浮世絵を通して見た江戸時代女性の人体表現について FemaleBodyShapeExpressedonUkiyoeduringtheEdoEra 森 下 あ お U沖 黒 川 隆夫** Aoimorishita Takaokurokawa *成安造形大学 造形学部 大津市仰木の呈 S e i a nU n i v e r s i t yo fArta n dD e s i g n ,O h g i n o s a t o ,O h t s u , **京都工芸繊維大学大学院工芸科学研究科 京 都 市 左京区松ヶ崎 G r a d u a t eS c h o o lo fS c i e n c ea n dT e c h n o l o g y ,K y o t oI 田 t i t u t eo fT e c h n o l o g y 句 M a t s u g a s a k i ,S a k y o k u , Kyou 日本園有の美意識が反映され描かれている浮世絵には,江戸時代の女性の装いの理想型が表現されてお り, その着衣形態は江戸時代の長い年月の中で多様な特徴を見せている.本稿では,江戸時代から明治初期に描 かれた代表的な浮世絵師による作品を取り上げて 7グループに分類し,描かれた女性の着衣形態から人体の ' I E 刻犬を推測することによって,立位の女性の人体寸法についてのデータベースの構築と人体育刻犬の特徴につ いての定量的分析を試みた.その結果 1)異なる絵師であっても同時期においては人体育タ伏の捉え方に共 通性が認められること, 2)人体の部位の捉え方には時期的推移が強く見られる箇所,見られない箇所があ ること, 3)現代成人実測値と比較して, くびれの少ないずん胴型の人体が描かれていることを指摘した. Ukiyoea r ec o n s i d e r e dt obea匂r p eo fa r tp a r t i c 叫a rt oJapanand紅 eg e n e r a l l yt h o u g h tt or e p r e s e n tt h e 句r p i c a lr e f l e c t i o no ft h eu n i q u eJapaneses e n s eo fb e a u t y . Theya l s os e r v ea sav a l u a b l es o u r c eo f i n f o r m a t i o nc o n c e r n i n gt h ei d e a lmodeso ff e m a l ed r e s s i n gd u r i n gt h eEdoe r a ,d e m o n s t r a t i n gt h a t ’ sc l o t h i n gs t y l e swerec h a r a c t e r i s t i c a l l ys u b j e c tt ot e m p o r a lchangest h r o u g h o u tt h ee r a . Int h お women s t u d y ,t h ea u t h o r ss e l e c t e du k i y o eworksbyv a r i o u sfamousp a i n t e r sr e p r e s e n t a t i v eo ft h et i m e s , c l a s s i f i e dthemi n t os e v e ng r o u p sa c c o r d i n gt ot h e i rp a i n t e dt i m e ,e s t i m a t β dt h ebodyshapeo ft h ef e m a l e modelsb a s e dont h e i rc l o t h e df i g u r e s ,a r es u b s e q u e n t l yc a r r i e do u tq u a n t i t a t i v ea n a l y s i so fd i f f e r e n t s i z e smeasuredont h ee s t i m a t e dbodyshapei no r d e rt od e t e r m i n et h ec h a r a c t e r i s t i c so ft h e i rbody s h a p e . Theyb山I tad a t a b a s ewhichc o n t a i n e dp但n t i n g so fs t a n 出ngf e m a l e s,t h e i re s t i m a t e dbodyand t h e i rbodymeasurements. Ther e s u l t sd e m o n s t r a t e dt h a t;( 1 )t h ef e m a l ebodywasd e p i c t e di nas i m i l a r manner抑 制e r e n tp a i n t e r s , whent h e yb e l o n g e dt ot h esamep e r i o do ft i m e;( 2 )some戸 市 o ft