四半期別県内GDP速報の推計と課題

四半期別県内GDP速報の推計と課題
兵庫県企画県民部
(統計課・ビジョン課)
芦 谷 恒 憲
講義のあらまし
1
2
3
4
5
QE作成の目的
QE試算と推計結果
QE推計方法と問題点
QEの利用と課題
(補論)生産関数を用いた将来推計
2
1 QE作成の目的
GDPデータの早期提供(18ヶ月→3ヶ月)
四半期地域経済データ提供(景気の山谷判
定)
景気判断資料の提供(水準と方向)
3
QE作成のニーズ
庁内(経済の現況判断資料)
シンクタンク等(景気指標・景気見通し資料)
大学研究機関(経済構造分析資料)
4
他の経済統計との比較
四半期別県内GDP(経済全体の動向)
鉱工業指数(製造業生産動向)
景気動向指数(経済活動の方向性)
毎月勤労統計(雇用・賃金の動向)
5
QEデータでわかること
最新年度(暦年)値がわかる
四半期別推移がわかる
需要項目別の寄与がわかる
国QEとの水準、方向性との乖離
6
年度別の推移
年度別実質経済成長率の推移(全国・兵庫県)
%
8.0
全国
6.6
兵庫県
6.0
4.0
3.7
2.2
1.9
1.8
2.0
0.0
3.4
1.8
1.5
0.1
▲ 4.0
▲ 1.3
▲ 3.7
▲ 6.0
平成16
平成17
18
1.0
1.0
▲ 0.1
▲ 0.5
▲ 2.0
2.1
19
20
0.4
▲ 2.0
▲ 0.6
▲ 4.5
21
22
23
24
25
年度
7
暦年別の推移
暦年別実質経済成長率の推移(全国・兵庫県)
%
8.0
全国
兵庫県
6.0
4.0
2.0
2.7
1.3
4.7
1.8
1.6
0.0
0.8
0.3
1.3
▲ 0.2
1.7
0.0
▲ 2.0
2.2
5.5
▲ 0.5
▲ 1.0
▲ 4.0
▲ 6.0
0.0
▲ 0.1
▲ 5.5
▲ 2.2
▲ 5.7
▲ 8.0
平成17
18
19
20
21
22
23
24
25
26
年
8
四半期別(前期比)の推移
四半期別実質(季節調整系列)経済成長率(対前期比)の推移(全国・兵庫県)
%
4.0
全国
兵庫県
1.5
2.0
1.4
▲ 0.0
1.3
0.8
0.4
1.2
0.4
▲ 0.3
0.0
0.4
▲ 0.2
▲ 0.4
▲ 0.7
▲ 0.5
▲ 1.6
▲ 1.0
▲ 2.0
▲ 1.8
▲ 2.7
▲ 4.0
10-12
H25.1-3
4-6
7-9
10-12
H26.1-3
4-6
7-9
10-12 年期
9
四半期別(名目前年同期比)の推移
四半期別名目経済成長率(対前年同期比)の推移(全国・兵庫県)
%
8.0
全国
兵庫県
6.0
4.0
0.8
2.0
0.0
▲ 0.7
▲ 2.0
▲ 0.9
1.9
2.0
2.5
1.8
1.6
0.6
▲ 0.5
1.3
0.7
0.6
▲ 0.5
▲ 0.7
▲ 1.8
▲ 2.8
▲ 4.0
▲ 2.9
▲ 6.0
▲ 8.0
10-12
H25.1-3
4-6
7-9
10-12
H26.1-3
4-6
7-9
10-12
年期
10
四半期別(実質前年同期比)の推移
四半期別実質経済成長率(対前年同期比)の推移(全国・兵庫県)
%
8.0
全国
兵庫県
6.0
4.0
2.0
1.4
0.0
2.3
2.4
0.5
▲ 0.3
0.0
0.7
▲ 0.0
▲ 2.0
2.2
0.5
▲ 0.0
▲ 1.5
▲ 1.2
▲ 1.4
▲ 0.8
▲ 1.6
▲ 4.0
▲ 3.6
▲ 3.8
▲ 6.0
▲ 8.0
10-12
H25.1-3
4-6
7-9
10-12
H26.1-3
4-6
7-9
10-12 年期
11
需要項目別寄与度
項目別実質県内総生産(支出側) 増加寄与度
%
8.00
民間需要
6.00
公的需要
外需等(純移出等)
県内総生産(支出側)
4.00
2.00
0.69
0.00
0.51
0.00
▲ 0.01
▲ 2.00
▲ 1.50
