平成27年度事業計画書

平成27年度事業計画
平成27年3月
一般財団法人バイオインダストリー協会
i
目
次
Ⅰ事業方針
1
Ⅱ重点活動
2
1.会員参加でバイオ産業の発展をリードする事業の推進
2
(1)施策に活かされる提言と対話力の強化
(2)ハブ機能強化によるグローバルな事業連携の拡大
(3)シーズ発掘から実ビジネスに繋がる情報発信、
及び社会と会員の要請に応える新規事業の開拓
2.バイオ産業発展を支える基盤機能の強化
5
(1)生物遺伝資源の活用促進
(2)基盤機能の充実
3.取組み姿勢と行動の革新
8
(1)シーズの先取りと会員参加の機会拡大
(2)他組織との連携体制と運営
(3)事務局機能の革新と強化
4.収益構造改善
9
Ⅲ受託事業
10
1.調査研究
10
(1)生物多様性総合対策事業
(2)新バイオ技術の産業活用促進基盤整備事業
(3)革新的バイオマテリアル実現のための高機能化ゲノムデザイン技術開発
2.研究開発
13
バイオ燃料製造の有用要素技術開発事業
ii
Ⅰ事業方針
平成26年度を初年度とする第二次3ヵ年事業計画では、世界大競争時代の中、当財団の到達目標を「バイ
オ産業の発展基盤・プラットホーム機能を強化し、日本のバイオ産業の国際競争力向上に貢献する。」とし、イ
ノベーション、ビジネスの加速のため以下の4大重要方針を定めた。
《4大重要方針》
(1)会員参加でバイオ産業の発展をリードする事業の推進
(2)バイオ産業の発展を支える基盤機能の強化
(3)取り組み姿勢と行動の革新
(4)収益構造の改善
平成26年度は、平成25年6月に閣議決定された「日本再興戦略」の実質的な実施段階であり、平成26年
6月には健康・医療戦略推進本部が設置され、7月には健康・医療戦略が閣議設定された。
この流れを受けて再生医療等の安全性の確保に関する法律(平成25年11月公布)が平成26年11月に施
行され、国内に於いてiPS細胞を用いた世界初の臨床研究として加齢黄斑変性への移植手術が実施された。
国民の健康増進に貢献し、且つ産業振興の一翼を担う領域として、バイオ産業への期待はますます大きくなっ
ており、加えて地球規模での人口増、食糧、環境汚染などの課題に対応し得るのもバイオテクノロジーによる
技術革新が重要と目されている。
こういった期待に応えるべく当財団は革新的且つ価値の高いシーズの掘り起こしと速やかな産業化を目指
し、研究者或いは企業への機会提供の一つの場としてバイオビジネスセミナーの展開など新たな活動を開始
し、加えて国民の健康寿命の延伸、すなわち予防の重要性を鑑み、異業種・分野の融合による新しいヘルス
ケア産業の創出をめざすヘルスケア研究会を設立した。また、産業全体への影響が大きい政策決定に対して
バイオ産業を代表していくつかの提言、或いは第5期科学技術基本計画に関し経団連と連動した主張の展開、
生物多様性条約・名古屋議堤書に関する緊急提言(要請書)を行ってきた。
アベノミクスによる経済の回復傾向に伴い、我が国の科学技術の存在感がグローバルに一層高まることが期
待されている中で、産官学はそれぞれの領域において懸命に技術革新に取り組んでいるが、「バイオベンチャ
ーが十分に育っていない」、「アカデミアの研究成果が産業に結びついていない」、「異分野の融合によるイノベ
ーションが進んでいない」など産業化への歩みの遅さは依然として大きな課題となっている。平成27年には、
(独)日本医療研究開発機構の本格的な活動が始まるとともに当財団に関わるいくつかの組織の再編等、当
財団にとって種々の環境の変化が想定される。これら政策・組織が変換する時期に、バイオ産業の情報を集
約し、産学官の連携を進めてきた当財団が継続的に政策課題の推進に協力し、産業の発展に寄与することは、
当然のこととして大きく期待されるところである
平成27年度は第二次3ヵ年事業計画の2年目として、4大重要方針のもと、会員と課題を共有し、産学官の
連携を図り、バイオ産業界の発展に目に見える形で貢献する事業に積極的に取り組む。
-1-
Ⅱ重点活動
1.会員参加でバイオ産業の発展をリードする事業の推進
(1)施策に活かされる提言と対話力の強化
1)政策提言と対話の枠組みの革新
2014 年度は、名古屋議定書、バイオベンチャー、食品の機能性表示制度など重要課題に絞った提言を実
施した。本年度は、各提言が政策に反映され実行されるために、自らも行動を開始する年と位置付け、政策と
連携した JBA の諸活動を強化するとともに、政府の委員会への参画や計画策定への協力をおこなう。また、
名古屋議定書関連など機動的な対応が必要な案件に、迅速に対応する。
2)政策情報セミナーの活用・進化
政策情報セミナーでは継続して重要な政策立案の実務担当者やキーマンに講演を依頼し、政策対話の場と
する。〈年10回程度開催〉
3)「バイオが貢献して拓く未来社会」
昨年度までの1~9巻を受け、「バイオが拓く未来社会に対する将来ビジョン」と位置付けた「総括編」を掲載
する。
4)日本バイオ産業人会議(JABEX)に対する支援活動
日本バイオ産業人会議(JABEX)の会員に対するタイムリー情報提供や意見集約など、JABEX が
