INFORM - ジュンク堂

世界の本屋さん
vol.48
ポーランド・ワルシャワ
エムピック書店
新刊、文芸書、実用書、地図ガイド、
三 階︵ 九 〇 〇 坪 ︶ 本 売 場︵ 五 〇 〇 坪・
ノセ事務所
能勢
仁
ポーランド最大の書店はエムピック
れ て い る 本 の 九 十 五 %は ポ ー ラ ン ド 語
しポーランドの人達の書店観は本も
や は り 地 域 一 番 の 書 店 で あ る。 し か
児童書ゾーン︵三〇〇坪︶
喫茶ゾーン︵一〇〇坪︶
藝術、専門書︶
チ ェ ー ン で あ る。 創 業 一 九 四 八 年 で、
一九五店舗をもつ。
ワルシャワには二十店舗ある。この書
店の特色は商品構成である。書店といっ
かり易くいえば、ジュンク堂書店
の 書 籍、 雑 誌 で、 英 書 が 僅 か に 並 ん で
ても本だけ陳列している店ではない。わ
モトキヨシ ス
+ ターバックス ヴ
+ ィレッ
ジ ヴ ァ ン ガ ー ド で あ る。 旗 艦 店 の ジ ュ
い る に 過 ぎ な い。 ワ ル シ ャ ワ 市 内 の 他
本の他に文具、家庭用品が並んでいた。
ワ・ プ ル ー ス 書 店、 デ ダ ラ ス 書 店 で も
ワ ル シ ャ ワ 大 学 周 辺 の 書 店、 ボ レ ス
あった。
売 っ て い る 生 活 館 な の で あ る。 陳 列 さ
ニア・ワルシャワ店は三層の店である。
のエムピック書店の商品構成も同じで
マ
+ツ
粧品、日用雑貨、旅行用品、新聞
一 階︵ 一 五 〇 坪 ︶ 雑 誌 一 二 二 八 誌、 化
二階︵九〇〇坪︶DVD、鞄、文具、クッ
ラッピング用紙、画材、紙袋各種、
シ ョ ン、 ア ル バ ム、 マ グ カ ッ プ、
カレンダー、日記
(表紙題字・陳舜臣)
12 月
ミ ズ・ ピ ア ン テ ィ ー ニ の 低 音 鐘 が 轟 き、
世界の本屋さん
﹁書標﹂歳時記
月
著書を語る
○ ﹁世間﹂
1
写真・藤田
洋三
2
書標・書評
﹃小泉今日子書評集﹄ほか
ほかの鐘が楽しげに加わる。空気が雪片の
ようにきらきら輝きはじめる。
特集
食の未来と過去
科
学
学
医
今月のおすすめ
会
科
童
地 図 ・ 旅 行 書
児
書
学
コ ン ピ ュ ー タ
社
然
学
書
自
科
文 学 ・ 文 芸
文
術
18
芸
人
書
文 庫 ・ 新 書
用
20
続サルの惑星フェア
﹁ ア ポ カ リ プ テ ィ ッ ク!﹂ コ リ ン が き ら
キヴリンが手をのばし、ダンワージーの
手をぎゅっと握りしめた。
﹁来てくださると思ってました﹂とキヴ
リンが言い、そしてネットが開いた。
実
読者から
語 学 ・ 辞 典
22
25
※表示価格はすべて本体価格です。
丸善京都本店がオープンしました﹂
本屋うらばなし
﹁
インフォメーション
24
27
28
30
﹃ドゥームズデイ・ブック
下﹄
コニー・ウィリス著︵ハヤカワ文庫︶より
16
23
きら輝く顔でいった。
4
19
11
21
25
26
−1−
48
12
6
524
著書を語る
○
︱︱
はるかに面白かった。父はよく、﹁日本人は生まれてから死ぬ
写真 ・ 藤田
洋三
までハンコがいる。みんな御名御璽一つで戦場に向かったんや﹂
﹃世間﹄
僕の故郷、別府市には明治維新のあと、しばらくして港湾や
と、口癖のように話していた。
そんな父に感化されたのか、十八歳のころ、写真家を夢見る
鉄道が登場し、大正時代には国の巨費で水道施設や大学の研究
ようになった。ミュージカル﹁ヘアー﹂のファッションに身を
施設がつくられた。山の手地区には、中国大陸に最も近い温泉
つきの避寒別荘地として陸海軍、さらに旧満洲国の病院や保養
んな職人さんの後ろを付いて回る日々を過ごしていた。なかで
憧れた。それらは単に美をめざすだけでも、あるいは社会的な
イリアム・クラインの﹃ニューヨーク﹄など、社会派の仕事に
門学校へと進んだ。ロバート・フランクの﹃アメリカ人﹄やウ
そんな時代の熱にいざなわれるまま上京し、東京綜合写真専
の卵に当たるといわれた時代だった。
ていた。街では、石を投げるとイラストレーターかカメラマン
包んだ若者が街を闊歩し、七〇年安保と沖縄返還も目前に迫っ
所、そしてこれらに付随した財閥や成金の別荘や施設が競い合
そんな街に育った僕は、好奇心旺盛なバケツの底でカサカサ
うように建てられていった。
コソコソ動き回るカニのような〝多動性〟の子どもで、近所の
も房前さんという左官さんは四六時中奥さんとケンカしていた
メッセージを伝達するためだけのものでもない、個人的なまな
鍛冶屋で馬の蹄鉄打ちを終日眺めたり、庭師や大工など、いろ
が、機嫌がいいときにはセメントや漆喰をこねる手ほどきをし
しかし現実はそんなに甘いものではなかった。学生運動の煽
ざしをあたかも散文詩を綴るように織り上げた写真家たちの世
りを受けた母校はあえなくバリケード封鎖。﹁ここは物を作れ
てくれたり、ウグイスやメジロ捕りに連れていってくれた。山
印章屋を営んでいた父からも影響を受けた。父の仕事場には、
る場所ではない﹂と直感した僕は九州に戻り、福岡市の写真家・
界観に強く惹かれた。
旧 軍 人 や 釣 師、 郷 土 史 家、 果 て は 詐 欺 師 に 至 る ま で、﹁ 印 鑑 ﹂
北島直氏︵故人︶のもとで三年間、お世話になった。おかげで
に入るとウグイスのわなに使う虫探しや、赤土で手を洗う方法
を必要とするありとあらゆる職種の大人たちが毎日のように訪
を伝授してくれる、野遊びの師匠でもあった。
れた。そうした大人たちの話を盗み聞くのは学校の教室よりも
−2−
524
シャッターを押せばなんとか写せるくらいになり、休日になる
をうかがいながら印刷会社のカメラマンとしてサラリー生活を
一九七三年、ついに故郷・別府に戻り、外国に行くチャンス
なった。ちょうど﹁地方の時代﹂が叫ばれ始めたころだった。
日常風景を撮り続けた写真を、生きているうちにまとめようと
がやって来た昭和﹂から﹁バブルが消えた平成﹂までの庶民の
患ってしまった。そんなこともあって、わが故郷に﹁高度成長
上梓する機会を得たが、日頃の不摂生がたたり、ついに大病を
残した﹁手仕事の美﹂を巡った﹃世間遺産放浪記﹄など数冊を
やがて鏝絵の旅をまとめた﹃鏝絵放浪記﹄や、無名の庶民が
をコツコツとたどるようになる。
始めた。いま思えば、﹁地方の時代﹂というお題目は日本全土
思い立った。
と、気になる建築や人の暮らしをファインダーに収めるように
に高速道路が張り巡らされ、日本中が均質化するなかで登場し
をはじめ、主に一九六〇年代の最後あたりから七〇年代の中ご
ゆえに本写真集に収めた写真は、
姫島で撮影した〝転機の一枚〟
た﹁地方の解体﹂の一過程にすぎなかったのだが、そのときは、
怒りとも呪いともつかない、言いようのない情念が胸中に渦巻
当時何の変哲もない村
ることになる。それは、
生まれて﹁美しく崩れゆくモノたち﹂から何かを突きつけられ
置いていかれたモノ、忘れられたモノ、無名者たちの営みから
の〝陰画〟なのだ。少なくとも僕は、
めまぐるしい時代の裏側で、
親父の口癖ではないけれど、ハンコも写真もネガ。写真は時代
ろにかけての古い作品ばかりだ。いま、こうした写真をまとめて
いていた。
の 婚 礼 風 景 だ っ た が、
披露することにどういう価値があるのか、
正直わからない。だが、
こ う し た﹁ 人 ﹂﹁ も の ﹂
ているような気がして、いまもなお、心奪われ続けている。
そんなある日、先輩から姫島︵大分県東国東郡︶の撮影に誘
﹁暮らし﹂こそオマエ
のライフワークだ ! と
いう天啓が聞こえたよ
う な 気 が し た の だ。 時
を 同 じ く し て、 土 蔵 や
民家の妻壁に漆喰で描
か れ た﹁ 鏝 絵 ﹂ や 土 壁
の 美 に 出 会 い、 土 壁 を
といった素材や職人史
構 成 す る 藁・ 石 灰・ 泥
『世間』
忘羊社・2,700 円
−3−
われ、このとき撮った一枚の写真が、僕の人生を大きく左右す
大分県・姫島の「嫁歩き」。転機となった一枚。
﹃小泉今日子書評集﹄
りしている感じが文章を通して伝わって
もしれない。
だ。このように無意識に感じていたのか
プロダクトデザインを手がける著者が
くる。常に心と本が寄り添い、時には励
ンルであっても、小泉さんの視点から紹
私が普段手に取らない作家さんやジャ
ることを﹁バグ﹂としている。
のように行為が滑らかに進むことを妨げ
イン﹂であり、先のエレベータのボタン
定義する﹁良いデザイン﹂は﹁ユーザー
まし支えとなり、元気をもらい楽しませ
書評を書いた人を﹁少なからず知って
介される数々の本はとても新鮮に瑞々し
何をアピールしたいのかわからなくなっ
てくれる。それが漫画であり詩集であり、
いる﹂ということは、その本との距離を
く映る。どれも魅力的だ。何から読もう
ていることや、エスカレータの上りと下
が滑らかに目的の行為を進められるデザ
縮 め て く れ る 気 が す る。﹁ こ の 人 の 言 う
かと迷ってしまうが、品切れしているも
りがわかりづらいこともバグであり、こ
小泉今日子著 中央公論新社・一四〇〇円
ことなら﹂という安心感のようなものが
のも数点リストに含まれており、ぜひ復
時には大人の恋愛小説だったりする。
最初からある。本書の著者である小泉今
刊・重版して欲しいと思う。TVの中の
着目し、改善点を見つけてより良く、美
﹁ 行 為 の デ ザ イ ン ﹂ と は﹁ 人 の 行 動 に
売場でPOP、ポスター類が多すぎて
日子さんは、常にアイドルであり大女優
本書は多忙を極める小泉今日子さんが
であり、その存在感は圧倒的だ。
の本ではバグが八つにも分類されている。
︵ん︶
しくしていこうとする手法﹂であり、バ
グを解消し﹁何気ないユーザーの行為に
沿ったデザイン﹂を実現することで滑ら
読んでいたその時々の状況と照らし合わ
できた時間が伝わってくる。小泉さんが
いに一冊の本を読み、大切に思い慈しん
小泉さんの書評を読んでいるとていね
ボタンは、内側に角が向く﹁閉﹂のサイ
たが、この本によると﹁▲で開閉を示す
見受けられるのがなぜだろうと思ってい
まのことが、自分だけでなく他の人にも
押しているつもりで﹁開く﹂を押したま
イン書でなくビジネス書に並んでいるの
商品開発や企業研修に有効であり、デザ
体的な開き方に多くの頁が割かれている。
めに﹁ワークショップ﹂を提唱し、その具
あり、多くの視点からバグを探し出すた
く、起こりえる状況を想像する発想法で
と同様の手法か、と思ったがそうではな
では、
消費者行動に着目する﹁行動観察﹂
かに行動できることを目指す。
せるように書かれた言葉の数々は、同年
うに感じてしまう﹂のが原因であるよう
ンの方が空間が広く見え、開いているよ
エレベータの扉を﹁閉じる﹂ボタンを
CCCメディアハウス・ 一五〇〇円
村田智明著