▲ 1.58
▲ 1.17
▲ 4.00
▲ 3.61
▲ 3.78
7-9
10-12
▲ 6.00
10-12
H25.1-3
4-6
7-9
10-12
H26.1-3
4-6
年期
12
産業別寄与度
製造業と非製造業別増加寄与度
製造業
%
非製造業
県内総生産(生産側)
3.00
2.00
0.69
0.51
1.00
0.00
0.00
▲ 0.01
▲ 1.00
▲ 2.00
▲ 1.17
▲ 1.50
▲ 1.58
▲ 3.00
▲ 4.00
▲ 3.61
▲ 3.78
7-9
10-12
▲ 5.00
H24.10-12
H25.1-3
4-6
7-9
10-12
H26.1-3
4-6
年期
13
回帰分析による推計
推計モデル:Y=a+bX
パラメーター a:所得に関係なく消費する部分(最低必要な食費、衣料費等)
b:所得に比例して増える部分
データ Y(消費支出)、X(所得)
Y
残差
消
費
支
出
Y=a+bX
Xi
H16
H18
所得 X
14
回帰分析による手順
経済理論から(原因→結果)の仮説を立てる
①原因(説明変数データ)を選定、収集、整理する
②そのデータを何らかの方程式(構造方程式・仮説)に入れる
③方程式を解いた結果が現実の結果と余り食いはないか、誤差が
一定の基準以下か、得られた係数が合理的かを検証する
④検証結果が妥当であれば仮説(方程式)は適切であると判断する
⑤その仮説(方程式)の延長線上(トレンド)でデータ未集計となって
いる部分及 び将来時点での数値を推定する
⑥複数のシナリオにより仮説の妥当性を検証する
説明変数・原因=Xを複数にする
構造変化が見られるとき、ダミー変数を入れる
15
回帰式の評価
目的の事象を回帰式でどの程度説明できているか、次の
統計的条件等から評価する。
(1) 自由度修正済決定係数
回帰式の当てはまり具合を見るもので、1に近いほど
説明力があると判断する。
(2) t値
説明変数の選択の適否を見るもので、2以上であれば推
定値は有意であると判断する。
(3) ダービン・ワトソン比
残差の相関関係を判断し、回帰式の信頼度を見るもの
で2に近い値であれば係数間の相関関係は認められず推
計結果の信頼性は高いと判断する。
16
推計モデル採用基準
符号条件(経済理論条件)
t値(説明変数の適否判断)
決定係数(モデル適合度判断)
ダービンワトソン比(系列相関の判定)
地域変数優先(地域変数の選択)
17
推計モデル採用基準2
順位 統計量
判断基準
統計量の意味
1 符号条件
非負条件
経済理論の合致適正を見る
2 t値
概ね2以上
説明変数選択の適否を見る
3 自由度修正済決定係数
極力1に近い値
回帰式の説明力を見る
4 ダービン・ワトソン比
極力2に近い値
回帰式の信頼度を見る
5 その他
地域変数優先
地域独自性を反映する
18
3 QE推計の推計方法と問題点
1
2
3
4
5
QE利用上の問題点
支出系列の課題
推計作業上の課題
確報値との推計誤差
推計モデル改良上の問題点
19
推計需要項目別課題
1
2
3
4
5
消費(サンプル誤差と地域性の確保)
投資(進捗度合いの推定)
移出入+統計上の不突合(残差項目)
デフレーター(地域性の確保)
季節調整(トレンドの検出)
20
説明変数1(消費)
1民間消費
世帯当たり消費支出×世帯総数×人員調整係数+(※1)
総家賃+(※2)総乗用車購入費
(家計調査等) ※1帰属計算、※2高額消費
2政府消費
①人件費+物件費+維持補修費:県市町分
(地方財政状況調査)
②社会保障基金給付額
(県国保連合会、社会保険診療報酬支払基金資料)
21
説明変数2(住宅投資、企業設備投資)
1民間住宅
全国民間住宅見通し×民間住宅
建設出来高シェア(県/全国)
(建設総合統計年度報)
2民間企業整備
①工業統計投資額(工業統計)
②全国民間企業設備投資額×民間非住宅
建設出来高シェア(県/全国)
22
