原告 第6準備書面

平成25年(行ウ)第217号 損害賠償等請求事件(住民訴訟)
原告 小林洋一
被告 和泉市長
原告 第6準備書面
平成27年4月13日
大阪地方裁判所第2民事部合議1係 御中
原告 小林洋一
第 1 請求の趣旨の変更
請求の趣旨第3項 投票管理者への投票管理者事務手当の支給の差止めを
求める請求を取り下げる。
第2 条例及び規則の改正について(被告準備書面(4)の反論)
1 被告は本件に関し今回改正された条例及び規則について縷々主張するが原
告はこれらの条例規則について、その制定の意味を反論として以下主張す
る。
2 今回の改正は、地方自治法で定める非常勤で特別職の投票管理者に支給
しなければならない報酬を支給せず、投票管理者事務手当を支給し、これらを
条例によらず市の内部処理規定である要綱に基づき行われていたことが給与
条例主義に反すること、並びに時間外勤務手当を支給できない管理職員に
手当を支給するために条例及びその委任を受けた規則でその額、支給方法
等を定めたものである。
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今回、管理職手当の支給を受ける職員(以下単に管理職員)が、正規の勤
務時間以外に勤務を行った場合に支給される地方自治法で定める管理職員
特別勤務手当を創設し、その支給の対象の一つとして「公職選挙法に基づく
選挙における選挙当日の投票事務及び選挙当日又は翌日に行う開票事務」
が規定された。一方投票管理者事務手当は、原告第 1 準備書面 2 から 3 ペー
ジで述べているように、選挙当日の投票管理者の職務の対価であり、そうする
と管理職員特別勤務手当はまさしく投票管理者事務手当に代わるものであり、
その結果として投票管理者事務手当の支給を定めた本件内規は廃止された。
事実本件条例及び規則が施行された昨年(平成26年)の衆議院選挙から、
管理職の投票管理者には管理職員特別勤務手当が支給され、投票管理者
事務手当は支給されていない。このことは投票管理者事務手当が、主として投
票日以前の法定外業務の対価であるとの被告の主張と全く反する事である。
同時に管理職員でない職員(以下一般職員)が投票管理者となった時は、
管理職員特別勤務手当は支給されないで、時間外勤務手当(休日勤務手
当)が支給され、その手当額は個々の職員の給与にリンクした時間単価に、選
挙当日の勤務時間を乗じて計算されている。当然投票管理者事務手当は支
給されない。このことは一般職員に支給される時間外勤務手当は、まさしく投
票管理者事務手当に代わるものであり、投票管理者事務手当が、主として投
票日以前の法定外業務の対価であるとの被告の主張と全く反する事である。
以上から被告の「投票管理者事務手当が、投票日以前の法定外職務の対
価である」との主張は、この条例及び規則の改正、昨年の衆議院選挙での投
票管理者への手当の支給方法からしても、失当であることは明らかである。
3 又上記に関し被告は、原告が第5準備書面で主張する「本件条例及び規則
の改正は、投票管理者事務手当に代わって管理職員特別勤務手当を支給す
る事を定めたものである」との主張に対し、規則で定める選挙当日の投票事務
とは、投票事務従事者が行う投票事務を含むものであって、投票管理者の事
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務のみではないと主張する(被告準備書面4頁)。被告の主張の趣旨が定かで
ないが、少なくとも投票管理者の行う選挙当日の職務が投票事務に含まれる
ことは明らかであり、管理職員が殆どを占める投票管理者に支給される投票管
理者事務手当に代わって、管理職員特別勤務手当を支給することを定めた事
は明らかである。
4 更に、被告は今回改正された特別職の職員で非常勤のものの報酬及び費用
弁償に関する条例の一部を改正する条例(乙14)により、常勤の職員が投票
管理者の職を兼ねる場合は投票管理者の報酬を支給しない旨が明記された
事をもって、職員が投票管理者の職を兼ねる場合は、当該職員が行う法定事
務については無報酬とされたと主張するが、全く誤りである。
特別職の職員で非常勤のものの報酬及び費用弁償は、普通地方公共団体
が支給しなければならない義務を負うものであって、これを受ける権利は公法
上の権利であるから、条例をもってこれを支給しないことを定めたり、あらかじめ
これを受ける権利を放棄したりするようなことはできないとされており(松本英明
著 逐条地方自治法第3次改訂版642頁)、このような不支給の定めには大き
な疑問を有するものであるが、仮にこれが有効として、この定めは選挙当日の
投票管理者の職について、今回定めた管理職員特別勤務手当と特別職の職
員で非常勤のものの報酬を支給することは、重複支給となるためその調整を図
ったものであり(甲第24号証)、当該職員が行う法定事務については無報酬で
はなく、管理職については管理職員特別勤務手当によって、一般職について
は時間外勤務手当(休日勤務手当)を支給することとしたものである。むしろ今
回の条例・規則の改定で、被告の主張する法定外職務が仮に存在したとして
も(原告はそもそも法定外職務の存在を認めていないが)、それを無報酬と定
めたものである。
5 同時に管理職員に対する時間外勤務手当の支給について主張しているが、
この管理職員特別勤務手当の創設は、原告第 1 準備書面8~9ページの「管
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理職手当の支給される職員が選挙事務を行って時間外に及んだ場合でも時
間外勤務手当の支給は許されず、被告の主張は失当である。どうしても時間
外勤務手当の支給が相当と思慮されるものがあるなら、それは地方自治法20
4条第2項の管理職員特別勤務手当によるべきである。」の原告の主張に沿っ
たものである。
以上
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