INFORM - ジュンク堂

世界の本屋さん
vol.44
タイ
バンコク・アジアブックス
バンコクには民族資本の大きな書店は
POP表示が良い。社員八名はお客様の
魅力があるからである。また価格訴求力、
でも商品に魅入ってしまう。陳列商品に
ノセ事務所
能勢
仁
ない。しかしチェーン店でアジアブック
数冊を持ってきてくれた。アジアブック
気を逸らさない商売をしている。筆者が
スが頑張っている。バンコク市内に十店
スが読者に人気のあるのは、こうしたレ
の店をもち、地元では人気がある。立地
富んでいる。店舗面積は十坪∼四十坪と
ファレンス力が強いからである。この店
索してくれ、単行本とペーパーバックス
中規模店が殆どである。この店の特色は
はタイ語書、英語書の専門店で、日本書
﹁ タ イ 史 の 本 が 欲 し い ﹂ と い っ た ら、 検
チェーン店間の商品移動である。その店
は 全 く 扱 っ て い な い。 商 品 で は 児 童 書、
が 面 白 い。 ホ テ ル、 シ ョ ッ ピ ン グ セ ン
に無くても、午前中であれば、他チェー
ター、百貨店、商店街等、バラエティに
ン店から夕方には取り寄せてくれる。各
画集、写真集に力が入っていた。
アジアブックスでは毎月ニューアライ
店間のコミュニケーションのよいことに
驚いてしまった。
The BIG READ-READ
キーワードは
バ ル の 新 刊 目 録 を 発 行 し て い る。 店 の
店エンプロイアムの三階にある。店頭の
︵読めば読むほど
MORE GAIN MORE
得をする︶である。
チェーン店の代表格の店は、高級百貨
ウインドウの陳列が素晴らしい。おもわ
ず足を停めてしまう。入口にはバーゲン
セールのワゴンが数台並んでいる。ここ
(表紙題字・陳舜臣)
8月
山椒魚は岩屋の出入口から、谷川の大
きな淀みを眺めることができた。そこで
水底に生えた一叢の藻が朗かな発達を遂
げて、一本ずつの細い茎でもって水底か
世界の本屋さん
﹁書標﹂歳時記
月
科
学
1
太田
忠司
2
著書を語る
○ ﹃伏木商店街の不思議﹄
書標・書評
﹃里海資本論﹄ほか
会
芸
術
コ ン ピ ュ ー タ
書
特集
社会を貫く数学
読むならコレ!
文庫・ノンフィクション
今月のおすすめ
社
インフォメーション
本屋うらばなし
﹁選手兼任監督﹂
※表示価格はすべて本体価格です。
書
書
18
ら水面まで一直線に伸びていた。そして
水面に達すると突然その発育を中止し
8 44
学
自 然 科 学
医
人 文 科 学
文 学 ・ 文
文 庫 ・ 新 書
芸
用
書
地 図 ・ 旅 行
実
童
語 学 ・ 辞 典
児
読者から
20
22
て、水面から空中に藻の花をのぞかせて
いるのである。
﹃山椒魚﹄井伏
鱒二著
︵新潮文庫︶より
24
25
27
28
21
23
25
26
−1−
4
6
16
10
19
30
520
著書を語る
○
︱︱
太田
忠司
出 版 に こ ぎ 着 け る ま で の 奮 闘 に つ い て は、 い ろ い ろ 書
﹃伏木商店街の不思議﹄
僕 が﹃ 帰 郷 ﹄ と い う 作 品 で 星 新 一 シ ョ ー ト シ ョ ー ト
き た い こ と も あ る の だ け ど 今 回 は 割 愛 す る。 兎 に も 角
ると思ってきた。星新一先生に認められたから、という
でも心の底では、自分の基本はショートショートにあ
なった。以後、仕事の主体は長編や短編だ。
にも僕は新本格ミステリの作家として世に出ることと
コンテストの優秀作に選ばれたのは一九八一年のこと
プロ作家としてのデビュー作は一九九〇年に上梓し
だった。
た﹃ 僕 の 殺 人 ﹄ と い う 長 編 な の だ が、 そ も そ も の 始 ま
りはショートショートだ。
た。 コ ン テ ス ト の 受 賞 者 は 毎 年 十 人 以 上 生 ま れ て い た
トショートランド﹂という専門誌に作品を投稿してい
だからプロになった後も新しい編集者と会うたびに
せることができるこの形式が、とても好きだったのだ。
長くても原稿用紙二十枚程度の中に様々な物語を展開さ
こともあったが、何よりショートショートが好きだった。
ので、その中で雑誌掲載にまで至るのは大変なことだっ
かし返答はいつも芳しくなかった。星新一先生が筆を折
﹁ショートショートやりませんか﹂と提案してきた。し
コンテスト受賞後、当時講談社が出していた﹁ショー
た。 か な り 苛 烈 な 生 存 競 争 だ っ た と 思 う。 当 然 の こ と
られた途端、この国ではまるでショートショートという
な が ら 掲 載 率 は 極 め て 低 か っ た。 だ か ら 専 業 作 家 に な
れるなんて思ってもいなかった。
需要も無くなってしまったのだ。ある編集者には﹁今の
ものが存在していなかったかのように存在が消え失せ、
読者はショートショートというものを知らないから、そ
そうこうしているうちに﹁ショートショートランド﹂
も 休 刊 と な り、 作 品 を 掲 載 す る 器 も 失 っ て し ま う。 自
こから教えないといけない﹂とまで言われた。説明する
分の作家としての命運は断たれた、と思った。
そ の 後、 書 く も の を 長 編 へ と シ フ ト し て デ ビ ュ ー 作
−2−
520
妙 な 仕 事 を し て い る 店 も あ る。 笑 っ て し ま う も の、 泣
八 百 屋 の 話、 靴 屋 の 話。 映 画 館 や 交 番、 捜 し 屋 な ん て
け る も の、 ち ょ っ と 怖 い も の、 い ろ い ろ な 色 合 い の 話
よりショートショートを一編読んでもらえばすぐに理解
そ れ で も 僕 は 諦 め な か っ た。 仕 事 と し て 依 頼 さ れ て
が 読 め る よ う に な っ て い る。 言 っ て み れ ば お 菓 子 の ア
してもらえるのにと歯噛みしたくなる言葉だった。
いなくても思いついたショートショートは書いていた。
﹃ 星 町 の 物 語 ﹄﹃ 星 空 博 物 館 ﹄ で イ ラ ス ト を お 願 い し
ソートのような作品集だ。
たY OU C H AN さ ん に 今 回 も 素 敵 な イ ラ ス ト を 描 い
枚数制限のない短編を依頼されたときは必ずショート
少 し で も み ん な の 気 持 ち に 寄 り 添 え れ ば と﹁ シ ョ ー ト
て い た だ い た。 巻 頭 に 掲 げ ら れ た 伏 木 商 店 街 の 地 図 を
シ ョ ー ト を 書 い た。 東 日 本 大 震 災 が 起 き た と き に は、
ショートの炊き出し﹂と称して十二のショートショー
えると思う。
見 た だ け で、 こ れ か ら 始 ま る 物 語 た ち に 期 待 し て も ら
僕にとってショートショートを書くことは趣味だっ
僕はこれからもショートショートを書いていくつも
り だ。 読 む の も 楽 し い し 書 く の も 楽 し い。 そ し て 読 ん
読んでみてください。きっと楽しいはずです。
でもらえるのも楽しくてしかたない。
−3−
トを自分のブログに掲載した。
た。自分を自分たらしめるための趣味だ。
世 の 中 は し か し、 少 し ず つ 動 い て い た。 そ ん な 地 道
な 活 動 を、 認 め て く れ る 編 集 者 も い た。 書 い て み ま せ
んかと言ってくれるひとも現れた。
結果、これまでに﹃帰郷﹄
﹃星町の物語﹄
﹃星空博物館﹄
と三冊のショートショート集を上梓することができた。
そして今回、﹃伏木商店街の不思議﹄という四冊目の本
を世に送り出した。
この本には三十一編のショートショートが収められ
て い る。 す べ て 書 き 下 ろ し だ。 伏 木 商 店 街 と い う、 ど
こ に で も あ る、 で も ち ょ っ と 変 わ っ た 商 店 街 の、 ひ と
つ ひ と つ の 店 を 舞 台 に し た 物 語 を 綴 っ た。 魚 屋 の 話、
『伏木商店街の不思議』
河出書房新社・1,500 円
﹃里海資本論﹄
角川新書・八〇〇円
井上恭介・NHK﹁里海﹂取材班著
埋 め 立 て、 工 場 建 設、 コ ン ビ ナ ー
間は感謝する。その感謝の言葉に、海は
その努力に、海は水産物で報いる。人
う歴史書である。
が、どのような発展を辿ってきたかとい
本書は、その混ぜ物の材料となる香料
着いたユーラシア大陸東端の多島海か
西洋発の科学技術文明が東漸して行き
りを組み上げる。自然の香りを複数の合
調香師はこれらを全て記憶し、新しい香
類 は 天 然・ 合 成 併 せ て 千 種 類 を 超 え る。
の調合は今でも錬金術である。香料の種
錬金術は科学へと姿を変えたが、香料
アラブの錬金術師の発明だった。
ベ ー ス と な る ア ル コ ー ル も 中 東 起 源 で、
パ で 使 わ れ た 薬 酒 だ と 著 者 は 推 察 す る。
香水の原型となったのは、中世ヨーロッ
ま ま 焚 く か、 油 に 香 り を 移 し て 用 い た。
の源流は中東にある。初めは樹脂をその
主な舞台はヨーロッパだが、香料自体
﹁どういたしまして﹂と返すだろう。
﹁資本﹂とは﹁マネー﹂の謂いではない。
生きとし生けるものにいのちを与え
る、人間もその一部である生態系の全体
が﹁資本﹂なのである。
日本の瀬戸内海から発信された﹁里海﹂
と生産性が高くなった沿岸地域︶は、今
︵=人手が加わることにより生物多様性
ト ⋮⋮。高度経済成長の時代、瀬戸内海
は、すっかりその姿を変えた。赤潮が海
や〝SATOUMI〟として世界の指標
面を覆い、豊かだった水産物が姿を消し、
海水浴場も、いつの間にか無くなった。
り戻しつつある。産業構造の変化、人々
成香料で作る事もあるが、単なる再現で
になる言葉となった。
の環境意識の深まりもあっただろう。だ
ら、行き詰まった文明のオルタナティヴ
はなく全く新しい印象を加えられること
その海が今、少しずつかつての姿を取
が何より、そうした状況の変化を逃さな
を問い返していく。また、愉しからずや。
香水はなぜ生まれたかと問えば、大抵
からといって百合が使われなくなる事は
る。しかし香料は違う。薔薇が流行った
れるという事は、忘れ去られる事でもあ
多くの文化には流行り廃りがある。廃
﹁ネ︵鼻︶﹂という称号が贈られる。
になる。フランスでは、一級の調香師は
い生態系自体の力強さゆえである。
﹃香料商が語る東西香り秘話﹄
︵フ︶
広島湾ではカキ筏に吊り下げられたカ
キ達が、富栄養価物質を取り込んだプラ
ン ク ト ン を せ っ せ と 食 べ て 海 を 浄 化 し、
の人は﹁体臭を隠すため﹂と答えるだろう。
決して無い。これほど普遍的に愛されて
ヤマケイ新書・八八〇円
実際は逆で、まず神への捧げ物や薬と