h ebody werei l l u s t r a t e di nd i f f e r e n twaysd e p e n d i n gont i m e so fp a i n t i n g ,w h i l et h e r ee 氾s t e do t h e rp a r t s e x p r e s s e di nas i m i l a rwaya l lt h r o u g ht h ee r a ;and( 3 )Thewomenont h ep a i n t i n g sweree x p r e s s e da s havingnow a i s tcomparedw i t hmodernf e m a l e s . キーワード:浮世絵,江戸時代,人体育外犬,定量的分析. Keyw o r d s : U k i y o e , Edoe r a , Bodys h a p e ,Q u a n t i t a t v ea n a l y s i s . 1 . はじめに 筆者らは描かれた装いと人体形状を手掛かりとして, スの構築を試みている.対象としているのは小袖が現 着物のデザインあるいは着衣形態と体形の相関関係を れる安土桃山時代から,江戸期と同様の手法による絵 記述することを目標に,立位に描かれた女性を対象と 画が存在する 明治初期までであ る.出土する人骨か ら した絵画とそこから推定される人体す法のデー タベー は人類学的方法で人体を推定することは可能と思われ -51- るが,現実には身長以外の推定は行われていな いとい 活用する可能性が聞かれると考えている. っても過言ではない.この点で,絵画資料の定量的分 6世紀初めから 1 7世紀中頃 までの近世の 浮世絵は 1 析から当時の人体寸法や体形に関して意味のある情報 初期風俗画を母胎として誕生し.江戸時代には複数の を提供可能ということになれば,種々の分野で絵画を 流派の多くの絵師たちが活躍した。浮世絵には描かれ 心 ている女性たち の典型 表 1 資料とした浮世絵作品一貫 作品名および分類番号 ( 作 品 数 49) 作者 生没年 作品年代 的な容姿が存在し,さら にこの典型は同じ流派 A 1 花下遊楽図 1 7世紀前半 A .1 6 0 0∼1 6 2 5 は勿論のこと,異なる流 ι2 彦根扉風 1 7世紀前半 A 派の絵師の間でも同時 A 3 舞踊図 1 7世紀前半 A B 縁先美人図 1 7世紀中頃 B .1 6 2 5 ∼1 6 5 0 c 和国百女 期には非常に類似した 菱川師宣 ? ∼1 6 9 4 c .1 6 7 5 ∼1 7 0 0 容姿が見出される. しか D 1 虫舗と子供 鈴木春信 1 7 2 5 ∼1 7 7 0 D .1 7 5 0∼1 7 7 5 しそれらはあく までも D 2 風俗四季寄イ山三月 鈴木春f 言 D 鑑賞者の主観的な印象 D 3 風俗四季寄仙水無月 鈴木春f 言 D ト4 ほにほろ 鈴木春f 言 D としての評価であるこ D 5 当世七福神大黒天 鈴木春信 D とが多い. また浮世絵の E 1 吉野川の花いかだ 鳥文斉英之 E 2 青楼芸者潔おふく 鳥文脊英之 1 7 5 6 ∼1 8 2 9 E.1 7 7 5 ∼1 8 0 0 E 人体表現を対象とし た E 3 風俗東之錦湯上り 鳥居j 青長 E 研究では,人体美学の観 E 4 風俗東之錦菅笠の娘 鳥居i 膏長 E 膏長 鳥居i 点からの頚部形態の研 E -5 色 競 艶 婦 姿 湯 殿 E E 6 隅因の渡し 鳥居清長 E 1 7 5 2 ∼1 8 1 5 究ヰ計量的な顔表現の E 7 美南見+二候五月 鳥居清長 E 研究など,主に頭部を分 E 8 風俗東之錦湯上り三美人 鳥居清長 E 析の対象としたものが E 9 四条河原夕涼挑 鳥 居j 膏長 E E 1 0浜町河岸の夕涼 鳥 居i 膏長 E E 1 1 社頭の見合い 鳥居,膏長 E 1 2聖堂;庄屋おきた 喜多川歌麿 E -1 3風流花之香遊び 喜多川歌麿 E E 1 4すきや 喜多川歌麿 E 1 7 5 3 ∼1 8 06 大半であり,その全身形 E 状の特徴を定量的に分 E 析しようとした体系的 研究はない. E 1 5両国矯々詰 喜多川歌麿 E 本稿ではまず浮世絵 E 1 6両国橘々詰 喜多川歌麿 E に描かれた容姿その ま E 1 7青 機 十 二 時 子 の 刻 喜多川歌麿 E E 1 8青楼十二時五の芸!J 喜多川徹底 E まで,その着衣に内在し E 1 9婦人.泊り客之図 喜多川歌麿 E ている人体を想定して, E -20青 穫 十 二 時 申 の 刻 喜多川歌麿 E その人体育到犬を表出し, F-1 歌川国貞 星や~当世風俗房楊枝 1 7 8 6 ∼1 8 6 4 F .1 8 2 5 ∼1 8 5 0 人体各部位の寸法や プ F 2 隅田川晩夏の景 歌J I 圏貞 F F 3 舟送り 歌川国貞 F ロポーションを算出す F 4 すみだ川花の景 歌川|国貞 F るという手法を用いて F 5 当世美人合 ・三光吉どり 歌川国貞 F F 6 浮世名異女図会東都弐丁町風 歌川国貞 F F 7 錫慈の雪伊豆の伊蔭ふじ i 主斉芙泉 F 女性の人体表現につ い F 8 新吉原八景・浅草寺の晩鐘 渓斉芙泉 F i 重斉芙泉 て定量的記述を得る .