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平成27年9月1日号
足柄上病院ジャーナル
(年3回−1月・5月・9月発行)
足柄上病院の病院理念
「あ」:安全で安心な医療を提供します。
「し」:社会の要請を担う政策医療を展開します。
「か」:患者中心の医療を実践します。
「み」:魅力ある自立した病院を目指します。
初秋号(通刊 第 51 号)
ロコモではありませんか?
副院長・
整形外科部長
まき
た
ひろ
ゆき
牧 田 浩 行
現在日本は世界一の長寿の国です。しかし平均
で約10年間は介護など他人の手助けが必要になっ
ているのが現状です。メタボは生活習慣がもとで
様々な内臓の病気を引き起こす状態ですが、健康
に年をとるためにはメタボ予防だけではダメです。
これからはロコモ(ロコモティブシンドローム)
対策が重要なのです。さてロコモとはなんでしょ
うか。ロコモとは筋肉、骨、関節などの障害で歩
行や日常生活に支障が生じている、またはその予
備軍である状態のことを言います。介護が必要な
人のうち約 1/4 は骨折や転倒、関節疾患が原因
と言われており、まさにロコモが大きな原因にな
っているのです。身体が自由に動かなくなり寝た
きりになると、内臓の働きにも影響がおよんだり、
認知症を進めたりと、さらに介護を要する状態に
加速させてしまいます。何とか対策を打っておか
なくてはいけません。
高齢になるにつれて多くの人は骨粗しょう症に
なってしまいます。骨がもろくなると、ちょっと
転んだだけでも簡単に骨が折れてしまいます。特
に股関節周辺の骨は折れやすく、一度折れるとそ
のままでは歩けなくなってしまいます。また股関
節や膝の脚の関節も加齢とともに関節が擦り減っ
て、変形性関節症と呼ばれる状態におちいってし
まいます。これは昔の怪我やもともとの骨(関節)
の形が原因で高齢者だけでなく、比較的若い人で
も起こりえます。関節の変形が悪化すると関節痛
がひどくなり、歩行も困難になってしまいます。
中には安静にしていても痛むこともあります。
他にも腰の骨も年を取るごとに負担が積み重な
り変形してきます。腰はまさに身体のかなめです
が、腰の骨の中には脳から直結する大事な神経が
通るトンネルがあります。このトンネルも腰の骨
や軟骨が出っ張り神経に触るようになると脚のし
びれや痛みが出現し、ひどくなると長く歩けなく
なります。数分歩くと脚が痛くなり、休めば足の
痛みは改善しますが、歩くと再び脚が痛くなると
いった症状が出てきます。このように腰痛を放置
しているとロコモになってしまうことがあります。
骨折や関節の変形、腰痛が原因でロコモの状態
でも正しく治療をすれば健康を取り戻せる可能性
は十分にあります。骨粗しょう症がすでに起こっ
ているならば適切な治療を受けるべきです。少し
でも骨折の危険性を回避しなければいけません。
近年新しい効果的な薬剤が開発されてきました。
週に1回だけ内服する薬や1ヵ月に1度だけの内
服薬から半年に1回だけ注射をすればよいものな
ど様々あります。個々の患者さんに応じた治療方
法も選択できるようになってきました。また転倒
しないような体力を作ることも重要です。仮に転
んで骨折してしまったら状態に応じて手術など的
確な治療を受けることも重要です。できるだけ早
期に身体を動かせるようすれば体力の低下を防ぐ
ことができます。
変形性関節症などの関節の痛みや変形に対して
は、薬やリハビリなどの方法で症状を緩和したり、
進行をゆるめたりすることができます。残念なが
らこれらの治療では効果が出ないほど変形が進ん
でいる時には手術が必要なことがあります。医学
の進歩に伴って人工関節の性能も日々向上してい
ます。長年我慢してきた痛みから解放されるので
す。腰痛も軽度ならば薬やリハビリで緩和します
が、神経を強く圧迫している時には手術が必要に
なります。放置しておくと歩行がつらくなるばか
りでなく尿や便のコントロールもできなくなり失
禁してしまうことだってあります。
いずれの状態にしても患者さん個々の状態の応
じた適切な治療を受ければ介護を受けずに健康な
生活にも戻れる可能性は十分にあります。年だか
らと諦めていては衰弱する一方です。われわれ整
形外科医が何らかのお手伝いができると思います。
お心当たりの方は是非ご相談ください。
時々入院・ほぼ在宅
訪問診療について
在宅療養支援担当
医 師
〈訪問診療までの流れ〉
吉江 浩一郎・岩渕 敬介
看護師
麻生 みちる・鈴木 美絵
足柄上病院ではH26年4月に、在宅療養後方支
援病院の申請をおこない、在宅療養を支えるため
に訪問診療(※1)を始めました。退院後も患者
さまが安心してご自宅での療養を継続できるよう
に、足柄上病院の主治医と訪問診療担当看護師が
入 院
訪問させていただいています。自宅に退院される
↓
方で、通院が困難であるため地域の在宅医(※2)
そろそろ退院みたい …本人は家に帰りたいと言うけど
に紹介・引き継ぎを行い継続して訪問診療を受け
る予定の方が対象(登録制)となります。その場
合、足柄上病院と在宅医と契約を行い「在宅療養
↓ 後方支援登録」を行います。
足柄上病院の訪問診療は1∼3回程度を限度と
しています。その後は、在宅医が引き継いで訪問
大丈夫かしら?
