G空間データの活用アイデアを市民から募る~アーバンデータチャレンジ

CSISi 第10回公開シンポジウム 「リアルのデータに浸れ~空間情報の流通市場『G空間プラットフォーム』の幕開け」
G空間データの活用アイデアを市民から募る
∼アーバンデータチャレンジ2014∼
瀬戸 寿一 @tosseto
東京大学空間情報科学研究センター・特任助教
1
G空間データ x 地域課題解決 !?
•  G空間データ = 国・民間はもちろん、特に地方自
治体に多く存在している ➔ 地域課題が多く存在 •  オープンガバメント:透明性・市民参加・協働 の3原則(2009年12月Open Government Direc4ve) –  データの民間開放・活用 (透明性) –  民主主義の高度化・促進(市民参加) –  行政運営の効率化・高度化(協働) •  オープンデータ:政府をプラットフォーム化するツール ➔データ駆動(きっかけに)させることで、オープンガバメントを実現 (庄司・渡辺, 2014)
2
2013年4月〜 実践的試み「アーバンデータチャレンジ東京2013」
Source: h=p://aigid.jp/GIS/udct/2013/index.html
3
UDCT2013 何が特徴か?
•  サステナブルな形で多くの自治体が広くデー
タを流通・公開したり、さらにビジネスレベル
で多くの民間企業等が参画すること。
•  地域の課題解決とデータのリンケージの強化。
様々な有用なアイデア・アプリケーションの横
展開等、実践の場の提供。 •  首都圏約350自治体のうち、2割の70自治体
が1回以上、何らかのイベントに参加すること
を目標に
4
2013/6/10 キックオフシンポジウム結果
•  まずは「地域のお悩み聞かせて下さい」 •  参加者:約170名(以下は自治体講演者、参加者) – 
– 
– 
– 
– 
– 
【東京】東京都建設局、豊島区、八王子市、町田市、日野市
【栃木】栃木県
【茨城】茨城県、水戸市、桜川市
【千葉】流山市
【神奈川】横浜市、藤沢市
【埼玉】越谷市、伊奈町
5
No.
UDCT2013指定課題リスト(1)
具体的な課題の例
該当自治体例
必要となりそうなデータ例
人口問題: 少子高齢化や人口過密といった人口問題を身近に考えられる仕組みの実現
1 少子高齢化に対して、公共建物、社会資本の配置などの計画を行政と住民が共に考えていける仕組みを作りたい
東京都八王子市
・公共施設 ・人口分布 ・都市計画資料
2 近隣市町村への若い人の流出を食い止めたい
茨城県桜川市
・人口と世帯数の推移
3 人口構成の地域的バランスの差を縮小化するために人口の流動を促したい
東京都町田市
・人口分布
4 街の変化の様子を正しく把握したい
東京都豊島区
・人口動態
人口の構造の変化や減少などを我がこととして考えにくく、自分の将来の暮らしぶりを想像する際に想起できないため、人口問題に対
5 して個人レベルでのアクションを取ることが困難である状況を解消したい
―
・コーホート別人口動態
・各地の行政の財政状況
まちづくり: 地域活性化に向けたデータの活用
6 街と地域企業のコラボレーションによる地域活性を実現したい
7 地域活性に繋がる空き地の活用をしたい
東京都豊島区
東京都八王子市
8 産業基盤の空洞化に対応したい
東京都日野市
9 団地の老朽化に対応したい
東京都町田市
10買い物難民を解消したい
11中心市街地の衰退、空洞化に対応したい
12商店街を活性化したい
13情報弱者や高齢者の孤独死を防ぎたい
14休日にも出かけない人の行動を踏まえて現在のライフスタイルに合わせた地域活性化をしたい
東京都町田市、
東京都八王子市
茨城県水戸市、
東京都八王子市
茨城県水戸市
東京都八王子市
―
・地域の企業情報
・空き地位置
・地域企業情報
・公共住宅位置
・公共住宅居住者
・商業施設位置
・人口分布
・地域の店舗情報
・人口分布
・地域の店舗情報
・高齢者情報
・人の移動データ(GPS携帯)・地域の店舗情
報 ・建物の状況(建築年、老朽度 等)
インフラ: 安全性に関する情報の可視化
15社会インフラの安全性に関する情報が分かりやすい表現で示されたものを見たい
神奈川県藤沢市
・点検データ ・施設台帳
防犯: 効果的な防犯対策に資する仕組みの実現
16子供の見守りなどの防犯パトロールの効果の向上を図りたい
茨城県水戸市
・犯罪発生情報
17各機関、組織に点在している防犯情報を一元化して見られるようにしたい
埼玉県浦安市
・犯罪発生情報
18治安を改善して犯罪を抑止したい
19防犯情報の入力や防犯マッピングイベントを継続的に実施したい
東京都八王子市
―
・犯罪発生情報
・照明、通報設備位置
・犯罪発生情報
交通: 交通に関する危険の低減と公共交通の活性化の実現