そ F 9 浮世姿美人合 F F 1 0秋 葉常夜燈 渓斉芙泉 F してそれら情報として F 1 1 新吉原八景楼上の秋の月 渓斉芙泉 F 含むデータベースを構 F1 2東 部呉服 屋三市 冨. M ~ ぴすや 渓膏芙泉 F 築するとともに, その情 F -1 3秋葉常夜燈 渓斉芙泉 F ふ 1 仮寝のきぬぎぬ 月岡芳年 G 2 神 奈j 附黄浜之風景 月間 芳年 G 通してみた江戸時代の G 3 皇 国 二 十 四 功 尾 上 の 召 仕お初 月岡芳年 G G 4 庭園の春崇 女性の体形の特徴を 分 場洲周延 G-5 憲法発布上野賑 場洲周延 G G ド6 企て暗室写心競洋行 揚, 州周延 G 1 7 9 1∼ 18 4 8 1 8 3 9 ∼1 8 9 2 1 8 3 8 ∼1 9 1 2 -52- G.1 8 5 0 ∼1 8 7 5 G 浮世絵に描かれてい る 報 に基づいて浮世絵を 析する. 2 . 資料および方法 撮影に際しては.モデルのウエストの位置にベル トを 2 . 1資料 着用し,肩峰点、頚前点、頚側点、乳頭点、前服点、 7世紀前半から 1 9世紀後半において 本報告では, 1 後服点、開点、腸骨稜点、脚付け根の位置で大腿部中 描かれた浮世絵 49作品について,成人 と考えられる女 点の位置,膝線の位置,内果点、外果点にマークをつ 性の全身が描かれているものを資料とした.選んだ絵 けて基準点とし,正面での直立状態と浮世絵ポーズを 師は,いずれも浮世絵師として各時代を代表する絵師 デジタルカメラで撮影した.なお正面の直立状態とポ である .また江戸時代の浮世絵の時系列での推移を見 ーズ撮影時のモデルの立ち位置,撮影条件は一定にな るために,近世初期の風俗画と称されるものや,幕末 るようにした.得られた写真上で基準点,および人体 から明治初期にかかる作品までを含め,浮世絵として 形状のシルエットをもとに人体寸法を定規によって計 分析の対象とした.これらについて,作品が制作され 測し,浮世絵ポーズと正面直立状態との変化の比率を た時期や絵師が活躍した時期,また生没年を考慮する 算出した.この比率はポーズによって生じた浮世絵上 と , 6 2 5 ,B .1625∼ 1 6 5 0 ,C . 表 1に示す A.1600∼ 1 の各部位における描写比である. 次に描出した浮世絵の人体育刻犬について,モデルの 6 5 0 ,D .1750∼ 1 7 7 5 ,E .1775∼ 1 8 0 0 ,F .1825 1625∼ 1 ∼1 8 5 0 ,G . 1850∼ 1875,の 7つのグループに分ける 写真と同様に人体寸法を計測し,さきに算出した描写 ことができる.得られた 7つのグループの浮世絵史と 比を用いて正面直立状態と仮定した場合の浮世絵の人 ,Bは近世初期の風俗画と しての流れを概略すると, A 体寸法を算出した.計測した人体寸法の項目は,人体 しての表現, Cは浮世絵の誕生期, D は錦絵として浮 形状を把握するために有用であ り , かつ浮世絵の人体 世絵の表現の開始期, E は浮世絵の全盛期, F は風景 表現から計測可能な 14項目を選んだ.計測項目は表 2 など人物以外の対象が盛んに描かれた江戸後期, G は に,その位置を図 5に示す. データベースには,作品名,絵師名,制作年代など 時代の風俗を描く浮世絵としては終駕期とされる幕末 の資料情報に加え,上述の方法で得た寸法(実寸) ,示 から明治期である. 数(対身長比を%で、表わしたもの)の項目を設定し, データ取得とともにデータベースに入力した 2 . 2方法 浮世絵に描かれている人体の形状を描出するための 方法として,資料とした浮世絵全作品についての着衣 表 2 計測項目 状態を観察し,首や手足など形状が露出して判明して こ人体形状のトレースを行った. いる箇所を手掛かり l 次に肩部や肘など比較的着物と密着した状態で描かれ 項目 1 1肩峰幅 ている部位を見極めて着衣の上から直接人体の7f~I犬を |幅径 表わす線を描いた.胴部から腰部など,着衣によって 形状が把握し難い部分は 着物の着付け上の観点から 適切と考えられる帯の位置と人体との関係を判断して ~径 人体形状を表現し,脚部については,床面に描かれて いる足の大半が片足であったので,現実的に想定され 8前ウエストi i ; る複数のポーズを仮定した上で,全体からみて最も自 g股下高 然なポーズを選択し描いた.なおこれら人体形状線の 1 0全頭高 |金頭高 描出の際には画家の指導を得た.図 l∼ 4は,このよ 1 1 よ腕長 |四肢長 うにして得られた人体育タ!犬の例である. 1 2 1前腕長 浮世絵に描かれた人物像の大半は,何等かのポーズ 1 3大腿長 をとっているため,プロポーションの算出や浮世絵問 1 41 下腿長 での比較が困難である.そこで現実の女性のモデルに よって浮世絵 49作品のポーズを再現し,浮世絵ポーズ の人体の傾きや伸縮率を求めるための撮影を行った. ・5 3- 図 5 計測部位 図1 A 2 . 彦根扉風 図2 D 3 . 鈴木春信(風俗四季寄仙水無月) uflj ︶ \1 Y11M li \ ーい/ ︵ i − / J t− ふ ハ ペ ilい / ぃi11\ 11 ¥ 1 1一 −\\バ Illi− _/ 図3 E 1 9 . 喜多川歌麿(婦人泊り客之図) 図4 F 4 . 歌川国貞(すみだ川花の景) ・5 4- 3 . 