いる存在は香料以外に無いのではと思わ
相良嘉美著
しての﹁香る混ぜ物﹂があり、それが臭
せてくれる一冊だった。
岡山県備前市日生では、いったん姿を消
その陰には、瀬戸内海を天然の〝いけ
い 消 し や 食 品 の 風 味 付 け に 転 用 さ れ た。
し た ア マ モ が 再 び 生 息 地 を 広 げ、﹁ 海 の
す〟に戻したいという漁師や研究者=﹁海
香りがある事は極自然なことであった。
ゆりかご﹂の役割を果たす。
の守り人﹂たちの、長年にわたる地道な
︵由︶
努力の積み重ねがあった。
−4−
メントをつけている。形式にとらわれな
る時があるわけで、少しでも意識を持つ
もただ漠然と日々を過ごしてしまってい
﹃パラレルワールド御土産帳﹄
い自由な短歌で知られる穂村による
確かに私たちは、毎日では無いにして
が大切だと、著者は説明しています。
パイインターナショナル・一八〇〇円
だけで、いつもと違う日常を学べるので
ワールド﹂作品群をまとめた作品集であ
パンタグラフは、オブジェやジオラマ
ツッコミめいた寸評は、パンタグラフの
はないでしょうか。
り、それぞれの作品に歌人の穂村弘がコ
といったユーモラスな立体造形を次々と
作り上げた世界観と見事にマッチし、本
パンタグラフ/造形・穂村弘/文章
生み出し、アニメムービーや広告、アー
げている。
書を読み物としても面白いものに仕上
チャレンジする大事さは大半の人間は
的です。
たら声を上げてみる﹂という言葉は印象
半 で、﹁ 迷 っ た ら 手 を 挙 げ て み る。 迷 っ
第二章の﹁インプットする﹂の中の後
トイベントなどで活躍を続けているアー
奇 抜 な 発 想 に 笑 う と と も に、﹁ こ ん な
ティスト集団である。学校図書の小学校
算数の教科書で表紙のオブジェを手掛け
ガジェットが本当にあったら﹂という楽
分かっていますが、いざという時、この
ている、と言えば、教科書を使っていた
奇心旺盛な男の子の創作意欲も刺激す
しい想像も膨らむ。大人はもちろん、好
彼らが雑誌﹁日経パソコン﹂の表紙で
行動をとれる人はあまりいないでしょ
方はぴんと来るかもしれない。
る、少年の心を忘れない人たちにお勧め
恐れているからです。ただ、それらの事
と思ったり、それが失敗に終わることを
う。なぜならその行為自体が恥ずかしい
長 年 発 表 し 続 け て き た の が、﹁ パ ラ レ ル
の一冊だ。
﹃グロービス流ビジネス勉強力﹄
︵小︶
ワ ー ル ド ﹂ と 銘 打 っ た オ ブ ジ ェ 群 だ。
ジェットたち﹂という設定で製作された
﹁我々の世界とは異なる進化を遂げたガ
本書は、ビジネスに対する意識や姿勢
東洋経済新報社・一五〇〇円
してあり、私自身も常にチャレンジし続
とのほうが遥かに大きいと、本書では記
で失うことよりも、前進して得られるこ
愉快なものばかり。ブラウン管式の携帯
の在り方を丁寧にまとめたビジネス強化
グロービス経営大学院著
テレビ、真空管無線ルーター、巨大なパ
造 形 物 は、 ど れ も ど こ か 常 識 と ず れ た、
ラ ボ ラ ア ン テ ナ が 付 い た 無 線 マ ウ ス に、
書です。
チームパンク的なスタイリッシュさ、そ
ア に、 ハ イ テ ク と レ ト ロ が 同 居 し た ス
で、様々な経験や体験を重ねて日々過ご
使われており、私たちは生活していく中
本書では随所に﹃学び﹄という言葉が
是非とも読んで頂きたい書籍です。︵糸︶
いたい方や、何か新しい事を始める方に、
解説をしているので、効率的に時間を使
いいのかを、各章でとても分かりやすく
や、どのようにスキルUPをしてゆけば
このように本書は、ビジネスの心構え
けようと思いました。
クラウド十得ナイフ⋮⋮。溢れるユーモ
してその中にほんの少しだけ現代文明批
げられるかは常に意識を持ち続けること
していますが、それらを=﹃学び﹄に繋
本書は約十年にわたるこの﹁パラレル
判のエッセンスが混じる。
−5−
いまにして思えば、やはりそこが分岐点
持 つ こ と も な く、 高 校 へ 入 っ た 十 五 歳。
数・数学が苦手・嫌いという意識を特に
か無事に乗り切った。そのときまでは算
学校の数学は良き先生に恵まれてなんと
小学校の算数はそれなりにこなし、中
を、先生が少しでも楽しいヒントを与え
を考える際にどのような意味を持つのか
いるものが、自然現象ないし社会的事象
数学の授業のなかで、そこで教えられて
は な い、 と。 そ し て 一 方 で、 あ の と き、
数学ほど身近で社会において重要なもの
十 五 の 時 の 自 分 に 声 を 出 し て 言 い た い。
し、継続的に取り組むことによってのみ、
好ましくない状況に陥ってしまう瀬戸際
のささやき﹂に誘われそうになっていて、
今回の愛書家の楽園では、その﹁悪魔
てくれれば、数学へのモチベーションを
でした。
しっかり理解できるもの。頭では分かっ
にある若い方たちに向けて、また、四十
高めてくれる本でも薦めてくれれば、と
ていたつもりが、思春期の迷いでしょう
代後半にして、いまさらながら数学の楽
誰もが言うように、数学は、階段を一
か、どこかで階段を踏み外し、怠けてし
し さ・ 重 要 さ に 気 づ い て し ま っ た 私 が、
愚痴の一つも言いたくなります。
まった十五の私。そのとき、文系の方に
数学が苦手な方にその考えを少しでも払
歩ずつ上がっていくように、サボること
はお馴染みの、あの悪魔のささやきが聞
拭してもらうきっかけになるような本を
なくそれぞれの段階の基本をマスター
こ え ま し た。﹁ こ ん な 数 学 を 勉 強 し て、
るのは、
﹁渋滞学﹂でも有名な西成活裕先
まず、導入に最適な本としてご紹介す
ご紹介したいと思います。
将来なんの役に立つの?﹂
自分が馬鹿だったと言ってしまえばそ
まいました︵笑︶。それからというもの、
れまでですが、そのささやきを聞いてし
なんとかギリギリのラインでお茶を濁し
生による﹃とんでもなく役に立つ数学﹄︵角
都立三田高校の生徒十二名を相手に行わ
川ソフィア文庫・七六〇円︶です。本書は、
れ た 講 義 を ベ ー ス に 構 成 さ れ て い ま す。
つ つ、 大 学 受 験 は い わ ゆ る﹁ 私 大 文 系 ﹂
同様の体験をした方は結構いらっしゃ
で数学とオサラバしてしまいました。
るのではないでしょうか。いま私はあの
−6−
かりではなく、文系に決めている方もい
その生徒たちは数学が好き・得意な人ば
さも感じられるでしょう。
でいただくと、その学問そのものの面白
︵ 新 潮 選 書・ 一 三 〇 〇 円 ︶ も 併 せ て 読 ん
にもならないので、やはり頭と手を動か
明示されていますが、それをみてもどう
いてみましょう。本の中には答えだけが
て良いものだと思いますが、数学の抽象
いま紹介した西成先生の本は入門とし
こで確認いたしましょう。
自分で解いてから解答へのプロセスをそ
定 の ホ ー ム ペ ー ジ に 載 っ て い ま す の で、
す必要があります。解答の解説は数学検
ます。西成先生は、
﹁⋮⋮現実社会に飛び
そして厳密さといい加減さが入り混じっ
化と単純化の重要性について語っている
出して、様々な場面で活躍している数学、
た﹁血の通った数学﹂の姿﹂を生徒に伝
く数学 の﹁仕事﹂でわかる数学の本当
財団法人 日本数学検定協会監修﹃はたら
ん。そんな方には、篠崎菜穂子著/公益
思われる方もいらっしゃるかもしれませ
物です︶、岡本和夫・薩摩順吉・桂利行﹃数
るのは︵私が所属する東大出版会の刊行
歩みを前に進めてみましょう。ご紹介す
ここまで取り組んでみたら、もう少し
こともあり、まだ少しハードルが高いと
えたいと明確に述べています。
の使われ方﹄
︵日本実業出版社・一四〇〇
える﹂と題された章の確率や微分を中心
が、 個 人 的 に は、﹁ 数 式 か ら 呼 吸 が 聞 こ
題がそこかしこにちりばめられています
む者に十分に伝わってきます。楽しい例
一読して、この西成先生のねらいは読
かが具体的にイメージできますが、各章
も数学が社会の中でどのように役立つの
を手際よく示してくれます。読むだけで
い問題に対処するための数学の道具立て
して、そのときに解決しなければならな
というように、具体的な場面をまずは示
三 平 方 の 定 理 ﹂﹁ 土 木 設 計 技 師 ︱ 積 分 ﹂
エ ︱ 線 形 計 画 問 題 ﹂﹁ 建 築 士 ︱ 平 方 根、
本先生は、
﹁⋮⋮数学を学ぶときには、結
役に立ち
気づかぬところで社会を支え
る﹂
︵桂先生︶
。さらに、本書の一章で岡
﹁数学は科学のインフラ
思わぬところで
然や社会を語る世界語です﹂
︵薩摩先生︶
、
しましょう ! ﹂
︵岡本先生︶
、
﹁数学は自
は数が苦? そんな気持ちは止めて数楽
葉をまずはご紹介いたしましょう。
﹁数学
本書の帯に載せられているお三方の言
著者のお三方は、長年、東大の数学科で
学 理性の音楽 自然と社会を貫く数学﹄
︵ 東 京 大 学 出 版 会・ 二 八 〇 〇 円 ︶ で す。
円︶をおすすめします。
に説明している部分がおすすめです。ま
の最後にある問題を、過去に使った︵も
局はその縦の構造︵筆者注 基本的なこ
教鞭をとられた実力者です。
ずはこのあたりからちょっと覗いてみて
しくは使うのを諦めた︶中学・高校の教
本書は、﹁美容師︱円周率﹂﹁パティシ
本書にも問題解決の実践として﹁渋滞﹂
科書を横において、紙と鉛筆を持って解
ください。
について説明されていますが、西成先生
−7−
25
の名を一般の人にも知らしめた﹃渋滞学﹄
『とんでもなく
役に立つ数学』
よう。
﹂と述べています。ああ、十五歳の
について考える、という道をたどってみ
らの風景を眺めつつ、山の姿、数学の形
はできないけれども、ひとまず高い所か
によって理解が進む形︶を無視すること
とから順々に、一歩一歩登っていくこと
問題で、こうした知識を持っておくこと
とって誰もが避けて通ることができない
関係なく、現代社会に生きるわれわれに
ます。このことなどは、文系・理系など
の重要性とその背景が丁寧に語られてい
号、符号理論など、整数論や代数幾何学
竹内薫さんの﹃素数はなぜ人を惹きつけ
の 選 書 リ ス ト に は 入 れ ま せ ん で し た が、
三〇〇〇円︶もあります。また、フェア
﹃暗号技術入門 第3版 秘密の国のアリ
ス﹄
︵ ソ フ ト バ ン ク ク リ エ イ テ ィ ブ・
ル﹄などでお馴染みの結城浩さんによる
ここまで来ると、あとは社会における
るのか﹄
︵朝日新書︶の第二章に公開鍵
数学の多様な展開をどんどん見ていきま
暗号についての簡潔な説明があります。
﹁ソリトン﹂﹁カオス﹂﹁フラクタル﹂がキー
しょう。その入口の本として、合原一幸
は必須だと言えるのではないでしょう
ワードです。ここではそれぞれのことに
編著﹃社会を変える驚きの数学﹄
︵ウェッ