通院するのは難しいかな?
地域医療連携室がご相談にのります
在宅療養を続けていく場合、在宅療養後方支援登録
を検討
かかりつけ医がいない時は在宅医の情報提供と検討
退院に向けて療養環境を整えていきます。
診療を行います。緊急時に在宅医から足柄上病院
へ診療要請がある場合は、足柄上病院が必ず診察・
担当スタッフと退院前共同指導(病院内)
入院の対応を行います。
↓ 断りません‼
在宅療養後方支援病院・在宅療養後方支援登録に
医師・地域医療連携室・訪問診療担当看護師・病棟
看護師・在宅医・ケアマネージャー・訪問看護師等
で病状の確認、退院後の生活についての話し合いを
行います。
ついて
1、患者さまの登録を行い、在宅医と足柄上病院
とで患者さまの情報共有を行い療養中の病状
の把握をしていきます。
2、在宅療養を担当している医療機関の要請に基
づき緊急時には24時間体制で診療を行います。
3、緊急入院の必要が生じた場合は円滑に入院で
きるよう、専用病床を用意しています。
※1 往診と訪問診療の違い
退 院
↓ 在宅医・訪問看護師と連携をしながらご自宅
で過ごせるように足柄上病院もお手伝いさせ
ていただきます。
訪問診療 在宅医と一緒にご自宅へ訪問します。退院後
の様子を確認させていただき、在宅医の先生
へ引継ぎを行います。
入院が必要な時は在宅医の要請を受けて入院
の受け入れを行い、ご自宅での療養を支援し
ます。
今年度より地域医療センターを開設致しました。
具合が急に悪くなった時にご家庭の要請に
地域医療センターの在宅療養支援部門スタッフ及
応需するのが往診で、訪問診療は定期通院
び入院時担当医が、訪問診療を行います。
の代わりにご自宅へ伺う診療のことです。
足柄上病院は、往診はしていません。
※2 在宅医は地域の診療所又は在宅専門クリニ
ックの医師が担当します。
を起こしているようなものである。また、多くの
禁 煙 外 来
有害物質は、肺癌などの悪性腫瘍のみならず、心
筋梗塞といった循環器疾患、胃潰瘍、慢性気管支
炎、不妊症など種々の疾病の原因となる。現在、
タバコの害は日本国民に認知され、喫煙者は減少
総合診療科医長
お
した
ふみ
しているものの、ニコチン依存性が非常に強力で、
ひろ
尾 下 文 浩
止めたくても止められない方も多い。
大人の喫煙があたり前であった30年前のドラマ
では喫煙シーンが多くみられる。当時の喫煙者は
現在70から90歳台となっており、タバコ由来の疾
患で苦しむ方は足柄上地域でも多い。中南米原産
のタバコはコロンブス新大陸発見後、ヨーロッパ
を通じて日本に伝来したが、徳川幕府による葉煙
草生産の奨励、明治時代の葉煙草専売特許法など、
1985年に専売公社が民営化されるまでは、タバコ
は国の管理下で「たばこは心の日曜日」のキャッ
チフレーズもあったほどだから、喫煙は仕方がな
禁煙外来では禁煙率を高めるべく、禁煙カウン
い時期もあった。一方、タバコの害については、
セリングは面接時間を長く、回数を多く、なるだ
1950年代から欧米で研究され、各種疾患との関連
け長い期間をかけ、タバコは有害で多くの疾患の
が明らかになると世界保健機構は1988年に世界禁
原因であること、禁煙の進め方、禁煙補助薬、禁
煙デーを設定した。日本では1987年に喫煙と健康
断症状が出そうになった時の対処法、禁煙できた
問題に関する報告がなされ、2002年に発効した健
場合のメリットなどを詳しく説明している。現在
康増進法によって公共施設等で受動喫煙防止の措
の禁煙治療薬は、ニコチン依存に関係する神経の
置をとるようになったのである。
ニコチン受容体に選択的に作用するが、ニコチン
を含まないので、副作用なく離脱症状やタバコへ
の切望感を軽減させている。禁煙できた実感とし
て、痰が減った、食事がおいしいなどの訴えや家
族が喜んでいると言われる場合もある。禁煙は喫
煙者のみならず、副流煙を吸う家族も日常生活を
安心して送るための有効な疾病予防法である。禁
煙したいけど・・、と悩む方、是非足柄上病院の
禁煙外来においで下さい。
そもそもタバコの主な悪玉は、多くの発癌物質
を含むタール、酸素より200−300倍高い血液親和
性で酸素運搬を阻害する一酸化炭素、神経興奮、
遮断作用や血管収縮作用を持つニコチンである。
6月の新幹線内焼身自殺の被害で亡くなった女性
や練炭自殺は一酸化炭素中毒すなわち酸素不足が