結果および考察 3 . 1 人体育刻犬の時代的推移 表 3は計測項目を A∼G のグルーフ。ご、とに平均した 図 6∼図 9には全頭高,幅径, 高径,四肢長の各項目 結果である.なお計測値はすべて示数で示した.また についての推移をグループ平均値によって表した. 表 3 計浪j l 項目の平均・標準偏差 . 1 6 2 5∼1650 C.1675∼1700 D.1750∼1775 E.1775∼1 8 0 0F .1 8 2 5∼1850G.1850∼1875 浮世絵全資料 現代成人女性 A.1600∼1625 8 計測項目 SD 平均 肩峰幅 2 1 . 2 4 1 . 8 2 胸部横径 1 7. 02 SD 平均 平均 SD SD 平均 平均 SD SD 平鈎 平勾 SD SD 平士号 平均 SD 1 9 . 4 7 0 1 8 . 3 1 0 1 8 . 7 9 1 . 4 1 . 3 4 1 8. 63 2 2 2 . 4 5 2 . 8 1 1 9 . 4 9 1 . 6 3 1 9 . 9 4 2 . 7 9 2 2 . 0 6 2 0 . 8 1 . 6 1 7 . 3 0 1 6 . 7 1 0 1 5. 35 1 . 9 4 1 5. 1 9 1 . 0 5 1 6. 1 9 1 . 3 4 1 6 . 9 2 1 . 2 2 1 5 . 8 7 1 . 4 7 1 7 . 1 4 1 8 . 7 ウエスト幅 1 6 . 7 6 1 . 8 4 1 6. 08 0 1 7 . 5 9 0 1 3. 37 0 . 9 8 1 4 . 8 4 1 . 0 1 . 0 3 1 5. 93 1 1 5 . 4 6 1 . 0 3 1 5 . 2 5 1 . 4 8 . 9 1 4. 36 1 ヒップ幅 2 0 . 6 9 0 . 6 4 2 0 . 6 0 1 6. 86 0 1 6 . 2 6 0. 93 1 8 . 4 6 1 . 9 3 2 0 . 6 7 1 . 1 9 1 7 . 4 8 1 . 2 2 1 8. 85 2 . 1 肩峰高 . 1 2 8 3 . 3 1 8 1 . 8 9 0 7 5 . 6 1 0 8 1 . 7 5 8 3 . 4 6 1 . 4 3 8 1 . 2 1 1 . 6 3 8 1 . 4 7 1 . 29 8 2 . 2 4 1 . 9 8 事L D i高 6 8 . 1 4 2 . 5 5 6 9 . 1 8 0 6 5 . 1 7 0 7 0 . 7 4 0. 96 7 3 . 0 7 1 . 89 7 0 . 9 3 1 . 8 4 7 1 . 6 3 1 . 6 6 7 1 . 5 5 2 . 4 4 7 1 . 1 1 4 6. 5 前ウエスト高 5 6 . 7 7 1 . 7 3 5 8 . 5 5 0 5 2 . 7 4 0 5 7 . 4 3 1 . 3 8 6 0 . 7 2 1 . 6 3 . 2 6 5 7 . 7 8 1 5 9 . 2 7 0 . 8 1 5 8 . 9 8 2. 22 6 1 . 1 9 股下高 4 1 . 2 7 0 . 6 2 4 2 . 3 8 0 35. 95 0 4 1 . 7 3 1 . 9 8 45. 24 1 . 5 1 42. 1 6 1 . 4 8 4 4 . 3 2 0 . 8 6 4 3 . 4 6 2. 37 4 5 . 1 5 3 6. 8 。 0 1 3 . 9 3 0 1 4 . 4 4 0 . 7 5 1 2 . 4 5 1. 05 1 4. 8 1 1 . 2 1 1 3. 06 0 . 4 1 1 3. 5 2 1 . 4 3 1 3 . 9 8 1 1. 5 1 9 . 5 0 1 9 . 8 4 1 . 4 9 . 7 5 2 0 . 6 1 1 1 8 . 9 4 1 . 8 4 1 8 . 9 5 1 . 7 8 1 9. 8 1 1 . 9 3 1 8 . 5 3 1 6 . 6 全頭高 1 4 . 4 8 0 . 8 9 1 3. 26 よ腕長 2 0 . 1 3 2 . 5 4 1 9 . 6 9 1 . 2 2 0 . 9 5 1 9 . 6 8 0 . 9 1 49 40 前腕長 1 6 . 4 5 1 . 4 8 1 6 . 1 7 0 1 3 . 8 5 0 1 5 . 7 3 1 . 1 5 1 5 . 5 6 2. 2 6 . 5 6 1 3 . 8 1 1 1 5 . 1 7 1 . 3 2 1 5 . 1 1 . 9 9 7 . 1 1 4 . 6 6 1 大腿長 2 4 . 3 2 2 . 2 2 6 . 0 8 0 2 3 . 2 9 0 2 5 . 7 5 2 7 . 3 5 1 . 6 3 2 5 . 6 1 0. 7 9 2 5 . 7 7 0 . 8 2 6 . 2 4 1 . 6 5 2 6 . 4 2 7 . 9 下腿長 1 7 . 0 1 1 . 4 8 1 9 . 1 7 1 8 . 2 0 1 8 . 5 8 0 . 7 3 1 9 . 4 4 1 8 . 7 8 0 . 8 3 1 9 . 8 5 0 . 7 1 1 9 . 0 5 1 . 2 5 2 1 . 0 12 1 . 1 5 。 0 . 6 1 . 3 1 6 . 0 0 1 4 . 