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新68期司法修習生選択型実務修習プログラム
「不動産、借地・借家」
担当テーマ:「不動産鑑定について」
2015年11月11日
不動産鑑定士 井門 晃
(2002年登録、国土交通省登録番号 第6969号)
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不動産鑑定(不動産の鑑定評価)とは
不動産の鑑定評価とは「不動産の経済価値を判定し、その結果を価額に表示すること」をいう。
不動産の鑑定評価は、国土交通省または都道府県に登録されている不動産鑑定業者のみが依頼
を受けることができ(大臣登録79業者、知事登録3,328業者) 、国土交通省に登録されている不動産鑑定士(不動
産鑑定士補を含む)のみが、不動産鑑定業者の業務に関し、不動産の鑑定評価を行うことができる
(不動産鑑定士8,118人、士補1,293人、計9,411人、平成27年1月1日時点) 。
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どうして「不動産の鑑定評価」が必要なのか?
宅建業者の査定価格とは違うのか?
不動産鑑定評価書は依頼者の都合に合わせて書類(価格)をつくるのではないのか?
実際、どういった場面で「不動産の鑑定評価」が必要とされるのか?
不動産鑑定評価書を取得するのには幾らくらいかかるのか(報酬額は)?
不動産鑑定士による「不動産の鑑定評価」とは、地域の環境や土地固有の諸条件を考慮して、
「不動産の有効利用」を判定(“目利き”)し、「適正な不動産価格(地価)」を判断(“値付け”)する
ものである。よって不動産鑑定士は、不動産市場における価格(Price)についてだけでなく、不動産
の適正な利用価値(Value)をはかることについての専門家である。
<参考>不動産鑑定評価の関係法令
・不動産の鑑定評価に関する法律(昭和38年法律第152号)
・不動産の鑑定評価に関する法律施行令(昭和38年政令第5号)
・不動産の鑑定評価に関する法律施行規則(昭和39年建設省令第9号)
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不動産鑑定評価業務について-1
不動産鑑定士が不動産の鑑定評価を行うに当たって統一基準とされているのが、
『不動産鑑定評価基準(及び不動産鑑定評価基準運用上の留意事項)』である。
このほか、不動産鑑定士が行う価格等調査全般のルールについて『価格等調査ガイドライン(略
称)』として「財務諸表のための価格調査の実施に関する基本的考え方」や「証券化対象不動産の
継続評価の実施に関する基本的考え方」等があったり、『海外投資不動産鑑定評価ガイドライン』等
がある。
≪裁判(民事)における不動産鑑定の評価業務≫
(㈳日本不動産鑑定協会 法務鑑定委員会編『不動産鑑定をめぐる諸問題』(判例タイムズ社,2009)17~19頁より抜粋)
1.一般民事事件
(1) 損害賠償請求事件に関わる損害額の鑑定
ア (その他の不動産利用権の侵害における)借地権価格、借家権価格、使用借権価格その他の権利価格の鑑定
イ (瑕疵担保責任等に基づく損害賠償請求における)土地の瑕疵(産業廃棄物その他汚染物質等の存在)による不動産価値の
下落額等の鑑定
ウ 日照、眺望阻害等における損失額の鑑定
(2) 共有物分割請求事件における現物分割の鑑定
(3) 土地境界確定事件における境界の鑑定
(4) 建物区分所有法上の建物買取り、建物売渡請求事件における建物の時価の鑑定
2.借地・借家事件
(1) 地代・家賃増減額請求事件における継続賃料の鑑定
(2) 正当事由に基づく土地・建物明渡請求事件における立退料の鑑定
(3) 建物買取請求事件における建物の時価の鑑定
(4) 更新料並びに借地条件変更、賃借権譲渡、増改築等各種承諾料の鑑定
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不動産鑑定評価業務について-2
(つづき)
(5)
(6)
(7)
(8)
法定地上権の地代の鑑定
借地権、借家権の新規設定時における権利金、敷金、地代・家賃等の鑑定
建物の朽廃、建物火災による滅失の程度等の鑑定
罹災都市借地借家臨時処理法上の借地・借家条件等の鑑定
3.家事事件
(1) 遺産分割事件における各種相続財産の鑑定
(2) 遺産分割、遺留分減殺請求事件における持戻財産の鑑定