か。また、もう一つ重要なものとして﹁非
踏み込む実力は私にはありませんが、こ
ジ選書・一四〇〇円︶を読んでみてくだ
時、こうしたかたちで数学の形・姿を私
れらはコンピュータの発展によって得ら
の目の前に示してくれる人がいてくれた
れ た 概 念 で、﹁ 文 系 ﹂ の 哲 学 な ん か の 論
さい。この本の﹁はじめに﹂の冒頭から、
線型﹂のことが語られていて、そこでは
考でもよく目にする︵それが良いのかど
の で す か?﹂﹁ 学 校 で 数 学 を 勉 強 し て 何
﹁数学はどれだけ世の中の役立っている
をする際に必要なセキュリティーの問題
トの普及により電子的な情報のやりとり
学Ⅲ
デ ジ タ ル ﹂﹁ 文 化 と 数 学 ﹂ と 題 さ
れた章です。ここでは特に、インターネッ
を参照してください。さらに、
﹃数学ガー
と暗号の数理﹄
︵共立出版・三四〇〇円︶
一二〇〇円︶
、 藤 原 良・ 神 保 雅 一﹃ 符 号
代の暗号﹄
︵ 岩 波 科 学 ラ イ ブ ラ リ ー・
田和夫・國廣昇﹃ほんとうに安全? 現
の関係を感じていくしかないでしょう。
ところから、それぞれのテーマと数理と
経済データ等々、もうこれは興味のある
錯視、人間関係、脳とコンピュータ、音楽、
生命の不思議、素数、ランダムウォーク、
−8−
ら、とちょっとため息が出てきます。
う か わ か り ま せ ん が ︶ 言 葉 で す。﹁ ソ リ
と暗号理論、デジタル情報のちょっとし
取り上げられているテーマは多様です。
す。嬉しいですね。
うという著者の真摯な構えが感じられま
の役に立つのか?﹂という問いに答えよ
トン﹂は冒頭に紹介した西成先生の本で
暗 号 理 論、 符 号 理 論 に つ い て 詳 し く
も説明されています。
見ておきたいのは、﹁社会と数学﹂﹁生活
知りたい方は、
﹃数学 理性の音楽﹄のな
た誤りを修正するために必要な訂正符
か で も 参 考 文 献 に 挙 げ ら れ て い る、 太
と 数 学Ⅱ
セ キ ュ リ テ ィ ー﹂﹁ 生 活 と 数
本書を読んで﹁文系的な﹂視点でぜひ
『数学 理性の音楽』
前、東京大学出版会に編集者として採用
私的な体験から一つ。私は、二十三年
スの数学者︶︶をかみしめてみましょう。
の 音 楽 で あ る ﹂︵ シ ル ベ ス タ ー︵ イ ギ リ
﹁ 音 楽 は 感 覚 の 数 学 で あ り、 数 学 は 理 性
の音楽﹄のタイトルのもとになった言葉、
な ど を ど う ぞ。 そ し て 先 の﹃ 数 学 理 性
そ し て﹁ 音 楽 ﹂ 教科書には載っていな
い 絶 妙 な 関 係 ﹄︵ 講 談 社・ 一 五 〇 〇 円 ︶
円︶
、中島さち子﹃人生を変える﹁数学﹂
科学 ドレミ⋮⋮はどのようにして生ま
れたか﹄
︵講談社ブルーバックス・八六〇
ません。例えば、小方厚﹃音律と音階の
たら、音楽と数学の関係が最適かもしれ
なかでもちょっと一休み的に読むとし
います。
て経済学の本にも触れてもらえればと思
貫く数学﹂を感じるための良き材料とし
ム 理 論・ 入 門 新 版 人 間 社 会 の 理 解 の
ために﹄有斐閣・一九〇〇円︶、﹁社会を
ルーバックス・八六〇円、岡田章﹃ゲー
川越敏司﹃はじめてのゲーム理論
2つ
のキーワードで本質がわかる﹄講談社ブ
理論の本を中心に挙げましたが︵例えば
て、このフェアの選書リストにはゲーム
ことができました。経済学の関連書とし
で苦闘するなかでその面白さを理解する
に受けている学問です。そして私も仕事
経済学は、まさに数学の恩恵を十二分
せんが、重要な経験でした。
れての結果でほめられることではありま
くような気がしてきました。必要に迫ら
式を頭の中で言葉に置き換えて読めてい
もので、なんだかよくわからなかった数
分を勉強しました。そうすると不思議な
かないので、しばらくは必死に微分・積
ます。困惑しましたが逃げるわけにはい
てとして当然のことながら使用されてい
が主流ですので、数学が中心的な道具立
経済学は全くの素人。しかも近代経済学
と福岡店三階、丸善名古屋本店一階にて、八
紹介した書籍は、池袋本店一階エレベータ前
*愛書家の楽園・特集﹁社会を貫く数学﹂でご
︵東京大学出版会・黒田︶
き﹂がもう聞こえないようにするために。
に楽しみましょう。あの﹁悪魔のささや
﹁文系﹂と思って腰が引けている皆様、
挫折も報われるというものです。
の愉しさを共有できれば、十五歳の私の
フェアを通じて、一人でも多くの方とそ
を い ま か み し め て い ま す。 そ し て こ の
数学の面白さを少しでも感じられた幸福
なんとも皮肉なものですが、この歳でも
ようと努力している最中です。人生とは
数学を嫌いにならないよう、なんとかし
で す。 十 歳 に な ろ う と す る 自 分 の 娘 が、
先生の﹃数学の言葉で世界を見たら
父
から娘に贈る数学﹄︵幻冬舎・一八〇〇円︶
る本は、著名な宇宙物理学者・大栗博司
大しました。いま私が一生懸命読んでい
の変化は大きく、数学の役割は本当に拡
ピュータやデジタル化の進展など、社会
数学との不幸な別れから三十年。コン
月十日∼九月九日までフェア展開中です。
数学をそれぞれの興味から、一緒に大い
されましたが、その担当分野は経済学で
し た。 大 学 の 専 攻 は 政 治 学 で し た の で、
−9−
『社会を変える
驚きの数学』
今年はすんなりと、このテーマになりま
い る 文 庫 フ ェ ア の テ ー マ を 決 め る と き、
︵文春文庫・上原善広著・六七〇円︶
お「んなに生まれておんなを生きてゆく
﹃日本の路地を旅する﹄
︵新潮文庫・井上理津子著・七一〇円︶
﹃さいごの色街飛田﹄
他に﹃評伝ナンシー関
心に一人のナ
ン シ ー を ﹄︵ 朝 日 文 庫・ 横 田 増 生 著・
﹁私の話を聞いてくれ﹂を拾い集めるよ
けてきた一人。目に見えぬ深層を読む人
代から淡々とノンフィクションを薦め続
四六〇円︶など。Aさんは福岡ビル店時
」
﹁肉を獲る、肉を喰らう、生活してゆく﹂
した 。 博多の丸善はオープンして四年。
お客様も中高生、社会人、ご家族連れな
ノンフィクション。毎年春に展開して
ど、幅広く、文庫は小説を中心によく売
七 四 〇 円 ︶﹃ な ぜ ノ ン フ ィ ク シ ョ ン 作 家
あった﹂
﹁あ そ こ の 角 を 曲 が っ た ら あ の 風 景 が
スタッフの思いもあり、今回はノンフィ
は お 化 け が 視 え る の か ﹄︵ 中 公 文 庫・ 工
もっとノンフィクションやエッセイの
れています。
クション。フィクション以外はすべてノ
う に、 古 今 東 西 の 事 件 や 世 相、 自 然、
です。
− 10 −
面白さをアピールしたいというベテラン
ンフィクションだとしたら、本屋はノン
藤 美 代 子 著・ 六 八 六 円 ︶﹃ 腰 痛 放 浪 記
椅子がこわい﹄︵新潮文庫・夏樹静子著・
思 想、 歴 史、 フ ァ ッ シ ョ ン ま で を 数 名
店 内 各 所 に こ ぼ れ る﹁ 俺 の 話 を 聞 け ﹂
フィクションに溢れています。
のスタッフがそれぞれのテーマを決め
て、 流 れ の あ る 選 書 を し て い ま す。 展
開書籍にはすべてひと言POPを付けま
し た。 そ ち ら も 合 わ せ て お 楽 し み く だ
さい。
まずは、文庫担当Aさんの選書から。
﹃ぼくは猟師になった﹄
︵新潮文庫・千松信也著・七九〇円︶
『ぼくは猟師になった』
続いて自宅の本棚にも歴代の事件ノン
フィクションが並ぶBさん。さぞかし禍々
しいタイトルが並ぶかと思いきや⋮⋮。
﹃虫とけものと家族たち﹄
ある﹂
調 査 に 発 展 さ せ た〝 ア ホ 〟 な 学 術 書 で
︵文春文庫・向田邦子著・五三〇円︶
﹃父の詫び状﹄
するところが﹂
の 視 点 で 解 明 す る。 ど こ か 現 代 と 共 通
﹁戦 争 へ 突 入 す る 昭 和 初 期 の 事 件 を 独 自
八四〇円︶
︵ 文 春 文 庫・ 松 本 清 張 著・ 八 二 九 ∼
﹃昭和史発掘1∼9﹄
ないか﹂
と戦い続けた父の姿があったからでは
﹁星 新 一 の ど こ か 虚 無 的 な 作 品 は、 官 僚
︵新潮文庫・星新一著・五二〇円︶
﹃人民は弱し官吏は強し﹄
︵中 公 文 庫・ ジ ェ ラ ル ド・ ダ レ ル 著・ 池
澤夏樹訳・一〇〇〇円︶
﹁底 抜 け に 明 る い ギ リ シ ャ の 島 で、 底 抜
けに明るく暮らすイギリス人一家の
﹃マッターホルンの空中トイレ﹄
︵中公文庫・今井通子著・六四八円︶
﹃冷血﹄
ハッピーでユーモラスなお話です﹂
︵新潮文庫・トルーマン・カポーティ著・
﹁お 国 が 違 え ば、 ト イ レ も 違 う。 登 山 家
の 目 を 通 し て 見 た、 世 界 の お も し ろ ト
佐々田雅子訳・九四〇円︶
﹁徹底的な取材、圧倒的な筆力。ノンフィ
そうそう、イギリスの文学や音も好む
クションノベルの魁﹂
洋書担当のBさんは登山が趣味で、自然
に向き合う人でした。納得。
﹁何 気 な い 日 常 を 巧 に 切 り 取 り、 ユ ー モ
アあふれる文章で表現する達人だ﹂
﹃ゲバラ日記﹄
− 11 −
イレ事情あれこれ﹂
﹃ある小さなスズメの記録﹄
八五七円︶
︵中公文庫・チェ・ゲバラ著・平岡緑訳・
政府軍に追い込まれていくところで息
﹁淡 々 と 綴 ら れ て い る が 故 に、 ボ リ ビ ア
アホらしさ、狂気、疑念などもノンフィ
苦しくなってくる﹂
クションの重要な要素。熱すぎず、しら
関西出身の猫好きなCさん。
けず、歴史を探り現在に目を向ける作品
﹃全国アホ・バカ分布考﹄
︵新潮文庫・松本修著・七九〇円︶
『ゲバラ日記』
﹁テ レ ビ の 企 画 か ら 思 い が け な い 大 規 模
﹃紳士協定
私のイギリス物語﹄
︵新潮文庫・佐藤優著・六七〇円︶
佐藤優観が変わりました!﹂
は純粋で、まっすぐで、あったかです。
﹁人 は 見 た 目 が 九 割 な ら、 こ の 人 の 一 割
なことか﹂
﹁こ と ば を も た な い 小 鳥 の、 な ん と 雄 弁
香歩訳・六五〇円︶
︵文 春 文 庫・ ク レ ア・ キ ッ プ ス 著・ 梨 木
『ある小さな
スズメの記録』
﹁フィクションを生み出す人﹂の才気に
群は、どれも切実でした。小説家という
他
﹃ Land Land Land
Z﹄
旅するA
︵ちくま文庫・岡尾美代子著・九〇〇円︶
を支えるスタッフたちの心意気です﹂
﹃こぐこぐ自転車﹄
︵平 凡 社 ラ イ ブ ラ リ ー・ 伊 藤 礼 著・
あります。本当に好きなんですね。布も
プの前で唸っているDさんを見たことが
七〇五円︶など。ミナペルホネンのショッ
︵新潮文庫・ほしよりこ著・四六〇円︶
﹃山とそば﹄
きます﹂
道 ! 真面目で律儀な文章がじわじわ
﹁日 々 た ゆ ま ぬ 努 力 を 積 み 重 ね、 な ぜ か
