日本油化学会第54回年会 発表

日本油化学会第54回年会
発表
題名;トリオレイン溶液中における対称型トリアシルグリセロール結晶のモルフォドローム
氏名;○高橋快和 1)、本同宏成 1)、上原秀隆 2)、上野聡 1)
所属;1) 広島大学大学院生物圏科学研究科、2) 日清オイリオグループ株式会社
We observed morphology of POP and SOS crystals in triolein with various crystallization
control factors. Microcrystal aggregate (β’ form) was observed in high supersaturation area,
and needle-shaped crystal (β form) was shown in low supersaturation area.
1.諸言
対 称 型 ト リ ア シ ル グ リ セ ロ ー ル で あ る POP(sn-1,3-dipalmitoy-2-oleoyl glycerol) と
SOS(sn-1,3distearoyl-2-oleoyl glycerol)は、一般的に植物油脂やエステル交換油脂を油脂分画す
ることで得られ、チョコレート原料のココアバター代替脂に用いられる。油脂分画は固体脂と液
体油の分別工程であり、この工程における固体脂の結晶形状は分画効率に大きく影響する。結晶
形状は過飽和度や冷却温度などの結晶化条件によって決定される。様々な結晶化条件に対応する
結晶形態をまとめたものをモルフォドロームと呼び、これを作成することで効率的な油脂分画が
可能になる。そこで本研究では、液体油のモデルとしてトリオレインを使用し、トリオレイン溶
液中の POP、SOS 結晶のモルフォドロームを作成した。
2.材料および方法
POP または SOS にトリオレイン(全て月島食品工業(株)製)を混合し、4~50%の POP、SOS
トリオレイン溶液を作製した。次に、二光束干渉計、DSC を用いて、最安定多形と準安定多形の
溶解度を測定した。その後、カバーガラスとプラスチック板で作製したセル(縦 1×横 14×高さ
14mm)にそれぞれの試料を注入し、7~28°C のインキュベータ中で試料を結晶化させた。偏
光顕微鏡を用いて結晶形態の観察を行い、それぞれの結晶化温度、濃度に対応した結晶形態と結
晶多形のマッピングを行った。
3.結果と考察
偏光顕微鏡観察結果より、比較的過飽和度が大きな領域では、細かな結晶が集まった微結晶集
合体が観察され、比較的過飽和度が小さな領域では、いが栗状の針状結晶が生じた。これらの結
晶の溶解温度から、微結晶集合体はβ’型、針状結晶がβ型であると推測された。また POP と
SOS の結晶化を比較すると、POP の方が結晶化により大きな過飽和度を必要とした。これは POP
と SOS の分子構造の違いが原因と考えられる。
トリオレイン溶液中における対称型トリアシルグリセロール結晶のモルフォドローム 1 / 1