2015年2月6日、中央合同庁舎第8号館 化学物質の安全管理に関するシンポジウム 国際資源循環と化学物質リスク 独立行政法人 国立環境研究所 資源循環・廃棄物研究センター 寺園 淳 循環PGPJ1 国際資源循環に対応した製品中資源性・有害性物質の適正管理 主にE-wasteを対象とした研究概要 環境汚染状況の把握 ・対象物質の拡張(無機、 有機、新規未規制) ・生体影響 ・汚染とプロセスとの関連 フィリピン、ベトナ ムでE-wasteリサ イクル施設周辺 の現地調査(ダス ト・土壌等、生体) 中古品(一 部は違法の 再組立品) 輸入国 既存の国際的な ESMの概念と越 境移動との関係 整理 輸出国 再組立品 の輸出 金属スクラップ火災 などの調査、国内不 適正フロー対策検討 中古店 中古店(輸入品は調 ジャン 整・修理) ク品 インフォーマルか らフォーマル化へ の課題検討 ESM 新品購入 新品購入 部品提供 ESM アジア諸国における発生量 推計 ・ストック・フローモデル開発 ・将来推計モデル開発 部品リユー ス・リサイクル (ブローカー) 不用部品 の処分 ジャンク ショップ リサイクル 中古輸出入 (中国以外 へ) 2% 28% 4% 不用品回収 36% 14% 自治体での処理処分、 不適正処理処分 粗大・不燃 ごみ等 0.3% 基板 リサイクル 自治体での処 理処分 不法投棄 4% 10% 78% 96% 溶融メタル (溶融スラグ) 破砕選別 有効利用 (焼却残さ) (溶融スラグ) 非鉄金属 くずへ混入 1.7% ケーブル 中古電気電子機器の輸出入を含む、輸出国と輸入国でのフローの概要 焼却・溶融 (可燃残さ) 自治体収集 WEEEに 含まれる銅 25% 鉄くず・ 金属スク ラップと して中国 へ輸出 28% 焼却 可燃ごみ (不燃残さ9 4% 17% 9% 処理委託 2% その他 21% 最終処分 自治体などでの処 理フロー・サブスタ ンスフローの推計 (Oguchi et al., STOTEN, 2013) (Terazono et al., Waste 2 Manag, in press) 概要 国内の循環型社会形成に向けた取組みにおいても、循環資源(廃棄物等 )の輸出入を無視して考えることはできなくなっている。使用済み電気電子 機器の輸出入を例にとっても、多くは資源性と有害性の両方を有しており 、その価値や有害特性の見方によって適切な対応が必要となる。 有害廃棄物の輸出入を防止するための国際的な枠組みとしてバーゼル 条約があるが、先進国から途上国への輸出を禁止するBAN改正の動き がある一方で、どの国においても発生する電気電子機器廃棄物(e-waste )への対応も課題となっている。 本発表では使用済み電気電子機器を例に挙げて、国内で流通する段階 から、国内リサイクルや輸出に至る状況と、越境移動の状況を紹介する。 越境移動として、中古電気電子機器と金属スクラップの課題を示す。 また、アジアにおける使用済み電気電子機器の不適正なリサイクルによ る環境・健康影響として、中国、ベトナム、フィリピンの事例を紹介し、リス ク削減に向けた今後の課題を議論する。 3 内容 循環資源の越境移動 循環資源の輸出入にかかる管理制度 使用済み電気電子機器の発生と中古電気電子機器 の輸出 金属スクラップの輸出と火災などの諸課題 アジア地域におけるリサイクルと環境・健康影響 4 日本の循環資源輸出 70 400,000 4,000 2,000 0 300,000 250,000 200,000 150,000 台湾 50 中国 40 平均単価 30 100,000 20 50,000 10 0 0 1990 1995 2000 2005 1990 2010 鉄スクラップ(輸出量) 1995 2000 2005 2010 鉄スクラップ(輸出金額) 120,000 450 400 350 300 250 200 150 100 50 0 その他 韓国 香港 中国 輸出金額 [百万円] 輸出量 [千 t] 60 韓国 350 その他 韓国 香港 中国 平均単価 100,000 80,000 60,000 300 250 200 150 40,000 100 20,000 50 0 1990 1995 2000 2005 銅スクラップ(輸出量) 平均単価[円/kg] 