上記活動を円滑に行えるよう事務局機能として全面的に協力・支援する。
(2)ハブ機能強化によるグローバルな事業連携の拡大
1)BioJapan をアジア No.1 の確固たるマッチングの場に変革
①「オープンイノベーションの発展基盤」と位置づけ、イベント全体の内容の充実を図る。特に国内外の関係
者の相互連携の促進に寄与する場への改善を目標に、一層魅力のあるセミナーの企画を始めとして、企画
構成を見直し、出展者・来場者を拡大して国際イベントとしての充実を図る。
②医薬・医療(再生など)医療機器・試薬等、機能性食品、
出展・パートナリング参加企業数
ヘルスケア、グリーン、環境エネルギーおよび国内外バイ
800
オ関係団体の相互連携を重点課題としてテーマの充実・
600
400
拡大を図る。
510
607
678
750
(目標)
295
200
0
2011
2)国際連携の活発化とビジネスに繋がる活動の展開
①成長著しいアジアの活力を我が国のバイオ産業の発
展に結びつける視点から、引き続き「アジア連携」を推進
する。また、日本製薬工業協会との「アジア創薬連携」プ
ロジェクトとの協働を通じてアジア各国の関係先との連携
強化を図る。
2012
2013
2014
商談件数
12000
10000
8000
6000
4000
2000
0
1600
2011
2015
8000
3372
2012
4747 5801
2013
2014
(目標)
2015
②世界最大規模のバイオ系国際イベントである BIO International Convention (米国)、BIO-Europe
(欧州)そして BioJapan(日本)などの場を活用して世界各国のバイオ団体およびそれらのメンバーと協調し
相互発展と課題解決を目指し連携強化を図る。また、全国バイオ関係者の連携強化による、国内外クラスタ
ーサミット in BioJapan2015 の拡大を実現する。
-2-
③JETRO、中小機構、日本製薬工業協会など、国内関係団体との密接な連携の下にバイオベンチャー支
援を含む組織間連携を促進する。
④JBA公共会員の海外大使館・州政府事務所による、各国のバイオの現状、投資、事業開発、研究開発、
国際展開についてネットワーキングセミナー等を開催、それら最新情報を会員企業と共有する場を提供し、ビ
ジネスチャンスにつなげる。
3)バイオベンチャー育成強化のサポート活動
①新たに加えた医療機器分野での自主的な活動を進めると同時に、医薬・医療系、機能性食品系などのヘ
ルスケアー系バイオベンチャーの事業提携の支援活動を強化する。
②全国のバイオベンチャー育成・支援組織との連携活動を本格化し、同時に海外のバイオ団体・クラスター
等との連携、協働化によるバイオベンチャーの事業展開の支援を推進する
⇒ バイオビジネス推進協議会(仮称)の設立
③首都圏バイオ活動の継続、リニューアル
⇒ 専門家によるビジネスプラン・研究開発アドバイスの強化
④バイオベンチャー統計・動向調査
全国 550 余社のバイオベンチャーに関する統計による実態調査に加えて、バイオベンチャーと大手企業と
の提携、パイプライン等、IPO 情報等の動向を纏めて統計・動向調査報告書を作成する。
本調査の概要は「日経バイオ年鑑」(日経 BP 社)に投稿・掲載する。
4) バイオビジネスセミナーの推進・活用
同業および他業種間の産-産連携を一層活発化し、幅広い領域の産業においてバイオ事業の創出と拡
大を目指す。講演は、JBA 理事をはじめとして各企業の幹部・役員の方々に依頼し、研究開発方針、事
業戦略、社外提携事例等のご紹介を戴く。今年度は 10 回程度開催する。
(3)シーズ発掘から実ビジネスに繋がる情報発信、及び社会と会員の要請に応える新規事業の開拓
医療、環境、食品、基盤の個々の分野で、イノベーション創生に直結する技術情報収集と発信を行う。
、
例えば内閣府は「戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)」において府省の枠や旧来の分野を超えたマ
ネジメントにより科学技術イノベーション実現をめざしており、この SIP や JST 研究テーマ、文部科学省「先端
融合領域イノベーション創出拠点形成」プログラム等の最新研究情報を会員に提供するセミナーを開催し、
イノベーション創生の核としていきたい。
1) 研究会の新設・再編
①グリーン系の 3 研究会(発酵と代謝研究会、アルコールバイオマス研究会、新資源生物変換研究会)
有機的に連携をとって効率的な活動を推進する。昨年同様に、年間通しての課題を設定し、3 研究会で合
同のシンポジウムや見学会を企画し、BioJapan 等において日本のグリーンバイオの将来に向けた明確な
提言等を行う。日本が誇るバイオ製造基盤技術(入口)の更なる深化に向けた提言と、企業が事業化を進
める上での課題や問題点(出口)を、研究会において総合的に見極めを行う事で、アカデミアと企業の連携
を深め、共に手を携えて新たなグリーンバイオ事業におけるイノベーションを興すべく活動する。
②「機能性食品研究会」
