より一層の人材活用の推進策 ~復興支援員のキャリア形成等 - G-SEC

第3期
より一層の人材活用の推進策
~復興支援員のキャリア形成等から考える~
1
多彩なキャリアバックグラウンドを有し、コミュ
課題認識
東日本大震災発災から5年目を迎え、復旧・復興
ニティ復興に奔走している復興支援員に対してこの
にかかる支援方策は、これまでに例のない大規模事
度アンケートを実施したところ、採用時の情報不足
業となっている。インフラや法整備をはじめとして、
がもたらす不安感、現状の支援員としての評価に対
行政が果たす役割は依然として大きい一方、民間の
する不安感、将来のキャリア形成に対する不安感な
復旧・復興活動との資源配分には十分なバランスや
ど、それぞれの段階における課題が浮かび上がって
相互の連携がますます求められている。今後の復興
きた。
を担う人的資源のあり方についても、これまでの常
識にとらわれず考えるべきではないだろうか。
これは外部人材を受け入れる被災自治体や派遣機
関が抱える課題意識でもあり、現在抱えている外部
震災を契機に多くの被災自治体が外部人材の受け
人材の有効活用をはじめ、コミュニティ再興に要す
入れをはじめた。地域に根ざしたコミュニティ再興
る先の期間に外部人材を継続して確保することがで
や被災自治体で発生する過多な業務対応のため、震
きるかどうか、人材の質は担保できるか、外部人材
災後には多くの外部人材派遣制度が設置された。
「復
の派遣が継続されない場合はその知見や支援ノウハ
興支援員(総務省)」「専門家派遣(復興庁・JI
ウをどう組織に蓄積させるべきかなど、今後の獏と
CA)」「WORK
した不安も募らせている。
FOR東北(復興庁・日本財
団)」など、外部人材活用のための制度は多岐にわ
たる。
人材派遣による事業・人の適切な評価については、
派遣された個人のその後のキャリア開発・形成にも
こうした中で、本研究では、外部人材活用制度の
影響を与えるというという観点からも、今後、外部
なかでも「復興支援員制度」に着目した。復興支援
人材の活用に関するナレッジを組織全体、社会全体
員制度は総務省が管轄となり、被災自治体が自治体
で共有することがますます重要となる。
内外の人材を最長5年間国費で確保できる制度であ
そこで本研究は、復興支援員制度をめぐる課題を
る。2011年より各県で導入され、2014年現
「個人(復興支援員)」「制度(復興支援員制度)」
在、岩手県で49名、宮城県で96名、福島県で3
の双方から明らかにした上で、課題解決に向けた政
5名、長野県1名と、合計181名の復興支援員が
策提言として、「“かがやけ!復興支援員大賞”の
活動している。
創設」をはじめとした提言を行っていく。
復興支援員制度の「入口期」への提案:丁寧な
また、プレゼンテーションを広く公開形式とする
情報共有・発信による「ナレッジのシェア」と「人
ことで、各自治体にとっても、他地域における運用
材の確保」
体制や取組事例を学ぶ機会となるほか、復興支援員
2-1
制度そのものを広く社会に情報発信する機会となり、
2
現状
復興支援員制度については、すでに各自治体で
将来的な人材確保にも資すると考えられる。
様々な実施体制・組織形態が生まれつつあり、各地
このほか、「かがやけ!復興支援員大賞」と連動し
域の多様な政策課題に応じた体制が構築されつつあ
た情報共有・発信に向けた取組として、自治体ごと
る。しかしながら、自治体ごとの取組事例・工夫が
の取組事例を網羅的・横断的に集約した「総務省:
十分に情報共有されるには至っておらず、既導入自
復興支援員取組事例集」等の拡充(例:隊員視点で
治体の「実施体制の改善」、未導入自治体の「新規
の取組紹介ページの新設、実施体制・組織形態ごと
導入」を妨げている。
のメリット・デメリットの整理・類型化)や応募者
加えて、このような情報共有・発信の不足は、復
拡大に向けた広報活動の強化(例:移住促進・ふる
興支援員自身にとっても処遇・受入体制をめぐるミ
さと回帰情報誌や創業支援専門誌等における特集ペ
