議決議案 第 ー号

第 3 0 9 回 臨 時 宗 会
議決議案 第1号
「宗門総合振興計画」推進にかかる基本方針案
ー「宗門総合振興計画」の策定にあたって−
宗門総合振興計画(以下「総合計画」という。)は、2014(平成26)年に法灯を
伝承された専如ご門主のもと、時代の変化に対応する宗門の新たな第一歩として、20
16(平成28)年及び2017(平成29)年に修行される伝灯奉告法要と、202
3(平成35)年に予定される親鸞聖人御誕生850年・立教開宗800年の慶讃法要
を展望する中、宗門の充実振興のため、2015(平成27)年6月1日を始期とし、
2025(平成37)年3月31日を終期とする10会計年度を推進期間として展開す
るものである。
総合計画は、宗門総合振興計画大綱策定委員会答申書をもとに、宗会、常務委員会、企
画諮問会議及び公聴会等への意見聴取によって広く寄せられた意見を参考として、宗門を共
に支えあう一人ひとりが担うべき「使命」は、宗制に定められる「あらゆる人々に阿弥陀
如来の智慧と慈悲を伝え、もって自他共に心豊かに生きることのできる社会の実現に貢献する」
という宗門の基本理念であると明示し、それを具体化する実践として、3つの基本方針
を掲げ、それに従い各項目を重点的に推進実施するものとした。
現代人は物質的に豊かで便利な社会の中に生きている一方、少子高齢化、核家族化、
過疎化など、社会構造の変化によって都市や個人中心に変容する生活の中で人間関係が
希薄となり新しい悩みや不安を生み出している。また、原発事故によるエネルギー問題
や武力紛争、経済格差、気候変動、核物質の拡散など、人類の生存に関わる課題が露呈
している。
このような現代社会に生き、さらにこの傾向が一層強さを増すことが予測される近未
来社会への不安も相まって、現代人は心の豊かさをも享受できる揺るぎない柱を求めて
いる。
それに対して、仏教、そして浄土真宗が「よりよい精神文化の創造のためにどう貢献
できるか」という視点に立ち、宗門は、浄土真宗にご縁の薄い方、あるいはまだご縁の
ない方を含めた、つまり社会全体に対する活動が緊要と考え、まず、「基本方針I.仏
教の精神に基づく社会への貢献」を掲げることとした。そして、基本方針Iによって仏
教精神に賛同された方々が、次はいかにして念仏申す人生に恵まれ、生死を超え安心の
うちに生活できる往生浄土の道を得ることができるかが重要である。そのためには、す
でに浄土真宗にご縁のある方、宗門を構成する僧侶、坊守、寺族、門信徒、一人ひとり
がそれぞれの立場で念仏申す人生を歩み、念仏が聞こえる日常をつくり、宗門の輪を社
会全体にまで広げていくことが肝要であると捉え、その活動を「基本方針Ⅲ.自他共に
心豊かに生きる生活の実践」とした。また、この基本方針I及びⅡを宗門全体で実践し
ていくための「ささえ」となるべき組織の充実を「基本方針Ⅲ.宗門の基盤づくり」と
したものである。
このように3つの基本方針は、各項目が独立したものではなく、連動することによっ
て成果をあげ得るものであり、その具体的な取り組みとして「推進事項」を設定した。
なお、推進事項に基づく各取り組みについては、短・中・長期的視点に立脚し、実行・
点検・改善をもって、継続的かつ効率的に推進することとし、単年度における取り組み
が、年度の宗務の基本方針及び具体策として連関するものである。
法灯伝承という尊くも力強い機会をいただいた私たちは、専如ご門主を中心に「自他
共に心豊かに生きることのできる社会の実現に貢献する」ための宗門の新たな第一歩と
して、一人ひとりが積極的に総合計画に参画・実践し、本願念仏のご法義を社会全体に
伝えることをめざすものである。
1.宗則及び宗達の制定
総合計画を推進するにあたり、概ね以下に掲げる事項について、宗則及び宗達に定
めることとする。
2.総合計画の推進内容