﹃問題解決に効く
﹁行為のデザイン﹂思考法﹄
を手にとっていただきたい。
小泉今日子さんしか知らない方にも本書
十年間もの長きにわたり新聞の書評欄で
紹介してきた本がぎっしりと詰まってい
る。書評委員を引き受ける条件として小
泉さんに﹁ダメ出しすること﹂を絶対と
したそうだ。そして書評を読んだ人がそ
の本を読みたくなるようなものを心がけ
代の女性であれば深く共感できることば
て書いたという。
かりではないだろうか。揺れたり悩んだ
−4−
かないことに気づくための一冊。 ︵J︶
が納得の、ふだん当たり前すぎて気がつ
た大学の現状において、是非とも傾聴さ
し続ける今日的状況、成果主義に毒され
学﹂に二極分化して不毛な議論を繰り返
元の文脈では、否定的な取り上げられか
素直に﹁うらやましいな﹂と思ったのだ。
き、まっさきに訪ねていく先があるのは、
いが、誰かの意見が聞きたい。そんなと
ホワイトヘッドの
自然は本質的に前進し生成するもので
出来事を語らんとする姿勢にある。
一貫して今まさに生じる現実の具体的な
森
以文社・二六〇〇円
元斎著
ホ ワ イ ト ヘ ッ ド 哲 学 の 最 大 の 魅 力 は、
俊輔が介在するその思いがけなくも華麗
金子文子のアナキズムと結びつく。鶴見
章で、大逆事件に連座して獄中で自死した
ない。ホワイトヘッドのその言葉が、最終
与件に包握されるために、消え去ることは
その﹁答え﹂を聞きに行きたくなる話題
ビーカーでの電車内乗車﹂まで、思わず
あった︶本書では、﹁原発問題﹂から﹁ベ
れが答えだ ! ﹄︵朝日文庫︶なんて本も
た﹂人も多いのではないか。︵著者には﹃こ
真司のラジオ番組に文字通り﹁耳を傾け
﹁ 答 え ﹂ を 求 め、 本 書 の 元 に な っ た 宮 台
隆 明 も 俊 輔 も い な い ぼ く た ち の 世 代。
ただったとはいえ。
れるべきだと、心底から思う。
﹃具 体 性 の 哲 学
現 実 存 在 は、経 験 主 体 としては永劫に
あり、出来事という具体的な経験によっ
な変奏は、それまでの章で森が丹念に読み
が数多く取り上げられる。ラジオで聞く
知恵・生命・社会への思考﹄
て覚知される。出来事が生成にあたって
解いたホワイトヘッド哲学の本質と可能
消え去るが、対象的側面としては、後続の
諸々の要素を取り込むことを、ホワイト
︵フ︶
性を、鮮やかに逆照射するのである。
﹃社会という荒野を生きる。
考えてみましょう﹂といった呼びかけに、
問 題 ﹂﹁ 答 え を 聞 く 前 に、 ま ず は 自 力 で
臨場感も捨てがたいが﹁では最初に練習
ヘッドは﹁抱握﹂と呼ぶ。出来事は主体
宮台真司ニュースの社会学﹄
性を有し、目的を持ち、絶えず抱握をし
ながら、後続の与件となっていく。物理
しいただくだけではしかたがない。
﹁社会
そ の 場 で 立 ち 止 ま る こ と が で き る の も、
という荒野を生きる﹂とは、差し出され
宮台真司著 ベストセラーズ・一四〇〇円
学的に再認される自然は、出来事を抽象
本さん﹂というのは吉本隆明のことだ﹂
た﹁答え﹂などはなから疑い、どこまで
化 し て は じ め て 獲 得 で き る も の で あ り、
そ の 昔、 永 江 朗﹃ 批 評 の 事 情 ﹄︵ ち く ま
もちろん、いつまでも宮台の言葉を押
但 し、 物 理 学 革 命 に 真 正 面 か ら 向 き
文庫︶で全共闘世代批判のこんな一文を
も自分の頭で考え続けることなのだから。
書籍版ならではの楽しみかただと思う。
合ったホワイトヘッドは、自然科学的知
目にしたとき、個人的には﹁なるほどそ
は大体間違っている﹂と言い続けていま
﹁ 僕 は 子 供 た ち に ⋮⋮﹁ パ パ の 言 う こ と
﹁ そ し て た い て い 言 葉 の 最 後 に は﹁ と
見を決して否定せず、その抽象的要素も
ういうものか﹂と思ったのを覚えている。
自然をあるがままに捉えるには、余りに
現実存在に折り畳まれていると見る。
何 か に ぶ ち 当 た り、 ま ず 自 分 で 考 え る。
吉 本 さ ん が い っ て い る よ ﹂ と つ く。﹁ 吉
ホワイトヘッドのバランスのとれた自
それでも物足りない。答え合わせではな
静的なのだ。
然観、個性の平衡を保った発達の獲得を
す﹂と宮台さんもいっているよ。 ︵夏︶
目指す教育観は、常に﹁科学﹂と﹁非科
−5−
今月の﹁愛書家の楽園﹂のテーマは、﹁食
の未来と過去﹂にしました。年の瀬だか
ら﹁食﹂の来し方行く末を考えよう、と
まず、未来のお話から始めましょう。
いう趣向です︵?︶
ニ ュ ー ヨ ー ク の 三 ツ 星 レ ス ト ラ ン﹁ ブ
たこだわりと美しい料理で知られる
ら 食 卓 へ ︶﹂ を う た い、 食 材 へ の 徹 底 し
﹁ フ ァ ー ム・ ト ゥ・ テ ー ブ ル︵ 農 場 か
二八〇〇円︶
N T T 出 版・ 上 巻 二 六 〇 〇 円・ 下 巻
の た め の フ ィ ー ル ド ノ ー ト ﹄︵ 上・ 下、
ダン・バーバー/小坂恵理訳﹃食の未来
は⋮⋮。
かの興味深い結論にたどりついた。それ
市場、食関係者に取材を重ねて、いくつ
生じたジャーナリストが、全米中の食材
でいるのか﹂ある日、ふとそんな疑問が
﹁二〇三五年のメニューには何が並ん
の旅﹄︵講談社・二二〇〇円︶
実訳﹃未来の食卓︱︱2035年 グルメ
ジョシュ・シェーンヴァルド/宇丹貴代
食の未来はどうなるか
ルーヒル﹂のシェフが、現代の食システ
食の歴史をさかのぼると
ム が 抱 え る さ ま ざ ま な 問 題 に 切 り 込 み、
未来の食のあり方に迫ります。世界中の
年近くさかのぼります。
そして過去。時代はいきなり二〇〇〇
アテナイオス/柳沼重剛編訳﹃食卓の賢
農家や畜産家、養殖場、育種家のもとを
訪れ、十年の歳月をかけて彼が最後に見
たぶん西洋最初の料理の本。時代は二
人たち﹄︵岩波文庫・九六〇円︶
世紀頃のローマです。次々と出される料
はおいしくて持続可能な﹁農業﹂と﹁畜
産業﹂について。下巻﹁海と種子﹂は先
理を楽しみながら、その材料や料理法や
つけた答えとは? ︱︱上巻﹁土と大地﹂
端技術と伝統を融合した﹁漁業﹂と﹁種
食器や食べ方等々について、宴に招かれ
の育成﹂について。
−6−
『食の未来のための
フィールドノート』
漬魚﹂
﹁冷たい飲み物﹂
﹁アナゴ﹂
﹁ウナギ﹂
チジク﹂﹁シトロン﹂﹁臓物﹂﹁パン﹂﹁塩
対話篇です。取り上げられる食物は﹁イ
た客たちが競って蘊蓄を披露する長大な
ンチクを交えて語ります。
らバシュラールにまで至る博覧強記なウ
ざまな気づきを、レヴィ=ストロースか
して料理修業を行い、修業を通じたさま
著者自身が各地の料理の達人に弟子入り
スタンフォード大学で言語学を教える
房・二二〇〇円︶
味と語源でたどる食の人類史﹄︵早川書
﹃ペルシア王は﹁天ぷら﹂がお好き? ︱︱
ダン・ジュラフスキー/小野木明恵訳
たどると意外な国に起源があったとのこ
語が語源だといわれていますが、歴史を
著 し た と か。﹁ 天 ぷ ら ﹂ は、 ポ ル ト ガ ル
ど、ありとあらゆる情報をリサーチして
の一〇〇万件のレストラン・レビューな
実を語る。古今東西の料理本、ウェブ上
筆者が、食と言語にまつわる驚くべき史
﹁ キ ャ ベ ツ ﹂﹁ カ ボ チ ャ﹂﹁ ウ サ ギ ﹂ な ど
など。さらに﹁クレオパトラとアントニ
ウスの宴﹂﹁動物学者アリストテレス﹂﹁プ
ラトンに対する非難﹂﹁遊女たちの逸話﹂
﹁ 少 年 愛 に つ い て ﹂ な ど、 料 理 以 外 の 話
題も満載。五百ページを超えますが、こ
れでも抄訳。原著の三十パーセントほど
そもそも、生物としての人間にとって
とチェーン店をメニューで見分けるコツ
キー﹂と呼ばれる理由、高級レストラン
た思いがけない調味料、七面鳥が﹁ター
と。そのほか、ケチャップの起源となっ
小倉明彦﹃お皿の上の生物学﹄︵築地書館・
﹁ 料 理 ﹂ と は 何 か? こ れ を 説 く の が、
など、食と食にまつわる言葉の歴史の集
理仮説﹂をヒントに、料理をしなくなっ
という人類学の学説があります。この﹁料
脳 は 大 き く 進 化 し、 文 明 を 築 き 上 げ た、
ができるようになったおかげで、人間の
お皿の上の料理について生物学する/生
録と、未遂の講義﹂などに基づいており、
に感染しつつある学生のための講座の実
大 阪 大 学 の 名 物 教 授 が 行 っ た、﹁ 五 月 病
食 材 で 語 る 科 学 エ ン タ ー テ イ ン メ ン ト。
学、生化学から歴史まで、身近な料理・
めぐる階級間格差/ジェンダーや社会的
播と普及/農業と牧畜の緊張関係/食を
ションの歴史でした。本書は、食物の伝
人類の食文化の歴史はグローバリゼー
の500年史﹄
︵NTT出版・二二〇〇円︶
ジェフリー・M・ピルチャー/伊藤茂訳﹃食
大成です。
た現代人が向かいつつある﹁人類の危機﹂
物学を料理してお皿に載せる、の両方を
味・色・香り・温度・食器⋮⋮。解剖
一八〇〇円︶。
を考察するのが、マイケル・ポーラン/
試みたという本です。
−7−
の訳だそうです。しかも、もともとは現
存している部分の二倍ぐらいの分量が
あったらしいとのことです。
さらにさかのぼって二〇〇万年前、人
類は火を使って調理を始めました。消化
野中香方子訳﹃人間は料理をする﹄︵上・
アイデンティティと食の関係/食の分配
下、N T T 出 版・ 各 二 六 〇 〇 円 ︶ で す。
しやすくカロリーも豊富な、温かい食事
『お皿の上の生物学』
に果たした国家の役割、という五つの柱
を立て、政治、経済、民族、環境など複
ど、未刊行資料も多数収録されています。
のアブラカス、サイボシ、ゴシドリ。ア
イヌの鹿肉、川魚、鍋料理。北方少数民
韓国・朝鮮人から広がった焼肉など。前
に伝わるイラブー、ソテツ。そして在日
族の魚皮でつくったデザート。沖縄の島々
ジ ョ ー ジ・ ソ ル ト / 野 下 祥 子 訳﹃ ラ ー
著﹃被差別の食卓﹄に続き、異色の食文
日本の食の歴史から
メ ン の 語 ら れ ざ る 歴 史 ﹄︵ 国 書 刊 行 会・
雑 な 要 素 が 絡 み 合 う 世 界 の 食 の 歴 史 を、
コロンブスから現代まで、ダイナミック
二二〇〇円︶
ビー・ウィルソン/真田由美子訳﹃キッ
のではないでしょうか。どうも﹁ラーメ
背景についてはほとんど知られていない
メ ン。 し か し、 そ も そ も の 起 源 や 歴 史、
化を大宅賞作家が描くノンフィクション。
に読み解いています。
チンの歴史︱︱料理道具が変えた人類の
いまや日本の国民食とも言われるラー
食文化﹄︵河出書房新社・二八〇〇円︶
がからんでいるようなのです。アメリカ
ン﹂の成立には、戦後日本の複雑な事情
キッチンの歴史
食の歴史はテクノロジーの歴史だ !
