海関保護条例改正対応 - 日本貿易振興機構北京事務所知的財産権部

2014年度水際WG
成果報告
2015年3月12日
中国IPG 水際WGリーダー
キヤノン(中国) 小澤潤
WGの構成
E1:「海関保護条例改正対応」
リーダー: 何浩前/パナソニックチャイナ
メンバー: 22名
E2:「海外における模倣品差止事例の中国税
関への有効活用」
リーダー: 中村厚士/カシオ(中国)
メンバー: 36名
2
E1:「海関保護条例改正対応」
3
メンバー 22名
1 オリンパス(中国)有限公司
山口
光次郎
13 パナソニックチャイナ
何浩前
2 オリンパス(中国)有限公司
周楽平
14 パナソニックチャイナ
代璐
3 カシオ(中国)貿易有限公司
王文萍
15 日立(中国)有限公司
段 程松
4 カシオ(中国)貿易有限公司
中村厚士
16
5 カシオ(中国)貿易有限公司
伏滢滢
17 富士通(中国)有限公司
呉博
6 キヤノン(中国)
小澤潤
18 兄弟(中国)商業有限公司
周佳麗
7 キヤノン(中国)
周易明
19 牧田(中国)有限会社
増田佑治
8 ソニー(中国)有限公司
李海
20 牧田(中国)有限会社
荒川長治
9 豊田汽車(中国)投資有限公司
鈴木裕之
21 牧田(中国)有限会社
車文奇
10 豊田汽車(中国)投資有限公司
康路
22 牧田(中国)有限会社
古屋崇
11 パイオニア株式会社
高崎敦
12 パイオニア株式会社
韓穎
富士ゼロックス(中国)有限
公司
銭楓
4
成果報告①
1.課題と目的
税関総署による「知的財産権税関保護条例」の改正の動きを受け、
現行条例の問題点につき改善要求を提示することで、改正案に我々
の要望を反映させる。(継続テーマ)
現行条例のうち、特にメンバー企業の問題意識の強い、
・16条(3営業日以内の回答期限)
・25条(押収物品の保管、廃棄費用の権利者負担)
に焦点を絞り、説得力のある改善要求を構築し、ロビー活動を展開。
2. 調査研究方法
・メンバーからの意見聴取と要求案の作成
・地方税関の運用実態のヒアリング
・QBPCとの意見/情報交換の実施
・税関総署との直接対話
・IIPPFとの連携
5
成果報告②
3. 研究に基づく成果
・IIPPF建議書への反映
16条:申請に基づく回答期限延長の実現
25条:保管処分費用の輸出入当事者負担への移行
・税関総署との交流を通じた今後の改正動向の把握
2015年(=条例施行20周年)中に改正を完了予定
従来の懸念事項についても概ね改善方向で検討中
・共通質問シートに基づく地方税関との交流情報共有
質問シートの年度ごとの更新とDBの継続管理
6
成果報告③
情報収集一覧表(抜粋)
コンテナ
開梱問題
写真提供問題
差止を実 ①写真提供は
施する貨 行っているか?
物に関し、②写真の撮影方
開梱する 法にルールは存
コンテナ 在するか?
に基準は
あるのか。
刑事移送問題
ホワイトリスト問題
ブラックリスト 罰金徴収問
問題
題
担保金問題
中国で差止めた
小規模貨物取
案件情報の提供
締状況
について
①事例はあった ①海関差止めに ブラックリス 処罰決定 ①通常の場合納 輸出先(荷受人) ①インターネッ
か。
おいて登録され トについて、 後に、違反 付からどの程度 情報の開示可否 ト販売の発達
②権利人が協力 たホワイトリスト 税関の意見 者から罰金 の期間が経過す
に応じて増加
できることはある はご活用されて はいかがで を徴収でき ると返還されるか。
している、小規
か。
いるのか?
すか。
ているのか。②必要経費と相
模貨物の模倣
③税関総署から ②またホワイトリ
殺されたために
品取締りの状
何か指導意見を ストの運用が始
返還されない場
況はどうか
出したか。
まって以降、正規
合、担保金の返
②海外での模
品の差止め→リ
還がない旨が権
倣品取締りに
リースという事例
利者に通知され
活用するため
は減尐したか?