説明変数3(在庫投資)
3民間在庫品増加
製造品在庫品増加額(工業統計)
※年次:工業統計、月次:鉱工業指数
非製造業在庫品増加額(法人統計季報)
※四半期、近畿値(県値なし)
23
説明変数4(投資)
1公的固定資本形成
投資的経費(県市町)(地方財政状況調査)
2公的在庫品増加
民間在庫品増加
24
説明変数5(外需)
1移出
製造品出荷額(工業統計)
2移入
県内需要
(参考)2005年産業連関表データ
移輸出:県外需要(80%)、国外需要(20%)
移輸入:中間製品(50%)、最終製品(50%)
25
兵 庫 県 四 半 期 別 県 民 経 済 計 算 速 報 ( QE) : 推 計 式 一 覧 ( 年 度 値 予 測 ・ 四 半 期 分 割 )
表章・推計項目
平 成 22年 10-12期
回 帰 式 Y = 切 片 + 係 数 X 1 (+ 係 数 X 2 )
係 数 下 段 の 数 値 は t値
説明変数に用いた主な資料等
2
1 民間最終消費支出
R :決定係数
DW: ダービン・ ワトソン比
N: 推 定 期 間
プレイス・ウインステン変 換 に 基 づ く 一 般 化 最 小 二 乗 法
Y=
1036372.6
+
X1
0.996708 X1
×人員調整係数+総家賃
15.876462
+総乗用車購入費
2
2 民間住宅
R : 0.9581447 DW:
2.131597 N: H2~ 21年 度
プレイス・ウインステン変 換 に 基 づ く 一 般 化 最 小 二 乗 法
Y=
52968.453
+
1世 帯 当 た り 消 費 支 出 × 世 帯 総 数
(総務省『家計調査』)
X1 全 国 民 間 住 宅 見 通 し × 民 間 住 宅
0.928585 X1
建設出来高シェア(県/全国)
45.175793
(国土交通省『建設総合統計年度報』)
2
3 民間企業設備
1.920320 N: H2~ 21年 度
R : 0.9928004 DW:
プレイス・ウインステン変 換 に 基 づ く 一 般 化 最 小 二 乗 法
Y=
1566968.9
+
1.643924 X1
+
3.339113
2
R : 0.7631696 DW:
0.820284
X1
0.1393191 X2
+
2.4754684
N: H2~ 21年 度
工業統計投資額
343593.03 D
(兵庫県『兵庫の工業』)
5.7452135
X2
D: H8年 度
全国民間企業投資額×民間非住宅
建設出来高シェア(県/全国)
(国土交通省『建設総合統計年度報』)
4 民間在庫品増加
単純最小二乗法
Y= 32556.129
+
1.289579 X1
+
X1 製 造 業 在 庫 品 増 加 額
(兵庫県『兵庫の工業』)
0.0049741 X2
13.114439
2.378721
X2
2
5 政府最終消費支出
R : 0.9451061 DW:
2.327732 N: H2~ 21年 度
プレイス・ウインステン変 換 に 基 づ く 一 般 化 最 小 二 乗 法
Y=
-261307.2
+
1.523373 X1
+
13.581239
1.424619 X2
38.990082
2
6 公的固定資本形成
R : 0.9941924 DW:
1.874439 N: H2~ 21年 度
プレイス・ウインステン変 換 に 基 づ く 一 般 化 最 小 二 乗 法
Y=
102074.63
+
1.222246 X1
11.923159
R 2: 0 . 9 5 2 2 0 0 1 D W :
7 公的在庫品増加
①全在庫品増加
2.056814
+
-78.40063
+
+
-132293.1 D
(総務省『地方財政状況調査』)
-4.767922
X2
D: H8~ 10年 度
社会保障基金給付額
(社保診療報酬支払基金、県国保連資料)
X1 投 資 的 経 費 ( 県 市 町 )
0.0464282 X2