人歴史学者が明らかにする真実のラーメ
神門善久﹃日本の食と農︱︱危機の本質﹄
差別されてきた人びとが生きる場所に
斬新な角度から食と農を語る新しい現
ら目をそむけるのか。
真の処方箋は何か。
も 無 関 心。 な ぜ 日 本 人 は 病 理 的 矛 盾 か
−8−
ということで、スプーンや包丁、鍋、電
日本の資料を駆使して、ラーメンが貧し
ンの歴史。機密扱いだった占領軍文書や
い労働者のための粗末な食事から日本文
子レンジ、冷蔵庫など、古今東西の料理
それらが人々の食習慣や食文化をどのよ
道 具、 調 理 器 具 の 歴 史 を た ど り な が ら、
うに変えてきたのかを読み解くユニーク
︵NTT出版・二四〇〇円︶
スローガンを声高に唱えながら、日本人
企業の農業参入、農村環境保護といった
食 の 安 全・ 安 心、 都 市 と 農 村 の 交 流、
化の象徴へと上り詰めた経緯と、国際政
策が世界中のごく普通の食べ物にいかに
影響するかを教えてくれます。
は、そこでしか食べられないグルメがあ
代史。
は自身の食生活には驚くほど無頓着、な
か? システムキッチン、家事労働から
る。 無 名 で、 見 た 目 も よ く な い、 で も、
お か つ 優 良 農 地 の 転 用・ 人 為 的 損 壊 に
食材、エネルギーにいたるまで、台所と
これほど美味しい料理はない⋮⋮。大阪
上原善広﹃被差別のグルメ﹄︵新潮新書・
い う﹁ 戦 場 ﹂ の 超 克 を 試 み た エ グ い 本。
七四〇円︶
新たに発見された事実や貴重なレシピな
間と食をめぐる関係には何が生じたの
ナチスによる空前の支配体制下で、人
ること﹂の環境史﹄
︵水声社・四〇〇〇円︶
藤原辰史﹃ナチスのキッチン︱︱﹁食べ
な書です。
『被差別のグルメ』
た料理研究家たち。彼女・彼らの歴史は、
料 理 研 究 家 と そ の 時 代 ﹄︵ 新 潮 新 書・
阿古真理﹃小林カツ代と栗原はるみ︱︱
宇 土 巻 子︵ ア リ ス フ ァ ー ム ︶・ 本 山 賢 司
ンターカルチャーの名品があります。
かのぼらなくても、現代に直結するカウ
ア=サヴァラン﹃美味礼讃﹄などまでさ
料理本にも﹁古典﹂があります。ブリ
伝説の料理本
ちが集まった奇跡の一冊。さらに矢吹申
ストの数々⋮⋮トップ・アーティストた
なるポテトの食し方、ユーモラスなイラ
トルーマン・カポーティによる最も美味
わ る す べ て を 伊 丹 十 三 の 酒 脱 な 訳 文 で。
ト・ブック﹄︵河出書房新社・二一〇〇円︶
幻の名著、完全復刻 ! ポテトにまつ
戦後日本の家庭の食卓をリードしてき
七八〇円︶
そのまま日本人の暮らしの現代史であ
らに飯田深雪、土井勝、辰巳芳子、有元
婦のカリスマ﹂となった栗原はるみ、さ
摂理/作物を栽培する/食物を保存する
派 料 理 本 の 新 装 版。 大 地 を 耕 す 自 然 の
イフを提唱した伝説のベストセラー自然
一九八四年に刊行され、カントリーラ
現代は歴史上類のない﹁食の危機﹂の時
さ て、 い い 話 ば か り で は あ り ま せ ん。
食の危機
彦による復刊エッセイも。ギフトにも最
︵画︶
﹃新装版 カントリー・キッチン﹄
︵山
葉子、高山なおみ、ケンタロウ、コウケ
代 で も あ り ま す。 重 要 な 警 鐘 本 を い く
と渓谷社・一四〇〇円︶
る。革命的時短料理で﹁働く女性の味方﹂
ン テ ツ ⋮⋮。 料 理 研 究 家 を 分 析 す れ ば、
アリスの保存食作り/果物を加工する/
つか。
となった小林カツ代、多彩なレシピで﹁主
家庭料理や女性の生き方の変遷が見えて
大豆を加工する/乳製品・ワイン・スモー
ポール・ロバーツ/神保哲生訳﹃食の終
焉﹄︵ダイヤモンド社・二八〇〇円︶
適とのことです。
くる。本邦初の料理研究家論。
ワインをつくる/スモーク製品/アリス
ク ミルクを加工する/チーズを作る/
ファーム流クッキング パンを焼く/
辰巳芳子﹃辰巳芳子の旬を味わう︱︱い
の ち を 養 う 家 庭 料 理 ﹄︵ N H K 出 版・
スープを作る/スパイスとインド風料理
らしく、凛とした佇まい。和食を中心に
家 ﹂︵ 阿 古 真 理 さ ん の 評 ︶ 辰 巳 芳 子 の 本
い わ ゆ る レ シ ピ 集 で す が、﹁ 食 の 思 想
ト⋮⋮この目次項目を見るだけで、ワク
使って/おいしいサラダ/楽しいデザー
ふだんの和風料理/豆腐を使って/米を
イモを使って/レタス包みとオムレツ/
/夏野菜を使って/豆を使って/ジャガ
負の要素とは何か、このシステムは持続
の要素も世界中に広めてしまった。その
とで、私たちはその恩恵だけでなく、負
量生産モデルを世界的規模に拡大するこ
るようになった。しかし、低コスト・大
や食肉、加工食品を一年中どこでも買え
高度な食料経済の構築により、農産物
二六〇〇円︶
約一一〇点。﹁この風土は、私たちにとっ
ワクしませんか。
に す る。 食 の 巨 大 な サ プ ラ イ チ ェ ー ン、
可能なのか、膨大な取材をもとに明らか
て代を重ねた親の家のようなもので、旬
マーナ・デイヴィス/伊丹十三訳﹃ポテ
の 食 べ 物 は そ の い と し 子。﹂ 旬 の 食 材 に
まつわるあれこれと共に料理を紹介。
−9−
かさをもたらすはずのシステムが人類を
に身を守れば良いかを消費者に説く。
よって暴き、加工食品の罠からどのよう
そのときあなたはどんな食事をしたいで
す が、 人 生 に も い つ か 終 わ り が 来 ま す。
川キリスト教病院ホスピス・こどもホス
青山ゆみこ﹃人生最後のご馳走︱︱淀
しょうか。
その裏で今、何が起きているのか? 豊
破綻に陥れる。圧倒的な取材力で真実を
ピ ス 病 院 の リ ク エ ス ト 食 ﹄︵ 幻 冬 舎・
フィリップ・リンベリー、イザベル・オー
クショット/野中香方子訳﹃ファーマゲ
まな﹁トラップ﹂を製品に仕掛けている。
自社の食品を買い続けるように、さまざ
加工食品の世界企業はいま、消費者が
ラップ︱︱食品に仕掛けられた至福の罠﹄
マイケル・モス/本間徳子訳﹃フードト
れている事実を知ったとき、今後も同じ
みれ、不健康に育った肉や魚が安く売ら
れていない。抗生物質、ホルモン剤にま
にする食べ物についてあまりにも知らさ
ハルマゲドン︶だ。私たちは、自分が口
のは、ファーマゲドン︵農業がもたらす
層を拡大する。その先に待ち構えている
公害をまき散らし、生態系を乱し、貧困
実 は ま っ た く 逆 だ。 現 代 的 集 約 農 業 は、
らしい手段のように見える。しかし、現
安価な食料を効率的に大量生産する素晴
穀 類・ 豆 の 単 一 栽 培 ⋮⋮。 一 見 す る と、
でご紹介した書籍は、池袋本店一階エレ
*愛 書 家 の 楽 園・ 特 集﹁ 食 の 未 来 と 過 去 ﹂
の物語。
に、彼らを支える家族、医師、スタッフ
が﹁リクエスト食﹂に寄せる思いを中心
高 の﹁ ご 馳 走 ﹂ な の だ。 十 四 名 の 患 者
これまでの人生と深く繋がっている最
れたメニューだが、
一人一人にとっては、
れ る。 一 見 そ う 豪 華 で も な い、 あ り ふ
希 望 す る﹁ リ ク エ ス ト 食 ﹂ を 作 っ て く
ホ ス ピ ス 病 院 で は、 週 に 一 度、 患 者 が
淀 川 キ リ ス ト 教 病 院 ホ ス ピ ス・ こ ど も
描き出す問題作。
ド ン ︱︱ 安 い 肉 の 本 当 の コ ス ト ﹄︵ 日 経
一三〇〇円︶
その鍵となるのは、塩分、糖分、脂肪分。
ように食べ続けるだろうか。工業型農業
末期がん患者が最期の時間を過ごす
BP社・二〇〇〇円︶
大手食品会社は、この安くて強力な成分
が生み出す安い食料が人々の健康と環境
ま る で 工 場 の よ う な 家 畜 飼 育、 養 殖、
の組み合わせで、人が快感を感じる﹁至
︵日経BP社・二〇〇〇円︶
福ポイント﹂を刺激する食品を生みだし
を蝕んでいる実態に迫る。
さて、そろそろこのガイドも終わりま
人生最後の食事
日∼一月九日までフェア展開中です。
一階と京都本店地下二階にて、十二月十
ベ ー タ 前 と 福 岡 店 三 階、 丸 善 名 古 屋 本 店
︵NTT出版・柴︶
てきた。﹁ヘルシー﹂﹁ローカロリー﹂を
品を作り続けなければならない食品企業
謳いながら、健康を度外視して売れる商
の実態と内幕をきめ細かい調査取材に
− 10 −
『フードトラップ』
今年九月、東京大学出版会より山極寿
今回はこれを記念して、MARUZE
一﹃ ゴ リ ラ
第 2 版 ﹄︵ 二 九 〇 〇 円 ︶ が
刊行されました。
日から一月三十一日まで東京大学出版会
N&ジュンク堂書店札幌店では十二月一
さ ん に ご 協 力 い た だ き、﹁ 続 サ ル の 惑 星
フェア﹂を開催します。
サルの惑星を知る前にまず、確認して
おきましょう。サルとチンパンジー、ゴ
よ う な お 顔 立 ち で す。 ゴ リ ラ と 人 間 の
共 生 を め ざ すN G O 活 動 に も 尽 力 し て
ませんか。体長や体毛が多少異なるだけ
うことでなんとなくひとくくりにしてい
たもの。さらに進んだゴリラ研究となっ
ラについての新しい知見を加えて改訂し
ローランドゴリラ、ニシローランドゴリ
著書﹃ゴリラ
第2版﹄は、初版の刊
行から十年、マウンテンゴリラやヒガシ
きました。
かと思いがちですが、実は全く違うので
リラ、ボノボ、これらを同じ霊長類とい
す。生態や性質、形づくる集団社会の違
ています。
︵ 集 英 社 イ ン タ ー ナ シ ョ ナ ル・ 一 一 〇 〇