ることはあるか。
に、小規模貨
物を摘発した
際の情報を権
利者は入手で
きるか
③権利者が協
力できることは
有るか
7
成果報告④
4. 今後の課題
・QBPCとの定期的な交流の実現 <未実施>
・地方税関/税関総署との定期交流スキームの確立 <難航>
・IIPPFとの連携 <訪中団未実施>
5. 実務への提言
・保護条例改正動向の継続的情報収集と共有
・不条理な運用事実の累積と是正案の検討を意識
不満⇒記録(証拠確保)⇒共有⇒是正案の検討/提示
提案なき不満の吐露のみでは説得力を持たない
8
E2:「海外における模倣品差止事
例の中国税関への有効活用」
9
メンバー 36名
1
KYB株式会社
馬場克明
19
株式会社ニコン
斎藤久美子
2
凱迩必貿易(上海)有限公司
加藤 衛
20
日産(中国)投資有限公司
江原晋作
3
凱迩必貿易(上海)有限公司
任海慧
21
日産(中国)投資有限公司
呂婧
4
オリンパス(中国)有限公司
山口 光次郎
22
パイオニア株式会社
高崎敦
5
オリンパス(中国)有限公司
周楽平
23
パイオニア株式会社
韓穎
6
愛普生(中国)有限公司
荊瑞
24
パナソニックチャイナ有限公司
何浩前
7
カシオ(中国)貿易有限公司
王文萍
25
パナソニックチャイナ有限公司
代璐
8
カシオ(中国)貿易有限公司
中村厚士
26
日立(中国)有限公司
段 程松
9
カシオ(中国)貿易有限公司
伏滢滢
27
富士ゼロックス(中国)有限公司
銭楓
10
キヤノン(中国)
小澤潤
28
富士通(中国)有限公司
呉博
11
キヤノン(中国)
周易明
29
兄弟(中国)商業有限公司
周佳麗
12
夏普(中国)投資有限公司
宮腰佳代子
30
本田技研工業(中国)投資有限公司
張晶
13
夏普(中国)投資有限公司
郭喆
31
牧田(中国)有限会社
増田佑治
14
ソニー(中国)有限公司
李海
32
牧田(中国)有限会社
荒川長治
15
豊田汽車(中国)投資有限公司
鈴木裕之
33
牧田(中国)有限会社
車文奇
16
豊田汽車(中国)投資有限公司
康路
34
牧田(中国)有限会社
古屋崇
17
ニコン映像儀器銷售(中国)有限公司
王剛
35
三菱電機(中国)有限公司
佐伯昌雄
18
ニコン映像儀器銷售(中国)有限公司
哈麗斯
36
ヨネックス株式会社
大久保淳
10
成果報告①
1.課題と目的
各社、海外(中国国外)における税関差止実績はあるが、従来当該
情報が中国税関のオペレーションに有効に活用されて来たとは言い
難い。当該情報を有効活用すれば、中国税関における差止件数向上
に繋げられる可能性がある。
・海外税関差止情報の、どの情報を、どのように活用すべき??
・中国税関側が重要視している情報とは??
・海外税関から入手可能な情報とは??
