書の貴重な研究資料の閲覧 室)、大型美術書鑑賞室などを持つ。 駐輪場は94台分(無料、バイク用6台含む)、駐車場は12台分(2時間 まで無料、一般10台、障がい者優先2台)用意されている。 市内にはオンライン化された4つの図書館のほか8つの公民館図書室、 39の移動図書館車ステーションがある。どの図書館、公民館図書室、移動 図書館車ステーションでも図書の貸出・返却ができる。図書の返却には、 「返 却ポスト」もあり、ここは24時間対応である。障がい者向けの宅配サービ スも行っている。 カーリルという仕組みもあり、これは千葉県立図書館や県内図書館にある 本などを検索できる無料のウエブサイトのようだが、公共図書館で予約でき ないという欠点もある。船橋市の図書館では、検索サービスを行っており、 携帯や自宅パソコンからも図書予約ができることとなっている。 レファレンス(相談)サービスも行われており、日常生活での疑問、趣味 や仕事での調べものや研究について、来館や電話での問い合わせに対応して いるとのことであった。 1年のうち294日開館し、火~金は9時30分から19時、土~日は 9時30分から17時となっている。休館日は、月曜日(祝日と重なった場 合は次の平日)、図書整理日(原則として毎月最終木曜日、祝日と重なった場 合は前日)、年末年始、特別図書整理期間となっている。 蔵書数は、293,994冊で、そのうち一般図書220,326冊、参 考図書12,239冊、児童図書47,677冊、雑誌13,752冊とな っており、年間の図書の受け入れ状況は、図書等(雑誌含む)15,512 冊で、購入雑誌タイトル数278点、新聞17紙である。また、座席数は、 233席、児童席28席、その他38席である。 保存年限が過ぎた雑誌等は、毎月第一日曜日に無償で市民に提供しており、 また、除籍した本を有効活用するため、毎年11月に、無償で市民に提供す る「リサイクルブックフェア」を開催している。雑誌リサイクルには50人 程度の列ができ、午後2時にはなくなってしまうとのことであった。 船橋市図書館サービス推進計画 (平成24年度~平成32年度) には、推進計画が目指すものとし て、 『市民の読書機会を提供する施 設として、その機能やサービス体 制の充実を図っていく。また、地 域の情報拠点として、市民の「読 みたい・調べたい・学びたい」に 応える図書館を目指す。これらを 実現するために5つの目標を掲げ て、積極的に取り組んでいく。』ということを掲げている。 5つの目標とは、 1.暮らしの中にある図書館を目指します 2.「調べると学ぶ」を応援する図書館を目指します 3.子どもの可能性を伸ばす図書館を目指します 4.「ふなばし」の今と昔がわかる図書館を目指します 5.協働と連携を進める図書館を目指します というものである。 特に、1については、市民の多様な生活スタイルに合わせ、 「いつでも、ど こでも、誰でも」本が借りやすく返しやすい図書館のネットワークや、サー ビス体制の拡充などを、効率的な図書館運営の中で図っており、また、図書 館ホームページなどの広報媒体を利用して、本に関する情報を発信し、読み たい本の見つかる図書館を目指している。 また、5については、市民に図書館事業への積極的な参加を求め、市民と の協働による市民とつくるふれあいのある図書館を目指すこととし、また、 公民館などの生涯学習施設や、市役所の他の部局が行っている市民向け事業 に積極的に参加し、各方面と連携する図書館を目指している。 計画を着実に推進するために、毎年度、計画の進捗状況を取りまとめ、達 成度を検証しているが、計画の進捗状況については、毎年度、船橋市図書館 協議会に報告し、協議会の意見を踏まえた上で、次年度の事業実施に反映さ せることとしているようである。 視察の中で、階段状の絨毯敷きの読み聞かせの部屋で、県の教職員だった 貞方氏から、読み聞かせの実演をして頂いたが、このようなことにも力を入 れているということだった。本とお話の会(全館毎週水曜日、土曜日→4歳 児から小学生対象)やえほんの会(全館毎月第一木曜日→0歳児から3歳児 とその保護者対象)、大人のためのおはなし会(3月→大人対象)など、多彩 に展開している。 また、視察の最後に、貴重資料として、歌川広重、十返舎一九、葛飾北斎、 菱川師宣などの船橋市に関係する貴重な資料を拝見させてもらった。一部コ ピーもあったが、素晴らしい価値あるものばかりであった。 中央図書館の郷土資料室には、船橋市及び千葉県と県内の各市町村に関す る郷土及び行政資料があり、古文書、浮世絵、絵図、地形図等の郷土に関す る貴重資料及び和書、医書等を含めた書誌学資料が所蔵されている。貴重資 料は、昭和21年の開館当時、古文書などが比較的廉価に入手できたため、 将来に備えての積極的収集を図り、現在にまで受け継がれているということ である。また、貴重資料については、「船橋市図書館所蔵資料展」(平成27 年3月3日~8日)を開催し年1回程度市民に公開している。 公立の図書館には、本を貸し出すということだけではなく、次世代にこの ような地域の歴史を伝えていく役目もあるということを、改めて確認したと ころである。 今回視察した船橋市立図書館は公設公営の施設であり、前回視察した武雄 市立図書館は公設民営であるが、両施設とも当然のことながら、公立図書館 が果たすべき役割はしっかり果たしている。運営方法やプラスアルファの機 能では違いがあったが、公立図書館の果たすべき基本的役割は十分にしてし っかり守られていた。一方、今回視察で訪れたカフェ図書館や情報ステーシ ョンなどの民間図書館は、本の種類や数で言えば全く足元にも及ばないが、 「居場所づくり」「専門的な部分 での情報発信基地」などの性格が あり、今後の「空き家」の増加や 本格的な少子高齢化社会を見据 えると、大変示唆の多いものであ った。 