三二〇〇円︶、﹃﹁サル化﹂する人間社会﹄
この他﹃家族進化論﹄︵東京大学出版会・
いなど、その全容が今回のフェアの本を
手にとっていただくとわかります。
ゴリラと山極寿一
著 者 の 山 極 寿 一 先 生 は、 ゴ リ ラ 研 究
円︶、﹃たくさんのふしぎ傑作集
ゴリラ
が 胸 を た た く わ け ﹄︵ 阿 部 知 暁 / 絵・ 福
歳の寺子屋
の 世 界 的 な 第 一 人 者 で あ る と 同 時 に、
音館書店・一三〇〇円︶、﹃
ゴ リ ラ は 語 る ﹄︵ 講 談 社・ 一 〇 〇 〇 円 ︶
等々、専門書から絵本まで幅広くゴリラ
本を出されています。
− 11 −
『ゴリラ 第2版』
二〇一四年の京都大学総長就任後、その
言動が広く世間の注目を集めています。
四十年間にわたりゴリラを研究して
き た 著 者。 心 な し か イ ケ メ ン ゴ リ ラ の
15
店・二〇〇〇円︶によれば、著者が初め
松沢哲郎﹃想像するちから
チンパン
ジ ー が 教 え て く れ た 人 間 の 心 ﹄︵ 岩 波 書
出版部・二〇〇〇円︶をどうぞ。
ウータンを追いかけて
マレーシアに生
き る 世 界 最 大 の 樹 上 生 活 者 ﹄︵ 東 海 大 学
デンの園から
上・ 下 ﹄︵ 新 曜 社・ 各
三 二 〇 〇 円 ︶、 金 森 朝 子﹃ 野 生 の オ ラ ン
ジ ー や ゴ リ ラ の 野 生 研 究 が 主 流 の な か、
てチンパンジーを間近で見たとき、それ
もっとも近縁な一種です。
伊沢紘生は単身アマゾンに向かいまし
まで付き合いのあったニホンザルとあま
一 九 七 〇 年 代、 ア フ リ カ の チ ン パ ン
た。以来三十年、南米に生息する新世界
新世界ザルと伊沢紘生
ザルの研究を続けています。新世界ザル
りに違うので驚いたといいます。
類︵テングザルやキンシコウなどを含む︶
ルやマントヒヒなどを含む︶とコロブス
リカに生息するオナガザル類︵ニホンザ
族であり、教育であるといいます。この
か、に対する著者の答えは、人間とは家
と知性を研究しています。そのチンパン
ンパンジーに言葉や数を教えて彼らの心
が始めた﹁アイ・プロジェクト﹂は、チ
動物行動学者として知られ、かつて人
そのほかのサル
一九七八年から京都大学霊長類研究所
と は、 中 南 米 に 生 息 す る 広 鼻 類 の 総 称。
を指す言葉です。著書﹃新世界ザル
上・
下﹄︵東京大学出版会・上巻三六〇〇円、
間は霊長類で唯一体毛がない﹁裸のサル﹂
ちなみに旧世界ザルとは、アジアやアフ
下巻四二〇〇円︶では、ホエザルやフサ
答えに達する理由が書かれている本書で
であるとして人間行動を分析した﹃裸の
モンド・モリスは今年﹃サル
その歴史・
文 化・ 生 態 ﹄︵ 白 水 社・ 二 四 〇 〇 円 ︶ を
多くの動物行動を分析してきた著者の
刊行しました。
− 12 −
ジー研究から見えてきた、人間とはなに
オマキザル、クモザルなどの生態が明ら
すが、決して難しくはなく、どのページ
オランウータン
オ ラ ン ウ ー タ ン は、 大 型 類 人 猿 と し
て は 唯 一 ア ジ ア に 生 息 し、 基 本 的 に 単
悪で愚かな獣である一方、古代エジプト
目を通して書かれるサル。古代伝説や寓
やインド、東南アジア、南米では神の姿
話に登場するサルは、西洋においては邪
詳しくはビルーテ・ガルディカス﹃オ
ラ ン ジ ﹂︵ 顔 の 両 脇 に あ る で っ ぱ り ︶ が
ランウータンとともに
失われゆくエ
印象的です。
独 生 活。 強 い オ ス の み に 発 達 す る﹁ フ
サ ル ﹄︵ 角 川 文 庫・ 絶 版 ︶ の 著 者、 デ ズ
かにされています。
『オランウータンと
ともに』
も納得する言葉で綴られています。
チンパンジー
チ ン パ ン ジ ー は、 現 生 種 で は ヒ ト に
『新世界ザル』
三四〇〇円︶は、タイトルの通り研究で
りに思い出す事など
神経科学者がヒヒ
と暮らした奇天烈な日々﹄︵みすず書房・
ロバート・M・サポルスキー﹃サルな
問にそれぞれの専門家が答えてくれる一
ルにも美男美女はいる?﹂など素朴な疑
こ れ か ら 進 化 し た ら ヒ ト に な る?﹂﹁ サ
は 科 学 の 定 番 シ リ ー ズ と し て、﹁ サ ル は
学
人 を 知 る た め の1 0 0 問1 0 0 答 ﹄
︵ 講 談 社 ブ ル ー バ ッ ク ス・ 一 一 八 〇 円 ︶
店・二二〇〇円︶です。
が得意で、最新刊は﹃道徳性の起源
ボ
ノ ボ が 教 え て く れ る こ と ﹄︵ 紀 伊 國 屋 書
しています。軽快でユーモアのある文章
書店・二二〇〇円︶などヒット作を連発
究 も 進 め て お り、﹃ 共 感 の 時 代 へ
動物
行 動 学 が 教 え て く れ る こ と ﹄︵ 紀 伊 國 屋
で描かれました。
訪れたアフリカでの日々がエッセイ風に
冊。お好きなページからどうぞ。
今西錦司は、日本の進化論研究を語る
語られていておもしろく読めます。
﹃生物の世界﹄︵講談社文庫・四九〇円︶
上で欠かせない存在です。
今では非科学と言われることもある今西
京大の霊長類学
ル は ど こ が 違 う の か、
﹃考える絵本③人
ターの設立にも尽力しました。人間とサ
オ ラ ン ウ ー タ ン 研 究 の ビ ル ー テ・ ガ ル
ル、ゴリラ研究のダイアン・フォッシー、
チンパンジー研究のジェーン・グドー
リーキーの三人娘
間とは何か﹂を解明しようとしています。
ました。霊長類との比較をとおして、﹁人
ン パ ン ジ ー の 政 治 学 ﹄︵ 産 経 新 聞 出 版・
学者の第一人者。一九八二年の処女作﹃チ
霊長類の行動研究で有名な、動物行動
フランス・ドゥ・バール
ネ ッ ト・ ウ ィ ン タ ー﹃ い つ も み て い た
ですが、その人物に注目した絵本、ジャ
行 い ま し た。 品 切 れ 本 が 多 い の が 残 念
導 か れ、 大 型 類 人 猿 の 先 駆 的 な 研 究 を
権 威 で あ る ル イ ス・ リ ー キ ー に よ っ て
− 13 −
論ですが、とにかく読んでみなければわ
霊長類学創始者のひとりで児童文学者
からない。
戦後今西錦司や伊谷純一郎などが登場
間﹄
︵あべ弘士/絵・大月書店・一三〇〇
でもある河合雅雄は、日本モンキーセン
し、それ以降、世界をリードする霊長類
先述した松沢哲郎氏が﹁初めてチンパン
ゆめをかなえた女の子ジェーン・グドー
デ ィ カ ス。 三 人 と も 古 人 類 学 の 世 界 的
ジーを間近で見﹂て長年研究したチンパ
絶版︶は世界的なベストセラーになりま
京都大学霊長類研究所﹃新しい霊長類
ンジー、アイも有名です。
した。それ以後は道徳の進化に関する研
年には京都大学霊長類研究所が開設され
円︶はお子様にお薦めです。
『道徳性の起源』
の総合的研究を行っています。一九六七
『サルなりに
思い出す事など』
入ります。また、ダイアン・フォッシー
ル ﹄︵ 福 音 館 書 店・ 一 四 〇 〇 円 ︶ が 手 に
う。また、これが読めなくても、内井惣
で、持ち歩いて少しずつ読み進めましょ
をそれほど異ならしめているのでしょう。
うです。それならば、いったい何が両者
初 め て で も、 基 本 的 な 知 識 と そ の 時 代、
が、こちらの本はダーウィンも進化論も
たからだそうで、研究者も多いそうです
されている背景には、彼が﹁手紙魔﹂だっ
す。ダーウィンに関する本がたくさん出
で素直におもしろいと感じられる本で
ころ﹂なのでしょうか。
等からわかるもの、やはりその違いは﹁こ
空想を語るヒト
人間と動物をへだてる、
たった2つの違い﹄
︵白揚社・二七〇〇円︶
マス・ズデンドルフ﹃現実を生きるサル
るのか﹄
︵勁草書房・二七〇〇円︶
、トー
マイケル・トマセロ﹃ヒトはなぜ協力す
ク﹃心の発生と進化
チンパンジー、赤
ち ゃ ん、 ヒ ト ﹄
︵ 新 曜 社・ 四 二 〇 〇 円 ︶、
デイヴィッド・プレマック、アン・プレマッ
は 映 画﹁ 愛 は 霧 の か な た に ﹂ で、 そ の
七﹃ダーウィンの思想
人間と動物のあ
い だ ﹄︵ 岩 波 新 書・ 七 四 〇 円 ︶ は、 読 ん
生涯が描かれています。
まわりの研究者たちとのやりとりが手に
かったというのは驚きであり、その著書
地質学者ライエルからの影響が大き
一八五九年、チャールズ・ダーウィン
﹃ライエル地質学原理
上・下﹄︵朝倉書
店・各四九〇〇円︶なくては研究にのめ
ヒトの進化
ヒトがチンパンジーやボノボの系統
ヒトとチンパンジーのDNAはわずか
い。 な ら ば、 こ の 六 〇 〇 万 年 で 何 が 起
る 部 分 も 多 い が、 そ れ 特 有 の 部 分 も 多
六 〇 〇 万 年 前。 ヒ ト は 類 人 猿 と 共 通 す
− 14 −
取るように見えてきます。
は﹃種の起源﹄を出版しました。
﹁自然選
進化論
択による進化﹂というその画期的なアイ
リチャード・ドーキンス﹃利己的な遺
りこむことはなかったようです。
伝子
増 補 新 装 版 ﹄︵ 紀 伊 國 屋 書 店・
二八〇〇円︶は定番中の定番。海外の本
屋でも広く陳列されています。
一・五%が違うだけ。それなのに、両者は
と 枝 分 か れ し た の は、 い ま か ら お よ そ
う。はっきり言って難解。ダーウィン﹃種
その行動も知的能力もずいぶん異なるよ
What is "the difference" ?
