「自然エネルギーで豊かな日本を! アクション」 シンポジウム 風力発電の飛躍的導入拡大に向けて 2015年2月19日 一般社団法人 日本風力発電協会 http://jwpa.jp 1 国による意欲的な中長期導入目標の設定 再生可能エネルギーの最大限導入と国民負担の抑制 のためには、安価な風力発電の最大限導入が必要 火力発電並みにコストを低減するためにも、大規模導入 によるスケールメリットの実現が必要 国による意欲的な目標設定 2030年度における風力発電導入量は 当協会目標値である 3,620万kW を設定すべき 第9回新エネルギー小委員会で現実的として提示された 2030年の風力導入量試算値は 1,150万~1,250万kW 2 日本の風力発電導入実績(年度) 2014年度推定累積導入量 292.2万kW、2,031基、428発電所 2007年度:改正建築基準法施行 2010年度:FIT制度への移行を前提に、新規WF向け建設費補助制度中止 FIT制度 施行 *:出典:NEDO 日本における風力発電設備・導入実績を基に、JWPA加筆 3 2030年度風力発電導入目標(当協会ロードマップ) 風力発電導入ロードマップ:ビジョン 8,000 7,000 浮体式風力 着床式風力 6,000 陸上風力 5,000 実績 4,000 3,000 2,000 発電 電力 量 風力発電導入実績と 導入目標値[万kW] 年度 合計 陸上 着床 浮体 2010 248 245 3 0 43 2020 1,090 1,020 60 10 230 2030 3,620 2,660 580 380 840 [億kWh] 2040 6,590 3,800 1,500 1,290 1,620 1,000 2050 7,500 3,800 1,900 1,800 1,880 0 2000 2002 2004 2006 2008 2010 2012 2014 2016 2018 2020 2022 2024 2026 2028 2030 2032 2034 2036 2038 2040 2042 2044 2046 2048 2050 各地域の発電設備容量等を考慮のうえ実現可能な導入目標値を設定 2050年度推定需要※に対して、風力発電から7,500万kW(電力需要量全体の 20%以上)を供給することを目指す 2030年度の風力発電導入目標値は3,620万kW (発電電力量:840億kWh) 累積導入量[万kW] ※2050 日本低炭素社会シナリオ(環境省戦略研究開発プロジェクト:2008年6月) http://2050.nies.go.jp/report/file/lcs_japan/2050_LCS_Scenario_Japanese_080715.pdf 4 我が国の風力発電導入ポテンシャル 我が国では7,672万kWの風力発電が導入可能※(全発電設備容量の約37%) 各地域の電源設備容量等を考慮しない場合は23,218万kW(同112%) 特に50Hz帯となる北海道・東北にポテンシャルが集中 ※年間平均風速について陸上は6.0m/s以上、洋上(着床式)は7.0m/s以上、洋上(浮体式)は7.5m/s以上の領域内で、社会的 制約条件を考慮した風力建設適地であるポテンシャルから、堅実な数値として、陸上は全ポテンシャルの1/2、洋上(着床式) は1/3、洋上(浮体式)は1/4を導入可能量とした。 我が国の地域別風力発電導入ポテンシャル 20,000 容量[万kW] 18,000 浮体風力 16,000 着床風力 14,000 陸上風力 12,000 10,000 8,000 北海道・東北にポテンシャルが集中 6,000 4,000 2,000 0 北海道 東北 東京 北陸 中部 関西 中国 四国 九州 沖縄 50Hz 60Hz* 5 世界の電源構成(再生可能エネルギー) 世界の電源構成(再生可能エネルギー) 2012 2020 2040 全電源における再生可能エネルギー比率 21% 26% 33% 再生可能エネルギーにおける風力発電比率 11% 18% 25% 全電源における再生可能エネルギー比率推移 50.0 再生可能エネルギー電源構成推移 33% 40.0 [兆kWh] 26% 13.2 30.0 21% 20.0 7.3 4.8 26.9 10.0 0.0 20.5 17.9 2012 2020 再生可能エネルギー 再生可能エネルギー 電源に占める風力 発電比率 11%(0.5兆kWh) ↓ 18%(1.3兆kWh) ↓ 25%(3.3兆kWh) 2040 再生可能エネルギー以外 水力 風力 バイオマス 太陽光 地熱 太陽熱 波力・潮力等 ※2014年時点IEA New Policy シナリオ推計(New Policy シナリオ:各国の掲げる最新の政策の奏功を考慮したシナリオ) 出典:World Energy Outlook 2014(IEA)をもとに作成 6 風力発電の導入効果 (1) 風力発電の買取価格 風力発電の買取価格が最も低い 自然エネルギーの導入に当たっては、国民経済的に 考えれば、風力発電を中核にして導入されるべき 2012年度 2013年度 2014年度 太陽光 (10kW以上) 40円 36円 32円 陸上風力 (20kW以上) 22円 22円 22円 洋上風力(着床式) - - 36円 地熱(150MW以上) 