INFORM - ジュンク堂

世界の本屋さん
vol.46
台湾、台北
誠品書店・新義店
刊、音楽、ビジネス、雑誌売場で、雑誌
ゾーンだけで二百坪ある。三階は中文書
ゾーン、文学、人文、社会科学、理工学、
健康、料理、喫茶がある。このフロアー
は誠品の目玉である。専門書の充実も凄
いが、料理書がアジア一番と圧巻である。
細目を見ると、日式料理、亜洲料理、義
式料理︵伊︶、法式料理︵仏︶、西式料理、
中式料理、寶島美食︵台湾︶、食材料理、
器具料理、中国地方菜、中菜烹調、健康
飲食、餐飲総論、酒、珈琲、甜点である。
四階は日文書店、藝術書店、日本語の
本が二百坪に優雅に陳列されている。五
階は誠品児童館で、本の他に玩具、児童
機能性家具、嬰幼児服飾用品、児童探索
博物館がある。
台湾に旅行されたら是非寄って欲しい
書店である。
ノセ事務所
能勢
仁
台湾にはチェーン書店が多い。金石堂
書店一〇〇店、誠品書店四十四店、新学
友 書 局、敦 煌 書 店、三 民 書 局、、 阿 嘉 仁
書 店 な ど が あ る。 誠 品 書 店 は 店 舗 規 模、
レ イ ア ウ ト、陳 列、情 報 量、サ ー ビ ス、
雰 囲 気 で 特 色 が あ り、販 売 額 で は 台 湾
No .1である。
台湾の書店事情は日本同様厳しい。最
近では香港、シンガポールから乗り込ん
できた個性派書店の雄、ペイジワンが閉
店している。
新義店は〇八年にオープンした。それ
まで敦南店が誠品の顔であったが、新義
店が旗艦店となった。三千坪の超大型書
店で、ジュンク堂池袋店の一・五倍ある。
一∼五階で、地下には五百台収容の駐車
場がある。
一階はファッション衣料品、二階は新
(表紙題字・陳舜臣)
10 月
前にも私はそれで月見をフイにした
覚 え が あ る の は、 或 る 年 の 十 五 夜 に 須
磨寺の池へ舟を浮かべてみようと思い、
世界の本屋さん
﹁書標﹂歳時記
月
然
1
尹
雄大
2
著書を語る
○ ﹁やわらかな言葉と体のレッスン﹂
書標・書評
﹃颶風の王﹄ほか
自
科
特集
怪物の生まれる夜
白水社とわたし
百周年記念フェア
今月のおすすめ
コ ン ピ ュ ー タ
学
学
芸
術
書
書
書店員のしごと﹂
学
書
医
社 会 科
人 文 科 学
文 学 ・ 文
文 庫 ・ 新 書
芸
用
書
地 図 ・ 旅 行
実
童
語 学 ・ 辞 典
児
読者から
インフォメーション
﹁安保関連法案﹂を考える本
体育会系文化部
4
6
10 46
本屋うらばなし
﹁
※表示価格はすべて本体価格です。
−1−
同勢を集め重詰めを持ち寄って繰り出
し て み る と、 あ の 池 の ぐ る り を 五 色 の
電 飾 が 花 や か に 取 り 巻 い て い て、 月 は
あれどもなきが如くなのであった。
﹃陰翳礼讃﹄
谷崎潤一郎著︵中公文庫︶より
25 24 22 20 17 15
10
26 24 23 21 18 16
30 28 27
522
著書を語る
○
︱︱
尹
雄大
わなくてはならないという態度を生んだ。他人には、慇懃で
い。その考えは地の言葉から切れた﹁日本語﹂を意識的に使
向 か わ な く て は い け な い。 さ も な く ば お ま え の 住 む 余 地 は な
怯 え は 私 に も 伝 染 し た。 蛮 性 で は な く 市 民 社 会 の ほ う へ と
れもあったように思う。
な日本語を話さない限り、社会の底に沈潜する。そうした怖
﹃やわらかな言葉と体のレッスン﹄
京都に住んでいた、いまは亡き祖母の話す日本語を理解す
るのは、幼い私には骨が折れた。何を言っているのかよくわ
か ら な か っ た。 途 中 で 飽 い て 耳 を 傾 け る の を や め た の も し ば
たしかに私の知っている言葉ではあるようだが、その抑揚
しばだった。
は京都弁とはまったく違い、異郷の色合いを帯びていた。長
国家や言語、民族といった概念とほど遠かった身には、祖
強かった。
わせることであった。つまりサバイバルとしての意味合いが
た。標準的な日本語の獲得は、自分の住まう社会と平仄を合
気取った様子に見えたかもしれない。しかし、そうではなかっ
母 の 口 に す る 正 体 の わ か ら ぬ 言 葉、 加 え て 食 事 の 際 の 立 膝 を
じてそれが韓国語と知れた。
つ い て の 振 る 舞 い な ど は 蛮 と し て 映 っ た。 ク レ オ ー ル と い う
言 葉 は い つ も 操 作 の 対 象 だ っ た。 身 の 内 か ら 溢 れ る 思 い や
感情のままにしゃべることをずいぶん大人になるまで自分に
言葉が絶えず操作の対象であれば、手順を学び、熟練して
私 は 神 戸 で 生 ま れ 育 っ た。 イ ン ト ネ ー シ ョ ン は と も か く 、
洒落た語も知らなかった時代だ。
いかなくてはならない。しかし意気込みはあっても、私はマ
許 す こ と が で き な か っ た。 そ ん な 非 社 会 的 な 行 為 は 削 除 さ れ
的な、アナウンサーが話すような日本語であったからだ。特
るべきものと思っていたのだ。
に 父 に そ の 傾 向 が 強 か っ た の は、 実 母 つ ま り 私 の 祖 母 の 話 す
であれスポーツであれ、いくら努めてもできないのだ。
ニュアルを覚え、その通りに行うことができない質だ。勉強
地 の 言 葉 が 自 然 と 口 を 吐 い て 出 る こ と は 滅 多 に な い。 家 庭 で
日本語と距離を置きたいという思いがあったからではないか
話 さ れ た 言 葉 は、 京 都 弁 と 神 戸 弁 の 音 調 を も ち な が ら も 標 準
と睨んでいる。韓国から渡ってきた世代とは違う、ノーマル
−2−
522
は常に空転し、読み、書き、話すことはさっぱり熟達しなかっ
したがって言葉をうまく操らなくてはならないという思い
したのだ。もどかしげな身のよじりや胸の高まりがなければ、
味は明らかになることはない。そもそもの起こりは体から発
韓国語の訛りに縁取られた日本語を思うとき、祖母の日本語
私は彼女の日本語は拙いと断じていた。しかし、あの立膝や
本 書 を 書 き 進 め る う ち に、 祖 母 を 思 い 返 す よ う に な っ た。
言葉は生まれはしなかった。これが私の言葉の自覚である。
葉 を 話 し て い る の か、 コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン と は 何 か に つ い て
﹃ や わ ら か な 言 葉 と 体 の レ ッ ス ン ﹄ は、 人 は ど の よ う に 言
た。コミュニケーションは絶えず不全だった。
考察している。本作を書いた背景には、これまでに述べたよ
しゃべりに忙しい。しかし、自分が何をどのように捉え、自
といった覚悟で身につけた、生々しい日本語だった。彼女の人
の言葉はお仕着せのそれではなく、どんな時代であれ生き抜く
が日本だった。粗野に見えた祖母のたたずまい。しかし、彼女
ソウルの女学校に通っていた祖母は学問を嫌い出奔、その先
は彼女の身体そのものであったのだろうということに気づく。
分 の 放 つ 言 葉 が ど う い う 意 味 を 持 っ て い る か、 に つ い て さ ほ
生と寸分違わぬ、紛れもなく体から生まれた言葉だった。
SNSを見ればわかる通り、私たちは善悪是非をめぐるお
ど考えていない。言葉を話しても、それについては対象化し
−3−
うな言葉と隔絶し続けた体験がある。
ていない。
る 私 と い う 身 の 丈 か ら 偽 り な く 言 葉 を 紡 ぐ こ と が で き る か。
概 念 の 積 み 重 ね の 巧 み さ か ら で は な く、 息 を し て 歩 み 続 け
た。親しげに見えて、
近づくと、
そっぽを向く。そんな存在だっ
本書を書き終えて後、そのことを思う。
私にとって日本語はいつもよそよそしいものとしてあっ
た。疎遠だからこそ自身の話す日本語に自覚的になれたのだ
と思う。
それは滑らかなしゃべり口調や技巧的な書きぶりの上達と
いった、操作の向上を意味しなかった。操作とは概念的な行
だが言葉の発生を見れば明らかなように、人間は言葉を操
為だ。思い浮かべた事どもの実行である。
ろ う と し て し ゃ べ り 始 め た の で は な い。 感 覚 が 生 じ て 感 情 が
芽 生 え、 そ れ が 胸 の う ち に 宿 り、 口 か ら 音 と し て 放 た れ た。
手や足、耳、口つまりは体の運動があって初めて言葉が生ま
れた。概念以前に立ち返らないと、人間にとっての言葉の意
『やわらかな言葉と
体のレッスン』
春秋社・1,700 円
﹃颶風の王﹄
りとしての中央情報処理機構︵CPU ︶が
不可欠であると思う。ところが、広く生物
ボットの構造を考えるとき、常に脳の代わ
の世界を眺めてみると、脳がなくても高度
治に生きる登場人物たちの生きざまをリア
綿密な取材と豊かな想像力に裏打ちされた
ルに描くことでしか成立せず、おそらくは
であろうその描写力は、読者をアオとミネ
る。しかし本書﹃颶風の王﹄は、そんな想
つい題名で内容を想像してしまう癖があ
職 業 病 と い う わ け で は な い の だ ろ う が、
かい、自分のルーツ、ひいては﹁自分が何
激しい風の中﹁オヨバヌ﹂ものへと立ち向
目 指 す の だ が、﹁ 颶 風 ﹂ と 表 現 さ れ る 強 く
め、調査隊の一員として閉ざされた大地を
あるひかりが、アオの子孫であろう馬を求
サーが、環境と相互作用することのみによっ
している。これらは、環境を感知するセン
ることなく、いつの間にか部屋全体を掃除
たお掃除ロボットは、部屋の構造を認識す
然と集団行動をする。近頃すっかり定着し
の大群や渡り鳥は、リーダーを持たずに整
げ、エサには近づきこれを食べる。イワシ
脳を持たないゾウリムシが危険からは逃
な判断や、行動を示すものが多く存在する。
像を拒むような潔さを持つ題名である。
者であるか﹂を問うひかりの姿が、今回の
て、 正 し い 判 断 と 行 動 を 生 み 出 し て お り、
そして第三章、平成の世でミネの子孫で
のいる雪洞の中へと引き込む。
昨年、三浦綾子のデビュー作﹃氷点﹄の
作品へと向き合い、見事受賞に至った作者
KADOKAWA・一六〇〇円
発表五十周年を記念して実施された﹁三浦
の姿と重なるように感じるのは私だけだろ
河﨑秋子著
綾子文学賞﹂を受賞した著者は、酪農業の
人類は、この単純なシステムからやがて
著者はこれを﹁境界の知能﹂と呼んでいる。
傍ら本作を書き上げた。本作においてアオ
︵学︶
うか。
脳を発達させ、道具を使い集団社会のなか
で、いまでは、自らが生み出した複雑なシ
けに第一章での、雪洞に愛馬アオとともに
まであると言われたら。本書は、私たちの
たらどうだろう。さらに記憶し予知する力
皮膚に聴覚がある、視覚もあると言われ
能﹂に注目すべきときではないか。
なった人類にとって、現代こそ﹁境界の知
講談社・一五〇〇円
一ヶ月閉じ込められてしまった妊婦ミネ
知らない皮膚の不思議を様々なエピソード
傳田光洋著
﹃驚きの皮膚﹄
をはじめとする馬たちが生き生きと、時と
して体温すら感じられるくらい生々しく描
かれているのには著者の経歴が役立ってい
が、その極限状況からアオを食らい、その
るであろうことは想像に難くない。それだ
腹の中で寒さを凌ぎ生き延びる描写は、悲
で解き明かしており、あたかも皮膚が﹁知
という馬が愛されて育ってきたか、それを
は考えがちである。そのため、たとえばロ