国民の健康寿命の延伸と産業振興への貢献を目指して、会員相互の意見交換や勉強会の実施を通じ
て課題等を集約し、JABEX 等と連携して食品の機能性表示制度に関する提言やパブコメへの意見提出
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を行うとともに、科学的な機能性評価システムの実証・実用化や新規プロジェクト立案などイノベーション
創出に向けたより具体的な活動を目指す。
③バイオエンジニアリング研究会
シングルユースに関する分科会活動を深める。
④ヘルスケア研究会
会員相互の情報共有、共通課題への対応等を目的としてクローズドの会合を重ね、メンバー間の交流
を深化させる中から、イノベーションの芽を育てていく。
⑤新しく「植物バイオ研究会」を新設する。
2) セミナーの新設、推進
医薬医療、食と健康、環境、ものづくり(化粧品、バイオリファイナリー、植物バイオなど各技術分野につい
て、各3~4件を厳選して開催し、加えて丸一日を使った大型企画も年1~2回開催する。全体で年間20回
程度開催を予定。
①健康・医療
ⅰ)バイオ素材、コホート研究、ヒト介入試験、時間栄養学、再生医療、ゲノム編集に関するセミナーを
企画する。
ⅱ)業種間融合を進める新しい取り組みを開始する。新規診断機器、自宅健康診断のための情報通信、
運動・食事を連動した健康維持事業など。
ⅲ)細胞を三次元に培養する技術を基盤として、組織モデル形成、創薬支援、再生医療などを最終ゴー
ルの一つとする開発の、情報ハブ役を担う。
ⅳ)既に広く使用されている既存医薬品、あるいは薬効不足等により開発中止した化合物を、新規の薬
効の証明により、新たな効能の医薬品として再開発する「ドラックリポジショニング(DR)」がアカデミアに
おいて実施される一方、製薬企業は積極的ではない。JBA ではこれまで産官学での勉強会を実施して
おり、その延長として製薬企業がDRに取り組める環境整備を推進する。
②環境・ものづくり
バイオポリマーおよびバイオミメティクスを掲げ、これを柱にシンポジウムや講演会の企画を進める。バ
イオ由来の原材料(バイオマス有効利用・藻類利用)からの燃料、化学品原料生産技術に対する期待は、
天然資源の枯渇や環境調和型産業創成に向け、再度高まる可能性がある。これまでの微生物による物
質生産に留まらず、多様な生物種をターゲットにバイオポリマーおよびバイオミメティクスを考えていく。
藻類のパラミロン、微生物の吸水ポリマー、蜘蛛やカイコなど昆虫由来のポリマーや機能性物質もター
ゲットとして進める。
③食品
科学的な機能性評価システムの実証・実用化や、高齢者の脳機能と身体ロコモーション機能を改善す
る効果のある機能性食品・農林水産物の開発、時間栄養学の知見を取り入れた多様な次世代機能性農
林水産物・食品の開発など、イノベーションを興す食品の開発を念頭にセミナーを開催する。
④植物バイオ
新設する植物バイオ研究会で取り上げるテーマについて、公開のセミナーを通じて、企業の参画を促進
する。
⑤基盤・新規技術展開
マイクロエンジニアリング 3D プリンターバイオポリマー、光合成、昆虫バイオ、リモートセンシング、壁面緑
化など取り上げていく。さらに、バイオロボティクス、超電導、宇宙バイオなど、最先端科学を支える基盤技
-4-
術とバイオの複合領域や学際領域も取り上げ、新ビジネス創出につなげる。
2.バイオ産業発展を支える基盤機能の強化
(1)生物遺伝資源の活用促進
1) 名古屋議定書対応
①2014 年 10 月に、「遺伝資源へのアクセスと利益配分(ABS)に関する名古屋議定書」(以下、名古屋議
定書)が発効し、第 1 回締約国会合(COP-MOP1)が韓国・平昌(ピョンチャン)で開催された。しかしながら、
名古屋議定書が対象とする遺伝資源の外縁が明確でなく、一般流通品(コモディティ)や派生物の取扱い、
遡及性(過去に遡って利益配分を求められる恐れ)など、数多くの問題が残されている。このような状況の
下、日本が拙速に批准すれば、企業や大学等における事業、研究開発活動の妨げとなる恐れがあり、慎
重な対応が望まれる。
②2014 年 10 月には、JBA をはじめとする 5 団体の連名で関係各大臣宛に、名古屋議定書の批准に関し、
拙速に走るべきではないとの要請書を提出したが、引き続き会員企業や関連機関との連携を図り、意見具申
等適切に対処していく。
2) 生物遺伝資源の活用促進
バイオ産業界にとって、生物多様性条約や名古屋議定書等の国際的な議論を踏まえつつ、生物遺伝資源
を有効に利用していくことがますます重要となってきている。今年度も、引き続き生物遺伝資源の活用促進に
向け、遺伝資源へのアクセスと利益配分(ABS)に関する各国の状況調査・分析、相談窓口対応、ウェブサイト
や説明会を通じての情報発信等を行う。また、ABS に関する国際交渉に際し、各国の交渉ポジション等の情報
収集や分析を行い、論点整理するなどして政府を支援する。
(2)基盤機能の充実
1)先端技術の社会実装 (産業と社会部会、安全・環境部会の統合)