自転車は六台に ! そしていざ北海
八八〇円︶
本も。日頃は同じエプロンで顔を合わせ
﹁これぞ、女子のステキ旅 ! ﹂
﹃琉球布紀行﹄︵新潮文庫・澤地久枝著・
て い る 面 々。 本 の 紹 介 を し て も ら う と、
﹃最低で最高の本屋﹄
︵集英社文庫・松浦弥太郎著・五四〇円︶
な考えから抜け出すことでもあるのだ﹂
﹁正 し く 生 活 し よ う。 そ れ は 自 己 中 心 的
﹃日日是好日﹄
︵新潮文庫・森下典子著・五二〇円︶
に わ か ら な く て も、 い つ か〝 あ っ!〟
﹁経 験 し た こ と は、 な く な ら な い。 す ぐ
﹃人類が知っているすべての短い歴史﹄
そうです。たしかAさんも。聞いてみる
の選書。Eさん、テレビを持っていない
生活とは何かをよく考えているEさん
と気づくことがある﹂
︵新 潮 文 庫・ ビ ル・ ブ ラ イ ソ ン 著・ 楡 井
る よ う で す。 足 繁 く 面 白 い 場 所 に 行 き、
と何名かテレビを持たないスタッフがい
いろんなものを見て、聞いてきます。皆
話題豊富。読書の時間もたっぷり取れる
﹁こ の 世 界 は 本 当 に な ん て 奇 妙 で〝 奇 跡
わかっていない ! ﹂
的 〟 な ん だ ろ う。 そ し て 私 た ち は 何 も
浩一訳・上巻七五〇円、下巻七九〇円︶
実用書担当のEさん。
ます。
私服を見たような素顔をのぞかせてくれ
to
『人類が知っている
すべての短い歴史』
含まれる鋭利な視線も読みどころです。
もう一人の文庫担当Dさんは女流作家
の作品が好きな人です。
﹃わ た し は 驢 馬 に 乗 っ て 下 着 を う り に ゆ
きたい﹄
︵ちくま文庫・鴨居羊子著・九〇〇円︶
です﹂
﹁可 愛 い や 素 敵 は 戦 っ て 手 に 入 れ る の
﹃ちぐはぐな身体 ファッションって何?﹄
︵ちくま文庫・鷲田清一著・六〇〇円︶
うことも大切だと思うのです﹂
﹁流 行 を 受 け 入 れ る の で は な く 疑 問 に 思
﹃ミナを着て旅に出よう﹄
︵文春文庫・皆川明著・四六〇円︶
持ちになれます。きっとそれは〝可愛い〟
﹁ミナの服は何だかふわふわした幸せな気
− 12 −
『わたしは驢馬に乗って
下着をうりにゆきたい』
よ う で す。 い つ も す っ き り と し て い て、
気持ちのいい人たち。見習いたいです。
人文担当のFさんはあまり小説を読ま
がやってくる﹄
︵講談社+α 文庫・内田樹・三砂ちづる著・
六四八円︶
﹁〝共同体感覚〟自分は人生の主人公だけ
他 に﹃ 野 村 ノ ー ト ﹄︵ 小 学 館 文 庫・ 野
れども、世界の中心ではない﹂
ビジネスマンのために書かれた心理学
村克也著・五五二円︶など。
や哲学の本をより深く読んでもらうため
に。控えめなFさんの心意気です。
︵集英社文庫・三宮麻由子著・五〇〇円︶
の は。 三 宮 さ ん の 文 章 は ず っ と 耳 と 心
﹁視 力 を 失 っ た と き、 空 を 教 え て く れ る
に 残 り ま す。 春 休 み、 親 子 で 読 み た い
一冊です﹂
﹃アンダーグラウンド﹄
︵講談社文庫・村上春樹著・一〇八〇円︶
﹁三月二十日の地下鉄サリン事件を作家・
村 上 春 樹 が 追 っ た 作 品。 あ れ か ら 二 十
年 が 過 ぎ ま し た。 阪 神 大 震 災 直 後 の 混
− 13 −
ないそうで、ビジネス書のベストセラー
岸見一郎・古賀史健著﹃嫌われる勇気﹄︵ダ
イヤモンド社︶を読んだ人に薦める、次
に読む本を選んでくれました。
﹃苦しまない練習﹄
︵小学館文庫・小池龍之介著・五五二円︶
私が選んだ本もご紹介します。
﹃家計簿の中の昭和﹄
乱 を 再 度 読 み 直 し て、 現 在 を 考 え て み
と で き な い こ と を き ち ん と 分 け る。 自
︵文春文庫・澤地久枝著・五三三円︶
計 簿 も ま め に つ け て い ま し た。 向 田 邦
﹁ノンフィクション作家の澤地さんは、家
和が見える本です﹂
子との旅行費用、パーマ代、本代⋮⋮昭
論。 啄 木・ 大 杉 栄・ 夢 野 久 作 な ど 文 学
﹃鳥が教えてくれた空﹄
読みたい﹂
者 の 視 点 は、 現 代 に も 通 ず る。 今 こ そ
﹃身 体 知
カラダをちゃんと使うと幸せ
け止める覚悟はあるか﹂
︵新潮文庫・南直哉著・四〇〇円︶
ませんか。﹂
分 を 苦 し め て い る の は、 他 な ら な い 自
﹃群衆
機械のなかの難民﹄
︵中公文庫・松山巌著・一三三三円︶
〝課題の分離〟コントロールできること
﹁
『アンダーグラウンド』
﹁〝自己肯定ではなく自己受容〟自分を受
﹃なぜこんなに生きにくいのか﹄
分自身である﹂
﹁日 露 戦 争 以 降 の 群 集 心 理 を 分 析 し た 評
『群衆
機械のなかの難民』
『苦しまない練習』
志村ふくみ文・井上隆雄写真・一〇〇〇
八〇〇円︶
﹃色を奏でる﹄
︵ちくま文庫・
ルポ。高校生らしさ、スポーツマンシッ
﹁高 校 野 球 史 上 あ ま り に も 有 名 な 一 戦 の
︵新潮文庫・中村計著・五二〇円︶
﹃甲子園が割れた日﹄
かれた名作揃いです。
いレーベルです。極限状態の人間像が描
で、是非一度足を運んでみていただきた
書の棚に置いていることもありますの
によっては文庫コーナーではなく、実用
が手軽に読めるようになりました。店舗
円︶など。
プ と は? 多 面 的 に 物 事 を 見 る 必 要 性
厚さ、わくわくが止まらない﹂
長 い 時 間 を か け て 読 む 重 厚 な 作 品 と、
他に﹃誘拐﹄
︵ちくま文庫・本田靖春著・
合間に読みたいエッセイを並べました。
に改めて気づかされる﹂
﹃最後の冒険家﹄
︵集英社文庫・石川直樹著・五六〇円︶
﹁常 軌 を 逸 し て い る と も 思 え る 神 田 道 夫
の 冒 険。 こ の 人 の 情 熱 の 量。 溢 れ た 熱
スポーツも重要なノンフィクションの
れたHさん。ノンフィクションの流れを
さて、最後に。バランスよく選んでく
− 14 −
量が多くの人を揺さぶり、動かした﹂
の名作も集めたいと今からこつこつス
分かりやすく教えてくれる選書でした。
要素。いつかスポーツノンフィクション
走って、読んで、働く。エネルギーあ
トックしています。関連ジャンルとして、
﹃秋葉原事件﹄
︵新潮文庫・豊田正義著・五五〇円︶
﹃消 さ れ た 一 家 北 九 州・ 連 続 監 禁 殺 人
登山などを楽しむ人は、読書も好きな人
︵朝日文庫・中島岳志著・七〇〇円︶
が多いです。合わせて園芸やカメラなど
舌。 こ ん な 感 じ で 近 づ い て、 家 族 を 狂
﹁稀 代 の 殺 人 鬼 は、 法 廷 で は と っ て も 饒
︵新潮文庫・梯久美子著・五二〇円︶
﹃散 る ぞ 悲 し き 硫 黄 島 総 指 揮 官・ 栗 林
忠道﹄
わせたんだと﹂
事件﹄
著者が加藤に向かい合う姿勢に我々が
﹁
〝理解不能と目を背けてはならない〟と
も。長い時間をかけて得る達成感と、そ
する思いは、ひとり静かに読書すること
の過程で見る景色を目に焼き付けようと
﹃ ROADSIDE JAPAN
珍日本紀行
東
日本編・西日本編﹄
文庫と新書を創刊して以来、多くの作品
山岳ノンフィクションは山と渓谷社が
に似ているのかもしれません。
﹁都築さんの目の付けどころ ! この分
西一九〇〇円︶
︵ちくま文庫・都築響一著・東二〇〇〇円、
少し強くなれるヒントがあると感じた﹂
Bさんもそうなのですが、マラソンや
山岳や釣り、冒険譚なども。
『消された一家』
ふれるGさんにも選書を依頼しました。
『甲子園が割れた日』
︵新潮文庫・高橋秀実著・六三〇円︶
﹃からくり民主主義﹄
﹁本の流れ﹂を作って選んでもらいまし
話をしてくれるメンバーに、それぞれの
すが、今回は、日頃からユニークな本の
アも、バラエティに富んだものになりま
一人一冊。多くのスタッフで選ぶフェ
者の姿は見えず、事実や事件を語りにく
価や批判は、迅速になったわりに、発信
さもあります。テーマや記事に対する評
ていく中で、その主題を選ぶことの難し
ことの困難があり、メディアが多様化し
にわたる調査を、一冊の本のために行う
ようにも感じます。ひとりの作家が長期
﹁激戦の指揮官は、よき父、よき夫だった﹂
﹁知 っ て い る つ も り。 で も、 本 当 の と こ
た。ランダムに選んだつもりでも、通底
い状況もあります。
ろどうなのよ﹂
﹃山頭火句集﹄
するラインができるもので、本による﹁点
た の は、﹁ 言 葉 で 言 葉 を 売 る ﹂ と い う、
ほぼ全点、無粋なほどにPOPをつけ
だと考えています。
本屋の楽しみであり、必要とされる務め
相 を こ れ か ら も 売 り 続 け て い く こ と は、
それでもなお、追わずにいられない真
と線﹂が見えます。ご紹介したスタッフ
一〇〇〇円︶
いうか、きれいな本に眼が行きがちな昨
選書をきっかけに考えたのは、なんと
ていただければ幸いです。
の個性も交えて、博多店の雰囲気を感じ
︵ちくま文庫・種田山頭火著・村上護編・
﹁山 頭 火 の よ う に 旅 に 出 た い が、 そ れ も
か な わ ず。 十 七 文 字 の な か で 放 浪 し た
気持ちになる﹂
︵朝日文庫・内澤旬子著・五八〇円︶
今、猥雑なものを表したいという思いで
本業を見直すためです。私たちが日々販
− 15 −
﹃身体のいいなり﹄
﹁腰 痛 と ア ト ピ ー と 癌。 で も、 な ぜ か 悲
老若男女が行き交う書店で、そんなつ
す。こんな言い方、怒られますか。
売している本。綴じられた紙の束を言葉
壮感なし﹂
もりはなかったのに、つい手にとってし
﹃夜露四苦現代詩﹄
︵ちくま文庫・都築響一著・九五〇円︶
﹁ 読 ん だ ら 面 白 い ん で す よ。 こ の 本 ﹂
とよく口にします。ではまず、頁を開い
の渦にするにはどうしたらよいか。
ていただくために。是非読んでいただき
まって、やるせなさを感じる瞬間があっ
よく見るとフィクションも混ざってい
たいという思いをお客様に語り掛けるよ
﹁眼 を 開 け て、 心 で 見 る と、 世 の 中 の コ
ます。仕入れて並べてみるとしっくりきて
うに、棚いっぱいに詰め込みました。来
お見せできるよう、また日々書棚と格闘
いて、そのまま展開しました。フィクショ
したいと思います。︵丸善博多店・徳永︶
年もぜひ。その時はまた新たな切り口を
ノンフィクション作家と呼ばれる人
体。難しくも面白く、楽しい選書でした。
が、この十数年でかなり減ってしまった
ンとノンフィクションの境目は、表裏一
てもいいのではないか。
どれも読みたくなりました。
トバはパンクな現代詩だ﹂
『夜露四苦現代詩』
リ ベ ラ ル の こ と は 嫌 い で も、 リ ベ ラ
る。それは現在起こっている国際政治の
