平成 26 年度 大朝小学校学習発表会から テーマ「勇気と笑顔で

平成 26 年度 大朝小学校学習発表会から
テーマ「勇気と笑顔で
みんなの気持ちを届けよう」
大朝小学校
校長
田村
留美
立冬が過ぎ,いよいよ冬に向かって季節が動いているのを日々感じま
す。時折急に冷たい北風が,髪の毛を乱しながらサーっと通り過ぎます。
大朝のシンボルとなっている寒曳山(標高825.8メートル)から,
『寒曳おろし』と呼ばれている冷たい冷たい風が吹き下りてくるのです。
大朝小学校では,11月8日(土)に学習発表会を開催いたしました。
お客様や子どもたちが寒くないようにと,急いでストーブを準備しまし
た。
今年度大朝小学校では,「『思いやりの気持ち』の醸成と行動化」,「伸
び伸びとした表現力」に力を入れ,全教育活動の中に大きくこの二本柱
を貫いて計画し,取組みを進めてきました。
学習発表会は,学校が取り組んできたことの成果を「子どもたちの成
長の姿」として発表する,大変重要な学校行事です。
今年度は特に,子どもたちが係も含めて練習に主体的に取り組み,や
り切ることを,わたしたち教職員の最重要課題に掲げました。子どもた
ちの「やる気スイッチ」をONにすることこそ,子ども達の力を発揮さ
せ,成功感や達成感を味わわせることができる鍵だと考えたからです。
具体的には,仲間とともに,思いやりの心で協力し合いながら表現す
る内容・作品を充実させていくことと,相手意識を持ち,自身の役割を
自覚して係の仕事や約束をやり切らせること,守り切らせることを目標
としました。
今年度の発表会の内容は,5・6 年生による合奏「情熱大陸」,1 年生
は劇「くじらぐも」,2年生が劇「ぞうのたまごのたまごやき」,3年生
が,総合の学習を基にした劇「大好き大朝~わさまちの秘密~」,4年生
は国語で学習した「ことわざ」を発展させた「あるあることわざ劇場」,
5年生は,広島市の土砂災害を基に,自然災害と人々との闘いを題材に
した劇「川にいどむ」,6年生は,
「夢配達人プロジェクト」に採用され,
ふるさと学習を基に,大朝を舞台にしたドラマ制作の状況の発表劇「ド
ラマ『わさっこ探偵団ができるまで』」,全校による合唱「ふるさと」
【平
成25年度NHK合唱コンクール課題曲】
「僕らの青」とボディーパーカ
ッション「わさっこ神楽囃子」です。
児童会代表委員会で,今年度のテーマが『勇気と笑顔で みんなの気持
ちを届けよう』に決まり,各学年の練習を始めたのですが・・・。
わたしたちが描いている通りに都合よく事が進まないのが世の常です。
なかなかやる気モードが入らない子どももいます。ついついふざけて
しまって注意を受ける子どももいました。
殊に5・6年生の合奏「情熱大陸」は難易度の高い曲です。メロディ
ーやテンポを習得するには根気と努力を必要としましたが,挑んでいく
子ども達の熱意もさることながら,先生方の指導の協力態勢にも感心し
ました。
休憩時間や特設した時間,放課後と,手の空いた先生たちが楽器練習
に入ってくださり,寸暇を惜しんだ練習が続き,音楽室から響いてくる
音色やリズムが日に日に整ってくるのが良く分かりました。
放課後の職員室では,劇の演出や小道具・衣装についての相談が飛び
交うやら作業を手伝うやら・・・。すばらしい職員集団に,嬉しさと感
謝の気持ちでいっぱいでした。
予行練習での他学年の発表や表現も刺激となって,全ての学年の子ど
も達の「やる気スイッチ」がONになり,本番はどの学年も更に磨きが
かかっていました。各学年の持ち味が発揮された内容と表現だったと思
います。子ども達の成長を実感したと,多くの保護者・地域の方から評
価をいただきました。
加えて5・6年生の係に取り組む姿勢もすばらしかったです。今年は
従来の「準備係」「放送係」「児童係」「照明係」に加えて,「おもてなし
係」を作りました。お客様を玄関でお迎えしてご案内する係です。
地域の方からのアンケートに,
「体育館の玄関で,明るい笑顔で児童が
出迎えてくれ,さっとスリッパを差し出してくれました。そして『どう
ぞ,こちらへ。』と案内してくれました。後ろを振り向くと,別の児童が,
玄関にさささっとスリッパを並べていました。自然な動きでした。出迎
えてくれた児童たちのおかげで,
『大朝小学校(の発表会)に来てよかっ
たなー。』と,心が温まりました。
また,保護者からのアンケートでは,
「児童係の高学年の子どもが,1・
2年生に優しい口調で姿勢よく観るように促がしていた様子がとても微
笑ましかった。」「準備の子どもがすばやく道具を運んだり片付けたりす
る様子が実にきびきびしていた。そのおかげで幕間の時間がたいへん短
かかった。」などの声をいただきました。
本番は一回限りです。そこで最高の力が発揮できるようにするのは至
難の業だと思います。子どもたちに『やり切った!』という達成感を味
わわせたいと願うわたしたち教職員はドキドキでしたが,「『思いやりの
気持ち』の醸成と行動化」,「伸び伸びとした表現力」を今年の大きな柱
として毎日取り組んできたことの成果は出すことができたと思いますし,
どの学年も当日が最高だったと感じました。そして,子どもたちと感動
を共有できることの嬉しさは格別です。
子どもたちが下校し,残った片付けも終わって,学習発表会が無事に
成功裏に終わったことの安堵感と,ご協力いただいた保護者のみなさん
への感謝の気持ちで満ちた職員室で,職員の一人が,
「学習発表会は,ま
さしく竹の節目ですね。子どもたちも職員の力もぐんと伸び,成長する
ものですね。」とつぶやきました。誰もが納得でした。
とはいえ,子ども達の伸び代はまだまだあります。子ども達の新たな
力や更なる力を引き出せるように,教職員がチームになって知恵を出し
合い,協力し合いながら前へ進んでいきたいと思います。