スマッチやトラブルの一因となっている可能性があ
ージの掲載等を積極的に実施する。
る。また、被災自治体のニーズに応じた人材を復興
さらに、復興支援員への応募者に対しては、復興
支援員として継続的に確保していく点においても、
庁による横断的な人材マッチングプラットフォーム
情報共有・発信の改善が不可欠である。
(被災地外での開催説明会・個別相談会の開催 →
募集案件一覧表の作成・公開 → 受入自治体とのコ
2-2
求められること
ーディネート → フォローアップ等を実施)を用い
復興支援員制度をめぐる情報共有・発信を活発化
た丁寧なマッチングを行い、応募者・受入自治体双
させることを目的として、「かがやけ!復興支援員
方のミスマッチを減らしつつ、安定的な復興支援員
大賞(主催:復興庁)」を毎年開催する。同賞には、
の確保を図る。
復興支援員ひとりひとり(もしくはチーム)単位で
このような丁寧な情報共有・発信により、復興支
自由にエントリーすることができ、各地域における
援員の「入口」を拡げていくとともに、自治体間・
取組事例・活動成果についてプレゼンテーションを
復興支援員間のナレッジのシェアや客観的なキャリ
行い、優秀発表に対する顕彰や支援(取組の高度化・
ア形成を進めていく。
横展開等に向けた政府によるハンズオン支援、政府
広報等での紹介、協賛企業とのコラボレーション等)
3
を実施するものである。
援員のキャリア開発サポートのしくみ作り
このような発表・顕彰の機会を通じて、復興支援
復興支援員活用の「途中期」への提案:復興支
3-1
現状
員は客観的なキャリア形成の機会を得られることに
ご承知の通り、復興支援員は期限付きである。そ
加え、自分たちの取組の高度化・横展開に向けた支
の就業期間は支援員制度を導入する自治体毎に異な
援や投資を呼び込む機会も生まれる。また、復興支
り、5年を最長として自由に設定でき、1年毎に契
援員自身が情報共有・発信する機会をつくることで、
約を更新する。これはすなわち、毎年年度末に翌年
自らの任期終了後のキャリア開拓の足掛かり(=被
の仕事の心配をしながら働いていることになる。一
災地外の民間企業等との人脈形成)構築にも寄与す
方で、「復興支援員」という未知とも言える職を希
るものとなりうる。
望し、震災復興というチャレンジングな業務に飛び
込む人材の中には、そういった不安定な雇用形態も
込みで従事しており、あまり将来に不安を感じてい
1点目は、復興支援員としての任期が終了した後
ない者もある(われわれの班が実施したアンケート
も現在の活動を続けたいという希望がある場合、そ
より把握)。
れをサポートする仕組みが必要である。例えば、起
しかしながら、復興支援員後のキャリア形成が不
業や団体立上げの助成制度や、復興支援員受け入れ
要なわけではない。ただしその環境が整っているか
先での採用を優先的に検討される制度である。これ
というと、ほとんどの場合整っていない。行政職員
が整っていれば、地域の課題に長期的に取り組むビ
と共に働く現場では、地域住民や行政職員からは公
ジョンを描くことができ、より長期的にその現場課
務員のような存在に見られがちで、副業は許されて
題にマッチした人材を確保することにもつながる。
いたとしても現実的には行いづらく、起業のための
2点目は、任期終了後に向けたキャリア形成の準
資金準備や資格取得などのための学びの場へも参加
備を許容する仕組みである。現状の中で述べた通り、
しづらい。また現在の活動地域外への転職を希望す
行政職員とともに働きながら副業を持ったり、定期
る場合、移動コストがかかり業務と並行して進める
的に地域外の学びの場へ参加したりすることは、仕
ことが難しい。そもそも、土日含め業務量が多くそ
組みとして認知され職場の理解がないと難しい。地
の余裕がないという現実もある。
域外での学びによって、自身の活動を客観視でき
そしてこのような不安定な雇用は、新たに復興支
援員としての活動を考えている者の参画を妨害する
要因にもなる。「WORK
FOR
日々の活動を充実させることもあるのではないかと
考える。
