医療業界の動向

医療業界の動向
2015年5月13日
総合メディカル株式会社
コンサルティング本部
〒100-0004
東京都千代田区大手町1-7-2 東京サンケイビル28階
TEL:03-5255-6631 FAX:03-5255-6712
URL:http://www.sogo-medical.co.jp
目次
1.現状・未来の医療業界の考察
2.今後の日本の医療業界
2-5
6-11
3.地域完結型医療提供体制に向けた課題
12-16
4.ベンチマークすべき企業・国策
17-21
5.未来の医療業界・各ステークホルダーに対する考察
22-27
参考 医療関連主要企業マップ
28
Proprietary and Confidential
1.現状・未来の医療業界の考察
(1)人口に対する医療機関・設備の数が多く、過剰ハード・マンパワー不足状態
(2)高齢化の進展と過剰ハード状態が、日本の国民医療費を膨張させ続けている
(3)高額医療機器は設置台数がそもそも多い上に、ハイペースでの設置が進んでいる
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1.現状・未来の医療業界の考察
(1)各種定量データからみた、日本の医療業界
①欧米の国々と比較して、人口に対する医療機関・設備の数が多く、過剰ハード・マンパワー不足状態
②高齢化の進展と過剰ハード状態が、日本の国民医療費を膨張させ続けている要因の一つ
人口千人当たり病床数
人口100万人当たり病院数
人口100万人当たりCT数
人口100万人当たりMRI数
人口千人当たり医師数
平均入院日数【単位:日】
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出典:OECD(2012年)
1.現状・未来の医療業界の考察
(2)各種定量データからみた、日本の医療業界(時系列)
①人口当たりの病床数・病院数は確実に削減されている。それに伴い、入院日数も短縮化されている
②一方、高額医療機器は設置台数がそもそも多い上に、ハイペースでの設置が進んでいる
人口千人当たり病床数
人口100万人当たり病院数
人口100万人当たりCT数
人口100万人当たりMRI数
人口千人当たり医師数
平均入院日数【単位:日】
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出典:OECD(2012年)
1.現状・未来の医療業界の考察
(3)医療制度比較からみた、日本の医療業界
項⽬
⽇本
⼈⼝(万⼈,2009年)
スウェーデン
デンマーク
⽶国
イギリス
ドイツ
フランス
中国
韓国
シンガポール
タイ
ベトナム
12,715
924
547
31,465
6,156
8,216
6,234
134,575
4,833
473
6,776
8,806
⼈
65歳以上の⾼齢者数(万⼈)
2,831
167
90
3,973
1,011
1,710
1,044
11,065
515
44
570
577
⼝
65歳以上/総⼈⼝
22.3%
18.0%
16.4%
12.6%
16.4%
20.8%
16.7%
8.2%
10.6%
9.3%
8.4%
6.5%
65歳以上/15-64歳⼈⼝
GDP(百万⽶ドル,2012)
36.0%
27.9%
25.5%
19.5%
25.2%
31.6%
25.9%
11.4%
15.2%
12.2%
12.4%
9.3%
5,960,180
523,804
314,888
16,244,600
2,471,600
3,425,956
2,611,221
8,358,399
1,129,598
276,520
385,693
155,820
566,217
50,285
34,953
2,859,050
237,274
397,411
302,902
355,847
80,201
3,871
9.5%
9.6%
11.1%
17.6%
9.6%
11.6%
11.6%
4.9%
7.1%
1.4%
429,133
38,238
24,246
1,120,877
175,484
280,928
232,399
231,723
45,184
26,546
7.2%
7.3%
7.7%
4.0%
9.6%
75.5%
40.4%
総医療費(百万⽶ドル)
総医療費/GDP
医
公的医療費(百万⽶ドル)
療
公的医療費/GDP
費
私的医療費(百万⽶ドル)
89,403
6.9%
7.1%
8.2%
8.9%
3.4%
1,348,302
27,188
82,223
57,447
124,124
1.8%
私的医療費/GDP
1.5%