『現実を生きるサル
空想を語るヒト』
の起源
上・下﹄︵光文社古典新訳文庫・
各八四〇円︶という文庫になっているの
となるとぐっと数が少なくなるでしょ
はあるでしょうが、読んだことがある人
こ の﹃ 種 の 起 源 ﹄、 誰 も が 聞 い た こ と
子頻度が時間とともに変化すること。
ここでいう﹁進化﹂とは、集団中の遺伝
代総合説﹂として定着しています。なお、
デアは、二十世紀の遺伝学と結びつき、﹁現
『いつもみていた』
なども交錯してきます。ジャレド・ダイ
こ っ た の で し ょ う。 社 会、 文 化、 言 語
の⋮⋮。教育、心理、発達などを学ぶ方
もつということは、苦しいことが多いも
仲 間 を う ら ぎ っ た り 欺 い た り、 知 性 を
性﹄
︵岩波科学ライブラリー・一二〇〇円︶
い方には写真集も出ています。
が話題になりました。実物を見に行けな
ンすぎるゴリラとして有名なシャバーニ
今年は名古屋の東山動植物園のイケメ
植 物 園 オ フ ィ シ ャ ル ゴ リ ラ 写 真 集 ﹄︵ 扶
ア モ ン ド の 傑 作 で あ り、 ピ ュ ー リ ッ ツ
そして、今回のフェアタイトルになっ
桑社・一〇〇〇円︶はあまりのイケメン
にも読んで欲しい本です。
ているピエール・ブール﹃猿の惑星﹄は、
ぶりにページをめくる度にドキドキして
ア ー 賞 を 受 賞 し た﹃ 銃・ 病 原 菌・ 鉄
最高におもしろい本ですが、それ以前に
映画で有名ですが創元SF文庫︵七六〇
しまいます。
さとうあきら﹃イケメンゴリラ
君の
瞳に乾杯 ! ﹄︵大和出版・一二〇〇円︶、
東山動植物園﹃シャバーニ ! 東山動
﹃人間はどこまでチンパンジーか? 人類
円︶で手に入ります。映画のラストは衝
一万三〇〇〇年にわたる人類史の謎
上・ 下 ﹄︵ 草 思 社 文 庫・ 各 九 〇 〇 円 ︶ は
進化の栄光と翳り﹄
︵新曜社・四八〇〇円︶
撃的なのですが、原作ではそのラストが
ます。社会的な上下関係を認識し、個体
ウ ー タ ン ﹄︵ 小 学 館・ 一 五 〇 〇 円 ︶ や 松
岩 合 光 昭 の 写 真 集﹃ ち ょ っ と オ ラ ン
さて、来年は申年。
えるきっかけにもなりますし、きっとサ
にお立ち寄り下さい。
きりたい、と思ったら、こちらのフェア
違うという意味で読む価値あり。
間で同盟関係を結んだり、ほかのメンバー
成由起子﹃ハッピーモンキー ! ﹄︵青菁
ル愛が止まらなくなります。
この冬、なんでもいいから何かを読み
を騙したり。そうした社会に適応するた
社・七八〇円︶など、見てほっこりでき
人間とはなにか、という深い問いを考
めに高度な知的能力が進化したというの
るおサルたちの本もご用意しています。
− 15 −
という本も出しています。
社会脳
『イケメンゴリラ』
が、
﹁社会脳仮説﹂
。平田聡﹃仲間とかか
『ちょっと
オランウータン』
わる心の進化
チンパンジーの社会的知
ヒトや類人猿は複雑な社会で生きてい
『銃・病原菌・鉄』
社 会 科 学
タが主役の時代に変化した。米国経済紙
記者が、現代の電子化された市場の恐ろ
しさを教えてくれる一冊。天才プログラ
マーである、Tシャツにジーパン姿の若
者がある日ウォール街に現れる。貪欲で
シンが登場し、マイクロ秒というほんの
頭のきれるトレーダーたちを巻きこん
一瞬ともいえる時間の中で、大量の株売
限界費用ゼロ社会
ジェレミー・リフキン著
著者は文明
評論家として知られ、
﹃第三次産業革命﹄
買が繰り返される。まるで近未来SFの
で、物語は進む。人工知能を搭載したマ
作。資本主義経済から共有型経済へ変わっ
︵インターシフト・二三〇〇円︶以来の著
二四〇〇円
ようだが、しかしこれが現実なのだ。
社会的インパクトとは何か
日経BP社
ていくことを述べている。IT技術の進
化により、
Io T︵モノのインターネット︶
が浸透し、3Dプリンターの普及で消費
者が生産者を兼ねる事例や、再生可能エ
録のページをつけている。
英治出版
図書のメディア史
三五〇〇円
﹁図書﹂とは、岩波書店の発行する書籍
佐藤卓己著
著者は二人とも経営学の研究者である
後八〇〇号の長い歴史を持つ。創業者・
一時中断を挟むものの、四十九年の再刊
一九三六年の﹁岩波書店新刊﹂刊行以来、
のPR誌である。現在、他社からも多く
が、本書は社会的投資を成功させるため
岩波茂雄は自らを﹁種蒔く人﹂
、学問や識
の 宣 伝 誌 が 刊 行 さ れ て い る が、 図 書 は
には何をどうすればよいのかをまとめた
見や芸術を日本の社会に普及する役だと
マーク・J・エプスタイン、
これらの事例により生産性が向上し、限
ものである。社会的課題に関わろうとす
評し、教養における広報者を名乗ったが、
ネルギーの不安定さをスマートグリッド
界費用がゼロに近づいていくという。な
る企業、NPO、行政に加え、そこに資
図 書 は ま さ に そ の 役 割 を 果 た し て き た。
クリスティ・ユーザス著
お、邦訳に際して、日本の現状について
金を提供しようとする財団や投資家にも
岩波書店の﹁図書﹂を通し、書籍と読者
によって調整する事例などを挙げている。
言及した特別章が加筆されている。
手順や測定・評価の仕方などを理解し共
スコット・パタースン著
ウォール街のアルゴリズム戦争
二四〇〇円
有してもらい、社会的インパクトを起こ
がいかに変わったかを辿る貴重な研究書。
NHK出版
し、さらに大きくしていこうというもの。
二一〇〇円
証券取引所では、かつてのように人間
加えて、日本で行うために参考となる付
岩波書店
が手信号で合図する形は廃れ、コンピュー
− 16 −
社会科学
プーチンの実像
我々の学習や成長の役に立つ。ストレス
ス は む し ろ パ フ ォ ー マ ン ス を 向 上 さ せ、
一六〇〇円
吉田輝幸著
高井尚之構成
ポーターというブランドで通好みの鞄
吉田基準
大和書房
がかかり、そのため必要とされる更生や
本 書 で は、 統 計・ 白 書 の カ ラ ク リ や、
抑止のための政策よりも安易な厳罰化に
メディア・政府・警察・法曹・福祉等々
心理に対する新たな解釈を示した一冊。
ロシアのプーチン大統領についての本
が各自の論理で動き、問題自体の解決に
世論は傾きがちである。
だが、本書の特徴は彼を直接知る人物た
至 ら な い 現 状 な ど を 解 説。﹁ 犯 罪 ﹂ の 実
朝日新聞国際報道部
駒木明義・吉田美智子・梅原季哉著
ちへの取材を繰り返し、表舞台の顔とは
限らないことだが、上辺の情報だけを見
像を示し、有望な対策を論ずる。犯罪に
て決めつけ、問題の本質とかけ離れた対
違う一面を掘り起こしたというところに
プーチンは柔道が黒帯の腕前で、ロス
応がとられる恐ろしさに気づかせてく
ある。
五 輪 金 メ ダ リ ス ト 山 下 泰 裕 氏 と 親 し い。
れる。
一七〇〇円
その山下氏の証言や、若いころのプーチ
現代人文社
スタンフォードの
ストレスを力に変える教科書
一切なし、値引きもしない、物流倉庫の
さを社長本人が語った一冊。広告宣伝は
− 17 −
ンはKGBの諜報員だったので、当時東
ドイツの支部で共に過ごした同僚から得
られた勇敢なエピソードなど、非常に興
味深い話が多い。日ロの間では依然北方
領 土 問 題 は 未 解 決 な ま ま で あ る 現 在、
一作目﹃スタンフォードの自分を変え
在庫にはバーコードがない、鞄製作はす
を作り続ける吉田カバン、本書はその凄
る 教 室 ﹄︵ だ い わ 文 庫・ 七 四 〇 円 ︶ に 続
ケリー・マクゴニガル著
く三年ぶりの新作は、ストレスの話であ
パンへの強いこだわり等、明確な経営方
針が貫かれている。このぶれない姿勢こ
べて職人が手作業、メイド・イン・ジャ
そが、吉田基準ともいわれる品質の高さ
る。ストレスはこれまで悪いものと見な
よって一概にそうとは断言できなくなっ
されてきたが、近年アメリカでの実験に
た。強度のストレスは確かに死亡リスク
一八〇〇円
プーチンが今何を考えているのかがわか
る貴重な内容。
朝日新聞出版
新・犯罪論
荻上チキ・浜井浩一著
身近な問題でありながら、遠い世界の
一五〇〇円
こととして捉えられがちな犯罪。ワイド
日本実業出版社
に繋がっていると納得させられる。
いと考えた人に限られる。適度のストレ
を高めるが、それはストレスが健康に悪
罪﹂に対するイメージには強いバイアス
ショー的に不安を煽る報道がなされ、﹁犯
社会科学
コンピュータ
徳丸浩の
We bセキュリティ教室
岩波データサイエンス
Vol.1
岩波データサイエンス刊行委員会編
ついて様々な特集が組まれ、話題に応じ
ンスの第一巻。データを解析する手法に
全六巻で発売される岩波データサイエ
徳丸
浩著
﹃体系的に学ぶ安全なWe bアプリケー
た 情 報 を 雑 誌 の よ う に 柔 軟 に 提 供 す る。
ションの作り方﹄
︵SBクリエイティブ・
三二〇〇円︶著者の徳丸氏による日経コ
第2版
Ruby
メタプログラミング
今回の特集はベイズ推論と
エンスに親しめる内容となっている。
掲載されており、幅広い層がデータサイ
のフ
MCMC
リーソフト。円城塔氏による連載小説も
ンピュータでの連載を再構成して書籍化。
んでいくかについて、氏へのインタビュー
巻頭にはセキュリティ対策が今後どう進
著
Paolo Perrotta
角征典訳
長らく品切れだったメタプログラミン
を収録。セキュリティの基礎知識と最新
が第二版となってついに出版さ
Ruby
一三八九円
と い う サ イ ト で 氏 が﹁ 今
CodeIQ
週のアルゴリズム﹂として出題してきた
井 氏。
の き ほ ん ﹄︵ 翔 泳 社・ 二 二 〇 〇 円 ︶ の 増
著者は﹃おうちで学べるセキュリティ
増井敏克著
プログラマ脳を鍛える数学パズル
岩波書店
二〇一六年二月刊行予定。
第 二 巻 の 特 集 は 自 然 言 語 処 理 で、
グ
一八〇〇円
情報がわかりやすくまとまっている。
のエッセンス
C++
日経BP社
れた。今回の改訂で Rubyと
2 Railsに
4
対応し、内容を大幅に刷新。訳者は﹃リー
ダブルコード﹄︵オライリー・ジャパン・
二四〇〇円︶等多数の訳書で実績のある
角氏。第一版をお持ちの方も品切期間中
ビャーネ・ストラウストラップ著
概要をコン
C++11
に手に入らなかった方も、この機会にぜ
開発者による
C++
柴田望洋訳
三〇〇〇円
ひ手に取ってメタプログラミングの魔術
をマスターして欲しい。
オライリー・ジャパン
パ ク ト に ま と め た 解 説 書。 訳 者 は や
C
に関する自著も数多くある柴田氏。
C++
た。パズルを解くことで良いアルゴリズ
翔泳社
二五八〇円
価値を生み出すワクワクをあなたに。
が書ける。ゼロからソースコードだけで
問題を一部改変、追加して一冊にまとめ
の機能について重要な例題を示し、
C++
︵S
﹃プログラミング言語 C++
第4版﹄
Bクリエイティブ・八八〇〇円︶を補完
ムが身につき、シンプルで高速なコード
二二〇〇円
のエッセンスが詰
C++
する内容となっている。プログラミング
経験者向けの
まった一冊。
SBクリエイティブ
− 18 −
コンピュータ
トイレ学大事典
性豊かで巧みに作られた一〇九種類の巣
や構造物を美しいイラストで紹介。鳥の
め、様々な工夫が見え隠れしている。た
子どもたちを守るため、快適に暮らすた
ひとつひとつの巣を覗けば、天敵から
本書では、そんなトイレの歴史から文
とえば﹁ツリスガラ﹂という小鳥の巣は、
巣にもいろんな形があることに驚いた。
化、科学的見解、建築的見解。果ては排
暖かくするために巣に羊毛を混ぜ込んで
日本トイレ協会編
普段、何気なく使
用しているトイレ。実はかなり古い歴史
泄に関することまで幅ひろーく解説して
を持っていたことはご存知だろうか?