6,000 輸出金額 [百万円] 輸出量 [千 t] 350,000 その他 韓国 台湾 中国 8,000 その他 2010 平均単価[円/kg] 10,000 0 1990 1995 2000 2005 2010 銅スクラップ(輸出金額) 5 Yu et al. (2010) indicated the first estimate of the worldwide volume of obsolete PCs. Developing countries Developing countries: North America, W Eu, Jpn/Au/NZ Developed countries Developed countries: Latin America, E Eu, AP, Middle East “Developing countries will be disposing of more old computers than developed countries by 2018.” Every country uses and discard EEE. We should pay attention to not only imported EEE but also locally discarded EEE in the developing countries that have limited capacity of recycling. 6 内容 循環資源の越境移動 循環資源の輸出入にかかる管理制度 使用済み電気電子機器の発生と中古電気電子機器 の輸出 金属スクラップの輸出と火災などの諸課題 アジア地域におけるリサイクルと環境・健康影響 7 廃棄物処理法とバーゼル法 <廃棄物処理法違反の 事例> 2010年に廃棄物処理 法違反で初めて、大阪 のS社が逮捕・有罪判 決 - 環境大臣の確認なし の廃棄物輸出 - 廃棄物収集運搬業の 許可無しの収集運搬 バーゼル 法の対象 非有害物 グレーゾーン 有害物 (家庭廃棄物含む) <金属スクラップの位置づけ> 金属スクラップは多様な品目を含む不均一 な組成。 全体としては非有害で非廃棄物と認識され ているが、中には有害物・廃棄物を含むも のがある。 廃棄物 グレー 非廃棄物 ゾーン 廃棄物処理法の対象 8 輸出入の基本的な流れ (写真は金属スクラップの例) 家庭, 事業所 産業 (解体・ 改築含む) 回収業者 日本の 輸出業者 中国の 輸入業者 リサイクル 業者 危険廃棄物リスト(バーゼル条約) 輸入禁止貨物リスト 原料として利用可能な廃棄物のリスト (輸入制限類、自動輸入許可類) 環境保護規制基準 輸入企業許可証、貨物受取人登録 スクラップ取引 業者 税関検査 バーゼル法・廃棄物処理法に関連する 事前相談サービス(環境省、経産省) 選別・材料リサイクル 船積み前検査 (日中商品検査、CCIC・JAPAN) 海外貨物供給業者登録 9 内容 循環資源の越境移動 循環資源の輸出入にかかる管理制度 使用済み電気電子機器の発生と中古電気電子機器 の輸出 金属スクラップの輸出と火災などの諸課題 アジア地域におけるリサイクルと環境・健康影響 10 電気電子機器は資源性物質(貴金属、レアメタルなど)と有害性物質(重金属など)を ともに有するため、資源性物質は効率よく回収し、有害性物質は環境への排出がない ように制御することが求められる。 家電リサイクル法・PCリサイクルの対象物品の年間排出量(縦軸)と 金属の含有量(横軸) CRT TV Desktop PC DVD Facsimile Mobile phone Portable CD Washing machine PDP TV Notebook PC Stereo system Telephone Digital camera Portable MD Air Conditioner LCD TV VCR Radio cassette recorder Printer Camcorder Video game 家電リサイクル法・PCリサイクルの対象 Gold 100 10 1 非対象 (中型家電) 非対象 (小型家電) 0.1 0.1 1 10 100 Au content of product (mg/kg-product) 1000 