Arnage Racing 第3戦レポート

SUPER GT Rd.3 Thailand 300km
2015/6/20~6/21
TEAM RELEASE
Arnage Racing
Arnage Racing 2015 SUPER: GT Race report
南国タイでの灼熱のレースを無事に完走。
ポイント獲得ならずも、次戦に期待をつなぐ 14 位でフィニッシュ。
前戦の富士ラウンドから一か月半のインターバルを経て、迎える第三戦はチャーン・インターナショナルサーキットで開催されるタイラウンド。Arnage Racing の第 2
ドライバーを担う Nanin Indra-Payoong 選手の凱旋試合となる、
前半戦の山場である。
特に昨シーズン、6 位という好成績で Nanin 選手の故郷に錦を飾った Arnage Racing
は、現地の注目を集めていることもあり、チームは念入りにメンテナンスを施して、車両を三週間の船旅へと送り出し、意気込んでレースウィークを迎えたのだった。今
年もタイラウンドでは、プロジェクトμ様のスポンサードを受けてエントリー名称を「P.MU SLS」と変更、カラーリングも華やかなタイ仕様となった。その P.MU SLS
を操るのは、昨年同様加納選手と Nanin Indra-Payoong 選手の二人。そして、二人のドライビングを万全にサポートすべく、今年も安岡選手が心強いアドバイザーとし
て同行した。
July 20th Qualifying
天候:晴 路面状況:ドライ 気温:36℃→38℃ / 路面温度:58℃→57℃ 入場者;16,412 人
人
今年のタイラウンドは、昨シーズンの 10 月から 6 月へとレース開催時期が変更になり、雨季とされるこの時期につきもののス
コールや 10 月とは比べ物にならないほど強い日差しが、レースの命運をどのように左右するのだろうか。
今シーズンは金曜日の慣熟走行の設定がなかったため、木曜日に現地入りした Arnage Racing のドライバー陣は、金曜日に設
けられたコースウォークの時間に、一部改修の行われたサーキットの様子を下見して週末のレースに備えた。
予選日となる土曜日。朝から厳しい日差しの照りつけるチャーン・インターナショナルサーキットでは、午前 10 時から公式練
習が行われた。前戦の富士ラウンドで、シーズン当初から抱えていたギア抜けのトラブルからようやく脱し、やっと本格的にレ
ースを戦える状態になった Arnage Racing は、車両を順調に走らせてセットアップを進めていった。特に、よりよいスプリン
グチョイスを模索してバネ交換を実施した結果、非常によいサスペンションのセットアップにたどり着けた。路面の状態は昨年に比べてかなり良くなっていたものの、天
候と相まってまだまだタイヤには厳しいコンディション。そんな中、両ドライバー共に順調に周回数をこなして 24 周を走行、それぞれマシンとコースの感触に慣れてい
った。なお、公式練習の結果は、14Lap 目に加納選手が出した 1'36.869(21 位)がベストとなった。
午後になってもスコールの心配はなく、真っ青な空が広がっている。南国の厳しい太陽が照りつける中、15 時から行われた予選
には地元の期待を背負って Nanin 選手が臨んだ。Nanin 選手は Q2 進出をかけ、最後まで猛烈なアタックで上位陣に迫ったが、
35 秒台が目の前に見えた最終ラップで痛恨のスピン。結局タイムは 4Lap 目にレコードした 1'36.087 にとどまり、惜しくも Q2
進出は叶わなかった。しかし、最終的に出た決勝のグリッド順は今シーズン最高の 15 番手。前戦までのように上位チームに離さ
れていく感覚はなく、また、参戦している Nanin 選手と同郷のタイ人のドライバーの中では断トツの好タイムを叩き出せたこと
で、明日の決勝に向けて期待を抱ける予選結果となった。なお、300 クラス予選の結果は次の通り。
Arnage Racing: All rights reserved
Arnage Racing 2015 SUPER: GT Race report
P1 #25
VivaC 86 MC
P2 #3
B-MAX NDDP GT-R 星野 一樹 / 高星 明誠 (1'33.988)
P3 #10
GAINER TANAX GT-R アンドレ・クート / 富田 竜一郎 (1'34.507)
P15#50
土屋 武士 / 松井 孝允 (1'33.915)
P.MU SLS
July 21nd Race Day
加納政樹 / N.インドラ・パユーング (1'36.087)
天候:晴れ 路面状況:ドライ 気温:37℃→35℃ / 路面温度:50℃→58℃ 入場者:38,381 人
人
予決勝日の朝は前日よりも雲が多く、午後からはスコールの予報もでているが、それでも気温は朝早くから
30 度を超えて蒸し暑い。この日もチャーン・インターナショ
