TICADセミナヸシリヸズ第2回 ガヸナ栄養改善プロジェクトと ソヸシャルビジネスの展望 2015年12月4日 味の素株式会社 CSR部 中尾 洋三 味の素グルヸプの志(創業者の志) 佳良にして廉価なる調味料を造り出し滋養に富める粗食を 美味ならしむることにより国民の栄養不足を解決する 1908年 池田菊苗博士 (東京帝国大学教授) 昆布より「うま味」を発見 1909年 鈴木三郎助 (初代社長) 「味の素®」発売 1917年 ニュヸヨヸク事務所開設、 1918年 上海出張所開設 1956年 アメリカ味の素、ブラジル味の素㈱設立 1958年 味の素フィリピン㈱設立、 1960年 タイ味の素㈱設立 グルヸプ理念 「私たちは、地球的な視野にたち、“食”と“健康”そして、 “いのち”のために働き、明日のよりよい生活に貢献します。」 2 味の素グルヸプの製品の広がり 3 アミノ酸とは? タンパク質を構成する 20種類のアミノ酸 タンパク質 ◆水分が約60% ◆タンパク質ヷ脂質ヷ無機質ヷ糖質 ◆タンパク質が全カラダの約20%を占める ◆タンパク質は20種類のアミノ酸より構成 →皮膚、筋肉、骨、臓器、血液、ホルモンなどを構成 4 アミノ酸は生命の木の中核(幹)を荷っている エネルギヸ産生 エネルギヸ 神経伝達物質 (TCA回路) 神経内分泌調節 抗体 情報伝達 生体防御 ホルモン 血液 (インスリン、グルカゴンなど) (ヘモグロビン、 アルブミンなど) 運動 コラヸゲン エラスチンなど 筋肉 (ミオシン、アクチンなど) 酵素 (アミラヸゼ、 ペプシンなど) 構造形成 消化と代謝 蛋白質 (ペプチド) 遺伝子 20種のアミノ酸+α (α=その他の物質、水、グルコヸス、脂肪酸、ビタミン、ミネラルなど) 参考資料: 杤久保修、安東敏彦 共著 「アミノ酸と生活習慣病 最新アミノグラムで探る『いのち』の科学」 (女子栄養大学出版、2009年) 14-① 穀物中タンパク質のアミノ酸バランス 「桶の理論」 + イ ソ ロ イ シ ン チ ロ シ ン ス レ オ ニ ン フ ェ ニ ル ア ラ ニ ン メ チ バ オ リ ニ ン ン + シ ス ト テ ロ リ ィ イ プ ン シ ン ト フ リ ァ ジ ン ン + リジン添加 イ ソ ロ イ シ ン チ ロ シ ン ス レ オ ニ ン フ ェ ニ ル ア ラ ニ ン メ チ バ オ リ ニ ン ン + シ ト ス リ テ ィ プ ン ト リ フ ジ ァ ン ン ロ イ シ ン 左図: リジンが欠乏しているため、タンパク質の利用効率は リジンのレベルによって制限される。 右図: 結晶リジンを少量添加することにより、タンパク質利用 効率が改善され、タンパク質丌足が解消される。 6 ※必須アミノ酸:体内で合成できないため食事から摂取する必要のあるアミノ酸。 途上国における深刻な栄養丌足 • 途上国の社会課題としての栄養問題 – 世界で約10億人が飢えあるいは栄養不良。 – 20億人がビタミン、ミネラル不足。 – 5才以下の死亡は毎年3.5百万人。 • 国連ミレニアム開発目標(MDGs)との関係 – MDG 4: 1990年から2015年までに5才未満の乳幼児死亡 率を1/3に削減する。 – 現在達成が困難とされている目標の一つ。乳幼児の栄養 不良が死亡率の大きな原因の一つ。 Scaling Up Nutrition (SUN)2010 国連が主導し、栄養に関するパートナー(アカ デミア、NGO、政府機関)が連合を結成、今後 の栄養改善指針を示した声明文。 人生最初の1000日の栄養(The First 1000 days) 妊娠期から2歳までの期間(人生最初の1000日と呼ばれる)を、栄養改善 の為のWindow of Opportunityと捉え、そこに集中的に資源を投入する。 最初の1000日の栄養丌足によって引き起こされるインパクト • 知能の発達障害 低体重児、低身長によって約5ポイントのIQの低下が起こるとされている • 生産性の低下 1%の身長低下により1.4%の生産性の低下が起こるとされている 栄養丌足によって約3%のGDPの低下が起こるとされている (Haddad & Bouis, 1990) (USAID 2010) 8 様々なセクタヸとの連携でプロジェクトをスタヸト 様々なノウハウを有するパヸトナヸに参画をお願い。 創意工夫しながらシナジヸを最大化する。 9 ガヸナ共和国の概要 首都 人口 国土面積 主要言語 宗教 GDP 産業 独立 :アクラ :2,500万人(増加率2.5%) :24万㎞2 (日本の2/3) :英語(公用語)、部族語多数 :キリスト教、イスラム教他 :300億ドル(≒3兆円) :金、カカオ、石油、木材 :1957年 なぜ、ガヸナなのか? 政治が安定しており、国連機関、国際NGOなど様々な社会セクタヸが、 ガヸナを西アフリカの拠点として活動しており、それらとの連携による ソヸシャルビジネスのモデルづくりには最適の場所であるため。 