住民監査請求 監査結果報告書

住民監査請求
監査結果報告書
平成27年6月17日
上北山村監査委員
第1
1
監査の請求
請求人
上北山村
2
住民監査請求人
請求年月日
上北山村職員措置請求(住民監査請求。以下「本件請求」という。)に係る
請求書(以下「本件請求書」という。)は、平成27年4月2日に提出された。
3
請求人の主張
本件請求書に記載された内容は、次のとおりである。(原文を抜粋して掲載。)
請求の趣旨
以下の事案について措置請求し、事案に関わる出金当事者上北山村長に
下記(1)及び(2)の支出額についての返還及び下記(3)指定管理契
約の解除を求めます。
支払い要件を満たさない指定管理料の支出として、
(1) 平成26年12月から平成27年2月分に相当する管理委託料3,
000,000円についてその返還を求める。
(2) 平成27年3月分として平成26年4月28日に支払われた管理委
託料1,000,000円及びその支払日から返還日までの法定利
息の支払いを求める。
(3) 甲(上北山村。以下、甲という)及び乙(株式会社十津川観光ホテ
ル。以下、乙という)の間で締結された指定管理契約の解除を求め
る。
請求の理由
当村、指定管理施設「ホテルかみきた」は平成26年5月1日より指定
管理者乙にて委託運営されております。
このことについて甲と乙は、指定管理者制度に係る要綱について指定管
理契約書を交わし、その内容に基づき運営が開始されました。
しかし、乙による運営実態は信義はおろか、契約内容の多くを反故にし
た今日までの経営ではないかと疑義を生ずる次第と共に、甲についても契
約上の権限行使等私方が指摘催促するまで何ら行われておらず契約を履行
すべき甲・乙ともに理解の範疇を逸脱したものと断じざるを得 ないのでは
と考える次第です。
1
その証として、開業当初からその責務を果たしているとは到底考えられ
ない営業実態であることは住民周知のことである。特に平成26年12月
以降については事実上の休業状態であり、さらに平成27年2月9日付に
て甲の断りなく電気を遮断した乙の行為はこの契約を根底より反故するも
のであり、契約不履行による契約解除を求めるに相当する行為である。
加え、措置請求する上記(2)については、元来平成27年3月分とし
て支払われる管理委託料が“覚書”の作成とともに平成26年4月28日
に支払われているが、何ら根拠なき処置であり便宜供与の形で支払われた
ものと推認せざるを得ない。
ほんの少し考えてみただけでも、甲、乙の行為は村民冒涜以外の何もの
でもないことは明白である。
特に平成26年5月1日開業より日々その実態を見てきた村民の方には、
多額な指定管理料を支払いながらこの施設再開に関る意図目的が何ら遂行
されたと認めうることが、一切無きことが不思議であり、あえて苦言を呈
するとすれば、甲、乙ともに何の目的を以てこの再開を諮られたのか理解
に苦しむものである。
当措置事案の結果を求めるにつけ、この施設の再開決定に係る経緯、公
募条件、公募手法、施設の改修判断等について時系列を踏まえ厳しく検証
すれば、当措置事案の結果もおのずと得られるはずである
上、地方自治法第242条第1項の規定により、別紙事実証明書を添え、
必要な措置を請求する。
4
請求の受理
本件請求について、地方自治法(昭和22年法律第67号。以下「自治法」
という。)第242条第1項及び第2項に規定する要件を具備しているものと
認め、平成27年4月3日に受理した。
第2
1
監査の実施
監査の対象事項
本件請求の趣旨及び理由並びに陳述内容から、請求事項のうち、(1)平成2
6年12月から平成27年2月分に相当する指定管理委託料3,000,000
円について、(2)平成27年3月分として平成26年4月28日に支払われた
管理委託料1,000,000円及びその支払日から返還日までの法定利息の支
払い、(3)甲(上北山村。以下、甲という)及び乙(株式会社十津川観光ホテ
2
ル。以下、乙という)の間で締結された指定管理契約について、それぞれ(1)
及び(2)については、不当な公金支出に当たるかどうか又、村に損害をもたら
したかどうか、(3)指定管理契約が違法又は不当な契約に当たるかどうかにつ
いて監査の対象とした。
2
監査対象課
地域振興課を監査対象課とした。
3
請求人の証拠の提出及び陳述
自治法第242条第6項の規定に基づき、平成27年4月17日に請求人によ
る証拠の提出及び陳述の聴取を実施した。
なお、請求人から本件請求についての補足説明があり、その要旨は次のとおり
である。
平成26年12月から27年2月に相当する管理委託料300万円の返還を求
める、平成27年3月分については2点目で請求をしている。
3点目については、指定管理者と上北山村行政との契約において、契約書内容