29高齢化により自動車が利用できない住民が増える状況下で、路線バス等の公共交通を維持、発展できるよう利用を活性化したい
茨城県
・バス路線
・公共交通利用状況
30交通事故多発箇所を解消したい
神奈川県藤沢市
・交通事故
31狭い道路を歩行者や自転車が通行することに関する不安を解消したい
東京都八王子市
・交通事故
路線バスの乗客の需要とバスの供給バランスを取るとともに、天候(雨)や鉄道の人身事故の影響による急激な利用者増への対応を
32可能としたい
―
・バス路線
・公共交通利用状況
6
チャレンジのためのデータ提供
•  21自治体(順不同:約434データセット) 赤: CC-­‐BY等のオープンデータ
•  茨城県・静岡県・山梨県
•  伊奈町・蓮田市(以上、埼玉県)・横浜市・海老名市・小田
原市・相模原市(以上、神奈川県)・八王子市・豊島区・大
島町・国立市(以上、東京都)・甲府市(山梨県)・古河市・
水戸市(茨城県)・千葉市・船橋市・流山市・八街市(以上、
千葉県)・福井県鯖江市
•  NTT空間情報「GEOSPACE」 (各自治体の道路地図SHP・高解像度航空写真をタイル画像形式で)
国土数値情報(広域に渡って特に有用なデータセットをKMLやSHPで) • 
•  CSIS「人の流れデータセット」(H20東京大都市圏)
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7
UDCT2013を通じた地方自治体への波及効果
8
UDCT2013受賞作品と社会的効果
アプリケーション部門 金賞 AED SOS
流山市:AED設置場所
鯖江市:市内のAED情報
アプリケーション部門 銀賞 移動物データ可視化システム「mobmap」
人の流れデータセット(東京都市圏)
アプリケーション部門 銅賞 富岳3776景サイト
静岡県:富士山ビューポイント
データ部門 金賞
平成25年4月~11月八王子市内侵入窃盗データ
データ部門 銀賞
udct +
データ部門 銅賞
鉄道インフラデータ
八王子市:犯罪被害発生状況
AIGID: 公共施設情報
大島町
・公共施設マップ ・みどころマップ
・公立保育所・子ども家庭支援セン
ター所在地一覧 ・避難場所
国土数値情報
・鉄道データ(Shape)
アイデア部門 金賞
直感的な避難誘導
水戸市: 津波ハザードマップ
アイデア部門 銀賞
ゴミ収集のみえる化システム「ゴミえるん」
豊島区: 7.暮らし
アイデア部門 銅賞
八王子市:
お・す・そ・わ・け ― オープンデータを使って古き良き
・農林業センサス
「田舎」のコミュニティをつくる
・市内中学校小学校/学童保育所
自治体特別賞(静岡県)
(アプリケーション部門)
NTT空間情報賞
(アイデア部門)
実行委員会奨励賞
(アプリケーション部門)
富士フォト
移動販売・臨時店舗による買物難民の解消
リモートでちょっと川の様子見てくる
静岡県:富士山ビューポイント
八王子市: 住民基本台帳町丁別年齢
別人口
国土数値情報
・浸水想定区域
9
・避難施設
10
特別賞として、土木情報学賞(土木学会)が加わることになりました!
11
UDC2014の特徴
•  地域の課題解決・自治体連携を重視して 1年間を通した継続的なチャレンジ! 1.  自治体のオープンデータ(CC-­‐BY等)をポータルサイト
上で流通させる 2.  ワークショップの成果を、Web上で出来る限り共有し
て誰もが・いつでも参加できる環境をつくる •  首都圏だけでなく、全国に拡大。 •  特にやる気のある地域を地方拠点(10都道府県ブ
ロック)として、イベント開催支援。 •  参加は誰でもOK(自治体・企業・一般市民…)
•  賞金総額200万円を設定➔動機にもなる? 12
UDC2014を担う10の地域拠点 (地域拠点コーディネーター)
北海道ブロック (室蘭市:室蘭市企画財
政部課・丸田之人氏)
石川ブロック (金沢市:一般社団法人
コード・フォー・カナザワ代
表理事・福島健一郎氏) 島根ブロック (松江市:島根大学法文
部教授・野田哲夫氏)
福岡ブロック (福岡市:ビッグデータ&
オープンデータ研究会in
九州・梶原信一氏)
徳島ブロック (徳島県:政策創造部統
計戦略課・吉川満氏)
茨城ブロック (水戸市:水戸市情報政
策課・北條佳孝氏)
東京ブロック (日野市:企画部地域戦
略室・中平健二朗氏)
神奈川ブロック (横浜市:横浜市政策局
政策課・関口昌幸氏)
静岡ブロック (静岡県:静岡県情報政
策課・杉本直也氏)
大阪ブロック (大阪市:LODチャレンジ
実行委員会関西支部
長・古崎晃司氏)
•  拠点ブロックは都道府県単位で設定。 •  複数市町村が含まれる場合も都道府県単位で支援! 13
1.ポータルサイト上での情報流通 CC系ライセンスが適用されている自治体のオープンデー
タを出来るだけ掲載する=44自治体・約1,900強!
