高次脳機能障害のクライアントにセラピストはどう寄り添えるのか ~外来

【介入方法】
【はじめに】
今回の具体的な目標:演奏会をする
・現在、外来リハビリテーションでは
高次脳機能障害に対して机上課題中心に行っている
具体的な介入
しかし、机上課題には限界がある
・今回、脳外傷による高次脳機能障害により
コミュニケーション障害を呈したクライアントに
セラピストとして何が提供できるのか考えた
【症例】
目的
• 曲の選択
• ウクレレの練習開始
自発的な曲目の選択
• 個別外来リハにて実施(約40分)
週1回 計4か月
ウクレレによる
記憶、注意訓練
• 合同練習(演奏会1ヶ月前)
クライアント2名、セラピスト2名
コミュニケーション
能力訓練
• 演奏会本番。
外来でクライアント、家族、職員に披露。
目標の達成
【結果(クライアントの変化)】
◎基本情報
◎開始前
・30代女性
・診断:脳挫傷(交通外傷)、上顎歯槽骨骨折
・具体的な目標がない
・経過期間:受傷後5年
・生活に結びついていない
・やりたいことがない、ボーっとしている
◎身体機能
・人と話していると、話が分からなくなる
・右片麻痺(ブルンストロームステージⅥレベル)
◎取り組み中
・高次脳機能障害(記憶・遂行低下、注意分配・持続低下)
◎生活活動
・練習に集中できるようになった
・ADL自立
・楽譜を自ら考えて持ってくる
・IADL見守り・支援 (調理行なうが、工程を考えて遂行困難)
・他者に積極的に声掛け、流れを理解する
・公共交通機関の利用(バスで外来通院が難しい→練習中)
◎取り組み後
◎社会参加
・外来リハに週1回通っている
・やったことが大事と感じる
・地域で工作教室やウクレレ演奏などに参加する
・ゴールを目指すことが大事と思う
・プランを立てることの大事さ感じる
・こうすれば良いんだ(会話、流れ)
・今後もこういう目標を決めたい
【症例の問題点】
・記憶障害により他者との会話はその場のみで
過去の話題や複雑な内容についていけない
・相手の思いや気持ちが汲みとりにくく、相手に
不快感を与えてしまう。
・会話量が多くなると疲れる。
達成感
目標指向的
意欲向上
→結果、コミュニケーション意欲の低下
※写真提示は本人の了承を得ている
【これまでの介入と問題点】
【まとめ】
現在アプローチ
Ⅰ病院での一般的な机上課題の限界
・生活、社会での問題点が見えやすい中で、
机上課題(週1回)(作業・言語聴覚療法)
目的;高次脳機能(注意・記憶)向上
外来リハの作られた環境で行えることが少ない
Ⅱ個別リハの問題点
・特に長期経過している中、個別機能訓練が
果たして効果的なのか疑問
問題点
・現在の生活や活動と訓練が一致しない
Ⅲアプローチから見えたこと
今回のアプローチの特徴
★本人の趣味、特技を用いた
★集団(グループ、他のクライアント、セラピスト)
★コミュニケーションのきっかけ作り
・本人に必要な訓練になっているか?
・コミュニケーションに対して消極的なクライアントが、
今回の体験でまずやってみるという姿勢が生まれた
セラピストの思い
・本人、意思・意欲・興味に沿った介入をしたい
・本人の活動に沿った関わりを考えたい
・集団の中で自ら取り組み、達成感を感じられる発言があった
【考察】
•
橋本らは、コミュニケーションで重要なのは、「受け取りあう」
「伝え合うこと」という相互関係であると述べている
•
クライアントの気持ちを引き出し、継続し、成功体験を重ねて
いくためには寄り添い、共通認識をもつことが重要である
•
クライアントにあった環境づくり、場の提供が必要
•
クライアントの可能性を引き出すためには、枠に捉われず、
あらゆる面からのアプローチ・想像をして介入する必要がある
【新たなアプローチの検討】
今回のアプローチ方法と目標
・本人活動のひとつであるウクレレを取入れる
・人との関わり、コミュニケーション力をつける
答えは一つではない!無限大!