平成26年度経営計画の評価 千葉県信用保証協会は、公的な「保証機関」として中小企業者の資金調達の円滑化を図り、中小企業者の健全な育成と地域経済の発展に貢 献して参りました。 今般、平成26年度の年度経営計画に対する実績評価を行いましたので、以下のとおり公表いたします。 なお、実績評価に当たりましては、手島英男公認会計士、宮本勇人弁護士、有馬和子臨床心理士により構成される「外部評価委員会」の意 見・アドバイスをいただいております。 1.業務環境 (1)地域経済および千葉県内企業の動向 中小企業の景況判断BSIは、全規模・全産業で上期は「上昇」超幅が拡大し、下期は「下降」超幅に転じました。 (2)中小企業向け融資の動向 中小企業の金融機関の融資態度判断BSIは、全規模・全産業で上期に「緩やか」超幅が拡大するも、下期には「緩やか」超幅が 縮小しました。 (3)県内中小企業の資金繰り状況 中小企業の資金繰り判断BSIは、下期に全規模で「改善」超に転じたものの、再び「悪化」超にて推移しました。 (4)県内中小企業の設備投資状況 中小企業の設備投資計画額は、全規模・全産業で前年同期比5.3%の増加見込みとなっています。 (5)県内の雇用情勢 平成26年度の中小企業の従業員数判断BSIは、全産業で「不足気味」超幅が縮小しました。 以上 財務省関東財務局千葉事務所 法人企業景気予測調査/千葉県分より 2.事業概況 ◎保証部門では、保証承諾額が前年度実績および年度計画を上回る実績となりました。県内中小企業・小規模事業者に対する金融円滑化法 の終了後の資金繰りについて、平成 25 年度に引き続き、円滑な金融支援が行えたものと考えています。 ◎期中管理部門では、代位弁済が前年度実績および年度計画を大幅に下回る実績となりました。政府により実施された「中小企業金融円滑 化法の期限到来に当たって講ずる総合的な対策」の効果に加え、企業サポート室による積極的な経営支援を行った結果であると評価して います。 ◎回収部門では、代位弁済が大幅に減少したことから、前年度実績および年度計画を下回る実績となりました。回収は協会の収支に与える 影響も大きいことから、引き続き努力していく必要があると認識しています。 ◎年度経営計画に基づき信用保証業務の健全な運営に努めた結果、当期収支差額は52億23百万円となりました。 (単位:百万円、%) 平成26 年度計画 平成26年度実績 保証~回収業務等 金 額 金 額 対計画比 対前年実績比 保 証 承 諾 516,500 522,974 101.3 105.1 保証債務残高 1,098,159 1,119,093 101.9 97.8 保証債務平均残高 1,121,377 1,125,429 100.3 97.2 代 位 弁 済 28,733 19,050 66.3 70.3 実 際 回 収 5,512 5,382 97.6 87.4 3.決算概要 平成25年度の決算概要(収支計算書)は以下のとおりです。 経常収入 14,798 百万円 経常支出 9,006 百万円 経常収支差額 5,792 百万円 経常外収入 26,552 百万円 経常外支出 27,209 百万円 経常外収支差額 制度改革促進基金取崩額 当期収支差額 ▲657 百万円 88 百万円 5,223 百万円 ・経常収入は、保証料収入の減少により、前年度に比べて377百万円の減少となりました。 ・経常支出は、ほぼ前年並みの実績であり、前年度に比べて23百万円の増加となりました。 ・経常外収支差額は、前年度▲914百万円に比べて257百万円の改善となりました。 ・当期収支差額は5,223百万円となりました。この収支差額の処理については、基金準備金に2,612百万円を、収支差額変動準備 金に2,611百万円をそれぞれ繰り入れました。 4.重点課題への取組み状況 (1)顧客ニーズの把握 保証部門では、金融機関・商工団体への訪問、金融機関向け説明会の開催により、事業者の現状把握や顧客ニーズの情報収集等に積極的 に取組みました。 期中支援部門では、当協会が事務局として中小企業支援ネットワーク会議や関係機関との情報交換会議を実施し、経営支援、事業再生、 創業支援について円滑な業務運営を実施しました。 (2)顧客サービスの充実 保証部門では、昨年度からの創業セミナーの実施に加え、今年度から創業スクールを開講するなど、創業支援において積極的な活動を展 開しました。また、県内金融機関と「オール千葉」体制で充実した支援を実施しました。 期中支援部門では、企業担当制を敷き、積極的に企業訪問、金融機関訪問を実施したほか、専門家によるワンポイントアドバイスや経営 改善計画策定支援等きめ細かい支援を行いました。 (3)コーポレートガバナンスの強化 各部門での定期的な内部会議により、協会の経営方針、経営理念等の基本方針を職員全員が理解し、意識の統一を図るよう努めました。 (4)経営の健全化 回収部門では、社内弁護士による法律相談などにより、債権管理の早期対応に努めました。 (5)経営の効率化 回収部門では、サービサーとの連携強化により回収の最大化を図り、回収の促進を行いました。 (6)情報の発信 ホームページの充実ならびにディスクロージャー誌および保証月報等の定期発行により、適切な情報発信を行いました。 (7)能力開発・人材育成への取組み 全国信用保証協会連合会等が主催する各種研修会・講習会に積極的に参加し、能力開発・人材育成に取組みました。また、異業種派遣研 修として、外部機関への派遣を実施しました。 5.外部評価委員会の意見 手島英男公認会計士、宮本勇人弁護士、有馬和子臨床心理士により構成される「外部評価委員会」の意見・アドバイスは以下のとおり です。 1.業務実績について 【保証部門】 ・保証承諾額が増加したことは、中小企業に必要な資金を供給できたことの表れであると考えます。しかし、返済緩和をしている企業の保 証債務残高が引き続き高い水準であり、経営支援を推進していく必要があります。 ・県内の金融機関と「オール千葉」体制で充実した支援を実施するなど、創業支援について積極的に関与しており、評価できます。 【期中支援部門】 ・代位弁済は減少していますが、中小企業者の実態の数字ではないという認識を持ち、今後の反動に対する対策を検討していく必要があり ます。 【回収部門】 ・回収実績が計画および前年実績を下回る結果になりましたが、回収環境は代位弁済の減少や不動産市況などの要因によって変わっていく ので、やむを得ない部分もあると認識しています。 【その他間接部門】 ・記念日休暇制度の導入など、メンタルヘルスおよびワークライフバランスの充実への取組みなどについては、今後推進してください。 2.コンプライアンス体制および運営状況について ・コンプライアンスに関わる問題が発生した後の、迅速かつ適切に対応する体制を作ることが重要です。 3.総括 ・いろいろな環境変化などがあり先行きの不安はありましたが、平成26年度は全体的に順調に推移したといえます。 ・代位弁済が減少傾向にあるのは近い将来必ず反動がきますので、そのための財務体質強化を事前に実施しておく必要があります。
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