ご挨拶、編集を終わって - 公益財団法人 東京海上日動教育振興基金

ご
挨
拶
当財団は、次代を担う青少年の育成に携わる教員の方々が行う各種の実践的
教育研究に対する助成を通し、いささかでも教育の振興に資することを目指す
とともに、不幸にして交通遺児となり経済的困難に直面している児童生徒に対
し教育費の一部を援助することにより育英の一助とすべく、昭和59年8月に
設立されました(平成21年10月「公益財団法人」へ名称変更)。
爾来、多くの関係者よりご支援をいただき、更には東京海上日動火災保険株
式会社が経営理念の一つとして掲げている「良き企業市民として、地球環境保
護、人権尊重、コンプライアンス、社会貢献等の社会的責任を果たし、広く
地域・社会の発展に貢献する」との理念とも相俟って、教育振興事業を積極
的に進めて参りました。創立以来の助成件数は、教育研究助成6,228件、
交通遺児育英助成3,625名となっております。
教育界は、新学習指導要領の下で「脱ゆとり」が本格化するなど、授業のあ
り方が大きく変わろうとしています。その中にあって、未来に向けて明るくす
ばらしい日本をつくっていくためにも、子どもたちひとり一人が、初等中等教
育の過程においてしっかりとした基本基礎を培い、新しい時代を生きる資質と
能力を身につけることが何にもまして重要なことであります。
そして、これを担う教員各位の役割はきわめて大きく、子どもたちが学習意
欲を高め、自ら考え発信し行動する力や心豊かな人間性を育む教育の実践に一
層のご尽力が期待されるところであります。
当財団では、毎年、学校教育において意欲的に取り組み創意工夫に溢れた指
導によって顕著な成果を収めている実践研究に対し助成を行っておりますが、
平成26年度の助成作品の中から教育界内外の多くの皆様に共有いただきご活
用いただければと願う6編について当冊子に取り纏め刊行いたしました。この
冊子が、いささかなりとも皆様方のお役に立つことが出来ますれば、誠に幸い
に存じます。
最後になりますが、刊行に当たりご協力いただいた関係者の皆様に厚く御礼
申し上げます。
平成27年4月
公益財団法人 東京海上日動教育振興基金
理事長
樋口
富雄
編集にあたって
実践事例集(第9集)を作成いたしました。今回、162件の応募作品
をいただきました。それぞれが時代的要請に基づく今日の教育課題に応え
る問題意識に貫かれており、同時にそこには教育実践研究の地域性や多様
性が滲んでいて、教育実践を推進する原動力の重要性を示唆しているよう
に思えました。今回は、収録した6作品のうち「個人研究」が4件を占め、
昨年に引き続いて実践への動機のもつ意義を改めて考えさせられました。
取り組むべき教育改革シンボルの情報があふれているなか、やはり目の前
の児童生徒から実践研究の課題を読み取ることこそ肝要だと示唆している
のかもしれません。
今日の学校教育が抱える課題は多岐にわたりますが、各学校の取組とし
ては、「地域や学校の実態」ならびに児童生徒の有り様や可能性を踏まえ
て、独自の学校教育目標を掲げ、その具現化のためにカリキュラムや分掌
組織を設け、実践に創意工夫をこらすこと――これは変わらない原則だと
思われます。そして学校での学習が生徒の実生活での諸問題解決に生きて
働くよう、さらなる工夫が改めて今日要請されております。
教育実践研究が学校としての取組であろうと、教師個人あるいは団体の
教育研究であろうと、眼前の児童生徒が直面する課題を吟味のうえ把握し、
その打開のための方略の策定と弾力的な実践ならびに全過程を通したアセ
スメントを工夫することは、共通した営みであろうと思われます。こうし
た教育研究の営みが読者に具体的に伝わることを願いつつ、平成26年度
助成分から「実践事例選」を編集いたしました。
本実践事例選が教育実践に寄与するところがあれば、望外の喜びであり
ます。
選考委員
柿沼
利昭