2015 年 4 月 6 日 ベトナム株式 マンスリーレポート ~2015 年 4 月~ グローバル・マーケティング部 投資情報課 今井 正之(証券アナリスト、CFP) 1、3 月のベトナム株式市場概況 2、4 月以降の見通し 3、取扱い銘柄月間株価推移 一覧表 4、個別銘柄概況 1、3 月のベトナム株式市場概況 3 月のベトナム株式市場は、VN 指数が前月末比 7%安の 551.13 ポイントで取引を終え、月次ベースで 今年初の下落となった。 月間の株価の動きを見ると、2 月終値の 592.57 ポイントに始まり、3 月 5 日の取引時間中に 602.40 ポイ ントと 600 ポイント台に乗せる局面を見せたが、その後は下落基調が継続し、月末は 551.13 ポイントで取 引を終えた。 大方の市場関係者は、ベトナム株式市場が軟調に転じた理由を①米ドル高に伴うベトナムの通貨ドン切 下げ観測、②外国人投資家の売り姿勢と現地投資家のマージン取引に対応した換金売りにあると見てい る。ベトナムは米ドルに連動する為替制度を採用している。その為、FOMC(米連邦公開市場委員会)が年 内利上げを実施する見通しから足元でドル高が進行しており、ドンも連れ高している。対照的にドル高ユ ーロ安が進行しており、ベトナムにとって米国と並ぶ重要な輸出先である EU への輸出減速が懸念されて いる。後者の要因で、ベトナムを投資対象とする上場 ETF など外国人機関投資家が、3 月末にかけて売り 姿勢となり、時価総額上位銘柄を中心に株価が下落した。現地投資家もこうした趨勢を受けて換金売りに 走ったと見ている。 VN指数日足チャート (単位:ポイント) (2015年1月5日~2015年3月31日) 610 600 590 610 50日移動平均線 600 200日移動平均線 590 580 580 570 570 560 560 550 550 540 540 530 530 1月5日 1月12日 1月19日 1月26日 2月2日 2月9日 2月24日 3月3日 3月10日 3月17日 3月24日 3月31日 2、4 月以降の見通し 4 月以降の株式市場の見通しは、目先の軟調な展開が続いた後に、底練りを経て再び上昇基調へ転じ ると予想している。上述の外国人投資家の売り材料を消化し底打ちを確認するまでは、投資家は慎重姿 勢を保つと思われる。反面、バリュエーションが低下しており、底打ちを確認した後は力強い上昇基調が 期待できよう。ベトナム株式市場は流動性が低く、故に相場の方向性が一方に振れやすいという特徴が ある。株式市場の下落は、安値で仕込める機会と前向きに捉えたい。 マクロ経済面では、第 1 四半期の GDP 成長率は前年比 6.03%と第 1 四半期の数値としてはリーマンシ ョック以降で最も高くなった。業種別では、製造業が好調で特に携帯電話関連が活況を維持している。こう したベトナムの経済情勢の好調と他の ASEAN 諸国と比較し割安な株式水準は、遠からず再評価されると 思われる。 <各グラフ、株式指標等は Bloomberg より日本アジア証券作成> Japan Asia Securities Co.,Ltd Global Marketing Dept, Investment Research Section 巻末の金融商品取引法に基づく表示事項を必ずご確認ください -1- 2015 年 4 月 6 日 ベトナム株式 マンスリーレポート ~2015 年 4 月~ 3、取扱い銘柄月間株価推移 一覧表 銘柄名 銘柄コード 2 月 27 日 3 月 31 日 変化率 予想 PER ベトナム乳業(ビナミルク) 配当利回り VNM 108,000 106,000 -1.9% 14.6 3.5 ペトロベトナム ドリリング PVD 58,000 44,800 -22.8% 5.7 4.1 ビン・グループ VIC 49,500 47,000 -5.1% 21.0 3.1 DHG ファーマ(ハウザン製薬) DHG 91,000 89,500 -1.6% 11.1 1.7 ホアファット グループ HPG 47,100 44,100 -6.4% 7.9 2.9 FPT コーポレーション FPT 48,800 48,400 -0.8% 9.0 4.6 サイゴン証券 SSI 22,750 20,200 -11.2% 14.0 4.1 タンタオ工業投資 ITA 7,600 6,900 -9.2% N/A N/A サイゴン商信銀行(サコムバンク) STB 19,400 18,700 -3.6% 10.4 N/A ファーライ火力発電 PPC 25,100 22,900 -8.8% 8.0 