産業と社会部会、安全・環境部会両部会はバイオテクノロジーの先端技術の社会実装を進めるという共通
の目的を持つため、その活動においては重なる事項が多く、関連情報を共有化するためのセミナーなどの事
業は共同で運営することが多かった。平成 27 年度は両部会を統合し新たな「産業と社会部会」を立ち上げ、バ
イオインダストリーに関わる規制対応、政策理解、社会実装のための啓発やコミュニケーションのあり方などを
総合的に扱う機能を担わせることを目指す。
①サイエンスコミュニケーションの推進
ⅰ) 「バイオ学園」を通してバイオの力(ちから)を幅広く発信
バイオの理解促進のための広報は大切な活動であるとの認識のもと、Webサイト「みんなのバイオ学園」の
コンテンツの評価とメンテナンスを実施する。また、同コンテンツの認知度を上げるために、会員企業や日本
農芸化学会などの協力のもと、バイオ学園パンフレットの配布拡大を図る。
ⅱ) 他機関との連携
北の丸科学館、日本科学未来館やくすり博物館と連携しバイオ学園資料等の出展を継続する。
ⅲ) サイエンス&リスクコミュニケーションに係るセミナー企画
先端技術(例:遺伝子組換え技術、GM 食品等)に関する社会啓発運動など。
②政策理解 (政策情報セミナー)
施策に活かされる提言と対話力の強化の項参照
-5-
③ 先端技術に関わる規制への対応
ⅰ)カルタヘナ法の規制動向、運用と遵守に係わる活動
・カルタヘナ法及び関連省令の最新規制情報等を収集して会員に適宜発信する。
・カルタヘナ法の説明会:GILSP(優良工業製造基準)告示リスト、法の運用と遵守に関する説明会を
行なう。同時に会員のための「カルタヘナ法に関する個別相談」(回答者は経済産業省、文部科学省等)を
行なう。
・カルタヘナ議定書「責任と救済」補足議定書(2010 年 MOP5 採択)の国内法への対応: 適宜・必要に
応じてセミナー等の開催と意見集約を行う。
ⅱ)国内外の遺伝子組換え技術、食品表示規制等の動向把握及び過剰・不適切な規制への対応
・遺伝子組換え技術、食品表示、作物栽培等への過剰、又は不適切な規制がある場合には関連学会・団体
と連携して適宜改善要望等の意見表明を行う。
ⅲ)新たな課題への対応: 「合成生物学」、「NBT」等について国内外の情報(技術、規制)を収集し、セミ
ナーや B&I 等を活用し会員への情報提供を行う。
ⅳ)バイオセキュリティ等対応
・「国民の保護に関する基本方針(平成 18 年)」、「新感染症法(平成 19 年)」等に基づき、経済産業省が定
期的に実施する「病原性微生物・毒素等の保有・管理状況調査」に協力する。
・会員企業のバイオセキュリティ・バイオセーフティに関する意識・知識を高める目的で、関連セミナーの
開催や関連教育ビデオの制作・販売等を行う。
2) 産学交流(産学交流部会)
本年度は下記の活動を進める。
①バイオ業界が今後傾注すべき方向性やオープンイノベーションのあり方などの模索
上記標題に関連する事例、考え方をセミナー形式で紹介していただき、事例研究を行う。この議論・検討結
果を JBA のセミナー企画や政策提言活動に反映させる。
②部会活動の見直し
会員と時代のニーズを取り入れ、よりインパクトのあるアウトプットを生み出せるような活動形態を検討し、平
成 28 年度を目途に部会のリニューアルを行う。
3) 知的財産委員会
昨年同様バイオ関連の知的財産に関する諸問題を取り上げ、委員会で調査および議論の後に、その結果を
当財団に留まらず国内外のバイオ関連の他団体と情報共有し公開の場で発表していく。また、適宜に知的財
産にまつわるセミナーを開催して会員への知的財産に関する情報発信と意見交換を行う。
4) 国際標準化委員会
平成 26 年度に引き続き、バイオ産業の国際的な標準化の動向を見極めつつ、適宜、関連する新規事業の
企画立案、推進に取り組み、我が国バイオ産業の国際競争力の強化を図る。平成 27 年度は、主に次の活動
を行う。
①再生医療市場獲得“コトづくり(産業化)”戦略の策定
ISO/TC276(名称:バイオテクノロジー)国内検討委員会に専門委員として参画し、ISO/TC276の Working
Group 1 (Terminology)、Working Group 4 (Bioprocessing)におけるヒト幹細胞技術の産業化、再生医療の実
用化を巡る標準化の動向を重点監視するとともに、幹細胞評価基盤技術研究組合と連携して、再生医療のた
めの“モノづくり”から戦略的“コトづくり=産業化”の環境整備を図る。
②JBAが原案作成団体となっている有効JIS規格の定期見直し等、管理業務を継続実施する。
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5) 人材育成(産学交流部会)
産学の連携により、将来のイノベーション人材を育成する事業を実施する。
①「JBA バイオリーダーズ研修 2015」
オープンイノベーション時代の事業化企画の実践研修を企業人が参加して2泊3日の宿泊型研修として実施
する。企業経営者等の講演と具体的な特許の事業化を事例とした事業企画等を研修の中で学ぶ。なお、本研