特徴から民族の国民性までも説明しき
きを解説する。その上で、地理的条件の
力の特徴から過去の戦争や国際政治の動
どをランドパワーという陸軍中心の軍事
心、ロシア、中国、ドイツ、フランスな
英米などをシーパワーという海軍中
に待ちうける闇の深さが真正面から描か
多数に起きうる可能性があり、国の将来
問題は、一部の富裕層を除いた国民の大
者の老後破産は確実に増えていく。この
いくつもの条件が重なり、今後独居高齢
方 の 過 疎 化、 社 会 保 障 財 源 の 不 足 な ど、
上昇、少子化、非正規労働者の増加、地
社 会 科 学
リズムは嫌いにならないでください
一三〇〇円
れていて、本当にショッキングな内容だ。
持たない幸福論
新潮社
ニュースを理解するうえで歴史の経緯だ
井上達夫著
てくれる。
新聞記者とのインタビュー形式で﹁平易
に生きる新しい幸福論である。著者は可
になった著者が提示する、お金を使わず
ば働きたくない。本書は京大卒でニート
働かなくても生きられるなら、できれ
p ha 著
明晰﹂や﹁平易な哲学書﹂を心がけてい
能な限り物を持たないこと、シェアハウ
一六〇〇円
けで見えてこないものがあることを教え
門﹂とあるように、現在の法律や政治を
祥伝社
本書は、副題に﹁井上達夫の法哲学入
題材に法哲学の基本とリベラリズムの概
念を説明しようというものである。しか
る。二部構成で前半は﹁リベラルの危機﹂、
スに住んで生活費を抑えることの二つを
も、難解になりがちな法哲学であるため、
後半では﹁正義の行方﹂と題して、質問
を捨て自由に生きるか、読者に生き方を
いる。物欲のために労働をとるか、物欲
クト﹂として全国三十カ所で運営されて
シェアハウスは﹁ギークハウスプロジェ
ても暮らすことができる。彼の発案した
に対して様々なテーマを通じて持論を展
一五〇〇円
提示する。これらを満たせば、働かなく
毎日新聞出版
開している。
老後破産
昨年秋に放送されたドキュメンタリー
NHKスペシャル取材班著
番組の書籍化。後日視聴者から様々な反
世界史で学べ ! 地政学
著者は駿台予備校の世界史科講師。地
問う一冊である。
茂木
誠著
響が寄せられ、意外にも若い世代からの
一二〇〇円
政学の原理や法則で世界史をまとめて説
声が多く含まれていたそうだ。未婚率の
幻冬舎
明しようというのが本作である。
− 16 −
社会科学
マ で わ か り や す く 解 説 し て く れ て い る。
後半部分には全国の県庁所在地ごとの食
ン、食生活といった、私たちに身近なテー
生活データがまとめられていて、とても
べく五十代以上のベテラン記者が、実際
をまとめたものが本書。山間離島被災地
に 一、二 か 月 現 地 に 住 ん で 取 材 し た 記 事
の人々の間に溶けこみ、見えてきたもの
貴重。その箇所を読むだけでも、あ、そ
なぜ女は男のように
自信をもてないのか
女性は、男性と比べて自信を持ちにく
キャティー・ケイ&クレア・シップマン著
がある。歴史や風土に育まれた、魅力あ
一五〇〇円
い。たとえば、女性がビジネスシーンで
高収益事業の創り方
講談社
うなのかと知的好奇心がくすぐられる。
二五〇〇円
る暮らしがそこにはあった。
日本経済新聞出版社
発言するときに遠慮がちな一言を添え
る、 あ る い は プ レ ゼ ン 中 に 突 然 自 信 を
失って言い淀むことがある等々が例に挙
げられる。女性が社会で成功するために
戦﹂シリーズの第一巻。管理実務が中心
著者の集大成とも呼べる﹁経営戦略の実
﹃戦略不全の論理﹄等を世に出してきた
マノミクス﹄
︵アルファポリス・一五〇〇
と さ れ て き た 日 本 企 業 の 幹 部 教 育 だ が、
三品和広著
円︶で話題を呼んだ著者が、女性が自信
戦略の重要性が叫ばれて久しい。しかし
は、プレッシャーに打ち勝つだけの自信
を持てない理由を心理学、脳科学、遺伝
戦略書はMBAテキストレベルにとどま
不況でモノが売れない時代が続いてい
白く読み進められる。一万円近いが、事
いる。大部ではあるが、明快であり、面
で成功パターンを抽出し、分析を加えて
一八〇〇円
り、実戦に即した書籍は意外なほど少な
る。どんな商品をどこで誰にどう売るか。
業の大小を問わず、戦略に関わる幹部候
膨大なケーススタディをもとに帰納法
い。そこに出るのがこのシリーズである。
その難題を説くカギが家計調査にあると
補生にとって有益な投資となる書籍とい
− 17 −
を持つことこそが重要である。前著
﹃ウー
マーケティングに使える
﹁家計調査﹂
子検査から解き明かす。
CCCメディアハウス
もう東京はいらない
危機を指摘した増田レポートなど、昨今、
著 者 は 論 じ る。I T 技 術 の 進 歩 に よ り、
吉本佳生著
地方衰退に関して様々な報道がなされて
膨大なデータをあつめることが可能に
急激な人口減少による﹁地方消滅﹂の
いる。ただ、こうした情報を頭では理解
日本経済新聞社編
できるが、まだ実感がわかないという方
九〇〇〇円
えるだろう。続刊にも期待。
東洋経済新報社
なった。そのビッグデータの分析の仕方
が重要であることを、教育投資やバーゲ
も多いと思われる。では今の地方の本当
の姿とはどんなものなのか。それを探る
社会科学
人工知能
人類最悪にして最後の発明
エキスパート養成読本
Docker
エクストリームプログラミング
キュメンタリーフィルムの監督でもある
ロン・マスクも指摘しているという。ド
とで、その危険性はビル・ゲイツやイー
え、コントロールできなくなる瞬間のこ
する人工知能がついに人間の知性を超
という言葉がある。爆発的な速度で進化
注目を集めつつも導入事例はまだ少ない
籍 と し て は、 本 書 が 初 の 解 説 書 と な る。
年あまりとホットな技術で、一般流通書
ことが特徴。最初のリリースからまだ二
ソースで素早く仮想化環境を構築できる
は Linux
上で動くコンテナ型
Docker
仮 想 化 ソ フ ト ウ ェ ア で、 よ り 少 な い リ
杉山貴章・大瀧隆太他著
・ Cynthia Andres
著 角 征典訳
Kent Beck
原書はアジャイル開発手法の先駆け
著者が取材・検証の末にまとめた、昨今
コンピュータ
と し て あ ま り に 有 名。 ピ ア ソ ン 発 行 の
ジェイムズ・バラッド著
水谷
淳訳
技 術 的 シ ン ギ ュ ラ リ テ ィ ー︵ 特 異 点 ︶
邦 訳 本 が 絶 版 と な っ て い た が、﹃ リ ー ダ
ゴ﹂の第一弾書籍は、以前アスキーが出
新たな出版レーベル﹁アスキードワン
著
Donald E.Knuth
有澤
誠・和田英一監訳
The Art of Computer Programming
一九八〇円
今 こ そ、 本 書 で Docker
を 学 ぶ こ と は、
これからの強い武器になるだろう。
データ分析をテーマにした本はすでに
技術評論社
の人工知能ブームに警鐘を鳴らす一冊。
二〇〇〇円
年戦えるデータ分析入門
ダイヤモンド社
ブ ル コ ー ド ﹄︵ オ ラ イ リ ー・ ジ ャ パ ン・
二四〇〇円︶などの邦訳で知られる角征
典 に よ る 完 全 新 訳 で よ み が え っ た。﹁ 良
い開発チームに必ず見られる共通点﹂を
十五年が経つ現在でも決して色褪せな
多 く 出 版 さ れ て い る が、 本 書 は デ ー タ
青木峰郎著
二二〇〇円
大家にして Tex
の開発者としても知られ
るドナルド・クヌース。その彼の手によ
版していた名著の復刊。アルゴリズムの
シリーズの、最初の一冊が復
る TAoCP
活した。並製本になってぐっと手にとり
い。 こ れ ま で 未 読 だ っ た エ ン ジ ニ ア も、
この機に。
オーム社
の 大 半 に お い て、
やすくなったので、プログラミングを語
レーショナルデータベース管理システム
で 扱 う こ と が で き る。 つ ま り SQL
によ
る 分 析 手 法 を 一 度 身 に つ け て し ま え ば、
はほぼ同じ操作
SQL
職場や環境が変わったとしても、タイト
一・二巻各四八〇〇円
るならばこの機にぜひ読んでおきたい。
ルのごとく﹁
二四〇〇円
ドワンゴ
年戦える﹂というわけだ。
ベース言語 SQL
をもちいた分析という、
新 た な ア プ ロ ー チ を 提 示 し て い る。 リ
ま と め た 本 書 の 内 容 は、 原 書 発 行 か ら
10
SBクリエイティブ
10
− 18 −
コンピュータ
自 然 科 学
好 き ﹂ と 名 高 い 養 老 孟 司 先 生 が、﹁ 虫 ﹂
﹃虫の虫﹄というタイトルの通り、﹁虫
養老孟司著
虫の虫
まった。
しくないのかもしれないと思ってし
間が虫によって操作されていてもおか
語を用いられることも多いのだから、人
言 う よ う に、 し ば し ば﹁ 虫 ﹂ と い う 単
仁田坂英二著
江戸時代の人々によっ
てつくり出された変化朝顔。表紙を見る
ていた。虫は虫だけで語れないのである。
ではない。正直に言うと、私は虫を侮っ
は﹁虫﹂についてだけ書かれているわけ
﹁ 虫 の 本 ﹂ だ か ら と い っ て、 こ の 本 に
なってしまう、興味深い一冊だ。
る の で は ⋮⋮ と つ い つ い 深 読 み し た く
それどころか実は世界は虫のためにあ
についてみっちりねっとり余すことなく
だけでも、カーネーションのようなヒガ
きっかけこそ虫だが、虫のほんの小さ
観察した一冊である。
ンバナのような、同じ品種とは思えない
な器官ひとつから人間の体のことや、生
変化朝顔図鑑
花が並んでいる。変化朝顔は、遺伝子の
分解してみました
トッド・マクラレン著
虫が虫たる理由には、虫自身の事情だ
の 好 奇 心 を 満 足 さ せ て く れ る の が 本 書。
のが分かっているから⋮⋮そんな幼い頃
た。でもできなかった⋮⋮戻せなくなる
解体したかった。バラバラにしたかっ
一五〇〇円
突然変異を巧みに選び、集め、残すこと
物の進化にまで話は広がる。
けではなく、当然ながら虫を取り巻く環
− 19 −
廣済堂出版
でつくられる。本書では、変化朝顔が生
まれた歴史や、遺伝的しくみ・栽培手法
境なども大きく関わってきている。
シャープペンシル、腕時計、スマホの
れているのだ。
しかも、すべての部品の数まで数えてく
なども解説。日々朝顔と向き合い、こん
しかし、それだけでは到底説明できな
なに面白い品種を生み出した江戸の人々
の探究心や情熱には脱帽するしかない。
いような変な生態を持った虫が多く存在
ような小さいものから、電子レンジや自
分解し、ひとつひとつの部品を並べてあ
れこれと視点を変えて虫を観察するのだ
る。大人からこどもまでワクワクさせて
転車、軽飛行機のような大きいものまで
不 思 議 な こ と に、 読 ん で い る う ち に、
くれること間違いなし !