8.3%
1.1%
2.4%
2.2%
⼀⼈当たり医療費 (USD)
3,035
3,758
4,464
8,233
3,433
4,338
3,974
175
2,035
公的医療費/総医療費
80.0%
80.9%
85.2%
45.9%
82.7%
75.9%
76.7%
55.9%
57.3%
医療保険制度
社会保険⽅式
税⽅式による公
税⽅式による公
社会保険⽅式も
税⽅式による国
営の医療サービ
営の医療サービ
あるが、中⼼は
営の医療サービ
ス
ス
⺠間保険
ス
社会保険⽅式
社会保険⽅式
社会保険⽅式
社会保険⽅式
31.0%
社会保険⽅式
社会保険⽅式
社会保険⽅式
「都市労働者基
険
制
度
国⺠皆保険制
公的保険
度、⾃⼰負担3
割
医療サービスは
医療サービスは
⾼齢者・障害者
⼀定の範囲内で
5つの地域主体
向けメディケ
地⽅政府が⾃⼰
で無償提供され
ア、低所得者向
負担額を設定
ている
けメディケイド
公務員医療保険
保健基⾦が管理
本医療保険」
する医療保険制
「都市住⺠基本
NHS と呼ばれる 度に国⺠の85% 政府(社会保障
医療保険」「新
国⺠皆保険制
メディセイブと
基⾦制度に加え
保
制度、社会保障
国⺠皆保険と同
が加⼊、同⼀疾
⾦庫)が管理す
型農村医療保
度、⾃⼰負担は
呼ばれる強制貯
て、30バーツ制
等の制度あり
病につき四半期
る国⺠皆保険
険」の3種類が
2割〜5割
蓄制度あり
度と呼ばれる国
10ユーロの⾃⼰
存在するが、普
⺠皆保険と同等
負担
及は都市型のみ
制度あり
健康保険制度は
あるが、⼾籍を
持つ者に限られ
る
に留まる
医療提供の主な財源
税・社会保険料
病院
8,605
公的病院病床の割合
20%
平均在院⽇数
18.8
医師⼈数(⼈)
2.2
⼈⼝1000⼈当りの病床数
給
病院の⺠間経営可否
医師の⾃由度
税
⺠間保険料
税
社会保険料
社会保険料
社会保険料
13.4
⾮営利のみ参⼊
可
⾃由開業
3,615
3,278
2,698
21,979
公定価格の出来
⾼払い
25%
100%
90%
70%
61%
7%
3.5
5.5
7.1
7.6
5.2
10.3
16.7
2,466,094
88,776
10,225
3.9
3.5
2.5
2.8
3.8
3.1
1.82
2
1.9
3.5
3.1
3
8.3
6.4
4.1
9.6
3.2
2.7
⺠間経営は存在
するが資⾦は⾏
政から⽀出
⾃由開業
⼩規模な⺠間病
院が少数存在
⾃由開業、単独
開業3割程度
企業参⼊可
企業参⼊可
企業参⼊可
⾃由開業
⾃由開業
⾃由開業
企業参⼊可
⾃由開業(1
8%)
ランスティング
公定価格、中央
と呼ばれる地⽅
政府が活動量に
⾃治体が管理
応じて⽀払い
診療所に登録す
を持ち、医療を
る住⺠(⼈頭報
管理する事で医
酬)と公定歩合
療費を抑えるマ
の出来⾼払い
要
患者の⾃由度
フリーアクセス
かかりつけ医制
かかりつけ医制
度
度
フリーアクセス
だが経済的制約
がある
企業参⼊可
企業参⼊可
⾃由開業
⾃由開業
21,051
2.2
2.7
公定価格が原価
の内容の決定権
公定価格(交渉
公定価格(交渉
に基づく協約料
に基づく協約料
⾦)
⾦)
ネジドケア
需
税・社会保険料
3,064
4.5
保険会社が医療
医療の価格(診療報酬)
税・社会保険料
5,754
167,063
⼈⼝1000⼈当りの医師数
供
税・社会保険料
を下回るため、
⾼度機器の利⽤
や過剰投薬によ
る利益確保がな
されている
かかりつけ医制
原則フリーアク
原則フリーアク
最初は地域の指
度
セス
セス
定箇所
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下位機関より紹
介を受けて上位
機関で診察
かかりつけ医制
度
2 .今後の日本の医療業界
(1)人口が増加するのは、一部の大都市・地方都市のみ
(2)2025年時点では、超高齢化に伴い日本全体が治らない慢性疾患患者の集団社会となる
(3)施設から在宅への流れの中で、訪問介護・看護等の在宅分野は著しく伸張する
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6
2.今後の日本の医療業界
(1)人口動態からみた未来の日本(高齢者率、人口推移)
①人口が増加するのは、一部の大都市・地方都市のみ(東京、神奈川、千葉、京都、滋賀、福岡、熊本、沖縄の一部のエリア)
②大半のエリアで2025年には人口が10%以上減少。地方過疎地では20%以上の人口が減少する
【2010年VS2020年 人口増減比較】