各社海外差止事例を収集・分析した上で海外税関から入手可能な
情報を把握し、当該情報の有効活用を中国税関へ提言することで、
差止件数の向上を目指すと共に、中国内輸出者への摘発へ繋げる
手段を研究する。
11
成果報告②
2. 調査研究方法
・メンバー向アンケートの実施及び差止事例の共有
・地方税関向けヒアリングの実施(WG/個社)
・経産省委託事業枠の活用
「海外における模倣品差止事例の中国税関への有効活用に
関する調査」
○中国側通関実務の実態調査
○中国側貿易会社ヒアリング
○海外の通関実務フローから見た入手可能な情報の検証
12
成果報告③
3. 研究に基づく成果
(1)水際WG会員企業アンケート
香港
輸入日(差止日)
米国
ベルギー
○:入手できる情報
ドイツ
オーストリア
サウジアラビア
○
○
○
○
通知書番号(税関管理番号)
○
○
○
○
○
差止をした地方税関
○
○
○
○
○
知的財産の内容(商標)
○
○
○
○
商品名
○
○
○
○
○
○
○
評価額
インド
日本
○
通知日
数量
アイルランド
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
輸入者の氏名、名称、住所
○
○
輸出された場所(国レベル)
○
○
輸出者の氏名、名称、住所
○
○
生産者の氏名、名称、住所
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
輸出された場所(税関レベル)
荷物の種類
○
○
○
○
○
○
表1:海外の税関から権利者に通報される情報の例
中国側輸出港(税関)情報の入手は困難であることが判明
13
成果報告④
(2)中国税関ヒアリング結果
<中国税関にとって有効な情報>
輸出港、輸出業者、商品種類、コンテナ番号、
差出人名称、仕向地
<提供方法>
管轄税関の法規処に提供
<中国税関による活用方法>
リスクマネジメントの参考情報として
14
成果報告⑤
(3) 「海外における模倣品差止事例の中国税関への有効活用に関
する調査」結果 (当該報告書に基づく)
模倣品業者は、税関差止リスクを回避するため、様々な手段(例:虚偽申告、伝票
買い、Switch Bill輸出)を取っており、海外税関から入手した情報そのものから
は、中国国内の真のターゲットは特定できない可能性が高い。
輸出業者=模倣品輸出者(工場等)であるケースは尐なく、通常は貿易業者等の
中間業者が介在しているため、差止時の書誌情報だけでは真のターゲットを特定
することは困難。
ただし、税金還付等の優遇措置が絡む特定の商品(例:ベアリング/服飾等)は、
輸出業申告者=模倣品輸出者(工場)である可能性が高いと推察される。
EMS/速達便等の郵便ルートで判明する、一部情報(出荷人の電話番号/荷受人
情報)の精度は比較的高く、真のターゲットを特定できる可能性が高い。
15
成果報告⑥
<税関、物流等の輸出入関係者が保有する情報>
ファイル名
情報の内容
ファイルの落款
流经部门
契約
出荷人、貨受人、貨物名称/数量/規格、支払い
方式
貿易会社
フォワーダー、税関申
告会社、検査申告会社
、出入国検疫検査局、
税関、銀行、税務署
パッキングリスト
出荷人、受取人、貨物名称/数量/規格
送り状
出荷人、受取人、貨物名称/数量/規格、出発港
、仕向港、支払い方式
船積み書類/船荷証
出荷人、受取人、貨物名称/数量/規格、出発港
、仕向港、船名、航海番号、コンテナー番号
船会社/フォワーダー
出荷人、受取人
マニフェスト
出荷人、船名、航海番号、コンテナー番号、シー
ルナンバー、貨物名称/数量、ビーエルナンバー
船会社
税関
通関申告書
経営単位、出荷単位、仕向国/港、コンテナー番
号、貨物名称/数量/規格、支払い方式
税関会社,または通関申
告の素質がある貿易会
社、フォワーダー
税関、出荷人、銀行、
税務署
税関委託書
出荷人、委託事項、貨物情報、ビーエルナンバー
貿易会社
税関会社または通関申
告素質があるフォワー
ダー
検疫申告書
出荷人、受取人、貨物情報、運送方式、契約内
容など
検査申告会社
検疫申告の委託書
出荷人、委託事項、貨物情報、ビーエルナンバー
出荷人
商品検査報告
生産企業、貨物情報、検査方式
出入国検疫検査局
出入国境検疫検査局
表2:中国からの輸出手続きにおいて関係者間でやりとりされる情報
16
成果報告⑦
4. 今後の課題
・模倣業者の巧妙化への対抗策
⇒ 書誌情報の精度を向上させるための手段検討(対税関)
⇒ 差止回避手段の継続的な調査研究
5. 実務への提言
・海外税関差止情報の直接使用は実効性が低い。
⇒ 分析+深堀調査実施等による付加価値付与が必要
・税関との情報共有は、単なる事例紹介ではなく、
○過去事例に基づく検証・分析結果
○業界/商品特有の最新動向
等の紹介が効果的!
17
ご清聴ありがとうございました。
中国IPG
事務局 日本貿易振興機構(JETRO)
北京・上海・広州事務所