家電リサイクル法・PCリサイクルの対象 1000 Annual amount of end-of-life products (thousand ton) 1000 Annual amount of end-of-life products (thousand ton) Refrigerator Lead ( ) CRT funnel glass 100 10 非対象 (中型家電) 1 0.1 0.001 非対象 (小型家電) 0.01 0.1 1 10 Pb content of product (weight %) Oguchi et al. 2011. Waste Manage, 31, 2150-2160. 11 品目 家電4品目 (エアコン、テレビ、冷蔵 庫・冷凍庫、洗濯機・衣 類乾燥機) 中小型電 気電子機 器 家電リサイ クル法 制度の下で の回収率 その他の典 型的なフロー 金属スクラップ への混入可能 性 約50% (-2008) 約70~80% (2009-2011) リユース目的 の輸出 高い (エアコン、洗 濯機) 一般廃棄物 高い (扇風機、ビデ オデッキ、他) 一般廃棄物 ? 家庭内の退 蔵 ? 中型 小型 携帯電話 パソコン 国内の法制 度 小型家電 リサイク ル法 (2013年4 (自主回収) 月以降、 自治体に よって施 行) 資源有効利 用促進法 <10% リユース・リサ 中程度 イクル目的の 輸出 備考 情報漏 えいへ の配慮 が必要 同上 12 中古CRT TVの輸出先 の推移 経産省・環境省 のCRT TV中古 品判断基準 (2009年9月) 香港 輸出台数は2011年の283万台か ら2012年の132万台に激減。国 内での排出台数減少の影響。 輸出先も2012年5月頃以降、ベト ナムはほぼなくなり、フィリピン、 タイ、ミャンマーなどとなった。 地上デジタル 放送の終了 (2011年7月) 中古CRTTVの輸入 規制 香港:厳しい基準 中国:事実上禁止 マカオ:不明 フィリピン:可能 ベトナム:禁止(再輸 出の場合は可能) タイ 中国 カンボジア ミャンマー 13 中古電気電子機器の輸出入を含む、輸出国 と輸入国でのフロー全体のイメージ 中古輸出入の主な流れ は問題ないが、付随する 流れを無視できない 新品購入 新品購入 中古品 (一部は 違法の再 組立品) 輸入国 輸出国 再組立品 の輸出 中古店 部品提供 中古店(輸入品は調整・修理) ジャンク品 部品リユース・ リサイクル (ブローカー) 不用部品 の処分 中古輸出入 (中国以外へ) 不用品回収 ジャンクショップ 金属スクラップ として中国へ 輸出 リサイクル 自治体での処理処 分、不適正処理処分 リサイクル 自治体での処理 処分、不法投棄 注:輸入国はフィリピンをイメージしているが、太さは概略であり品目によっても異なる。寺園(2013) 生活と環境, 58 (4), 42-48 14 輸出先での調査事例(フィリピン) 2012年11月、環境省などと合同で、輸入業者、中古店、ジャンクショップ 、フィリピン政府(環境天然資源省DENR)などにヒアリング調査。2014年 1月も追加調査。 日本からの中古電気電子機器(テレビなど)は、現地では未だに需要が 大きい。 現時点の情報からは、日本からの中古電気電子機器が、現地のジャンク ショップや不適正処分に直接行くことはほとんどないとみられる。 一定の破損はある。しかし、返送されることはほとんどない。 15年以上前の古いものも見られ、売れ残っている。 しかし、中古店・輸入業者・修理業者・再組立業者・ジャンクショップには密接 なネットワークもあり、現地のリユース・リサイクルマーケットの中で無関係で はない。 現地の問題として、不適正処分による健康・環境への影響は依然として 懸念される。 15 フィリピン(輸入業者・中古店) 新品購入 中古品 (一部は 違法の再 組立品) フィリピン 再組立品 の輸出 部品提供 日本由来の人気は総じて高い 品目は、テレビ、洗濯機、冷蔵庫、 ミシン、自転車、その他 ジャンク品 部品リユース・ リサイクル (ブローカー) 一定の破損はあり、調整・修理は ほとんど実施 中古店(輸入品は調整・修理) 不用部品 の処分 リサイクル 輸入時または修理後、使えない状態の 中古品や部品をジャンクショップへ販売 一部は違法の再組立品として輸出など 輸出先への返送はほとんどない 自治体での処理処 分、不適正処理処分 輸入業者は通電検査などあまり行わな い。