普通﹁知能は﹂脳に存在する、と私たち
まさに﹁生命線﹂になるでしょう﹄ ︵吉︶
き延びるためには、その﹁境界の知能﹂が
国家であれ、刻々と変化する環境の中で生
著者は言う。﹃生命であれ、企業であれ、
一二〇万年前に、体毛を失い裸のサルに
しくも衝撃的だ。当時馬がいかに生活に無
能﹂を有するかのようである。
ステムに縛られているようである。
くてはならないものか、そしていかにアオ
リアリティをともなって描くためには、明
−4−
﹃ヒーローたちの戦うキモチ﹄
ソングブック﹄、﹁物語終了ののち、全員病
て ふ ざ け て い る。﹃ マ リ& フ ィ フ ィ の 虐 殺
思わず吹き出してしまうような回答もあ
のが本書である。
そんな著者が他人の人生の悩みに答える
メント授乳﹂など。
不 問 に 付 さ れ る。﹁ 交 渉 と 合 意 形 成 ﹂ が 主
そ も そ も、 主 人 公 た ち に﹁ 戦 う キ モ チ ﹂
死﹂、
﹁憎悪さん、こんにちは ! ﹂、
﹁ドキュ
を起こさせるために誰かが﹁戦う理由﹂を
流 だ っ た﹃ 妖 怪 ウ ォ ッ チ ﹄ も、﹁ 力 づ く ﹂
ベストセラーコミックを読み、人気アニ
語るとき、それはたいてい胡散臭い。若者
の解決が多くなってきた。
メや特撮モノを観る人の数は、通常の書物
に、自身を死に追いやる理由を押しつける
林
延哉・高田明典著
サイゾー・一三〇〇円
の読者の比ではない。実際に触れなくとも、
折しもこの国では、ハヤタ隊員を死なせ
それとも貧乏なりに楽しみを見つけて生き
ほとんどの人は、自らの世代を代表する作
るが、意外にも真面目に答えている。例え
た贖罪のために地球を守るウルトラマン同
さまは、とりわけ醜い。
れぞれの時代精神を反映し、あるいは影響
様、かつての戦勝国が必ず助けに来てくれ
ていくのがいいのか﹂という悩みに対して
品を知っている。それらの作品は、必ずそ
を与えているのだ。
﹃ウルトラマン﹄から﹃ワ
るという幻想のもとに、国の根幹を揺さぶ
﹁そういうことから解放されるために映画
リトル・モア・一〇〇〇円
それは戦後の平和の年数の蓄積と並行して
主 人 公 が﹁ 戦 わ な い ﹂ 作 品 が 増 え て く る。
目 友 人 帳 ﹄、﹃ は た ら く 魔 王 さ ま ! ﹄ な ど、
時代が下るにつれて、
﹃ケロロ軍曹﹄、
﹃夏
に短く、紋切り型の表現を駆使し、あまり
る。著者の小説のほとんどは暴力的なまで
独白めいたものが急に展開される作品もあ
以上書く気が起きない﹂と全く関係のない
ことだ。実際に、物語の途中で﹁もうこれ
説を書く事が嫌で嫌でたまらない﹂という
すか、という。
ほど真面目にふざけたらいいんじゃないで
ち、クヨクヨ悩む事がバカバカしく思える
らの究極の回答なのかもしれない。すなわ
けれども、もしかしたらそれこそが著者か
用 さ れ て い る。 真 顔 で ふ ざ け て い る 感 じ。
が、それらは徹底的に意味を薄められて使
﹁人類の存続﹂など大仰な単語が出てくる
言いたいのかよくわからない。﹁世界平和﹂
表現が使われているが、全体としては何が
にかえて﹂を読んで頂きたい。紋切り型の
いう具合に。しかし、最後の﹁︱あとがき
や音楽や文学があると思うんですがね﹂と
グ リ ー 精 神 で 生 き て い っ た 方 が い い の か、
ンピース﹄まで、半世紀にわたる人気作品
︵フ︶
ば﹁ 貧 乏 か ら 抜 け 出 し た い ! と い う ハ ン
の 物 語 構 造 を 探 ろ う と す る 本 書 の 意 図 は、
る法が、成立した。
中原昌也著
悩んでるうちが花なのよ党宣言﹄
﹃中原昌也の人生相談
十分に納得できる。
多くの作品の主人公は、戦い続ける。彼
ら彼女らが﹁戦う理由﹂﹁戦うキモチ﹂は、
決して一様ではないし単純でもない。初期
の ヒ ー ロ ー で あ る ウ ル ト ラ セ ブ ン で さ え、
いるようにも見える。だが⋮⋮。
にもバカバカしくて、ふざけているとしか
中原昌也の小説に通底しているのは﹁小
再び潮目が変わって来ている。いかに夢
言いようがない。そもそもタイトルからし
自らの戦いの大義に疑問を持つ。
と 友 情 が 語 ら れ よ う と、﹃ ワ ン ピ ー ス ﹄ は
︵英︶
略 奪 を 日 常 と す る 海 賊 の 話 で あ る こ と は、
−5−
重ね、今も地球上に跋扈する正体不明の
人類の歴史とともにあり、変形と増殖を
鬼、妖怪、ゴーレム、人狼、ゾンビ⋮⋮。
オコン等の諸理論による対処のシミュ
漏れず、リアリズム、リベラリズム、ネ
かれるほど面白くなる。本書もその例に
だが、こういう本は真面目かつ真剣に書
う、要はまっとうな学者による遊びなの
レーションは国際政治学の入門書として
奇怪な生命=﹁怪物﹂は、どのように生
モンスターという英語は、ラテン語の
所もある︵ゾンビ発生の初期段階で、ネ
まれるのだろう?
オコンが﹁いつもの癖で﹂関係のないイ
在であるがゆえに人間の外に押し出され
あまりにも人間臭い。過剰に人間的な存
らは抜けだしてしまう。怪物はしばしば、
だがそんな合理的解釈の檻からも、彼
は、人種、階級、飢餓、疫病、戦争など
ム等で今や一大ジャンルを成したゾンビ
溢れたもので、それによると、映画やゲー
い解説﹁ゾンビ研究事始﹂もゾンビ愛に
る、 と か ⋮⋮︶。 訳 者 谷 口 功 一 に よ る 長
ラクへ侵攻してしまうことが懸念され
使えるほどリアルで、思わず吹き出す箇
︵ 兆 候、 警 告 ︶ に 由 来 す る と
monstrum
いう。人間の不安や畏怖が投影されたシ
た存在。それはいつしか人の心に侵入し、
社 会 問 題 を 表 象 す る 傾 向 を 持 つ ら し い。
−6−
ンボル、イメージ。それが怪物。
そ し て 問 う の だ。﹁ 私 を 怪 物 と 呼 ぶ お 前
ビ映画が増加する。
社会的不安が増大した後には、必ずゾン
は、本当に人間なのか?﹂と。
﹃ゾ ン ビ 襲 来
国 際 政 治 理 論 で、 そ の 日
に備える﹄
︵白 水 社 / ダ ニ エ ル・ ド レ ズ ナ ー 著 /
ゾンビの突発的発生││国境を越えて
二〇〇〇円︶
増殖し拡散するこの重大な脅威に、国際
政治理論はどう対処するのか。国際政治
学の世界的権威にしてゾンビ研究学会員
のドレズナー先生が対応策を語るとい
『ゾンビ襲来』
察する。十九世紀の進化論的文明観は否
セ ク シ ャ リ テ ィ に ま で 向 け ら れ て い る。
めないが、著者の視線は興味本位の怪奇
きれない﹁人間未満の人間﹂である。
それは後半、人狼伝説とは少し離れ、青
嗜好にはとどまらず、人間の暴力性と病
う と す れ ば、 そ れ を 造 ろ う と す る 人 間、
髭公︵ジル・ド・レ︶の記録をはじめと
人類による生命創造の夢は現代科学の
ン著/一九〇〇円︶
享受する人間のことを考えざるをえな
する人肉嗜好や虐待の逸話に頁が費やさ
﹃ゾ ン ビ の 科 学
よみがえりとマインド
コントロールの探究﹄
ゾンビそのものではなく、現実世界で
い。ゴーレムを語ることは、命を語るこ
理、自然との境界、さらには貧困、疎外、
のゾンビ現象についての本。ハイチの﹁本
とであり、同時に人間を語ることでもあ
れていることからもわかる。ここで人狼
うちに継承され、すでに絵空事ではなく
物 の ゾ ン ビ ﹂、 脳 科 学、 蘇 生 医 療、 心 と
は、過去の迷信ではないのだ。
なりつつある。人造生命のことを考えよ
行動の操作、脳を操る感染と寄生、人体
る。そしてその探究は、必ず﹁人間﹂と
︵イ ン タ ー シ フ ト / フ ラ ン ク・ ス ウ ェ イ
資源⋮⋮次から次へと恐ろしい事例が提
私たちは、うまく言葉を操れなかったり、
逸脱した行動をとる他人を、さらには自
魔女の淵源は古代地中海世界の太母神
著/一〇五〇円︶
﹃魔女とキリスト教
ヨーロッパ学再考﹄
︵講 談 社︵ 講 談 社 学 術 文 庫 ︶ / 上 山 安 敏
﹁ 人 外 ﹂ の 境 界 の 曖 昧 さ に 突 き 当 た る。
心さえも自分のものだと主張できないの
分自身を﹁ゴーレム﹂と見てはいないだ
出され、生と死、自己と他者の境界が曖
だろうか? 題材は自然科学がメインだ
ろうか?
昧になっていく。私たちは自分の身体も、
が、マインドコントロール技術の実験の
狼伝説の初期研究書。その後の研究で必
一八五六年にイギリスで出版された人
グールド著/二六〇〇円︶
ヤ教はその初めから合理的倫理性をもつ
つかの重大な問題を提起している。ユダ
り⋮⋮という道筋のなかに、本書はいく
そして中世の異端審問と凄惨な魔女狩
過程で﹁魔女﹂に仕立て上げられてゆく。
信仰に遡る。それはゲルマンやケルト等
ず引用される文献とのことだが、文体は
一神教だったのか、魔女現象の祖型はそ
﹃人狼伝説 変身と人食いの迷信について﹄
歴史で最も成功したのは薬物によるもの
読み物風で、現在の﹁研究書﹂とはだい
こ に 胚 胎 し て い な か っ た か。 十 六、十 七
ではなく﹁権威への服従﹂だった、とい
七四〇円︶
ぶ趣が違う。前半は北欧伝説からギリシ
世紀に猖獗を極めた魔女迫害熱と近代資
の神々と習合し、キリスト教との相克の
ゴーレムとは、ユダヤ教のラビが土く
ア神話、インドの神話にいたる人狼伝説
本主義の成立は、同時代の双生児ではな
︵人 文 書 院 / セ イ バ イ ン・ ベ ア リ ン グ =
れから造り出した一種の人造人間だ。の
の史料を紹介し、狼憑きとは何か、人々
う箇所が印象に残った。
ろ の ろ と し か 動 け ず、 一 言 も 話 せ な い。
はそれをどう受け止めて処理したかを考
﹃ゴーレムの生命論﹄
怖ろしげに見えるが、従順で、どこか間
︵平 凡 社︵ 平 凡 社 新 書 ︶ / 金 森 修 著 /
の抜けた善人の怪物。それは人間になり
−7−
憎悪・嫉妬などの感情を背景に共同体か
ともに共同体の安定が崩れ出し、不安・
移っている。そこでは資本主義の進行と
性 が 薄 め ら れ、 主 導 権 は 世 俗 裁 判 所 に
が断罪される南方に対し、北方では宗教
に理論武装した異端審問官によって魔女
異なるのはなぜか。教会の悪魔学で明確
ドイツなどの北方とで魔女現象が大きく
ロッパ南方と、イギリスやライン流域の
かったか。スペイン、イタリアなどヨー
になる。
を失って境界線の外へ閉め出されること
はあるいは飼い馴らされ、あるいは聖性
られた場ではなくなっていく。怪物たち
り拓かれ、次第に恐怖と驚異の憧れに彩
頻繁に出会っていた。だがやがて森は切
る 森 の 中 で、 人 は 死 者 や 悪 魔、 怪 物 と
だった。その昔、都市と自然の境界であ
いが﹁境界﹂であるような、聖なる存在
物は境界を越えるというより、それじた
じたくなる演出が施されている。ちなみ
と、隅々まで博士とその奇書の実在を信
詳細な骨格と筋肉の解剖図、凝った造本
る の も 野 暮 か。 ゴ シ ッ ク 風 の﹁ 伝 記 ﹂、
か訳者あとがきがないし⋮⋮と言いたて
たのだが、図版はやや現代的だし、なぜ
推薦文が躍り、おおっと思って即購入し
密の博物学﹄が ! ﹂という荒俣宏氏の
成である。帯には﹁まだ、あったのか、﹃秘
半 は そ の 書﹃ 絶 滅 動 物 図 録 ﹄、 と い う 構
にこれを見つけたのは様々なマニアが集
まる書泉グランデ。場の演出まであった。
﹃蛇
日本の蛇信仰﹄
︵講 談 社︵ 講 談 社 学 術 文 庫 ︶ / 吉 野 裕 子
蛇を創世神、祖先神として崇めた民族
著/一〇五〇円︶
は世界中に存在する。四肢のない姿でう
ねうねと這い、獲物は丸呑み、さらには
怪物の図像はさまざまな境界を侵犯
が?