【2010年VS2025年 人口増減比較】
30%以上減
30%以上減
20%以上減
20%以上減
10%以上減
10%以上減
10%未満減
10%未満減
人口増
人口増
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7
2.今後の日本の医療業界
(2)人口動態からみた未来の日本(高齢者率、人口推移)
①2025年時点では、日本の80%以上のエリアで高齢者比率が30%超となる
②超高齢化に伴い、大半の地域が終末期・リハビリ医療・介護圏に突入する
③2025年時点では、超高齢化に伴い日本全体が「治らない慢性疾患患者の集団社会」となる
【2010年 65歳以上人口】
40%以上
30%以上
20%以上
10%以上
10%未満
40%以上
【2025年 65歳以上人口】
30%以上
20%以上
10%以上
10%未満
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8
2.今後の日本の医療業界
(3)人口動態からみた未来の疾病構造変化
①将来医療費の中で一番大きいウエイトを占める疾病は循環器系で、2025年時点で7兆円弱となる見込み
②次いで、ガン・泌尿器・整形・ホルモン系(糖尿病・高血圧)といった疾病で医療費が膨らむ
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出所:厚生労働省 国民医療費の概況
9
2.今後の日本の医療業界
(4)病床再編シナリオに伴う医療費・介護保険費用の将来予測
①介護施設(特養、老健)・居住系(通所等)・在宅系(訪問、サ高住等)の介護分野は確実に伸張する
②病床再編が行われ患者受け入れ人数が減少しても、診療単価が上昇するため、
結果として急性期病院はどの分野も伸張する
出所:厚生労働省 医療・介護に係る長期推計より試算
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0
2.今後の日本の医療業界
(5)医療・介護業界における必要マンパワーとギャップ
①2025年問題を踏まえた病床再編が行われているが、必要マンパワーとの乖離が激しい
②現状の1.5倍ものマンパワーを向こう10年間で創出できない場合、病床再編自体が暗礁に乗り上げる可能性大
■必要マンパワー
平成2012年
医師
2015年時点
現状投影
2025年時点
改革後
現状投影
改革後
30 万人
30 ~
32 万人
30 ~
31 万人
33 ~
35 万人
32 ~
34 万人
看護職員
141 万人
151 ~
158 万人
155 ~
163 万人
172 ~
181 万人
195 ~
205 万人
介護職員
140 万人
161 ~
169 万人
165 ~
173 万人
213 ~
224 万人
232 ~
244 万人
医療その他職員
85 万人
91 ~
95 万人
91 ~
95 万人
102 ~
107 万人
120 ~
126 万人
介護その他職員
66 万人
76 ~
80 万人
79 ~
83 万人
100 ~
105 万人
125 ~
131 万人
462 万人
509 ~
534 万人
520 ~
546 万人
620 ~
651 万人
704 ~
739 万人
合計
■現状とのギャップ
2015年時点
現状投影
医師
2025年時点
改革後
現状投影
改革後
0~
2 万人
0~
1 万人
3~
5 万人
2~
4 万人
看護職員
10 ~
17 万人
14 ~
22 万人
31 ~
40 万人
54 ~
64 万人
介護職員
21 ~
29 万人
25 ~
33 万人
73 ~
84 万人
92 ~
104 万人
医療その他職員
6~
10 万人
6~
10 万人
17 ~
22 万人
35 ~
41 万人
介護その他職員
10 ~
14 万人
13 ~
17 万人
34 ~
39 万人
59 ~
65 万人
出所:厚生労働省 医療・介護に係る長期推計より試算
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1
3 .地域完結型医療提供体制に向けた課題
(1)フリー開業で各機関・施設が競合し、個別最適が第一優先される
(2)地域包括ケアシステム構築を担う明確な中核事業体・リーダーが不在
(3)長寿日本一を最も低コストで実現したのは日本版IHNがある長野県
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2
3.地域完結型医療提供体制構築に向けた課題
(1)国民にとって非効率で質の低い医療とは何か?