総合計画は、第25代専如門主の法灯伝承を機縁として、2016(平成28)年
及び2017(平成29)年に修行される伝灯奉告法要並びに2023(平成35)
年に予定される親鸞聖人御誕生850年及び立教開宗800年の慶讃法要を展望す
る中、宗制に定められる「あらゆる人々に阿弥陀如来の智慧と慈悲を伝え、もって自
他共に心豊かに生きることのできる社会の実現に貢献する」という宗門の基本理念を
体現すべく、次表に掲げる基本方針に基づく重点項目及び具体的な取り組みとして推
進事項を設定し推進するものとする。
法要 の修行 と記 念行 事 の推進
I 伝 灯 奉 告 法 要 並 び
に親 鸞 聖 人御 誕 生 8
5 0 年 及 び 立 教 開宗
8 0 0 年慶讃法要 の
修 行 と記 念 行 事 の推
進
基本 方針
I 仏 教 の精 神 に基 づ
く社会 へ の貢献
1 法要 の修行
2 記念行 事等 の推進
3 協賛行 事 の推進
重点項 目
1 宗 派 の枠 を越 え る仏
教界 全 体 の協力 体 制 の
充実 と宗 門 内外 組 織 と
の連携 の強 化
2 社 会 活動 に寄 与す る
宗 門人 のネ ッ トワ⊥ ク
の構 築
3 僧 侶 の本分 の励行
4 念仏者 の生活 実践
Ⅱ 自他 共 に 心豊 か に
生 き る生活 の実践
5 お 寺 に ご縁 の な い
方 々 と共 に集 え る開 か
れ たお寺 づ く り
推進 事項
(1 )伝 灯奉告 法要 の修行
(2 )親鸞 聖 人御 誕 生 8 5 0 年 及
び 立教 開宗 8 0 0 年慶 讃 法要 の
修行
(3 ) ご門主 教 区 ご巡 回 、直轄 ・
直属 寺院 ご巡拝 、海 外 ご巡 回
(4 ) 協賛行 事
推進事 項
(1 )仏 教界 の英 知 を結集 し、仏
教 的 価 値 観 を社 会 に 対 して 提
言 ・発信 す る と ともに、宗 門の
対 外活動 と情報発 信 力 の充 実 を
行う
(2 )社 会活 動 に寄 与す る宗 門人
の発 掘 ・連 携 を図 る
(3 ) ビハ ー ラ活 動 の さ らな る展
開 を図 る
(4 )僧 侶 は、仏 の大悲 心を学び 、
教化 を 自 らの使 命 と自覚 し、 自
信 教入信 の実践 を徹 底す る
(5 ) 門信 徒 は、弥 陀 の本願 を仰
ぎ智 慧 と慈悲 の お はた らきの 中
で御 恩報 謝 の 日暮 しと次 世代へ
のお念 仏 を相続 す る
(6 )真 宗 の伝 統 ・しきた りを尊
重 し、現代社 会 に即応 した伝道
の開拓 を進 める
(7 ) 首都 圏特 区 にお け る開教 ・
伝道 活動 を積極 的 に展開す る
(8 )坊 守及 び 寺院 出身 者 の役 割
を生 か し、男 女 が共 に責任 を担
って活動 す る
6 組織の役割 の確認
Ⅲ 宗 門の基盤づ くり
7 宗門財政の確立
8 宗門内外のニーズに
応 える施設 の総合的検
討
(9 )寺院の現状把握 と自己診断
につ とめ、各寺院で必要 とされ
る活動の展開について、専門的
立場か ら支援 を行 う
(10)連区 ・教 区 ・組の地方組織
の現状を点検 して、その責任 と
権限を見直 し、組織の改革 を進
める
(
11)将来 を展望 し持続可能な組
織 とす るため、宗門財政 を念頭
に置き、短 ・中 ・長期的視点に
立って、宗務 の精査 ・展 開を図
る
(
12)本 山境 内建物の整備 と各施
設の活用方策 の検討 と運用を行
う
3.推進期間
総合計画の推進期間は、2015(平成27)年6月1日を始期とし、2025(平
成37)年3月31日を終期とする10会計年度において、次に示すとおり第1期、
第2期及び第3期に区分して推進する。
第1期 2015(平成27)年6月1日から2018(平成30)年3月3
1日までの3会計年度