0 0 ← 一 ー 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一・ 一 1200 ' 100 0 - '← 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一一 一一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 ← 一 一 ー 一 一 一一 一一 一 一一 一一 一 一 ー ー ← ←一 一 一 一 一一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一一一一一一 自∞ト一一一一 一一一 一 一 一一一 600 '一 一 一 一 一 一 一 ー 400 I 20 0 ←ー → ← 一一一一一一一一 ー一一一一一一一一一 ー ← 一 一 一 一一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 ← 一 一 ÷ 一 一 一 一一一一ー一一一一一一一一一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 ー 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 ー 一一 0 . 0 0 "勺 、 ‘ν ι~ − ' " " ぷ〉 lM ~<!'〆や〆や〆 。 、 、} べ 、 , ヤ 句 ヘ A ' ¥ . , " ' " ' ‘ 、 ‘、"v ~"' 、 , < ; 匂 ー へJ A 。 丸 、 図 6 全頭高の推移 ・5 5- } 、 や や か や /" ~.jt a h ° ' ・ 4ア ザ , , ' " ' や. ~'"' o ' " ' 砂 J 4 ’ 十 や 4 ト !とそ全喧喧J 7 0 . 0 0 . . 6 0 . 0 0 4 90 . 00 8 0 . 0 0 ‘ 一←肩崎高 白『・ー乳頭高 5 0 . 0 0 一 守一 一 一 一 一 一 40 . 00 − 一一 ← 一一一一 3000 ' − l一合一前ウエスト高 lー←股下高 一一一一 2 0 . 0 0 1 0 . 0 0 0. 00 、戸、,、− ~"" ~""' ~"'"' ",、信, , . , . . c 0 ・ や や F 。 . I 令 手 や や ぷ $ ふ や やや‘/.)\' 〆〆〆〆 ,;,,~"i 〆 〆 ,〆 ’~ , < > " ' 。 ・ v < "、 v ’ l ! ! . . r . f i ' ~~r 図 7 高径の推移 3 0 . 0 0 25. 00 . 20. 00 − • 1 5. 00 I−←肩峰幅 『・一胸部繊径 . I一合一ウエスト幅 ー・ーヒップ幅 1 0 . 0 0 5. 00 0. 00 句、" " ' " ' 、 ・ " ' " ' 枝 。 ! , . , . . . , , . , 〆 〆 〆 ‘ , . , < S 守 h < O・ Cr 3 ' " ' " , < o " ' " ' J ぷ イイ 図 8 幅径の推移 -56- , < o " ' , q ; . " .命令 ぷ イ イ ポ グ− 〆ノず〆「 3 0 . 0 0 ‘ 2 0 . 0 0 1 5 . 0 0 1 0 . 0 0 ' 一出品 . . 25 . 00 ー←ー 5 . 0 0 。 。 , . , { > , . , . , " ' 必 耳 ‘.,~ ヤ ー ' " ' " ' ‘ 、 。 ヘ 。 d苫 dJ o " i ’ 13 ’ . 6 ν l 令、 " ' ! > " ' 、、、史” " ' " ' バ も 匂 ♂ 、 も 司 ゆ や 命 令 令 4 争 、 と や 与 や ♂♂砂 3 ~’ q ト 4 ト 図 9 四肢長の推移 幅径項目はいずれの項目も Aから Cへと減少し, D 時代の後期から幕末になると ,顔が大 きく肩や腰が張 ではグループを通して最も小さな値となり,以降は再 る一方,手足の短い人体表現にな り,明治時代に入る び Gへと増加している.肩峰幅では Fが極めて大きく, といずれの項目も他の時期と比べて特徴のない中間的 次いで A, Gの順である .肩峰幅は Bを除いてすべて な人体が描かれたと言える.時代推移の全体傾向を見 のグループでヒップ幅よりも大きい.胸部横径とウエ ると,肩峰幅とヒップ幅の値の推移の変化は著し く , スト幅は,肩峰幅,ヒップ幅と比較して Aから G まで 胸部横径やヒップ幅の推移の変化は少ない.また全頭 の推移の変化が小さい.四肢長については,上肢,下 高は.全身斉対犬のプロポーショ ンを把握する際に重要 肢ともに Eは大きい値を示し, CとFは低く, Dは中 度が高く ,プロポーションの印象を左右するが,グル 間の位置にある.全頭高の値は, Fが最も大きく Eが ープの中で最も小さい全頭高の値を示す E を全資料か 小さい.四肢長と全頭高との関係をみると,四肢長の ら除いて平均すると,その値は現代成人実測値とほぼ 推移と全頭高の推移は,やや負の相聞が見られ,四肢 同じ値と なり,浮世絵の頭部は多くの時代で現実的な 長の値が大きいグループは全頭高が低く,逆に四肢長 人の頭の大きさに近いノfランスに よって描かれていた の値の低いグループは全頭高が大きい.高径では Eが と言える . 最も大きい値で,次いでA と B のJll~ になっている .C は四肢長と同様に高径も小さい.