星薬科大学の大学としての機能を維持する事に関する陳情書

星薬科大学の大学としての機能を維持する事に関する陳情書
平成27年6月
日 提出
東京都知事
舛添 要一 殿
陳情代表者
郵便番号 142-8501
東京都品川区荏原 2 丁目 4 番41号
学校法人 星薬科大学 理事長
電話番号 03-3786-1011
おおたに たくお
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【陳情の要旨(願意)】
現在東京都が計画している特定整備路線 放射第二号線(以下「本計画」といいます。)は、星薬科大学の構
内中心部を貫通することになり、大学としての機能が著しく損なわれ、かつ薬科大学の設置基準をも満たさなく
なることから、本計画の再検討や地下化(トンネル化)するように検討いただきたく、陳情いたします。
なお、本計画の起源となっている都市計画(昭和 21 年 3 月 26 日・戦災復興告示第 3 号)について付言いた
しますと、本来であれば、当該都市計画が決定される昭和 21 年の段階で、本学より都市計画法上の適正な手
続きを経て意見書等を提出すべきであったと思われますが、同時期はアメリカ進駐軍が本学の敷地及び校舎を
接収しており、本学から意見を申したくても出来なかった事情(接収時期:昭和 20 年 9 月 28 日~昭和 24 年 7
月 15 日)があり、本学には当該都市計画策定に関する手続保障がなかったことをご斟酌戴けますようお願い致
します。
【陳情の理由】
大学の機能及び公共性を損なうこと
私立大学とは言え、公共性の高い大学としての機能を大幅に損ねることについてご再考戴きたい。
百余年の歴史を持つ大学の構内中央を、幹線道路が貫通するような都市計画を未だかつて聞いたことがあり
ません。大学構内のほぼ中央を25m道路が貫通することになれば、学生の構内移動はじめ、身体にハンディキ
ャップのある学生への影響など、安全面や環境悪化の懸念事項は数えきれません。
星薬科大学(以下「本学」といいます)には研究・教育のため多数の精密機器が設置されていますが、道路の
振動等により機能しなくなる可能性があります。また、本学薬草園は長い歴史を有し、一般にも公開し、地域に
親しまれた施設の一つです。放射第二号線はこれを横切ることになり、薬草園としての機能を維持することが難
しくなります。大学設置基準(昭和31年文部省令第 28 号)により薬学部は薬用植物園(薬草園)を持つことが義
務付けられていますので、仮に薬草園が無くなると星薬科大学は存続できなくなることとなります。薬草園の場
所を変える場合には移設地の問題もありますが、長年に渡って育成、栽培してきた貴重な植物が移植できない
可能性があります。
本学は複数の棟から構成され、老朽化、新科学技術対応、耐震強化等から順次建替えを行う必要があります。
もともと大学としての敷地が狭いため、本計画による敷地の減少及び分断は、大学の長期的な存続と機能維持
に重大な支障を生じます。
本学は品川区から災害対策物資(水、食料、毛布等)をお預かりして、災害時には避難されてきた方々を支援
いたします。しかし、校内を幹線道路が貫通していますと、物資の配付、管理に重大な支障をきたすことを懸念し
ております。
交通機能と防災上の観点から本計画が不適切と考えられること
昭和21年計画の放射第二号線に対し、昭和33年計画(建設省告示 1226 号)では、補助152号線(25m 幅)、
補助151号線(40m 幅)が計画され建設されていますが、補助152号線は現実に放射 2 号線の代替機能を既に
担っていると考えられ、放射2号線の必要性に疑義が有ります。
加えて、本計画の放射 2 号線は、平塚橋から環状 6 号線に到る区間の約 1300m であるところ、その南西部約
1/3部分が「火災危険度4」に位置し、かつ残る2/3の部分は「火災危険度2」に区分されていることから、防
災上このルートが最も有効であるかどうかにも大いに疑問があります。この点に関しては、延焼防止や災害車
両交通の観点からも、補助152号線(中原街道)が既に代替機能を有しているものと考えております。また東京
都第2建設事務所の延焼シミュレーションにおいて、本学の並木で囲まれたキャンパスはそれ自体、火災発生
時の延焼防止効果が認められているようであり、並木道を分断して道路を建設することにより、延焼防止効果が
損なわれる可能性さえあるものと考えます。
本陳情の内容(結語)
本計画により、本学は大学として備えるべき機能が著しく損なわれることになり、大学としての永続的な存続を
困難とし、かつ文部科学省の定めた大学設置基準をも満たさなくなる可能性があります。一方、周辺地域の交
通機能、防災の観点から考えて、補助152号線が実質的に代替していることからして、本計画の再検討や代案
検討を陳情いたします。また何らかの事情で本計画が必要であるとのご判断をされる場合は、例えば地下化(ト
ンネル化)することにより、公共性の高い大学の機能の損壊を減じ、地上部をグリーンベルトにすることにより、
延焼防止対策、災害時の緊急車両移動などの機能を維持できるものと考えますので、これら再検討を陳情いた
します。
以上