(第 5 号議案) 2015 年 6 月 15 日 ユニバーサル志縁社会創造センター 2015 年度事業計画案 <2015 年度事業を進めていくにあたって> この4月、介護保険制度が大きく変わり、要支援状態にある人へのサービスを市町村等が独自に組 み立てることになります(日常生活総合支援事業) 。これを要支援者の給付削減と批判する向きもありま すが、各地の実情に即した地方分権型のシステムをつくる好機と考えたいと思います。2000年に介 護保険制度が施行される際、 「介護保険は分権の試金石」と言われたのですが、実際はほぼ全国一律の制 度運用がおこなわれ、極めて集権的な制度になっていました。その意味で、今回の改定は、あらためて 分権型の仕組みとして介護保険制度を再構築することが求められていると言ってよいでしょう。その際 重要なのは、住民自身がその担い手でなければならないということです。 同じ今年4月に、生活困窮者自立支援法が施行されます。日本の相対的貧困率は年々上昇しており、 直近のデータで16.1%、6人に1人が貧困状態にあります。特に稼働年齢層の貧困が深刻になって おり、この法律は、この層の人たちの自立支援を進めるものです。そして、すべての自治体で相談窓口 を設置することが義務付けられますが、同時に、自治体の意思で任意事業(就労支援、家計相談、子ど もの学習支援などのメニューのほか、自治体の創意による独自の事業にも国の助成金が出る)に取り組 むことができるような仕組みになっています。この法律も改正介護保険法と同様、自治体の力量が問わ れる分権型の制度設計になっているのです。 我が国は、本格的な人口減少社会に突入しています。これまでのような経済成長による豊かさとは異 なる価値観をつくっていくことが嫌が応にも求められる時代になったのです。その意味で、上記2つの 制度は、自らが住む地域社会のありようを考え、本当の豊かさを住民自身の力でつくっていくための貴 重な素材になるでしょう。QOC(Quality of Community )が個々の人々の幸せに大きくかかわること になるのです。 ユニバーサル志縁社会創造センターは、こうした問題意識から、2013年度からコミュニティオー ガナイザーの人材育成に取り組んできましたが、2015年度も重点課題とします。また、この間、S ROI(Social Return on Investment)に注目して研究してきましたが、新年度には生活困窮者自立支 援法における就労準備支援事業の事業評価基準をSROIの手法を使って作成すべく、補助金獲得をめ ざします。行政の事業をNPO等に委託する事例が増えています。生活困窮者自立支援法の事業も多く が民間委託で実施されます。その際、限られた財源を有効に使用するために、的確な評価基準を持つこ とが極めて重要になっていきます。 そのほか、ユニバーサル志縁社会創造センターは、以下の事業計画案に基づいて、2015年度も活 動を継続してまいりますが、地方分権時代の全国規模の中間支援団体の役割とは何かを模索していきた いと考えています。 (第 5 号議案) <5 か年計画の中間報告について> 平成 25 年度に策定した 5 か年計画において以下の活動領域をベースに事業を推進していくことを定め、 活動を行ってきた。2 年が経過し、3 年目を迎える本年度は社会情勢の変化や本団体の各事業の現状を鑑 み、活動領域の修正を行う議論の場を設けていくこととする。 <ナショナルセンターとしての機能について> 当団体は NPO 事業サポートセンターと地域創造ネットワークジャパンを母体として設立した経緯か ら NPO 支援を行うナショナルセンターとしての機能が期待されおり、今年度も下記の機能の充実を行う。 ・政策提言 ・ネットワーキング ・人材育成 ・震災復興 (第 5 号議案) <当センターの事業内容> 1.社会的経済セクターの協働(地域に根差した政策づくりや具体的参加の促進) 1)NPO の基盤強化(中間支援 NPO へのノウハウ・情報の提供) ①情報発信の強化 ユニバーサルな志縁社会を推進する先駆的事例をホームページ、メールマガジン、インターネット 中継などを活用し、全国の中間支援 NPO を中心に発信する。 