①フリー開業であるため、各機関・施設が競合し、自機関・施設の個別最適が第一優先される
②フリーアクセスであるが、よいDr・よい医療機関を選別する術・情報を国民が持たない
テーマ
国民にとって非効率で質の低い医療とは(具体的内容)
①医師が経営をしている(経営学を学んでいない人が経営している)。院長に権限が集中している
②人材不足であるため、優秀な人を確保するよりも、人材確保が優先される
ヒト
③国家資格先行であるため、職場コミットメントが低い。結果、医療現場の質が安定しない
④医療ニーズ(専門性・地域)と、ドクターの供給量が合っておらず、偏りが大きい
⑤常勤人数に規制があるので、頭数を揃える必要があり、結果病院運営コストを上昇させている
⑥医師のスキルの格差が存在しても、診療報酬が同一
モノ
カネ
情報・
ノウハウ
①ドクターを尊重しすぎて、病院の全体最適にかなった購買が出来ていない
②近隣病院と競合し、高額医療機器が各々の病院に入っている(共有という概念がない)
①制度改正に振り回され、病院の経営自体が対処療法で戦略性が欠如している
②医療機関の内部留保が投資に回っていない
①縦割り意識が強過ぎるため、検査データ・カルテの共有が出来ておらず非効率
②デジタルをアナログの世界に導入しているため、効果が出ていない
①提供する医療サービスが画一化されている(法律によって規制されているため)
その他
②公費負担の多い幼児・高齢者ほど、すぐ病院に行く
③急性期病院が外来患者を受け付けるため、本来の機能分化が進んでいない
④医師会等、利権団体が多い。医療機関の営業日・時間が日中・ウィークデーに限定されている
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3
3.地域完結型医療提供体制構築に向けた課題
(2)地域包括ケアシステム構築が何故進まないのか?
①地域包括ケアシステム構築を担う明確な中核事業体・リーダーが不在
②地域包括ケアシステムを担う各ステークホルダーに、連携によるメリットそのものが無い
地域包括ケアシステム構築が進まない背景
①主体者・リーダーが不在かつ、構築に貢献した際のインセンティブの仕組みが無い
②包括ケア構築に関わる機関・施設、他職種、地域医療計画をマネジメントする仕組みが未構築
③地域の医療・介護事情が違い過ぎ、統一されたガイドラインが引けない
④病院側の視点から考えると、患者を「在宅」に戻すメリットがない
※診療報酬について、「復帰率」等の改定はされているが、改定の幅が小さい
⑤地域としてケアすべき人の「データ(統計)」が共有されておらず、「現状把握」「危機感の共有」が
できていない
⑥地域包括ケアシステムに関わるステークホルダーがメリットを感じていない
(他社、ライバルと手を組むことにメリットがなく、各事業主の個別利益追求が是正されない)
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4
3.地域完結型医療提供体制構築に向けた課題
(3)長寿日本一の長野県における、医療費・医療資源配置の状況(その1)
①長野県は医療費を低く抑えつつ、長寿日本一を実現。質が高く効率的な医療提供体制のモデル
②長野県には、JA長野が中核事業体として構築した、日本最大の非営利のIHN(JA長野厚生連)が存在
人口(千人)
前期高齢者人口(千人)
後期高齢者人口(千人)
高齢化率
後期高齢者人口比率
全国
北海道 東京都 長野県 愛知県 大阪府 福岡県
79.6
79.2
79.8
80.9
79.7
79.0
79.3
-
34
14
1
17
41
31
86.4
86.3
86.4
87.2
86.2
85.9
86.5
-
25
22
1
31
40
20
127,298
5,431
13,300
2,122
7,443
8,849
5,090
16,295
729
1,521
279
912
1,206
623
15,603
739
1,393
320
750
978
607
25.1%
27.0%
21.9%
28.2%
22.3%
24.7%
24.2%
12.3%
13.6%
10.5%
15.1%
10.1%
11.1%
11.9%
医
療
費
1人当たり医療費(円)
前期高齢者1人当たり医療費(円)
後期高齢者1人当たり医療費(円)
303,108 365,623