9.9 ホーチミン市インフラ投資 CII 18,300 18,500 1.1% 11.1 6.5 ペトロベトナム化学肥料 DPM 31,700 29,200 -7.9% 8.7 10.3 ジェマデプト GMD 28,400 27,200 -4.2% 13.1 4.4 ホアン アイン ザーライ HAG 22,800 20,500 -10.1% 8.2 N/A ベトコムバンク VCB 38,400 35,100 -8.6% 22.5 2.9 バオベト ホールディングス BVH 37,500 34,200 -8.8% 19.8 4.3 第一 ハティエン セメント HT1 19,500 20,700 6.2% N/A N/A ホアセン グループ HSG 39,000 33,800 -13.3% 6.8 4.3 ダナン ラバー DRC 61,000 60,500 -0.8% 11.6 3.3 ラムソン シュガー LSS 8,600 8,300 -3.5% N/A 12.3 ベトインバンク CTG 19,400 17,300 -10.8% 13.1 5.7 フンブオン コーポレーション HVG 21,700 20,600 -5.1% 7.9 7.3 マッサン グループ MSN 85,500 77,000 -9.9% 18.4 N/A フオック ホア ラバー PHR 21,600 21,000 -2.8% 9.4 7.1 ベカメックス インフラストラクチャー IJC 12,700 11,100 -12.6% 15.6 5.5 ペトロベトナム ガス GAS 79,000 66,000 -16.5% 10.5 8.7 ペトロベトナム ロープレッシャーガス PGD 29,100 27,900 -4.1% N/A 8.9 キンド コーポレーション KDC 46,700 45,000 -3.6% 18.1 3.8 アグリバンク セキュリティーズ AGR 6,100 5,700 -6.6% N/A 10.9 ペトロベトナム トランスポーテーション PVT 13,900 12,700 -8.6% 3.9 N/A ビンホアン コーポレーション VHC 41,900 37,700 -10.0% 7.3 2.7 ※予想 PER は本年予想(2015 年)、配当利回りは過去 12 ヶ月間の現金による配当実績に基づく。 ※株価、株式指標等は Bloomberg より日本アジア証券作成(2015 年 4 月 2 日現在)。 Japan Asia Securities Co.,Ltd Global Marketing Dept, Investment Research Section 巻末の金融商品取引法に基づく表示事項を必ずご確認ください -2- 2015 年 4 月 6 日 ベトナム株式 マンスリーレポート ~2015 年 4 月~ 4、個別銘柄概況 ダナン・ラバー(DRC) ダナン・ラバーは、中部ダナン市に所在するタイヤメーカーで、ベトナ ム初のラジアルタイヤの製造業者。ティエン・サ港に隣接しており、中 部沿岸という立地から輸出に有利な地理的要件を備えている。 昨年、タイヤの主原料である原油及び天然ゴムの価格が共に下落し、 タイヤメーカーにとって利鞘が稼ぎ易い環境が続いている。その為か、 同社の株価は、相場全体が軟調な 3 月中も比較的堅調に推移した。 ※DRC のタイヤが飾られている新工場 フオックホアラバー(PHR) フオックホアラバーの 2014 年通期業績は、売上高が前年比 15.3%減の 1 兆 6050 億ドン(約 89 億円)、純利益は前年比 29%減の 2638 億ドン(約 15 億円)、EPS(1 株 利益)は 3362 ドンとなった。2014 年通期は天然ゴム価格の下落により 大幅な減収減益となっているが、元来利益率が 16%と高い事から黒 字を確保している。同社は、業績の低迷を背景に年間配当額を、昨年 までの 3000 ドンから 2015 年度以降は 2000 ドンに引き下げる事を発表 した。それでも(税引前)配当利回りは、約 9.5%となっており、長期保 有を視野に配当株への投資を考える投資家にとっては、一考に値す ※PHR の資産の大半は農園 る銘柄となっている。 ホアセン・グループ(HSG) ホアセン・グループはベトナムの塗装鋼板製造業で、輸出も盛んに行っている。 年明け以降に外国籍の ETF ファンドが同社のポジションを外す動きに出てから、 外国人投資家が大幅に売り越し約 4 割の下落幅となった。しかしながら、4 月初 旬から別の外国籍のファンドが 100 万株の取得枠を申請しており、バリエーショ ンの低下を背景に、見直し買いの余地が生れていると思慮できよう。 ※HSG のホーチミン支店 ペトロベトナム・ガス(GAS) ペトロベトナム・ガスの 2014 年通期業績は、売上高が前年比 12.2%増の 73 兆 3866 億ドン(約 4085 億円)、純利益が 14.9%増の 14 兆 1209 億ドン(約 786 億円)、EPS(1 株利益)は 7139 ドンと なった。3 期連続で増収増益を達成している。同社は 3 月下旬に自社株買いを申請していたが、 実際に約 60 万株を取得した。 好調な業績とは裏腹に 3 月に入り株価は軟調に推移した。とりわけ外国 人投資家の売り姿勢を背景に 3 月下旬には株価が一段安となった。3 月 中の株価が思惑通りに動かなかった点を素直に受け止めている。しかし ながら業績・時価総額・株価のバリエーションを踏まえると、同社株は依 然として魅力的な水準にあると考えている。 尚、同社は今年度中に資本を大幅に引き上げる計画を発表している。 ※郊外で見かける GAS の看板 ペトロベトナム・ドリリング(PVD) ペトロベトナム・ドリリングの株価も、外国人投資家の売り越しを背景に株価は軟調に推移した。 同社は第 1 四半期中に 200 万株の自社株買いを実施すると申請していたが、届け出によれば第 1 四半期中には取得しなかった模様。その事が明らかになった 3 月末には同社 の株価も一段安となっている。しかしながら、程なく同社は自社株買いの実施 期間を約 1 ヶ月延ばす申請を行った。実際に自社株買いを実施するかどうかは 不明ながら、同社の株価は PER5.7 倍と割安感が感じられる水準にある事から、 株価の心理的な下支え要因とはなりえると考えている。 また掘削リグの料金改定のニュースや新しいジャッキアップリグ「ペトロベトナ ム・ドリリング 6 号」の完成など、個別企業の業績へのプラス材料が再び注目さ ※PVD のリグの模型 れよう。 Japan Asia Securities Co.,Ltd Global Marketing Dept, Investment Research Section 巻末の金融商品取引法に基づく表示事項を必ずご確認ください -3- 2015 年 4 月 6 日 ベトナム株式 マンスリーレポート ~2015 年 4 月~ 金融商品取引法に基づく表示事項 ■ 本資料をお客様にご提供する金融商品取引業者名等 商 号 等:日本アジア証券株式会社 金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第 134 号 加入協会:日本証券業協会 ■ 手数料等およびリスクについて 当社における外国株式取引には、国内委託取引、外国取引及び国内店頭取引がございます (当社では韓国株式および米国市場上場銘柄の取引は原則、国内店頭取引のみ承っております。 また上海証券取引所上場中国株式は外国取引のみ承っております)。 外国株式を外国取引にて売買される場合は、原則、以下の委託手数料が必要となります。 中国株式(香港証券取引所および上海証券取引所上場):約定代金 50 万円超の場合は約定代金 に対して最大 1.836%+1,080 円(税込)、約定代金 9.5 万円超 50 万円以下の場合は一律 10,260 円(税込)、約定代金 9.5 万円以下の場合は約定代金に対して 10.8%(税込)。 ベトナム株式:約定代金に対して一律 3.24%(税込)。 インドネシア株式:約定代金に対して買付は 3.24%(税込)、売却は 3.348%(税込)。 国内店頭取引で中国株式(香港証券取引所上場)、ベトナム株式、インドネシア株式、韓国株式お よび米国市場上場銘柄を売買される場合、取引価格に取引の実行に必要なコストが含まれてい るため、別途の手数料は必要ありません。 なお、外国株式の売買等にあたり、円貨と外貨を交換する際には、外国為替市場の動向をふまえ て当社が決定した為替レートによるものとします。詳細は当社営業員にお問合せ下さい。 外国株式は株価の変動および為替相場の変動等により、損失が生じるおそれがあります。 ※お取引の際は、契約締結前交付書面、外国証券情報又は外国証券内容説明書等をよくお読み 下さい。 <<執筆担当者による宣言>> 当レポートの執筆担当者は、本調査資料に表明された(個別企業に関する)見解が、対象企業が 公表する資料および見解を中立的な立場から要約したものであり、執筆者自身の分析評価およ び特定の見解を表明するものではないことをここに証明します。また執筆者は、本資料で特定内 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