2015-11-24 17:04:19 Title Physiological and

>> 愛媛大学 - Ehime University
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Physiological and Biochemical Mechanisms Associated with
Trehalose and Hydrogen Sulfide-Induced Abiotic Stress
Tolerance in Rice(Oryza sativa L.)( 審査結果の要旨 )
Mohammad Golam Mostofa
. vol., no., p.-
2015-09-15
http://iyokan.lib.ehime-u.ac.jp/dspace/handle/iyokan/4654
Rights
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受理:2015-7-15,審査終了:2015-8-28
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(第5号様式)
学位論文審査の結果の要旨
氏
論
名
審
査
文
名
委
員
Mohammad Golam Mostofa
主査 藤田 政之
副査 片山 健至
副査 岩崎 貢三
副査 秋田 充
副査 鈴木 利貞
Physiological and Biochemical Mechanisms Associated with Trehalose- and Hydrogen SulfideInduced Abiotic Stress Tolerance in Rice (Oryza sativa L.)
(イネにおいてトレハロースおよび硫化水素で誘導される非生物的ストレス耐性に関わる生
理・生化学的メカニズム)
審査結果の要旨
非生物的ストレスを受けたイネにおいて起こる、種々の生理・生化学的応答に及ぼすトレハロースと
硫化水素の影響についての一連の研究成果が、本学位論文に纏められている。
非生物的ストレスは植物の成長に悪影響を与え、世界規模で農業の生産性を低下させている。植物は、
これらのストレスに対し、独自の防御系を働かせることによって対応している。また、いろいろな浸透
圧保護剤が、環境ストレス、特に水欠乏ストレスに対する植物の応答において、制御的効果をもってい
ることが知られている。トレハロースはよく知られた浸透圧保護剤であり、植物の乾燥ストレスに対し
ては保護的に働くが、塩ストレスや銅毒性などのストレスに対しては、いかなる原理でいかなる程度の
耐性を与えるかの情報はまだ十分に集積していない。Mostofa 氏は水耕栽培で育てたイネ幼苗を用い、
塩、銅により誘導されたストレス毒性の緩和において、トレハロースがいかなる制御的役割を果たして
いるかについて研究した。塩、銅で処理されたイネは、種々の毒性症状を呈し、組織化学的観察におい
ては、活性酸素の顕著な発生が確認され、処理幼苗においては、酸化的ストレスが誘発されていること
が明らかとなった。また、リポキシゲナーゼ、マロンジアルデヒド、過酸化水素、プロリンのレベルが
上昇する一方、クロロフィル、水分含量は低下した。塩、銅ストレスは、非酵素的抗酸化物における不
均衡をもたらした。対照的に、トレハロースを前処理したイネにおいては、塩、銅で誘導される毒性症
状が軽減された。リポキシゲナーゼ活性、活性酸素、マロンジアルデヒド、プロリン蓄積は著しく軽減
された。一方、アスコルビン酸、グルタチオン、水分含量、クロロフィル量、酸化還元状態はかなり改
善した。トレハロースは、酵素的抗酸化システムおよびメチルグリオキサール解毒システムの活性化お
よび活性維持に働いた。トレハロースは、銅の取り込みおよび蓄積を阻害することにより、銅のホメオ
スタシス維持に働くことも明らかになった。
続いて Mostofa 氏は、イネにおけるカドミウムおよび塩ストレスの、硫化水素による緩和作用につい
て生理・生化学的に研究した。硫化水素はガソトランスミッターとして、植物の成長、ストレス耐性に
おいて、多面的役割をもっている。しかし、カドミウム、塩などの非生物的ストレスの緩和における役
割については、まだ十分に理解されていない。そこで、カドミウム、塩ストレスに対するイネの耐性に
及ぼす硫化水素の役割について研究した。カドミウム、塩処理は、光合成色素の欠乏、葉水含量の低下、
必須無機元素の欠乏、可溶性タンパク質の減少、酵素的、非酵素的抗酸化物質の低下を引き起こし、成
長抑制をもたらした。過剰のカドミウムと塩は、スーパーオキシドアニオン、過酸化水素、メチルグリ
オキサール、マロンジアルデヒドを増加させたことからも、酸化的ストレスが引き金となって、毒性を
誘発することも明らかとなった。しかし、外部投与された硫化水素は生理学的・生化学的レベルにおい
て顕著な改善をもたらし、それらの毒性症状を軽減した。注目すべきことに硫化水素は、カドミウム、
塩ストレスを受けたイネの根、葉において、カドミウム、ナトリウム、カリウム、その他のミネラルの
ホメオスタシス維持に働くことが明らかとなった。それに対し、硫化水素のスカベンジャーであるハイ
ポタウリンは、硫化水素の改善効果を打ち消した。
以上の研究成果は、植物ストレス生理学・生化学の領域における博士論文の内容として、一定の水準
を満たした研究であると評価できる。また、以上の研究成果は、インパクトファクターが公示されてい
る学術雑誌に、10 報の論文として報告されている。
本学位論文に関する公開審査会は、平成 27 年 8 月 1 日に高知大学農学部において開催され、申請者
の論文発表と、これに関する質疑応答が行われた。引き続き開催された学位論文審査会において、学位
論文の内容について審査した結果、審査員全員一致して、本論文は博士(農学)の学位を授与するに値
すると判断した。