宇宙遺産
いる。本書はA四と大判で、文字も普通
自 然 科 学
138億年の超絶景
渡部潤一監修
断 熱 効 果 を 高 め て い る。﹁ セ ア カ カ マ ド
一二〇〇〇円
台が厳選した絶景を紹介したNHKのテ
作り、見事その伝染病がなくなったとい
を参考にしてひび割れのない頑丈な家を
間などで繁殖できないよう、この鳥の巣
ため、伝染源である虫が家のひび割れの
るのだが、南米では人間が伝染病を防ぐ
ドリ﹂はかまどのような頑丈な巣をつく
の単行本サイズなので読みやすい。
柏書房
トイレって奥が深いことがわかる。
林
公代文
NHK﹁宇宙遺産100﹂番組制作班編
NASAやJ AXA、ISS、国立天
レビ番組﹁138億年の超絶景 ! 宇宙
う言い伝えもあるそうだ。
様子も順番にイラストで紹介されている。
鈴木まもる文・絵
の達が巣を作る過程は面白いので、ぜひ
完成させる。その他にも、器用な生きも
丸めたりと﹁ゆりかご﹂と呼ばれる巣を
− 19 −
文台など世界の名だたる宇宙機関、天文
遺 産10 0﹂ か ら 八 十 点 の 画 像 を 収 録、
何百年、何万年、何億年の時をかけて
の上で小さな体を行ったり来たりさせて、
﹁ナミオトシブミ﹂という昆虫は一枚の葉
巣の作り方もおもしろく、中にはその
地球に届いた美しく、あるいは不可思議
﹁ 巣 ﹂ と 聞 い て ま ず、 無 数 の 枝 で 作 ら
葉 を 切 り 取 っ た り、 二 つ 折 り に し た り、
な 星 や 銀 河 の 姿、 宇 宙 遊 泳 す る 飛 行 士、
真集。
それぞれに書き下ろしの解説を付けた写
生きものたちのつくる巣109
星の大地や月面など、どれをとっても後
れたボウル状の鳥の巣が思い浮かんだ
月や宇宙ステーションから見た地球、火
世へと残したい﹁遺産﹂の名にふさわし
二二〇〇円
いよりすぐりの画像ばかりで、見ていて
エクスナレッジ
本書のイラストでご覧いただきたい。
哺乳類、深海生物など、外観も内部も個
が、本書では鳥をはじめとする、昆虫や
四二〇〇円
飽きることがない。
河出書房新社
自然科学
医
学
書
めまいは内耳が原因と考えがちである
が、大きな病気が隠れていることもあり、
生命に関わるケースも出てくるので、思
い込み診断をしてはいけない。特に高齢
される、中枢性めまいの診断法を豊富な
者・危険因子を持つ患者に注意が必要と
大学のキャリア教育にも使える
場で役立ててほしい。めまい診断でなに
診断技術を付けよう。
新興医学出版社
一冊。
医学書院
三〇〇〇円
若者に留学を勧める大人に
優雅な留学が最高の復讐である
つめなおし、やりがいを持って楽しく働
れてきたが、人が死に直面するときに起
これまで生については多くの研究がさ
誰にでも平等に訪れる死。
かれた、新しい切り口の一冊。もちろん
近の若者に留学を勧める大人に向けて書
﹁留学をしなくなった﹂と言われる最
島岡
要著
知ってほしい大切なこと
くにはどうすればいいかを探る。これか
こる変化についての研究は今、急速に進
森田達也・白土明美著
死亡直前と看取りのエビデンス
三〇〇〇円
より重要な問診︵問診力︶の精度を上げ、
臨床例を示し説明しているので、実践の
薬学生・薬剤師のための
キャリア・デザインブック
今、薬剤師の関わる業界が変わりつつ
西鶴智香著
ある。今後どうなっていくかは薬剤師さ
ん次第かもしれない。大学のキャリア講
座で使用されているワークシートに記入
ら薬剤師を目指そうとしている人や、仕
若 者 自 身 に も 読 ん で ほ し い。﹁ プ ロ ジ ェ
しながら、自分や仕事の内容について見
事に悩んでいる人に読んでほしい。
められている。
計などでまとめられている。著者の経験
和、看取り方などのエビデンスが表や統
医学的問題、死亡直前に起こる苦痛の緩
本書は、患者が亡くなる直前の過程や
八人八様の経験、考え方が興味深く、迷
れ て い る 八 人 の 留 学 経 験 者 と の 対 談 も、
ら研究留学の意義を掘り下げる。収載さ
存戦略﹂など幅広く、少し斜めの視点か
クトとルーティン﹂﹁グローバル化﹂﹁生
一八〇〇円
中山杜人著 めまいを訴える患者の数は
に基づくナラティブな解説も豊富に記載
薬事日報社
約二百四十万人に上る。本書は、耳鼻咽
える背中を押してくれるかもしれない。
脱・思い込みめまい診療
喉科と内科でめまい診療に携わってきた
さ れ て い る。 医 師・ 看 護 師 の み な ら ず、
二四〇〇円
著者がその両面の視点から見方・考え方
人の臨終に携わる方々に読んで頂きたい
医歯薬出版
を解説する。
− 20 −
医学書
帝国日本の生活空間
ジョルダン・サンド著
メディアにむしばまれる
子どもたち
リッドが全く新しい読書体験を提供す
究、 学 問 と 単 な る 興 味、 様 々 な ハ イ ブ
について。翻訳と翻案、歴史学と資料研
士協定﹂
﹁文化住宅﹂
﹁籐椅子﹂
﹁帝都観光﹂
はなく文化について、﹁洋館﹂﹁味の素﹂﹁紳
守った少年が、一週間で驚くほど元気に
書 だ。 テ レ ビ と ゲ ー ム を や め る こ と を
例を挙げつつ問題を分析し示したのが本
どの活動を続けてきた著者が、多くの実
を多く診てきた。問題を広く提言するな
どの特徴を現す、メディア漬けの子ども
慢性疲労、年齢に見合わない心の幼さな
著 者 は 小 児 科 医 と し て、 希 薄 な 笑 顔、
田澤雄作著
佐久間留理子著
﹁ 観 音 さ ま ﹂ と 親 し
まれ、多くの日本人にとってなじみの深
る。この後この書がどのように言及され
なる。子どもの回復力に希望を見る。
原書のない訳書である。帝国の政治で
天内大樹訳
い観音菩薩。その中でも密教的信仰に基
てゆくのか、想像もつかない、新しい端
人 文 科 学
づく﹁変化観音﹂について解説する。仏
緒である。
中村
寛著
本書は、ニューヨークの
ハーレム地区に暮らすアフリカン・アメ
− 21 −
観音菩薩
教は異宗教との共存のために様々な形に
佐々木孝次著
リカンのムスリムについてのエスノグラ
一三〇〇円
変化してきたが、観音信仰は仏教発祥の
教文館
岩波書店
﹁ レ ト ゥ ル デ ィ﹂ は す で に﹃ エ ク リ ﹄
フ ィ で あ る。 著 者 が テ ー マ と す る の は、
残響のハーレム
を完成させていたラカンが著した重要な
奴隷制や人種隔離という歴史を経てなお
ラカン﹁レトゥルディ﹂読解
四四〇〇円
地であるインドにおいて、ヒンドゥー教
との関係を融和的に取り持つのに大きな
背景もあって変化観音の姿は様々な種類
論文である。ありがたいことに、本書に
残る﹁暴力﹂と彼らがどのように対峙し、
役割を果たしたのだという。そのような
があり、それも紹介されている。
よって本文と解説を平行して読めるよう
折 り 合 い を つ け て き た の か と い う こ と。
二六〇〇円
になった。ラカンの難解なテクストを読
近年注目されるイスラームの中でもアメ
春秋社
む に あ た り、﹃ エ ク リ ﹄ の 訳 者 に よ る 解
リカ国内に住む彼らの言葉から、現在の
三四〇〇円
説をそのつど参照できるのは心強いかぎ
共和国
り。欲望と言語をめぐる論考をじっくり
五〇〇〇円
アメリカ社会が垣間見える。
せりか書房
と読み込もう。
人文科学
文学・文芸
ジミ・ヘンドリクス・
エクスペリエンス
滝口悠生著
ピース又吉直樹の受賞で沸いた第
一五三回芥川賞。受賞作二作の次点だっ
たのが本作である。
物語は二〇〇一年九月、大学生だった
は会わなくなった友達に、永遠に記憶の
中に留まる事となったあの時の福島の風
景。まるで二度はない即興で奏でるジミ
ヘンのギターさながら進む主人公の人生
に読者それぞれの人生が重なって、不思
議と懐かしさを覚える。否応なく前に進
む人生の、そのどんな時間にも中心に居
るのは私。肯定も否定もない自分の今い
だれもが知ってる小さな国
有川
浩著
村上
勉絵
佐藤さとるの﹃だれも知らない小さな
放な美術講師、房子との思い出や、それ
の頃好きだった裸で美術室を歩き回る奔
のようだ。リズミカルで滑らかで。そし
お話が語られている。もはや落語のネタ
いやはや今回もたまらなくおもしろい
町田
康著
耳 が ピ ン ク の か わ い い
プードル、スピンクシリーズ第三弾。
き る 目 に な ら な い か と 願 っ た 気 持 ち は、
すばやく動くこぼしさまを見ることので
先 生 に あ こ が れ て 草 の 中 を 見 渡 し た り、
しさまに会えた、せいたかさんとおちび
見えないほどすばやい動きの小さなこぼ
ぼしさまの国があった。普通の人間には
一四〇〇円
る場所をこの物語はそっと照らし出して
くれる。
新潮社
とは正反対のおとなしいが魅力的な大学
て失敗したり、ちょっと駄目なところが
小さな町のはずれにある小山に、身長
国﹄から始まる、コロボックル物語。
の桃江先輩の事。いつもつるんでいた友
ある主人・ポチがなんとも愛くるしい。
その物語を受け継いだ、有川浩版平成
村上勉の絵を見るとすぐに思い出せる。
三センチほどの豆つぶのような小さなこ
達や旅先で出会った人々⋮⋮。二〇一五
ま た 言 葉 の 一 つ 一 つ も、 楽 し そ う で、
スピンクの壺
年の現在、私は妻帯者となっているのだ
ワキャワキャしていておもしろい。おも
の コ ロ ボ ッ ク ル 物 語。 養 蜂 家﹁ は ち 屋 ﹂
私が東北へ行き当たりばったりのバイク
が、そこはほとんど触れられず、近い過
の子どもであるヒコとヒメ、この職業と
旅行へ出かける回想シーンに始まる。そ
去や遠い過去、時に現在を行ったり来た
しろおかしいお話の中に、楽しい響きの
の前にアメリカへ旅立って行っ
言葉が登場していて、これはぜひとも体
9・
一五〇〇円
講談社
一四〇〇円
ネーミングも、物語の雰囲気にぴったり。
講談社
感していただきたい !