(総務省『地方財政状況調査』)
5.4984913
X2
N: H2~ 20年 度
①-4
プレイス・ウインステン変 換 に 基 づ く 一 般 化 最 小 二 乗 法
Y=
非製造業在庫品増加額
(財務省『法人統計季報』)
X1 人 件 費 + 物 件 費 + 維 持 補 修 費 ( 県 市 町 分 )
1.00488567 X1
全国公的資本投資額×地方
政府以外の公的建設出来高シェア
X1
民間在庫品増加
(兵庫県『兵庫の工業』)
480.926605
2
8 財 貨 ・ サービスの 純 移 出
(1) 移 出
R : 0.9999401 DW: 1.47856033
(1)- (2)
N: H2~ 21年 度
プレイス・ウインステン変 換 に 基 づ く 一 般 化 最 小 二 乗 法
Y=
2414720
+
1.04319859 X1
X1
県 外 需 要 ( 全 国 GDP- 県 内 需 要 )
X1
製造業出荷額
(兵庫県『兵庫の工業』)
17.2986336
2
(2) 移 入
R : 0.9378701 DW: 2.08089972 N: H2~ 21年 度
プレイス・ウインステン変 換 に 基 づ く 一 般 化 最 小 二 乗 法
Y=
1841997.3
+
0.88944024 X1
X1
県内需要
( 1~ 7)
23.5674839
2
R : 0.9643712 DW: 1.74371803
9 統
統計
計上
上の
の不
不突
突合
合
N: H2~ 21年 度
最新年度値固定
10 県 内 総 支 出
各項目総計
※ プレイス・ウインステン変 換 に 基 づ く 一 般 化 最 小 二 乗 法 の 決 定 係 数 は 、 変 換 前 の 式 に 戻 し て の
ものであり、決定係数は実績値と推計値の相関係数の二乗。
26
QE推 計 の た め の 説 明 変 数 採 用 指 標
推計値
説明変数
試算項目
使用資料
1 民間最終消費支出
X1
1世 帯 当 た り 消 費 支 出 × 世 帯 総 数
1世 帯 あ た り消 費 支 出
「家 計 調 査 月 報 」(近 畿 ・全 世 帯 )
×人員補正係数+総家賃
総世帯数
「兵 庫 県 推 計 人 口 」
+総乗用車購入費
人員補正係数
「家 計 調 査 月 報 」(近 畿 ・全 世 帯 )
「家 計 調 査 年 報 」(全 国 ・全 世 帯 )
「確 報 値 ワ ー ク シ ー ト」(S N A 推 計 人 口 )
総家賃
「建 設 統 計 月 報 」(増 加 面 積 )
「確 報 値 ワ ー ク シ ー ト」(家 賃 額 )
総乗用車購入費
2 民間住宅
3 民間企業設備
X1
「確 報 値 ワ ー ク シ ー ト」(乗 用 車 購 入 額 )
全 国民 間 住 宅 見 通し× 民間 住 宅
全国民間住宅見通し
「建 設 投 資 見 通 し 」〈年 値 〉
建 設 出 来 高 シ ェ ア (県 / 全 国 )
県民間居住用建設出来高
「建 設 総 合 統 計 年 度 報 」
全国民間居住用建設出来高
〃
工業統計投資額
「工 業 統 計 」〈年 値 〉
(1 )+ (2 )
(1 ) 製 造 業
X1
(2 ) そ の 他
X1
工業統計投資額
全国民間企業投資額×民間非住宅
全国民間企業設備投資額
「 国 Q E 」 (2 次 値 )
建 設 出 来 高 シ ェ ア (県 / 全 国 )
県民間非居住建設出来高
「建 設 総 合 統 計 年 度 報 」
全国民間非居住建設出来高
〃
工業統計投資額
工業統計投資額
(1)値
D1
ダ ミー 変 数
H8の 設 備 投 資 (資 本 財 )ダ ミー
4 民間在庫品増加
X1
製造業在庫品増加額
製造業在庫品増加額
「工 業 統 計 」〈年 値 〉
X2
非製造業在庫品増加額
非製造業在庫品増加額
「法 人 統 計 調 査 」(季 法 )
5 政府最終消費支出
X1