332,761 352,282
845,249 1,006,082
資
源
配
置
人口10万人当たり医療機関数(※)
人口10万人当たり病床数(床)
人口10万人当たり医師数(人)
人口10万人当たり看護師数
人口10万人当たり薬剤師数(人)
男性
平均寿命
人
口
動
態
女性
86
1,334
238
798
220
73
1,930
236
1,005
195
279,098
335,765
778,099
289,962
307,673
767,760
271,893
294,944
859,006
101
993
354
679
277
79
1,191
221
904
194
74
975
214
679
180
※医療機関数とは、病院と診療所の合計(保険調剤、歯科診療所を含まず)
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324,895 351,218
352,242 337,249
895,348 1,079,433
100
1,261
241
725
239
99
1,887
304
996
217
5
3.地域完結型医療提供体制構築に向けた課題
(䠐)長寿日本一の長野県における、医療費・医療資源配置の状況(その2)
①日本最大のIHNである長野厚生連も、アメリカのIHNと比較すると規模は10分の1
②アメリカ最大IHN:UPMCは、日本の全大学病院の医療収入合計よりも規模が大きい
所在地
UPMC
センタラヘルスケア
長野厚生連
東京大学付属病院
ピッツバーグ
ノーフォーク
長野市
東京都文京区
1997年
1888年
1950年
1858年
地域医療の質向上
ITネットワークを活用した
コミュニケーションを通して
の新しい文化・価値観の
形成
JA長野が中核事業体とし
て構築した日本最大の非
営利IHN
・患者の意思を尊重する
医療の実践
・ 安全な医療の提供
・ 高度先進医療の開発
・優れた医療人の育成
設立
特徴
医療の産業集積
グローバル展開
事業収入
96億ドル:9,600億円
40億ドル:4,000億円
933億円
420億円
経常利益
727百万ドル:650億円
292百万ドル:292億円
-
-
180万人以上
医療圏人口:400万人
45万人
地域人口:200万人
医療圏人口:215万人
外来者数:76万人
病院数
20以上
11
14
1
ベッド数
4,505床
2,349床
3,989床
1,163床
保険加入者
特徴
外来・介護・リハビリ等の
拠点数400以上
外来施設数6件
佐久総合病院を中心に地
域の医療機関・施設が垂
直統合されている
日本のNo1大学病院
※1US$=100円換算
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6
4 . ベンチマークすべき企業・国策
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1
4.ベンチマークすべき企業・国策
(1)経済産業省が描く医療・介護の再編シナリオ
①経済産業省の任務とは、民間の経済活力の向上、対外経済関係の円滑な発展を中心とする産業の発展支援
②厚生労働省の任務とは、国民生活の保障および向上、経済発展を支える社会保障の増進、労働者の働く環境整備
③日本を企業に例えると、「経済産業省=経営企画部門、厚生労働省=人事・労務部門」。今の日本は労務倒産寸前
④経済産業省の進める医療業界改革の目的・目標は、「医療・介護の産業化を通じた、国民のニーズにかなう
質の高いサービスを持続的に提供できる体制の構築」
テーマ
概要
①非営利ホールディングカンパニー型法人制度の創設
効率的で質の高い
サービス提供体制の構築 ②医療法人制度の規制緩和(会社分割類似スキームの導入、医療法人の付帯事業承認、社会医療法人の普及)
③看護師・薬剤師等医師以外の役割・業務範囲の拡大、非稼動病床の削減
①グレーゾーンの解消(薬局等での自己採血、フィットネスによる運動・食事指導)
公的保険外サービスの
②スイッチOTCの促進、リスク評価期間の短縮
活性化
③医療・介護のインバウンド・アウトバウンドの促進(医療の輸出入の促進)
①先進的な医療へのアクセス向上(先進医療ハイウェイ構想にもとづく、ドラッグ・デバイスラグ短縮化)
保険給付範囲の
整理・検討