幅径と四肢長の項目 では Eから Gでは比較的推移の変化が大きく見られる 3 . 2 同時期の絵師における人体表現 浮世絵では同時期においては異なる絵師であ っても, が,高径では一定し推移はあまりみられない. これらの結果から,江戸時代の初期では足が短くヒ 非常に似通った表現があるが,具体的にどの点が類似 ップの大きい人体が描かれ,その後は幅や高さが小さ しているのか,また異なる点はどこに見出せるのかを 8世紀中頃からは, く,四肢も短い人体表現となり, 1 比較的作品数の多い Eの 3名の絵師,およびの Fの 2 バストやウエストの位置が高く,長いて手足をも った 名の絵師を取り 上げて考察する.各項目の計測結果の 細身の人体が描かれていたことがわかる .さらに江戸 平均値を表 4,表 5に示す. ・5 7- 表 4 クループ E Fにおける絵師の比較 E . 栄之 項目 平均 E.清長 SD 平均 E .英泉 E . 歌麿 平均 SD SD 平均 SD F . 国貞 平均 SD 肩峰幅 .1 4 1 9 . 6 03 1 8 . 5 32 .5 4 1 8 . 6 31 .8 3 2 0 . 8 62 . 9 2 2 4 . 3 01 .5 0 胸部横径 ウエス卜 1 幅 1 4 . 3 90 . 2 5 1 4 .7 00 . 8 7 1 5 .7 10 . 9 3 1 6 . 2 5 1 .1 6 1 6 . 1 21 .4 3 1 4. 3 1 0 . 0 6 1 4 . 8 21 . 0 2 1 4 . 9 1 1 .0 7 1 5 . 7 80 . 8 0 1 6 . 1 21 .1 9 ヒップ幅 1 7 .1 71 .3 1 1 8 . 9 92 . 0 2 1 8 .1 1 1 .7 5 2 0 .1 4 1 .0 6 . 7 8 2 1 . 3 00 肩降高 乳頭高 .4 0 8 3. 5 01 .7 3 8 3 . 6 61 8 3 . 2 71 .3 9 8 0 . 9 2 1 .49 . 9 9 8 1 .5 50 7 1 .8 40 . 5 6 7 3 . 3 71 .8 2 7 2 . 9 32 . 0 3 7 0 . 5 91 .4 7 前ウエスト晶 60. 7 50 . 9 6 6 1 .2 31 .3 8 6 0 . 2 61 .4 1 .1 0 7 1 . 2 32 5 7. 68 1 .8 3 股下品 . 0 6 4 6 . 0 60 4 5 . 8 00 .8 1 4 4 . 6 61 . 2 2 42. 47 1 .1 7 4 1 .8 0 1 .2 4 全頭高 1 2 . 4 70 . 0 2 1 2 . 0 61 .4 8 1 2 .7 91 .5 0 1 4 . 6 4 1 . 6 1 1 5 . 0 1 1 .5 5 よ腕長 2 1 . 6 51 .5 2 1 9. 9 31 .5 6 .7 4 2 1 . 1 1 1 1 8 . 3 7 2. 2 8 1 9 . 6 00 . 8 2 前腕長 1 5. 7 20 . 1 0 1 6 . 2 02 . 3 2 1 4 . 9 72 . 2 5 1 3 . 8 50 . 9 0 .9 6 1 3 .7 6 1 大腿長 下腿長 2 6 . 6 40 . 8 2 2 7 . 7 01 .49 2 7 . 1 1 1 .8 1 2 5 . 6 70 . 3 8 2 5 . 5 41 . 0 1 1 9 . 8 50 . 5 8 1 9 . 3 91 . 5 5 1 9 . 4 41 .1 2 1 8 . 9 8 1 .0 0 1 8 . 5 50 . 6 3 5 7 . 9 0 1 .1 0 Eでは上述の 3 .1の計調j l 結果から,小さい全頭高と 長い四肢長が特徴であったが, 3名の絵師の頭身示数 をみると Eの絵師はいずれも値が小さい .Eの中では 表 5 グループ E Fにおける絵師の頭身示数 司 清長が最も小さく,次いで栄之,歌麿の!||買となってい るが,浮世絵の全身の印象として,すらりとした人形 という表現がされることが多いのは栄之である.栄之 の計浪j l 値を見ると,胸部検径,ウエスト幅,ヒップ幅 は清長,歌麿よりも小さく肩峰幅が大きい.頭部寸法 は清長のほうが小さいが,広い肩峰幅を描いている栄 頭身指数平均 E . 栄之 E . 清長 E . 歌麿 F . 英泉 F . 国貞 8 . 0 2 8 . 3 3 7 . 8 8 6 . 8 7 6 .7 1 之は,その頭部と肩部の対比によって頭部が小さく感 られ,細身の体形を印象づけている.歌麿は 3名の中 では高径が小さく, l~lii径やや大きく,特に乳頭幅が大 きい. j 青長は栄之,歌麿よりも高径が大きく幅径は比 表 6 全頭高下端と肩峰高の高さの差 較的小さい.このことから 8頭身の浮世絵と称される 全頭高 肩降高 清長は,人体の部位高さと小さい顔が美しいプロポー 平 均 =平 均 = ションを感じさせ,表情が豊かであるとされる歌麿は, ( a ) ( b ) ー (a)= 身長一肩峰 (c) 高( b) =(c )高さの差 他の 2名に対して中間的な顔の大きさと上半身の幅の A .1 6 0 0∼1 6 2 5 3 . 3 1 4 . 4 8 8 1 6 . 7 2 . 2 2 広さによって,現実的な理想像としての人体を感じさ 6 5 0 B .1 6 2 5∼1 1 .89 1 3 . 