1 2015 年度 学校法人芝浦工業大学 事業計画 学校法人芝浦工業大学

2015 年度 学校法人芝浦工業大学 事業計画
学校法人芝浦工業大学
理事長
五十嵐
久也
はじめに
我々を取り巻く環境は日々刻々と変化をしており、技術革新や経済、エネルギー問題等重大変革期にあ
ります。このような社会情勢の中で、本法人設置学校である芝浦工業大学を中心に、学生のための大学
経営への原点回帰、建学の精神に基づく教育活動および研究活動の展開、将来にわたり日本の持続的な
発展を担っていく理工学系人材を育成するその責務は、一層大きくなっています。理事会は芝浦工業大
学が創立 100 周年を迎える 2027 年に『我が国の理工学系私学としてトップの社会的評価を得る』という
中長期目標のもと、引き続き 2015 年度も教職員一丸となり、この実現に向け全力で取り組む所存です。
重点施策テーマは、新組織運営のより一層の進展、将来にわたり持続可能で盤石な財政基盤の確立、各
キャンパスの利活用計画の検討などです。さらには、新しい価値創造のために各キャンパスの特色を打
ち出す「芝浦経営イノベーション」に継続して取り組んで参ります。
2015 年度事業計画
① 改革路線の継続
熾烈な大学間競争に勝ち抜き中長期の大目標を実現するには、迅速な意思決定と他大学に負けないスピ
ードでの改革の実行が必要です。理事会では、2011 年度に掲げた改革路線を継続推進し、新しい価値創
造のための経営イノベーションに継続して取り組みます。
具体的には、改革実行に向けた的確で迅速な意志決定が可能な組織運営体制として、経営部門や教学執
行部門のトップの権限や両部門の組織体制と運営体制のあり方、さらには両部門の監視機能のあり方な
どについて、教職協働で本法人に適した組織運営体制をさらに進展させ実施します。
また学校法人の持続的な発展を維持するためには、盤石な財務基盤の構築が大前提であり、引き続き中
長期的な財政見通しをふまえた計画的な財政運営を図ります。2011 年度より実施している全学的な経費
削減運動のほか、収入増につながる施策、予算策定の手法や調達制度の見直しを含む抜本的な改革案を
検討し実行をめざします。
さらに、改善改革のスピードアップには教職員の意識改革の促進が不可欠であり、人事考課制度の改定
などの施策を実施します。まずは新職員人事給与制度等準備委員会の検討結果をふまえ、既存の職員人
事制度や関係する規程や規則を見直し、事務組織の活性化や業務の効率化を図るとともに、時代に即応
した重点分野への人材の集中配分を実現します。
② 教育研究改革
芝浦工業大学は『社会に学び、社会に貢献する技術者の育成』を建学の精神として設立され、有為な人
材を社会に送り出すことで高い評価を得ています。その考えを現代に敷衍した『世界に学び、世界に貢
献するグローバル理工学人材の育成』を目標に、2017 年の創立 90 周年、2027 年の創立 100 周年にも輝
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き続ける大学としての地位を維持し、さらなる前進を期して、学長のもと全学的な教職協働による大学
改革運動を展開しています。
これらの活動と国際交流活動の確かな実績などが評価され、2014 年 9 月に文部科学省よりスーパーグロ
ーバル大学(SGU)に選定されました。
本学が目指すグローバル大学とは、世界水準の工学教育を教職学協働で進めることにあります。まず教
育においては、「学生に何を教えたか」ではなく「学生が大学の教育で何を学んだか」、すなわち学修
成果を大切にします。そして、常に学生視線に立った世界水準の教育の実践を行い、学生が主体的に学
習に取り組めるアクティブラーニングの推進を図ります。その一環として、学生が課題解決に自ら取り
組む PBL 型教育の体系的な導入を行います。本学は「アクティブラーニングの推進」と「学修成果の可
視化」をテーマとして、文科省の教育再生加速プログラム(AP)の支援を受けています。SGU と AP 事業
の全学的な推進をもって、本学の教育改革を進めていきます。
次に研究力の強化も重要です。教員は研究を通して自らを磨き、学生のよき見本とならなければなりま
せん。世界の理工系大学では、先端研究の現場で学生を鍛えるということが常識となっています。この
ため研究センターの整備と大学院の充実を進め、大学院進学率も向上させます。そして、組織的な研究
支援体制を構築し、教員の外部研究資金の積極的な獲得を推奨します。世界大学ランキングを意識した
論文件数の増加と、世界をリードできる研究分野の構築を進めていきます。また本学は地域との連携を
大切にする事業である「地(知)の拠点整備事業」を獲得しています。世界レベルの研究とともに、地
域に根差した研究も進めます。これら両輪をもって、研究力の高い大学を目指します。
グローバル大学に大切なこととして、ダイバーシティ(多様性の受容)の推進もあります。教育研究は
多様性の中で輝くと言われており、世界の大学では、いろいろな国籍の教員、職員、学生がたがいに切
磋琢磨して、大学の教育研究レベルとブランド力を向上させています。今後は、教職協同に学生を加え
た教職学協同による国際化を積極的に推進していきます。その一環として、英語による講義数の拡大や
留学生増を目指します。また、文科省が推奨する国際連携専攻および学科の導入を進めます。
ダイバーシティには男女共同参画推進も含まれます。女性が活躍できる大学は、男性も力を発揮しやす