②有効性の高い保険適用外医療技術の保険外療養費制度への組み入れ
③健診受診率向上、健康増進に向けたデータヘルスケア計画の作成・公表・活用
④日本版コンパショネートユース(未承認薬・適応外薬の開発・承認・アクセス)の導入
医療・
介護のICT化
①スーパーコンピューター:京の産業利用枠の拡大による、効率的な創薬支援
②医療情報システムの標準化による、臨床・治験の効率化
③データヘルスケア計画の推進による医療費の2.5兆円削減。そのための後期高齢者医療制度の改革
その他
①日本版IHNの創設
②PHR(パーソナルヘルスケアレコード)の利用・活用、個人情報保護法の見直し
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4.ベンチマークすべき企業・国策
(2)各省庁の政策の整理と国民の収入・資産
①高齢者はフロープアで、ストックリッチ。現役世代はフローリッチ、ストックプア
②社会保障制度維持の財源が枯渇している以上、お金のあるところから財源を拠出する・給付範囲(額、給付先)を縮小する
以外、財源確保の手立てがないのが現実
■厚生労働省~保険制度の維持~
①病床再編による病床・医療機関削減
②ジェネリック普及、診療報酬の引き下げ
③自己負担増、給付範囲の縮小
■経済産業省~規制緩和による医療産業化~
①非営利のホールディング
②会社分割類似スキームの導入
③新薬・医療機器の承認期間短縮
④医療行為の職種拡大
⑤公的保険外サービスの活性化
⑥データヘルスケア計画の推進
⑦日本版IHNの創設
■国土交通省~高齢者のすまい整備~
①サービス付高齢者住宅の整備
②空室・空き家の有効活用
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4.ベンチマークすべき企業・国策
(3)2025年に向けての医療政策の方向性
①地域医療ビジョンをもとに、都道府県が病床再編を促す
②医療法人制度を見直して、公益性を求め、再編・統合し易くする
③2025年対策は2018年の改定によって断行される
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4.ベンチマークすべき企業・国策
(4)保険調剤薬局の未来
①病院、一般診療所にかかる医療費はここ20年ほどは概ね横ばい。一方、調剤医療費は年々増加している
②1997年に日本薬剤師協会が提示した適正薬局数は全国で2万4千件。現在はその2倍超
③分業率100%の欧米よりも高コスト。大幅な診療報酬改定があった場合、薬局数縮小・薬剤師余りが予想される
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5 . 未来の医療業界・
各ステークホルダーに対する考察
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5.未来の医療業界・各ステークホルダーに対する考察
(1)主な事実・ポイントの整理
テーマ
主な事実・ポイントの整理
①人口に対する医療機関・設備の数が多く、過剰ハード・マンパワー不足状態
グローバルスタンダード
②高齢化の進展と過剰ハード状態が、日本の国民医療費を膨張させ続けている
からみた日本
③高額医療機器は設置台数がそもそも多い上に、ハイペースでの設置が進んでいる
①アメリカでは強い中核事業体のもと、広範囲で医療の質向上・効率化が図られている
アメリカ型
②医療の産業化が進展しており、大規模営利企業が多数存在。効率化の規模が巨大
ヘルスケアビジネスの特徴
③アメリカは民間保険であるため、自分で考える医療(日本は、医師任せの他責の医療)
①人口が増加するのは、一部の大都市・地方都市のみ
今後の日本の医療業界 ②2025年時点では、超高齢化に伴い日本全体が治らない慢性疾患患者の集団社会となる
地域完結型
医療提供体制構築
に向けた課題
③施設から在宅への流れの中で、訪問介護・看護等の在宅分野は著しく伸張する
①フリー開業で各機関・施設が競合し、個別最適が第一優先される
②地域包括ケアシステム構築を担う明確な中核事業体・リーダーが不在
③長寿日本一を最も低コストで実現したのは日本版IHNがある長野県
①医薬品卸は、新たな収益機会獲得のために、垂直・水平統合を推進
ベンチマークすべき
企業・国策
②経産省は規制緩和により、医療・介護の産業化を推進