人 件 費 + 物 件 費 + 維 持 補 修 費 (県 市 町 分 )
人 件 費 、物 件 費 、維 持 補 修 費
財 政 課 、市 町 振 興 課 ヒ ア リ ン グ 〈年 度 値 〉
X2
全国政府最終消費支出
全国政府最終消費支出
「 国 Q E 」 (2 次 値 )
D1
ダ ミー 変 数
H8~ 10の 商 品 非 商 品 販 売 を 控 除 す る ダ ミー
X1
投 資 的 経 費 (県 市 町 )
投資的経費
※ X2
6 公的固定資本形成
財 政 課 、市 町 振 興 課 ヒ ア リ ン グ 〈年 度 値 〉
(普 通 建 設 事 業 費 + 災 害 復 旧 事 業 費
+失業対策事業費)
X2
7 公的在庫品増加
①全在庫品増加
8 財 貨 ・ サ ー ヒ ゙ス の 純 移 出
全国公的資本投資額×地方
全国公的資本形成
「 国 Q E 」 (2 次 値 )
政 府以 外 の 公 的 建設 出 来 高 シェア
全国公的建設出来高総計
「建 設 総 合 統 計 年 度 報 」
(全 国 公 的 建 設 出 来 :県 市 除 総 計 / 総 計 )
全 国 公 的 建 設 出 来 高 小 計 (県 市 以 外 )
〃
①-4
X1 民 間 在 庫 品 増 加
X1
4民 間 在 庫 品 増 加 値
県 外 需 要 (全 国 GDP- 県 内 需 要 )
「 国 Q E 」 (2 次 値 )
県内需用
推 計 値 1~ 7の 合 計 値
同上
X2
県内需要
同上
D1
ダ ミー 変 数
震 災 を起 点 とす る ダ ミー
(1 ) 移 出
残 差 推 計 (= 純 移 出 - 移 入 )
(2 ) 移 入
X1
県内需要額×移輸入率
推 計 値 8 - 8 (2 )
県内需要額
推 計 値 1~ 7の 合 計 値
移輸入率
「県 産 業 連 関 表 」
9 統計上の不突合
最新年度固定
最新年確報値
10 県 内 総 支 出
各項目総計
推 計 値 1~ 9の 合 計 値
※ 民 間 設 備 投 資 (そ の 他 )に 製 造 業 投 資 額 推 計 値 を 控 除 す る の は 、 二 重 計 上 を 避 け る た め 。
27
消費部門
1 民間消費(家計調査)
2 政府消費(地方財政状況調査)
問題点:家計調査データはサンプル数が少な
いため近畿値を県値として代用
28
投資部門
1 民間投資(建築統計、工業統計)
2 公的投資(地方財政状況)
3 在庫品増加(法人統計、工業統計)
29
外需(移出入)等の部門
移輸出、移輸入
1 県内需要(消費推計値+投資推計値)
2 県外需要(国-県内需要)
30
デフレーター
・目的:GDPの実質化に必要なデータ
実質GDP=名目GDP/デフレーター
基準年:平成17暦年
・推計資料:消費者物価指数、企業物価指数、
GDPデフレーター
・問題点:地域指標が少なく国データに依存し
ている
31
季節調整
・目的:前期との比較に必要
・推計方法(センサス局法):鉱工業指数、景気
動向指数の季節調整法に同じ
・問題点:震災等の構造変化がある場合はトレ
ンドが把握しにくい
32
生産系列からの推計方法
1 推計方法(付加価値法)
2 生産系列関連指標(産出額)
3 問題点(サービス関連データが少ない)
33
生産系列からの推計方法2
1県内総生産=県内産出額×付加価値率
2県内産出額
製造業:鉱工業指数増減率
サービス業:給与総額増減率(毎月勤労統計)
3付加価値率
1-(中間投入額/県内産出額)
中間投入額:原材料等の総額
34
4 QEの利用と課題
1 行政における利用
主要経済指標(四半期ベース)
経済見通し、判断資料
景気の山・谷判定資料(景気動向指数)
2 シンクタンク等における利用
3 大学等における利用
35
行政における利用
主要経済指標(四半期ベース)
経済見通し、判断資料
景気の山・谷判定資料(景気動向指数)
36
兵庫QEのデータ加工
成長率(対前期比増減率)