修理後は動作確認して店で販売。 破損率は10~15%など様々 一部はジャンクショップへ販売 ジャンクショップ テレビはCRTが多く、現時点では需要 は未だに多い。1990年台後半~2000 年台半ば製造が多いが、15年以上前 の古いものもみられ、売れ残っている。 一方で、CRTテレビの輸入は減少 問題があっても、返送をする体制にない 輸入業者がほとんど 輸入業者と中古店とのネットワーク複雑 16 輸入業者の倉庫 (テレビ、冷蔵庫などが多数) 輸入後の修理・調整 日本からの輸入テレビは、電圧調 整、リチャンネルが必要のため、原 則として調整は必要(放送方式は NTSCで同一)。 破損率については、様々な情報があ るが、一定程度はある。 (「故障は1%程度」「販売店では80% 程度が問題ない」「10~15%程度が 破損」) 修理・調整は一般に行われるが、地 方へ販売など実施しない場合もある もよう(再度リチャンネルが必要にな るため)。 「Japan Surplus」と名乗り、日本からの中古輸入販売であることを強調している中古 店がマニラ首都圏内に多い。最近は韓国製の中古品もあるが、日本の人気が高 17 内容 循環資源の越境移動 循環資源の輸出入にかかる管理制度 使用済み電気電子機器の発生と中古電気電子機器 の輸出 金属スクラップの輸出と火災などの諸課題 アジア地域におけるリサイクルと環境・健康影響 18 中国における金属スクラップの 取扱いと、GuiyuでのE-waste 寧波での金属スクラップ 手解体作業(2010年寺 園撮影)。少なくとも、輸 入企業が野焼きなどの不 適正処理をすることは考 えにくいが、作業環境保 全や残さ(プラを含む)の 処理には注意が必要。 金属スクラップの荷揚げは 浙江省(寧波と台州)に集 中。 日本の寄与も大きく、日本の 家電は浙江省を注意すべ き。 広東省(や浙江省の一部)で有 名な不適正処理は、基板の加 熱・部品取り、チップの酸処理 (左写真=環境省HPの動画よ り)、ケーブルの野焼き、残さの 投棄。家電より貴金属の多い PCや携帯が主対象。 E-wasteの環境汚染で世界的に有名な Guiyu。広東省には、欧米だけでなく、 中国国内や周辺国からもE-wasteが集 まる(中古輸入は「禁止」)。ただし、PC や携帯が多く、日本の家電は多いとは 言えないと考えられる。 国内 GreenpeaceのHPより 「E-wasteの流れ」。浙 江省は書かれていな い。 日本 寧波 台州 経路不明、家電は少? 広東省汕頭市 Guiyu鎮 周辺国 欧米など 19 「金属スクラップ(雑品)」 について 国内の取扱業者・輸出業者の間では、「ミックスメタル」「雑品」などとも呼ばれてい る。 鉄を主重量としつつも非鉄金属・プラスチックなどを含む「未解体」「未選別」の金属 スクラップを指す。 解体業者・工場や、一般家庭・事務所など様々な場所から、使用済みになって排出 されるもの。 家電4品目の中ではエアコン、洗濯機が多い。冷蔵庫もあるが、テレビは少ない。他 に、中小型家電(炊飯器、電気ポット、扇風機、ビデオデッキなど)が多数。 有価物として取引されているために、廃棄物処理法上の廃棄物を担当する環境省 や自治体の監督が及びにくくなっている。 以前は不用品回収業者は、リユース目的で中古家電輸出業者に売却すると考えら れたが、最近では(ステーションの抜き取りも含めて)金属スクラップ輸出業者に売 却される事例も報道されている。 中国へ多量に輸出され、手作業で分別された後に金属原料として再生利用されて いる。 20 金属スクラップ火災の典型的な特徴 人災なし ほとんどは、直接的な経済影響もなし しかし、既に多数の影響・リスクが顕在化しつつある!! 交通障害(昨年は阪神高速、福岡都市高速で一時通行止め、航路・港湾施設も停止) 燃えたまま引取られない船(2012年9月27日~2013年4月頃、泉大津) 石油化学タンクへの引火の恐れ(2012年1月、尼崎) 陸上火災で約1,000世帯停電(2012年5月、岡山) 周辺の住民・企業から煙害等の苦情 消火のコストとリスク(泡消火の場合、数百万円以上で自治体に重い負担) 火災原因 燃えたスクラップすら、中国側バイヤーに購入される ->輸出業者などに、防火のインセンティブ働かない 通常は不明で終わる。