て い る。 な ぜ キ リ ス ト 教 の 教 会 に 怪 物
を絶ったスペンサー・ブラック博士。前
たちの解剖図を記した奇書を遺して消息
ス、ハルピュイアなど神話・伝説の怪物
十九世紀、スフィンクス、ケンタウロ
三二〇〇円︶
いう。注連縄、鏡餅、案山子といった、いっ
ながら今日まで脈々と息づいている、と
の後も文化の奥底に地下水のごとく潜り
おける蛇信仰を﹁明白な事実﹂とし、そ
とは想像に難くない。著者は原始日本に
に、古代人が驚異と畏怖の念を抱いたこ
死と再生を思わせる﹁脱皮﹂という生態
す る。 人 間 と 鳥 獣 の 境 界、 現 世 と 冥 府
半は博士の数奇な生涯をたどる伝記、後
−8−
ら﹁異人﹂が排斥された。
﹃教会の怪物たち
ロマネスクの図像学﹄
︵講 談 社︵ 講 談 社 選 書 メ チ エ ︶ / 尾 形 希
和子著/一九〇〇円︶
ヨーロッパのロマネスク聖堂は怪物
だらけだ。ドラゴン、セイレーン、ケン
タウロス、双面のヤヌス、口から植物を
吐 き 出 す グ リ ー ン・ マ ン と い っ た 面 々
の 境 界、 善 と 悪 の 境 界、 文 化 や 階 級 の
﹃異形再生
付﹁絶滅動物図録﹂﹄
︵原 書 房 / エ リ ッ ク・ ハ ズ ペ ス 著 /
境界、あるいは空間や時間の境界を。怪
が、絵画、彫刻、レリーフを埋め尽くし
『異形再生』
フルな本だ。
な実例の集積に圧倒されてしまう。パワ
本当だろうか、と戸惑いながらも、膨大
の象徴物として位置づけられていく││
が、日本各地の祭祀と伝承の考察から蛇
けん蛇とは縁もゆかりもなさそうな民俗
異人はその生贄だったのか?
したのは村の内部の﹁ある家﹂であって、
もこの語りによって人々が排除しようと
る恐怖を意味するのだろうか? それと
し﹂のフォークロアは、ただ異人に対す
う伝承が数多く存在する。この﹁異人殺
で栄え、その祟りにあったのだ││とい
の家はかつて異人を殺して奪い取った金
をもつ者が続出し、やがて没落した。あ
まつろわぬ民、王朝繁栄の表裏にある暗
ているのだ、と。大和朝廷に蹂躙された
と仮に呼ばれたにすぎない秘密が隠され
人なのであり、さまざまの理由から﹁鬼﹂
者は吐息をついたという。鬼とはやはり
なりけり﹂という一文に出逢った時、著
の 話 ﹂ の 末 尾、﹁ そ れ を か く 鬼 と は い ふ
﹃ 伊 勢 物 語 ﹄ の﹁ 業 平 の 女 を 喰 っ た 鬼
著/七六〇円︶
待 し た。 異 人 と は 社 会 関 係 上 の﹁ 他 者 ﹂
人々は彼らを歓待し、怖れ、あるいは虐
す。 い つ の 時 代 で も 時 と 場 合 に 応 じ て、
の外にあって時折そこを訪れる者を指
座 頭、 山 伏、 巫 女 な ど、 定 住 民 の 社 会
こ こ で 扱 わ れ る﹁ 異 人 ﹂ と は、 六 部、
彦著/一二〇〇円︶
の予感をいだいた村落共同体が語り出し
い う 物 語 と は、﹁ 貨 幣 経 済 に よ っ て 解 体
れは異人を殺して貨幣を強奪したのだと
るなかで繁栄した新しい家に対して、あ
ことが語り込まれた。商品経済が浸透す
よって、それも貨幣によって生じている
落共同体の異変が、外部との社会関係に
フォークロアになっている。そこには村
し ﹂ 伝 説 で は、 家 の 盛 衰 と の か ら み で
近世から近代にかけて流布した﹁異人殺
る た め の 祭 儀 と し て あ っ た の に 対 し て、
中世の﹁憑きもの﹂伝承が共同体を守
で、美しい。
ていく。その﹁鬼哭﹂は、凄絶で、哀切
た一人の人間﹂の心情の深部を読み取っ
芸能に現れる﹁鬼とならねばならなかっ
民俗学の知見を援用しつつ、古典文学や
ちである。歌人である著者は、歴史学や
常な生き方を願いながら疎外された者た
外の生を余儀なくされたものであり、尋
山姥。ここに描かれた﹁鬼﹂は、体制の
黒社会の犠牲者、あるいは棄民としての
﹃異人論
民俗社会の心性﹄
︵筑 摩 書 房︵ ち く ま 学 芸 文 庫 ︶ / 小 松 和
であり、妖怪/悪霊とは想像力によって
た、いわば〝貨幣殺し〟のフォークロア
彦著/九〇〇円︶
生み出された﹁他者﹂である。山伏から
なのである。﹂
﹃悪霊論
異界からのメッセージ﹄
︵筑 摩 書 房︵ ち く ま 学 芸 文 庫 ︶ / 小 松 和
天狗が生まれたように、異人に幻想化と
︵筑 摩 書 房︵ ち く ま 文 庫 ︶ / 馬 場 あ き 子
﹃鬼の研究﹄
九日までフェア展開中です。
京 都 本 店 地 下 二 階 に て、 十 月 十 日 ∼ 十 一 月
タ 前 と 福 岡 店 三 階、 丸 善 名 古 屋 本 店 一 階 と
でご紹介した書籍は、池袋本店一階エレベー
*愛 書 家 の 楽 園・ 特 集﹁ 怪 物 の 生 ま れ る 夜 ﹂
︵白水社・渋谷︶
いう処理が施されると妖怪や悪霊が生ま
れる。
村の中に急速に金持ちになった家が
あったが、その子孫に身体や精神の障害
−9−
一 九 一 五 年、 第 一 次 世 界 大 戦 が 始 ま り、
白水社は今年、創業百周年。百年前の
から。
なにせ百年も続いている出版社なのです
と い う 方 も 多 い の で は な い で し ょ う か。
この老舗出版社の創業百周年を記念
不安定な世の中であったであろう時代に
付で確認すると、一刷は一九七二年、な
開いては解いています。この問題集、奥
語練習問題3000題﹄を、今でも時々
私、二十年以上前に購入した﹃フランス
白 水 社 と い え ば、 や は り フ ラ ン ス 語。
う、百年の歴史を、フランス文化・文学
心として、白水社のイメージを崩さぬよ
の二点でした。この二つのアイテムを中
す﹄も置かなければなるまい、というこ
まい、ということ。そして雑誌﹃ふらん
浮かんだのは、辞典は置かなければなる
フェアを選書するにあたってまず頭に
したフェアを、現在吉祥寺店にて開催中
創業し、三年後の一九一八年には﹃実習
んと私もギリギリ生まれていないではな
を少しでも感じてもらえるよう工夫しま
です。
いですか ! こんなに長い月日、繰り返
した。その中からいくつか、本の紹介を
仏蘭西文典﹄なるフランス語の文法書を
し使われる語学問題集というのも珍しい
させて頂きます。
出版したのだそうです。
のではないでしょうか。残念ながらこの
そもそも私が仏文科へ行こうと思った
問題集は、既に絶版です。
のは、ボードレールの﹃悪の華﹄を原語
で 読 み た い ! と い う 理 由 で し た。 が、
入学早々詩の勉強は諦めました。フラン
ス詩人の象徴主義は、原語で読もうが訳
文で読もうが、私の頭では及びもつきま
せんでした。詩でも小説でも、外国語の
作品を読むというのは本当に困難で、最
大級の努力を要する作業ですが、そんな
時のお供は白水社の辞典・語学書だった、
− 10 −
まずは、﹃ディコ仏和辞典﹄︵三八〇〇
円︶。
白水社でのフランス語辞典の歴史の始
まりは、創業から六年後、一九二一年の
を使っていたのですが︵白水社さんごめ
かったなぁと夢想してしまいます。名前
いう辞典、当時あったら持ち歩いてみた
いうお問い合わせを受けて、ちょうどい
容の載っている雑誌はありませんか、と
ん消えていきます。お客様にこういう内
の数はどんどん増え続け、そしてどんど
長らく書店で働いてきましたが、雑誌
年分を置かせてもらっています。
が素敵であるのと、常々語学はポーズか
んなさい︶、〝ディコ〟や〝ラルース〟と
ら入るのが一番効率的、と考えているよ
無い、嫌な予感がして調べてみると、か
いものを思いついた ! と探しに行くと
なり前に休刊、今はネット配信、ウェブ
う な 軽 薄 な 私 の 勝 手 な イ メ ー ジ で す が、
版のみ、というようなことがよくありま
白 水 社 の 辞 典 や 語 学 書 を 使 っ て い る と、
すらすらフランス語が解ってくるような
す。紙に印刷される前にインターネット
気がするからです。
で情報は流れてしまう現代、雑誌という
形態を販売することの困難さの中にあっ
て、専門誌というのは強みだろうと思い
ます。スピード重視の情報ではなく、あ
る特定の興味にのみ与えられる情報です
現 在、﹃ デ ィ コ 仏 和 辞 典 ﹄ が 顔 と な っ て
白水社フランス語辞典の道のりの果ての
派なお姿です。このように古くから続く、
とは、九十年続いている雑誌である、と
きたいのですが、重ねてお伝えしたいこ
しい沿革が語られていますのでご参照頂
こちらも﹃創立百周年記念冊子﹄に詳
次に、雑誌﹃ふらんす﹄。
に、仕事は休めないし、そうそう旅行に
す。フランス・フランス語が大好きなの
直につながっていられるように思いま
保存することによって、遠いフランスと
の で し ょ う が、 毎 月 こ の 雑 誌 を 購 読 し、
る内容もインターネットで検索可能なも
