シンポジウム抄録集Web用(2.12.15)

健康科学リソース研究会 第3回講演会
開催日時:平成 27 年 2 月 7 日(土)13:30 より
場
所: 岐阜市民センター3 階展示室
“自分のための健康科学”
~農/食・薬/医からのシンポジウム~
主催:一般社団法人健康科学リソースセンター(RECHS)
共催:一般社団法人奥伊勢バイオセンター(奥伊勢 BSC)
共催:社会医療法人蘇西厚生会まつなみリサーチパーク
後援:NPO J-DO 医薬品適正使用推進機構
Resource Center for Health Science (RECHS:レックス)
http://www.rechs.org
“自分のための健康科学”
~農/食・薬/医からのシンポジウム~
日
時: 2015 年 2 月 7 日(土) 13:30 ~ 17:00 (13:00 受付開始)
場
所: 岐阜市文化センター(3F 展示室)
入場料: 無料
会場へのアクセス情報
http://gifu-culture.info/wp-content/uploads/map_b.jpg
JR 岐阜駅から徒歩7分:JR 名古屋駅から JR 岐阜駅まで新快速 18 分
名鉄岐阜駅から徒歩7分:名鉄名古屋駅から名鉄岐阜駅まで 特急 24 分
(それぞれの駅から約 500ⅿの距離です)
プログラム
13:30~13:35
■開会の挨拶(世話人から)
13:35~13:45
■趣旨説明
松尾 雄志
(一般社団法人 健康科学リソースセンター 理事長)
(一般社団法人 奥伊勢バイオセンター 理事長)
斉藤 邦明
(京都大学大学院医学研究科人間健康科学 教授)
■シンポジストからの話題提供
司会:斉藤 邦明
13:45~14:10
1) 辻 保彦 氏 『 地域資源に着目した「農や食」のあり方 』
一般社団法人 奥伊勢バイオサイエンスセンター 会長理事
14:10~14:35
2) 鍋島 俊隆 氏 『 薬と安全安心に付き合う 』
NPO J-DO 医薬品適正使用推進機構 理事長
14:35~15:00
3) 松波 英寿 氏 『 岐阜の地から始める「全国民医療人化計画」 』
社会医療法人蘇西厚生会 松波総合病院 理事長
==休憩(10 分)==
15:10~15:50
■特別講演
宗林 さおり氏
司 会:林 慎(松波健康増進クリニック 人間ドックセンター長)
『 食品安全と消費者への情報提供
』
独立行政法人 国民生活センター 理事
== 休憩(10 分)==
16:00~16:30
■総合討論
■閉会の挨拶(共催者から)
登壇者:講師の先生方(4名)
コメンテイター:松尾氏、斉藤氏、林氏
林
慎
社会医療法人蘇西厚生会まつなみリサーチパーク所長
ご 挨 拶
松尾 雄志
RECHS<www.rechs.org>
奥伊勢 BSC<okuise-bsc.com>
京都大学大学院 医学研究科 特別研究員
昨年 9 月末に日本学術会議から「超高齢社会のフロントランナー日本:これからの日本の医学・
医療の在り方」
(*)と題して提言がなされています。以下はその骨子です。
-----我国の医療の方向性とは臓器単位の疾病を解決することを主眼とする「治す医療」から
患者総体の生活の質(QOL)の極大点を得るために治療の優先順位を再配置する「治し支える
医療」への転換であり、病院中心の医療から介護・福祉と連携する「地域完結型医療」への転
換である。即ち、地域によって高齢化率や保有している医療資源は著しく異なるため、地域全
体で保健・医療・介護・福祉分野の専門家が各自の専門性を発揮して地域の特性に合った連係
体制を構築することが重要である。-(中略)-医学界だけではなくマスメディア、行政、初等
から高等教育に至る教育界がそれぞれの役割を果たすべきである。----(*)日本学術会議・臨床医学委員会・老化分科会(平成 26 年 9 月 30 日)。強調箇所を太字表記に変更。
この提言は臨床医学委員会から出されているから当然のことなのでしょうが、健康科学/医学
に触れられていないことに違和感があります。ともあれこの様な時期にあって、地域の農/食環
境を意識した「自分のための健康科学」と題する講演・シンポジウムが企画され、かつ食品の安
全と機能性に言及される特別講演(宗林先生)と、講師を囲んでの討論が重視されている点は、
我田引水ながら特徴的な試みであると納得しております。関係者諸氏の協力に改めて御礼申し上
げます。ただ、時間の都合で栄養学分野についての講演を入れ込むことができなかったことを残
念に思っております。
-----ご参考までに、以下は準備段階で作成した講演会案内文です----個の医療や先制医療を想定して健康科学を展開する折の課題事項について宗林さおり先生(独
立行政法人国民生活センター理事)と意見交換する機会がありました。この課題解決には健常時
からのバイオデータバンクの構築や個々人の幼児期からのヘルスレコード(PHR:Personal Health
Record)といった歴年的データ集積が不可欠ですが、これはこれで一朝一夕では構築できるもの
ではありません。さらに、食や栄養そしてその基盤となる「農」における課題に始まり、多種多
様な医薬品とその類(たぐい)を含めた個別化(先制)医療に至るまでの広い範囲をカバーする
「Update で、学際的な教育啓発」の重要性が再認識されました。
こうした話の流の中で、関連行政レベルからの具体策もさることながら、「地域(地元)発の
民(みん)から始められること」を試みるという Bottom Up 環境作りの意味についても意見交換
