「女性研究者の目線で 新たな実験器具を企画してみよう」

「女性研究者の目線で
新たな実験器具を企画してみよう」
座談会企画
大阪府立大学の女性研究者の方々に聞きました
大阪府立大学理系女子大学院生チーム
IRIS(アイリス)
尾 崎 由季さん
理学系研究科 生物科学専攻 細胞組織工学分野
made
上野 未貴さん
in
工学研究科 電気・情報系専攻 知能情報工学分野
西川 麻裕さん
理学系研究科 生物科学専攻 細胞組織工学分野
梅崎 美亜さん
工学研究科 電子・数物系専攻 電子物理工学分野
(以下敬称略)
――日常的に使用する実験器具で不自由に感じることは何かありますか?
尾崎:洗浄瓶の液の出る量って調節できないんでしょうか?pHメー
ターを洗浄する際に、液量をもっと出せるようにノズル先端を自分で
カットすることがあります。
――実はこの洗浄瓶は先端が取り外せて、
しか
も先端ノズルを無くさないようにキャップの側
面に収納ポケットを付けているんですよ。
取り出しにくい。意外と専用のケースっ
てないんです。小さなもの でもしっかり
と分けられて識別しやすいケース が欲
しいです。
――なるほど。識別という言葉が出てきまし
たけど、それ以外で研究室内で識別が必要
になるケースにはどんなものがありますか?
西 川 : 培養細胞の重金属に対する影響を研究
しているんですけど、使用する器具類については安全のため他の人が触
らないように気をつけています。例えば重金属の入った培地は一般廃液と
して捨てられないので、手作りの専用アスピレーターで96穴プレートから
回収して専用の容器に廃棄するなどしています。それでも、使用する実験
器具が何かの拍子に他の器具と混ざったり、自分の実験内容を知らない他
の人が使ってしまわないかは心配です。
あ、先端ノズルが取り外せるんですね!
西川:なんか掃除機のノズル収納みたいですね(笑)
梅崎:そういえば、先輩が小さいビーカーをた
くさん洗浄するんですけど、このジャー
ジャー洗瓶みたいに液量が多くなく、もう
少し小規模にシャワー状になるようなノ
ズルがあれば便利かもしれませんね。
梅崎:西川さんの研究内容からすると他の器具と分けられた方が良いですよね。
尾崎:いっそのこといろんなタイプのノズルを作ってキャップに収納
しておけば用途に応じて使い分けできるんじゃないでしょうか?
梅崎:ところで、このやわらか洗瓶の色はなぜピンク色にしたんで
すか?
色に。。ダメだったでしょうか。。
尾崎:いや、他にもイエローとかグリーンとかカラ―バリエー
ション があってもかわいいと思いますよ。
――なるほどですね!話は変わりますが、研究
室内の収納に苦労されているというお話をよく
お聞きしますが、皆さんの研究室ではいかがで
すか?
上野:私は情報系なので、
とにかく研究室内のPC
周辺はケーブルがとにかく多いんです。
よくあるマジックテープ式のタイだと、上手
くまとまらないんです。
――確かにケーブルが多いと繁雑に見えてしまいますよね。
西川:そうですよね。限られたスペースでしっかり識別管理ができるような実
験器具や方法があれば良いですね。
――なるほど。識別管理ができるような工夫を収納器具やマーキン
グ方法などから改善できるように考えてみます。
――研究室によって様々な状況があると思いますが、工夫している
点にはどんなものがありますか?
梅崎:光学機器などを保管する際に小さな塵が気になるんです。なので、
ゴミ袋を切って、保管棚に張って塵の侵入を防止していますね。
――皆さん手作りでいろいろ工夫と苦労をされているようですね。何かそ
のような問題を解決できるような材料や提案を考えてみます。
――ところで、培地を調製する際にメスシリンダーを使ったりしますか?
尾崎、西川
――こんなもの作ろうと考えています。
尾崎、西川
IRISとは
TPXメスシリンダーキャップ
まさか撹拌用のキャップですか(笑)?