もちろん﹃ふらんす﹄に掲載されてい
から。
い る、 と 言 え る で し ょ う。 前 身 は 一 九
いうこと。フランス語・フランス文化の
出掛ける資金も調達出来ない、という時
− 11 −
﹃模範仏和大辞典﹄とのこと。今回のフェ
アにもたくさんご提供頂いた﹃創立百周
年記念冊子﹄に、吉川一義先生のエッセ
イとともに、貴重な一九二一年のこの辞
典の書影も載っているのでご覧頂きたい
のですが、重厚な佇まいで二一七〇頁と
九三年発売の﹃現代フランス語辞典﹄で、
でも、フランスに思いを馳せることが出
いうからまず持ち歩けはしませんが、立
この第三版、二〇〇三年版からこの名称
専門誌として、です。フェアスペースの
実を言うと私は学生時代、他社の辞典
が正式となったそうです。
関係で、今回はそのうちたったの過去五
『ふらんす』
『ディコ仏和辞典』
い、という時も、この雑誌が良きパート
来る、少しでもフランス語を覚えていた
売されたこの作品、個人的に非常に思い
にテーマを絞ったシリーズとして新訳発
ブリス﹀の中でも、
〝クラシックス〟と特
二つの代表的な白水社のアイテムを紹
います。
ても、粛々と続いていくことだろうと思
りました。さすが恋愛という概念を発明
表現、書簡体、色んな要素が詰まってお
婦人、恋愛のかけひき、遠回しなエロス
が、十八世紀フランス社交界、子爵に貴
故に?と疑問に思うところではあります
険な関係﹄だったからです。今思えば何
選びました。とは言うものの、約百年前
を 歩 く ﹄︵ 加 太 宏 邦 著・ 二 六 〇 〇 円 ︶ を
うことで、﹃荷風のリヨン﹁ふらんす物語﹂
方がよく分かるのではなかろうか、とい
語、同じ文化圏で過ごした者同士の目の
人の目ももちろん大事だけれど、同じ言
そして、フランスを知るにはフランス
入れのある小説です。というのも、仏文
ナーとなってくれる、というように。
介させて頂いたところで、今回のフェア
した国、といわれるフランスの文学の中
科生としてフランス語を勉強し始めて初
にあたって、老舗出版社の膨大な書籍群
でも、古典を読むことは、その文化・風俗・
のフランスですが。永井荷風は百年前の
一九二五年、大正十四年に﹃ラ・スムー
から何をどう選ぼうか、という苦行とも
フランスをどう感じたのか、荷風が当時
めて、原書で読み切った作品が、この﹃危
言える作業中、いやいやそんなに辛くは
現在に至る歴史を知ることができる、と
過ごしたであろう場所を、今一度辿る旅
ズ﹄として始まった﹃ふらんす﹄の一世
ない、楽しい作業ではないか、と思わせ
いう大きな意味があると思います。それ
紀への道は、この雑誌受難の時代にあっ
てくれた本を更に何冊かご紹介します。
当時、まだ外国というのは遠い遠い地
をする、という文芸評論。
だったはずで、今の私たちと感覚は違っ
が新たに訳されることによって、現在の
景を、小説で知ることができるのですか
に、一捻りした感受性でフランスを見て
たでしょうし、永井荷風という人そのも
いたのかもしれません。そんな、あまり
ら、肩肘張らずに読めるというありがた
岩波文庫は上下巻ですが、こちらは一
知られていないフランス時代の荷風の生
のがかなり風変わりな御仁だったため
冊で読めますし、美麗な装丁もおススメ
活を、実際に﹃ふらんす物語﹄を片手に、
いことであり、作品を永遠に残すという
ポイント。現代フランス文学と一緒に味
重要な役目も負っていると思うのです。
わってみて下さい。
− 12 −
『荷風のリヨン』
言葉で、今この国がこういう形である背
円︶
。二〇〇五年に始まった︿エクス・リ
まず、
ラクロの﹃危険な関係﹄
︵三四〇〇
『危険な関係』
する、というのはとても楽しい旅だろう
一つ一つ場所を検証しながら往時を想像
富んだ一冊となっていると思います。
このような考え方がある、という示唆に
ほ ど 興 味 が な い、 と い う 方 に と っ て も、
ろうと、どの宗教を信じていようと、同
が語られていますが、どこの国の人であ
る女性たちが集まって読書会を開く様子
があり、世界をつなぐ仲介役となってく
する行為がある限り、その作品には意味
が不可能でも、お互いに伝えようと努力
な壁により、心の底から理解し合うこと
離を縮めるものなのだと思います。様々
というのは素晴らしい、文学は人間の距
じ作品を読み、感想を伝え合える世の中
な、ということがよく分かる一冊。この
本に限らず、また永井荷風に限らず、小
説からその土地を想像し、舞台を見て回
るという行動は、その小説に対する愛情
の現れ以外の何物でもありません。古典
を読むとともに、土地の色の濃い小説を
読む、というのも読書のまた一つの愉し
六年に出版された﹃テヘランでロリータ
そしてさかのぼること約十年、二〇〇
のフェアのおススメです。
せてくれる、私にとって大切な一冊もこ
から、世界の広さと人間の強さを感じさ
れるのではないでしょうか。文学の価値
白水社が手掛ける書籍は、語学書や文
を読む﹄︵アーザル・ナフィーシー著・二二
みではないでしょうか。
学に留まりません。時事評論や良質なノ
最後に、このフェアでぜひご紹介しな
ンフィクションを出すことが出来るの
ければならないのが、創立百周年記念復
〇〇円︶
。イラン出身の英文学者ナフィー
を読む、小説を読むことにこんなに苦労
刊全八点です。
シーの文学講義であり、回想録です。本
をするものなのか、下手をすると命に関
今年始めに起こったシャルリ・エブド
襲撃事件から続いた一連のテロ事件に関
わるかもしれない、などとは考えたこと
も、長らく続く出版社の特徴でしょう。
して、
﹃シャルリ・エブド事件を考える﹄
もなかったので、世界の広さを改めて感
るきっかけをくれたレポートとなったの
ある者にとっては、より深く事件を考え
り、フランス文学やフランス語に興味の
多彩な角度からこの事件をとらえてお
月 に 発 売 さ れ ま し た。 豪 華 な 執 筆 陣 が、
この本の中では、イラン国内の勇気あ
な、と人間の思考の幅広さに感動します。
かなかったところに気付くものなのだ
これ程に違った視点があり、自分が気付
作品に対する評論も、生活環境の違いで
じた一冊でした。そして、取り上げられた
和全集という大著を出版することでもお
になりました。そして、白水社は吉田秀
紀行文の名著が再び若い世代に届くこと
の﹃パタゴニアふたたび﹄
︵一七〇〇円︶
、
ションの復刊。次にチャトウィン&セルー
先にも述べましたが、良質なノンフィク
︵ショート・フィリップ著・六八〇〇円︶
、
ま ず は﹃ ポ ル ポ ト あ る 悪 夢 の 歴 史 ﹄
円︶という﹃ふらんす﹄特別編集版が三
︵鹿島茂・関口涼子・堀茂樹編著・九二五
ではないでしょうか。文学、語学にはさ
− 13 −
『テヘランで
ロリータを読む』
復刊。そして文学作品の中から、プラセ
ワード・グッドール著・三〇〇〇円︶が
中から﹃音楽史を変えた五つの発明﹄
︵ハ
分かりの通り、音楽書も得意分野。その
になったユルスナールの、錬金術師をめ
日本でも幅広い層に受け入れられるよう
アヌス帝の回想﹄が話題になったことで、
ル﹃ 黒 の 過 程 ﹄︵ 四 四 〇 〇 円 ︶。﹃ ハ ド リ
品です。次はマルグリット・ユルスナー
世に受け継がなければならない作品とし
ドーを待ちながら﹄とともに、やはり後
読めない状態になっていましたので、﹃ゴ
編小説集がみごと復刊。もう殆ど小説は
ベル文学賞受賞者でもあるベケットの短
す。そして演劇といえばベケット。ノー
て世に戻ってきました。
ぐる歴史小説。どうしてこの作品が品切
れだったのか不思議ですが、この復刊で、
ガン﹃グールド魚類画帖﹄
︵三六〇〇円︶
。
この二作品については、装丁が超絶技巧
ユルスナールをより広く世に知らしめる
ンシア﹃紙の民﹄
︵三四〇〇円︶とフラナ
であったため重版が難しいというもので
ものになると思います。
ど、消えていったものもたくさんあるの
業中に改めて、たくさん作品はあるけれ
出来なかったことは残念ですが、選書作
の関係で、限られた作品しか置くことが
とは、本当に嬉しいことです。スペース
フェアを自分が働くお店で開催できるこ
だなぁと実感しました。出版社を長く継
まった白水社の、創立百周年を記念する
したが、このように思い出のたくさん詰
個人的な思い出を多く語ってしまいま
したが、この度めでたく復刊致しました。
こういう〝モノ〟としての美しさも兼ね
備えた本というのは、その時でないと手
続させるためには、厳しい判断が求めら
次の三点。いずれも文学作品の復刊で、
いのではないでしょうか。白水社と演劇
り、白水社といえば演劇、という方も多
そこから始まる︿岸田國士戯曲賞﹀もあ
﹃ 新 劇 ﹄ と い う 演 劇 雑 誌 が あ り ま し た。
白水社には、一九四五年に創刊された
歴史は続いていくのです !