(3) 寄与分額の鑑定
(4) 離婚に伴う財産分与請求事件における分与財産の鑑定
4.商事関係事件
(1) 会社更生、民事再生手続きにおける会社財産の鑑定
(2) 破産手続きにおける破産財団に属する財団の鑑定
(3) 株式の譲渡等に伴う非上場株式の鑑定
5.行政関連事件
(1) 税務訴訟における不動産の時価の鑑定
(2) 住民訴訟における不動産の適正な時価の鑑定
(3) 収用事件における正当な損失補償額の鑑定
(4) 市街地再開発事業、土地区画整理事業に関わる土地、建物、その他権利の価格並びに各種補償額の鑑定
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鑑定評価の対象となる不動産の種類の例
鑑定評価の対象となる不動産の種類(アセットタイプ)には、自用・賃貸に供されているものを含め、
次のようなものがあげられる。特に、4以降は、土地・建物そのもの自体の価値というよりも、当該不
動産の運用(オペレーション)の良否によってその価値が大きく左右するため、「事業用不動産(オペ
レーショナルアセット)」ともよばれる。
1.更地(現況駐車場、未利用地/遊休地/資材置き場等)
2.住宅(戸建、別荘、分譲マンション1室、1棟賃貸マンション/アパート/サービスアパートメント等
3.オフィスビル(事務所、事業所、サービスオフィス等)
4.商業施設(都心型:百貨店、専門店ビル、物販系・飲食系・複合系ビル
郊外型:SC、GMS、アウトレットモール、ホームセンター、大型専門店等)
5.インダストリアル施設(物流施設:マルチ/BTS、常温/定温/低温/冷凍冷蔵、配送型/保管型、
工場・研究開発施設、インフラ施設、データセンター、サイロ等)
6.レジャー施設(ホテル:高級・リゾート/シティ/ビジネス/レジャー、ゴルフ場、ボウリング場、
フィットネス、カラオケ店、パチンコ店、ゲームセンター、遊園地、日帰温泉施設等)
7.ヘルスケア施設(病院・診療所、高齢者向け居住施設:医療系/福祉系/住宅系等)
8.環境不動産(グリーンビル、ソーラー発電施設、純農地・純山林等)
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個人プロフィール
不動産鑑定士
井門 晃(いど あきら)
大阪府出身。
早稲田大学大学院卒業後(国際経営学修士、称号MBA)、外資系のコンサルティング会社(DTC)、不動産会社(CBRE)
にて、バリュエーション(鑑定評価)業務のほか、CRE(企業不動産)戦略・ブローカレッジ(売買仲介)といった法
人向け営業・コンサルティング業務に従事。 2006年9月から現職。
大阪経済大学経営学部の非常勤講師(不動産投資論、不動産ビジネス論)、(一社)環境評価研究機構理事も兼務。
●不動産鑑定士(34期、2002年登録)としての鑑定評価実績のほか、 宅地建物取引主任者としての不動産仲介実績が
あり、 関西エリアの「オフィス」、「リテール」、「ロジスティクス」など各用途に対する確度の高いマーケット情
報(物件相場賃料水準、入・退去テナント動向、売買取引事情、ディベロッパー・投資家意見等)の収集が可能です。
●「重要事項説明書」「売買・賃貸借契約書(信託受益権取引含む)」のドキュメンテーション対応することで、M&A
や事業承継等の際に生じる不動産デュー・デリジェンス業務を含め、様々な不動産問題に即応したソリューション型
(解決型)の業務提供が可能です。
●CASBEE不動産評価員、地盤インスペクター®、医業経営コンサルタントのライセンスを使った「環境不動産」、
「医療機関・介護施設」の評価が可能です。
●「英語(MRICS)」を使ったレポート等の作成、日本制度と対比させた海外不動産情報(不動産制度、マーケット等)
の収集が可能です。
■資格・ライセンス
不動産鑑定士(Japan)、MRICS(UK, 英国王立チャータード・サベイヤーズ協会会員)、
医業経営コンサルタント(公益社団法人日本医業経営コンサルタント協会 認定登録)、不動産証券化協会認定マスター、
CASBEE(建築環境総合性能評価システム)不動産評価員、地盤インスペクター®、宅地建物取引主任者(取引士)
■所属学会等
日本不動産学会、日本都市計画学会、日本土地環境学会、NPO法人日本農業資産総合評価機構賛助会員
Tel:06-6203-1780(代表)
Mobile:090-1676-3823
E-mail:[email protected]