に反故する状態であることから、契約解除を求めた。
契約内容については、平成26年度は管理委託料を年間1,200万円、月額
100万円相当額、3カ月ごとに支払う、平成25年10月に契約したが、管理
委託料の支払いに相当しない指定管理者の違背行為がほとんどである。
平成27年2月9日から電気が切られた、上北山村行政では、平成27年2月
9日以後、3月分の前年4月に払った分についても、指定管理者へ請求174万
幾ばくかの請求をされている。
ただし、上北山村行政が電気を切られたという視点がそこにあるというだけで、
私ども住民にすれば、平成26年12月頃から指定管理委託料を支払う要件を満
たしていないという判断をして、この請求をさせていただいた。
契約書上、60日以内に、支払いの状況、その他、指定管理者のほうから結果
報告を行政に出さないといけないと契約書でうたわれている、売上額に対して支
払いをするという納付金についても、契約の中に規定がある、それらを見ていた
だきながら、監査委員には判断をしていただきたい。
私は、一般的な状況から見て、集客の非常に少ない時期において、もう 管理し
ていなかっただろうというふうに鑑みて、この平成26年12月から出しており
ます。
ただし、平成26年12月から管理委託料の返還請求を出していても、この営
業の始期が平成26年5月からだったが、上北山村と株式会社十津川観光ホテル
3
が契約した内容等を見て、私は当初からこの契約の信義を重んずる姿勢がなかっ
たというふうに見ているので、この平成26年12月のみならず、もっと従前に
返還の始期を早めても結構かという思いは持っている。
上北山村と株式会社十津川観光ホテル、平成25年10月に契約 している、3
項にも附随するが、本当によく見て契約されたのか、それらについても、いろん
な帳票等出てくれば、監査委員のほうで検証して判断いただければと思います。
2項目目は、平成27年3月分として、平成26年4月28日に、管理委託料
が5月・6月分と一緒に100万円払われている。その額について、この平成2
7年3月については、明らかにこの指定管理料を受ける要件を満たしていないと
いう観点から、この4月28日から返還日までの間の利息についてお支払い願い
たいと、その部分をこの2項で請求させていただいてます。
上北山村行政に情報開示を求めたところ、覚書を出してこられました。
しかし、これは、私の知識の範囲での話ですが、覚書とは、広辞林なんか引い
ていただいてもいいと思うのですが、ただ単に忘れないようにメモをとることだ
というふうに私は解釈しております。
この100万円について、例えば平成27年3月の100万円を平成26年4
月28日に払うということであれば、公の業務にかかわっている職員は、少なく
ともその根拠を示して、その後に覚書の中に記載すべきものである 。
平成26年4月に渡すべしだったものが、開始時期がおくれたことから、その
覚書を書いて、本来受けるべき指定管理料について、平成27年3月分を先に払
ったということなんですけども、職員は、もう一回認識してほしい、根拠なき部
分について、後日、帳票をつくって、それを異するような手法はやめてもらいた
い。
平成26年4月に平成27年3月分の指定管理料を払ういう部分について、本
来そういう手法をとらなくても、引き渡しの部分について、平成25年10月に
契約した時点で、引き渡しの記述をはっきりしておけば、こんな問題が出なかっ
た。平成26年4月1日から引き渡すということであれば、補填の意味で100
万円も払うことも可能でしょうし、これは払ってもいい。
だから、そういう部分で、きっちり毅然とした仕事の仕方・進め方もしないま
まに、折々に状況に応じてやることは、私はこれはだめだと、 不適切きわまりな
い。
極端な話、児童手当もらうにしても、あるいは生活保護費の支給を受けるにし
ても、行政は、覚書書いたら来年の3月の分を今年くれますか、今ちょっと困っ
てますのでって、こうした場合でもされるのですか。
4
そういう部分についても、業務とは何ぞやということを、この上北山村の職員、
もしくは職員の上司の方が、稟議書に判を押すときに、しっかり物事を見ていた
だきたいと、私はそのように思っております。その観点から、2番 目の100万
円の部分について、法定利息の支払いを求めました。
3項目目、甲である上北山村と、乙である株式会社十津川観光ホテル との間で
締結された指定管理料契約の解除を求める。
平成25年10月に、上北山村担当課の職員が契約の中身を吟味し、乙である
株式会社十津川観光ホテルと契約を結ばれた。その時点で、少なくとも我々村民
に応え得る形の中で熟知されていた。
それが、平成27年5月時点から電気が消えてるときが多い。
私が一番先に感じたことは、営業前に株式会社十津川観光ホテルが、採用募集、