イヤーです。そしてこれからも白水社の
催となりますが、今年いっぱいは白水社
当店では十月末から十一月上旬までの開
年 記 念 冊 子 ﹄ は 本 当 に 見 逃 せ ま せ ん よ。
点の記念復刊作品と、豪華な﹃創立百周
− 14 −
に 入 ら な い と い う 難 点 が あ り ま す の で、
この機会を逃さないようご注意下さい。
最 後 の 一 冊、﹃ サ ミ ュ エ ル・ ベ ケ ッ ト
一冊目はマルカム・ラウリー﹃火山の下﹄
についても、記念冊子に詳しい歴史と宮
れるのでしょう。だからこそ、今回の八
ラシックスシリーズの待望の復刊。品切
︵ 三 三 〇 〇 円 ︶。︿ エ ク ス・ リ ブ リ ス ﹀ ク
沢章夫さんのエッセイが掲載されていま
︵吉祥寺店・松川︶
れになった時、ありますか?注文できま
短編小説集﹄︵三八〇〇円︶。
『サミュエル・ベケット
短編小説集』
すか?というお問い合わせの多かった作
『黒の過程』
コンピュータ
ゲームサウンド制作ガイド
著
Winifred Phillips
竹内雅樹監訳
2Dグラフィックスのしくみ
開発チーム著
FireAlpaca
フ リ ー ペ イ ン ト ツ ー ル FireAlpaca
の
開発チームによる画像処理の解説書。3
ジタル画像がコンピュータ上でどのよう
Dではなく2Dに焦点を当てており、デ
に処理されるのか、図を使って説明して
宮崎
空訳
﹁アサシンクリード﹂シリーズのゲー
いる。ソフトの使い方だけではなく画像
ム音楽作曲家として知られる著者が、自
らの経験を交えながらゲーム音楽の作曲
第3版
家に必要な音楽的素養、ビジネススキル、
処理の仕組みを知ることで、作成する画
暗号技術入門
多くのコンピュータ書を執筆している
実 際 の 作 曲 方 法 を 詳 し く 論 じ て い る。
像がよりよいものになるかもしれない。
結城
浩著
結城浩氏の、二〇〇八年刊行﹃新版暗号
ゲームサウンドクリエイターを志す人に
二二八〇円
技術入門﹄を全面的にアップデートした
おすすめ。またクリエイターとともに働
スコット・ロバートソンの
技術評論社
待 望 の 第 三 版。 様 々 な 暗 号、 認 証 技 術、
くゲーム開発者も読んでおきたい。
− 15 −
暗号で使われる鍵や乱数、通信方法など
についてわかりやすく書かれており、セ
スコット・ロバートソン、
HOW TO RENDER
トマス・バートリング著
三〇〇〇円
オライリー・ジャパン
エニグマ
キュリティの基礎知識を身に付けること
が出来る。数学的な要素が少なく図解が
株式会社Bスプラウト訳
ロバートソン創業の Design Studio Press
より原書が発売された。光、影、反射と
アンドルー・ホッジス著
多いため、初めてセキュリティを学ぶ人
三〇〇〇円
いった要素をいかに平面上に落とし込む
﹃ ス コ ッ ト・ ロ バ ー ト ソ ン の HOW
﹄の続編として、スコット・
TO DRAW
学者でもある著者がチューリングに関す
かを解説している。アーティスト、デザ
ゲーム﹂原作本の待望の下巻。数理物理
る資料をまとめ、その思考を辿った。下
イナーのためのリアルを作り出すレンダ
四六〇〇円
巻 で は 世 界 が 冷 戦 へ と 向 か う 中、 コ ン
ボーンデジタル
ピュータ開発競争に関わる彼の後半生が
二七〇〇円
リングが学べる一冊。
勁草書房
描かれている。
土屋
俊、土屋希和子、村上祐子訳
今春公開された映画﹁イミテーション・
アラン・チューリング伝
下
も手に取りやすい。
SBクリエイティブ
コンピュータ
てくれていて、するすると読み進めるこ
生きものの持ちかた
マンホール
だけでも美しい。ちょうちんの一つ一つ
のだが、本文に載っているモノクロ写真
ら色のついたマンホールでもあるような
人々が見上げている絵柄である。どうや
ちんがゆらゆらとつるされているのを
をモチーフにした蓋。たくさんのちょう
山 口 県 の﹁ 山 口 七 夕 ち ょ う ち ん ま つ り ﹂
数ある蓋の中でも、目を引かれたのは
虫や犬などの身近な生きものから、ハリ
生 き も の の 正 し い 持 ち か た を 伝 授 す る。
の 書 籍 が 刊 行 さ れ た。 そ の 道 の プ ロ が、
まらない。そんな私のような人には待望
ことはなく、動物との距離はなかなか縮
大人になった今でも自らすすんで触れる
か 等 々、 わ か ら な い こ と だ ら け だ っ た。
いいのか、触れてはいけない部分はどこ
だった。どこをどれぐらいの力で掴めば
子ども時代、犬や猫を抱くことが苦手
松橋利光著
意匠があらわす日本の文化と歴史
があたたかな光を灯している景色が目の
ネズミやサソリ、タランチュラ、スッポ
とができる。
街中にあふれた数々のマンホールの中
前に色鮮やかに浮かぶような、素敵な蓋
自 然 科 学
に、一際輝くユニークな蓋を持つものが
なのである。
過ぎ去ってしまうだけの道路にも楽しみ
普 段 は あ ま り 下 を 見 て 歩 か な い の で、
う掴むのかという点も、手順通りに実践
される。じっとしていない生きものをど
ものまで、手に持った様子が写真で解説
ンなどの近づくこと自体難しそうな生き
アート、マンホールの蓋。
道路を歩く足元にひっそりとたたずむ
石井英俊著
あるのはご存知だろうか。本書はそのマ
旅する内容である。県庁所在地から始ま
があることを教えてくれる一冊だ。ぜひ、
ンホールの蓋から、日本の文化や歴史を
り、特産品や各地のお祭り、伝統芸能な
すればクリアできるはずだ。
好きな蓋を見つけてみてください。
切さを知って欲しいと著者は言う。その
だけではなく、自分の手で持ってその大
一八〇〇円
ど日本人が大切にしてきたものが、その
まあるい形につまっている。
﹁ へ え ⋮⋮﹂ と 思 う ほ ど、 そ の 絵 柄 は 好
ことばに、生きものを持てないまま大人
子どもたちには生きものをただ見守る
奇心を刺激し、興味が湧いてくる。さら
になってしまったことを後悔した。これ
ミネルヴァ書房
に、筆者自ら書物や観光案内等で調べた
からはこの本を携えて、生きものに少し
ど の ペ ー ジ を め く っ て も﹁ お お ⋮⋮﹂
絵柄の由来や、その土地の歴史を紹介す
大和書房
一五〇〇円
でも近づいていきたいと思う。
る文章がまた面白い。
難しい内容かと思いきや、私たちと同
じ目線で疑問をやわらかな文章で紐解い
− 16 −
自然科学
医
学
書
となっている。
中央法規
二八〇〇円
研修医に絶対必要な
器具・器械がわかる本。
野村
悠・田中
拓・箕輪良行編
今まで欲しかったけどなかなか出な
かった⋮⋮という本が、やっと出版され
小児・重症児者の
訪問看護
公益財団法人日本訪問看護財団監修
た。著者はこれからの医療を担っていく
若手中堅のスタッフの方々。日常的によ
田中道子・前田浩利編著
現在、地域の中で働いている看護師は
などをわかりやすく解説。その上で痛み
の起こるメカニズムをより深く知ること
で、適切な治療法の選択、対応の修得に
つながる、痛みに関わる幅広い層へ向け
た 一 冊。 シ リ ー ズ 名 に﹁ 初 歩 か ら の ∼﹂
第3版
二四八〇円
と銘打っているが読み応え充分で、総括
的に学べる。
技術評論社
在宅褥瘡予防・
治療ガイドブック
日本褥瘡学会編
褥瘡に関する書籍はたくさん出版され
い器具・器械について、いつ・何のため
て い る が、﹁ 在 宅 褥 瘡 ﹂ に つ い て の も の
く使われるきちんとマスターしておきた
に使うのか、どのように使い分けるのか
は少ない。本書は、在宅褥瘡管理者の研
高齢者から小児の重症児など幅広い年
援や急変時の対応・看取り等の様々な場
を解説。ポケットサイズのため持ち運び
いながら目に見えず、患者自身からしか
医療従事者にとって、日常的に接して
地域連携などにも言及している。質の高
その支援として地域包括ケアシステムや
ケ ー ス が 益 々 増 加 し て く る と 予 想 さ れ、
高齢化に伴い在宅での褥瘡管理を行う
− 17 −
齢層がケアの対象であり、療養生活の支
面で活躍している。需要の増加に伴い訪
修用教科書。二〇一五年新ガイドライン
に便利な一冊。
二九〇〇円
問 看 護 ス テ ー シ ョ ン は 増 え て は い る が、
小児訪問看護を提供できる訪問看護ス
予防・治療・ケアを解説。各項目ごとに
を基に、図や写真をふんだんに取り入れ、
推奨事項A∼Dで示しているので現場の
羊土社
医療従事者のための
テーションは少なく、人材も不足してお
り、人材の確保や育成が課題となってい
護﹂がテーマである。基礎的な知識や看
直接的な情報を得ることができない﹁痛
判断の助けになる。
痛みガイドブック
護技術の丁寧な説明、サービス利用にあ
み ﹂。 実 際 の ペ イ ン ク リ ニ ッ ク に お け る
小川節郎編著
る。本書は、訪問看護の現場でニーズの
たっての手続きの流れや家族に対する
高まっている﹁小児・重症児者の訪問看
支 援 の 方 法 に つ い て も 解 説。 写 真 や 図
二六〇〇円
い支える医療︵在宅ケア︶が求められる。
照林社
痛みのコントロールから始まり、原因疾
患、評価、診察・検査のしかた、対処法
表、イラストが豊富でイメージしやすい
よう工夫されており、現場で役立つ一冊
医学書
社 会 科 学
検証・安保法案
本書は国会で審議された安保法案につ
長谷部恭男編
いて、反対の立場から検証しているもの
である。編者である長谷部氏本人による
安保法案についての見解が序論で述べら
れ、若手憲法学者のインタビューや元内
閣法制局長官との対談で安保法案の問題
みならず、立憲主義や民主主義の観点か
一郎氏との対談もあり、集団的自衛権の
程を検証している。終盤は哲学者國分功
の閣議決定など安倍政権が行ってきた過
く、安保法制懇の報告書や憲法解釈変更
として収録している。安保法案だけでな
と衆議院での中央公聴会での公述を付録
はネット上や各誌で発表されてきた論考
ぶ今、まさに自衛隊の役割を考える一冊
唆する。安倍政権の安保法案が論争を呼
とは、彼らがそれを使用する可能性を示
い。しかし、武器を持って戦場に赴くこ
抑えるための精神的な訓練も受けていな
い。それどころか、人間を打つ恐怖心を
敵に向けた発砲を一度もしたことがな
話題に上ったが、日本の自衛隊は今まで
一四〇〇円
である。
河出書房新社
士による現地の女性への被害は深刻だと
できない問題である。特に、占領国の兵
一三〇〇円
らも分析を加えている。
晶文社
兵士とセックス
学者や元内閣官房副長官補に日本の平和
指摘される。第二次世界大戦中、アメリ
戦争と性暴力は決して切り離すことが
メアリー・ルイーズ・ロバーツ著
と安全や国際秩序維持の法制度をテーマ
カ軍がフランスを占領したときも、兵士
点を挙げている。さらには別の若手憲法
に 論 点 整 理 が な さ れ て い る。 そ の 上 で、
自衛隊は、今日大きな決断を迫られて
女性の間に起きた事実を、歴史から詳し
発展する。本書は、占領国の兵士と現地
を安全な場所に隠さねばならない事態へ
らず、売春、強姦まで及び、ついに女性
く持った。それは男女のロマンスに留ま
本書の過半は安保法案の概要が付録され
自衛隊のリアル
は現地の若い女性と性交渉の機会を数多
一三〇〇円
ている。
有斐閣
いる。今後、集団的自衛権が行使された
瀧野隆広著
場合、自衛隊は戦場でどのような対処を
集団的自衛権はなぜ違憲なのか
著者は八〇年代生まれの若手の憲法学
く明かしている。
木村草太著
すべきかと言う点である。過去、イラク
三二〇〇円
者でニュース番組のコメンテーターをこ
戦争の海外派遣時に攻撃を受けたときも
明石書店
なすなどメディアへの露出も多い。本書
− 18 −
社会科学
ユダヤや、欧米諸国と衝突しがちなイス
かされる。特に、世界の富の多くを握る
宗教と経済の意外に深い結びつきに気づ
関 す る 知 識 が 平 易 に ま と め ら れ て い て、
長産業といわれる宅配便だが、その内実
金競争、過酷な現場が明らかになる。成
タビューや潜入取材を通じて、熾烈な料
ジャーナリスト。現場・トップへのイン
下層化する女性たち
九〇年代後半以降、非正規労働者の割
小杉礼子・宮本みち子編著
合は上昇傾向で、特に女性は既に半数が
一四〇〇円
著者は、家具販売の人気企業、ニトリ
似鳥昭雄著
運は創るもの
小学館
うか。
無料をこのまま享受していてよいのだろ
や今後の展望はどうなのか。我々は送料
一五〇〇円
ラムについて、貴重な情報が多い。
PHP研究所
非正規だ。近年女性の下層化に注目が集
まっていて、本書も複数の研究者が様々
な 角 度 か ら そ の テ ー マ を 分 析 し た 内 容。
印象的なのは女性の貧困の見えにくさ
と、格差が再生産されるシステム。失業
や離婚、病気等で、安定した生活から一
度転落してしまうと、運のいい人以外は
ならない存在となった宅配便。自宅など
ネット通販が生活に浸透し、なくては
具屋を始めるのだが、似鳥氏はアイデア
苦労の数々が綴られている。あるとき家
時期もあり、ユーモアあふれる語り口で
− 19 −
負の渦巻きからなかなか抜け出せない社
の創業者。幼少期から今までの、波乱万
が、持ち前の明るく前向きな性格で、色々
北海道の貧しい開拓民の家に生まれた
会の構造が丁寧に解説されていて、わか
仁義なき宅配
丈の人生を振り返った内容。
二五〇〇円
りやすいのだが、読後感は重い。
勁草書房
指定した場所まで迅速に届けてくれる便
マンで、努力家だった。困難にぶつかっ
なことに挑戦していく。歌手を目指した
経済のグローバル化が進み、日本企業
ても、めげずに乗り越えていくその姿は
ビジネス教養としての宗教学
も他国の人々との取引が盛んになってき
利至極なサービスながら、送料無料の場
感動的。エピソードの一つ一つが濃くて、
横田増生著
た。信仰を大事にする民族も多く、日本
合も多い。しかし、それで商売が成り立
面白くて、まさにお値段以上の一冊とい
白取春彦著
人との価値観の相違に戸惑う場面も増え
つのか。もちろん通販業者からは送料が
一五〇〇円
支払われるが、それは適正な金額なのか。
日本経済新聞出版社
える。
てきた。そんな悩みを抱えるビジネスマ
ゾンやユニクロの内幕を暴いてきた
その疑問を解くべく動いたのは、アマ
ンにおすすめの本が出た。
本書では、ユダヤ教、キリスト教、イ
スラム教、仏教という四大宗教のお金に
社会科学
人 文 科 学
モラル・トライブズ
ジョシュア・グリーン著
上・下
センセイは見た !