当市の図書館と民間とで知恵 を出し合うことで、少なくとも、 市民にとって居心地の良い図書 館機能は創造できると思ったと ころである。 ●東京都総務省 報告書担当:成田昭浩 視 察 日 時:平成26年11月5日(水)16:00~18:00 対 応 者:内閣官房副長官補付 参事官補佐 藤井延之氏 【視察内容】 地方創生に向けた地方自治体の取り組みについて 1.地方行財政を巡る状況について アベノミクスのこれまでの成果と 今後の日本経済の課題を踏まえ、日本 の望ましい未来像に向けた具体的な 政策の道筋について説明を受けた。 人口急増・超高齢化に対する危機意 識を国民全体で共有。経済成長に向け た絶え間ないイノベーション。個性を 活かした地域戦略と地域における「集 約・活性化」。社会を支えている、基 盤的な制度、文化、公共心などの重要 性を認識。 とりわけ、地域の活力を維持し東京への一極集中傾向に歯止めをかけるとと もに、少子化と人口減少を克服することを目指した総合的な政策の推進が重要 であり、国、地方、政府一体となって取り組む体制を整備する。さらに、国民 理解や世界への発信強化に向け、各省庁が積極的かつ効果的な展開を図るとし ている。 また、地方行財政制度の基本的な考え方では、経済再生の進展を踏まえ、リ ーマンショック後の危機対応モードから平時モードへの切り替えを進めていく。 経済再生と財政健全化の両立を実現するためには、地域が自らの将来を見据え、 地域の活性化、行財政サービスの効率化、公共施設等の統廃合、都市機能の集 積化、財源確保に向けて、積極的に努力していくとともに人口減少の経済社会 構造の変化に円滑に地方公共団体が対応できるような環境整備や地方財政の健 全化に向けた取り組みを加速して進めていくとのことであった。 地方行財政改革では、必要な地方の一般財源額を確保しつつ、地方の税収動 向等も踏まえ、早期に財源不足の解消を目指し、地方財政の健全化を図るとし ている。歳入、歳出の改革についても現状を踏まえ、国の取り組みと基調を合 わせながら効率化、健全化を図る。地方財政の透明性・予見可能性を高め財政 のマネジメントの強化を図ることが肝要である。 2.まち・ひと・しごと創生について 現在及び過去の地方創生・少子化対策は十分な効果をあげていないとし、そ の問題は、行政サービスにおいて、府省庁別の縦割りの問題や、地域の特性を 考慮しない枠にはめる施策やプロジェクト事業など、一律横並びの問題。多く の施策が自治体止まりで、浅く地域に浸透していない問題。一定の時間が必要 なのにモデル事業や単年度ベースでの政策など短期的な思考に留まっている問 題が十分効果があがらない要因と指摘している。 そして、今後の総合戦略の策定に は、時間軸、共同作業、同時進行の 3つが必要であるとしている。 ・時間軸、取り組みが急がれる緊急 的施策と中長期的な構造改革が必要 とされる中長期的施策の2本立て。 ・国と地方の共同作業、地方自治体 などの意見や提案を十分聴く、国は 財政面だけでなく人材面の支援展開 も重要。 ・社会増対策と自然増対策の同時進行、東京一極集中に歯止めをかけ、地方の 総合力を強化する。出生率向上を阻害する要因を除去する。これを同時に進行 する。 3.総務省の地方創生に向けた取り組みについて 人口急減・超高齢化を見据えた取り組みの方向としては、東京への一極集中 に歯止めをかけ、人の流れを変えること。魅力ある地域づくりを支援し、地域 資源や恵まれた生活環境を活かして多くの雇用機会を創出することにより、出 生率を引き上げ、50年後に1億人程度の安定した人口構造を保持することを 目指す。また、地域政策の方向は自治体経営から地域経営へとシフトされ、地 域経済の更なる好循環への取り組みが推進される。 4.所感 国の経済財政運営と改革における基本方針や地方財政の改革に向けた取り組 み方針、さらには、地方創生に向けた取り組みなど、先ずは基本的な考え方や 国の動向そして、先進地の事例などに注視することが重要であると感じた。 リーマンショック後の危機的モード=手厚い財政措置から、特別な措置がな くなる平時モードへと切り替えを進めていったとき、経済再生と財政健全化の 両立を実現するためには、地域が自らの将来を見据え、地域の活性化、行財政 サービスの効率化、公共施設等の統廃合、都市機能の集積化、財源確保に向け て積極的な努力、そして人口減少・高齢化等の社会構造の変化に対応できるよ うな環境整備や財政健全化への取り組みを推進していかなければならない。 集約とネットワーク化の考え方に基づき、近隣市町村と有機的に連携し地域 の活性化を図るため、定住自立圏を形成し圏域全体の経済成長の牽引、生活機 能サービスの確保・向上への取り組み、広域化に伴う役割分担や費用分担の研 究・分析をし、横の展開を促進する。地方交付税においては、頑張る地方を息 長く支援するという「地方の元気創造事業費」、「ふるさと納税」では一層の拡 充に向け、手続きの簡素化など進めている。これらも効果的活用が求められる。 まち・ひと・しごと創生に関する政策を検討する上での原則として、自立性、 将来性、地域性、直接性、結果重視があげられている。今後のまちづくり、政 策展開に向けた指針としてしっかり捉えることが重要である。また、自治体経 営から地域経営へ、地域経済イノベーションサイクルを意識した取り組みも重 要である。これら多くのヒントや可能性は、今後の検証・工夫、さらなる情報 収集、情報共有、そして積極的な取り組みによってのみ、我がまちのものにな るのだということを肝に銘じ、今後の活動に当たりたいと思ったところである。
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