を進めました。そして、昨今話題となっている認知機能低下による徘徊や地元の農環境を含めた
地域発の健康科学に関する課題解決に向けた活動の輪を広げて行きましょうという点で互いに
賛同確認致しました。換言しますと、
“Think Globally, Act Locally”を基本発想として行動を
開始しましょう、ということです。
このような経緯があってこの度、宗林さおり先生(元消費者庁安全課長)をお迎えして、表題
のようなシンポジウムを開催することとなりました。皆様に置かれましては、ご多用の所かと存
じますが、是非ともご参加いただき、活発な討論を頂きたく何卒宜しくお願い申し上げます。
以上(2015 年 2 月 2 日)
『 地域資源に着目した「農や食」のあり方 』
~地域企業が地域社会に貢献できる試み幾つか~
辻
保彦 氏
一般社団法人 奥伊勢バイオサイエンスセンター
会長理事
健康科学の基盤は、人の暮らす地域環境とその保全、地域社会のできれば物心両面での活性化、
そして人材教育/啓発にあるという観点に立って私たちの取り組みを紹介させて頂きます。
(1) 環境保全:バイオマス利用による循環型社会
三重県松阪市周辺には間伐材が放置されたままの森林が多く見られます。それら間伐材をはじめ、
製材端材や樹皮などをチップ化、バイオマスボイラー工場で燃料とし、発生する蒸気を食用油製造
工場に供給することで、石油燃料並びに CO2 発生の削減を実現しております。燃焼灰も、路盤材や
セメント、汚泥発酵肥料に利用するなど、産業廃棄物を有価物へと変換して、資源のリサイクル化
を推進しております(*)。また、工場が出す廃熱をハウスの温調に活用したトマト工場を設立し、
昨年末から稼働させております。ここでは新たな雇用を発生させるとともに、資源の完全利用を目
指しております。この様な「利潤を一企業が独占するのではなく、地域社会に還元することを主眼
とする CSR」を実践しております。
(*)「平成 21 年度 食品産業 CO2 削減大賞受賞」(主催:日本総合研究所)を受賞。
(2) 地域活性化:天然香料ユズ(柚子)フレーバーオイル
可能性を秘めた天然素材を探していた際、「ユズの搾汁後にでる副産物」の用途を模索していた
JA 土佐あき(高知県)を紹介され研究開発に取り組みました。その結果、弊社技術を使った香料の
精製に成功し、現地に香料の製造工場を建設しました。これがきっかけとなって、三重県の「ユズ
を軸とした地域活性化プロジェクト」が始まりました。ユズオイルには健康科学と関連ある機能性
成分が含まれています。これに関して、三重大学副学長西村訓弘教授からは地域活性化の新しい連
携の仕組みの試行であると評価頂いております。
(3) 人材育成:一般社団法人奥伊勢バイオサイエンスセンター(*1)
“地域活性化の試みに、生物資源活用のための「バイオ技術」Forum(奥伊勢 Forum)を”という発想
のもとに一般社団法人奥伊勢バイオサイエンスセンターが 2013 年 9 月 17 日に設立されました。こ
れは弊社の産学共同での新たな試みです。設立には、学界・実業界の両方に経験のある松尾雄志氏
(三重大学社会連携研究センター特任教授)を始め、斉藤邦明氏(京都大学大学院医学研究科教授:
炎症・免疫・病態解析)
、奥村克純氏(三重大学大学院生物資源学教授:食の機能性・エピゲノム)
、
矢野竹男氏(三重大学地域イノベーション学科教授:生物資源の機器分析)そして大倉雄次郎氏(関
西大学名誉教授:商学博士)が尽力されました。今年で第三回目を迎える奥伊勢 Forum(*2)のスロ
ーガンは 「健康科学の基盤となる資源(ヒトを含むリソース)とその有効活用」にあります。若手
バイオ系人材育成にはことのほか力を入れております。
(*1) Web site<http://okuise-bsc.com>も参照ください。
(*2)これまでの招待講演では、第二回目に「健康食品などの安全性試験(久木浩平氏:㈱日本バイオ
リサーチ前社長)
」が、第三回目には「Regulatory Science における国立医薬品食品衛生研究所の
役割(穐山浩氏:食品添加物部長)が取り上げられました。
農産業は「食(栄養)
」の根源であり、一義的に地域社会の基盤をなすものであると考えており
ます。従って、経済活動の真っただ中にあって安全性の見えない農/食産業とは発想を異にする地
域利潤還元型企業として、安全性の見える農/食産業の持つ新たな価値観を提示し、自分の健康(科
学)との関連を強く意識する消費者のセルフメディケーションに貢献できる活動を進めて行きたい
と考えております。
プロフィール
辻
保彦 (つじ やすひこ)氏
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
1943 年生まれ 三重県松阪市出身。
辻製油グループ6社(辻製油株式会社を含む) 代表。
基幹事業は植物油の生産販売。
新たに取り組んだ高純度粉末レシチンの工業的精製に日本で初めて成功。
取り扱う多彩なレシチンは、日本で唯一・世界有数の製品アイテム数と生産量を誇る。
従来からの企業間取引事業に加え、個人消費者向商品の開発と販売に着手。
経営理念は「地域資源の活用と地域産業との共生」。
地域振興として地元農産物を使った商品開発、地域特産品の創造、新事業による地域雇用の促進。
環境保護として未利用資源の地元間伐材を燃料とするバイオマスエネルギーの製造による CO2 排
出量の削減。
産学官連携として大学内に共同研究室を開設、地域社会と一体となった学びの場を創設。