二八〇〇円
パイインターナショナル
まるで人間まで虫に支配されているよう
描 写 す る 時﹁ 本 の 虫 ﹂﹁ 腹 の 虫 ﹂ な ど と
個 人 的 な 所 感 だ が、 思 え ば、 人 間 を
な感覚になるのが少し不気味で面白い。
と言う。
するから、虫の世界は奥深く、だからあ
一四〇〇円
化学同人
自然科学
医
学
書
多 大 な 影 響 を 及 ぼ す。﹁ 否 認 の 病 ﹂ と 言
族を巻き込むなど家庭生活、社会生活に
康障害から仕事を失うケースもあり、家
コール依存症になる。精神的・身体的健
が 書 か れ て い る。E B M の 蓄 積 も あ り、
氏の熱く語る姿が目に浮かぶような解説
人者であるセイックラ氏の論文と斎藤環
う。本書はオープンダイアローグの第一
義を統合したような治療法と言えるだろ
スワークといった多岐にわたる知識と奥
一八〇〇円
﹁やりがちな対応﹂﹁理想の対応﹂は、臨
れる比較的新しい市場で、シルバー産業
介護起業
医学書院
今後も注目していくべき手法である。
われ、治療や管理に難渋している医師は
本書は、総合診療医と精神科医の両方
少なくない。
アンリ・H・モラレ、ジャックリーヌ・
ときのシチュエーション別症例の中の
︵ ア ル コ ー ル 診 療 ︶ を 考 察 す る。 困 っ た
見えない敵との闘い
ブロソレ著
瀬戸
昭訳
一八九四年、北里柴三郎と同時期に香
床の際の参考に活用してほしい。巻末に
も巻きこみ、自由な発想を生かした起業
の視点からより幅広くアルコール問題
港にてペスト菌を発見したことで有名
な、アレクサンドル・エルサンのはじめ
アルコール依存症を本人・家族に説明す
幻冬舎
一二〇〇円
ためのノウハウが書かれた本。
て介護業界でビジネスチャンスをつかむ
がしやすい。起業家を目指す若者に向け
介護業界は今後ますます成長が期待さ
ての詳細な伝記。エルサン自身が母や姉
る際に使えるツールを載せている。
で毎日﹁対話﹂するのが特徴で、家族療
杢野暉尚著
に宛てた千通に及ぶ手紙が随所にちりば
三〇〇〇円
オープンダイアローグとは何か
南山堂
められ、当時の様子が鮮明に描き出され
ている。幼少期から医学生、そして師パ
ストゥールとの出会い、フランス郵船で
の船医時代を経て安南山脈への冒険旅
斉藤
環著+訳
オープンダイアローグとは一九八〇年
行、ベトナムでの獣医学、畜産学、熱帯
代頃から実践されている統合失調症の治
あったが、﹁対話﹂が治療法となる。
療的介入法。今日まで薬物治療が主流で
農業への取組みなど、孤独を好んだその
三〇〇〇円
人生はめくるめく彩りにあふれる。
人文書院
クライアントの依頼から二十四時間以
法・精神療法・グループセラピー・ケー
ぼくらのアルコール診療
伴信太郎・樋口
進監修
酒は百薬の長とされているが、一方で
内に専門家チームで出向き、改善するま
多量の飲酒を繰り返し続けていればアル
− 20 −
医学書
人 文 科 学
昭和を語る
鶴見俊輔座談
鶴見俊輔著
本 書 は、 戦 後 日 本 を 代 表 す る 思 想 家、
いま、大学で
何が起こっているのか
が選ばれている。戦争の時代に青年期を
中から、日本人の歴史認識に関わるもの
止や転換の通達をしたことに対するいち
が国立大学に、人文・教育系の学部の廃
発展したものだが、それは先の、文科省
者 の ブ ロ グ の 一 部 が 大 き な 反 響 を 受 け、
本書は、国立大学の文系教員である著
日比嘉高著
生き、人々の言論が右往左往する中、変
早い反応だったからだろう。緊急出版的
鶴見俊輔の座談集。全十巻に及ぶ座談の
え る こ と の で き な い 価 値 と は 一 体 何 か、
な小書であるが、大学での研究や教育が
増補改訂版
気鋭の中世史研究者が二〇一一年に学
探し求め続けた彼の言葉は今の時代にこ
豊かで創造的たるには、自由や多様性が
天正壬午の乱
研から出して品切になっていた本の増補
そ必要なものであろう。戦後七十年を迎
平山
優著
改訂版。もともと武田氏の研究をしてき
必要であるとの主張は説得力がある。
一五〇〇円
えた今年、日本が辿ってきた道を見つめ
ひつじ書房
直す。
二二〇〇円
た 著 者 が 十 三 年 か け て 調 べ あ げ た 本 が、
晶文社
死者の嘆き声を聴く
ユング赤の書の心理学
様々な種類の曼荼羅とその見方をカラフ
年。続く本書は﹃赤の書﹄の編者と元型
前。携帯しやすいテキスト版の公刊が去
書﹄が豪華な装丁で公刊されたのが五年
− 21 −
三年ほどで品切になり、ここにやっと増
補を加えて改訂されたもの。この間に出
た続編﹃武田遺領をめぐる動乱と秀吉の
まんだら絵解き図鑑
ジェイムズ・ヒルマン、
野 望 ﹄︵ 戎 光 祥 出 版・ 二 五 〇 〇 円 ︶ も 合
わせて、戦国の世の終焉の端緒となる戦
小島サエキチ絵
大角
修文
死後の世界への信仰、それは﹁信じる
を堪能したい。
ソヌ・シャムダサーニ著
ルなイラスト付でわかりやすく説明しな
的心理学の創始者による連続対話である。
五十年間非公開だったユングの﹃赤の
信じないの二者択一の次元を超えて﹂私
がら、古くからある地獄・極楽図がわか
対話を通じて、謎に満ちた﹃赤の書﹄の
三六〇〇円
る 大 人 の た め の 絵 本。 時 代 は 変 わ れ ど
創元社
人々の﹁死﹂についての思索は続くだろ
一五〇〇円
インパクトや可能性が明らかにされる。
双葉社
う、そんなことにも思いを馳せる一冊。
た ち の 文 化 に 根 づ い て い る。 本 書 で は、
二六〇〇円
戎光祥出版
人文科学
永い言い訳
西川美和著
文学・文芸
透明人間は
204号室の夢を見る
奥田亜希子著
書けなくなってしまった作家が、長年、
誰からも手に取ってもらえなかった自分
の作品に、手を伸ばしてくれた青年と書
店で出会ったとき、どれほどの喜びがそ
生きづらさを感じながらも生きてい
一三〇〇円
る、全ての読者に捧げたい長編小説。
集英社
ありふれた祈り
ウィリアム・ケント・クルーガー著
アメリカで最も権威のあるミステリ
暗くて地味、コミュニケーション能力
が、 い わ ゆ る ど ん で ん 返 し が 凄 い と か
賞 を 二 〇 一 四 年 に 獲 っ た 作 品 で あ る。
賞 で あ る エ ド ガ ー 賞 と、 そ の 他 三 つ の
皆無の実緒。友人のいない、孤独な学生
の身に訪れるだろう。
の愛情は冷め切っていたが、苦しい下積
じゃなく、スタンドバイミー的な古き良
映画監督、西川美和の最新作。夫婦間
み時代を支えてくれた妻の夏子を、突然
き 時 代 の ア メ リ カ の 街。 ご 近 所 さ ん が
みんな知り合いみたいなコミュニティ
時代。唯一、自分自身をこの世につなぎ
で の 殺 人 を 背 景 に、 十 三 歳 の 悪 ガ キ 兄
バスの事故で亡くした人気作家の津村
そして高校生で小説家としてデビュー
止めてくれた︿本﹀という存在。
した実緒の前に現れたのは、どうしよう
啓。妻の死後、悲しみを演じていた津村
は、同じ事故で母親を亡くした夏子の友
を読み進めていくだけで楽しい。
とにかく文章が美しい。綺麗な地の文
小説。
人家族と出会い、夏子の死を真正面から
自作への感想や書き込みを求めてネッ
貴とその弟の冒険と成長を書いた青春
ト の 海 を さ ま よ う そ の 姿 は、﹁ も の を 書
もなく残酷な現実の世界だった。
妻 が 生 前 抱 え て い た 夫 へ の 気 持 ち と、
く﹂という以上の、世界に自分の居場所
受け止めていく。
夫が妻に抱えていた屈折した気持ち。あ
は一∼二箇所、輝くところがあればそれ
ち ら 側 と こ ち ら 側。 人 の 気 持 ち は 通 い
で十分だと思う。読んでよかった、と思
地味なお話ではあるが、こういう小説
やがて、実緒は現実世界でもその青年
わせてくれる偉大な佳作である。
を求め漂流する悲しみを思わせる。
とつながるようになる。人との触れ合い
合わなければ、どんなに近くにいてもこ
ち ら 側 し か 解 ら な い。 人 生 は 自 分 だ と
やぬくもりを知って、感情が芽生えてい
一八〇〇円
思って生きていた身勝手な主人公が〝人
早川ポケットミステリ
生は他者である〟という事に気付く終章
開きはじめた、狂気にも似た哀しみがた
ラスト。世界が軋み、壊れたその瞬間。
く姿に心を寄せずにはいられない。
一六〇〇円
が秀逸。
文藝春秋
だ胸を打つ。
− 22 −
文学 ・ 文芸
文庫・新書
ナチスの財宝
新聞記者である著者が、ドイツ特派員
にヨーロッパの戦後史を読み解くことに
た﹁宝探し﹂は、図らずもドイツならび
の仕事の合間に趣味の延長のように始め
冒頭の﹁琥珀の間﹂を巡る囮捜査から
篠田航一著
ぐいぐい読ませる、ナチス・ドイツの略
八〇〇円
とある事情で妖怪嫌いになった少年・
皆藤黒助著
ようするに、怪異ではない。