修のフォローアップ(ネットワーク構築等)も行う。
②BioJapan における短期インターンシップ
昨年度の東京工業大学の学生を受け入れたインターンシップは高評価を受けた。
これを受けて今回は
ⅰ)他大学の受け入れ等、規模・方向性を再検討し、優秀な学生がバイオ産業に興味・関心を持つような道
筋の一つとなること
ⅱ)BioJapan においてキャリアフォーラム等の就活イベントを企画し、優れた人材をバイオ産業に送り込む
機会をつくる
以上について、検討・調査を開始する。
6) 顕彰、奨励活動(バイオインダストリー協会賞、発酵と代謝研究奨励賞、化学素材研究開発奨励賞)
①バイオインダストリー協会賞
バイオサイエンス、バイオテクノロジー及びバイオインダストリーの分野における顕著な業績を顕彰するもの
である。有馬啓記念バイオインダストリー協会賞の趣旨を継承発展させ、表彰の対象範囲を研究・技術開発の
みならず国民理解や人材育成などの人文・社会科学や産業化推進活動まで拡大した幅広い活動から、ポスタ
ー配布、HP、電子メール等を通じて、広く応募を募り、選考する。
②発酵と代謝研究奨励賞及び化学・生物素材研究開発奨励賞
若手研究者の研究奨励を目的としたもので、ポスター配布、HP、電子メール等を通じて、広く応募を募り、選
考を行う。
③上記 JBA3賞については平成 27 年 10 月 14 日-16 日開催の BioJapan2015 会場で授与式を実施し、
活動の周知を図る。
④表彰、奨励制度の見直し
・制度制定以来、殆ど変ることなく継続実施されてきた。時代に即した有意義な賞とするために各界から意見
を集め、また他団体の表彰制度も参考にして、新たな制度の検討を開始する。
7) 広報活動の強化
①機関誌「バイオサイエンスとインダストリー」(B&I)の編集・発行
・JBA 重点事業の一つとして、バイオ分野における先端・最新情報、産業界の動向、行政からの情報や海外
のバイオ産業界の動向及び JBA の活動などを紹介する(年 6 回発刊)。
・学術記事は編集委員会活動を充実させ効率的な編集体制を敷くとともに、編集委員、トピックス委員の協力
を得ながら、幅広いバイオ産業ニーズに対応した有用記事を提供する。学術情報の産業への橋渡しを意識し
て応用・産業化を念頭においた基礎研究の紹介内容とする。
・産業行政記事では、本機関誌の特徴でもある産業界のニーズに合った人材育成や国のバイオ関連重点政
策・領域に関する情報の紹介や、国際連携による海外の情報を提供する。
・JBA ニュースでは JBA の活動の「見える化」を目指して各委員会の活動内容をタイムリーに紹介し、会員と
の情報共有ならびに新規会員加入を促進する。
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・また、近年の電子書籍の普及に合わせ、本機関誌の電子ジャーナル化の可能性を、情報を収集しながら検
討する。
②ホームページとメールニュースの充実
会員にとって有用かつ満足度の高いコンテンツを、アクセスしやすいかたちで、提供していく。ホームページ
のアクセス状況、メールニュースの配信状況も定期的にモニターしながら、使いやすいホームページ運営を
進める。イベント、セミナー情報などを迅速に配信しながら最新HP情報を増やし、情報伝達を行い、会員ばか
りでなく一般利用者にも幅広く利用してもらう(メールニュース配信宛先数:約 900 件)。
③JBA Activity Report の発行
JBA の活動内容を会員と一般利用者にわかりやすい形にまとめ、Activity Report を発行する。
④BioJapan Report の発行
JBA が主催する BioJapan の活動内容を会員と一般利用者にわかりやすい形にまとめ、BioJapan
Report を発行する(事業連携推進部と協働)。
3.取組み姿勢と行動の革新
(1)シーズの先取りと会員参加の機会拡大
会員が当財団の場と機能を積極的に活用できるよう、会員とのインターフェースの拡大をはかる。具体的
には当財団の活動に関して、理事を始めとした会員メンバーとの意見交換、研究会の統廃合・新規研究会
の設立、討議中心の運営会議への更なる変革などを通じて、参画意義を実感して頂けるよう行動していく。
(2)他組織との連携体制と運営
1) 技術研究組合等他団体に対する支援活動
①分子動力学抗体創薬技術研究組合(MDADD)
当組合は、平成 26 年 3 月 31 日に解散し、平成 26 年 11 月 19 日に閉鎖した。今後 JBA は 10 年間の文書
保管の責を負い、求めに応じて資料開示・提供を行う。
②幹細胞評価基盤技術研究組合(SCETRA)
JBA は当組合の設立準備段階から、事務所の設立・運営に参画し支援してきた。設立後は組合員として参
画し研究を分担しており、今年度も実施の予定。
③一般社団法人再生医療イノベーションフォーラム(FIRM)
平成 26 年度は、JBA 職員が FIRM に出向し、社員総会・理事会の開催、総務全般(会員管理、経理事務、
資産管理、予算管理、決算・税務事務など)に係る全ての業務の支援を実施した。本年度も、FIRM の要請に
