東京地下鉄 10000 系について

東京地下鉄 10000 系について
中学 2 年
N.E.
東京地下鉄では、有楽町線和光市-新木場間 28.3km の路線を営業しています。同線
は、東武鉄道東上線の川越市までと、西武鉄道池袋線の飯能までの直通運転を行っ
ています。
このほど、有楽町線としては平成 4 年の 07 系以来、14 年ぶりの新型通勤車両
10000 系を新造、平成 18 年 6 月〜7 月にかけて 10 両×4 編成を搬入しました。営
業運転開始は、平成 18 年 9 月ごろを予定しています。また、この 10000 系は、平
成 20 年 6 月の開業を予定している副都心線(13 号線、池袋-渋谷間、延長 8.9km)に
も対応した車両となっています。
<車両登場の経緯>
10000 系の導入に当たっては、平成 16 年 10 月ごろから、副都心線(13 号線)などへ
の投入を踏まえながら検討が始まりました。
検討の中で営団地下鉄は東京地下鉄(株)となり、その東京地下鉄初の新造車両と
なるため、
「新生メトロ」を象徴することを目的とし、お客様に優しい車両づくりを
行っています。
<設計の基本方針>
10000 系の設計は、平成 16 年度搬入の東西線 05 系 13 次車を基本としており、そ
の 05 系で採用した内容も含めて、快適性の向上、リサイクル性の向上、火災対策
の強化、車体強度の向上、コストダウン・省メンテナンスをコンセプトに、お客さ
まに優しい「東京メトロの標準車両」として開発した車両となっています。
<基本仕様>
編成は、新木場から CT1-M1’-Mc2-Tc1-Mc1-Tc2-T’-M1-M2-CT2 の 10 編成になっ
ています。
設計最高速度は 120km/h で、加速度は 3.3km/h/s、そして減速度は常用最大で
3.5km/h/s、非常時で 4.5km/h/s となっています。車体寸法は、2800mm×20000mm
を基本として、先頭車両に 470mm のオーバーハングを持たせ、乗務員室の居住性
と機器スペースを考慮しています。
また、床面高さは同じ有楽町線の 7000 系よりも 60mm、07 系よりも 10mm 低
くした 1140mm とすることで、ホームとの段差の解消を図っています。
<路線について>
東京メトロ有楽町線は、埼玉県の和光市を起点に、東京都板橋区、練馬区、豊島区、
文京区、千代田、中央区を経て、江東区の新木場に至る全長28.3kmの地下鉄
です。西武池袋線と東武東上線の混雑緩和と丸の内線などの混雑緩和のために計画
され、昭和43年に当時の営団地下鉄が免許を収得、昭和47年に、最初の開通区
間として、池袋−銀座一丁目間が開通、現在では、和光市−新木場間、(小竹向原−
池袋間は複々線(有楽町線と副都心線(13号線))で運転を行っています。将来
は、有楽町線の豊洲から住吉、亀有、野田市方面への8号線(有楽町線)の分岐線
の計画や副都心線の渋谷への延伸計画など、 今後の整備に期待される路線だと思い
ます。
<客室設備>
客室構造で特徴的なのは、中央天井と蛍光灯、および空調ダクトを一体化したマル
チファンクションモジュールを採用していることです。また、アルミ板と真空断熱
材を一体化させ、屋根構体のダブルスキンのつり溝に取り付ける構造(トリプルスキ
ン構造)として、天井に曲面を持たせることで、室内の天井高さが07系の2230mmか
ら2415mmと、185mm拡大したことで開放的な室内空間となっています。さらに、
車両間の貫通扉は幅900mmの全面強化ガラスとし、その両側も200mm幅にわたり強
化ガラスの妻構成とすることで、見た目では幅1300mmの大形ガラスとなり、車両間
の見通しの良い構成としています。
色調は、中央天井部および側部はシルバーを基調とし、空調ダクトにホワイト、
腰掛けにはオレンジを用いて、全体的に明るい色調としました。
荷棚は、アルミ形材に強化ガラスをはめ込んだ開放的なものとしました。また、
床材にはゴム材を、つり手にはポリエステルを使用しており、火災時に有毒ガスが
出る塩化ビニールなどは使用していません。
腰掛けは片持ち式で、1人当たりの着席幅を460mmのセパレートシートとし、表生
地にアラミド繊維を織り込むことで耐燃焼性の向上を図っています。また、優先席
を全車に設けたほか、立席と着席のお客さまの干渉防止を図るため、腰掛両端に大
形わき仕切を採用しています。着席割付は3・7・7・7・3名として、7人腰掛の3人と
4人の区切りにスタンションポールを設置して定員着席を促すとともに、つり手につ
かまりにくい方に配慮した構造としています。
編成中2カ所に設けた車いすスペース部は、相互直通運転先と配置を合わせ、乗務
員と通話可能な非常通報装置を設置しています。
側窓は2連ユニット窓(開閉式)および単窓(固定式)を採用、相互直通運転先でのお
客さまの遮光対策としてカーテン付きとしています。
<最後に>
今回の10000系10連×4本の導入によって、有楽町線用07系のうち10連×4本(07-103
〜07-106編成)が東西線へ転籍します。この結果、東西線用として残っている5000系
10連×4本(5009・5016・5017・5150編成)はすべて廃車となる予定です。
最後まで読んで下さって有り難うございました。なお、誤字・脱字はご容赦願いま
す。
<参考文献>
鉄道ファン2006年9月号
東京メトロ
(http://www.tokyometro.jp/index.html)より
「副都心線の情報」
http://www.tokyometro.jp/sinsenkensetsu/13/
有楽町線Web
(http://homepage1.nifty.com/hhara/yuraku/)より
「有楽町線・副都心線(13号線)について」
http://homepage1.nifty.com/hhara/yuraku/about.html
※冊子の際は写真がありましたが都合上削除させていただいています。ご了承下さ
い。