③お金のあるところから財源を拠出する・給付範囲を縮小する以外、財源確保の手立てなし
①専業の競合だけでなく、仕入れ先が下流に進出。M&A、グループ化を加速化
収益エンジンである
②1997年に日本薬剤師協会が提示した適正薬局数は全国で2万4千件。現在はその2倍超
薬局が置かれている現状
③分業率100%の欧米よりも高コスト。大幅な診療報酬改定があれば、薬局数縮小は必至
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5.未来の医療業界・各ステークホルダーに対する考察
(2)受け入れざるを得ない現実
①高齢者が激増する中、公的医療ですべての費用を賄う
のは不可能で、大幅な給付削減は不可避
②遺伝子・細胞レベルで疾病予防・根治を行うゲノム医療・
再生医療の登場は確実
③医療技術の進歩は、3大疾病(ガン、脳卒中、心筋梗塞)
の生存率を改善→死亡率低下・高齢化を加速
④高額医療は富裕層しか受けることが出来ない
→制度破綻に端を発した自由診療の解禁、医療格差が発生
⑤各種PHR(レセプトデータ、健診・ゲノム分析結果、治療履歴、
ライフログ)はICTで融合され、クラウド上に蓄積
⑥経営悪化病院にICTを設備投資する余力なし
→大手医療法人を中心とする病院の系列化が進展
⑦医療機能を持っていることは、介護事業者にとって最大の差別化要因→本丸の病院の系列化が進展
⑧遅かれ早かれ医療機関の淘汰は確実。その中で、医療機関は代替わり・建替え時期を迎えている
⑨介護保険制度自体も既に運用難→要介護3以上が給付対象の中心で、他は削減。自己負担も増加
⑩ヘルスケア業界は2025年には100兆円(GDP比20%超)。地域の就業・雇用の最大の受け皿
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5.未来の医療業界・各ステークホルダーに対する考察
・未来の医療業界イメージ(仮説)
(1)ゲノム医療・再生医療の登場により、自由診療、先進医療を担う病院と、制度内医療を提供する病院が分別される
(2)質が高く効率的なヘルスケアサービスを提供するため、大手医療法人・他業種による病院のグループ化・チェーン化が進む
(3)パーソナルケアキットによる自己健診等が一般化し、予防・セルフメディケーションが進展
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5.未来の医療業界・各ステークホルダーに対する考察
・各ステークホルダーの姿と直面しているであろう課題・現実
No
ステークホルダー
直面している課題・現実
①医療費抑制のため、国による病院削減が進展・業界内でのM&A加速
1
医療機関(病院)
②自由診療の主役は大学病院+α、地域医療の主役は地域医療支援病院
③報酬カット・増税によるコストアップで、病院の資金繰り・経営が更に悪化
①今後プレーヤー・市場は拡大するが、財源自体が枯渇
2
介護事業者
②要介護3以上が給付対象の中心で、零細は淘汰
③在宅の受け皿として訪問系サービス拠点が一気に拡大
①国策により、クリニック門前の小規模薬局の淘汰が加速し薬剤師が余る
3
調剤薬局
②在宅・健康管理等、薬剤師の現場関与・業務拡大が進展
③慢性疾患患者を中心にレフィル処方箋、分割調剤が一般化
その他
4
①医療・介護保険制度でカバーしきれない自費領域が拡大確実
生活支援事業主
②現在は、当該領域でモデルとなる大手は不在
健康増進事業主
③医療機関受診抑制、健康寿命延伸の取り組みが加速
①経済衰退、生産年齢人口減、増税・保険負担増で実質所得減
5
国民
②保険内外のサービス享受格差が、所得格差により進展
③医師任せの医療から、自ら考える医療へのマインドリセットが必要
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5.未来の医療業界・各ステークホルダーに対する考察
・今後のヘルスケア業界のキーワード
地域住民のニーズにかなう
質の高いサービスを効率的・持続的に提供できる体制構築
日本の至上命題
世界標準と日本
質・効率と
提供規模
世界標準と日本
予防・健康維持と
データ活用
業界再編と
経営形態
高いコストの
在宅サービス
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