金属の衝撃やバッテリーのショートなどが指摘される場合もある。最近は非作 業中(夜間や航行中)の自然発火も増加。 一度発火・発煙すると、油分・プラスチック等の有機物の存在のために延焼は容易。 消火は容易ではない。(2012年は最大43時間) 火災発生の場合ですら、取締り(事前相談の内容との照合も含む)は容易でない。 発生件数 船上(港湾、沖合)については近年は年間平均5~6件程度(2012年は16件程度) 陸上は集計なし(消防庁) 輸出量100数十万トン に対し、16件(×一隻1,000トン)であれば火災発生確率1%近い! 21 国内火災現場(2009年9月)からの サンプルのダイオキシン類分析結果 Cl含有率の高 いケーブルなど 試料 品目等 燃焼 1 洗濯機・ケーブル ○ 5.2 0.45 5.6 0.13 5.7 2 同上 × 1.9 0.14 2.0 0.11 2.1 6 不明・ケーブル ○ 1.5 0.24 1.8 0.14 1.9 8 同上 × 1.5 0.12 1.6 0.099 1.7 9 不明・ケーブル ○ 0.74 0.16 0.90 0.10 1.0 10 同上 × 1.2 0.28 1.5 0.21 1.7 15 エアコン室外機?・ホース ○ 12.3 1.7 13.9 3.9 18 16 マウス ○ 0.93 0.11 1.0 0.039 1.1 18 (未確認) △ 4.6 0.82 5.5 0.15 5.6 21 エアコン・ケーブル(基板に接続) ○ 0.67 0.15 0.83 0.041 0.87 27 不明・断熱材 × 0.33 0.092 0.42 0.078 0.50 30 自転車・タイヤ ○ 0.69 0.088 0.78 0.014 0.79 32 不明・ゴム ○ 0.92 0.16 1.1 0.047 1.1 35 ビデオデッキ・ケーブル ○ 1.1 0.14 1.3 0.038 1.3 バーゼル法 PCDF PCDD PCDD/DF DL-PCB Total 10 特管一廃 3 土壌環境基準 1 単位: ng-TEQ/g 22 金属スクラップの課題と当面の対策 有害物質管理 鉛などを含めばバーゼル法で輸出を厳しく規制 実際は、不均一な組成のため混入があっても規制困難 災害防止 金属スクラップは消防法上の危険物・指定可燃物ではない 港湾・船舶のみで年間5回以上程度火災発生 資源回収 有価物として取引され、中国で材料リサイクル 国外への資源流出を抑える手段はない。国内では廃棄物の恐れも 問題の複雑さと当面の対策 陸上火災件数の未把握→消防庁データを「集積所」などで集計 大規模火災では原因調査不可能→小規模火災の時こそ逃がさず、調 査を 複数省庁に渡る課題→関係省庁の連携 単純な解決策がない→現在の規制を弾力的に運用しつつ、必要に応 じて新たな通知(環境省3.19通知など)や法改正の議論も 23 内容 循環資源の越境移動 循環資源の輸出入にかかる管理制度 使用済み電気電子機器の発生と中古電気電子機器 の輸出 金属スクラップの輸出と火災などの諸課題 アジア地域におけるリサイクルと環境・健康影響 24 中国Guiyuにおける環境と健康への影響 (汕頭医科大学Huo教授、2010年) Guiyuについて、レビュー含め、環境と健康への多様な影響を報告。 労働者 子供 BANの試験で、河川水の鉛濃度高い。底質中Crも 大気中重金属濃度 河川:酸処理水が流入 POPs 血中Pb濃度 胎児のへその緒のCr,Pb,Cd濃度 重金属 2003に、肌、頭痛などの報告 血漿中PBDE濃度 大気・土壌中PBDEs 大気・土壌中PAH 魚のPBDEs 大気中PCDD/DFs 有害物質の優先順位に関するHuo教授私見「Pbだと思う。PBDEs、 PAH、POFSも高いが、さほどでない。」 