2 68 1 8 .1 1 4 . 8 5 せると言える. 7 0 0 C . 1 6 7 5∼1 5 . 6 1 1 3 . 9 37 0 . 4 6 2 4 . 3 9 1 7 7 5 0 .1 7 5 0∼1 1 . 7 5 1 4 . 4 48 1 8 . 2 5 3 .8 1 8 0 0 E .1 7 7 5∼1 3 . 4 6 1 2 . 4 58 1 6 . 5 4 4 . 0 9 F .1 8 2 5∼1 8 5 0 1 . 2 1 1 4 . 8 1 8 1 8 .79 3 . 9 8 G .1 8 5 0∼1 8 7 5 1 . 4 7 1 3 . 0 68 1 8 . 5 3 5 . 4 7 全資料平均 現代成人女性 2 . 2 4 1 3 . 5 28 1 7. 7 6 4 . 2 4 0 . 9 1 3 . 9 8 8 1 9 . 1 5 .1 2 Fでは上述の 3 . 1の計測結果から,幅径が広く短い 四肢長の人体表現が特徴で、あ った. Fの 2名の絵師は, j l 幅径では国貞が大きく, 高径は栄泉が大きいが, 計潰 f 直の傾向は非常に類似している.この Fの時期の浮世 絵には,その容姿をたとえた猪首とし寸表現がある. この点について全頭高下端と肩峰高の高さの差を表 6 で見ると, F では他のグルー プと比較してこの差が小 さい.このことは肩の位置 と顔面の位置に差が少なく , -58- 表 9 胴部高径のハランス ( 肩峰高と乳頭高の差を 1とした場合) 表 7前頭面に対する浮世絵ポーズの描写比 前ウエス 股下高 卜 高 A .1 6 0 0∼1 6 2 5 B .1 6 2 5∼1 6 5 0 c .1675∼1700 ∼1 7 7 5 D . 1 7 5 0 E .1 7 7 5∼1 8 0 0 F .1 8 2 5∼1 8 5 0 G .1 8 5 0∼1 8 7 5 全資料平均 事U l 貢高ー前ウエス 全頭高 1 .0 1 1 .0 0 1 .0 2 身長 1 .0 0 1 . 0 1 0 . 9 9 o .97 0 . 9 8 0 . 9 8 0 . 9 7 0 . 9 8 0 . 9 2 0 . 9 8 0 . 9 0 0 . 9 5 0 . 9 3 0 . 9 0 0 . 9 6 1 . 0 3 1 .0 3 0 . 9 3 1 .0 3 1 .0 3 1 .0 2 1 .0 4 1 .0 1 0 . 9 8 0 . 9 3 1 .0 3 1 .0 0 1 .0 0 1 .0 1 A .1 6 0 0∼1 6 2 5 ト 高 前ウエ ス卜高一股 下高 0. 7 5 0. 8 4 1 .1 9 1 .2 1 1 .1 9 1 . 2 8 1 .2 6 1 .1 8 1 .0 1 B .1 6 2 5∼1 6 50 c .1675∼1700 D .1 7 5 0∼1 7 7 5 E .1 7 7 5∼ 1 8 0 0 F .1 8 2 5∼1 8 5 0 G .1 8 5 0∼ 1 8 7 5 全資料平均 現代成人女性 1 .0 2 1 .2 7 1 .6 1 1 .4 3 1 .4 9 1 .5 2 1 .5 2 1 .4 5 1 .6 4 頚が短し、ことを示している .さらに正面直立状態に対 高さのバランスは,寸法では把握できない形状の具体 する浮世絵のポーズ各部位の描写比を表 7に示す.こ 的な特徴を表出守る そこで胴部の幅径項目と高径項 の描写比は,浮世絵の人体の傾きや伸縮を表わすもの 目について,プロポーションを算出し,グループごと . 具 で , lに近いときにはそれらが小さいことを示す l 値と比較した. の平均値を現代成人実演j 体的に値が lよりも小さい場合には,浮世絵の人体が 表 8は,ウエストを基準とした場合の肩峰幅,胸部 直立状態よりも傾斜し小さく縮んで、いることを示し, 横径,ヒップ幅のバランスを示し,表 9は肩峰高と乳 lよりも大きい場合には直立状態よりも伸びているこ 頭高,股下高の位置のバランスを示す.幅径のバラン とを示す.この表から Fは他のグループと比較 して全 スでは,浮世絵の人体はウエスト幅を基準とした場合, 頭高の描写比が大きく,それは下方へと傾いているこ 現代人と比べて肩峰幅,ヒ ップ幅と もに小さい.また とがわかる.これらの結果から,これまで言われてき 胸部横径とヒップ幅の差も現代人と比べて小さい. 高 た Fについての猪首とは,見かけ上の頚の短さと頚の 径項目の位置のバランスを見ると,乳頭高の位置から 下方への傾きから受ける印象を表現したものであると ウエスト高の位置までは, A, B を除いてどの グルー プも現代人よりも長い.またウエスト高の位置から股 言える. 下高の位置まで、は浮世絵のほうが現代人よりも短い. これ ら幅径と高径のバランスの結果から,浮世絵の胴 3・3 浮世絵の胴部プロポーションの特徴 部のプロポーションでは 胸の位置からウエストまで 女性の胴部の背タ伏において肩部,胸部,腰部の幅や が肩峰高と乳頭高の差よりも極めて長く表現されるこ とが多かった.すなわち浮世絵の女性の多く はずん胴 表 8 胴部幅径のバランス (ウエス卜幅を 1とした場合) 胸部検径 肩峰幅 型に表現される傾向が強かった. ヒップ幅 4 . おわ りに A1 6 0 0∼1 6 2 5 1 . 2 7 1 . 0 2 1 . 2 3 B .1 6 2 5∼1 6 5 0 1 . 