春学期レポート(2014-2015年)

2015 年春学期レポート
日本財団聴覚障害者海外奨学金事業
第 10 期生
辻功一
◼︎ ENGL-151B Fundamentals of Composition
自分の英語力では敷居が高かったが、一般学級での授業の進め方を経験しておき
たいのと通訳を通して ASL スキルを向上させたいという理由で、151B を選択し
た。英語のクラスではあるものの、学期を通して 6 つのエッセイを書き上げるこ
とにより、エッセイを書くための調査や分析力を上げるのと、エッセイの組み方
(構成)のノウハウを学ぶことに重点が置かれていた。Bennett-Walker 教授は
いわゆる社会の裏側の事情に詳しく、物事を表層的に捉えるのではなく、一旦視
野を広げて見えてなかった部分も総合的に考慮した上で真相を深く掘り下げると
いうアプローチを取るべきだと講義を通して何度もおっしゃっていた。その為に
は教育やマスメディアなどによる洗脳、画一的な思考、思想を取り払わなければ
ならないとのこと。自身の英語力の無さやプレッシャーもあり大変だったが、真
実(一般的に考えられているものとは異なる)を追求するというプロセスが楽し
くて、Nancy 教授の個人指導の助けもあり、無事にやり遂げることができた。余
談だが、マイノリティが直面する困難についてディスカッションを行った際、
Bennett-Walker 教授がギャローテッド大学の歴史についてスラスラと説明した
ことには驚かされた。どんなことでもそうだと思うが、まず相手を知るというこ
とが一番大事なことだと改めて感じた。私の英語力がもっと向上したら、また講
義を受けたいと思う教授の一人だった。
◼︎ DEAF-175B IUPP Grammar II
Nancy 教授の Grammer クラスは英文法の基礎からしっかり学べるので、昨年の秋
学期に引き続き、春学期も Grammer クラスを選択した。今学期はクラスを2つに
分けて、各生徒のレベルに合わせて振り分けていたので多すぎず少なすぎず(12
人程度)、ちょうど良いペースで講義が進行した。秋学期では 20 人位いて、重
要じゃなかったり関係ない質問やおしゃべりで、その都度、講義が止まってフラ
ストレーションを感じていたので今学期はとても有意義な学期だったと感じてい
る。
◼︎ ASL-103A Principles of ASL III
今後のためにも ASL スキルをもっと上げたかったので、英語とは別に今学期初め
て ASL クラスを選択した。本来、ASL101 から 102、103 と順に履修していく必要
があるが、私の場合、日本で日本 ASL 協会を通して Kaz 教師と Martin 教師から
ASL を習っていたので、レベル的には 103 以上であるということでオーロニ大学
では 103 から始めた。クラスでは 12 人(当初は 15 人位)で多すぎず少なすぎず、
ちょうどいい感じだった。その内、ろう者は私一人であった。クラス内では笑い
声以外は音声無しで、人を呼ぶときもテーブルを叩くとか照明のオンオフなどデ
フカルチャーを持ち込んでいた。クラス内にろう者がいるから当然といえば当然
だが、例えクラスにろう者がいなくてもそういうのを習わしとしているのだろう。
講義では、主に ASL 動画や Bunny 教授が表現する手話を通して試験を受けたり、
プレゼンテーションを行った。プレゼンは学期を通して自己紹介、ある国の紹介、
あるゲームの説明、ある病気の説明、ある物の作り方の計 5 回、教授と生徒の前
で行い、それぞれ一人ずつ評価をもらうという内容だった。私は他の生徒と比べ
て ASL の語彙が乏しいので必然的に CL を多用しがちだったが、意外や評価はか
なり良かった。というのも聴者の生徒はほとんど ASL と SEE の中間的な
PSE(Pidgin Sign English)を用いていた。いわば日本手話と日本語対応手話の中
間的な物である。その観点で見ると(CL を多用した手話は)そんな単純明快な
表現方法があるのかという感じだろう。ちなみにこのクラスは単位が「5」で、
ENGL-151B は「4」。ENGL-151B の方が単位が少ないのに何度も徹夜して、一方こ
のクラスは余裕を持って楽しく学ぶことができたので、腑に落ちずカウンセラー
に聞いてみたところ、聴者は逆に英語クラスは余裕持って学べるのに対し、ASL
クラスはすごく大変だし動画の課題も多いからとのこと。境遇や環境が違うだけ
でこんなにも違うものかと。ちょっと面白いなと思った。