い大学となるはずです。女性教職員および女子学生を増やすとともに、女性の活用を積極的に進め、女
性が輝くことのできる理工系大学を目指します。
③ 学生募集とキャリア教育
少子化傾向が続く中、芝浦工業大学および併設校の入試においては、各学校とも近年堅調な志願者を獲
得しています。今期においても、引き続き各学校の志願者の安定確保とより優秀な学生・生徒獲得のた
めの施策を展開します。特に大学においては、併設校をはじめとしたこれまでの中高大連携施策をより
拡大・充実した内容に見直し、成績上位者層の興味・関心を喚起します。また女子学生の獲得のため、
本学職員と教員が協働して全国の有力校を訪問し、理工系の学びの楽しさについて女子生徒向けの講
座・講演を展開するほか、受験ポータルサイト等を利用し、女子生徒にダイレクトに本学の魅力を訴求
します。
一方、芝浦工業大学は『就職に強い大学』との社会的評価を得ており、学生の人間力や就業力のさらな
る向上のため、各種キャリア教育を全面的に支援します。さらに学生の就職プログラム支援のため、校
友会、後援会との連携を一層強化するとともに、企業との関係をさらに充実させ、多様化する学生や進
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路希望先へのきめ細かな対応に取り組みます。
④ 学生支援の充実強化
学生・教職員健康相談室を中心とした学生に対する健康相談やカウンセリングのより一層の強化、後援
会との連携による就職支援、学生課外活動支援や留学生を対象とした工場見学などの各種イベントの継
続実施、また学生満足度調査アンケートの結果をふまえ部署単位での改善運動の充実を図ります。文武
両道な学生の支援等を目的に新学生寮の設置検討に着手します。
その他、SIT 賞や課外活動奨励金など、学生の課外活動に関する顕彰にも引き続き力を入れていきます。
⑤ 中高大連携強化と理系女子の育成
2014 年度に引き続き中学高等学校、大学間で実施している中高大連携活動の現状を評価し、その効果を
確認し組織的に連携推進活動の改善を行います。具体的な取り組みとして、大学教員および中高教諭ら
で構成する中高大連携推進検討委員会を中心に、中学高等学校と大学が理工学、グローバル、社会人基
礎力に係る視点から連携・接続をより強化するプログラムの企画・策定を行い、この実施をもって向学
意欲および質の高い生徒、学生の育成を図ります。
また女子中高生やその保護者向けの理工系進路選択支援プログラムの策定・実施について、男女共同参
画推進室との連携を図り、その実現を通じ芝浦工業大学の女子学生増を目指します。
⑥ キャンパス施設設備の整備
豊洲キャンパス初の一貫教育体制となる建築学部開設(2017 年 4 月開設予定)に向けた設置準備と工学
部再編を踏まえた豊洲キャンパス第2期計画の検討に着手します。また、大宮キャンパスのグランド等
インフラ環境の整備計画を策定し、大学3キャンパスの有効的利活用と各キャンパスの省エネ対策及び
災害・防災・緊急避難時の対策・整備を継続的に行っていきます。さらに、2014 年 12 月に着工した芝
浦工業大学附属中学高等学校の 2017 年 4 月開校に向けた準備業務を確実に遂行します。
⑦ 併設校強化
大学と併設する板橋、柏の両中学高等学校においては、各学校の個性化と特色の打ち出しを図りつつ、
中高大の連携強化による理数系教育の一層の充実や進学実績の向上などによるブランド力の強化を推進
します。
(芝浦工業大学中学高等学校)
移転開校に向けた新教育計画や入試広報計画、および大学との連携を深めた人材育成のあり方について、
校内の若手教員による5つの特別検討委員会で引き続き検討し、具体的実行案をまとめます。
(芝浦工業大学柏中学高等学校)
2015 年度から新設する中高特待生制度や高校特進クラス(グローバルサイエンス)を有効に機能させ、
進学実績向上に努めます。また第三グラウンドとして整備する隣接地工事の完了後、有効利用を促進し
ます。
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⑧ 地域貢献・社会貢献
文部科学省「地(知)の拠点整備事業(大学 COC 事業)」への選定を受け、これまで進めてきた自治体
や地域社会と連携した教育・研究・社会貢献を一層進め、課題解決に資する様々な人材や情報・技術が
集まる、地域コミュニティの中核的存在としての大学の機能強化を図ります。
また 2020 東京オリンピック・パラリンピック成功に向け関係機関との協調に努め、特に多数の競技施設
運営を担う東京都江東区(豊洲キャンパス所在地)との連携を強化します。
さらに、これまで行ってきている子どもから大人までの幅広い世代を対象とした生涯学習公開講座につ
いても、本学の教育・研究成果を地域社会に還元し、また学びの場を提供することを目的に、継続実施
していきます。
大学ではキャンパスごとに地元地域自治体との連携を図り、各種イベントの開催、キャンパスの開放な
どを行ってきています。地域に根ざした大学として評価いただけるよう、引き続き地域貢献、社会貢献
に努めて行きます。
この他、創立 90 周年(2017 年)に予定する全国フォーラム(仮)の企画立案を進める中で、新たな地
域社会との連携・貢献を目指します。
以上
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