﹁教育改革﹂の正体
こ る の か? そ れ は 人 が 利 己 的 だ か ら で
を望んでいるはずなのに、なぜ争いは起
実際の教室現場で起きていることを、
﹁フ
道徳教育など、各章で時々の教育問題を、
本 書 で あ る。 学 力 テ ス ト、 い じ め 対 策、
代思想﹄誌に書いた原稿をまとめたのが
教育系雑誌の編集人でもある著者が、
﹃現
はなく、各人の思い描く道徳の内容が違
ツー﹂のセンセイの視点から詳述してい
岡崎
勝著
小学校の現役教師であり、
うからだと言う。そこで本書では、生物
る。フツーとは言え、新自由主義的改革
一定以上の生活水準と自由、平和。程
学・心理学も含めた様々な見地から、そ
度の差こそあれ私たちはみな同じもの
日本経済史の分野で数々の業績を残
も そ も 道 徳 と は 何 か を 考 え る。 果 た し
明治大正史
上・下
し、東洋経済新報社から出した﹃昭和史﹄
がもたらす排除や混乱に対する批判的視
中村隆英著
で大佛次郎賞を受賞、現在までベストセ
て、全人類に普遍の道徳哲学は存在する
線は鋭い。
青土社
︿オウム真理教﹀を検証する
一八五〇円
ラーを続ける著者が遺した﹁明治大正史﹂
のか?
各二八〇〇円
そのウチとソトの境界線
を体系立ててみせる。その五つの要素を
要素によって明晰な脳を保つための情報
本書は神経科学の成果をもとに、五つの
一体どこにあるのか? その境界線の正
あるが、その﹁ウチとソトの境界線﹂は
な問題をどこか他所のものと捉えがちで
つつある現在。私たちはますます宗教的
な出来事から歴史的な出来事へと移行し
地下鉄サリン事件から二十年、リアル
井上
孝責任編集
宗教情報リサーチセンター編
習慣として続けていくことで、明瞭な思
体から私たちは何を学ぶのか。宗教問題
いて、矛盾だらけの情報があふれている。
世の中には、脳を健康に保つ方法につ
ジョン・アーデン著
ブレイン・バイブル
岩波書店
講義四十回分を、話し言葉もそのままに
上下巻にまとめたもの。経済史をふまえ
た著者の語り口は政治だけでなく文化や
思想に及び、耳で聞くようにどんどん頭
各三〇〇〇円
に入る、まさにスタンダードとなる本。
東京大学出版会
考のできる健康な脳を保ち、残りの人生
二三〇〇円
を前向きに生きていけるだろう。七日間
春秋社
に限らず、社会の真相をえぐり出す一冊。
一八〇〇円
のジャンプスタート用記録用紙つき。
アルファポリス
− 20 −
人文科学
全一冊
文学・文芸
失われた時を求めて
マルセル・プルースト著
角田光代・芳川泰久編訳
タ イ ト ル だ け は 知 っ て い る、 け れ ど、
﹁ここに書かれているのは特殊で難解
な 人 生 で は な い。 私 た ち の よ く 知 る 心
理であり生であり関係であり、最終的に
は、主人公が言うようにこれはそれぞれ
私 た ち 自 身 の 物 語 と な る。 私 た ち は 自
二三〇〇円
分の生を読むこととなる。﹂︵編訳者あと
がき 角田光代より︶
新潮社
には思わずホロリ。
講談社
一三〇〇円
あなたを選んでくれるもの
二〇一三年の映画﹁ザ・フューチャー﹂
ミランダ・ジュライ著
日本公開時から、とても楽しみにしてい
た待望の邦訳。映画の脚本作りに行き詰っ
た著者がアメリカの〝売ります買います〟
る、プルースト独特の比喩・文体、芸術
み進められる。それでもなお伝わってく
んの文体が成せる技だろう。スラスラ読
ば、 驚 く ほ ど 読 み や す い。 角 田 光 代 さ
で縮訳された本書を恐る恐る開いてみれ
が持っている個性や才能、人のあり方を
符を真正面から受け止め、人間一人一人
ど、日々の暮らしの中で巻き起こる疑問
中の反応や美容整形ブームに思う事な
絵本。ある種の才能、神話に対する世の
るテレビ番組から生まれた大人のための
佐野洋子文
北村裕花絵
絵本作家で
エッセイストの佐野洋子の言葉を紹介す
ている。インタビューと呼応するように
性的で、それぞれに驚くような物語を持っ
の中に登場するキャラクターのように個
生きるドミンゴ。どの人物も映画や小説
叶わなかった理想の人生を頭の中だけで
赤 ん 坊 や 女 優 の 切 り 抜 き を 部 屋 に 貼 り、
を 自 分 の も の の よ う に 大 事 に す る パ ム、
性転換をしたマイケル、他人のアルバム
試みるドキュメンタリー。六十代後半で
フリーペーパー﹁ペニーセイバー﹂に掲
論。社交界にまつわるゴシップ・人間関
歯に衣きせぬ言葉で鋭くついた一冊。客
に住む人たちの本物の人生の重みが胸に
る。後半に進むにつれて、遠くアメリカ
載された売り手の人々にインタビューを
係のあれこれは、刺激的ながらどこか滑
観的でかつあたたかな言葉の数々は、自
著者の内面も少しずつ変化していくのが
ヨーコさんの〝言葉〟
稽。他の翻訳版も読みたくなる。人間の
面白い。同時に映画製作の過程も語られ
なかなか読む勇気が出ない名著﹃失われ
思考を丹念に表現した小説は、百年近く
由でありながらそれを自身で選び取った
全九編に登場する挿絵の北村裕花が描
− 21 −
た 時 を 求 め て ﹄。 現 代 作 家・ 翻 訳 家 の 手
経った現代も古びない。
ある種の孤高さをも感じさせる。
く ヨ ー コ さ ん は、 ま る で 本 人 さ な が ら。
世界文学を一部の愛好家のものにせ
ず、現代の読者に伝わるアレンジで仕上
二三〇〇円
げた試みは大成功。今まで読む機会のな
新潮社
突き刺さり、泣けて仕方なかった。
畑を上がっていった家にお嫁にいった﹂
自身のおばの結婚を描いた第九章﹁段々
ただきたい。
かった自分のような方に、ぜひご一読い
文学 ・ 文芸
文庫・新書
この年齢だった !
酒井順子著
古今東西の著名な女性の
転機となった年齢をカギに、偉大な女性
を作ることができるのだ、と思わせてく
その姿は凡人の我々にも我々なりの転機
い う と き は 絶 対 譲 ら な い ﹂ と い う 姿 勢。
と私は私のするべきことをする。ここと
て い る の は、﹁ 私 は 私。 誰 が 何 を 言 お う
山あり谷あり。そんな彼女たちに共通し
な調査を元に紐解く。
側、その反響と影響にいたるまで、緻密
制作までの舞台裏、レコーディングの裏
こ の﹁ ア メ リ カ ン・ ポ ッ プ ス の 金 字 塔 ﹂
大衆音楽の歴史、ロックの歴史に始まり、
か﹂と考える。その﹁終わりの始まり﹂を、
わらせる﹁引き金を引いた﹂のではない
活躍ぶりによって、しばしばマドンナと
齢である。そのパフォーマンスの過激さ、
ニューヨークの名門女子校に入学した年
デ ィ ー・ ガ ガ の 転 機 は 十 一 歳。 彼 女 が
で あ る こ と も あ る。 著 者 の 考 え る レ
しかし代表作や偉業とは関係ない年齢
受賞した三十六歳。
マリー・キュリーが最初のノーベル賞を
が﹁ローマの休日﹂の役を得た二十二歳、
た二十三歳、オードリー・ヘップバーン
えば与謝野晶子が﹁みだれ髪﹂を発表し
方 も 懐 か し い ︶。 そ の 素 晴 ら し い 目 的 の
パーが歌うビデオクリップ︵という言い
マイケル・ジャクソンやシンディ・ロー
ジェクト﹁USA・フォー・アフリカ﹂。
メリカのトップスターが集まったプロ
アフリカの飢餓を救うため、当時のア
れることができると誰が考えただろう。
後、音楽をワンクリックで簡単に手に入
間や労力がかかったものである。三十年
昔は聴きたい音楽を聴くのに半端ない手
西寺郷太著
二〇一五年は﹁ウィー・
アー・ザ・ワールド﹂三十周年だそうだ。
ウィ・アー・ザ・ワールドの呪い
いじらしさがたまらない。
や、人間の嫁がほしいと願った鼠の姿の
暮らす虫と法師のささやかなやりとり
の姿もまた興味深いのだが、瓢箪の中で
の営みの様子や、おどろおどろしい妖怪
ばめられていて、どうにも胸の奥底をく
ントにあるように、妙な愛らしさがちり
シ、 か わ い い で す ね。﹂ と い う 帯 の コ メ
不思議な世界。養老孟司さんの﹁ゾウム
秋山あゆ子著
絵本の分野でも活躍す
る著者が描いた、昆虫たちや妖怪たちの
七四〇円
れる。
NHK出版新書
比較される彼女であるが、似ているよう
ために作られた﹁ウィー・アー・ザ・ワー
四八〇円
で違うパフォーマンスのスタイルを決定
ルド﹂と﹁呪い﹂という単語がなぜ結び
集英社文庫
しているのは、この﹁名門﹂
﹁女子校﹂出
虫けら様
身というところにあると著者は分析する。
つ く の か。 著 者 は こ の 曲 こ そ が、﹁ 世 界
たちの人生を読み解く。転機とは、たと
転機がいつであれ、歴史に名を残した
がひとつの音楽に夢中になった時代を終
ちくま文庫
七六〇円
へ、誘われてみてはいかがだろうか。
繊細なタッチで描かれるふしぎな世界
感情を感じさせない淡々とした虫たち
すぐられてしかたがない。
彼女たちだけあって、その人生はかなり
− 22 −
文庫・新書
術
えBOOK
ニシワキタダシ著
大阪在住のイラストレーター、ニシワ
とばで人気を集めている。本書は、彼が
芸
キタダシ。ヘンテコでかわいらしいイラ
これまでに手掛けてきたポストカード作
ストと、そこに添えられたユニークなこ
JAPAN
本 書 の 帯 に は﹁ み れ ば
みるほど な
品を集めた作品集である。
ロバート・ブルーム画集
アメリカ人画家ロバート・ブルームが
んとも
いえない﹂ということばが書か
れている。実際、収められた作品たちは、
岡部昌幸監修
来日したのは一八九○年、江戸の香りが
景を頭に思い浮かべると無意識に暗いイ
白黒写真の影響があるのか、当時の風
どこかねじれた感覚の不思議なイラスト
い る。 カ ラ フ ル で か わ い ら し い け れ ど、
本当に﹁なんともいえない﹂味に溢れて
彼の作品以外では絶対に味わえない
二二〇〇円
不思議な感覚を、是非楽しんでいただき
たい。
大福書林
福田利之作品集
等で広く人気を集めるデザイナー・イラ
ク や、﹁ ほ ぼ 日 刊 イ ト イ 新 聞 ﹂ で の 仕 事
ロックバンド・スピッツのアートワー
福田利之著
を せ ー の で め く る ﹂﹁ ぶ ち や ぶ ら れ た ふ
やや口を開き、一心不乱に飴屋の様子
も 収 め ら れ て い る が、﹁ こ の 絵 は こ う い
者本人による自作品についての解説文
ん と も い え な い 感 触 で あ る。 ま た、 著
ずっと大切に持っていたい気持ちにな
れ る 美 し い 作 品 た ち が 収 め ら れ て い る。
な、センチメンタルな郷愁を掻き立てら
− 23 −
色濃く残る明治期日本であった。
メージをもってしまうのだが、今回の作
たち。
すま﹂など、現代詩の様でもあるし、こ
添 え ら れ た こ と ば も、﹁ サ ン ド イ ッ チ
品集の色鮮やかさに触れ、そのイメージ
代表作﹁飴屋﹂では幼子を背にしょっ
ストレーターの作品集。
が変わってしまった。
た子守の女の子たちが飴細工を作る飴屋
ど も の つ ぶ や き の よ う で も あ る し。 な
を見つめている少女の表情に目が釘付け
う状況なんじゃないか﹂という形で、著
いつかどこかで見たことがあるよう
の様子を見つめている。
になる。
者自身も作品の内容を色々と想像する
る、かわいらしい一冊。
当時よく見られたであろう日常の風
玄光社
二〇〇〇円