あるいは取引事業者募集のパンフレットを、新聞折込に入れて、高飛車な、目線
の高いところから募集してこられたことについて、何だこの事業者はと、非常に
私は心証を悪くしました。これについても、この行政の担当者の方が何も感じな
いままにしてきたことについても理解できません。
上北山村担当課の職員が契約の中身を熟知していたのであれば、甲と乙の関係
においても、そのもろもろについても熟知しなきゃいけないと私は、業務を進め
ていく以上、思っております。
そんな観点から見たときに、今回この問題について、私も再々いろいろな問題
提起をさせていただいてますけど、電気はついていない、一番求められた当初は
何ぞや、この村の活性化を図って、明かりもついていなかったら、暗くて・・・。
その要件を毎日毎日、担当者の皆さん方も見ながら、何ともなしに看過できる
この感覚についても私はわからない。
ましてや、株式会社十津川観光ホテルへ指定管理料の返還等々について、設備
についていろんな問題があった。こういうことを訴状に上げて、返還を拒んでい
る理由、ということで聞いている。
これらについても私が理解できないのは、なぜ担当者が、ふろの浴場が悪いっ
て言ってこられれば、なぜ的確に適切に処理されないのか。粛々と進めたらいい
だけの部分が、なぜ何カ月も後に、返還請求を起こすときに、そのことを理由に
拒むような事案をこの行政側は与えるのか、これについても理解できません。
だから、そういういろんな事柄を考えてみたときに、少なくともこのホテルの
表向きは、村の活性化。
村の活性化のために、投ずるべき金額は6千万円、たとえ議会承認を得たにし
ても、果たして、その結果出てくればいいけども、多くの村費を投入した観点か
ら見てみても、この管理云々について、当該担当課はなぜもっと毅然と粛々と素
5
早く進められないのか、これについても理解できません。
この担当課のみならず、管理職、あるいは副村長、村長、これについても、過
去、最高裁まで行った31万5,000円 の経緯があります、これについて、弁
護士4人もつけられて、必死になって、プライドなのか何なのか、守ってこられ
た経緯がありながら、その事案とこの事案を考えてみたときに、もっと大きな雲
泥の差がある物に対して、副村長であれ村長であれ、平然とこれ2月 に電気とめ
られましたと、そのままで放置しているのか、これについても理解し得ない。
そういういろんな疑問を、自分の中で検証していくと、これについても私、監
査委員のほうで一回この背景としてお調べ願いたいのは、このホテルかみきたの
スタートは、何かありきでスタートしていた。
平成24年10月、11月ぐらいでしたですかね、既に、この十津川観光の代
表者の方が村長室に見えられてたという経緯については、確認とっております。
これは村長は否定なさっていらっしゃいますが、私のほうでは、そういう確認を
とっております。
それから後、この事案が動き出した。
ふれあいの郷かみきたの指定管理者の募集をした。
募集要項についても、一般的な常識から考えれば、まず村内でやって、村内に
応募者がなかったら村外に出していったらいいでしょう。私は順序立てた物の考
え方をするんですけども、これを平成24年の1回目の募集から村内外を問わず
でした。
それから、何もかも皆、うまく話も進むんだなと。いっぱい考え て、いろいろ
されたら進む経緯もある。あって、その結果がよければいいんですけど、こんな
ぶざまな結果を、例えば、この監査措置請求は1点、2点、3点の項目であるけ
ども、3点目の範疇において私は物を言わせてもらってるんですけどね。この契
約、この解除の部分について、この契約書の中にいろいろあるんですよね。これ
は機会あったら私、担当者にも聞きたいとは思っているんですけども、監査委員
のお手元に、この指定管理契約書ございますかね。そこの、まず1ページの第4
条3項、「乙は、善良なる管理者の注意をもって施設等 を管理し、常に良好な状
態に保たれなければならない」、この部分は5月から遵守されておったんですか。
これについて、例えば、担当者の方は、ずっと同じような、業務として選んで
きて、選定かけて、そこの管理、この施設、指定管理した施設の管理担当だとい
うことであれば、この12月以前にかかわらず、前からもう閉まったような状態
であった。
それで、あの橋についても汚い状態。
6
電気はついてない。
ともに私は、契約書上、ここに乙に対してうたってるけど、甲も責任を負わな
きゃいけないもんじゃないかなと。
それと、今、電気切られてる状態で、この上北山村行政は、どんな管理をして
いるのか、これについても非常に疑問を持ってる次第です。
契約解除していないのなら、せめて村有の建物について管理する判断力をなぜ
示せないのか、これについても私は理解できません。