東北」のスキ
3点目は、一般的な転職活動に見られるような、
ームなどを通して、企業からの出向の復興支援員も
キャリアカウンセリングやマッチング相談の場の確
少数ながらいるものの、大多数がそれまでのキャリ
保である。定量化できない復興支援員の業務をキャ
アを中断して地域に入っている。当然そのリスクは
リアカウンセラーの視点で評価し、活動を通して身
あるが、復興支援員を終了した後のキャリアパスが
に付けたスキル、力などを言葉にし、次にどのよう
明示されていれば、それが軽減され新たな参画者確
な仕事でそれらが生かされるかを考える機会が必要
保へとつながると考える。
である。これは現状の支援員としての仕事の振り返
また、復興支援員の多くは「コミュニティ支援」
りにもなり、自己肯定感を高めることにもつながる。
など、定量化できず社会的評価軸のない業務を担当
していたり、復興支援員制度ができて日が浅いこと
4
からその評価方法が確立されていなかったりするた
体に対しての評価軸の形成
め、自身が復興支援員としての活動を通して、どん
4-1
復興支援員活用の「途中期」への提案:事業全
現状
な目標を達成しどんな力がついたかを説明すること
復興支援員の事業目標は、行政による復興まちづ
や広く理解を得ることが難しい。それは、この制度
くり計画などに基づいて掲げられる。日々の活動は
が客観的指標を持っていないと言うこともでき、目
その目標に照らして進捗確認が行われる。しかし、
標達成を支援員自身が確認することも単純にはでき
その事業目標を掲げること自体が実は難しいケース
ず、達成感を得てモチベーションを保つことを妨げ
や、事業目標に数値を盛り込まなかったために進捗
ているとも言える。
確認に使えないケースなどがある。
その理由として、復興支援員の受け入れ先が行政
3-2
求められること
以上のような現状を踏まえ、以下の3点を提案し
たい。
であると、事業目標に数値を盛り込むことも難しい
場合がある。これまで行政の事業で数値が盛り込ま
れる目標設定はインフラ系事業のみで、達成がほぼ
確実なものに限られてきた。復興支援員事業のよう
余地を残してしまい、受け入れ先と支援員との事業
なソフト事業の目標設定、またその評価方法は、復
のゴールがどこで、今どこにいるのかの共通認識を
興支援員事業を通してこれから確立されていくもの
作る機会を失ってしまう。
と考えられる。また、インフラ系のハード事業は結
果(橋が完成したとか公営住宅の完成が遅れたとか)
5
のみが求められるため、復興支援員事業も目に見え
対しての評価軸の形成
る結果だけに注目されがちだが、そのプロセスやノ
5-1
ウハウこそ蓄積されなければならない。
復興支援員活用の「途中期」への提案:個人に
現状
自らの仕事に対してどう評価され、その評価が給
与などにどう反映され、どう新しいステージに進め
4-2
求められること
るのか、それらが仕事に対するモチベーションにつ
現在各地で活動している復興支援員のプロセスや
ながるものだが、今回アンケートにご協力いただい
ノウハウを共有し、それをベースとした事業評価の
た支援員の半数以上が、自らの活動がどう評価され
仕組みを作ることを提案する。そのためには、支援
ているか知らないと答えている。復興支援員の給与
員は自分たちの事業が地域にどういう変化をもたら
は定額で賞与もないことが、定期的に個人の評価が
したか、どのようなインパクトを与えたかを定期的
行われない要因のひとつであると考えられる。
に整理し、内外へ発信する必要がある。
また考えられる評価者として、復興支援員設置先
受け入れ団体や地域住民、もっと広く一般の人々
の職員と復興支援員派遣元の職員、またチームで活
を対象とした報告会の実施もその有効な手段のひと
動している場合など、現場統括やリーダーが挙げら
つとなるが、ここでは前出した「かがやけ!復興支
れる。実際に定期的に面談などを行い、各個人で目
援員大賞」の開催をその具体案として挙げたい。こ
標設定し、その達成度合いなどを確認しているケー
のような場で復興支援員が自分たちの活動を報告し、