死因で、長期の喫煙は長年かけて一酸化炭素中毒
感染管理室と
感染対策チーム
感染対策チーム
感染管理室は、院内感染対策会議の事務局であり、感染管理室長(牧田副院長)・室長補佐(奥小児科医
長・感染症医)・室員(感染管理認定看護師)で構成されています。ここでは感染防止に関する計画立案・
実施、発生時の調査、研修、院内及び院外との調整を行っています。
院 長
感染症対策会議
感染管理室
ICT(感染対策チーム)
看護感染対策会議
感染防止対策の実働部隊として感染対策チームがあります。感染対策チームは感染管理室・感染症医・看
護科長・事務職員・細菌検査技師・薬剤師と多職種協働で活動しています。毎週木曜日、感染症や抗菌薬の
使用状況を確認・検討し、病棟へ患者状況の把握に行きます。また、院内の整備状況やマニュアル検討など
感染防止対策に必要なことも行っています。
それぞれの職種の得意とする知識が集まることで病院職員、患者さんを感染から守ることを心がけています。
「感染」と聞くと、あまり良い印象がないと思いますが、外から帰ったら「手洗い、うがい」をする。部屋
は、換気や掃除をするなど、日常的に行っていることに理由を持って行うことが感染防止に繋がるのです。
最後に、今年度配属になりました感染管理認定看護師の遠藤泰子です。感染管理認定看護師の役割は、サー
ベイランス(感染症などの調査を行い、予防や改善をする)・手順の見直し・研修・相談・器材管理の検討・
職業感染(針さし・切創防止の検討)・病院環境(栄養・空調・水・清掃・廃棄物)が含まれます。病院職
員以外に、患者さんと家族、地域の感染防止に関する対応も行っています。
病院職員が感染症に罹らない、病院職員が患者間の感染原因にならない。
みんなの力で病院の感染防止に努め患者さんが治療を受け、笑顔で帰れるように努力しています。そこに
は患者さんと家族も参加していると思っています。全ての人が協力することで感染防止ができます。また、
中核病院として地域住民、周辺施設への情報提供も役割だと思っています。いつも笑顔になれるように感染
防止対策を1つ1つみんなと進めていけたらと思っています。よろしくお願い致します。
よろしくお願いします。
∼6月の新任の医師∼
ほし の
①診療科 ②専門分野・得意分野 ③一言メッセージ
こう じ
星野 耕二
① 泌尿器科
② 泌尿器科一般
③ よろしくお願いします。
看護週間を終えて
今年度の看護の日記念行事は、7月27日で全て終了いたしました。小中学生を対象にした医
療体験スタンプラリー、ベッドサイドコンサート、1日看護体験、パネル展示等を実施しまし
たが、今後もこうしたイベントを通じて、すべての年代の方に医療を身近に感じ、考えて頂け
る機会を作っていきたいと思います。ご参加頂きました皆様、ありがとうございました。
栄養管理科では、9月21日の『敬老の日』に、ご入
院の皆様に敬老お祝い膳をご用意いたします。感謝の気
持ちを込めて、季節の食材を盛り込んで美味しく食べや
すい食事を、ベットサイドのお手元までお届けします。
2014年9月敬老の日献立
お赤飯 天ぷら盛り合わせ
金目鯛西京焼き 炊き合わせ
小松菜の菊花和え こごり
ご高齢で食べ物の飲み込みが低下したなどの方々へは、
ゼリー食・嚥下食・ミキサー食・やわらか食など飲み込
みやすさの難易度によって、食材内容の形態も段階的な
対応をしています。
足柄上病院の 糖尿病フェスタ・糖尿病公開講座
今年で3回目の糖尿病フェスタ、および第4回糖尿病公開講座。
今年度は山北町と共催で開催いたします。公開講座は昨年好評だった糖尿病食の調理実習、
糖尿病フェスタは血糖測定体験、お薬・看護相談、糖尿病に関する情報提供、試供品展示・配
布等を行います。皆様に糖尿病の知識を楽しみながら学んでもらえるよう考えています。参加
費は無料。皆様のご参加お待ちしております。
日 時 : 平成27年11月7日(土曜日) 13時∼16時 場 所 : 山北町健康福祉センター 2階 会議室・多目的室・調理実習室
*「糖尿病食調理実習」のみ完全予約制定員24名(10月5日∼26日予約受付)
・定員になり次第締め切らせていただきます。
参加費 : 無料(直接会場にお越し下さい)
予約受付・問い合わせ:0465-83-0351(経営企画課:松本・鈴木)
http://ashigarakami.kanagawa-pho.jp/