協定書に第20条事業実績報告書等、60日以内に次の各号に示す事項を記載
した事業報告書を作成の上、甲に提出しなければならないとなってますので、こ
の監査の請求に係る結果を出していただくまでの間に、これを見た上でお願いし
たい。
監査の受理の日から、監査結果については60日以内という規定があるのです
が、少なくともこの結果を、この20条の事業報告書を見た上での、この監査結
果をお願いしたい、そのほうがより的確に判断していただけると思います。
この3項で指定管理契約の解除を求めることについて、私はこの村の行政の担
当及び担当課、担当の上司、村長にまで累を及ぼしてお聞きしたい のですが、協
定書第21条中の地方自治法第244条の2項の第10項の規定に基づき報告を
求める場合のほか、甲が必要あると認め資料等の提出を求めた場合と地方自治法
に書かれている。
(地方自治法第244条の2項の第10項)
普通地方公共団体の長、または委員会は、指定管理者の管理する公の施設の管
理の適正を期するため、指定管理者に対して、当該管理の業務、または経理の状
況に関し、報告を求め、実地について調査し、または必要な指示をすることがで
きる。
平成26年5月から、この上北山行政担当課が、この第244条の2第10項
の規定に基づいた、協定書第21条の契約書上の履行をどういう形でされたのか
を確認して、監査結果を出すときに、ともに出していただきたい。
現行を見ても、上北山村行政は、はっきり申し上げて、株式会社十津川観光ホ
テルをほったらかし、話は当然されてるでしょうが責任を負わない話というのは、
何の意味もない。それが、今、あのホテルが、そこにその存在を示してると思い
ますので、その部分についても出していただきたい。
7
協定書第28条に納付金の支払いがある、60日以内に事業報告書が提出され、
売上金額が分かることによって納付金額が決定がされる。これについても監査請
求では上げてないですけども、速やかに契約書上の履行を、この株式会社十津川
観光ホテルのほうに求めてもらいたい。
協定書第39条に規定されている指定取消しの項目、この部分に対して、株式
会社十津川観光ホテルが信義をもって、上北山村の公の施設に対する指定管理者
としての業務を遂行しようとしてきたのかどうなのか、ここをしっかり見ていた
だいて、この3項の判断をお願いしたい。
1項から3項あるが、一番この措置請求そのものが、求める結果という部分で
斟酌頂きたいのが、指定管理者とは、指定管理施設とは、まず何ぞやといいます
と、経費の削減を図りつつ、住民福祉の向上を願って指定管理者制度が導入され
た、今日まで見てきて、国が意図した部分がどこにあるか、皆目理解できない。
ホテルの改修費用6千万円掛かっている、一般的には完璧にほぼ近い状態で直
ってるだろうと解釈する。
ところが、平成26年10月に地下タンクの点検行った、しかし、この部分に
ついても、6千万円も払っているのだったら、そのときに点検していたら良い話、
その次に地下重油タンク修繕34万5,600円。もうこれ見ても、言葉は過ぎ
るかわからないですけども、何の仕事を、どんな意図でされているのか、もう理
解できない。
こういうところで、やっぱり数少ない住民の中の、1人当たりにすれば大きな
金額、分担額が、どぶのように捨てられていくことに、非常にじくじたる思いが
する。
3項の問題ですけども、もっと速やかに、私はこの上北山村行政の担当の方を
信頼してるのですから、だから我々の矜持の部分においても、この解約の部分を
速やかに進めてもらいたい。
上北山村行政担当課の方も、我々村民がどれだけのものを、気持ちの上で失っ
てるかということを考えれば、なぜもっと速やかに、お金を返してくれなかった
らくれなかったで、どんどん手を打たないのか、日本は法治国家だから、そのこ
とを看過されて、ゆらりゆらりとやられるのは、これ何ぞやって、だから、せめ
て何かひとつ矜持の部分をしっかりと村民として持たしてもらいたいと思ってい
8
ますので、特にこの3項の部分については、速やかに契約解除をしてもらいたい。
契約を持続するだけの要因は、私はないと思います、それで、粛々と進めてもら
いたいと思っています。
村民の皆さん600何人いらっしゃいますけども、ホテルがまたオープン して、
電気が燈って明るくなって、ええわって皆さん方が期待された部分が、大きな出
費とともに失望の中で返ってきてる。このことについて、何で手こま ねいて前に
一つも向かないか、これが私、一番じくじたる思いする、担当の方も、しんどい
と思う、村長なり副村長がもっとしっかり、前へ進めていけよという言葉を出し
ていただかないと、こんな問題をいつまでも放置してもらいたくない、そ の言葉
に尽きますので、ぜひとも、そんなことも踏まえながら、監査の結果を出してい
ただければと思っております。
4