――そうなんです。調製後の培地を出す際はキャップを半開けして液を出
すと一気に飛び出さないので、こぼれたりす
る心配がありません。
上野:もっと言うなら、どれがどの線とか、
しっかりと識別できるような形
状のタイがあれば良いと思うんです。
もう一つ。電気回路を教えているんですけど、コンデンサーなどの
小さな素子ケースに入れて持ち運びするんですけど探しにくいし、
マルチ洗瓶
使いますね。1Lくらいの容量ですね。
尾 崎 、 西 川 出 す 時に一 気にドバッと出
ないのが良いですね!
大阪府立大学の理系女子大学院生チームです。
主に、小・中・高校生を対象とした科学の楽しさやおもしろさを広めるた
めの活動をしています。理系女子の裾野拡大を目指します。
∼ 日頃の研究Lifeから気付くこと ∼
大阪府立大学 女性研究者
恩田 真紀 先生
理学系研究科 生物科学専攻 構造生物学分野 准教授
山口 夕 先生
生命環境科学研究科 応用生命科学専攻 植物バイオサイエンス分野 准教授
竹田 恵美 先生
理学系研究科 生物科学専攻 光生体制御科学分野
吉原 静恵 先生
理学系研究科 生物科学専攻 光生体制御科学分野
講師
助教
(以下敬称略)
恩田:これ何ですか?
して昨年から販売しているもの
です。こんな風にして使います。
恩田:こんなんあったんだ。これ
いいね!
吉原:それと、
−80℃でもしっかりと耐えられる透明テープがあれば便利
――へー、それいいですね。今度見せてくださ
い。因みにそのような仕様のものを作ったとし
て、どのくらいの費用なら買ってみようと思いま
すか?
恩田:1000円前後くらいでしょうか。
――なるほど、ちょっときついかも。。
だと思います。
――さっそくありがとうございます!
――それでは本日はよろしくお願いします。
(笑)
恩田:クリーンベンチの中が片付かないので何か棚が欲しいな。
恩田:ビーカーとか重いし、よく割ってしまうからプラスチック製のものを
よく使っていますよ。吸引瓶なんかもガラス製では枝管がよく折れ
るのでプラスチック製のものを使っていますが、もっと大きな容量
が欲しいですね。
竹田、吉原 :吸引瓶もそうですけど、中にどんな
――中にはどのような実験器具を置いてらっしゃるのですか?
恩田:空のプレートやピペットマン等とにかく直ぐ使用する消耗品類かな。
――突然ですが白衣についてお聞かせください。
恩田:白衣よりもとにかくお腹が濡れる。流しが低くて蛇口まで遠いから
薬品を入れていいのか分かり辛いで
す。プラスチックは外観だけではどの
材質が分かり難いので。学生でも分か
るようにしてほしい。
そんなことになってしまうのかな。だから白衣ではなくエプロンを
使用していますよ。こちらの方が、水を通さないし、白衣よりも涼し
いしね。ほら、自前で持ってますよ。
おー(笑)!でも確かにそうかも。白衣は暑いですもんね。
山口:研究室ではパラフィルムを使いますが、
山口:私は危険な薬品とかは使用しないので白衣を毎日着るまではしな
対象物の形状によっては巻きづらいも
のがあるんです。もっと柔らかくてコス
トの安いビニールテープがあれば良い
なと思います。
いですね。
竹田:テープで言うと、オートクレーブテープで、のり残りのないものが欲しい。
何度かオートクレーブをかけていると、のり残りがだんだん出てくる。
――もし研究者用エプロンがあったとしてカラーバリエーションは欲しい
ところですか?
恩田:そりゃそうですよ。
――さっそくたくさんのご意見ありがとう
ございます!