景が、今新鮮さを持って私たちに迫って
ニークだ。
立場に立っているところがとてもユ
三三○○円
くる。
芸術新聞社
芸術
実
用
書
地図・旅行書
白い鳩がいる。ラグビーの本質を表した
幻冬舎
アメリカは食べる。
八〇〇円
アメリカ食文化の謎をめぐる旅
獣医師がペット医療業界に対し警鐘を
う単純なものではない様だ。移民の国で
フライドチキンなどが頭に浮かぶが、そ
か。ステーキ、ハンバーガー、ドーナツ、
東
理夫著
アメリカ人は何を食べているのだろう
鳴 ら す 本 が つ い に 出 版 さ れ た。﹁ 医 者 の
あ る ア メ リ カ に お い て﹁ ア メ リ カ 料 理 ﹂
一六〇〇円
このイラストが、本書にはよく似合う。
鉄筆
ペット治療の嘘
言うことを鵜呑みにしてはいけない﹂と
宮野のり子著
藤島
大著
世界ランク十二位の日本代表が同三位
いう趣旨の警告本はベストセラーとな
人類のためだ。
の南アから歴史的番狂わせとも評される
大金星をあげた、イングランドでのラグ
が根ざしているので、それぞれの食文化
の 定 義 は 難 し い。 考 え て み れ ば 当 然 で、
があるのだ。著者はアメリカのあちこち
先住民、アフリカ系、ヨーロッパ系、ア
本書にも書かれているが、実は日本の
を車でめぐり、モーテルに宿泊し、各地
り、人々の医療に対する疑念が高まる現
ペットをとりまく環境は欧米各国と比べ
の 食 に つ い て 考 察 す る。 旅 で 出 会 っ た
ビーW杯を前にして刊行された本書。著
て後進的であると批判の的になってい
人々とのエピソードも味わい深く旅行記
ジア系や南米からの移民など様々な人種
体をぶつける激しい闘争の中におい
る。その一方で国内におけるペットビジ
在、このような本が刊行されるのは必然
て、常に情緒のコントロールが試される
ネスは拡大し続けており、このまま重大
としてもおもしろい。アラバマ州の食堂
者が約二十年かけて綴ってきたエッセイ
競 技、 ラ グ ビ ー。 そ の こ と を よ く 知 り、
での女主人のソウルフードの話は印象的
だと言えるだろう。
試合内外でフェアネスを実行してきた
な問題が残されたままであることを知ら
だ。家庭料理とは違う、その人が生まれ
の中から、厳選した五十篇を主題別に再
人々によって、数々の感動的な物語が生
ない飼い主が増え続けてしまうと、飼い
録している。
み出されてきた。時には歴史をも大きく
ルフードは売りものにならない﹂のだそ
つ き 持 っ て い る も の が ソ ウ ル で、﹁ ソ ウ
うだ。アメリカ各地の食を通じてアメリ
主とそのペット双方にとっての﹁幸福の
ペット治療に関する疑問や問題点につ
実現﹂は難しい。
いて詳しく述べている一方で、飼い主と
動かすラグビー人達の情熱は、読む者の
表カバーを飾るのは、選手達がゲーム
カという国を浮き彫りにする一冊。
心を強く揺さぶることだろう。
に興じている光景。ただし、追い求めて
しての在り方に新しい認識を与えてくれ
三八〇〇円
いるのはボールではない。伸ばされた腕
る、飼い主必読の一冊。
作品社
のその先には、自由と平和の象徴である、
− 24 −
実用書/地図・旅行書
語学・辞典
4つのタイプ分けで
英文法がわかる
清水建二著
私の経験だが、英文法を文法項目ごと
クロスメディア・ランゲージ
一四八〇円
すると、どのようなものが浮かんでくる
﹁喜ぶ﹂という言葉を他の言葉で表現
小内
一編
り、文の意味を正確に掴めるようになっ
意識を単語一つ一つに持てるようにな
これはこっちに係る修飾語というような
つまり文の中でこれは主語、これは述語、
で 英 語 の 能 力 が 上 が っ た こ と が あ っ た。
葉である。中国語では口語でも文章でも
て、より具体的に補足説明する役割の言
の後ろに置いて、その動作や状況につい
ようなものなのだろうか。動詞や形容詞
そもそも中国語における補語とはどの
李
軼倫著
中国語学習の中で補語は
難関だと感じている方も多いだろう。
中国語文法
補語完全マスター
﹁うきうき﹂
﹁有
だろうか? ﹁いそいそ﹂
たことで、英語が急に分かるようになっ
に整理するのではなく、名詞的、形容詞
頂天﹂﹁喜悦﹂﹁歓喜﹂など様々な表現が
よく使われており、補語の形でないと表
は、現代作家約四〇〇名の作品から編者
家名︵苗字︶が表記されている。これら
小学生のよう=若竹﹂など、文章例と作
に見せて走る=壺井﹂﹁﹁遠足を前にした
の底からせり上がるような思いを足どり
例えば﹁うきうき﹂は﹁うきうきと腹
れており、新たな発見も多いと思われる。
味、句動詞の副詞の位置についても書か
英文法書ではあまり書かれない語順の意
法の理解につながることだろう。さらに
的な知識になるだけでなく、より深い文
の役割ごとに捉え直すことで、より実践
いう構成になっている。文法項目を文で
詞タイプ、形容詞タイプ、副詞タイプと
この書籍は文法項目が名詞タイプ、動
手に取って頂きたい。補語を習得すれば、
すく解説している。
について、図を多く使い、イメージしや
だ。この本では、補語の微妙に違う用法
い補語の使い方がイメージしにくいの
ば良いのか、違いが分かりにくく、正し
けられるが、どんな時にどの補語を使え
可能、様態、程度、数量などの種類に分
補 足 説 明 の 内 容 に よ っ て、 結 果、 方 向、
現 で き な い 場 合 も あ る。 ま た、 補 語 は、
的というように役割ごとに整理すること
ある。本書にはこれら類語ひとつひとつ
たのだ。
が二十年かけて採集したそうだ。文章表
ひと通り勉強したけれど、定着しなかっ
二〇〇〇円
− 25 −
てにをは連想表現辞典
について、膨大な数の文章例が載ってい
現のバリエーションに煮詰まったとき
た人のみならず、英語を始める方、英語
る︵約二十二万︶。
や、川柳・俳句・短歌・試作・作詩など
コスモピア
補語の使い方で悩んでいる方には是非
の言葉探しに、この連想表現辞典をぜひ
より自然な中国語に近づくだろう。
きたい。
をやり直す方にも是非手に取っていただ
三二〇〇円
活用してみてください。
三省堂
語学・辞典
児
童
こねこのジェーン
ダンスだいすき !
バレリー・ゴルバチョフ作
書
ダンスが大好きでたまらない、こねこ
あらいあつこ訳
繋がるのだというリアルさも感じました。
やがてはこの小さな愛すべき生き物へと
ド・ウォーターからも程近い場所にある
豊かな丘陵地が広がり、湖マックガイ
五十嵐大介画
富安陽子著
一六〇〇円
が日本の国にやってきました。長い長い
福音館書店
年月をかけ、稲と日本人は自然の厳しさ
に立ち向かいながら、たがいの生死をと
もにして苦難の道のりを歩んできまし
た。十年以上の時間をかけて出来上がっ
寄宿学校。そこで教師を務める﹁わたし﹂
をし、小中一貫校に妹と通うことになり
二〇〇〇円
た本書は、お米に対する日本人のこころ
を届けます。
福音館書店
岸辺のヤービ
いです。そこへカエルのケロくんがやっ
はある休日、灯心草の茂みで見たことの
ます。中学二年生にあたる八年生の有礼
梨木香歩著
てきて、すてきなダンスを披露してくれ
ない生き物と遭遇します。ふわふわとし
は記憶力抜群、同級生の厩舎修︵Q ︶は
のジェーン。ついに念願のバレエスクー
るのですが、そんなのバレエじゃないと
た毛に覆われた小さな生き物は、クーイ
数学の才能が抜群。ある日、ふたりは学
1
仲違いしてしまいます。自由に思うまま
族のヤービという男の子でした。ヤービ
校で不思議な体験をし、そのあと夢で見
小沢さかえ画
に、全身でわくわくする気持ちを踊りで
から語られるマックガイド・ウォーター
た 猿 に 会 っ て 体 験 の 謎 の 話 を 聞 き ま す。
ルに通えることができて、嬉しさいっぱ
表現する楽しさを、作者の持ち味である
での暮らしは小さな冒険と驚きに満ちて
天と地の方程式
明るい画風と生き生きとしたキャラク
いて別世界のようでした。しかし物語の
ベースにしたファンタジーで、二巻目は
彼らが対峙する黄泉ツ神とは。古事記を
稲と日本人
講談社
一四〇〇円
九月、三巻目は二〇一六年三月刊行予定。
田代有礼一家は、新居を購入・引越し
ターで描いています。
終盤、ヤービ達の暮らしと﹁わたし﹂の
一六〇〇円
日常との距離は近いものであることに気
きじとら出版
甲斐信枝作
付かされます。同じ世界で生きている喜
びと共に、私たちが起こす問題までもが
佐藤洋一郎監修
二 千 数 百 年 前、 水 田 で 作 る 稲﹁ 水 稲 ﹂
− 26 −
児童書
年談話﹂﹄
て き て、 い き な り 自 動 小 銃 を 突 き つ け た。 冷 た い 銃 口
一、標題書
四十一氏のメッセージから
﹁戸締りをしていたのにソ連兵が二人、ドドドッと入っ
栄 誉 だ と 洗 脳 さ れ て い た。 本 来、 教 育 の 目 標 で あ る 学
万 歳 ﹂ と 叫 ん で 戦 死 す る こ と が、 日 本 人 と し て 最 高 の
男 子 た る 者、 進 ん で 戦 場 へ 行 っ て 敵 と 戦 い﹁ 天 皇 陛 下
西村
登
が こ め か み に ⋮⋮︵ 略 ︶ ハ ル ピ ン で 小 学 五 年、 終 戦 の
力 養 成 の 放 置、 軍 国 主 義 に よ る 偏 向 教 育 な ど の 影 響 は
﹃私の﹁戦後
時のこと、あの時の恐怖と言ったらなかった﹂︵宝田明︶
自 身 の 成 長 に 大 き な 障 害 と な り、 そ の 傷 痕 は 今 も 尾 を
﹁事実は一つしかない。将来を語る前に先輩たちがど
強く思って平和を続けていかなければ⋮⋮﹂
︵香川京子︶
平 成 世 代 に 贈 る 遺 言 集 で あ る。 日 本 の 将 来 を 考 え る た
反 対 ﹂ と 叫 び 続 け た い。 標 題 書 は 戦 中・ 戦 後 世 代 か ら
を 戦 争 で 死 な せ て は な ら な い。 老 骨 に 鞭 打 っ て﹁ 戦 争
平和こそ人類最高の目標である。教え子の子や孫たち
引いている。
では﹁君に忠に⋮⋮﹂という教育勅語を暗記させられた。
﹁今は個人で何をしようが自由な時代ですが、一旦戦
のような施策の誤りで軍国主義を徹底し侵略に出てし
争になったら個人の自由は二の次です。これからも皆で
ま っ た か を 冷 静 に 受 け 止 め て 反 省 し な か っ た ら、 こ の
年談話﹂﹄
︵岩波書店・岩波書店編集部編・
︵八十七歳・元教員︶
めに若い世代の人々に広く読んでもらいたい。
年談話﹂
一六〇〇円︶
*﹃私の﹁戦後
国の将来は危ない﹂︵野中広務︶
二、筆者の﹁戦後
終戦の時、農蚕校三年で十六歳だった。同校は戦中極
め て 軍 寄 り で 教 練 と 勤 労 奉 仕 に 暮 れ た。 基 礎 教 科 は 消
滅 状 態、 軍 の 予 備 校 み た い だ っ た。 同 校 以 前 の 小 学 校
70
− 27 −
70
70
﹁安保関連法案﹂
を考える本
が国が実施する諸外国の軍隊等に対する
案 ﹂﹁ 国 際 平 和 共 同 対 処 事 態 に 際 し て 我
めの自衛隊法等の一部を改正する法律
際社会の平和及び安全の確保に資するた
そもなぜい
法 を、 そ も
れた現行憲
して制定さ
をベースに
る憲法草案
問題の焦点
その二法案が掲載、検証されている﹃検
となるの