監査対象課の陳述
地域振興課に対して、自治法第 242 条第 6 項の規定に基づき、陳述の機会を設
けようとしたが、監査対象課から陳述を行わない旨の連絡があり、陳述は行わな
かった。
5
監査の実施
監査対象課に対して、関係書類及びその他の文書等の提出を求めるとともに、
関係職員及び関係人からの事情聴取も実施した。
第3
1
監査の結果
事実関係の確認
平成25年4月15日から平成25年5月14日まで指定管理者の公募を行っ
た。
平成25年7月22日、第4回臨時上北山村議会において、上北山村公の施設
における指定管理者の承認について、所在地奈良県吉野郡十津川村大字平谷94
6番地の1、名称株式会社十津川観光ホテル代表取締役松尾政彦を承認した。
平成25年10月1日奈良県吉野郡上北山村大字河合330番地上北山村長福
西力を甲とし、奈良県吉野郡十津川村大字平谷946番地の1株式会社十津川観
光ホテル代表取締役松尾政彦を乙とし上北山村研修宿泊施設「ふれあいの郷かみ
きた」の指定管理に関する協定書を締結した。
平成27年3月19日第1回定例上北山村議会において、議第7号 工事請負契
9
約の締結について、地方自治法第96条第1項第5号の規定により株式会社鍜治
田工務店とふれあいの郷かみきた改修工事について変更契約を金60,647,
400円で契約するため議会の議決を得た。
平成26年4月21日、指定管理者株式会社十津川観光ホテルがふれあいの郷
かみきたを使用開始した。
平成26年4月22日、指定管理委託者上北山村長福西力(以下「甲」という。)
と指定管理受託者株式会社十津川観光ホテル代表取締役松尾政彦(以下「乙」と
いう。)とは、上北山村研修宿泊施設「ふれあいの郷かみきた」の指定管理に関
する協定書(平成26年10月1日締結、以下、「協定書」という。)の平成2
6年4月分にかかわる指定管理料及び協定保証金について、次のとおり覚書を締
結する。(抜粋)
1.協定書第23条第2項の別紙5の「1.指定管理料の額」に規定する平成2
6年度(平成26年4月1日~平成27年3月31日)指定管理料12,0
00,000円及び同「4.協定保証金額及び指定管理料の支払い額」に規
定する平成26年度指定管理料12,000,000円については、平成2
6年4月分として1,000,000円を減額し、各々11,000,00
0円に減額変更する。
2.協定書第23条第2項の別紙5の「4.協定保証金額及び指定管理料の支払
い額」に規定する平成26年度協定保証金1,200,000円については、
11,000,000円に減額変更する。
3. 協定書第23条第2項の別紙5の「4.協定保証金額及び指定管理料の支払
い額」に規定する平成26年度指定管理料支払額4月、7月、10月、1月
各3,000,000円については4月、7月、10月、を各3,000,
000円とし、1月は2,000,000円とする。
4. 協定書第23条第2項の別紙5の「4.協定保証金額及び指定管理料の支払
い額」に規定する平成27年度協定保証金返還額1,200,000円は 1,
100,000円に減額変更する。
5. 協定書第23条第2項の別紙5の「3.支払い方法」(1)に規定する支払
い月及び(2)に規定する乙から甲への各月10日までの請求日については、
「平成26年度4月」はこれを適用せず、本覚書締結後に乙からの請求によ
り支払うものとする。
この覚書の成立を証するため、本書2通を作成し、甲乙各1通を保有する。
平成26年4月22日、指定管理委託者(甲)奈良県吉野郡上北山村大字河合
330番地上北山村長福西力、指定管理受託者(乙)奈良県吉野郡十津川村大字
10
平谷946番地の1株式会社十津川観光ホテル代表取締役松尾政彦。
以上の覚書のとおり、平成26年4月28日ふれあいの郷かみきた指定管理料
として3,000,000円を株式会社十津川観光ホテルへ支払った。
又、平成26年7月10日及び平成26年10月10日には各々3,000,
000円を平成27年1月23日には2,000,000円を指定管理料として
株式会社十津川観光ホテルへ支払った。
平成26年8月9日、台風11号の災害により、ふれあいの郷かみきたの地下
重油タンクの通気口が破損し雨水が混入したため、タンク内の混合油水の抜き取
り作業、消防署からの消防法に基づく指導によるタンク内の清掃及び危険物貯蔵
所の耐圧検査を行い、重油タンク通気口の破損による通気口配管替修繕に伴った
形状変更を行った。
上述した台風11号災害に係る費用として、平成26年10月24日ふれあい
の郷かみきた地下タンク点検業務(地下重油タンクの清掃及び点検業務)として
451,440円を支出した、また、平成26年10月24日ふれあいの郷かみ
きた地下タンク重油タンク修繕(地下重油タンク通気口の付け替え)345,6
00円支出した。