応え支援していく。
2) 他組織との連携強化
今までは、国プロをベースに独法・大学等学術研究機関を中心とした連携が中心であったが、自主事業に
関しても、独法・大学等学術研究機関に加え社団・財団法人、NPO、技術研究組合等バイオ関連団体と協働
で具体的なテーマに取り組み、Win-Win 関係を構築しながら、早期に目的を達成するべく連携を強化してい
く。
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(3)事務局機能の革新と強化
本年度は以下を重点課題として取り組む。
1)部会等の見直し
①安全・環境部会と産業と社会部会の統合
バイオインダストリーに関わる規制対応、政策理解、社会実装のための啓発やコミュニケーションのあり方
を総合的に扱う機能を担う部会として統合する。(p.5(2)基盤機能の充実で詳述)
②バイオベンチャーフォーラムの廃止
本フォーラムは、平成11年設立されたが平成23年以降は事業連携推進部がその業務を直接担当・推進し
てきた。(p.3 3)バイオベンチャー育成強化で詳述)今後もこの体制でバイオベンチャーの育成支援を進める
ことから本フォーラムは廃止する。
2)マイナンバー制度への対応
本制度は、本年10月より個人に番号が通知され、平成28年1月から運用が開始される。JBA には400人
程度の登録が必要となる。また、個人情報保護の面からも今までと異なる管理が求められる。 10月に通知
1月からの運用とタイトなスケジュールなので、情報システム会社との連携、職員の理解を得て、「相手に絶
対迷惑をかけない」をスローガンに、段取り良く対応する。
3) 業務の効果・効率の向上
平成18年よりコスト削減に取り組み一定の成果をあげてきた。今後さらに会員ニーズに応えて、自主
事業を拡充していかなければならない。そのような状況下、事務・業務のプロセス上、未だ無駄・落球等
改善すべき点が見受けられる。本年度は事務局業務を総点検し、組織・戦力配置も含めて改善のスター
トを切る。
4) プロパー戦力アップのために、定年退職制度も含めた人事諸制度の見直し
職務制度、賃金体系、定年退職・再雇用制度等人事及び就業に関する制度を時代に合った、また職員の
働きがいを感じる制度を目指して引き続き検討する。
4.収益構造改善
会員に期待される事業を継続して実施していくため、事務局の総力を挙げて収益構造の改善(自主事業を
着実に実施し、収支バランスの維持をめざす)に取組む。重点施策は下記のとおり。
1) 魅力ある事業展開による会員増
2) 自主事業における収入増(セミナー受講料、出版物売上)
3) バイオジャパンの JBA 貢献利益増
4) 受託・補助事業(継続・新規)の着実な獲得
5) 新事業による収入増
6) 個人会員の会費の是正
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Ⅲ. 受託事業
1. 調査研究
(1)生物多様性総合対策事業
[委託元] 経済産業省
2014 年 10 月に、「遺伝資源へのアクセスと利益配分(ABS)に関する名古屋議定書」(以下、名古屋議定
書)が発効し、第 1 回締約国会合(COP-MOP1)が韓国・平昌(ピョンチャン)で開催された。2015 年 1 月末現
在、締約国は 54 カ国と EU であるが、その多くは開発途上国であり、提供国措置である ABS 国内法令等を
新たに定めたのは、まだニカラグアとカメルーンにとどまっている。一方、EU は利用国措置に相当する EU
Regulation No.511/2014 を定め、現在 EC で実施細則を策定中であり、2015 年 10 月から実際に利用者に
義務が課せられることとなっている。
このように、我が国バイオ産業界にとって、生物多様性条約や名古屋議定書等の国際的な議論を踏まえ
つつ、遺伝資源を有効に利用していくことがますます重要となってきている。そこで、我が国バイオ産業界が
海外遺伝資源へ円滑にアクセスできる環境を整備するとともに、我が国政府による国際交渉を支援するため、
以下の事業を実施する。
1)遺伝資源へ円滑にアクセスできる環境の整備
①遺伝資源提供国と良好な関係を保ちつつ遺伝資源の産業利用を図るため、ABS に関するベストプラクテ
ィス・モデルの構築に向けた調査・分析を行う。
②ABS に関する相談窓口を設け、企業等からの相談に対し助言を行う。
③遺伝資源提供国の ABS 政策等の情報を、ウェブサイトを通じて発信する。また、バイオ関連企業等関係
者向けの説明会を開催し、ABS の啓発を行う。
2)国際交渉の支援
① 学識経験者及び産業界有識者等で構成されるタスクフォース委員会を設置し、ABS に関する国際交渉
の状況や課題について情報を共有し、今後の対応等について検討を行う。
②各国の ABS 政策等の情報収集、我が国の ABS に関する取り組み紹介等、相互理解を深めるため、諸
外国の ABS 担当者、専門家、コンサルタント等を訪問・招聘し、意見交換を行う。
③ABS 関連の国際会議に際し、各国の交渉ポジション等についての情報収集や交渉の情勢や国内産業