協力支援活動等に関する法律案﹂です。
証・ 安 保 法 案
ど こ が 憲 法 違 反 か ﹄︵ 有
斐閣・一三〇〇円︶は、現時点での基本
団的自衛権﹂への疑問、違和感を訴える
し切り、賛成多数で可決されました。﹁集
憲 法 学 の 権 威 で あ る 長 谷 部 恭 男 が 解 説、
点を、国際憲法学会副会長であり現在の
行使を容認する点など、その深刻な問題
た安保関連法案について、集団自衛権の
この本は、本年五月、国会に提出され
説明もふんだんに掲載、憲法を取り巻く
世代に向けて、押さえておくべき語句の
兵制が復活するのかを俎上に載せ、若い
と本当に徴
か、 変 え る
つも九条が
法 案 ﹂ が、﹁ 十 七 日 の 暴 力 的 な 強 行 採 決
文献と言えます。
九月十九日未明、いわゆる﹁安保関連
は無効だ。法案が違憲であることは明白﹂
世論も根強く、全国で反対集会やデモが
続と出版されることが望まれますが、こ
は、常に戦後の憲法論議の中心でした。
今回も議論の焦点となっている第九条
自衛権に関する考えも、決して一枚岩で
れた政党ではありません。九条や集団的
合い世帯であり、明確な理念で一本化さ
は利害対立する多様な業界の代表の寄り
﹁安保関連法案﹂等様々な呼ばれ方を
HQ がたった八日間で作成したといわれ
一三〇〇円︶は、マッカーサー率いるG
問題のココがわからない
﹃ 自 民 党 の 正 体 ﹄︵ P H P 研 究 所・
はありませんでした。
− 28 −
と徹底抗戦の構えを見せていた野党を押
繰り広げられていた中での法案成立でも
一
= 人ひとりが真摯に憲法というものを
考えるきっかけにしてほしい入門書です。
論点をわかりやすく解説しています。
﹁改
詳細に検証・分析、その警鐘を社会に広
憲﹂
﹁護憲﹂で対立する前にまず﹁考憲﹂
あらゆる法律は、それが適応された時
く示すため緊急刊行されました。われわ
安全保障や各分野の専門家と共に、憲法
にその実体が明らかになります。議論は、
今回の法制定の主役は、もちろん安倍
九条を守るため、どこが憲法違反なのか、
成立したからおしまいではなく、これか
れの憲法を守るべく理論武装するための
ありました。
らも継続されなければなりません。その
必読の一冊と言えます。
こでは既に出ているものの中から議論の
﹄︵すばる舎・
﹃ ど こ が、 ど う 問 題 か? ﹁ 憲 法 9 条 ﹂
首相率いる自民党です。自民党は、時に
ための土台となるような書物が今後も陸
参考となりそうな本を、ご紹介します。
する二法案は、正式には﹁我が国及び国
!
!
批判しながら、自民党の裏側や派閥抗争
きずにグダグダの議論になっている、と
なのに、法制局のメンツを潰すことがで
手な解釈を実態に併せて糺せばよいだけ
手な解釈変更を続けてきただけ、その勝
それを内閣法制局が﹁行使しない﹂と勝
こ と 自 体 が 集 団 的 自 衛 権 の 行 使 で あ り、
識からすれば日米安保条約を結んでいる
一五〇〇円︶の著者倉山満は、世界の常
としてきたもの、我が国の未来に起こり
く講義しています。戦後の日本人が見落
在の日本の国防の問題点を、わかりやす
市民にも共有されている軍事の常識や現
他国では軍人はもちろん、政治家や一般
い 切 り ま す。 そ の こ と を 理 解 す る た め、
を依存しているのは異常﹂が常識だと言
﹁自分の国は自分で守る﹂
﹁他の国に国防
一三〇〇円︶で、
元自衛官の田母神俊雄は、
﹃戦争の常識・非常識﹄
︵ビジネス社・
忘れてはいけません。
者は、例の武藤発言のあと、メディアか
か?﹂国会議事堂前のデモに参加した若
で す。﹁ な ぜ 戦 争 に 行 き た く な い の で す
ることを強いられるのは、まず若者たち
状態にあって活躍を期待され、命を賭け
勢を批判します。
外交の都合で彼らを駒のように動かす姿
クを取ることはできないと訴え、政治や
らの命を危険に晒し他人の命を奪うリス
﹁国民の理解﹂がなければ自衛隊員は自
負 託 ﹂ が な け れ ば 自 衛 隊 は 活 動 し 得 ず、
円︶は朝日新聞連載の﹁検証
集団的自
衛権﹂シリーズをもとに、憲法解釈を変
くりました。久しく無かった若者の運動
ち上がり、SEALDs という団体をつ
の若者たちが安保関連法案に反対して立
七十年前にそうであったように、戦争
を面白く描いています。
うる危機を、戦後レジームからの脱却を
らそのような質問を受けたそうです。そ
それが、今どうなっているのか?
目指す田母神軍事学が明らかにします。
える閣議決定の攻防の検証記事と掲載さ
﹃民主主義ってなんだ?﹄︵河出書房新
に、いま注目が集まっています。
﹃ 安 倍 政 権 の 裏 の 顔﹁ 攻 防
集団的自
衛権﹂ドキュメント﹄
︵講談社・一六〇〇
れなかったエピソードを加筆し再構成さ
一方、四十年間防衛官僚として自衛隊
り方についての責任が私たち国民一人ひ
が民主主義国であること、それは国のあ
だ ぜ ﹄︵ 朝 日 新 書・ 七 八 〇 円 ︶ と、 日 本
社・一二〇〇円︶でそのメンバーたちと
れ た も の で す。
﹁違憲﹂という根本的な
と政治をつなぐ役割を果たし、小泉政権
とりにある体制であることを強く訴え
膝を突き合わせて語り、彼らの思いを引
のか? 日本の安全保障政策が根本的に
下での自衛隊の海外派遣の実務を仕切っ
た、高橋源一郎です。 ︵難波店・福嶋︶
疑問に対し、その土台となる閣議決定に
変わるという歴史的な転換点の舞台裏
てきた柳澤協二は、﹃自衛隊の転機﹄︵N
ついて安倍政権と自民、公明両党が、ど
を、白日のもとにさらした一冊です。
H K 出 版 新 書・ 七 八 〇 円 ︶ で、﹁ 国 民 の
き 出 し た の が、﹃ ぼ く ら の 民 主 主 義 な ん
集団的自衛権の行使によって戦場に派
ういう思惑で、どうやって作っていった
遣されるのは自衛隊の人々であることを
− 29 −
A
A TT II O
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− 30 −
〔営業時間〕10時∼ 22時
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10月1日 オープン!
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10月7日 オープン!
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定休日については、お手数をおかけしますが弊社 HP または直接各店までお問い合わせ下さい。
− 31 −
│
五九五六 六一〇〇
丸善ジュンク堂書店特急便係
東京都豊島区南池袋二 一五 五
〇三
五九五六 六一二〇
〇三
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以下の通りです。
ありがとうございます。本誌定期購読料は
本にまつわるエッセイ、など本に関するもの。最近読んでおも
☆読者の皆様の投稿を募集しています。最近読まれた本の感想文、
定期購読料
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現金書留もしくは八十二円切手十五枚で
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四〇〇字∼六〇〇字程度で、おすすめの本のタイトル、出版社、
掲載分には二千円の図書カードを差し上げます。なお、原稿はお
〒
1710022
住所、氏名、年齢、職業を明記の上、お送り下さい。
六一一一
│
編集後記
│
返しいたしませんのでご了承下さい。
東京都豊島区南池袋二 一五 五
五九五六
FAX TEL
☆尚、本誌掲載と同時に、ホームページにも掲載させていただきます。
〒
〇三
丸善ジュンク堂書店﹁書標﹂編集室係
│
TEL
│
│
紹介してくださっている能勢
仁さんの新刊﹃出版業界版
悪魔の辞典﹄
︵メディアパル・
一 五 〇 〇 円 ︶。 ど の 業 界 に も
専門用語があるだろうが、こ
のような形でまとまってい
︵緒︶
るとわかりやすく、面白く読
める。
− 32 −
│
│
│
弊誌で毎月世界中の書店を
PC ・スマートフォンから
ᛩ
Ⓜ
൐
㓸
1710022
﹁体育会系文化部
書店員のしごと﹂
私はこの春入社した新入社員です。池
ただけるか考える、頭を使う面もありま
わくするものでもありました。
することは、文化祭の前日のようでわく
い 合 わ せ が あ れ ば 本 を 探 し て 右 へ 左 へ、
毎日何百という新刊を店頭に出し、問
後と開店前の時間を使って作業は進めら
間もお店を休みにすることはなく、閉店
多くの経験も得られました。この改装の
い 棚 を 作 ろ う と 先 輩 方 か ら 教 わ る 中 で、
か⋮⋮と少々ショックでしたが、よりよ
せっかく棚を覚え始めたところで改装
えできないこともあり、毎日反省するこ
いません。お客様のご要望に上手くお答
です。
様をご案内して喜んでいただけること
した。働いていて一番嬉しいのは、お客
すぐにご案内できるようになってきま
客様からお問い合わせがあれば場所を
本屋さんで働き始めてはや五か月、お
います。
りよいフロアになったのではないかと思
点も多くありましたが、おかげさまでよ
改装中はお客様にご不便をおかけする
す。雑誌それぞれの関係性を考えながら
配置を入れ替えていくことは、パズルを
私が働く池袋本店の一階は今年六月
しているようです。
か ら 改 装 を 行 い、 新 し く 生 ま れ 変 わ り
上の階・下の階へと走り回ります。重い
れました。お客様が誰もいなくなった店
とも多いです。だからこそ、一日一日を
ました。
荷物の上げ下ろしでひ弱だった腕には次
内で商品を箱詰めして棚を空にし、翌朝
大切に働こうと思っています。今後もよ
袋本店で雑誌フロアを担当しています。
第に筋肉がつき始めました。
新しくなった棚に入れなおす、これを数
本屋さんの仕事は、想像以上に体力仕
根 っ か ら の 文 科 系 で 体 力 の な い 私 は、
日繰り返しました。
から出勤する日もあり、体力を消耗しま
改装期間は夜遅くまで働く日、朝早く
けたい⋮⋮と思う次第です。
に筋肉がついて太くなってしまうのは避
り精進していく所存ですが、これ以上腕
事です。
新刊の多い日には何度もバックヤードと
す。閉店後や開店前の店内というどこか
まだまだ商品知識も接客経験も足りて
店内を行き来して新刊出しをすると、帰
その反面、どのような雑誌が売れるの
非日常的な空間で、普段と異なる仕事を
る頃には脚も腕もだるくなります。
か日々売り場を見て注文数を決め、どの
653- 1600013 0008
︵雑誌担当S︶
ように配置すれば多くのお客様に見てい
二〇一五年十月五日発行
﹁書 標
第 号
ほんのしるべ﹂
頒価五十円︵本体四十六円︶
編集・発行人
工
藤
恭
孝
発 行 所
㈱丸善ジュンク堂書店 〒 東京都新宿区三栄町二十九 ニューフィールドビルディング
印 刷 所
㈱七
旺
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〒 神戸市長田区一番町二丁目一
443