25 3000 3500 3000 表層土壌 ■ 2012年1月採取試料 500 鉛(Pb) 2000 1000 500 DXN類縁化合物 2500 2000 1500 1000 0 3500 3000 2500 2000 500 500 0 0 Sediment03 Sediment01 Sediment02 Sediment04 Sediment05 Sediment06 Sediment08 Sediment07 E-wasteリサイクル施設近傍 □2013年1月採取試料 diment03 3 diment01 1 diment02 2 diment04 4 diment05 5 diment06 6 diment08 8 7 diment07 0 4000 Soil01 Soil02 Soil04 Soil05 Soil07 Soil09 Soil10 Soil11 Soil12 Soil13 Soil14 Soil15 Soil16 Soil17 Soil18 Soil19 Soil20 Soil21 Soil22 Soil03 Soil06 Soil08 Soil23 Soil24 Soil25 Soil26 Soil27 Soil28 Soil29 Soil30 Soil31 Soil32 ug/g 2500 Soil01 1 Soil02 2 Soil04 4 Soil05 5 Soil07 7 9 Soil09 10 Soil10 11 Soil11 12 Soil12 13 Soil13 14 Soil14 15 Soil15 16 Soil16 17 Soil17 18 Soil18 19 Soil19 20 Soil20 21 Soil21 22 Soil22 3 Soil03 6 Soil06 8 Soil08 23 Soil23 24 Soil24 25 Soil25 26 Soil26 27 Soil27 28 Soil28 29 Soil29 30 Soil30 31 Soil31 32 Soil32 pg CALUX-TEQ/g PJ1 国際資源循環に対応した製品中資源性・有害性物質の適正管理 ベトナム・E-wasteリサイクル村におけるフィールド調査 電源ケーブルの野焼き 400 1500 300 200 100 1500 1000 野焼き後の残渣洗浄 河川底質 リサイクル施設及び電源ケーブル 野焼き現場近傍では、E-waste由来 と想定されるPb等重金属類やダイ オキシン類が高濃度で検出(ベトナ ム農用地基準越え試料多数) それ以外では検出濃度が低めであ り、当該地域でのリサイクル由来の 拡散性は低い (Suzuki et al., Organohalogen Compounds, 2013; Suzuki et al., Organohalogen Compounds, 2014) 河川底質の2013年採取試料での 濃度上昇は、野焼き後の残渣洗浄 による影響が大きい 26 フィリピン(ジャンクショップ、不適正処理処分) マニラ首都圏の貧しい地区に多い 中古品 (一部は 違法の再 組立品) フィリピン 中古店(輸入品は調整・修理) 不用部品 の処分 ジャンクショップ リサイクル 製造・輸出業者に近いジャンクショップは 、再組立品製造のための部品提供 修理部品提供のための、一定のバッファ 機能があると考えられる プラスチックは中国系の専門リサイクル 業者がある CRTなどの不用部品は不適正処分 自治体での処理処 分、不適正処理処分 基板、プラスチック、ケーブル、銅、鉄な どに分別 テレビの基板は日本由来と思われるも のも一定の割合を占める 部品はリユース・リサイクル ジャンク品 部品リユース・ リサイクル (ブローカー) 見かけ上は国内の使用済み品を集荷 日本のテレビは少なく見える 解体・分別して、有価物を販売 再組立品 の輸出 部品提供 テレビやパソコンなどを国内で集荷 新品購入 路上で大人だけでなく、子供も作業 CRTを破砕後、ジャンクショップ裏庭に 放置、または処分場で処分 ケーブルの野焼きも散見 生活空間に近い場所で作業や投棄。特 27 に子供への安全や健康に懸念。 ジャンクショップ 路上や裏庭での手解体の作業 基板、ケーブルなどをグレードごとに分別 (左はPC由来、右はテレビ由来で、テレビ の基板は日本語の記載も一定程度あり) ジャンクショップなど での不適正処理処分 子供が素手とサンダルでCRTの 破壊作業。シャドウマスクと電子 銃を回収して、親に渡していた。 銅回収のためのケーブルの 野焼き跡が散見された。 