需要項目別寄与度(消費、投資、外需
等)
他の県経済指標との比較データ提供
国との比較分析
37
四半期別主要経済指標
消費(家計調査、大型小売店販売額)
投資(建築統計、公共工事請負額)
生産(鉱工業指数)
雇用・賃金(毎月勤労統計)
金融(貸出残高)
物価(消費者物価、企業物価指数)
38
シンクタンク等における利用
地域経済動向判断資料
経済見通し基礎データ
経済指標一覧表その他
39
大学等研究機関における利用
経済循環メカニズムの検証
政策判断の妥当性の検証
新たな政策提言の作成
40
QE作成上の課題
データ公表の速報化
公表のさらなる早期化の可能性
地域月次GDP推計の可能性
供給側、需要側2面からの推計可能性
統計精度の向上
確報データとの乖離の縮小
外需部門の推計手法の検討
1次地域統計データの活用
41
推計需要項目別課題
1
2
3
4
5
消費(サンプル誤差と地域性の確保)
投資(進捗度合いの推定)
移出入+統計上の不突合(残差項目)
デフレーター(地域性の確保)
季節調整(トレンドの検出)
42
推計項目別課題2
1 補助系列四半期データ処理
2 推計データの地域性反映
3 統計データのカバレッジ向上
4 速報性の高いデータ作成
国1次QE(1ヶ月15日)、2次QE(2ヶ月10日)
5 確報値との乖離縮小(±5%以内)
43
(補論1)県民雇用者報酬の試算
1 県民雇用者報酬総額(経済活動別)
=①1人当たり賃金・報酬×②就業者数
2 資料
①1人当たり賃金・報酬:厚生労働省「毎月
勤労統計」
②就業者数:総務省「労働力調査」
3 課題:サンプル数が少ないためデータの振れが大きい
44
県民雇用者報酬(名目)の推移
四半期別名目雇用者報酬の推移(前年同期比)
%
3.0
兵庫県
2.2
1.8
2.0
0.0
0.8
0.0
0.1
0.8
▲ 1.0
0.4
0.7
1.1
1.5
▲ 0.4
2.4
1.5
1.1
▲ 0.7
2.1
2.0
0.6
▲ 0.2
1.7
0.5
0.8
0.3
▲ 1.3
▲ 2.0
▲ 3.0
1.6
1.6
0.7
1.0
0.0
全国
0.6
▲ 0.1
▲ 0.1
0.1
▲ 2.4
▲ 2.5
▲ 4.0
▲ 5.0
22.10- 23.1-3 4-6
12
7-9 10-12 24.1-3 4-6
7-9 10-12 25.1-3 4-6
7-9 10-12 26.1-3 4-6
7-9 10-12
年月期
45
県民雇用者報酬(実質)の推移
四半期別実質雇用者報酬の推移(前年同期比)
%
兵庫県
全国
5.0
3.7
4.0
3.0
2.0
1.0
0.0
2.9
1.6
1.6
2.9
1.4
1.5
1.5
0.7
2.0
1.1
1.1
0.9
1.2
1.3
0.6
0.6
0.7
0.4
1.5
▲ 1.0
▲ 2.0
▲ 1.7 ▲ 1.3
▲ 3.0
▲ 0.2
▲ 0.7
▲ 0.7 ▲ 0.4▲ 0.5
▲ 0.8
▲ 1.9
0.1
▲ 0.6
▲ 2.3
▲ 3.1
▲ 4.0
22.10- 23.1-3 4-6
12
7-9 10-12 24.1-3 4-6
▲ 2.8
7-9 10-12 25.1-3 4-6
7-9 10-12 26.1-3 4-6
7-9 10-12
年月期
46
(補論2)潜在GDPについて
潜在GDP:現存する労働力、資本設備が平均的
な稼働状態にある場合に達成されるGDP
試算機関:内閣府、日本銀行等
マクロ生産関数(コブ・ダクラス関数等)により推計
①労働投入:労働投入量増減×労働分配率
②資本投入:資本ストック増減×資本分配率③技
術進歩:TFP(全要素生産性)(資本労働貢献
分以外のもの)※過去トレンド、残差推計
47
生産関数の推計の考え方
・生産要素である資本ストックと労働を用いて生産を行う
・技術進歩を想定する。
時間がたつにつれて同じ生産要素のもとでもより多くの生
産が行えるようになる