スも見られるが、アンケート結果からはそれが少数
そのノウハウやナレッジを共有することで、新たに
であることがわかる。
支援員制度を導入する行政や団体はその評価方法を
さらにチームで活動している場合、チーム内でお
学べるし、導入済みの場合も違った観点から事業を
互いの活動が見えるような進捗管理表を作成し、定
見直すことができ、より充実した活動への目標の修
期的にその振り返りを行いながら、お互いを評価し
正も可能になる。
あい、そのノウハウやプロセスを共有することなど
新潟県中越地域で震災復興と過疎・高齢化の課題
は行われている。日々の活動の中で、地域住民から
に取り組み、復興支援員制度の生みの親と言われる
「ありがとう」に代表されるような言葉をもらい、
稲垣文彦氏は、「誰も経験したことのないことをし
自分やチームの活動が地域に貢献できていると確認
ているのだから、復興支援に失敗はない」と言う。
することもあるようだ。
全ては成功のためのプロセスと捉え、目標の見直し
や修正は当然必要で、結果だけではなくその過程を
注視する必要があることも、この「かがやけ!復興
支援員大賞」開催によって周知したい。
5-2
求められること
では復興支援員が前向きに業務に取り組むために、
どのような個人の評価方法が有効か考えたい。
また、目標設定やその見直し・修正を、受け入れ
復興支援員派遣元団体または現場統括・リーダー
先と支援員が一緒に行うことも重要である。日々の
による定期的な面談などのフィードバック制度を定
業務に追われそれを怠ると、数値化できない内容に
着させるべきである。自分の活動を定期的に振り返
ついて特に、評価者によって異なった解釈がされる
り、それに対するフィードバックを得ることは、自
信に繋がったり、方向修正を可能にしたりするから
の具体化による外部人材の定住促進、2)地元での
だ。また、受け入れ先職員からのフィードバックを
新たな組織体制の構築や既存組織体制の強化、3)
得ることで、受け入れ先が自身あるいは復興支援員
地元人材の育成が考えられる。
に求めているものを把握したい。時間とともに現場
や受け入れ先のニーズが変化することも、定期的に
実施すべき理由である。
1)現在の外部人材の雇用環境(処遇や受入体制
等)や将来の各個人のキャリアの具体化による外部
そしてそのフィードバックを反映させることが、
人材の定住促進については、震災後3年が経過する
さらに望ましい。一般的な企業では、給与や賞与へ
中で、企業派遣による外部人材も前職を辞めて被災
の反映やステージが上がるなどその内容は様々なも
地に飛び込んできた外部人材も一様に、元の組織や
のが存在する。復興支援員制度では、給与定額・賞
地域に戻ったり、新しい地域に移ったりすることへ
与なしのため、方法が限られる可能性はあるものの、
の不安を感じている。震災後に発生した新たな役割
活動のモチベーション維持のためには検討すべきで
を担うことはある意味先駆的な経験となるが、その
ある。組織内表彰を行っている組織もあるが、他に
経験が世の中でどれだけ評価されるかは現状未知数
どのような方法があるか、これも復興支援員を導入
となっていると言える。
している現場同志で事例共有を行ったり、アイディ
この状況の打開策となる具体的な取り組みとして
アを出しあったりして、より現場にマッチする形で
は、前出した「復興支援員のキャリア開発サポート
取り入れ、活動の充実を図るべきである。
のしくみ作り」や、人材紹介・開発関連の企業によ
る復興関連の職業のスキルや経験の整理による仕事
6
復興支援員活用の「出口期」への提案:外部人
材の投入により具体化された新たな役割の定着化
震災後の復興に関する仕事を遂行する中で、今ま
で遂行されてこなかった新たな役割が生まれてきて
としての定着化も考えられる。
上記のような取り組みの中で、世間一般として本
職業が認められること、地元で本職業の役割の重要
性を共通認識とすることが重要となる。
いる。高台への集団移転や町の中心市街地の再興に
伴う、新たなコミュニティの構築、震災にてほぼ全