0℃ / 路面温度:20℃→19℃
ナルサーキットには昨年同様、地元の多くのモータースポーツファンや関連スポンサーの招待客などが、アジア最高峰のハコ車レースを一目見ようと数多く押し寄せた。
入場者:17,000 人
タイの人気者
Nanin 選手を抱える Arnage Racing のピットにも、Nanin 選手のスポンサー一行が大勢訪れ、ピットウォークの時には身動きができないほどの盛況ぶり。
Nanin 選手自身も引きも切らない取材に大忙しだったが、9 時 50 分から行われた朝のフリー走行、続くサーキットサファリも順調にこな
すことができた。特に前日の走行時に前進したタイ仕様のセットアップを再度確認し、また、ピットシミュレーションを含めた Nanin 選手
から加納選手へのドライバーチェンジの練習も行って、決勝に向けてのテンションが上がっていった。
15 時。懸念されていたスコールの気配もなく、気温も 40 度近くまで上昇する中、いよいよ決勝が始まる。スタートドライバーを務めるの
はもちろん Nanin Indra-Payoong 選手。周囲を見ながら、落ち着いた非常に良いスタートを切った。Nanin 選手はレース開始直後の混乱
をアグレッシブに切り抜けて、あっという間に 12 位までポジションを上げ、12Lap 目で 11 位に
まで浮上。ラップタイムも 1 分 36 秒後半から 37 秒前半をキープしながら、非常に順調に走行を
続けた。ピットインする車両の出始める 30Lap 目前後には、見かけ上の順位は 4 位まで上がり、
ピットで見守る地元応援団はわきに沸いた。ところが 32Lap 目、落とし穴が待っていた。Nanin
選手はヘアピン付近でスピン、大きく順位を落としてしまう。しかも、リア左側をヒットしてリ
アタイヤを破損してしまったために早々にピットインしたいところだが、ピットを共有する 22
号車のピットインタイミングと重なってすぐにピットに戻ることができない。Nanin 選手は熱中症の症状を呈し、苦しみながら
2Lap ほど周回して 34Lap 目、ようやく加納選手にステアリングを委ねるべくピットに戻ってきた。リアタイヤを交換し、素早
い給油とドライバーチェンジを終えて、P.MU SLS は 16 位でコースに戻った。加納選手はコースに復帰するや、すぐに順位を一つ上げ、怒涛の追い上げを開始。タイヤ
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が温まってくると、1 分 36 秒台の素晴らしいタイムで前方の車両を脅かす。途中 500 クラスの集団や 300 クラスの周回遅れの車両が壁となって加納選手の激走を阻む場
面もあったが、最後まで渾身のプッシュを続けた。残り 10Lap というところでまた一つ順位を上げた加納選手は、全くペースを落とすことなく、なんと最終ラップで決
勝のベストとなる 1’36.266 をレコード。そのまま 14 位でチェッカーを受けた。
Arnage Racing は十八番とされるタイヤ無交換作戦ができず、惜しくもポイント獲得には至らなかったが、Nanin、加納両ドラ
イバーの素晴らしい走りとチーム一丸のピットワークで、気温 36 度の中での過酷なレースを完走して終えることができた。
P1 #3
B-MAX NDDP GT-R
P2 #10
GAINER TANAX GT-R
アンドレ・クート / 富田 竜一郎
P3#7
GAINER DIXCEL SLS
ヨルグ・ミューラー / 荒 聖治
P14 #50
P.MU SLS
星野 一樹 / 高星 明誠
加納政樹 / N.インドラ・パユーング
<チーム代表 伊藤宗治>
ヨコハマタイヤ様のおかげで、この暑いタイのレースもどうにか完走することができました。タイまで来てくださったスポンサ
ーの皆様、ファンの皆様、テレビの前で応援してくださった皆様、ありがとうございました。結果からみれば、ポイントも獲り
そこなって残念なところもあったレースではありましたが、エンジニア的には、ちょっとシッポを捕まえたというか、この先に
つながるものの後姿がちらっと見えてきたというか、そういう明るい兆しを感じたレースでした。今回は、今年 Arnage メンテ
ナンスの 22 号車ともどもなんとか完走させたいという、チーム全員の意気込みというか、思いが、こうしてまずまずの結果に
つながったと思います。次戦も応援よろしくお願いします
<ドライバー 加納政樹>
富士のレースからこの灼熱のタイに来て、時期的なこともあって、去年よりかなり過酷なレースでした。特に今回のタイは注目されてる分、それだけの結果を残さなあか
ん中で、途中までは作戦通り、ナニンくんがプッシュしながら行けたし良かったんですが、ちょっとしたミスや、ちょっとした判断の誤りが招く結果っていうのを思い知