講談社現代新書
なったのである。
﹁琥珀の間﹂とは、日本で言うならば﹁徳
奪 し た 美 術 品 を 巡 る ノ ン フ ィ ク シ ョ ン。
彼らの奇蹟
川 埋 蔵 金 ﹂ の よ う な 伝 説 の 財 宝 で あ り、
第二次世界大戦中にナチス・ドイツがソ
傑作スポーツアンソロジー
連から略奪したが、その後行方がわから
玉木正之編
吉田兼好から村上春樹まで、スポーツ
冬目皆人が高校で出会ったのは、筋金入
り の 妖 怪 マ ニ ア な 女 子 高 生・ ハ ル 先 輩。
なくなっている、壁や天井が琥珀で覆わ
ナ チ ス・ ド イ ツ が 略 奪 し た 美 術 品 は
そんな彼女に引きずられ、皆人は﹁妖怪
がテーマのアンソロジー。スポーツの美
六十万点にものぼると言われ、そのうち
はたして妖怪はいるのか、いないのか。
がらみ﹂の事件の数々に遭遇するが⋮⋮。
れた部屋である。
お よ そ 十 万 点 は 今 で も 行 方 が わ か ら ず、
そんな議論のぶつかり合いから名推理が
を感じることができる文章が満載である。
ジーがそれぞれ企画される、ということ
元の所有者に返還されていないと推測さ
ジ ャ ー ハ ン タ ー だ け で は な く、 政 治 家、
輩 に 妖 怪 な ど い な い と 認 め さ せ よ う と、
妖怪嫌いの皆人は、妖怪マニアのハル先
生 ま れ る、 新 し い 青 春 ミ ス テ リ の 誕 生。
五六〇円
− 23 −
尚、格闘技と野球はそれだけのアンソロ
で除外されている。
︵格闘技は﹃肉体の鎮
れ て い る。 そ の 財 宝 を 巡 っ て は、 ト レ
の素晴らしさ、スポーツの面白さ、スポー
学者、ジャーナリスト、ユダヤ人団体関
妖 怪 の 仕 業 だ と 持 ち 込 ま れ る 事 件 を、
編者は作品を選んだ基準を﹁スポーツ
魂歌﹄増田俊也編で新潮文庫より発売︶
ツの凄さ、スポーツの怖ろしさ、スポー
係者などが、動機はさまざまであるが調
著者は﹁その軌跡を追う過程で、宝を
りません﹂このセリフとともに明かされ
査を続けている。
追う者、戦犯を追う者、追跡から逃げる
る 真 実 は、 呆 れ る よ う な 事 実 だ っ た り、
ツの残酷さ、スポーツの不思議さ⋮⋮な
こと﹂としている。日本人によって書か
者たちの執念に、時に戦慄を覚えること
どなど、スポーツの本質が描かれている
れたもの、という条件︵
﹁日本の弓術﹂を
もあった﹂という。戦後七十年たった今
角川文庫
﹁ 要 す る に、 こ れ は 怪 異 の 仕 業 で は あ
除く︶により、日本人にとってスポーツ
次々に解き明かしていく。
とは何であったのか、これからどういう
時にほろ苦いお話だったりする。
じざるを得ない。
も、ナチスという存在の黒い影響力を感
七一〇円
ものになるのか、ということも考えるこ
とができる。
新潮文庫
文庫・新書
芸
術
受け入れない
園 子温著
今年だけでも四本の監督作品が公開さ
感じられる。
あなたやわたしが言いよどんだその一
言が、世界を変えたかもしれない、と気
﹁言いたいことを
ぜんぶ言う
本当
のことは
あまりにも小さい
矮小だ
だから素敵なんだ﹂
と随筆が収録されている本書は、園のた
づかせてくれる一冊。
れる、日本映画界の第一線で活躍する映
ぎる思いを凝縮した一冊だ。若かりし頃
KADOKAWA
画監督・園子温。書き下ろしの詩十四篇
﹁ ユ リ イ カ ﹂ や﹁ 現 代 詩 手 帖 ﹂ に お い て
素手時然
小池一子・原
研成責任編集
無印良品の創業三十五周年を機に示さ
園 が、 一 時 詩 に 傾 注 す る 契 機 と な っ た、
﹁ジーパンを履いた朔太郎﹂と称された
一一〇〇円
れ た 柱 と な る 考 え 方﹁ 素 手 時 然 ﹂。 こ の
椹木野衣・会田
誠著
美術評論家・椹木野衣と、現代美術家
戦争画とニッポン
四つの言葉それぞれを軸に編まれたビ
の会田誠の対談ですすむ、日本における
﹁別れ﹂という詩も掲載。
園の活動は路上パフォーマンス集団
﹁戦争画﹂について考察した入門書の良
ジュアルブック。
集 ま っ た 約 百 五 十 の 文 章 は、 世 阿 弥
イングなど広範囲にわたるが、そのエネ
﹁ 東 京 ガ ガ ガ ﹂ や、 お 笑 い 芸 人 や ド ロ ー
とができる。基本的な美術用語などにも
からエンデ、小林カツ代と古今東西・森
解 説 が つ い て い る の が う れ し い。﹁ 戦 争
羅 万 象 を カ バ ー。 こ れ ら に 見 合 う 図 版
波風を立てるのが恐くて押し黙ってい
画﹂ときくと目を覆うような悲惨な絵を
著。日本の戦争画の系譜や代表的作品を、
たことにより、自分も他人も傷つけるこ
想像しがちだが、意外にも日本の戦争画
二人の機知に富んだ会話から読み取るこ
とが起こるかもしれないし、嫌だという
ルギーの源は本書のタイトルが体現して
どこから開いても美しい写真と澄んだ
意思を表明しなければ、戦場へ狩り出さ
は﹁やさしい﹂と会田はいう。
が、初めから対だったかのように添えて
文章は、一ブランドのコンセプト本にと
れてしまうかもしれない。
読んでほしい一冊。
いるように思える。
ど ま ら ず、 な ん で も な い 時・ 悩 め る 時、
﹁今に見ていろ
全部受け入れてやる﹂
という、絶望の淵から生きることを肯定
ある。
ぱらぱらすることで心を安らかにし、巻
しようとする園の詩の一節や、破天荒な
講談社
二〇〇〇円
戦後七十年のこの夏、みなさんにぜひ
可。 水 引 な ん か か け て 贈 り 物 に し た ら
園の作品などを見ていると、園がいかに
から好きな写真を
末の IMAGE INDEX
選び、言葉を味わう逆引きな楽しみ方も
きっと映える、
ボール紙風の装丁も秀逸。
社会とコミットしたいと願っているかが
二〇〇〇円
良品計画
− 24 −
芸術
読む漢方薬
は少なくなった。しかし一方で、ココロ
ま ず、 ス テ キ な 格 好 が で き な い も の か
にいまいち自信がない。毎日あれこれ悩
大山
旬著
ファッションに興味がな
いわけではないけれど、自分の着こなし
できれば服にお金と時間を
使いたくないひとのための
一生使える服選びの法則
のストレスから生じる、インナーバラン
⋮⋮ そ ん な あ な た に オ ス ス メ の 本 が 本
衛 生 環 境 が 整 え ら れ た 現 代 日 本 で は、
村上文崇著
ス へ の 悪 影 響 は 留 ま る こ と を 知 ら な い。
ダイレクトに体へダメージを受けること
それではそのコンディションの乱れをど
書。装丁は男性向けに作ってあるけれど、
実
用
書
地図・旅行書
日本の山には何かがいる。生物なのか
のようにして解消したら良いのか。本書
内容は男女兼用である。
山怪
山人が語る不思議な話
田中康弘著
非 生 物 な の か、 固 体 な の か 気 体 な の か、
の著者、村上さんによると一番効果的な
人々が実際に遭遇した不可思議な出来事
く 歩 い て い る 著 者 が、 山 で 働 き 暮 ら す
拭するオモシロいエピソードが満載。メ
くない人々が抱くマイナスイメージを払
ムズかしい? 堅苦しい? あまり詳し
本書は漢方薬のエッセイ集。漢方って
るけれど、気に入った服はあまり持って
﹁服の数はそこそこあ
がたくさんある﹂
で、﹁ 買 っ た は い い け ど 着 こ な せ な い 服
苦手意識を持つ人の七割が独自センス型
う指摘にドッキリ。実はファッションに
り、無頓着型と独自センス型がいるとい
まず、服選びが苦手な人には二種類あ
見えるのか見えないのか。まったくもっ
方 法 は い た っ て シ ン プ ル。﹁ 楽 し ん で 過
や謎の現象譚を取材し、まとめたものだ。
いない﹂という特徴は、身に覚えのある
ごすこと﹂だそうだ。
山怪というタイトルではあるが怪談話と
を手伝ってくれる。
ンタルストレスに負けないマインド作り
本書は山関係、狩猟関係の現場を数多
いう訳ではなく、昔、祖父母から聞いた
一つ一つのエピソードは短かくまとめ
書籍化した本書は、WEBと連動させた
﹁c a ke s ﹂ で の 連 載 に、 加 筆 さ れ て
デジタルコンテンツプラットホームの
女一人ずつ、最初から最後まで同じ人な
る。何より、本書に登場するモデルは男
を味方にするかまで丁寧に教えてくれ
びから始まり、どのようにして店員さん
方も多いのでは? 対策編では、お店選
一五〇〇円
− 25 −
てはっきりとはしないが、何かがいる。
昔話のような、どこか懐かしさを感じる
られており、読みやすい。作り話ではな
試みもアリ。紙媒体と電子媒体、どちら
ような印象もある。
く実際の体験談等であるため、オチのな
ので、着るものによって印象が変わるの
ダイヤモンド社
が一目瞭然。詳しくはぜひ店頭で !
