第3 7 回少年の主張秋田県大会・最優秀賞 夢に向かって 能代市立

第3 7 回少年の主張秋田県大会・最優秀賞
夢に向かって
能代市立二ツ井中学校
3年 佐々木 杏 子
皆さん、一番最初に月へ行った日本人は誰か知っていますか。正解はかぐや
姫です。なんだ、と思われるかも知れません。実はかぐや姫の物語は、平安時
代の人が宇宙人を見たという経験に基づいて作られたという説があります。実
際に宇宙へ行った日本人は10人いますが、どの方もまだ月へは行っていませ
ん。
昔の人は宇宙人がいると考えていたようですが、皆さんはどうですか。宇宙
にはどんな星があるのか。地球以外にも生命体がいるのか。――私の夢は、そ
の問いの答えを見つけることです。
きっかけは、小学校4年の頃。国際宇宙ステーションに滞在していた宇宙飛
行士の野口聡一さんと、交信するイベントがありました。参加者の一人がこん
な質問をしました。「宇宙人を見ましたか。」すると、野口さんは「今は見てい
ないけどいずれ見つかると思う。自分は時間が限られているから、みんなが見
つけてね。」と答えてくれました。私はそのとき「自分が見つけたい!」と思い
ました。
そこから私は、引き寄せられるように宇宙にのめり込んでいきました。能代
宇宙イベント、銀河フェスティバル、宇宙少年団での活動、宇宙に関わってい
る人の講演会に参加したり、さまざまな体験をしたりしました。また、宇宙に
関する新聞記事を毎日切り抜き、それに自分のコメントを加えて、新聞切り抜
きコンクールに参加しました。
そんな中、中学校1年生の時、私は野口宇宙飛行士の講演会に参加し、4年
ぶりの再会を果たしました。感想発表で指名していただき、私は、かつて野口
さんから夢をもらったこと、その夢に向かって歩いている事を伝えました。す
ると、野口さんは「私は Don’t worry. Be happy. という言葉を大切にしている。
いつか一緒に働こう。待ってるね。」という言葉を下さいました。野口さんは、
初フライト直前のスペースシャトル・コロンビア号の大事故によってフライト
が無期限の延期になってしまった経験を話してくれました。
「もう宇宙に行けな
いかも知れない」という状況で、野口さんは一日一日自分ができることをしっ
かりこなしていったそうです。このような日々の中でいつも心にあった言葉が
「Don’t worry. Be happy.」だと言います。
「くよくよしないで楽しくいこう」と
いうこの言葉は、私の一生の宝となりました。苦しいとき、くじけそうなとき、
私も、この言葉を心の支えにするようになりました。
さらに私は、理数系を目指す中学2年生を対象にした「創造性の育成塾」に
参加しました。生物学者、天文学者、宇宙飛行士など専門分野を極めた先生方
のお話や、目標をもって学んでいる仲間たちと過ごした時間が、私に将来への
ビジョンをはっきりともたせてくれました。
夢をもつと、一日一日が楽しくなります。もっと知りたい、こんなこともし
たい、という気持ちが生まれます。夢の方から私に近づいてきて、たくさんの
チャンスを与えてくれているようです。今、私にとっては一日一日がとても充
実したものになっています。
「科学は一日一日の進化の積み重ね」であり、
「科学とは一人一人の小さな積
み重ね」であるとも言われます。人間の未知のものを知りたいという好奇心に
よって、科学は進歩してきました。私は、そういう人間の一人として何かした
い、科学の進歩に役立ちたいと考えています。
今年7月、宇宙船飛行士の油井亀美也さんがISS国際宇宙ステーションへ
向かいました。「亀のように一歩一歩しっかり歩めば夢を叶えることができる」
というメッセージが心に響きました。この出来事もまた、私に力を与えてくれ
ました。夢に近づく新たな一歩を踏み出したいという気持ちが私の中に強くな
っています。
これまでの経験から、努力しても報われないこともあることを私は知りまし
た。でも、強い気持ちと大切な仲間がいるとその努力は決して無駄にはならな
いということもまた知ることができました。私にはまだまだ足りないところが
たくさんあります。初心の心、そして私を応援したり励ましてくれる方々への
感謝の気持ちを忘れず、夢に向かって努力し続けたいと思います。Don’t worry.
Be happy.この言葉を忘れずに。