2)地元での新たな組織体制の構築や既存組織体
ての資産を失った商業者の再建、短期間の加速的な
制の強化については、現在外部人材が担っている役
人口減少の中における雇用の確保等の大きな課題に
割の継続的に担い先を明確にしていく必要がある。
対する支援活動は最たるもので、今まで以上に住民
たとえば、双葉町や山田町に外部人材として入っ
や町内組織、外部組織との対話や、関係者を巻き込
ている筆者らを含め、復興支援員の活動期間は最長
んだ課題の検討を行う必要性が生じている。
でも5年間とされているが、この役割は、5年間の
上記のような役割を各市町村にて担ってきた組
み必要な役割ではなく、その後も継続していく必要
織・人が存在していなかったため、外部からの人材
があるものである。したがって、既存組織での継続
を確保することで震災後3年間取り組んできた。た
を考えていく必要があるが、既往の経験不足や人材
だし、その人材ももとの組織に戻っていく、新しい
不足により簡単に引き受けられる状況にあるとは言
地域に移っていく状況であり、その果たしている役
い難い。また継続していくための組織の構築につい
割を今後誰が担っていくかが大きな課題となってい
ても、独立組織の経営、人件費等の資金確保の難し
る。
さが明らかである。
その対策としては、1)現在の外部人材の雇用環
これに対して、震災後の復興関連の活動の担い手
境(処遇や受入体制等)や将来の各個人のキャリア
となってきた各市町村の「復興推進課」の業務を担
う「総合政策課」の創設や既存の「企画財政課」等
外部人材に任せきりにせず、必ず地元人材と共に動
の拡充等が考えられる。また、東松島HOPEやま
き、外部人材の持っている知識や経験を派遣期間中
ちづくり会社のように第三セクター等の新組織を構
に地元で吸収する。
築することも考えられる。上記組織を担っていくた
めには、国・県・各市町村での財源確保が必要とな
②地元人材の留学制度の実施
る。今後の各地域での戦略策定および実施のために
外部人材の派遣と同時に、地元人材を限定された
も、上記役割を担える組織や人材への資金提供スキ
期間に、外部人材の出向元等に送り込み、知識と経
ームを作っていくことが重要と考える。また、民間
験を身につける機会を積極的に与えていく。
企業との連携による財源確保も考えられる。このよ
うに官民連携し、人材を確保するスキームおよび資
金を生み出す取り組みが重要である。
以上により、地元人材を外部人材の派遣期間と同
時に積極的に育成し、外部人材が戻った後も業務が
遂行されていくような取り組みが必要となる。
3)外部人材の継続的雇用も重要であるが、それ
と同時に業務の担い手となる地元人材の育成も重要
7
おわりに
となる。外部人材が雇用されている期間が、地元人
本研究では、復興支援員制度をめぐる課題を「個
材育成の最大のチャンスとなるが、現状外部人材に
人」「制度」の双方の観点から、段階に応じた支援
任せてしまい、知見が地元に残らないケースが多々
の必要性を明らかにしてきた。「ナレッジシェア」
起きている。そのため、次の2つの取り組みにより、
「人材確保」が必要となる入口期、支援員が中長期
地元人材の育成に取り組むことが考えられる。
なキャリアビジョンを持つための「キャリア開発サ
ポート」への支援が必要な中間期、事業、個人への
①外部人材とのセットによる業務遂行
評価軸を設けて定点観測を行っていくための途中期、
( 参考 ) 本報告書と政策提言の全体像
復興支援員により築かれた役割の定着化を行う最終
期など、取り組むべき課題は山積みとなっている。
その中でも課題解決に向けた具体的な政策提言と
して、「“かがやけ!復興支援員大賞”の創設」を
はじめとしたアクションを提示した。本提言を通じ
て、今後の外部人材活用制度における、復興という
社会の共通目標に向かったより良い制度の選択と事
業を遂行する可能性についてあるべき方向を示唆し
たい。そして、すべてのステークホルダーがよりよ
い社会の構築に主体的に関わるとともに東北の真の
復興に寄与することを願ってやまない。