を利用しても読みながら楽しむことがで
一五〇〇円
きてしまう、ココロのお薬である。
双葉社
い話も多々あるが、だからこそ感じられ
もある一冊。
山と渓谷社
一二〇〇円
るリアリティが恐ろしくもあり、面白く
実用書/地図・旅行書
語学・辞典
ランガーメール
ジョークで楽しむ
英文法再入門
超低速メソッド
中国語発音トレーニング
現したいことによって生じる差異を覚
し文法の勉強は、規則を覚えるよりも表
方 は 少 な い の で は な い だ ろ う か? し か
は多くいるだろうが、例文を覚えている
文法書を読み知識を得られたという人
似して発音してみることが大切だ。発音
しっかりと聞き取り確認したうえで真
ロ ー ス ピ ー ド の 音 声 を 聞 き、 一 つ 一 つ
と 言 わ れ て い る。 収 録 さ れ て い る 超 ス
じなくなってしまうため、発音が難しい
る。中国語は四声を間違えると意味が通
一一〇〇円
費
暁東著
本書は﹁超低速メソッド﹂シリーズの
英語をしゃべりたいという人が想像す
の練習は、まず口の形と舌の動きのイラ
英 語、 フ ラ ン ス 語 に 続 く 中 国 語 版 で あ
るのは、大抵が日常英会話だろう。この
える方が重要だ。どの場面でどういう使
ストを参考に、発音の仕方の解説をしっ
豊田一男著
本は文字通り﹁独り﹂でしゃべる練習を
われ方をしているかも覚えなければな
talk,talk,talk
英会話を独りで語るための本
するもので、いわゆる英会話本ではない。
らない。
も何度も音読していると、ラジオ体操の
いく英文などだ。このような文章を何度
い戻し﹂のような因果関係でつながって
う ︶ で あ っ た り、﹁ 苦 情 ↓ 交 換 ↓ 代 金 払
n t ﹂を使った英文︵同じ音で意味が違
ば﹁貸す・借りる・家賃﹂などの﹁re
事項の説明は少ないが、一通り勉強した
が多いのである。例文中心のため、文法
うに、文法的にはしっかりしていること
言葉の対比や裏の意味の推測をできるよ
り 得 る の か と 思 わ れ る か も し れ な い が、
が揃っている。ジョークが文法の例文た
のジョークで、思わず笑ってしまう例文
が多いのも事実。本書の例文は全て英語
ただ、文法書の例文はつまらないもの
とができるだろう。
ば、より上達でき、自信をもって話すこ
に 気 づ き、 し っ か り と 練 習 し 克 服 す れ
発音も徹底的に練習できる。自分の弱点
できるため、今まであいまいにしていた
調などを一つ一つ意識しながら練習が
る。口の形、舌の動き、息の出し方、声
き、 イ メ ー ジ し な が ら 発 音 練 習 し て み
かり読む。両方を見ながら実際に音を聞
ランガーメール編集部編
編者は一日に大体七∼八行のパラグラフ
ように自然に英語が体に染みついてく
を十回音読することを勧めている。例え
る、というのが本書の狙いのようだ。C
がうまく覚えられない人や、授業で使え
一五〇〇円
る面白い例文を探している先生などにオ
国際語学社
が 載 っ て い る。 決 し て 近 道 で は な い が、
二九〇〇円
Dは付いていないが、冒頭に発音の基本
ススメしたい。
開拓社
こんな風に英語を文字通り﹁身につける﹂
のもよいのではないだろうか。
− 26 −
語学・辞典
児
童
書
アンドルーのひみつきち
ドリス・バーン文・絵
千葉茂樹訳
もの作りが好きなアンドルーは、やっ
を追いかけます。無事におつりを届ける
ん。ピーテルはボートをこいで広い運河
がおつりを忘れて出かけてしまった父さ
てた花を町へ売りにゆく日です。ところ
ます。島の老人が見たという幻の巨大魚
の少年英治と行動を共にするようになり
知希は、釣りに興味を持ったことから島
すことに決めます。親しい友達のいない
る 英 治。 そ の 危 う い 様 子 を 見 た 知 希 は、
﹁幽霊魚﹂をつかまえることに頑なに拘
はじめは信じていなかった幽霊魚の存在
を徐々に感じ始めます。少年のひと夏の
地を作るアンドルー。そこへ、同じ様な
な野原を見つけ、早速自分だけの秘密基
家を抜け出します。陽当たりの良い素敵
もわかり、いとおしくなるおにぎりたち
りもあり、読んでいくとその土地の歴史
ない食材を具にしてにぎってあるおにぎ
ふれています。見たことも聞いたことも
四十七都道府県のおにぎりは地域食あ
その悲しみを海にいる時だけ忘れられま
事 故 で 右 足 を 失 っ た 少 女 コ ー ビ ー は、
代田亜香子訳
ベン・マイケルセン作
コービーの海
一三〇〇円
境遇で家出してきた友だちが次々に現
です。あとがきにおにぎりの化石につい
一五〇〇円
ことはできるでしょうか。
福音館書店
にっぽんのおにぎり
成長物語です。
れ、アンドルーは彼らのために、自由な
てふれてあります。それは神さまのお供
した。そんなある日、ゴンドウクジラの
白央篤司著
発想で飛びっ切りの秘密基地をこしらえ
親子と出会います。母親クジラの命懸け
かい者扱いされてしまい、自由を求めて
ます。絵は黒白の線画ですが、木々など
え も の と 考 え ら れ、﹁ 食 べ た い ⋮⋮ ! ﹂
の 出 産 に 立 ち 会 い 始 ま っ た こ の 関 係 は、
一六〇〇円
− 27 −
講談社
の自然の描写や子どもたちが満喫してい
と思っても手をつけなかったであろうお
後に深い絆で結ばれていきます。片足の
る姿はしっかり表現されています。また、
一四〇〇円
にぎり、まさにおにぎり風土記の本です。
両親の不仲と、コービーの悩みは尽きま
た め ど う し て も 注 目 さ れ て し ま う 学 校、
せんが、クジラたちとの関係を通して自
鈴木出版
乗り越えていこうとします。
分の居場所を模索し、一つ一つ向き合い、
幽霊魚
つ家へは戻らずにこの島で夏休みを過ご
小学生の知希。ある理由から母と妹の待
父の転勤について離島へ転校してきた
福田隆浩著
理論社
鮮やかな黄緑色の表紙はアンドルーたち
の野原を思い起こさせ、装丁デザインも
一三〇〇円
この絵本の世界観を伝えています。
岩波書店
ピーテル、はないちばへ
今日はピーテルの父さんがみんなで育
広野多珂子文・絵
児童書
本の帯にしるされた﹃戦いすんで日が暮れて﹄か
不 尽 に 対 し て、 怒 と 哀 を 不 要 と し た 人 間 と 化 し、 き
な く 受 け 入 れ な が ら 立 ち 向 か う 筆 者。 果 て の な い 理
吉田
浩子
ら四十五年、佐藤愛子が人生のすべてを懸けて描く
ち き ち っ と 社 会 に 折 り 合 い を つ け て い く 姿。 現 実 を
﹃晩鐘﹄を読んで
鎮魂歌という一文を、何回も何回も読み返してみる。
見 す え て 一 歩 た り と も 退 か ず、 え り を 正 し て 生 き る
なった。
*﹃晩鐘﹄︵文藝春秋・佐藤愛子著・一八五〇円︶
︵五十六歳・生け花講師︶
生 涯、 何 度 も 何 度 も 読 む べ き 一 冊 が 増 え て 嬉 し く
とは、こういうことだろうか。
四十五年という年数にまず圧倒される。
若 い 時 か ら、 落 ち 込 む こ と が あ る と、 名 言 集 で も
生 き 方 本 で も な く﹃ 戦 い す ん で 日 が 暮 れ て ﹄ を 手 に
していた。読みながら、足ぶみし始めるように元気
をおぼえた。次第に、この小説の続きを読みたいと
いう願いが高まっていた。
そして﹃晩鐘﹄。巨額な借金を返済という奮闘小説
の続きにしては、絶え間ないあくせくは感じなかっ
た。け高い、格調めいた雰囲気を届けられた気がした。
浮 世 離 れ、 人 間 離 れ、 現 実 離 れ、 そ の 展 開 の み で
暮らす夫、︵離婚して元夫︶その存在を抹消すること
− 28 −
﹃しんがり﹄︵副題に﹁山一證券最後の十二人﹂、清
タ ー に 残 り 山 一 の 最 後 を 見 守 っ た 人、 さ ま ざ ま な 仲
て い っ た 仲 間 も い る。 破 綻 後 も さ ら に 清 算 業 務 セ ン
茂木
房夫
武英利著、講談社刊︶を読んだ。いわゆる飛ばしが
間の人生模様が少しずつ浮き彫りにされてくるのが
﹃しんがり﹄について
発覚後﹁自主廃業﹂し解散した、元山一證券破綻の
私 は 山 一 證 券 へ の 中 途 入 社 組 で﹁ 庶 務 ﹂ 扱 い の 事
胸に迫る。
ウカンこと業務整理本部主要メンバーを中心とした
務 職・ 嘱 託 の 身 で あ っ て、 メ リ ル リ ン チ 日 本 証 券 へ
真相をまとめたドキュメンタリーが本書である。ギョ
社内調査委員十二人の経歴や活動ぶりが身近に取材、
転 職 し た が 四 年 後 に 業 務 不 振 で 解 雇 さ れ る。 心 に 痛
い一冊であった。
*﹃しんがり﹄︵講談社・清武英利著・一八〇〇円︶
︵五十七歳・パート社員︶
書きつづられている。
支店長を含め七千七百人の社員、グループの関連
会社、取引先従業員も合わせると九千人ぐらいが失
業する運命に陥る危機に瀕する。私も山一ビジネス
サービスへ出向していた身の上にあり、破綻後も清
算業務にたずさわった。日経新聞の﹁山一證券破綻﹂
を伝える特ダネ発表直後、長女が十二月六日に誕生
している。兜町の証券管理部へ毎日︵土、日曜日も︶
出勤し、株券や債券の変換業務の仕事に専念したこ
とが思い出された。破綻する前に山一を辞め転職し
− 29 −
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8月21日グランドオープン 〔営業時間〕10時∼ 21時 〔営業時間〕10時∼ 21時 〔営業時間〕10時∼ 20時半
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− 30 −
〔営業時間〕10時∼ 22時
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定休日については、お手数をおかけしますが弊社 HP または直接各店までお問い合わせ下さい。
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│
五九五六 六一〇〇
丸善ジュンク堂書店特急便係
東京都豊島区南池袋二 一五 五
〇三
五九五六 六一二〇
〇三
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い つ も﹁ 書 標 ﹂ を ご 愛 読 い た だ き ま し て
以下の通りです。
ありがとうございます。本誌定期購読料は
本にまつわるエッセイ、など本に関するもの。最近読んでおも
☆読者の皆様の投稿を募集しています。最近読まれた本の感想文、
定期購読料
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しろかった本、感動した本、考えさせられた本を教えて下さい。
四〇〇字∼六〇〇字程度で、おすすめの本のタイトル、出版社、
掲載分には二千円の図書カードを差し上げます。なお、原稿はお
〒
1710022
住所、氏名、年齢、職業を明記の上、お送り下さい。
六一一一
│
編集後記
│
返しいたしませんのでご了承下さい。
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五九五六
FAX TEL
☆尚、本誌掲載と同時に、ホームページにも掲載させていただきます。
〒
〇三
丸善ジュンク堂書店﹁書標﹂編集室係
│
TEL
│
│
マ は﹁ 社 会 を 貫 く 数 学 ﹂。 数
学を諦めて文系を選択した人
のための再チャレンジなんて
避けて通りたいと思っていた
が、こういうふうに数学の必
︵緒︶
要性を説かれるとやる気が湧
いてくる。
− 32 −
│
│
│
﹁愛書家の楽園﹂今月のテー
PC ・スマートフォンから
ᛩ
Ⓜ
൐
㓸
1710022
選手兼任監督
今年のプロ野球のセ・リーグは、稀に
子を把握し、時には二軍とも情報交換を
相手に応じて作戦を考え、チーム内の様
を考えているわけにはいきません。対戦
手﹂の仕事というのは楽しいことが多く、
バ ラ ン ス を 取 る の は 難 し い の で す。﹁ 選
りですが、やはり﹁選手﹂と﹁監督﹂の
督と比べるなどなんともおこがましい限
棚に本をどういう風に並べようかと考え
して選手起用を考えなくてはなりませ
ん。選手と監督のどちらかに偏りすぎて
ターに立つと、自分の店ではどのような
るのも楽しいですし、ブックフェアを企
方がどんな本を求めているのかというの
画するのもわくわくします。レジカウン
ところで、書店にも選手と監督がいま
はいけないので、そのバランスを取るの
す。選手とは、いわゆる﹁書店員﹂です。
が大変そうです。
という間に首位から最下位に転落という
みる混戦で、少しでも連敗が続くとあっ
ことも十分にありえます。順位もめまぐ
が肌で感じることができて、これも面白
てしまいます。一方で﹁森﹂だけを見て
い仕事です。でもこのような現場の仕事
いては個々の﹁木﹂のことが分からなく
本を発注し、陳列して、棚を管理しなが
見渡していかなくてはなりません。とこ
なってしまいます。大切なことは﹁木を
るしく変わっていて、ファンとしてはや
さて、先日、そのプロ野球で通算試合
ろ が、 店 舗 の 規 模 な ど に も よ り ま す が、
見ながら森も見ること﹂です。店長になっ
に集中しすぎると店全体を見渡すことが
出場の日本記録を達成した中日ドラゴン
店長の仕事が店の管理だけではいけない
てから数年が経ちましたがいまだにこの
ら、 レ ジ カ ウ ン タ ー に 立 っ て 接 客 を し、
ズの谷繁捕手は、現役選手でありながら
場合も多いのです。レジ当番でレジカウ
バランス感覚は難しいのです。選手兼任
きもきしながらも、先が見えず、なかな
監督でもある選手兼任監督です。選手と
ンターに立つこともありますし、書籍の
できません。﹁木を見て森を見ず﹂になっ
して打席に立ち、捕手を務めながら、監
担当者として本の発注もして棚入れもし
監督はなかなか奥が深い仕事です。
お客様の問合せに答えます。一方の監督
督 と し て も 選 手 起 用 を 考 え、 采 配 を 振
ま す。 こ う な る と 店 長 も 選 手 兼 任 監 督。
は 店 長 で す。﹁ 監 督 ﹂ と し て 店 舗 全 体 を
るっています。当然ながら現役選手とし
かくいう私もその立場にいます。谷繁監
か面白い展開です。
て体調管理やトレーニングも欠かせませ
653- 1600013 0008
︵爺︶
んが、兼任監督となると自身のことだけ
二〇一五年八月五日発行
﹁書 標
第 号
ほんのしるべ﹂
頒価五十円︵本体四十六円︶
編集・発行人
工
藤
恭
孝
発 行 所
㈱丸善ジュンク堂書店 〒 東京都新宿区三栄町二十九 ニューフィールドビルディング
印 刷 所
㈱七
旺
社
〒 神戸市長田区一番町二丁目一
441