りしながら物語は進んでゆく。
ど噛み合わなくなってゆく桃江先輩。今
た房子。思いを伝えようとすればするほ
11
− 22 −
文学 ・ 文芸
文庫・新書
読めない遺言書
うな気になっていた。
野球好きにもそうでない人にも、野球
いだろうか。
ヨコタ村上孝之著
六八〇円
によって人がどのように勇気づけられて
きたのかを教えてくれる。
ハルキ文庫
﹁ し ゃ が み 方 ﹂ と は サ ブ タ イ ト ル﹁ 和
世界のしゃがみ方
﹁ 次 は ⋮⋮ い つ の 日 か 来 た 道 ⋮⋮﹂ と
式/洋式トイレの謎を探る﹂からもわか
六五七円
父 の 遺 言 書。 そ こ に つ ま っ た 想 い は、
読んでみないとわからない。
双葉文庫
勇者たちへの伝言
いう阪急電車神戸線の社内アナウンスの
るように、トイレでどのように用を足す
増山
実著
〝 声 〟 に 導 か れ る 主 人 公。 彼 の 目 の 前 に
か、ということである。
父が孤独死していた。
は球場。今はもうない球団と選手が、目
深山
亮著
もない、見知らぬ他人の名前。
の前によみがえる。
見つかった遺言書には家族でもなんで
﹁物語の中ならばありえそうな出来事﹂
ス﹂
︵の原作の﹃シューレス・ジョー﹄︶?﹂
と、﹁え、﹁フィールド・オブ・ドリーム
そんなところから始まる小説だと言う
し、﹁ 洋 式 ﹂ の ほ う も 果 た し て 西 洋 全 部
がみ式トイレは日本だけのものではない
ているが、実は﹁和式﹂と呼ばれるしゃ
我々は﹁和式﹂とか﹁洋式﹂とか言っ
者ならではの、現代日本の我々がトイレ
七四〇円
− 23 −
に分類されるのかもしれないが、この小
と言われてしまいそうであるが、途中か
説 の 魅 力 は、 私 に と っ て は そ こ で は な
軽蔑すらした父。
かった。
正しい教師としてまっすぐにつき進ん
がそうなのかというとそうではない。
に対して感じたり感じていないあれこ
世界各国のトイレでしゃがんできた著
らまさかの展開を見せる。
でいる同僚教師への嫉み。
宮スタジアム、そしてそこを本拠地にし
れ、生きていくのに不可欠なものなのに
しかしながら舞台のひとつとなる西
ていた阪急ブレーブスと選手たちは、こ
陰の存在になりがちなトイレと排泄に関
父の遺言書にあった名前の人物へ抱く
誰にも見せたくない弱い部分をつきつ
の物語において重要な役割を果たして
ようになる、思いがけない想い。
けられた人間が、それにどう応えていく
平凡社新書
まな研究を参照しながら考察する。
するあれこれを、歴史的な文献やさまざ
いる。
者ならではのサービス精神の現れではな
きさせないのは、放送作家出身である著
の要素をふんだんに取り入れて読者を飽
ノンフィクションやファンタジーなど
のか。自分ならどうする? その答えが
かった自分ですら、何かと向き合えるよ
読み終えたときには傍観者でしかな
急くようにページをめくってしまう。
わ か ら な い か ら 気 に な っ て 気 に な っ て、
文庫・新書
芸
解業
鈴木育郎著
岡村靖幸
結婚への道
や恋愛をテーマにエモーショナルな楽曲
迎えるミュージシャン、岡村靖幸。青春
来年二〇一六年にデビュー三十周年を
岡村靖幸著
を立てながら写真を撮り続けているとい
を多数世に送り出し、熱狂的なファンを
術
二〇一三年のキヤノン写真新世紀グラ
う、異色の経歴を持つ写真家。本書は、﹁月
持 つ 彼 が、﹁ 結 婚 ﹂ と い う テ ー マ で 様 々
ンプリ受賞作家、鈴木育郎。鳶職で生計
刊鈴木育郎﹂と銘打ち、十二ヶ月連続で
なアーティストにインタビューした内容
みんなのイラスト教室
中村佑介著
発売される彼の写真集の、第一弾作品で
相談、イラストレーターを目指す子ども
トレーターのSNSとの関わり方、進路
を行う。
作品をもとに、著者が先生となって授業
きでもっと上手くなりたい︶子ども達の
ラストレーターを目指す︵または絵が好
イラストレーター中村佑介。本書ではイ
木のことばだ。人間が生きていくという
し 記 録 す る ﹂。 本 書 の 帯 に 書 か れ た、 鈴
を生きる力にする。写真はそれを後押し
﹁ 出 会 い の 喜 び、 別 れ の 悲 し み、 全 て
観る側にも伝わってくる。
とに対する彼の濃密な気持ちが、写真を
取りやこけおどしが一切無く、生きるこ
感と共に写真に写しつけられている。気
感じたもの。それらが生々しく、彼の情
だ と 思 う。 彼 が 見 た も の、 触 れ た も の、
を歴々のアーティストたちにぶつける彼
﹁ 結 婚 ﹂ っ て、 何 で す か? と い う 問 い
ることはできないのだ。
うものをただ当たり前の行いとして捉え
て 悩 み 続 け て い る 彼 に は、﹁ 結 婚 ﹂ と い
何百倍も、恋愛や人生というものについ
からない﹂という思いを吐露する。人の
書 の 前 書 き で、﹁ 僕 に は、 結 婚 が 何 か わ
大テーマだ、と言う人もいる。岡村は本
と考える人もいれば、人生にとっての一
えは様々だろう。それは制度でしかない、
﹁ 結 婚 ﹂ と は 何 か。 人 に よ っ て そ の 答
をまとめたのが本書である。
ある。
に対して家族はどう接するべきか、など
ことに向き合うことこそが、彼にとって
鈴木の写真は、ものすごく正直な写真
︲ FU GENERATION
ASIAN KANG
のCDジャケットや、東山篤哉﹃謎解き
プロの立場から、また同じ道を歩んでき
最も大切なことなのだろう。今わたした
はディナーのあとで﹄の装丁を手がける
た先輩として親身になってアドバイスし
イラストの描き方だけではなくイラス
てくれる。
二〇〇〇円
の佇まいは、ミュージシャンというより
マガジンハウス
ちにとって真に必要なのは、こういう作
今までは著者の作品しか知らなかった
四〇〇〇円
も、まるで文学者の様でとても面白い。
赤々舎
家なのではないだろうか。
が、﹁ イ ラ ス ト レ ー タ ー 中 村 佑 介 ﹂ と い
八○六円
う人についてもっと知りたくなった。
飛鳥新社
− 24 −
芸術
生還
実
用
書
地図・旅行書
遭難からは一年半後になるが、山で逝っ
ている。手に入らないのが残念。
vol.1
K&Bパブリッシャーズ 一八〇〇円
こころの救命
超人の秘密
スティーヴン・コトラー著
熊谷玲美訳
あなたは、自分の限界について考えた
ことはあるだろうか。それは﹁何キロ休
や精神疾患の疑いを持ちながらも、周囲
現象について、エクストリームスポーツ
成し遂げさせてしまう﹁フロー﹂という
能なのか?﹂と思うようなことを人間に
ベルのものではなく、失敗すれば命を落
みなく走れるか?﹂などというようなレ
に 打 ち 明 け ら れ ず、 受 診 を た め ら っ て、
という舞台を例に詳しく述べられてい
本 書 で は、﹁ ど う し て こ ん な こ と が 可
今秋公開の映画﹁エベレスト3D﹂に
症状を重くしてしまうケースは非常に多
とすような挑戦における﹁限界﹂である。
合わせて﹃死者として残されて﹄から改
いと言う。その現状を踏まえ、病状が逼
る。フロー状態は人々が求める﹁さらに
NOVA出版医療情報部企画 編
・集
現代日本はストレス社会である、と言
題、復刊された。一九九六年、ツアーと
上﹂への入り口となる。そのようなフロー
われて久しい。しかし、実際に心の不調
して集まった二つのエベレスト遠征隊の
迫する前に﹁顔の見える病院﹂として精
状態を経験し、冬の山や切り立った断崖、
ベック・ウェザーズ著
大量遭難は、日本女性を含む九人が命を
神科病院を紹介しよう、と編まれたのが
者がエベレストを目指した必然と、生還
ように精神科救急 急
・ 性期医療がサポー
トをしてくれるのか、六つのストーリー
族 で は 対 応 で き な く な っ た 場 合、 ど の
巻頭には幻聴・暴力が激しくなり、家
か。それは完全にはわからない。しかし、
は、読んでいて思わずはらはらした。
ことをやってのけた人々のストーリー
荒れ狂う海などの中であっと驚くような
い、という可能性がある。その可能性が
にもしかしたらそれが出来るかもしれな
− 25 −
山本光伸訳
奪われる結果になった。
本書である。
してから失った身体の機能や周りの人と
が 漫 画 で 収 め ら れ て お り、 非 常 に 解 り
本書に書かれているエベレスト登山に
の 心 の 絆 を 取 り 戻 し て い く 記 録 な の だ。
私たちにできないことがある場合、同時
ついての記述は実は、三分の一ほど。著
この遭難については、あと二人の生還者
やすい。
映画や小説で過度に強調されてきた負
人間には、何が出来て何ができないの
が本を出版している。﹃荒野へ﹄︵集英社
文庫・六七〇円︶で話題になったジョン・
ある限り、私たちは超人を目指して挑戦
二二〇〇円
のイメージを脱し、必要な時に助けを求
早川書房
し続けるのだろう。
めるための希望の一冊。
一三〇〇円
ク ラ カ ワ ー の﹃ 空 へ ﹄︵ ヤ マ ケ イ 文 庫・
レーエフは﹃デスゾーン8848M﹄
︵角
川 書 店・ 絶 版 ︶ で、 彼 は こ の 出 版 直 後、
NOVA出版
一 三 〇 〇 円 ︶。 ガ イ ド の ア ナ ト リ・ ブ ク
実用書/地図・旅行書
英文精読術
語学・辞典
だとおしえてくれる。
知性と感性を働かせて行う、愉しいもの
リスニンガールの耳ルール
英語がどんどん聞き取れる !
アメリカの小学生が小学校で教わっ
リサ・ヴォート著
た﹁英語の音﹂の基本を、多数の英語教
一八〇〇円
材を出している著者が丁寧に教えてく
DHC
ピーナッツエッセンス1
行っている場合がある。このレベルの訳
原文と離れることのない範囲で意訳を
次に︿決定訳﹀を読んでみる。この訳は、
が 的 確 に 伝 わ ら な い 箇 所 を 探 し て み る。
と比べ、直訳過ぎて日本語としての意味
みる。そして︿試訳﹀を読み、自分の訳
学習を進めていく。まずは自分で訳して
セクション一、
二は短いパラグラフごとに
を独自に五つのセクションに分けており、
柄などが楽しめる構成である。
﹃Re d﹄
底的に学習し、モームの生涯と作品と人
行方昭夫著
この本はサマセット・モー
ムの短編小説﹃Re d﹄の英文精読を徹
も続かない。さらに谷川俊太郎さんの訳
は長続きしないし、内容がつまらなくて
つ。難しすぎる意味の文や単語が多くて
文読解教材の素材としても大いに役立
が収録されている。そしてこの特徴は英
のピーナッツエッセンスもこうした作品
に触れることができる作品が多い。今回
だが、読み込むと深い考えや表現の機微
の意味や内容を理解することは簡単なの
ませなくてはならない。だからこそ言葉
ものは複雑だ。子どもから大人まで楽し
ターである。新聞連載漫画に求められる
漫画﹁ピーナッツ﹂に登場するキャラク
日本でも有名なスヌーピーは新聞連載
るようになれば、英語が聞き取れるよう
り、聞くだけではなく自分でも発音でき
三十のルールで英語特有の音変化を知
ネイティブのように発音ができる。この
記している。カタカナをそのまま読めば、
で表し、更にカタカナで分かりやすく表
に、実際に聞こえる音をアルファベット
うに単語や文のつながりひとつひとつ
はHeo h︵ヘオ︶と聞こえる。このよ
例えば、He lp という単語は実際に
ング力の向上につながっていくだろう。
マスターすることにより、今後のリスニ
たちが身につけている三十のルール﹂を
苦手な人は、本書の﹁アメリカの子ども
覚えてはいないだろうか。リスニングが
覚えているが、日本人は文字から英語を
アメリカの子どもたちは英語を音から
れる。
こんどは何?