タンク内の混合油水の抜き取り作業については、台風災害後の緊急時だったの
で株式会社十津川観光ホテルとA社の契約により実施された。
その後、株式会社十津川観光ホテルと協定書第33条不可抗力によって発生し
た費用等の負担について協議を行った結果、施設賠償保険の適用対応ということ
もあり、上北山村が平成26年度12月に補正予算を計上し負担することとなっ
たが、株式会社十津川観光ホテルよりA社への支払いを行っていないことが判明
したため予算執行をしていない。
平成27年 1 月25、26日ごろにホテル支配人より2月の中旬から2月一杯
閉めると建設産業課主幹あて電話連絡があった。
平成27年2月4日、上北山村はホテル支配人と協議した。
上北山村は休館の話はあったが、電気を切ると言う話は聞いていない。
上北山村は、ホテル支配人から2月9日から3月一杯休館し、電気をエネサー
ブへ切り替えると聞いた。
平成27年2月9日、ホテル支配人より建設産業課主幹あてに今日電気が止ま
ると電話連絡を受けた。
平成27年2月16日、上北山村は、株式会社十津川観光ホテル代表取締役松
尾政彦に来て頂いて協議した、村長とも話をしてもらったが、電気代も上がるし、
営業が厳しいという話だった。
11
平成27年2月23日、株式会社十津川観光ホテルより 上北山村に対し「平成
27年2月からの休館に伴う指定管理料返還について(お願い)」、指定管理料
の上北山村から返還請求について再考のお願い文書を送付。
平成27年2月25日、ホテル支配人、設計会社、施工会社、及び上北山村と
の協議。
副村長より募集要項等でも村条例等を遵守することとなっており一方的休館は
認められない、2・3月の休館中の指定管理料の返還願う、早急に通電しないと、
調査維持管理が出来ない。
平成27年3月2日、上建第1151号にて上北山村より株式会社十津川観光
ホテルに対し平成27年2月9日~平成27年3月31日までの「ふれあいの郷
かみきた」休館に伴う指定管理料請求について、文書送付、支払済みの平成27
年2月9日より平成27年3月31日までの指定管理料を返納すること。
遮断されている電気を通電し、施設の維持管理に努めること。
速やかに書面で回答願う。
別添の請求書には、請求書、金1,714,286円也、但し、支出済のふれあ
いの郷かみきた休館中(平成27年2月9日より平成27年3月31日まで)の
指定管理料返還金。
指定管理料返納金算定方式、平成27年2月分1,000,000円×20日
÷28日=714,286円
平成27年3月分1,000,000円
合計1,714,286円と記載さ
れていた。
また、上北山村はホテル支配人よりホテル電気の遮断方法は電気代金を未払い
し、一方的に関西電力より送電の停止を行われたと確認した。
平成27年3月6日、上北山村は、株式会社十津川観光ホテルと協議した。
村長より2月3月の休館中の指定管理料は支払えない。
株式会社十津川観光ホテルより指定管理料は返還するが、こちらも損害賠償を
請求するとのことだった。
平成27年3月17日、上建第1204号にて上北山村より株式会社十津川観
光ホテルに対し平成27年2月からの休館に伴う指定管理料返還について(回答)、
文書送付。
平成27年2月23日付け株式会社十津川観光ホテルより提出を受けた文書へ
の回答、上北山村としては一方的に2月9日計画的に通電を遮断し、休館措置を
実施したことは、募集要項管理基準、指定管理に関する協定書第7条法令順守等、
上北山村研修宿泊施設管理運営規則に違反しているので、株式会社十津川観光ホ
テルからの要望については承諾できないと回答のうえ、指定管理料返還金の納期
限について、平成27年3月31日とした。
12
平成27年3月25日、株式会社十津川観光ホテルより書留内容証明郵便物と
して上北山村に対し、指定管理契約に関する「甲」の「丙」に対する扱い「丙」
より「甲」に対する賠償に関する勧告書、本文章は本年1月に営業を辞めざるを
得なかった理由に関しての報告書でもある、と付記。
平成27年3月25日、上建第1230-7号にて上北山村より株式会社十津
川観光ホテルに対し、指定管理施設「ふれあいの郷かみきた」における事業実績
報告書の提出ついて、文書送付。
指定管理施設の管理業務の実施状況、指定管理施設の利用に関わる料金収入の
実績、指定管理施設の管理に関わる経費の収支状況の提出を求め、提出期限を平
成27年5月30日とした。
平成27年4月14日、上地第22号にて上北山村より株式会社十津川観光ホ
テルに対し、指定管理施設「上北山村研修宿泊施設ふれあいの郷かみきた」指定
管理者の指定の取り消しに関する協議について(通知)。
指定管理に関する協定書第39条第1項第3号に該当すると判断するので同条
第2項により協議を行うべく期日を平成27年4月23日午後1時30分とし、