期間:2015 年 4 月から 2016 年 3 月 活動目標:ホームページ随時更新。メールマガジン月1回発行。メーデー、ラブファーマーズマー ケット、土と平和の祭典への参加、NPO まつりの実施協力。 ②支援ツールの提供による機能強化 専門家派遣や講演会、NPO 支援ツールの販売等を継続して行う。 ア.専門家による起業・運営相談(会計・税務) 自治体からの委託。 イ.支援ツールの普及(NPO活動保険、会計ソフトウェア等の販売) NPO 活動保険の紹介、N-books 紹介、会計日誌等ツールの販売、チャリティ自販機の設置。 ウ.NPO 支援東京会議の事務局運営 会計士、税理士等の専門家ネットワークの事務局。 エ.西武街づくり活動助成金等における団体の推薦 期間:2015 年 4 月から 2016 年 3 月 活動目標:各種支援ツールの PR をホームページ等で実施し利用団体の倍増を目指す。 ③人材育成 ア.コミュニティ・オーガナイジング・ワークショップの実施 ハーバード大学マーシャルガンツ博士が開発した市民一人一人のリーダーシップを育む「コミュニ ティ・オーガナイジング・ワークショップ」を福祉人材向けに実施。 期間:2015 年 5 月、9 月、2016 年 1 月等予定 活動目標:3 回程度 イ.中小企業庁創業スクールの検討 創業スクールは中小企業庁の事業で、NPO 等が講座を受託し、地域において新たに創業を予定し ている方、創業に再チャレンジする方等を対象に、経営、マーケティング、会計、税務等のカリ キュラムを用意し、創業時に必要となる知識・ノウハウの習得や、ビジネスプランの作成支援を 実施することで創業に向けたサポートを行います。当団体も今年度講座実施主体として NPO 等の 起業の支援を行なうことを検討し、必要に応じて実施する。 (第 5 号議案) 2)ユニバーサル志縁社会を推進するための調査、研究、政策提案 ①SROI、SRI、 「思いやり経営モデル」等の研究 これまで検討してきた SROI、SRI、 「思いやり経営モデル」等の研究や調査をもとに、厚生労働省 「社会福祉推進事業」を活用し、生活困窮者の自立支援制度の就労準備支援事業を実施している事業 の評価指標のガイドラインを作ることを目指す。 2.ユニバーサルな地域社会づくり支援 (誰一人として孤立しない・させない地域社会づくり) 1)志縁をつなぐ文化祭 (アーティストと連携し文化芸術活動を通じて、地域のつながりをつくり、イベント開催して地域 の NPO 活動を支援) ① ぬちゆいトークライブの実施 震災直後から精力的に被災地へ支援活動を行ってきた会長・加藤登紀子が被災地での経験をもとに 作成した楽曲「命結~ぬちゆい~」 。昨年度よりこの楽曲をより多くの人たちに聞いてもらうことで地 域を元気づけていくことはできないか検討を開始。 「私の未来、私たちの明日、地域コミュニティの次 の時代を切り開き、人と人、人と自然の活力を取りもどすためのイベント」として「加藤登紀子 命 結~ぬちゆい~トークライブ」を企画。今年度は理事・関連団体と連携し現在 2 か所でのイベント開 催を予定。活動を通じてユニバーサルな社会づくりの意義も伝えていく。 期間:2015 年 4 月から 2016 年 3 月 活動目標:年 2 回ぬちゆいトークライブを開催 実施予定:2016 年 3 月愛知県半田市で実施予定、来年度 4 月に千葉県佐倉市でも実施予定。 2) 「地域における助け合い事業」支援 「助けて!!」といえる関係づくりの第一歩として、誰でもどこでも気楽に始められる「人と人、 人と社会をつなぐ居場所づくり支援」を行う。 ① 「地域支え合いツール」の普及 当センターが開発した「地域支え合いツール」を NPO 事業サポートセンターから引き継いでいる 「NPO による緊急雇用・就業応援全国ネットワーク Hands」の費用等を活用し作成した冊子「あな たの地域デビュー!」 (下図)等を販売。これらを活用し研修を実施。 ・地域支え合いツール(地域共生・協働プロデュースマニュアル)の普及 ・地域づくりコーディネーター(仮称)等人材育成事業 (第 5 号議案) 3)地域循環型企業資金拠出システム(プロジェクトファイナンス)の普及 ①NPO 等の活動を支援するファンドレイジングの実践 NPO バンク等と連携し、地域で事業を興す際のファンドレイジングのノウハウの提供。本年度はユ ニバーサル就労を実施するための基金や社会的養護が必要な子ども等支援が必要な子どもたちへの支 援(奨学金等)を実施すための基金等の検討を行う。またぬちゆいトークライブにファンドレイジン グの機能があることを踏まえ今年度もぬちゆいトークライブを継続実施。更に NPO 事業サポートセン ターから引き継ぎ伊藤園様と開発したチャリティ自販機を設置。福祉施設等に設置し売り上げの6% を当団体に寄付される。そのうち3%は市民協に提供。寄付金は今年度は、東日本大震災被災地支援 ツアー(陸前高田市長洞元気村、南相馬市小高地区等)に活用予定。 4)地域における防災コミュニティ醸成支援 慶應義塾大学SFC研究所防災情報社会デザインコンソーシアムと連携し、地域における防災コミュ ニティの調査研究、防災訓練等を実施。 3.ユニバーサルなはたらく場づくり支援 (身体的、精神的、社会的理由によって働きにくさを抱えている人とも一緒に、誰にとって も働きやすい職場づくり) 1)ユニバーサル就労システムの推進に向けたノウハウの提供 「ユニバーサル就労」に取り組む企業団体を増やすために普及活動を実施すると共に継続的に就労 準備支援や就労訓練を行うため有償コミューターの交通費等を支援する基金の創設に取り組む。 (第 5 号議案) 期間:2015 年 4 月から 2016 年 3 月 活動目標:ファンドレイジングサイトの立ち上げと普及のためのイベント等を実施。 2)ユニバーサル農業の推進 ユニバーサル農業をコンセプトに据えたイベントを日本全国で開催することを応援する。 ① ユニバーサル農業普及事業 ユニバーサル農業に関心のある地域の団体等にアドバイスを実施。 期間:2015 年 4 月から 2016 年 3 月 活動目標:ユニバーサル農業に関心がある団体 5 団体程度 4.政策提言 1)政策提言プラットフォームの運営 市民キャビネットの事務局運営支援 社会的経済セクターの中核を担うNPO法人が集う政策提言のプラットフォームとして、会員数の 拡大や政策の質の強化を行い、社会的なプレゼンスの向上を図る。特に東日本大震災支援全国ネット ワークなどと連携し福島県からの広域避難に対する支援活動を行う。また放射線災害がもう一度あっ た場合の対策・対応の提言も検討する。本年度はモデル的に地域会議を開催し、地域の課題をベース に政策をつくり、国の制度改善の要求を行う地域を設定し、活動をPRしていく。 期間:2015 年 4 月から 2016 年 3 月 活動目標:3 カ所での地域会議、政策フォーラムの開催。 5.東日本大震災復興活動支援 (NPO・市民団体等が取り組む東日本大震災復興活動を支援) 1)東日本大震災復興支援活動についての意見交換の場の設定 理事、 会員の皆様と一緒に支援活動についての課題について意見交換をする場を設定する。 また 2011 年から事務局運営を支援している東日本大震災復興 NPO 支援・全国プロジェクト事務局も継続して行 ない、企業、市民からの支援を被災地や避難先のNPOへコーディネートしていく。また東日本大震 災支援全国ネットワークの世話団体も務める。 期間:2015 年 4 月から 2016 年 3 月 活動目標:随時実施 (第 5 号議案) 2)公民館、仮設住宅等でのコミュニティ活動支援事業 2011 年 5 月から実施している復興支援ITボランティア派遣で構築した関係性をベースに、地域の 公民館や仮設住宅等へインターネット回線等を敷設し、地域防災教育のシステムづくりやコミュニテ ィの活性化への支援を行う。主に、陸前高田市、大船渡市で活動を実施予定。チャリティ自販機の寄 付を活用した陸前高田市長洞元気村訪問ツアー、南相馬市小高地区スタディスター等も企画。 期間:2015 年 4 月から 2016 年 3 月 活動目標:随時実施 6.資金状況報告 別紙
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