チャールズ・M・シュルツ著
ができれば訳としてベストだそうだ。
が、原文の持つ表現の機微まで伝わるも
谷川俊太郎訳
そ れ ぞ れ の パ ラ グ ラ フ の 最 後 に は、
一四〇〇円
になるだろう。
Jリサーチ出版
のとなっている。自分の訳と比べるなど
一四〇〇円
すれば、上級者の勉強にもなるだろう。
復刊ドットコム
モーム研究・英文精読第一人者ならでは
東大名誉教授と
名作・モームの赤毛を読む
30
の解説が載っており、英文解釈が、横の
も の を 縦 に す る 機 械 的 な 作 業 で は な く、
− 26 −
語学・辞典
児
コルチャック先生と
ぼくたちに翼があったころ
107人の子どもたち
おじいちゃんのコート
ジム・エイルズワース文
切にされた一着のコート。すり切れてぼ
さわった人。そして、第二次大戦でナチ
科医で作家、かつ孤児たちの教育にたず
樋口範子訳
岡本よしろう画
ヤヌシュ・コルチャック先生は、小児
タミ・シェム=トヴ作
バーバラ・マクリントック絵
ろぼろになると、そこから上着が作られ、
福本友美子訳
次はベストが作られ、さらにはネクタイ
スがユダヤ人たちを絶滅収容所におくり
書
近藤良平作
はじめたとき、自分だけは救われる機会
童
柿木原政広構成
も出来ました。ものを大切にしながら生
をあえてふりきり、二百名の子どもたち
おじいちゃんの人生によりそって、大
山本尚明写真
きる移民の暮らしを背景に、ある家族の
ひともじえほん
﹁ひともじをしってるかい﹂の一文か
とともに貨車に乗りこんで強制収容所に
向かったと、作者は子どものとき教わり
たちの家﹂での輝くような日々について
できて、その最期は知っていても、
﹁孤児
一六〇〇円
成長と共にお話が進んでいきます。
ほるぷ出版
おおぎやなぎ
ちか作
古山
拓画
父の故郷である岩手県朱瑠町に越して
は知らないことに気づき、コルチャック
一七〇〇円
− 27 −
ら始まり、頭のてっぺんからつま先まで
使って、からだでひらがな五十音を表し
ま す。 ひ ら が な の 字 画 が 増 え る に つ れ、
きた解人。祖母や曾祖母であるおひこさ
先生物語を書きたいと思ったと言います。
福音館書店
コルチャック先生の本をたくさん読ん
んと一緒に暮らすうちに、しゅるしゅる
その、
﹁孤児たちの家﹂の話が創作と実話
ました。
ぱんという言葉を耳にします。みんなが
を交えて書かれています。子どもと真剣
しゅるしゅるぱん
頻繁に口にし、でも他の町では使われな
に向かい合い、大きな愛で包むコルチャッ
二人、三人がかりとなっていき、さらに
形のおもしろさ、体の動きのおもしろさ
い奇妙な言葉。なかなか意味をつかめず、
ク 先 生。 子 ど も た ち の 自 治 で 運 営 さ れ、
表現する幅が広がっていきます。文字の
の両方を味わえる写真絵本です。
すっきりしない解人の前にしゅるしゅる
子 ど も の 特 性 を 大 切 に 伸 ば し て い ま す。
九〇〇円
ぱんと名乗る少年が現れます。山の神様
福音館書店
が見守る町では日々不思議な事が起こる
一五〇〇円
大人にも訴えてくるものがあります。
福音館書店
ようです。
児童書
栗田
純子
読 み 進 む に つ れ て 強 く な っ た 思 い が あ る。 人 生 と
﹃火花﹄
ノ ン ス ト ッ プ で 読 み 終 え た と き、 小 説 と い う も の
は 何 度 も ず っ こ け て、 挑 戦 を 繰 り 返 し て は 傷 を 負 う
る も の だ と い う こ と。 そ の 火 花 こ そ が 美 し い と い う
はやはり時代を映し出してくれる、とすごくうれし
舞 台 が お 笑 い で あ り な が ら、 本 作 に は 主 人 公 徳 永
こ と。 そ し て そ ん な 誰 も が 存 在 を ま る ご と そ の ま ま
こ と で、 自 分 自 身 か ら 火 花 を 発 す る、 そ の 価 値 が あ
の吐息がごく近くに聞こえてくるようなある暗さが
肯 定 さ れ、 応 援 さ れ る に や っ ぱ り 値 す る 愛 お し い 存
くなった。
あ る。 そ れ は 淡 淡 と、 静 か で、 多 く の 人 た ち が 日 々
在なんだって。
粉も浴びたい。
*﹃火花﹄︵文藝春秋・又吉直樹著・一二〇〇円︶
︵四十三歳・雑貨製作︶
の 粉 の き ら め き に 確 か に 心 を 掴 ま れ た。 次 作 の 火 の
作 品 は 著 者 の 火 花 に 違 い な く、 読 者 の 私 は そ の 火
自分自身に語り掛けるその素直さが生む暗さ。だか
ら心地がいい。
好きな世界で夢を追う若者が背負うことになる普
遍的な感情や状況も丁寧なことばで描かれる。青春
という時期に懸命に夢を追った読者は、胸に響く箇
所が幾シーンもあるはず。クライマックスの臨場感
は著者が現役のお笑い芸人でなければ書けない。私
が泣いたのがここ。
− 28 −
﹃神社・お寺のふしぎ100﹄
子 供 向 き に 書 か れ た 本 だ が、 丁 寧 に 編 集 さ れ て お
関
博之
ぼ く は お み く じ を 引 い て 悪 い 運 勢 が 出 る と、 境 内
ま ず 写 真 が 美 し く 見 ご た え が あ る。 取 材 で 撮 っ た
ご し た ら い い か が 書 か れ て い る の で、 結 果 の 良 し 悪
違 う ら し い。 本 書 は﹁ お み く じ に は こ れ か ら ど う 過
の木の枝などにくくりつけるものだと思っていたが、
写真もあるが、神社や寺、地方自治体や観光協会提
し に か か わ ら ず、 家 に 持 ち 帰 っ て 読 み 返 す の が 正 し
り、老人のぼくが読んでも面白く色々教えられた。
供の写真が多い。日本全国の寺社のたたずまいやお
い作法﹂だという。
本 書 で 神 社 や 寺 に つ い て 正 し い 知 識 を 持 つ と 、存
祭りや行事の写真を眺めているだけでも楽しかった。
神社や寺は全国のどこの町にもある身近な存在で、
在 が 一 層 身 近 に 感 じ ら れ、 参 詣 す る 喜 び も 増 す だ
ろう。
*﹃神社・お寺のふしぎ100﹄
︵偕成社・藤本頼生、
︵七十九歳・無職︶
日本人の心のふるさとと言ってよい。われわれは日
常的に初詣や墓参りに行ったり、お祭りや盆踊りな
どの行事を楽しんだりしている。でも、鳥居ってな
なぜ鐘撞堂があるの、墓地には幽霊が本当にいるの、
東京都仏教連合会監修・田中ひろみ文・二〇〇〇円︶
ん の た め に 立 っ て い る の、 ど う し て 狛 犬 が い る の、
などと考え出すとたくさんの疑問がわいてくる。お
み く じ、 お 守 り、 絵 馬、 酉 の 市 の 熊 手、 だ る ま、 仏
像などについても正しい知識は持っていない。
本 書 は、 だ れ も が 不 思 議 に 思 う 神 社 や 寺 に つ い て
の疑問に簡潔に平易に答えてくれる。
− 29 −
A
A TT II O
ON
N
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− 30 −
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定休日については、お手数をおかけしますが弊社 HP または直接各店までお問い合わせ下さい。
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〔営業時間〕10時∼ 19時
│
五九五六 六一〇〇
丸善ジュンク堂書店特急便係
東京都豊島区南池袋二 一五 五
〇三
五九五六 六一二〇
〇三
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い つ も﹁ 書 標 ﹂ を ご 愛 読 い た だ き ま し て
以下の通りです。
ありがとうございます。本誌定期購読料は
本にまつわるエッセイ、など本に関するもの。最近読んでおも
☆読者の皆様の投稿を募集しています。最近読まれた本の感想文、
定期購読料
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四〇〇字∼六〇〇字程度で、おすすめの本のタイトル、出版社、
掲載分には二千円の図書カードを差し上げます。なお、原稿はお
〒
1710022
住所、氏名、年齢、職業を明記の上、お送り下さい。
六一一一
│
編集後記
│
返しいたしませんのでご了承下さい。
東京都豊島区南池袋二 一五 五
五九五六
FAX TEL
☆尚、本誌掲載と同時に、ホームページにも掲載させていただきます。
〒
〇三
丸善ジュンク堂書店﹁書標﹂編集室係
│
TEL
│
│
き、まことにありがとうござ
年末年始は定休日や営業時
いました。
間が変則的になる店舗があり
ま す。 ご 来 店 い た だ く 際 は、
お手数ですがご確認いただき
︵緒︶
ますようお願いいたします。
− 32 −
│
│
│
今年も一年間ご愛顧いただ
PC ・スマートフォンから
ᛩ
Ⓜ
൐
㓸
1710022
﹁丸善京都本店が
オープンしました﹂
今 年 八 月、 河 原 町 の 京 都B AL 地 下 に
丸善京都本店がオープンしました。
ビルの建て替えに伴いジュンク堂京都
方々が河原町界隈から離れていってしま
も無くなれば、専門書をお求めの読者の
り専門書を提供できる店舗が一時的にで
ラを意味していました。河原町は紛れも
生の頃は﹁四条に行く﹂とはそんな街ブ
を見た帰りに書店に立ち寄る、僕らが学
いまや大手系列の映画館はシネコンに
なく﹁映画館の街﹂でもあったのです。
そ れ を 繋 ぎ 止 め る た め に も、 朝 日 会 館
う可能性もあったのです。
替店として三条河原町の朝日会館にてジュ
けです。京都BALビル完成までの間、代
あり、ワタシも数々の名作を鑑賞しまし
シネマというミニシアター系の映画館が
に書店が何軒もあった頃、最上階に朝日
朝 日 会 館 と い う ビ ル に は、 ま だ 河 原 町
十年ぶりに復活いたしました。
であった頃の懐かしい名前である丸善が
移 り ま し た し、 朝 日 シ ネ マ の 閉 店 で 市 内
ンク堂京都朝日会館店が約二年半営業して
た︵ ク ス ト リ ッ ツ ァ﹁ ア ン ダ ー グ ラ ウ ン
都B A L 店 に 続 き 朝 日 会 館 店 に ご 来 店 い
の単館系の上映も減少したそうです。
︵朝
いました。朝日会館店はBAL店に較べ敷
ド﹂、相米慎二﹁お引越し﹂に﹁神代辰巳
ただいていた方はもちろんのこと、当時
店は重要な役回りを持つ店舗だったんだ
地面積が狭いため、人文書理工医学書法律
特集﹂! などなど︶。個人的にも当時足繁
をご存知ない方々にも河原町界隈が﹁本
日シネマは、現在烏丸通のビルで京都シ
経済などの専門書に特化した店舗でした。
く通ったビルに代替店として入居し勤務
の街﹂として再び賑わいますよう我々も
と思います︵専門書専門店のオリジナル
かつて河原町界隈は丸善も含めたくさ
することは非常に感慨深いものでした。
頑張りますので、是非ともご来店いただ
ネマとして再出発されてます。
︶書店とと
ん の 書 店 が 立 ち 並 ぶ﹁ 本 の 街 ﹂ で し た。
もともと河原町には新京極辺りまでに
きますようお願い申し上げます。 ︵☆︶
であるかつてのサンパル店に近づけたか
そ れ が 閉 店・ 撤 退 が 続 き、 こ こ 十 年 の 間
松竹や東宝系列の映画館がたくさんあり、
は分かりませんが︶。
に大型店としては四条通のジュンク堂京
週末は賑わっていました。河原町で映画
BAL店が閉店したのが二〇一三年の年明
都 店 と 京 都B A L 店 だ け に な っ て し ま い
往 年 の 丸 善 フ ァ ン の 方、 ジ ュ ン ク 堂 京
そ の 河 原 町 が﹁ 本 の 街 ﹂
﹁映画館の街﹂
まったのかもしれません。
もに映画館の風景も随分様変わりしてし
ました。さらに京都B AL 店の閉店によ
二〇一五年十二月五日発行
﹁書 標
第 号
ほんのしるべ﹂
頒価五十円︵本体四十六円︶
編集・発行人
工
藤
恭
孝
発 行 所
㈱丸善ジュンク堂書店 〒 東京都新宿区三栄町二十九 ニューフィールドビルディング
印 刷 所
㈱七
旺
社
〒 神戸市長田区一番町二丁目一
445
653- 1600013 0008