28 0 フィリピンのインフォーマル サイト(金製錬を含むEwasteリサイクル施設)に おける施設内土壌中金属 濃度の分布調査 (2012年, 63元素, 31地点) Au <0.1 – 21 Ref. 2010年調査の他のサ イトでは190 Ref. 金鉱山の金鉱石 4 - 5 1 Dendrogram 2 3 4 Ag Au Pb Sb As Ca Ni Ba Sn Fe Cd Cr Zn Co Al Cu Dy Mn Nd Si Pb 28 – 9,000 Ref. 2010年調査の他の サイトでは160,000 円内の数値は、土壌中の各金属元素濃度(mg/kg-dry)を示す。 Cu 102 – 7,300 ・施設内のミクロ環境で、プロセスと 汚染の関連把握を目指す ・Au, Pbは製錬作業周辺で高濃 度。Ag, Sbとともに同一由来からの 29 排出と推定 5 Results from our sampling campaign in 2010 (Hazard indicators) a Children Adults ** p = 0.059 p = 0.053 1000 ** 490 ** 100 Hazard index (HI) We calculated hazard indicators (HQ and HI) of metals to assess noncancer toxic risk from ingestion scenarios of surface matrices. Formal dust had significantly higher hazardous risk than the other matrices (p < 0.005), excluding informal. Workers at formal sites and Children at informal sites should be protected for their health. NS 37 32 30 High 10 11 Moderate 4.6 3.7 4.0 Low 1.4 1 3.3 1.4 0.80 Minimal 0.41 0.18 0.1 0.10 Informal site Formal site 0 Dust Soil Dust Soil b HQ % in HI 61 Mn Cu 14% Pb 36% As 17% Pb 75% 21% Cu Pb 9% 79% Cu 25% Cu 21% T. Fujimori, et al. (2012) J. of Hazardous Materials. 221-222, 139-146 Pb 61% Results from our sampling campaign in 2010 (Blood Pb level) Concentrations of many trace elements (TE) in blood (and hair) of workers in informal and formal e-waste recycling sites were significantly higher than those from the reference site. It suggests that the recycling workers are exposed to TEs through the recycling process. 31 Hypertension, and inhibition of heme synthesis Figure. Comparison of blood Pb level with threshold levels for adverse effects (IFs: Informal recyclers, FA, FB and FC: Formal recyclers, REF: Reference site) T. Agusa, et al. (2012) 8th NIES E-waste WS ご清聴ありがとうございました。 謝辞 小口正弘氏、吉田綾氏、鈴木剛氏(国立環境研 究所)、古積博氏(消防研究センター)、藤森崇氏 (京都大学)、阿草哲郎氏(愛媛大学)、環境省、 その他ご協力頂いた関係各位に心より謝意を表 します。 32
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