協議場所を上北山村役場としたうえで通知した。
平成27年4月15日、上北山村へ株式会社十津川観光ホテル代 理人弁護士よ
り指定管理者の指定取り消しに関する協議開始日時について、平成27年5月1
日同時刻への変更の電話連絡があった。
平成27年5月1日、上北山村とふれあいの郷かみきた指定管理者株式会社十
津川観光ホテルとの指定管理者取り消し協議を行った。
上北山村は、株式会社十津川観光ホテルにおいて施設管理ができていないとの
ことで、上北山村公の施設における指定管理者の指定手続等に関する条例第10
条及び上北山村研修宿泊施設「ふれあいの郷かみきた」の指定管理に関する協定
書、第39条第1項第3号の指定の取り消しに該当すると判断した。
指定取消理由については、電気の停止について電話連絡だけで、事前の連絡や、
協議もないまま、電気が停止され、現在にいたった。
また、再々文書による速やかな通電と施設の維持管理を求めたが、返答がなく、
電気遮断による施設の器機の管理・防犯防火関係・また、住民からのホテルの問
合せ・苦情等を検討した結果、株式会社十津川観光ホテルの指定管理は困難であ
り、上北山村公の施設における指定管理者の指定手続等に関する条例第10条及
び上北山村研修宿泊施設「ふれあいの郷かみきた」の指定管理に関する協定書第
39条第1項第3号の指定の取り消しに該当するとした。
平成27年5月13日、上総第242号にて上北山村より株式会社十津川観光
ホテルに対し、聴聞通知書を通知した。
聴聞の件名、上北山村公の施設の指定管理者の指定の取り消しについて、予定
13
される不利益処分の内容、指定管理者の取り消し、不利益処分の根拠となる法令
の条項、地方自治法第244条の2第11項及び上北山村公の施設における指定
管理者の指定手続等に関する条例第10条、聴聞の期日、平成27年5月19日
とした内容であった。
また、同日付事務連絡として、株式会社十津川観光ホテルあて、平成27年5
月1日に実施した指定管理者取り消し協議の場において、株式会社十津川観光ホ
テル代理人弁護士より引き渡し要件について、文書での提出依頼が あったため、
以下の内容にて平成27年5月13日付け文書を送付した。
当初の引き渡し状況へ(原状回復義務)上北山村公の施設における指定管理者
の指定手続等に関する条例第13条に基づく履行。
平成27年2月9日~平成27年3月31日までの指定管理料の返還。
水道料金等公共料金の支払い、平成27年3月25日付にて送付依頼している、
決算書類の提出、株式会社十津川観光ホテルの持込備品の撤去を依頼した。
平成27年5月19日午前10時より聴聞を行ったが、当事者である株式会社
十津川観光ホテルの出頭がなかった。
平成27年5月20日、上地第73号にて上北山村より株式会社十津川観光ホ
テルに対し、上北山村公の施設の指定管理者の指定取消通知書の送付を行い、公
の施設の指定管理者の指定を取り消した。
平成27年5月27日、上北山村へ株式会社十津川観光ホテル代理人弁護士よ
りご連絡の通知。
原状回復義務、完了しております。
指定管理料、株式会社十津川観光ホテルは貴村の責任範疇に属する施設の維持
管理の懈怠等により多大な損害を被っており、貴村に対する損害賠償請求権を有
する物です。また昨年8月の台風時の損害金のお支払いもいただいておりません。
このため、対等額で相殺します。
公共料金、貴村に対するものについては、上記記載同様に、対当額で相殺しま
す。
電気料金については、別途請求主体と協議いたします。
決算書、現在作成中ですが貴村として、指定管理を取り消すとのことですので、
提出するかもどうかも含めて検討します。
備品等撤去、完了しております、以上の内容であった。
平成27年6月1日、上地第102号にて上北山村より株式会社十津川観光ホ
テルに対し、平成26年度指定管理施設「ふれあいの郷かみきた」における決算
関係書類の提出について、文書送付。
上北山村研修宿泊施設「ふれあいの郷かみきた」の指定管理に関する協定書第
20条に基づき、平成27年3月25日上建第1230-7号にて決算関係書類
14
の提出を依頼していましたが、いまだ提出されていないので至急提出頂くよう再
度依頼した。
平成27年6月16日現在、株式会社十津川観光ホテルより決算関係書類及び
実績報告書が提出されていない。
2
判
断
本件請求に関する今回の事案においては、複数に分かれているため、次のと
おり個々の事案ごとに適否を判断すべきであると考える。
平成26年12月から平成27年2月分に相当する指定管理委託料3,000,
000円について。
平成26年度株式会社十津川観光ホテルに対する指定管理委託料については、
決算関係書類及び事業実績報告書の提出がないことから、他の客観的要素におい
て管理が行われていたかどうかの判断をすることとなる 。
