mini global lecture meeting 1

グローバルミニ講演会の報告
今年のグローバルミニ講演会は、グローバルなお仕事で活躍されている方を県外からお呼びして実施しま
す。第1回が以下のように行われましたので、報告します。
日時:平成27年7月18日(土)
場所:AOSSA7階
13:00~15:30
706会議室
講師:西畑 正文 氏
1983年高志高校卒業
1987年東京大学卒業
現在、株式会社サンリオ勤務
(海外事業部グローバル事業開発課
課長)
演題:「テーマパークを世界に」
内容:
(1)経歴
①高校時代
高志高校時代は理系クラスに所属し、勉学と部活動に励んだ。部活動は野球部に所属、主将を務め
た。先生の薦めを受け、東京大学を受験、現役で合格した。
②大学時代
大学に入学したのは、東京ディズニーランドがオープンした年。友人らとディズニーランドに行くなど
し、テーマパークに魅せられるようになった。
③就職
遊びを自分の仕事にしたいといくつかの就職先を考え、就職情報誌で偶然目にとまったサンリオに応
募した。サンリオは、メッセージカードなどの販売をしていた会社で、ギフト商品を通した「心をつなげる
お手伝い」でソーシャルコミュニケーション・ビジネスに力を入れていた。“Kittyちゃん”の人気が出始め
た頃に入社し、エンターテイメント・ビジネスのプロジェクトチームに配属された。アメリカの会社や設計
者との交渉・調整をすることになり、グローバルの世界に足を踏み入れることになった。
(2)サンリオでの業績
プロジェクトチームでは、ピューロランド(東京)、ハーモニーランド(熊本)のオープンに携わった。以後、
エンターテイメントにおけるライセンス・ビジネス(キャラクターを使ってビジネスをする権利を他社に供与す
ること)に携わり、マレーシア・ジョホール州、イギリス・ロンドン郊外、インドネシア・ジャカルタなどでビジネ
ス展開をしてきた。中でも、中国・浙江省安吉の屋外型テーマパークには長い時間をかけて取り組んだ。
現地の中国人との交渉において、会社のキャラクタービジネスを理解してもらうことやキャラクターのクオリ
ティーを維持することに苦労を要しながらも、オープンにこぎ着けることができた。
(3)現在の仕事
現在も、月2回程度のペースで中国のテーマパークに出かけ、現地スタッフと調整を行っている。その
他、海外から依頼を受けると、現地との打ち合わせ等のためにいろいろな国に出かける。また、毎年アメリ
カでテーマパークの総合展示会が行われるが、世界中から集まる業界関係者と新しいテーマパークの情
報を交換したり、イベント開発のネタを入手したりするために出かけている。
(4)質疑応答
Q:これまでたいへんだったことは?
A:入社後、英語に苦労した。使える英語の大切さを感じる。相手とディスカッションできるレベルくらいにま
では、英語を身に付けておくとよい。
Q:グローバルに働くために必要なことは?
A:使える英語の力。ただし、英語ができなければグローバルな仕事は無理というわけではない。また、移
動や時差を乗り切るのに、健康と体力は絶対に必要だ。
Q:海外との文化・習慣の違いで苦労したことは?
A:海外では、日本との考え方は根本的に違う。その違いを共通のものにするのが自分の仕事であり、そ
のためには違いを見えるようにして相手に理解してもらうことが大切。実際に、アメリカ人に彼らの作る
Kittyと日本のKittyがいかに違うかを認識させるのにはずいぶん苦労した。
Q:外国のお客に合った商品・サービスとは?
A:ローカル(現地)の文化を100%理解するのは無理だ。例えば、建物、商品、キャラクターの動き、ショー
の構成など、現地の人々の感覚に合わせなければならないことはたくさんある。つまり、「ローカライズ
ありき」の前提で、現地の人とのコミュニケーションを通して商品・サービスを作っていく必要がある。
Q:相手との話し合いで結果を生むために大切なことは?
A:相手を説得したり、論破したりしようとしてはいけない。自分が正しいと思い込んでしまうとうまくいかな
い。相手と一緒に考えようとする姿勢が必要だ。
Q:ベトナムではビジネス展開をしているの?
A:ベトナム国内にサンリオの店ができたり、銀行にライセンス供与したりしている。ただし、テーマパークの
ビジネスとしては、まだ対象とはなっていない。
Q:高校・大学時代、理系で学んだのが現在どのように生かされているか?
A:経済・経営の仕事には理系的な知識・能力が必要になる。ライセンスを与えるかどうかの判断をする際
に、数学的な能力が役立っている。必ずしも、「グローバル=文系」ではない。
(5)生徒へのメッセージ
大学時代に出会ったテーマパークに魅了され、以来約30年にわたってテーマパーク事業に携わってき
た。中国にテーマパークをオープンすることができ、海外進出という目標を達成することができた。今後の
目標としては、アミューズメントの国であるアメリカに“Kitty”のテーマパークを作り、日本のキャラクターを
アメリカに輸出したい。
生徒の皆さんは、自分の好きなことをきっかけに、将来の仕事選びを考えてみるのもいいのではない
か。今後の活躍を期待しています。