2 1 1 . 0 8 1 . 2 8 c1675∼1700 1 . 0 4 0 . 9 5 0 . 9 6 7 7 5 D .1 7 5 0∼1 1 . 4 1 1 . 1 5 1 . 2 2 寸法やプロポーションを算出するという手法によ って E.1 7 7 5∼1 8 0 0 1 . 2 6 1 . 0 2 1 . 2 4 7世紀前半 人体寸法のデータベースの構築を試みた. 1 8 5 0 F .1 8 2 5∼1 14 1 1 . 0 2 1 . 3 9世紀後半までの浮世絵 49作品の女性の人体形 から 1 G .1 8 5 0∼1 8 7 5 1 . 2 6 1 . 0 9 1 . 1 3 状について分析し,その特徴についての定量的分析を 全資料平均 1 . 3 1 1 . 0 4 1 . 2 4 現代成人女性 1 . 5 4 1 . 1 9 1 . 4 6 本研究では,浮世絵に描かれた人体形状を手掛か り として推定される人体の形状を描出し,人体各部位の 行った結果,異なる絵師であっても同時期においては 人体形状の捉え方には共通性が見ら れること,人体の -59- 部位の捉え方には時期的推移が強く見られる箇所,見 1 2)篠崎( 1998 )女性の美しさ (1)←ワコールが提 られない箇所があること,現代成人実測値と比較して 案する美の基準「ゴールデンカノンについて」 くびれの少ないずん胴型の人体を描いていることを指 ( 1 9 9 8 ),繊維製品消費科学 v o l . 8 . 3 7 3 9 . 摘した. 1 3 ) 鈴木( 1963 )日本人の骨, 5 3 5 7,岩波新書. このように絵画資料の定量的分析から得られる当時 1 4 ) 野口( 1919 )肉体美の清長,中央公論 3 4 ( 1 ) ' 5 1 6 2 . の人体寸法や体形に関して意味のある情報は,生体計 測値や写真などのなかった時代の人体を知る手掛かり )日本人のからだ,乃江 1 5 ) C・Hシュトラッツ( 1969 書院. となり,種々の分野で絵画を活用する可能性が開かれ ると考えている.本研究では浮世絵の人体汗タ|犬を着衣 1 6)鈴木(2000 )日本人のからだ健康・身体データ集, の上から推定し,描出する方法を行ったが,より有用 な人体寸法のデータベースを構築するためには,資料 朝倉書店. 1 7 ) 間壁( 1994 )被服のための人間因子,日本出版サ ーピス. とする作品数を絵師ごとに偏りなく取り上げ,著名な 作品のみならず,より広範囲の作品を対象に加えてい 1 8 ) 日本人の人体計測データ集( 1996 )人間工学生 活センター. く必要がある.さらに今後の課題として,着衣で見え ない部位についてより正確に描出するため,着物およ 1 9)河鰭( 1 9 7 1 )井ム日本服飾美術克家政教育社. び帯の着衣形|犬についての分析も取り上げたい. 2 0 ) 吉川( 1968 )日本女装史,全日本人形師範会. 2 1 ) 菊池( 1968 )原色日本の美術 1 7,小学館. 参考文献 2 2 ) 橘崎( 1965 )美人商・役者絵 1∼ 7,講談社. 1 ) 平本( 1972 )縄文時代から現代に至る関東地方人 23 )小西( 1 977 )錦絵幕末明治の歴史,第 1 0巻 . o l . 8 0 . N o 3 ,221・ 2 3 6 . 身長の時代的変化,人類誌, v )骨からみた日本人身長の移り変わり, 2 ) 平本( 1981 2 4 ) 恵( 1993)月岡芳年の世界,東京書籍. 2 5 ) 亀井,高橋,田中( 1964 )日本の美 22,平凡社. 2 6 ) 特別展 「 四都美人装い競べJ図録 ( 2003 )神奈川 9 7 ,2 4 2 8 . 考古学ジャーナル 1 3 ) 佐宗,埴原( 1998 )日本人女性の新しい身長推定式, o l l 0 6. No3, 2 2 1 2 3 6 . 人類誌 v 県立歴史博物館. 27)鈴木 ( 1991 )名品揃物浮世絵 6 .7,ぎょうせい. 4 ) 小林( 1998 )浮世絵の歴史,美術出版社 2 8 ) 西田( 1993 )人体美学,現代社. 5 ) 田中(2000 )高橋源一郎の浮世絵と経済学,上武大 o l . 1 2 . N o l , 73・ 9 2 . 学商学部紀要, v )浮世絵における美的表現上の一考察, 6 ) 稲田( 1997 o l . 9 .特別 常葉学園浜松大学経営情報学部論集,v 号 , 6 5 0 ( 1 ) ・ 6 1 1 ( 4 0 ) 9 8 5 )浮世絵における身体感について一江 7 ) 荒木( 1 戸時代の伝統芸術から ,青葉短期大学紀要, 0号 4 3・ 5 3 . 第1 8 ) 小池( 1968)近世における和洋服の衿元の研究 (1),広島女子大妃要, 7 7 9 7 . )浮世絵における顔 9 ) 山田,早川,村上、埴原(2002 表現の科学,国際日本文化研究センタ一日本研 5 ,1 3・ 4 9 . 究2 1 0 ) 山田( 1999 )浮世絵における顔表現の分類と識 l . 4 0 . N o. 3 . 別の一手法,情報処理学会論文集 vo )浮世絵の鑑賞基礎知識,至文 1 1)小林,大久保(2000 . 圭 , 三 圭 ニ・ -60-
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