へ与える影響分析等を行い、政府を支援する。
(2)新バイオ技術の産業活用促進基盤整備事業
環境対応技術開発等(遺伝子組換え微生物等の産業活用促進基盤整備事業)
[委託元] 経済産業省
遺伝子組換え生物の安全利用に関する規制である「カルタヘナ法」の第一種使用等(拡散防止措置を執ら
ないで使用)における遺伝子組換え微生物の適切な運用に必要な生物多様性影響評価手法を確立するため、
科学技術をベースに評価手法の基本的な考え方及び現実的・効率的な評価手法について調査検討を行う。
検討を行うに当たり、関係する企業の協力を得て、遺伝子組換え微生物等の利用現場の実態を踏まえた的
確な評価手法の検討を行う。
また、評価の考え方や評価手法に関して海外の情報収集を行い我が国の評価書に資するものとする。ま
た、遺伝子組換え技術に関する国際会議、「生物多様性条約」締約国会議及び「カルタヘナ議定書」締結国
会議において今後議論される予定の事項の技術的分析、海外調査等を実施する。
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1) 第一種使用等における遺伝子組換え微生物の生物多様性影響評価手法の調査・検討
遺伝子組換え微生物等を利用することが見込まれる複数の企業等の協力を得ながら、遺伝子組換え生物
等の利用に関する規制である「カルタヘナ法」の適切な運用に必要な第一種使用等における遺伝子組換え
微生物の評価手法を調査・検討し、取りまとめる。
①遺伝子組換え微生物の環境影響評価のための基本的な考え方の検討
遺伝子組換え微生物の生物多様性影響評価手法の基本的な考え方の試案を基に、平成 26 年度に引き続
き、専門家、関係者等との意見交換をおこない、科学的根拠について環境微生物学、環境リスク評価等の関
連する幅広い分野から収集し、その精査、追加等を進め、試案の見直し、充実等に取り組み、コンセンサスが
得られるように取りまとめる。
さらに、社会科学分野のリスク学の専門家等から意見を聞いて第一種遺伝子組換え微生物の実用化の課
題を探りその対応等の意見を聞く。
②第一種使用遺伝子組換え微生物の生物多様性評価及び環境影響評価手法の調査
・複数の企業等と協力して、遺伝子組換え微生物の第一種使用の実用現場を想定し、生物多様性リスク等
を具体的に想定して、その現実的・効率的な評価手法のあり方、手法等について調査する。
・鉱工業分野において第一種使用等される可能性が高い遺伝子組換え微生物を想定し、遺伝子組換え生
物等の第一種使用等による生物多様性影響評価実施要項に基づく生物多様性影響評価書を作成する際に
必要な評価項目、評価方法について検討を行い、協力企業の現場を想定または用いた調査・検討を行い取
りまとめる。
③海外における遺伝子組換え微生物の使用等、特に環境中における使用等の規制に関する調査
海外における上記の遺伝子組換え微生物等を使用する際の規制について、我が国のカルタヘナ法におけ
る執るべき拡散防止措置、生物多様性影響評価等と比較しつつ、その内容等を調査し、取りまとめる。
④国内外の調査・委員会及びワーキング・グループ(WG)の開催、検討
上記を実施するにあたり、総合的に検討、推進するための委員会を開催する。本検討会での指導の下、協
力企業等による調査・検討及び海外現地調査を適宜行う。また、委員会の指導・助言・承認の下に、第一種
使用遺伝子組換え微生物の実用現場を想定、または用いた生物多様性影響評価の調査検討は複数企業の
参加協力を得てワーキング・グループ(WG)で行う。
2)生物多様性関連の遺伝子組換え技術の国際交渉等に係る対応
合成生物学に基づき作成される微生物や構成成分、その技術に由来する生産物に対する規制の是非につ
いて、生物多様性条約等の国際会議(COP12)で議論され、欧州が主導して今後オンラインフォーラムと専門
家会議(AHTEG)の設立が計画されている。また、次回カルタヘナ議定書の締約国会議(COP-MOP7)で
は、「環境リスク評価ガイダンス」等の採択の是非についての議論を行ったが、結論が出ず、次回の締約国会
議(COP-MOP8)まで継続審議をすることとなった。
上記のような状況で、平成 27 年度は、関係省庁や各機関とともに合成生物学の研究開発動向を調査分析
して、関係省庁や各機関へ報告することでわが国のこの科学技術に対する国際的な会議での意見形成に寄
与していくとともに、継続審議となっているカルタヘナ議定書下でのリスク評価ガイダンス文書に関する国際
議論に参加して、意見を述べていく。 以下具体的な実施項目を示す。
①合成生物学、新たな遺伝子組換え技術等に関する情報の収集・分析
合成生物学、新たな遺伝子組換え技術等について、国内外の技術動向を調査して、最新の情報の収集を
行う。また、今後、合成生物学の定義の明確化の取り組みにも参加し、オンラインフォーラムや専門家会議
(AHTEG)を通じて、次年度の COP13 に向けての我が国の方針構築を助けるような活動を実施していく。