14
データセット数:全国44自治体・1,963データセット
自治体名
北海道室蘭市
秋田県横手市
福島県会津若松市
群馬県前橋市
栃木県
埼玉県さいたま市
埼玉県和光市
千葉県千葉市
千葉県流山市
東京都八王子市
神奈川県横浜市
神奈川県横浜市金沢区
神奈川県川崎市
神奈川県相模原市
神奈川県大和市
神奈川県藤沢市
神奈川県鎌倉市
新潟県糸魚川市
新潟県三条市
石川県金沢市
石川県内灘町
石川県野々市市
GIS
オープン
データ数 データ数
25
11
11
16
9
1
11
3
33
15
4
18
7
16
58
6
9
2
9
15
4
2
5
7
2
73
5
101
9
238
4
19
7
5
6
17
3
8
1
4
合計
25
16
18
18
82
1
16
104
42
253
8
37
14
21
58
12
26
5
17
16
4
6
自治体名
福井県
福井県福井市
福井県永平寺町
福井県越前市
福井県坂井市
福井県鯖江市
福井県敦賀市
長野県須坂市
岐阜県
岐阜県大垣市
静岡県
静岡県裾野市
静岡県御前崎市
静岡県掛川市
静岡県三島市
愛知県
愛知県名古屋市
滋賀県大津市
大阪府大阪市
奈良県奈良市
鳥取県
徳島県
総計
GIS
データ数
36
17
10
22
11
21
6
3
12
69
14
2
オープン
データ数
33
7
12
6
14
2
1
6
2
2
5
1
4
8
12
13
8
1
229
779
42
54
88
391
1,184
合計
69
24
10
34
11
27
6
14
5
12
70
20
4
2
13
13
4
13
50
54
89
620
1,963
15
h=p://udct-­‐data.aigid.jp/ 16
2.多様な地域課題を発見する・共有する
UDC2014ワークショップで議論された地域課題
47まちの持続可能性をインデックス(指標)化したい
48橋梁の劣化など、インフラの不利益・リスクのある情報も積極的に公開して、地域での維持管理に活用したい
49目に見えない危険情報を可視化したい
50災害発生時のサバイバル情報を提供したい
51過去の災害を踏まえ、現在の場所や災害危険度を予め知りたい
52森林資源を利用したい人と利用してほしい人の情報マッチングを支援したい
53農林業に関わるデータの共有と見える化を促進したい
54森林資源を利用したい人と利用してほしい人とをつなげたい
55観光地のオフピークを活性化したい
56観光エコシステムをつくりたい
57広報誌の情報を活用したい(北海道室蘭市)
58地域の観光資源の掘り起こしと情報発信をしたい(北海道室蘭市)
59生活(北海道室蘭市)
60地域の観光資源の掘り起こしと情報発信をしたい(茨城県水戸市)
61商店街の活性化を図りたい(茨城県水戸市)
62歩きたくなるまちづくり(東京都日野市)
63安心して暮らせるまちづくり(東京都日野市)
h=p://udct-­‐data.aigid.jp/storage/f/2014-­‐12-­‐02T01%3A10%3A04.638Z/
udc2014issues1202.xls
17
ワークショップの成果はKnowledge Connectorで共有! h=p://idea.linkdata.org/ideas?tag=UDC2014 18
2014年7月26日(プレイベント)「室蘭マッピングパーティ」(約15名参加) 19
2014年9月8日「UDC2014東京WS vol.2(農林・まちづくり)」(約30名参加) 20
2014年9月〜11月「アーバンデータチャレンジ2014in 石川 Vol.1~3 ハッカソン」(各20名参加) 21
2015年1月「第3回“まち”をもっと良くするアイデアワークショップ・ハッカソン」 22
「アーバンデータチャレンジ」2年目を迎えて
•  データ開放だけの視点ではなく、地域課題に即した
データの流通やユースケースを市民と行政で一緒
に考え続けることが大事 •  G空間プラットフォームを介した「横」連携(複数の自
治体やソリューション化)の可能性 •  G空間プラットフォームは、地域データを流通するハ
ブになる=地域課題解決のためのデータ活用・実
データの「見本市」になれるのでは
楽しく、突き進みましょう! udc2014-­‐offi[email protected] h=ps://www.facebook.com/UDCT2013 23