吉原 :因みに白衣にしてももう少し色々なデザ
竹田:シャーレなどは箱で買うのですが、どこ
――作業性や機能性を考えるとエプロンってい
いかもしれませんね。
インのものがあっても良いと思いますね。
に収納するかというと棚の上です。だ
から、取り出しにくかったりするので、
製品箱には持ち手が欲しいですね。
恩田:冬場とかなんかはフリースをよく着るけ
ど、あれ静電気が発生しやすい。静電気
を除去するシートなんかは欲しい小物の
一つですね。
山口:製品箱に予めミシン目をつけておくと
良いですね。これが各側面にあれば便
利かもしれないですね。
――結構、イスなんかも帯電しやすいらしいです
ね。
――確かにいいですね。箱は直接の製品ではないですけど、顧客サービス
という面で必要です。
吉原 :その他ですけど、チューブラックには、今エッペンを差し込むと底を
ホールドする形になり、
くるくる回らなくなるラックがありますよ。
竹田:シューズでもナースシューズとかには導電性のものってありますよね。
テレポマーカー
耐寒ドットラベル
IRIS や先生方からたくさんの製品企画のヒントをいただきました。誠にありがと
うございました。
皆様からいただきましたアイデアをカタチにできるように、これからブラッシュ
アップして製品化につなげられるよう、取り組んでまいります。
皆様の引き続きのご活躍をお祈り申し上げます。
ご協力 :
大阪府立大学女性研究者支援センター
ちょっとブレイクタイム
女性研究者を応援している大学のご紹介
大阪府立大学
女性研究者支援センター
http://www.osakafu-u.ac.jp/genki
環境整備
大阪府立大学女性研究者支援センターは、 女性研究者が働きや
すい環境を整えるために、 さまざまな取り組みを行っています。
女性研究者の増加と活躍によって、 人材がより多様となり、 性
別にかかわらず個人の能力と個性を発揮して、 研究 ・ 教育成果
をあげられる大学になることを目指しています。
そのためにも、 学内はもちろん、 地域や企業とも連携して支援
事業をすすめています。
推進体制を整えるとともに、 研究者への直接支援などを行っています。
研究支援員の配置・在宅勤務支援
妊娠 ・ 出産 ・ 育児および介護で研究時間の確保が難しい研究者に対して、 研究
を補助する支援員を、 センターから派遣します。 また、 在宅勤務の支援とし
て、 web カメラ付きパソコンの貸与を行っています。
相談窓口の運営
ロールモデル・セミナー
サイエンス・カフェ
女性の研究者や職員、 学生の困ったことや悩みの相談に対応
しています。
全学的意識改革
女性研究者が研究を続けていくことへの理解を進めます。
つばさ保育園
• ロールモデル・セミナーやサイエンス・カフェの実施
• 子育て応援ピンバッジ・シール・キャンペーンの実施
•「会議は 17 時まで」キャンペーンの実施 など
学内保育施設「つばさ保育園」
研究者育成
女性が研究者として活躍するキャリアパスを構築するとともに、 理系を志す女
性の数を増やします。
研究のスキルアップ支援
女性研究者懇話会へのサポートなど、女性研究者の
ネットワーク構築
子どもサイエンス・キャンパス
理系女子大学院生チーム「IRIS(アイリス)」による小中高校生を対象
とした裾野拡大事業や、各種研修の実施
地域に出向いて小中学生を対象に実施する「子どもサイエンス・
IRIS 任命式
オープンキャンパス
キャンパス」、理系を目指す女子高校生と話をする「オープンキャン
パス『めざせ! 理系女子コーナー』
」など、科学の楽しさやおもしろさ
を広めるための活動をしています。
女性研究者
女性研究者の育成と環境づくりかぁ。
こんな取り組みがもっともっと広がれば私たちも安心し
て研究に専念できるし、 可能性も広がりますね。
私たち女性研究者応援カタログ
(プラティーヌ)も、
理系女子大学院生チーム「IRIS(アイリス)
」を応援します!
IRIS のこれからの活躍にご期待ください。
プラティーナちゃん
「プラティーナ」ちゃん
女性研究者応援カタログ
(プラティー
ヌ)で活躍する女性研究者。
プラスチックにとても詳しく、 プラスチックの実
験器具なんかは自分で作ってしまう。 楽しい実験
器具の仲間たちに振り回されながらも、 毎日
いっしょうけんめい実験の日々を過ごしています。