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②「環境リスク評価・リスク管理フォーラム」での提案内容に関する技術的・専門的分析
「環境リスク評価・リスク管理フォーラム」において、最新の情報を継続的に整理・調査・分析し、生物化学産
業課事業環境整備室からの要望に応じて、最新情報の報告を行う。
③国内外の調査、委員会の開催
国内の合成生物学、新たな遺伝子組換え技術等に関する状況を把握するため、産業界や学会等へのヒア
リング等に加え、国際交渉に必要な検討を行うための委員会を開催する。
(3)「革新的バイオマテリアル実現のための高機能化ゲノムデザイン技術開発」
―革新的バイオマテリアルの市場性・競合技術の世界動向調査―
[委託元] 経済産業省/高機能遺伝子デザイン技術研究組合(受託事業)
画期的なバイオマテリアル製造技術の創成を目的とし、取得されたゲノム、発現遺伝子、機能た
んぱく質などの膨大なオミクス情報を、目的に沿った解析が効率よく遂行できるような、システム生
物学の観点から活用するための技術調査を活動の基盤としている。H24 年度から、「合成生物学」と
される研究の最新動向を国内外で調査を続けており、H25 年度は、それに加えて今後の市場の拡
大が期待される革新的バイオマテリアルについての調査を行った。H 26 年度は、継続的に調査を進
めている「合成生物学」「革新的バイオマテリアル」に加え、米国国防省の「生物工場からの 1000 分
子プロジェクト」計画ついて詳細に調査し、プロジェクト参加研究室の問を通して深化させた。当プロ
ジェクトの「長鎖 DNA 合成技術」の展開から生まれた機器についての市場性調査を、追加事項とし
て担当した。
H27 年度は、国際会議への参加や欧州での研究調査を中心に展開する予定。 現時点の候補は、
「大規模ゲノム改変技術」、「未利用遺伝子生物資源の活用」などをキーワードに展開する。
(4)「個別化医療に向けた次世代医薬品創出基盤技術開発(国際基準に適合した次世代抗体医薬品等の
製造技術)」事業
―次世代バイオ医薬品生産技術・知的財産に関する動向調査―
[委託元] 経済産業省/次世代バイオ医薬品製造技術研究組合(受託事業)
バイオ医薬品製造技術については、欧米が先行し、多数の知的財産権を所有している。そのた
め、本研究開発事業を進めるために、欧米の保有する技術や知的財産を詳細に調査把握および解
析することは重要で、欧米に遅れた部分は素早くキャッチアップしながら、新たな日本発の技術を創
出していくための基礎となる次のような情報調査活動を行う。
①H26 年度調査項目の継続を行う。すなわち、次世代抗体医薬品のための抗体工学技術調査と
して、海外の学会、CA/PubMed を用いた文献・特許調査、抗体製造装置を製造する企業リスト作成
を継続する。
②抗体医薬品製造に関連する BPSA, ASTM International 等の団体の活動情報を、同様に、学会
並びに文献調査をもとに活動状況を調査する。
③抗体医薬品用のシングルユース機器、器具の調査を実施する。調査分野としては、培養、精製、
分離、センサー・コネクター等を、企業・種類・品名・課題などを抽出しながら調査を行う。
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2.研究開発
バイオ燃料製造の有用要素技術開発事業
[委託元] NEDO
JBA は、2008/7 – 2013/3 まで NEDO の委託により実施した先導技術開発の成果を元にこれを更に
発展させ実用化につなげるため、糖化酵素(セルラーゼ)の開発、および創生した C5/C6 糖を燃料用ア
ルコールに変換することをテーマとした研究開発を NEDO の後継事業に申請、採択を受けて 2013/4 よ
り推進している。
1)バイオ燃料事業化に向けた革新的糖化酵素工業生産菌の創製と糖化酵素の生産技術開発」
酵素側からのアプローチとして、バイオマスに対する反応性、安定性、基質阻害耐性等に優れた
酵素の探索、ならびに酵素改変を進めており、また基質側からのアプローチとして、前処理前後およ
び糖化酵素反応前後のバイオマス表面構造および酵素付着の状態を評価し、またセルロース含有
率を調整したバガス前処理物により糖化に必要な酵素量を 1/2~1/4 と大幅に減少させる事ができ
た。加えて酵素の複合体である糖化酵素において最適な酵素比率を検討しており、これら研究成果
をもとに、商用スケールでの生産を可能にする技術パッケージの開発を進める。
2)有用微生物を用いた発酵生産技術の研究開発
C5,C6 同時発酵微生物としてキシロース代謝向上ならびに発酵阻害物耐性株の開発が進められて
おり、育種酵母(S.cerevisiae)につき、苛性ソーダ処理バガス或いはバガス糖化液を用いて、それらのグ
ルコース・キシロース資化能、エタノール発酵能、キシリトール、グリセロール、有機酸等の副生物生成
能等の評価を進めている。今後、2020 年までに最適な酵母株を創出し、商用機レベルに資する技術を
確立する。
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