株式会社十津川観光ホテルから指定管理施設ふれあいの郷かみきたの入湯税申
告書が提出されているが、この入湯税申告書によると少なくとも、平成27年1
月21日までは、宿泊客がおり、平成27年2月分の申告書までは提出されてい
たので、施設を管理する状態にあった。
しかしながら、平成27年2月8日に関西電力より電力の送電が中止された、
このことにより明らかに営業、また施設の管理が出来ていないということになる。
以上のことから、平成27年2月9日以降の指定管理料については不当な支出
であると判断する。
平成27年3月分として平成26年4月28日に支払われた管理委託料1,0
00,000円及びその支払日から返還日までの法定利息の返還を求めることに
ついて。
協定書に付随する覚書の効力について、上北山村及び株式会社十津川観光ホテ
ル双方の合意の上での協定書を補完する一種の契約書であると判断できる、覚書
締結内容の1. 協定書第23条第2項の別紙5の「1.指定管理料の額」に規定す
る平成26年度(平成26年4月1日~平成27年3月31日)指定管理料12,
000,000円及び同「4.協定保証金額及び指定管理料の支払い額」に規定す
る平成26年度指定管理料12,000,000円については、平成26年4月
分として1,000,000円を減額し、各々11,000,000円に減額変
更するとなっており、平成26年4月28日に支払われた指定管理委託料は5月
・6月・7月分となる。
15
また、平成26年7月10日に支払われた指定管理委託料は8月から10月分、
平成27年10月10日には、11月から平成27年1月分、平成27年1月2
3日には、平成27年2月3月分を支払ったことになる。
上北山村と株式会社十津川観光ホテル指定管理契約の解除を求めることについ
て。
上北山村は、平成27年5月20日に株式会社十津川観光ホテルの公の施設
の指定管理者の指定を取り消した。
3
結
論
以上の理由により、本件請求に係る事案については、平成27年1月23日
に株式会社十津川観光ホテルへ支払った指定管理委託料2,000,000円
の内、平成27年2月9日以降の指定管理委託料は不当な公金の支出であると
判断した。
なお、金額については、上北山村が具体的な事例を明示し関西電力からの送
電を停止させられた日としていること、株式会社十津川観光ホテルは指定管理
料の返還金の請求を拒んではいるが、金額が過大との申し立てがないことから
推測すると両者の合意があるものと認められる。
平成27年3月分として平成26年4月28日に支払われた管理委託料1,
000,000円及びその支払日から返還日までの法定利息の返還を求めるこ
とについては、前述の協定書において平成26年4月分1,000,000円
を減額し、平成26年4月28日には、5月・6月・7月分であるので、 請求
人の主張に理由がない。
第4
勧
告
以上の判断により、本件請求には、一部理由があると認められるので、自治
法第242条第4項の規定により、村長に対し、次のとおり勧告する。
1.上北山村が平成27年1月23日に株式会社十津川観光ホテルへ支払った指
定管理委託料2,000,000円の内、平成27年2月9日以降の指定管理委
託料は、不当な公金の支出であるので村の責任において損害の補てんに必要な措
置を講じること。
2
第5
上記の措置は、平成27年8月17日までに講じられたい。
意見・要望
本件請求についての監査委員の判断は以上のとおりであるが、監査委員とし
16
ては、今回の監査を通じ、自治法第199条第10項の規定に基づき、村長に
対して、次のとおり意見を提出し、改善策を強く要望する。
本件請求については、指定管理者への指定管理料支払い方法については、現行
のままだと管理委託料は先払いの状態にある、管理状況を確認後、指定管理委託
料の支払いを行う等改善が必要である。
また、他の施設も含めて指定管理委託料を支払い管理を行わせているなら、指
定管理委託料請求書のやり取りだけでなく尚一層の管理について検討していかな
ければならない。
請求人の陳述にあった、株式会社十津川観光ホテルからの決算関係書類及び事
業実績報告書を確認してから監査結果報告をいただきたいとの申し出であったが、
監査の期日は地方自治法第242条第5項、監査及び勧告は請求があった日から
60日以内に行わなければならないとなっている。
監査委員会としては、上北山村が株式会社十津川観光ホテルと交わした協定書
第20条における事業実績報告書等の提出を要求する文書の送付を確認しながら
の監査でもあったので、事実調査に時間を要し、時間的制約の中で結論が出せず
地方自治法に抵触していた期間が存することは遺憾である、今後は抵触すること
がないような形での監査を実施しなければならないと考える。
17