第2期 2018(平成30)年4月1日から2022(平成34)年3月3
1日までの4会計年度
第3期 2022(平成34)年4月1日から2025(平成37)年3月3
1日までの3会計年度
4.収支計画の策定
総合計画を推進実施する財政上の措置として、あらかじめ宗会の議決を経て、宗門
総合振興計画推進費収支計画(以下「収支計画」という。)を策定するものとする。
5.年度予算の編成
収支計画は、毎会計年度、特別会計として予算を編成し、宗会の議決を求めるもの
とする。
6.総合計画の推進事項及び収支計画の点検総括
総合計画の推進事項及び収支計画は、1期ごとの推進期間が終了する年度において、
推進事項の進捗状況及び収支計画における収入、支出の現況等を点検総括し、推進事
項の変更若しくは完了又は次期への継続の確認を行うなど、総合計画の推進に必要な
措置を講じるものとする。
7.総合計画の推進期間及び収支計画の変更措置
総合計画の推進期間及び収支計画を変更するときは、あらかじめ宗会の議決を求め
るものとする。
8.宗門総合振興計画推進会議の設置
総合計画の推進実施に関する重要事項を諮問する機関として、宗会議員及び本願寺
評議会の評議員を委員とする宗門総合振興計画推進会議(以下「推進会議」という。)
を設置し、必要に応じて常任委員会を置くものとする。
9.事務部門
総合計画の推進に必要な事務は、総長の指定する宗務部門が、それぞれ処理するも
のとする。
10.本山との関係
総合計画を推進するにあたり、本山境内地及び境内建物の整備と各施設の活用方策
の検討と運用など、本山と共通し、又は関連する事項については、宗門と本山の協力
体制の下、総局と内局が緊密に協議を行い、連携して推進することとし、本山にかか
る経費は、本山が策定した計画に基づき、宗門総合振興計画推進費から本山会計へ回
付するものとする。
11.伝灯奉告法要の修行と記念行事の推進体制
伝灯奉告法要の修行その他法要にかかる諸般の事項は、宗門及び本山の協力体制の
下、法要を推進するための総本部を設け、総長及び本山の執行長が宗門及び本山それ
ぞれの総本部長にあたり、次の本部を設けて推進処理する。なお、これら推進体制に
必要な基本的事項及び部門の設置などは、宗門においては宗則及び宗達で、本山にお
いては寺達及び達令で定めることとする。また、本山にかかる経費は、総局と内局が
緊密に協議を行い、宗門総合振興計画推進費から本山会計へ回付するものとする。
(1)宗門の本部体制
①総務本部
②広報・記録本部
③布教伝道本部
④教化本部
⑤警備・誘導本部
⑥団参本部
⑦行事本部
【参考】本山の本部体制
①内務本部
②法式本部
③参拝本部
12.親鸞聖人750回大遠忌宗門長期振興計画基本規程(平成17年宗則第8号)及
びこれに関連する諸宗達の廃止
総合計画を策定するにあたり、従前の親鸞聖人750回大遠忌宗門長期振興計画(以
下「長期計画」という。)に関連する宗則及び宗達は、2015(平成27)年5月
31日をもって廃止する。これに伴い、長期計画終結後の宗務措置は、概ね次のとお
りとする。
(1)事務の引き継ぎ
宗門長期振興計画推進対策室が所掌した事務及び各宗務部門が所掌した長期計
画の推進事項で継続される事項は、総長の指定する宗務部門が引き継ぐものとす
る。
(2)決算剰余金
親鸞聖人750回大遠忌宗門長期振興計画推進費収支計画終了時に生じた剰余
金は、宗門振興推進金庫設置規程(平成5年宗則第7号)による宗門振興推進金
庫に繰り入れるものとする。
(3)出納整理期間
2015(平成27)年5月31日をもって閉鎖される特別会計親鸞聖人75
0回大遠忌宗門長期振興計画推進費の出納整理期間は、会計規程(昭和28年宗
則第12号)第13条の規定にかかわらず、2015(平成27)年6月1日か
ら7月31日までの2か月間とし、総長の指定する宗務部門がその処理にあたる
ものとする。
・5・