①都市部(神戸、阪神、播磨地域(除く一部市町)の市町)
事業所や研究所の集積が期待され、技術進歩率は比較的高い
②農村地域(但馬、丹波、淡路等の市町)
事業所集積が見込めないため、技術進歩率は相対的に低い
48
生産関数の推計の考え方2
①生産要素である資本ストックと労働を用いて生産を行う
②技術進歩を想定する。
時間がたつにつれて同じ生産要素のもとでもより多くの
生産が行えるようになる
・都市部(神戸、阪神、播磨地域(一部市町除く)市町)
事業所や研究所の集積が期待され技術進歩率は比較
的高い
・農村地域(但馬、丹波、淡路等市町)
事業所集積が見込めないため、技術進歩率は相対的に
49
低い
生産関数の推計の考え方3
①標準型:人口は兵庫県将来推計人口(平成20年5月)の中
位推計値に基づく。
就業者数は過去30年の性別・年齢階層別就業率の傾
向が今後も続くと仮定
②上昇型:人口は潜在出生率(本県では合計特殊出生率換
算1.85程度)が今後10-15年後に実現した場合の将来人
口推計をベース
就業者数は今後20年で高齢者就業率が長野県(27%⇒46%)、
女性就業率がノルウェー並(53%⇒80%)に上昇すると仮定
50
生産関数推計例
予 測 に 使 用 し た 推 計 モ デ ル ( 生 産 関 数 ) ※ 神 戸 大 学 地 域 政 策 統 計 研 究 会 推 計 (2010)
兵 庫 県 41 市 町 、 市 町 別 を 集 計 し 地 域 予 測 値 と し た
lnY(t)=ar
+α lnK(t-1)
+β lnL(t)
+γ t
+δ t2
GDP
資本ストック
労働
タイムトレンド
タイムトレンドダミー
回帰方程式(かっこ内は標準誤差)
lnY(t)=-14.8002 + 0.162758 lnK(t-1) + 0.8474163lnL(t) + 0.0081482t-0.0080802t2
(3.271848) (0.162758)
(0.8474163)
(0.016435)
(0.024772)
R 2 = 0.9839
Y: GDP( 実 質 値 ) ( 兵 庫 県 「 市 町 民 経 済 計 算 」 )
K: 資 本 ス ト ッ ク ( 前 期 期 末 値 ) ( 兵 庫 県 「 市 町 民 経 済 計 算 」 推 計 値 )
L: 労 働 ( 従 業 地 ベース就 業 者 数 )
t : タ イ ム ト レ ン ド 、 t2; タ イ ム ト レ ン ド ダ ミ ー : 技 術 進 歩
実 質 GDP、 資 本 ス ト ッ ク 、 就 業 者 数 か ら 推 計 ( 兵 庫 県 「 市 町 民 経 済 計 算 」 推 計 値 )
( 注 ) YearDummy は 都 市 部 で ゼ ロ 、 農 村 部 で タ イ ム ト レ ン ド (0,1,2,3..)。
都 市 部 技 術 進 歩 率 は 0.81% 農 村 部 は 約 0.01%( 2000 年 度 ~ 2007 年 度 実 績 値 推 計 )
51
潜在GDP1
実質兵庫県GDPの推移
2005年度=100
標準型
上昇型
140.0
130.0
120.0
110.0
100.0
90.0
2000
2005
2010
2015
2020
2025
2030
2035
2040 年度
52
潜在GDP2
1人当たり実質兵庫県 GDP の推移
2005 年度=100
標準型
上昇型
150.0
140.0
130.0
120.0
110.0
100.0
90.0
2000
2005
2010
2015
2020
2025
2030
2035
2040
年度
53
まとめ
県GDP確報(1~2年前)→地域統計資料を
もとに推計、簡易推計(毎年度遡及改定)
県GDP速報(足元)→推計データの制約から
統計的手法(回帰分析等)により推計
県GDP将来推計(5~10年)→複数の前提条
件をもとに経済モデル(生産関数等)により
推計
54