10 ガヸナ栄養改善プロジェクト ガーナの栄養状態 Ghana Health Serviceのデヸタ。生後6ヶ月―24ヶ月の離乳期間に栄養丌足 による子供の成長遅延が増加。 栄養不足による子供の成長遅延 50 (%) 40 離乳期間 30 低身長 低体重 20 10 <保健所の様子> 0 6m 6-8m 9- 12- 18- 24- 35- 4811m 17m 23m 35m 47m 59m (月齢) 母親手帳・子ども手帳 「KOKO Plus」製品コンセプト + Koko(発酵コヸンベヸスのお粥) 栄養サプリメント “KOKO Plus” ヷタヸゲット:栄養丌足問題の深刻な生後 6ヶ月~24ヶ月の離乳期間の子供 ヷ組成 : 大豆、パヸム油、砂糖、アミノ酸 (リジン)、ビタミン、ミネラル 12 ヷ価格 : 20PS(≒10円) 現地の原料を使い、現地で製造 現地の食品企業 Yedent社、ガヸナ大学とともに ワヸカヸの教育 数字を読めない。トイレを使う。手を洗うヷヷヷから始める。 13 2013年TICAD-Ⅴオヸプニングスピヸチで 安倍首相が「KOKO Plus」を紹介 オープニングスピーチで「KOKO Plus」を紹介する安倍首相 2013年6月 日本で開催された「第5回アフリカ開発会議」(TICAD-Ⅴ)の オープニングスピーチで安部首相が「KOKO Plus」を紹介。 14 14 栄養効果試験 (身長、体重等の基礎調査、毎月実施) 体長測定 15 体重測定。お母さんがまず 体重を量り、ゼロ調整後、 子供を抱えて体重を測定 します。 血液サンプリング(生後6ヵ月、12カ月、18カ月) お兄さん、 タイプ! 採血の準備中 血管が見えなくても採血します。ものの1分、すごい! 16 栄養サプリメントを市場導入する時の難しさ Advertisement Promotion (=Behavior change) (=Awareness) Instruct how to cook! General food products Sounds good! Nutritional supplements What is it? Taste good! Nutrition? Convenient! I see! Good growth! Effective Nutritional Education! I love it! I love it! 生産/各種試験実施地域 流通システム構築試験 地元の食品企業Yedent社と 協働で生産体制を確立 栄養効果確認試験 1. 2. 3. - 微量栄養素のみ Koko plus 栄養教育のみ 各グルヸプ約300人 6-18 月齢 1年間のスタディヸ Plan と連携 Effectiveness trial -1 女性のネットワーク “Village Savings and Loan Association” CAREと連携 Effectiveness trial -2 伝統的流通経路 +ソーシャルマーケ ティング 需要創出の為のイベント テスト販売では短期間で高い浸透率を達成(北部) 四半期ごとの「KOKO Plus」認知度、使用率 (北部、対象の子供約1200人) 19 一般販売チャネルでのテスト販売(南部) エプロンが似合っています! Kiosk ドラッグルート 20 保健所での栄養教育と製品試食(南部) 試食の様子 保健所で保健師による栄養教育 続いて販売スタッフ によるプロモーション 試食の様子 21 教会や学校での栄養教育ヷ販促活動(南部) 教会のミサの途中に 学校でも サンプルを配布 22 Sustainable Development Goals SDGs目標2: 飢餓をなくす 飢餓に終止符を打ち、食料の安定確保と栄養状態の改善を達成する とともに、持続可能な農業を推進する 主として環境破壊や干ばつ、 UNICEF photo 生物多様性の損失の直接的 結果として、7億9500万人が 慢性的な栄養不良に陥って いると見られる。 また、5歳未満児の9000万人 が低体重で4人にひとりにあ たる1億6,500万人が、発育 阻害(スタンティング)状態に ある。 2.2 5 歳未満の子どもの発育阻害や消耗性疾患について国際的に 合意されたターゲットを2025 年までに達成するなど、2030 年まで にあらゆる形態の栄養不良を解消し、若年女子、妊婦・授乳婦及 び高齢者の栄養ニーズへの対処を行う。 ガヸナプロジェクトから広がる新たな連携 国連世界食糧計画との連携 2014年3月協働取組の覚書締結 日本政府がWFPガーナに出した拠出金 を基に、官民連携による栄養改善に取 り組む。 ローカルの食材についての栄養組成のデータベースをつくり、安価で栄養のあ る食事のガイドラインを作ることが協働での取組みの一つ。
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