26円 26円 26円 水力 (1MW-30MW) 24円 24円 24円 水力 (200kW-1MW) 29円 29円 29円 13~39円 13~39円 13~39円 種別 バイオマス(燃料種により異なる) 7 風力発電の導入効果 (2)再生可能エネルギー導入に伴う国民負担抑制 認定設備分がすべて運転開始した場合、国民負担が増加 再生可能エネルギーの最大限導入と国民負担の抑制の両立が 重要 国民負担の小さい風力発電の導入が進んでいない 2013年度再生可能エネルギー賦課金単価(総額) 2014年6月末設備認定量運開時賦課金単価(総額) 0.75円/kWh(6,500億円) 3.12円/kWh(約2兆7,015億円) 電源種類 2014年6月末 導入量 [ 万kW ] 2014年6月末 設備認定量 [ 万kW ] 再生可能エネルギー賦課金(単年度) 2014年6月末 シェア [ % ] 設備認定量運開時 地熱 710 万kW 938 万kW 271 万kW 50 万kW 292 万kW 6,604 万kW 121 万kW 1 万kW 1,554 億円 22,174 億円 782 億円 34 億円 5.75 % 82.08 % 2.89 % 0.13 % 水力 (中小) 961 万kW 32 万kW 346 億円 1.28 % 238 万kW 3,168 万kW 128 万kW 7,178 万kW 2,125 億円 27,015 億円 7.87 % 100.00 % 太陽光(住宅用) 太陽光(非住宅) 風力 バイオマス 合計 出典:総合資源エネルギー調査会 新エネルギー小委員会(第4回、第6回)資料をもとに作成 8 風力発電の導入効果 (3) 経済波及効果・雇用創出効果 建設関係 : 更新を含む単年度生産量(建設量)による。 O&Mと保険関係 : 該当年度における累積導入量による。 – 累積導入量増加に伴い、O&Mと保険関係 による効果が大きくなる。 ⇒ O&Mは、地元密着で地方創生に大きく貢献可能。 年度 2030 2050 内訳 単位 合計 建設 O&M、保険 総建設費、直接費 億円 16,350 10,090 6,260 経済波及効果 億円 30,440 18,030 12,410 雇用創出効果 千人 197 121 76 CO2削減効果 万t-CO2 4,413 総建設費、直接費 億円 22,810 8,110 14,700 経済波及効果 億円 44,840 14,520 30,320 雇用創出効果 千人 290 97 193 CO2削減効果 万t-CO2 9,888 9 飛躍的導入拡大に向けた課題 (1) 環境アセスメントの合理化、迅速化 FITの導入と同時期に1万kW以上の風力発電には 法に基づく環境アセスメントが導入された 大規模火力と同等レベルの内容を要求されている 期間は3年~5年が必要 コストは1万kW当たり1億円~2億 (2万kWの発電所で約2億円) 他の電源との比較においても風力のアセスメントの 合理化、簡素化、迅速化が図られるべき 発電所の種類 第一種事業 第二種事業 水力発電 3万kW以上 2.25万kW以上3万kW未満 火力発電 15万kW以上 11.25万kW以上15万kW未満 地熱発電 1万kW以上 0.75万kW以上1万kW未満 原子力発電 すべて 風力発電 1万kW以上 - 0.75万kW以上1万kW未満 10 飛躍的導入拡大に向けた課題 (2) FIT設備認定の前倒し 環境アセス終了まで6~7年の間、買取価格が系統連系枠のいずれも未確定 導入の進んでいない安価な風力発電を最大限導入するためにも、準備書段階 → 方法書段階への設備認定前倒しによる事業予見性の改善が必須 新規の送電網敷設を伴う風力発電所建設においては3.5年以上期間短縮が可能 (ⅰ)現状の環境アセス手続 1年目 2年目 3年目 4年目 5年目 6年目 7年目 8年目 9年目 10年目 11年目 3.発電所の設計・機器発注・建設 1.風況調査・用地確保 準備書大臣勧告 2.環境アセス 設備認定取得、系統連系申込、買取価格決定 4.用地確保・許認可取得 ※送電線事業を伴う場合 : 5.送電線の建設 (ⅱ)設備認定前倒し環境アセス手続 1.風況調査・用地確保 2.環境アセス 猛禽類等の現地調査 (先行調査) 3.発電所の設計・機器発注・建設 方法書大臣勧告 準備書大臣勧告 設備認定取得、系統連系申込、買取価格決定 ※送電線事業を伴う場合 : 4.用地確保・許認可取得 アセス先行調査と事業採算性の 早期確定により3.5年以上期間を短 縮 5.送電線の建設 11 飛躍的導入拡大に向けた課題 (3)諸施策の確実な実施 ① ② ③ ④ ⑤ ⑥ ⑦ ⑧ 現在国により推進中の取り組み・事業等の確実な 実施と早期実用化をお願いしたい。 接続可能量の早期且つ継続的な再検証の実施 地域間連系線等の利用ルールの見直し (電力系統の広域運用) 地域間連系線等のインフラ強化 (北本連系線、相馬双葉幹線) 地域内基幹送電線の整備・増強 (北海道、東北) 大型蓄電池を活用した連系可能量拡大 出力変動対策としての気象予測による出力予測等 (NEDO) 環境アセスメントの合理化・迅速化 洋上風力発電技術研究開発 (NEDO) 12
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