らされたレースでした。全チームがレベルの高い今の SUPER GT 全の中で、ワンミスもせずにチェッカーを受けることができれば、ポイントとか、その先も見えてくる
んじゃないかっていうことを、特に痛感しました。
ナニンくんが熱中症っていうんで、ちょっと緊急のピットインやったし、SLS でリアだけ交換ていうのは初めてで、タイヤのグリップ感やバランスがどうなんかなと思っ
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たけど、たいした違和感もなくて問題はなかった。リアが NEW な分どこら辺までのタイムが出せるのか、コンスタントに 1 分 36 秒台で走りたいなって思ったんですけ
ど、まあ悪くないペースだったんじゃないかな。
ただ、コンスタントに走らなあかん中、500 の集団や、300 の周回遅れや上位集団なんかをどうかわすかっていうところで、ロス
があったんじゃないかなと思います。最終 10Lap のところ辺りからはかなり団子状態ですごかったんですけど、一台でも前へっ
て、プッシュプッシュプッシュって走ってる中で、そういう周回遅れの車とか 500 の集団をうまく行かせて、順位を上げていける
形が一番いいんじゃないかと思うんです。もう少しレベルを上げたいところなんかなと。うちの得意分野であるタイヤ無交換がで
きないとなると、その状況の中で少しでも前にどう上がっていくのかっていうのを考えて走るしかないわけで。
車としてのこともだんだんわかってきてるし、産みの苦しみをやってきた中、少しずつ見えてきてるものもあります。完走はきち
っとやっていきながら、次のステップができればと思っています。特に次回の富士は SLS は悪くないんで、しっかり、まず完走
して、あわよくばポイントゲットできるように頑張りたい。
<ドライバーNanin Indra-Payoong 選手>
スタートはよかったですね。ただ多分今回は、エアコンと空気(外気)がなかったでしたね、車の中に。だからどんどん暑くなって、最後は熱中症で、その時にスピード
が落ちた。車はよかったですが、一番つらかったのは熱中症でした。
次の富士はストレートが長い分ベンツは速いので、前も 11 番だったし、よくいけばポイントゲットができる。タイは遠いので応援に来れなかったみなさんも、富士には
応援しに来てください。
<アドバイザー安岡秀徒>
かなり暑いレースウィーク、気温的にもレース的にも、Nanin くんの走り的にも、かなり熱いレースウィークが終わりました。
はるばるブリラムまでやってきて、いいレースがしたいねという話はしていたので、完全燃焼という感じのレースにならなかったのが少し
残念だと思ってます。
ナニンくんらしいオープニングラップからの数周、順位を上げていけてはいましたが、ちょっとタイヤにとっては厳しかったんじゃないか
なと思います。コースサイドで見て無線で会話をしている立場としては、若いナニンくんに、のびのびと走らせてあげたいということもあ
りますし、あんまりぐちゃぐちゃも言いたくない。SUPER GT は長いレースなので、先を見越したドライビングっていうのは、僕も経験
を積んできてわかったことで、まだそこは難しいっていうのはわかっているつもりです。なので、そういうアドバイスを送りつつ…ってい
う、ナニンくんが持ちこたえつつ自由に走れるぎりぎりのバランスの中で、何とか進んでいってたと思うんですけど、本人いわく、熱中症
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になってしまって、そこで大きくタイムロスをして、そこから大きくポイント争いから外れてしまったっていうのは、ちょっと残念でしたね。ただ、そのあと加納さんは
本当にしっかり走ってくれて、最終ラップに加納さんの自己ベストが出たんですけど、最後までプッシュしていける走りっていうのは、一周たりとも無駄にしないレース
をしたいと思っている、まだまだ勉強中の僕たちとしては、理想的でした。後半そういうレースができたことは、しっかりと得るものがあったと思うので、そういう意味
では次につながる週末になったんじゃないかと思います。次の富士のレースも、加納さんとナニンくんがドライビングして、僕やチームがサポートをするという形なので、
今回みんなが味わった悔しさを次に返せるように、また三人で頑張っていきたいなと思います。また次に応援よろしくお願いします。暑い中お疲れ様でした。
応援してくださった皆様方には深く感謝しますとともに、8 月 8 日~8 月 9 日に富士スピードウエイで開催される次戦富士ラウンドにおきましても、応援のほど
宜しくお願いいたします。
〒510-0064
三重県四日市市新正 4 丁目 15-18 Tel:059-351-6264 Fax:059-351-6054
総括 松本和美 [email protected]
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